JP6337585B2 - 点火装置 - Google Patents

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Description

本発明は、点火装置に関する。
従来、内燃機関の失火検出装置が公知である。例えば特許文献1では、イオン電流検出器によりイオン電流を検出することにより、失火を検出している。
特開平2−104978号公報
特許文献1の失火検出器は、点火コイルの二次コイル側に設けられているため、イオン電流の検出による正規点火時のエネルギロスがある。また、イオン電流に点火ノイズが重畳するため、特許文献1のように、点火ノイズのマスキングや検出タイミングの調整等が必要である。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、正常に着火したか否かを適切に判定可能な点火装置を提供することにある。
本発明の点火装置は、点火コイルと、イグナイタ部と、通常放電制御部と、再放電制御部と、失火判定部と、を備える。
点火コイルは、一次コイル、および、二次コイルを有する。一次コイルは、直流電源から供給される一次電流が流れる。二次コイルは、内燃機関の燃焼室において混合気に点火する点火プラグの電極に接続され、一次電流の通電および遮断によって発生する二次電圧が印加され二次電流が流れる。
イグナイタ部は、点火スイッチを有する。点火スイッチは、一次コイルの直流電源と反対側である接地側に接続され、一次電流の導通および遮断を切り替える。
通常放電制御部は、通常放電電流の通電および遮断を制御する。通常放電電流は、通常通電期間に亘って通電され、通常点火時期に遮断される一次電流である。通常放電電流は、混合気に点火し着火させるための一次電流である。
再放電制御部は、再放電電流の通電および遮断を制御する。再放電電流は、通常点火時期よりも後の再放電通電期間に亘って通電され、再点火時期に遮断される一次電流である。または、再放電電流は、再点火時期に通電開始される一次電流である。再放電電流は、通常放電電流よりも少ない一次電流である。
通常放電電流の遮断により点火プラグに放電が発生し、燃焼室の混合気に正常に着火し燃焼が生じると、燃焼室には燃焼イオンが発生する。燃焼室に燃焼イオンが十分に存在する状態において、再放電電流の通電および遮断、または、再放電電流の通電開始により生じる二次電圧が通常点火時における放電電圧より低い着火時再放電可能電圧に達すると、点火プラグにて放電が発生する。一方、通常点火時の燃焼室における燃焼が不十分であると、燃焼室に燃焼イオンが存在しない、或いは、少ない。燃焼室の燃焼イオンが不足した状態において、再放電電流の通電および遮断、または、再放電電流の通電開始により二次電圧が発生しても、失火時再放電可能電圧が着火時再放電可能電圧と比較して相対的に高いため、点火プラグにて放電が発生しない。
そこで、失火判定部は、再点火時期よりも後の二次電流に係る二次電流情報、または、再点火時期よりも後の一次コイルに印加される電圧である一次電圧に係る一次電圧情報に基づき、再放電の有無で正常に着火したか否かを判定する。これにより、正常に着火したか否かを適切に判定することができる。再点火時期は、再放電時における最大出力電圧が失火時再放電可能電圧より小さくなるタイミングである。
第1の態様では、再放電制御部は、点火スイッチのオンオフを制御することで、再放電電流の通電および遮断を制御する。第2の態様では、点火スイッチにより通常放電電流を遮断し当該遮断による電圧で点火プラグにて放電が発生した後において、エネルギを投入するエネルギ投入部を備える。
本発明における失火判定では、燃焼イオンを検出するためのイオン検出電圧の二次側からの印加を行わないため、従来の燃焼イオン検出回路により燃焼イオンを検出する場合と比較し、正規点火時のエネルギロスを低減することができる。また、点火ノイズの影響を考慮することなく、比較的高い自由度で高精度に失火判定を行うことができる。また、例えば二次電流に基づくフィードバック制御を行っている場合、二次電流に基づいて判定することにより、新たな構成を別途追加することなく、或いは、最小限の構成を追加することで失火判定を行うことができる。
本発明の第1実施形態によるエンジンシステムの構成を示す概略構成図である。 本発明の第1実施形態による点火装置の構成図である。 本発明の第1実施形態による点火装置の基本動作を説明するタイムチャートである。 本発明の第1実施形態による失火検出処理を説明するタイムチャートである。 本発明の第1実施形態による筒内圧を説明するタイムチャートである。 本発明の第1実施形態による再点火時の二次電圧を説明する説明図である。 本発明の第2実施形態による点火装置の構成図である。 本発明の第3実施形態による失火検出処理を説明するタイムチャートである。
以下、本発明による点火装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
(第1実施形態)
[エンジンシステムの構成]
まず、エンジンシステムの概略構成について図1を参照して説明する。図1に示すように、内燃機関システムとしてのエンジンシステム10は、火花点火式の内燃機関としてのエンジン13を備える。
エンジン13は、スロットル弁14を通じて吸気マニホールド15から供給される空気とインジェクタ16から噴射される燃料との混合気を燃焼室17内で燃焼させ、その燃焼時の爆発力によりピストン18を往復運動させる。ピストン18の往復運動は、クランクシャフト19により回転運動に変換されて出力される。燃焼により生じた燃焼ガスは、排気マニホールド20を経由して大気中に放出される。
すなわち本実施形態のエンジン13は、所謂「ポート噴射エンジン」であるが、燃料を燃焼室17に直接噴射する所謂「直噴エンジン」としてもよい。
燃焼室17の入口であるシリンダヘッド21の吸気ポートには、吸気弁22が設けられる。また、燃焼室17の出口であるシリンダヘッド21の排気ポートには、排気弁23が設けられる。吸気弁22および排気弁23は、バルブ駆動機構24により開閉駆動される。なお、吸気弁22および排気弁23の少なくとも一方のバルブ駆動機構24にバルブタイミングを調整する可変バルブ機構を設けてもよい。
燃焼室17の混合気への点火は、点火装置30により行われる。具体的には、点火装置30により点火プラグ7の電極間での放電による火花を発生させ、発生した火花により燃焼室17の混合気に点火される。
点火プラグ7は、エンジン13の燃焼室17で所定のギャップを隔てて対向する一対の電極(図2参照)を有する。点火プラグ7の電極間に放電電圧V2rが印加されると、電極間のギャップに放電が発生する。放電電圧V2rとは、電極間の絶縁を破壊し、放電が発生しうる程度の高電圧をいう。
[点火装置の構成]
点火装置30は、点火回路ユニット31、「通常放電制御部」および「再放電制御部」としての電子制御ユニット(以下、「ECU」という。)32、および、点火コイル40を備える。点火回路ユニット31および点火コイル40の詳細については、図2に基づいて後述する。
ECU32は、CPU、ROM、RAMおよび入出力ポート等からなるマイクロコンピュータにより構成され、クランク角センサ35、カム角センサ36、水温センサ37、スロットル開度センサ38、および、吸気圧センサ39等の各種センサからの信号が入力される。ECU32は、これらの各種センサからの検出信号に基づき、スロットル弁14、インジェクタ16、および、点火回路ユニット31等を制御することで、エンジン13の運転状態を制御する。
図2に示すように、点火コイル40は、一次コイル41、二次コイル42、および、整流素子43を有し、公知の昇圧トランスを構成している。
一次コイル41は、一端が直流電源としてのバッテリ6の正極に接続され、他端が点火スイッチ45を経由して接地される。以下、一次コイル41のバッテリ6と反対側を「接地側」或いは「低電圧側」という。
二次コイル42は、一次コイル41と磁気的に結合されており、一端が点火プラグ7の一対の電極を経由して接地され、他端が整流素子43および二次電流検出抵抗47を経由して接地される。
以下、一次コイル41に流れる電流を一次電流I1といい、二次コイル42に流れる電流を二次電流I2とする。また、図2中に矢印で示すように、一次電流I1は、一次コイル41から点火スイッチ45に向かう方向の電流を正とし、二次電流I2は、二次コイル42から点火プラグ7に向かう方向の電流を正とする。また、一次コイル41の点火スイッチ45側の電圧を一次電圧V1といい、二次コイル42の点火プラグ7側の電圧を二次電圧V2という。
整流素子43は、ダイオードで構成され、二次電流I2を整流する。
点火コイル40は、一次コイル41を流れる電流の変化に応じた電磁誘導の相互誘導作用により二次コイル42に高電圧を発生させ、この高電圧を点火プラグ7に印加する。本実施形態では、1つの点火プラグ7に対し、1つの点火コイル40が設けられる。
点火回路ユニット31は、イグナイタ部44、二次電流検出抵抗47、エネルギ投入部50、二次電流検出回路61、および、失火判定部62を有する。
イグナイタ部44は、点火スイッチ45、および、整流素子46を有する。
点火スイッチ45は、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)で構成され、コレクタが一次コイル41の接地側に接続され、エミッタが接地され、ゲートがECU32に接続される。点火スイッチ45のエミッタは、整流素子46を経由して、コレクタに接続される。
点火スイッチ45は、ゲートに入力される点火信号IGTに応じてオンオフが切り替えられる。詳しくは、点火スイッチ45は、点火信号IGTの立ち上がり時にオンとなり、点火信号IGTの立ち下がり時にオフとなる。一次電流I1は、点火スイッチ45により点火信号IGTに従って導通および遮断が切り替えられる。
エネルギ投入部50は、DCDCコンバータ51、コンデンサ56、放電スイッチ57、放電用ドライバ回路58、および、整流素子59を有する。
DCDCコンバータ51は、エネルギ蓄積コイル52、充電スイッチ53、充電用ドライバ回路54、および、整流素子55から構成され、バッテリ6の電圧を昇圧してコンデンサ56に供給する。
エネルギ蓄積コイル52は、一端がバッテリ6に接続され、他端が充電スイッチ53を経由して接地される。
充電スイッチ53は、例えばMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)で構成されており、ドレインがエネルギ蓄積コイル52に接続され、ソースが接地され、ゲートが充電用ドライバ回路54に接続される。充電用ドライバ回路54は、充電スイッチ53のオンオフを切り替える充電スイッチ信号SWcを充電スイッチ53のゲートに出力する。
整流素子55は、ダイオードで構成され、コンデンサ56からエネルギ蓄積コイル52および充電スイッチ53側への電流の逆流を防止する。
コンデンサ56は、正極が整流素子55を経由してエネルギ蓄積コイル52と充電スイッチ53との接続点に接続され、負極が接地される。コンデンサ56は、DCDCコンバータ51から供給された電荷を蓄える。
充電スイッチ53のオンオフは、後述するエネルギ投入期間信号IGWがオフとなっている間に行われる。充電スイッチ53がオンしたとき、エネルギ蓄積コイル52に誘起電流が流れ、電気エネルギが蓄積される。また、充電スイッチ53がオフしたとき、エネルギ蓄積コイル52に蓄積された電気エネルギがバッテリ6の直流電圧に重畳してコンデンサ56側に放出される。これにより、コンデンサ56の電圧は比較的高い電圧(例えば、100[V]から数百[V])に昇圧され充電される。
放電スイッチ57は、例えばMOSFETで構成され、ドレインがコンデンサ56の正極側に接続され、ソースが一次コイル41と点火スイッチ45との間に接続され、ゲートが放電用ドライバ回路58に接続される。放電スイッチ57がオンされると、エネルギ投入部50から点火コイル40にエネルギが投入され、放電スイッチ57がオフされると、エネルギ投入部50から点火コイル40にエネルギが投入されない。
放電用ドライバ回路58は、放電スイッチ57のオンオフを切り替える放電スイッチ信号SWdを放電スイッチ57のゲートに出力する。
整流素子59は、ダイオードで構成され、点火コイル40からコンデンサ56への電流の逆流を防止している。
なお、図2では1気筒に対応する構成を記載しているが、実際には放電スイッチ57より下流側の構成は気筒数分が並列して設けられ、放電スイッチ57の下流側に気筒毎に設けられる気筒分配スイッチのオンオフに応じ、コンデンサ56に蓄えられたエネルギが各経路に分配される。
二次電流検出回路61は、二次電流検出抵抗47の両端電圧に基づき、二次電流I2を検出する。二次電流検出回路61は、電流フィードバック回路として機能し、二次電流I2が下限値I2_Lと上限値I2_Uとの間となるようなフィードバック信号Sfbを放電用ドライバ回路58に出力する。二次電流検出回路61は、例えば所謂ヒステリシスコンパレータを用い、二次電流I2の絶対値が下限値I2_Lになると放電スイッチ57をオンし、上限値I2_Uになると放電スイッチ57をオフする信号をフィードバック信号Sfbとして出力するように構成することで、比較的簡単なアナログ回路にて構成可能である。
また、二次電流検出回路61は、検出された二次電流I2に係る二次電流情報を失火判定部62に出力する。
失火判定部62は、二次電流検出回路61から出力された二次電流情報に基づき、燃焼室17にて正常に着火したか否かの判定を行う。燃焼室17にて正常に着火していていないと判定された場合、すなわち失火判定された場合、失火判定部62は、失火した旨の情報をECU32にダイアグ報知する。失火判定の詳細については後述する。
ECU32は、クランク角センサ35等の各種センサから取得したエンジン13の運転情報に基づき、点火信号IGT、および、エネルギ投入期間信号IGWを生成し、点火回路ユニット31に出力する。
点火信号IGTは、点火スイッチ45のゲート、および、充電用ドライバ回路54に入力される。点火スイッチ45は、点火信号IGTがハイレベルである期間、オンとなる。充電用ドライバ回路54は、点火信号IGTが入力されている期間、充電スイッチ53のゲートに対し、充電スイッチ53をオンオフ制御する充電スイッチ信号SWcを繰り返し出力する。
エネルギ投入期間信号IGWは、充電用ドライバ回路54、および、放電用ドライバ回路58に入力される。放電用ドライバ回路58は、例えばAND回路および増幅回路により構成され、エネルギ投入期間信号IGWおよび二次電流検出回路61から出力されるフィードバック信号Sfbがハイレベルである期間、放電スイッチ57をオンする放電スイッチ信号SWdを、放電スイッチ57のゲートに対して出力する。本実施形態では、エネルギ投入期間信号IGWがハイレベルである期間が、「エネルギ投入期間」に対応する。
[点火装置の作動]
点火装置30の作動について図3のタイムチャートを参照して説明する。図3のタイムチャートは、共通時間軸を横軸とし、縦軸に上から順に、点火信号IGT、エネルギ投入期間信号IGW、コンデンサ電圧Vdc、一次電流I1、二次電流I2、投入エネルギE、充電スイッチ信号SWc、放電スイッチ信号SWdを示している。
ここで、コンデンサ電圧Vdcは、コンデンサ56の電圧を意味する。また、投入エネルギEは、コンデンサ56から放出され、一次コイル41の接地側端子から点火コイル40に供給されるエネルギを意味し、1回のエネルギ投入期間におけるエネルギ供給開始からの積算値を示す。なお、エネルギ投入期間におけるエネルギ供給開始タイミングは、最初の放電スイッチ信号SWdが立ち上がる時間t3である。
一次電流I1および二次電流I2は、図2の矢印方向の電流を正の値とし、矢印と反対方向の電流を負の値とする。以下の説明において、負の電流の大小に言及する場合、電流の絶対値を基準として大小を表す。すなわち、負の電流については、電流値がゼロから離れ絶対値が大きくなるほど「電流が増加する(または上昇する)」といい、ゼロに近づき絶対値が小さくなるほど「電流が減少する(または低下する)」という。電圧についても同様とする。
図3中の時間t1にて点火信号IGTがハイレベル(図3中では「H」で示す。)になると、点火スイッチ45がオンされ、一次電流I1が一次コイル41に通電され、時間の経過に伴って一次電流I1が増加する。これにより、点火信号IGTがハイレベルである時間t1から時間t2の間に、一次コイル41には電磁エネルギが蓄積される。
このとき、エネルギ投入期間信号IGWはローレベル(図3中では「L」で示す。)であり、放電スイッチ57はオフされている。
また、点火信号IGTがハイレベルである期間、矩形波パルス状の充電スイッチ信号SWcが充電スイッチ53のゲートに入力される。すると、充電スイッチ53のオン後のオフ期間に、コンデンサ電圧Vdcがステップ状に上昇し、コンデンサ56が充電される。なお、コンデンサ56の充電は、点火信号IGTの発信に同期して開始する必要は必ずしもなく、エネルギ投入期間信号IGWが立ち上がる前に十分な電気エネルギが蓄積されていればよい。また、コンデンサ電圧Vdc(すなわちコンデンサ56のエネルギ蓄積量)は、充電スイッチ信号SWcのオンデューティ比およびオンオフ回数により制御可能である。ここで、オンデューティ比とは、点火周期におけるオン時間の比率とする。
時間t2において、点火信号IGTがローレベルとなり、点火スイッチ45がオフされると、一次コイル41に通電されていた一次電流I1が急激に遮断され、一次電流I1により形成されていた磁界が消失する。すると、一次コイル41に形成されていた磁界を打ち消すように、二次コイル42に磁界が誘導され、二次コイル42に大きな二次電圧V2が生じる。二次電圧V2が放電電圧V2rに達すると、点火プラグ7の電極間に火花放電が生じ、二次コイル42に二次電流I2(放電電流)が流れる。これにより、燃焼室17の混合気に点火される。
時間t2において、火花放電を発生させた後にエネルギ投入を行わない場合、二次電流I2は、破線で示すように、時間経過とともにゼロに近づき、放電を維持できない程度まで減衰すると放電が終了する。本実施形態では、一次電流I1の遮断により生じるエネルギにより点火する方式を「通常点火」という。通常点火では、火花放電を発生させた後にエネルギ投入を行わない。
一方、時間t2後のタイミングである時間t3において、エネルギ投入期間信号IGWがハイレベルになると、放電スイッチ信号SWdがハイレベルとなる。また、二次電流検出回路61から出力されるフィードバック信号Sfbがハイレベルとなると、放電スイッチ57がオンされる。充電スイッチ53がオフの状態にて放電スイッチ57がオンされると、コンデンサ56に蓄えられていたエネルギが放出され、一次コイル41の接地側に投入される。これにより、一次コイル41には、投入エネルギEに起因する一次電流I1が通電される。投入エネルギEにより一次コイル41の接地側から一次電流I1が通電されると、通常点火により通電される二次電流I2に対し、投入エネルギEによる一次電流I1の通電に伴う追加分が同じ極性で重畳される。
時間t3から時間t4までの期間は、フィードバック信号Sfbに応じ、放電スイッチ57のオンオフが繰り返される。本実施形態では、二次電流I2が減少して下限値I2_Lとなったときに放電スイッチ57をオンしてエネルギ投入部50から一次コイル41の接地側にエネルギを投入することで二次電流I2を増加させる。また、二次電流I2が増加して上限値I2_Uとなったとき、放電スイッチ57をオフする。なお、点火コイル40へのエネルギ投入により、コンデンサ電圧Vdcは低下するが、二次電流I2が上限値I2_Uに到達するまでは、放電スイッチ57をオンし、エネルギ投入を継続する。
下限値I2_Lおよび上限値I2_Uは、点火状態を良好に維持可能な程度の値に設定される。また、下限値I2_Lと上限値I2_Uとの間隔は、二次電流検出回路61の回路定数に応じたヒステリシスとなる。
これにより、二次電流I2には、放電スイッチ57がオンされる毎に、投入エネルギEによる一次電流I1の通電に伴う追加分が重畳される。すなわち、放電スイッチ信号SWdがオンになる毎にコンデンサ56の蓄積エネルギにより一次電流I1が順次追加され、これに対応して二次電流I2が順次追加される。これにより、エネルギ投入期間において、二次電流I2は、下限値I2_Lと上限値I2_Uとで規定される所定範囲内となるように制御される。ここで、エネルギ投入部50から供給される投入エネルギEによる一次電流I1についても、「直流電源から供給される一次電流」の概念に含まれるものとする。
時間t4において、エネルギ投入期間信号IGWがローレベルになると、放電スイッチ信号SWdがオフ信号となり、放電スイッチ57のオンオフ作動が停止し、一次電流I1および二次電流I2がゼロとなる。
本実施形態では、点火スイッチ45のオフによる放電後、一次コイル41の接地側(すなわち低電圧側)から点火コイル40にエネルギを投入することにより、一次コイル41のバッテリ6側または二次コイル42の点火プラグ7と反対側から点火コイル40にエネルギを投入する場合と比較し、最低限のエネルギを効率よく投入し、点火可能な状態を持続させることができる。
以下、一次コイル41の接地側からエネルギの投入を行う点火方式を「エネルギ投入点火」という。
ここで、本実施形態による失火判定について、図4〜図6に基づいて説明する。図4は、共通の横軸をクランク角度とし、縦軸に上から順に、点火信号IGT、一次電圧V1、一次電流I1、二次電圧V2、および、二次電流I2を示している。また、図5は、横軸をクランク角度とし、縦軸を筒内圧としている。また、図6は再放電時の二次電圧V2(図4中に2点鎖線で囲む領域)を拡大した図である。図4〜図6においては、燃焼室17にて正常に着火した場合を実線、失火した場合を破線にて示す。後述の図8についても同様である。
なお、一次電圧V1は、点火スイッチ45のオン時やエネルギ投入期間等を除く定常状態において、バッテリ6の電圧であるバッテリ電圧Vbと等しい。また、図4中の一次電圧V1に係る跳ね返り再放電電圧V1a、再放電時の一次側最大出力電圧V1max、および、判定閾値Vthについては、第2実施形態にて説明する。
図4〜図6では、エネルギ投入部50からのエネルギ投入を行わない通常点火時における失火判定について説明する。
図4に示すように、ECU32は、点火信号IGTをハイレベルとすることで、点火スイッチ45をオンにし、通常放電電流Inを通常通電期間Pnに亘って通電する。また、ECU32は、通常点火時期θnにて点火信号IGTをローレベルとすることで、点火スイッチ45をオフし、通常放電電流Inを遮断する。通常放電電流Inが遮断されると、二次コイル42に磁界が誘導され、二次電圧V2が放電電圧V2rに達すると、点火プラグ7の電極間に放電が発生し、二次電流I2が通電される。
点火プラグ7の電極間での放電により、燃焼室17の混合気に点火され、燃焼室17にて正常な燃焼が生じることを「着火」といい、燃焼が生じない、或いは、燃焼が不十分であることを「失火」という。また、着火した場合、燃焼室17は、燃焼イオンが多量に存在する。一方、失火した場合、燃焼室17には、燃焼イオンが存在しない、或いは、少量しか存在しない。換言すると、失火した場合、燃焼室17には燃焼イオンが不足している、とも言える。
ところで、点火プラグ7の電極間に燃焼イオンが存在する場合、燃焼イオンが存在しない場合と比較して低電圧にて放電を発生させることができる。
そこで本実施形態では、ECU32は、通常点火時期θnよりも後のタイミングにおいて、点火信号IGTをハイレベルとし、点火スイッチ45を再度オンにして、一次コイル41に再放電電流Iaを通電する。また、ECU32は、再点火時期θaにて点火信号IGTをローレベルとすることで、点火スイッチ45をオフにし、再放電電流Iaを遮断する。本実施形態では、通常点火時期θnよりも後のタイミングにて点火スイッチ45をオフにするタイミングを「再点火時期θa」と定義する。再放電電流Iaが通電される期間である再放電通電期間Paは、通常放電電流Inが通電される期間である通常通電期間Pnより短い。そのため、再点火時期θaにおける再放電電流Iaは、通常点火時期θnにおける通常放電電流Inより小さい。
再放電電流Iaが遮断されると、二次コイル42に磁界が誘導され、二次電圧V2が高まる。ここで、通常点火時期θnにおける通常放電電流Inの遮断による放電にて着火していた場合、点火プラグ7の電極間に燃焼イオンが存在するため、放電電圧V2rより小さい着火時再放電可能電圧V2aにて放電が発生し、二次電流I2が通電される。一方、通常点火時期θnにおける通常放電電流Inの遮断などによる放電にて失火していた場合、点火プラグ7の電極間に燃焼イオンが不足しているので、着火時再放電可能電圧V2aでは放電が発生せず、二次電流I2は通電されない。
失火判定部62は、再点火時期θa後の二次電流情報に基づき、二次電流I2が判定閾値Ith以上であれば正常に着火したと判定し、二次電流I2が判定閾値Ith未満であれば失火したと判定する。なお、失火時には再点火時期θaの後に二次電流I2が通電されない、すなわち失火時の二次電流I2は略ゼロであるので、再点火時期θaの後に、例えば数mA程度の微少電流が検出されれば、正常に着火したと判定することができる。
また、図5に実線で示すように、筒内圧は、正常に燃焼が生じると、燃焼により高まり、その後低下する。一方、図5に破線で示すように、失火すると、筒内圧は、上死点をピークとして、ピストン18の駆動に伴って低下する。ここで、失火時の筒内圧を失火時筒内圧Pamとする。
再点火時期θa後の二次電圧V2について、図6に基づいて説明する。
図6に示すように、着火時において、点火プラグ7の電極間に燃焼イオンが存在するので、着火時再放電可能電圧V2aにて放電が発生し、二次電圧V2が放電維持電圧V2kまで急激に低下する。
また、失火時の再放電に要求される二次電圧V2を失火時再放電可能電圧V2rmとする。失火時再放電可能電圧V2rmは、失火時筒内圧Pam(図5参照)に比例する。再放電時の最大出力電圧V2maxが失火時再放電可能電圧V2rmより小さい場合、失火時において、点火プラグ7の電極間にて放電が発生せず、図4および図6中に破線で示す如く、再放電通電期間Paに依存する最大出力電圧V2maxを頂点する減衰振動自由波形(オープン波形)となる。
最大出力電圧V2maxは、再放電通電期間Paが長いほど大きくなる。そのため、再放電通電期間Paは、最大出力電圧V2maxが着火時再放電可能電圧V2a以上であって失火時再放電可能電圧V2rm未満となるように設定される。これにより、再放電電流Iaの遮断により着火時には再放電が発生し、失火時には再放電が発生せず、適切に失火判定を行うことができる。
再点火時期θaは、着火時において確実に燃焼期間にあたり、かつ、再放電時における最大出力電圧V2maxが失火時再放電可能電圧V2rmより小さくなる(すなわちV2max<V2rmとなる)タイミングに設定される。再点火時期θaは、エンジン13に応じた適合等により設定される。
例えば、再点火時期θaは、着火時の筒内圧が最大となるタイミングより後の所定のタイミングに設定される。これにより、着火時には確実に燃焼イオンが存在するタイミングにて失火判定を行うことができる。なお、再放電時における最大出力電圧V2maxが失火時再放電可能電圧V2rmより小さいという条件を満たすべく、再点火時期θaを、着火時の筒内圧が最大となるタイミングより前としてもよい。
再放電通電期間Pa、および、再点火時期θaを適切に設定することで、正常に着火したか否かを適切に判定することができる。
以上詳述したように、本実施形態の点火装置30は、点火コイル40と、イグナイタ部44と、ECU32と、失火判定部62と、を備える。
点火コイル40は、一次コイル41、および、二次コイル42を有する。一次コイル41は、バッテリ6から供給される一次電流I1が流れる。二次コイル42は、内燃機関の燃焼室17において混合気に点火する点火プラグ7の電極に接続され、一次電流I1の通電および遮断によって発生する二次電圧が印加され二次電流I2が流れる。
イグナイタ部44は、点火スイッチ45を有する。点火スイッチ45は、一次コイル41のバッテリ6と反対側である接地側に接続され、一次電流I1の通電および遮断を切り替える。
ECU32は、通常放電電流Inの通電および遮断を制御する。通常放電電流Inは、通常通電期間Pnに亘って通電され、通常点火時期θnに遮断される一次電流I1である。また、通常放電電流Inは、混合気に点火し着火させるための一次電流I1である。
ECU32は、再放電電流Iaの通電および遮断を制御する。再放電電流Iaは、通常点火時期θnよりも後の再放電通電期間Paに亘って通電され、再点火時期θaに遮断される一次電流I1である。また、再放電電流Iaは、通常放電電流Inよりも少ない一次電流I1である。
通常放電電流Inの遮断により点火プラグ7に放電が発生し、燃焼室17の混合気に正常に着火し燃焼が生じると、燃焼室17には燃焼イオンが発生する。燃焼室17に燃焼イオンが十分に存在する状態において、再放電電流Iaの通電および遮断により生じる二次電圧V2が通常点火時における放電電圧V2rより低い着火時再放電可能電圧V2aに達すると、点火プラグ7にて放電が発生する。一方、通常点火時の燃焼室17における燃焼が不十分であると、燃焼室17に燃焼イオンが存在しない、或いは、少ない。燃焼室17の燃焼イオンが不足した状態において、再放電電流Iaの通電および遮断により生じる二次電圧V2発生しても、失火時再放電可能電圧V2rmが着火時再放電可能電圧V2aと比較して相対的に高いため、点火プラグ7にて放電が生じない。
そこで本実施形態では、失火判定部62は、再点火時期θaよりも後の二次電流I2に係る二次電流情報に基づき、再放電の有無で正常に着火したか否かを判定する。具体的には、再点火時期θaよりも後の二次電流I2が判定閾値Ith以上である場合、燃焼室17にて燃焼が生じたと判定し、判定閾値Ith未満である場合、失火したと判定する。これにより、正常に着火したか否かを適切に判定することができる。
本実施形態における失火判定では、燃焼イオンを検出するためのイオン検出電圧の二次側からの印加を行わないため、従来の燃焼イオン検出回路により燃焼イオンを検出する場合と比較し、正規点火時のエネルギロスを低減することができる。また、点火ノイズの影響を考慮することなく、比較的高い自由度で高精度に失火判定を行うことができる。また、例えば二次電流I2に基づくフィードバック制御を行っている場合、新たな構成を別途追加することなく、或いは、最小限の構成を追加することで、失火判定を行うことができる。
再放電電流Iaが通電される期間である再放電通電期間Paは、通常通電期間Pnより短い。これにより、着火時再放電可能電圧V2aが放電電圧V2rより小さくなるので、失火しているにも関わらず再放電電流Iaにより放電が生じてしまうことによる誤検出を回避することができる。
ECU32は、点火スイッチ45のオンオフを制御することで、再放電電流Iaの通電および遮断を制御する。これにより、例えばエネルギ投入部50を備えない点火装置においても、失火判定を行うことができる。
また、点火装置30は、エネルギ投入部50をさらに備える。エネルギ投入部50は、点火スイッチ45により通常放電電流Inを遮断し当該遮断による電圧で点火プラグ7にて放電が発生した後のエネルギ投入期間において、エネルギを投入する。詳細には、エネルギ投入部50は、エネルギ投入期間において、点火状態を継続可能なエネルギを同じ放電電流の極性のままで投入する。これにより、失火を抑制することができる。
エネルギ投入部50は、一次コイル41の接地側から点火コイル40にエネルギを投入する。これにより、一次コイル41のバッテリ6側または二次コイル42の点火プラグ7と反対側からエネルギを投入する場合と比較し、最低限のエネルギを効率よく投入することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による点火装置を図7に示す。
本実施形態の点火装置130は、一次電圧検出部48を備える。一次電圧検出部48は、分圧抵抗である抵抗481、482により構成される。抵抗481、482の抵抗値は、分圧された一次電圧V1である一次電圧情報を失火判定部63にて取得可能なように適宜設定される。
失火判定部63は、一次電圧検出部48から取得される一次電圧情報に基づき、燃焼室17にて正常に着火したか否かの判定を行う。燃焼室17にて正常に着火していないと判定された場合、すなわち失火判定された場合、失火した旨の情報をECU32にダイアグ報知する。
ここで、本実施形態による失火判定について説明する。本実施形態では、二次電流I2に替えて、一次電圧V1にて失火判定する点を除き、再通電方法等は上記実施形態と同様である。
一次電圧V1は、二次電圧V2の跳ね返りにより、図4に示すように推移する。すなわち、実線で示すように、再点火時期θaにて一次電流I1の遮断により上昇する。また、着火時において、点火プラグ7の電極間に燃焼イオンが存在し、再放電が発生すると、一次電圧V1は跳ね返り再放電電圧V1aをピークに急激に低下し、一次側放電維持電圧V1kとなる。
一方、破線で示すように、失火時において、点火プラグ7の電極間の燃焼イオンが不足していると、再放電が発生しないので、一次電圧V1は、一次側最大出力電圧V1maxを頂点とするオープン波形となる。
そこで本実施形態では、失火判定部63は、再点火時期θa後であって、着火時に放電が生じるタイミングよりも後の一次電圧情報に基づき、燃焼室17にて燃焼が生じたか否かを判定する。具体的には、一次電圧V1が判定閾値Vth以下であれば正常に着火したと判定し、一次電圧V1が判定閾値Vthより大きければ失火したと判定する。判定閾値Vthは、一次側放電維持電圧V1kより大きく、再放電時の一次側最大出力電圧V1maxより小さい値に設定される。
本実施形態では、点火装置130の失火判定部63は、再点火時期θaよりも後の一次コイル41に印加される電圧である一次電圧V1に係る一次電圧情報に基づき、正常に着火したか否かを判定する。具体的には、再点火時期θaよりも後の一次電圧V1が判定閾値Vth以下である場合、正常に着火したと判定し、判定閾値Vthより大きい場合、失火したと判定する。
このように構成しても上記実施形態と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図8に示す。
上記実施形態では、点火スイッチ45をオンおよびオフすることにより、再放電電流Iaの通電および遮断を行う。本実施形態では、点火スイッチ45に替えて、放電スイッチ57をオンすることにより再放電電流Iaの通電を行う。なお、回路構成は、第1実施形態と同様とする。
ここで、点火方式をエネルギ投入点火とした場合の失火判定について、図8に基づいて説明する。
図8に示すように、エネルギ投入点火では、通常点火時と同様、ECU32は、点火信号IGTをローレベルとすることで、通常点火時期θnにて点火スイッチ45をオフして通常放電電流Inを遮断する。通常放電電流Inが遮断されると、二次電圧V2が上昇し、放電電圧V2rに達すると、点火プラグ7の電極間に放電が発生し、二次電流I2が通電される。また、エネルギ投入点火では、ECU32は、点火プラグ7にて放電が発生した後、エネルギ投入期間信号IGWをハイレベルとすることで、放電スイッチ57は、フィードバック信号Sfbに応じてオンオフされる。放電スイッチ57をオンすることにより、一次コイル41の接地側からエネルギが投入される。
また、本実施形態では、ECU32は、再点火時期θaにて、エネルギ投入期間信号IGWをハイレベルとし、放電スイッチ57をオンにする。本実施形態では、エネルギ投入期間後において、放電スイッチ57を最初にオンするタイミングを「再点火時期θa」と定義する。図8では、再点火時期θaにおいて、放電スイッチ57を1回オンオフすることで再放電電流Iaを通電する例を示しているが、エネルギ投入期間におけるフィードバック制御と同様に、エネルギ投入期間信号IGWがハイレベルである期間に、放電スイッチ57のオンオフを繰り返すように構成してもよい。
放電スイッチ57をオンにすると、点火コイル40の接地側からエネルギが投入され、一次電圧V1が正側に、二次電圧V2が負側に増加する。
第1実施形態にて説明したように、着火時において、点火プラグ7の電極間に燃焼イオンが存在する場合、二次電圧V2が着火時再放電可能電圧V2aに達すると放電が発生し、二次電流I2が通電される。
失火判定部62は、再点火時期θaの後の二次電流情報に基づき、二次電流I2が判定閾値Ith以上であれば正常に着火したと判定し、二次電流I2が判定閾値Ith未満であれば失火したと判定する。
なお、第2実施形態と同様の回路構成とし、第2実施形態と同様、一次電圧V1に基づいて失火判定を行ってもよい。
放電スイッチ57のオンによる再放電時において二次コイル42に印加される最大出力電圧V2max_eが失火時再放電可能電圧V2rmより小さい場合、失火時において、点火プラグ7の電極間にて放電が発生しない。
最大出力電圧V2max_eは、コンデンサ電圧Vdc、一次コイル41の巻数N1、および、二次コイル42の巻数N2に基づき、式(1)で表される
V2max_e=Vdc×N2/N1 ・・・(1)
上記実施形態と同様、再点火時期θaは、着火時において確実に燃焼期間にあたり、かつ、最大出力電圧V2max_eが失火時再放電可能電圧V2rmより小さくなるタイミングに設定される。
本実施形態では、再放電電流Iaは、通常点火時期θnよりも後の再点火時期θaに通電開始される一次電流I1である。
また、エネルギ投入部50は、エネルギ投入と停止とを切り替える放電スイッチ57を有する。ECU32は、放電スイッチ57のオンオフを制御することで、再放電電流Iaの通電および遮断を制御する。
コンデンサ電圧Vdcがバッテリ電圧Vbより高い値(例えば60[V]程度)であれば、短時間にて再放電時の最大出力電圧V2max_eを高めることができるので、例えば、再放電通電期間Paを十分に確保できない場合であっても、適切に失火判定を行うことができる。
更には、コンデンサ電圧Vdcは任意の電圧値に精度よく充電することができ、点火スイッチ45にて一次コイル41への通電および遮断を実施して判定する方法よりも、二次電圧V2を精度よく発生させることができるので判定精度を更に高めることができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
(ア)通電制御部
上記実施形態では、再点火時期は、着火時の筒内圧が最大となるタイミングに基づいて設定される。他の実施形態では、例えば、MBT(Minimum Advance for Best Torque)点火となるように通常点火時期が設定されている場合、再点火時期を上死点後の所定のクランク角(例えばATDC5[°CA])としてもよい。また、MBT点火ではなく、例えば触媒暖機等を考慮して通常点火時期が設定されている場合、再点火時期を、通常点火時期から所定のリードタイミング後としてもよい。
また、上記実施形態では、ECUが「通常放電制御部」および「再放電制御部」を構成する。他の実施形態では、通常放電制御部および再放電制御部の少なくとも一方をECUとは別途の回路等により構成してもよい。
(イ)失火判定部
上記実施形態では、失火判定部は、ECUとは別途に設けられる。他の実施形態では、ECUが二次電流情報または一次電圧情報を取得し、ECUにて失火判定を行ってもよい。すなわち、失火判定部をECUにより構成してもよい。
(ウ)エネルギ投入点火
上記実施形態では、エネルギ投入点火は、点火状態を継続可能なエネルギを一次コイルの接地側から投入する。他の実施形態では、エネルギ投入点火は、点火状態を継続可能なエネルギを投入可能であればどのようなものであってもよく、従来の多重放電方式や、例えば特開2012−167665号公報に開示された「DCO方式」としてもよい。例えば、DCO方式を採用する場合、2つの点火コイルのうちの一方を「点火コイル」とみなし、他方を「エネルギ投入部」とみなしてコイル電源を制御して二次電流を制御したり点火継続時間を制御したりすればよい。
また他の実施形態では、エネルギ投入部を省略し、エネルギ投入点火を行わなくてもよい。
(エ)二次電流フィードバック制御
上記実施形態では、二次電流検出抵抗および二次電流検出回路を有し、二次電流に基づくフィードバック制御を行う。他の実施形態では、二次電流に基づくフィードバック制御は必ずしも行わなくてもよい。
また、上記実施形態では、二次電流検出回路がアナログ回路により構成される例を説明した。他の実施形態では、例えば二次電流検出回路からの二次電流情報をECUに出力し、ECUにて二次電流指令値を演算するように構成してもよい。
また、失火判定部が一次電圧情報に基づいて失火判定を行う場合、二次電流検出抵抗および二次電流検出回路を省略してもよい。
(オ)点火回路ユニット
点火回路ユニットは、電子制御ユニットを収容するハウジング内に収容してもよい。また、点火回路ユニットは、点火コイルを収容するハウジング内に収容してもよい。
点火スイッチおよびエネルギ投入部は、別々のハウジング内に収容してもよい。例えば、点火コイルを収容するハウジング内に点火スイッチが収容され、電子制御ユニットを収容するハウジング内にエネルギ投入部が収容されてもよい。
(カ)点火スイッチ、充電スイッチ、放電スイッチ
上記実施形態では、点火スイッチはIGBTにより構成される。他の実施形態では、点火スイッチは、IGBTに限らず、比較的耐圧の高い他のスイッチング素子により構成してもよい。
また、上記実施形態では、充電スイッチおよび放電スイッチは、MOSFETで構成される。他の実施形態では、充電スイッチおよび放電スイッチの少なくとも一方は、MOSFETに限らず、IGBT等の他のスイッチング素子により構成してもよい。
(キ)直流電源
上記実施形態では、直流電源はバッテリにより構成される。他の実施形態では、直流電源は、バッテリに限らず、例えば交流電源をスイッチングレギュレータ等により安定化した直流安定化電源等により構成してもよい。
また、直流電源が、例えばハイブリッド車両や電気自動車の主機バッテリ等、出力電圧が高い場合、DCDCコンバータを省略して出力電圧をそのまま用いたり、或いは、出力電圧を降圧して用いたりしてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
6・・・バッテリ(直流電源)
7・・・点火プラグ
17・・・燃焼室
30、130・・・点火装置
32・・・ECU(通常放電制御部、再放電制御部)
40・・・点火コイル
44・・・イグナイタ部
50・・・エネルギ投入部
62、63・・・失火判定部

Claims (5)

  1. 直流電源(6)から供給される一次電流が流れる一次コイル(41)、および、内燃機関(13)の燃焼室(17)において混合気に点火する点火プラグ(7)の電極に接続され前記一次電流の通電および遮断によって発生する二次電圧が印加され二次電流が流れる二次コイル(42)を有する点火コイル(40)と、
    前記一次コイルの前記直流電源と反対側である接地側に接続され前記一次電流の通電および遮断を切り替える点火スイッチ(45)を有するイグナイタ部(44)と、
    通常通電期間に亘って通電され通常点火時期に遮断される前記一次電流である通常放電電流の通電および遮断を制御する通常放電制御部(32)と、
    前記通常点火時期よりも後の再放電通電期間に亘って通電され再点火時期に遮断される、または、前記再点火時期に通電開始される前記一次電流である再放電電流の通電および遮断を制御する再放電制御部(32)と、
    前記再点火時期よりも後の前記二次電流に係る二次電流情報、または、前記再点火時期よりも後の前記一次コイルに印加される電圧である一次電圧に係る一次電圧情報に基づき、正常に着火したか否かを判定する失火判定部(62、63)と、
    を備え
    前記再放電制御部は、前記点火スイッチのオンオフを制御することで、前記再放電電流の通電および遮断を制御し、
    前記再点火時期は、再放電時における最大出力電圧が失火時再放電可能電圧より小さくなるタイミングであることを特徴とする点火装置(30、130)。
  2. 直流電源(6)から供給される一次電流が流れる一次コイル(41)、および、内燃機関(13)の燃焼室(17)において混合気に点火する点火プラグ(7)の電極に接続され前記一次電流の通電および遮断によって発生する二次電圧が印加され二次電流が流れる二次コイル(42)を有する点火コイル(40)と、
    前記一次コイルの前記直流電源と反対側である接地側に接続され前記一次電流の通電および遮断を切り替える点火スイッチ(45)を有するイグナイタ部(44)と、
    通常通電期間に亘って通電され通常点火時期に遮断される前記一次電流である通常放電電流の通電および遮断を制御する通常放電制御部(32)と、
    前記通常点火時期よりも後の再放電通電期間に亘って通電され再点火時期に遮断される、または、前記再点火時期に通電開始される前記一次電流である再放電電流の通電および遮断を制御する再放電制御部(32)と、
    前記再点火時期よりも後の前記二次電流に係る二次電流情報、または、前記再点火時期よりも後の前記一次コイルに印加される電圧である一次電圧に係る一次電圧情報に基づき、正常に着火したか否かを判定する失火判定部(62、63)と、
    前記点火スイッチにより前記通常放電電流を遮断し当該遮断による電圧で前記点火プラグにて放電が発生した後において、エネルギを投入するエネルギ投入部(50)と、
    を備え
    前記再点火時期は、再放電時における最大出力電圧が失火時再放電可能電圧より小さくなるタイミングであることを特徴とする点火装置(30、130)。
  3. 前記エネルギ投入部は、前記一次コイルの接地側から前記点火コイルにエネルギを投入することを特徴とする請求項に記載の点火装置。
  4. 前記エネルギ投入部は、エネルギ投入と停止とを切り替える放電スイッチ(57)を有し、
    前記再放電制御部は、前記放電スイッチのオンオフを制御することで、前記再放電電流の通電および遮断を制御することを特徴とする請求項またはに記載の点火装置。
  5. 前記再放電通電期間は、前記通常通電期間より短いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の点火装置。
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