JP4020072B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の制御装置に係り、詳しくは内燃機関の冷間時において触媒コンバータの早期活性化を実現するための内燃機関の制御装置に関するものである。
近年では、排ガス規制の強化に伴い、内燃機関の排気管に設けられる触媒コンバータを常に適正な活性状態に維持することが要求される。例えば機関の低温始動時において触媒コンバータが冷間状態から暖機される場合にも、その暖機時間を短縮し、いち早く触媒コンバータを活性化させることが要望される。
従来公報として、内燃機関の排気弁の開時期を早め、それによりエネルギ量の大きな排ガスを排気管に供給して排ガス温度を上昇させるようにしている(特許文献1)。また、内燃機関の冷間時において排気弁のバルブタイミングを進ませ、燃焼ガスの膨張比を小さくして排ガス温度を上昇させるようにしている(特許文献2)。
特開昭61−232317号公報 特開昭61−190118号公報
ところが、上記公報の従来技術では何れも、気筒内での燃焼ガスの熱エネルギだけで排ガスを高温化する試みであって、本発明者が確認した結果によれば、その温度上昇効果は触媒コンバータの早期活性化の要望に応えられるものではなかった。因みに、触媒コンバータの早期活性化を図るべく、容量が比較的小さなスタートキャタリストたるものも実用化されているが、こうした早期活性タイプの触媒においてもより一層早い活性化が望まれている。
本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、内燃機関の冷間時において触媒コンバータを早期に活性化させることができる内燃機関の制御装置を提供することである。
請求項1に記載の発明では、内燃機関の冷間時に筒内における混合気の燃焼速度を制御し、排気弁の開弁時における排ガス温度を所望の温度とする(排ガス調整手段)。また、該燃焼速度の制御に際し、トルク変動を抑制する(トルク変動抑制手段)。要するに、筒内温度は混合気の燃焼に伴い一旦上昇し、その後下降に転じるが、上記の如く燃焼速度を制御すれば、排気弁を介して排出される時の排ガス温度の調整が可能となる。すなわち、筒内温度のピークを遅らせ、そのピーク付近のタイミングで排気弁が開弁するようにすれば、高温の排ガスが排気管に排出されるようになる。またこのとき、排気管内での「後燃え」が可能な温度よりも排ガス温度が高温となれば、後燃え効果により排ガス温度が更に上昇する。上記の如くガス排出時の昇温効果と排気管内での後燃え効果が共に得られれば、高温の排ガスを確実に触媒コンバータに送り込むことができ、冷間状態にある触媒コンバータの早期活性化が促進される。
また、上記燃焼速度の制御を行う際、本来、筒内でトルク等に変換されるべきエネルギが排気管へ排出されるため、トルク変動が発生しがちになるが、上記の如くトルク変動を抑制することで、トルク変動に起因してドライバビリティが悪化する等の問題が解消される。
また、前記トルク変動抑制手段は、1回の燃焼行程につき複数回、又は複数箇所の点火動作を行わせる。これは、いわゆる多重点火又は多点点火を行わせるものであり、これら各点火により、
1.失火防止、
2.複数の火炎形成によるトルク増加、
3.複数の火炎形成による燃焼速度の適正制御、
などが実現できる。上記理由により燃焼の安定化が図られ、トルク変動の抑制が可能となる。
要するに、筒内温度は混合気の燃焼に伴い一旦上昇し、その後下降に転じるが、上記の如く燃焼速度を制御すれば、排気弁を介して排出される時の排ガス温度の調整が可能となる。すなわち、筒内温度のピークを遅らせ、そのピーク付近のタイミングで排気弁が開弁するようにすれば、高温の排ガスが排気管に排出されるようになる。またこのとき、排気管内での「後燃え」が可能な温度よりも排ガス温度が高温となれば、後燃え効果により排ガス温度が更に上昇する。上記の如くガス排出時の昇温効果と排気管内での後燃え効果が共に得られれば、高温の排ガスを確実に触媒コンバータに送り込むことができ、冷間状態にある触媒コンバータの早期活性化が促進される。
また、多重点火を適正に実施するには、各点火の着火と各火炎の分散とを得ることが必須要件となる。従って、各点火の着火と各火炎の分散が得られるよう、その時々の燃焼条件に合わせて点火間隔又は点火回数を設定するとよい。実際には、機関回転数、機関負荷、空燃比、点火時期、始動後の経過時間、等々の条件により点火間隔又は点火回数を可変に設定し、多重点火の効果を高めることが考えられる。
請求項1に記載の発明では、冷間時の機関運転状態を基に、前記排ガス温調整手段による燃焼速度制御の可否を判定する(実施条件判定手段)。本構成によれば、所定の機関運転状態でのみ、燃焼速度制御の実施が許容されることになり、必要以上に排ガス温度を上昇させ、それが原因で触媒や排気管がダメージを受けるといった不都合が回避できる。
更に、請求項1に記載の発明では、内燃機関の冷間始動に際し、暖機後のアイドル回転数よりも高い所定の始動時回転数で機関回転数を一時的に保持する内燃機関の制御装置において、前記実施条件判定手段は、該機関回転数が始動時回転数に制御されている時に、燃焼速度制御の実施を許可する。
かかる場合、機関回転数を始動時回転数(例えば1200rpm)まで増加させることで、燃焼速度の上昇と点火から排気弁の開弁までの時間短縮とが可能となり、排ガス温度の昇温効果をより一層高めることができる。
請求項に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、内燃機関の始動完了後、所定時間が経過する迄の期間にて前記排ガス温調整手段による燃焼速度制御の実施を許可する。こうして制御実施の期間を限定することで、触媒コンバータの早期暖機が完了した後は、点火遅角や空燃比の弱リーン化等の処理が停止され、通常の制御により燃焼状態の安定化が図られる。
(第1の実施の形態)
以下、この発明を具体化した第1の実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施の形態にかかるエンジン制御装置を示す全体構成図である。図1において、エンジン1は火花点火式の4サイクル多気筒内燃機関からなり、その吸気ポートと排気ポートにはそれぞれ吸気管2と排気管3とが接続されている。吸気管2には、図示しないアクセルペダルに連動するスロットル弁4が設けられると共に、吸入空気の量を検出するためのエアフローメータ5が配設されている。スロットル弁4の開度はスロットルセンサ20により検出され、同センサ20によればスロットル全閉の状態も併せて検出される。
エンジン1の気筒を構成するシリンダ6内には図の上下方向に往復動するピストン7が配設され、同ピストン7はコンロッド8を介して図示しないクランク軸に連結されている。ピストン7の上方にはシリンダ6及びシリンダヘッド9にて区画された燃焼室10が形成され、燃焼室10は吸気弁11及び排気弁12を介して前記吸気管2及び排気管3に連通している。シリンダ6(ウォータジャケット)には、エンジン冷却水の温度を検出するための水温センサ17が配設されている。
排気管3には2つの触媒コンバータ13,14が配設されており、これら触媒コンバータ13,14は、排ガス中のHC,CO,NOxといった三成分を浄化するための三元触媒からなる。上流側の触媒コンバータ13は、下流側の触媒コンバータ14に比べてその容量が小さく、エンジン始動直後の暖機が比較的早い、いわゆるスタートキャタリストとしての役割を持つ。なお、上流側の触媒コンバータ13は、エンジン排気ポート端面から約300mm程度の位置に設けられる。
触媒コンバータ14の上流側には、限界電流式空燃比センサからなるA/Fセンサ15が設けられ、同A/Fセンサ15は排ガス中の酸素濃度(或いは、未燃ガス中の一酸化炭素の濃度)に比例して広域で且つリニアな空燃比信号を出力する。また、同触媒コンバータ14の下流側には、理論空燃比(ストイキ)を境にしてリッチ側とリーン側とで異なる電圧信号を出力するO2センサ16が設けられている。
電磁駆動式のインジェクタ18には図示しない燃料供給系から高圧燃料が供給され、インジェクタ18は通電に伴いエンジン吸気ポートに燃料を噴射供給する。本実施の形態では、吸気マニホールドの各分岐管毎に1つずつインジェクタ18を有するマルチポイントインジェクション(MPI)システムが構成されている。シリンダヘッド9に配設された点火プラグ19は、図示しないイグナイタから供給される点火用高電圧により発火する。
この場合、吸気管上流から供給される新気とインジェクタ18による噴射燃料とがエンジン吸気ポートにて混合され、その混合気が吸気弁11の開弁動作に伴い燃焼室10内に流入する。燃焼室10内に流入した燃料は、点火プラグ19による点火火花にて着火され、燃焼に供される。
吸気弁11を所定のタイミングで開閉させるための吸気側カム軸21と、排気弁12を所定のタイミングで開閉させるための排気側カム軸22とは、図示しないタイミングベルト等を介してクランク軸に駆動連結される。吸気側カム軸21には油圧駆動式の吸気側VVT機構23が設けられ、排気側カム軸22には同じく油圧駆動式の排気側VVT機構24が設けられている。
吸気側及び排気側VVT機構23,24はそれぞれ、吸気側及び排気側カム軸21,22とクランク軸との間の相対的な回転位相を調整するための位相調整式可変バルブタイミング機構として設けられ、その動作は図示しないソレノイドバルブによる油圧制御に従い調整される。すなわち、吸気側及び排気側VVT機構23,24の制御量に応じて、吸気側及び排気側カム軸21,22がクランク軸に対して遅角側或いは進角側に回動し、その動作に合わせて吸気及び排気弁11,12の開閉時期が遅角側或いは進角側に移行する。
吸気側カム軸21には、同カム軸21の回転位置を検出するための吸気側カム位置センサ25が設けられ、排気側カム軸22には、同カム軸22の回転位置を検出するための排気側カム位置センサ26が設けられている。
電子制御装置(ECU)30は、CPU31、ROM32、RAM33、バックアップRAM34等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されている。ECU30は、前記したエアフローメータ5、A/Fセンサ15、O2センサ16、水温センサ17、スロットルセンサ20及びカム位置センサ25,26の各々の検出信号を入力し、各検出信号に基づいて吸入空気量Qa、触媒上流側及び下流側の空燃比(A/F)、エンジン水温Tw、スロットル開度、カム位置などのエンジン運転状態を検知する。またその他に、ECU30には、720°CA毎にパルス信号を出力する基準位置センサ27と、より細かなクランク角毎(例えば、30°CA毎)にパルス信号を出力する回転角センサ28とが接続され、ECU30は、これら各センサ27,28からのパルス信号を入力して基準クランク位置(G信号)及びエンジン回転数Neを検知する。
ECU30は、上記の如く検出した各種のエンジン運転状態に基づき、インジェクタ18による燃料噴射の制御や、点火プラグ19による点火時期の制御や、VVT機構23,24による吸排気弁11,12の開閉時期の制御を実施する。但しその詳細については後述する。
次に、上記構成のエンジン制御装置の作用を説明する。本実施の形態では、エンジン1の冷間始動時において触媒コンバータ13,14の早期活性を図るべく、(イ)空燃比を弱リーン値で制御すること、(ロ)点火時期を遅角側に制御すること、(ハ)吸気弁11と排気弁12との開弁オーバーラップ量を増やすこと、(ニ)排気弁12の開弁時期を進角させること、を各々実施する。上記(イ)〜(ニ)は何れも、燃料の一部を未燃燃料として気筒から排出し、その未燃燃料を排気管3内(エンジン排気ポートも含む)にて燃焼させる、いわゆる「後燃え」を行わせるためのものであり、その概要を簡単に説明する。
インジェクタ18による噴射燃料は、点火プラグ19の着火に伴い気筒内で燃焼するが、この際、点火時期を遅角側に制御すること(上記(ロ))により燃焼開始が遅くなる。また、吸気弁11と排気弁12との開弁オーバーラップ量を増やすこと(上記(ハ))により、気筒内での既燃ガスが吸気ポート側に吹き返された後、気筒内に再度流入される、いわゆる内部EGRが盛んに行われ、気筒内での燃料の燃焼速度が比較的緩慢になる。
また、排気弁12の開弁時期を進角させること(上記(ニ))により、燃え残った未燃燃料が排気弁12を介して早期に排出される。すなわち、筒内温度のピーク付近で排ガスを排出することができるようになる。このとき、空燃比が弱リーン値で制御されるため(上記(イ))、排気管3での未燃燃料の「後燃え」に必要な酸素が確保される。こうした各種条件により、未燃燃料が高温の排ガスと共に気筒から排気管3に排出され、排気管3内で燃焼に供される。因みに、気筒内での燃焼後に排気弁12を介して排出される排ガスの温度は、ガソリン燃料が自己着火する「約700℃」以上になることから、未燃燃料(未燃HC)の殆どは「後燃え」にて燃焼される。従って、未燃燃料(未燃HC)のまま、活性以前の触媒コンバータ13,14に給送されるHC量は微量となる。
排気管3内で「後燃え」を行わせることにより、排ガス温度が高温のまま維持される。そして、高温の排ガスを触媒コンバータ13,14に送り込むことで、冷間状態にある触媒コンバータ13,14の早期活性化が促進される。なお、エンジン1の始動安定性を確保するには、上記(イ)〜(ニ)の処理を始動完了後に行うとよい。つまり、クランキング開始後、エンジン回転数が始動完了とみなされる所定の回転数(例えば、700rpm)に達するまでは上記(イ)〜(ニ)の処理を実行せず、始動完了後に当該処理を実行する。
以下には、上記(イ)〜(ニ)の各動作を実現するためにECU30内のCPU31が実行する各種演算処理について、図2〜図4のフローチャートを用いて説明する。
先ずは、上記(イ)について図2のフローチャートを用いて説明する。図2は燃料噴射の制御手順を示し、この処理はCPU31により例えば各気筒の燃料噴射毎(6気筒エンジンの場合、120°CA毎)に起動される。
図2において、CPU31は、先ずステップ110で始動完了後、所定時間(例えば1秒以上)が経過したか否かを判別する。具体的には、エンジン回転数Neが例えば700rpm以上に達し、且つNe≧700rpmの状態で1秒以上経過していればステップ110が肯定判別される。
また、CPU31は、ステップ120でエンジン水温Twが所定温度(本実施の形態では、60℃)未満であるか否かを判別する。これは、触媒暖機の要否を判別するものであって、例えばエンジン1の高温再始動時などにおいてはステップ120が否定判別される。
さらに、CPU31は、ステップ130で触媒暖機を継続するか否かを判別する。具体的には、クランキング開始から20秒が経過したか否か、或いは非アイドル状態になったか否かを判別する。そして、クランキング開始から20秒が経過していれば、或いは非アイドル状態になっていれば、触媒暖機が不要であるとしてステップ130が否定判別される。
上記ステップ110〜130の何れか一つが否定判別される場合、CPU31はステップ140に進み、通常時の燃料噴射制御を実施する。ここで、エンジン1の始動当初には、エンジン水温Twに応じた暖機増量補正など、周知の始動時燃料噴射制御を実施する。また、エンジン1の暖機完了後には、周知の空燃比フィードバック制御を実施する。その概要を簡単に述べると、エンジン運転状態(Ne,Qa)に応じた基本噴射量に対し、A/Fセンサ15による空燃比の検出結果に基づく空燃比補正などを実施する。このとき、例えば現代制御或いはPID制御といった制御アルゴリズムに則って空燃比がフィードバック制御される。
一方、上記ステップ110〜130が全て肯定判別される場合、CPU31はステップ150に進み、弱リーン値(例えば、A/F=16)にて空燃比制御を実施する。この場合、弱リーン空燃比(A/F=16)を目標空燃比として燃料噴射量をオープンループ制御すればよいが、A/Fセンサ15が活性化した後にはフィードバック制御に切り換えてもよい。
次に、上記(ロ)について図3のフローチャートを用いて説明する。図3は点火制御手順を示し、この処理はCPU31により例えば各気筒の燃料噴射毎(6気筒エンジンの場合、120°CA毎)に起動される。
図3において、CPU31は、ステップ210〜230で触媒暖機のための点火時期制御を実施するか否かの条件判別を行う。ステップ210〜230の処理は上記図2のステップ110〜130の処理と同じであるため、ここでは詳細な説明を省略するが、簡単に説明すれば、
・ステップ210では、始動完了後、所定時間(例えば1秒以上)が経過したか否かを判別する。
・ステップ220では、エンジン水温Twが所定温度(本実施の形態では、60℃)未満であるか否かを判別する。
・ステップ230では、触媒暖機を継続するか否かを判別する。
上記ステップ210〜230の何れか一つが否定判別される場合、CPU31はステップ240に進み、通常時の点火時期制御を実施する。ここで、エンジン1の始動当初には、点火時期を例えば圧縮TDC前(BTDC)5°CAに固定する。また、エンジン1の暖機完了後には、エンジン運転状態(Ne,Qa)に応じた基本進角度に対しアイドル安定化補正やノック進角補正などを行い、最適な進角値により点火時期を制御する。
一方、上記ステップ210〜230が全て肯定判別される場合、CPU31はステップ250に進み、点火時期を所定量だけ遅角させる。本実施の形態では、点火時期を圧縮TDC後(ATDC)10°CAとする。
次に、上記(ハ),(ニ)について図4のフローチャートを用いて説明する。図4はVVT制御手順を示し、この処理はCPU31により例えば64ms周期で起動される。
図4において、CPU31は、ステップ310〜330で触媒暖機のためのVVT制御を実施するか否かの条件判別を行う。ステップ310〜330の処理は上記図2のステップ110〜130の処理と同じであるため、ここでは詳細な説明を省略するが、簡単に説明すれば、
・ステップ310では、始動完了後、所定時間(例えば1秒以上)が経過したか否かを判別する。
・ステップ320では、エンジン水温Twが所定温度(本実施の形態では、60℃)未満であるか否かを判別する。
・ステップ330では、触媒暖機を継続するか否かを判別する。
上記ステップ310〜330の何れか一つが否定判別される場合、CPU31はステップ340に進み、通常時のVVT制御を実施する。ここで、エンジン1の始動当初には、吸気弁11及び排気弁12の開閉時期を最遅角位置で制御する。また、エンジン1の暖機完了後には、周知のVVTフィードバック制御を実施する。その概要を簡単に述べると、エンジン運転状態(Ne,Qa)に応じて吸気側バルブタイミングの目標進角量を設定し、その目標進角量とカム位置センサ25による検出結果とが一致するように吸気側VVT機構23の駆動をフィードバック制御する。
一方、上記ステップ310〜330が全て肯定判別される場合、CPU31はステップ350に進み、排気弁12の開閉時期を「15°CA」だけ最遅角位置よりも進角させ且つ、吸気弁11と排気弁12との開弁オーバーラップ量を「30°CA」とする。
バルブタイミング制御時の動作について、図5を用いて説明する。図5において、VVT制御量=0の場合には実線で示されるように、排気弁12は排気BDC前に開弁し、吸気TDC直後に閉弁する。また、吸気弁11は吸気TDC後に開弁し、吸気BDC後に閉弁する。このとき、開弁オーバーラップ量は「0」である。これに対し、上記図4のステップ350の処理によれば、二点鎖線で示されるように、排気弁12の開閉時期が「15°CA」だけ進角側に移行する。また、吸気弁11が進角側に制御されて、吸気弁11と排気弁12との開弁オーバーラップ量が「30°CA」となる。
次に、本実施の形態の効果を確認するために実施した実験の結果について図6〜図8を用いて説明する。なお以下に示すデータは何れも、Ne=1200rpm,Tw=20℃,点火遅角=ATDC10°CAといった同一条件下で得られたデータである。
図6は、吸排気弁の開弁オーバーラップ量と排ガス温度との関係を示す図であり、図7は、開弁オーバーラップ量と排気マニホールドの集合部(排気弁の約900mm下流位置)における排ガス中のHC濃度との関係を示す図である。図6,図7の各図において、実線、点線、二点鎖線で区別したデータはそれぞれ、排気弁12の進角量を、(a)15°CA、(b)0°CA、(c)30°CA、としたものを示す。また、図6において○印でプロットしたデータは排気弁直後の温度データを示し、▲印でプロットしたデータは排気マニホールドの集合部(排気弁の約900mm下流位置)でのデータを示す。
図6から分かるように、排気弁12を15°CA進角させることで(図6(a))、排気弁12の進角量を「0°CA」又は「30°CA」とした場合(図6(b),(c))に比べて排ガス温度が高温で維持される。同じ進角制御であっても30°CA進角時には、15°CA進角時よりも排ガス温度が低くなるが、これは排気弁進角量が大きすぎることで、未燃HCの「後燃え」が却って不効率になるためではないかと考えられる。
また、開弁オーバーラップ量と排ガス温度との関係について考察すると、開弁オーバーラップ量が大きいほど排ガス温度が高温となる。これは、開弁オーバーラップ量を大きくすることで内部EGR量が増え、未燃HCの後燃え量が増えるためであると考えられる。ここで、触媒活性化を実現するには触媒入口(排気弁の約300mm下流位置)での排ガス温度を所定の温度域(600〜700℃程度)で保持すればよいことを考慮すると、開弁オーバーラップ量は「20°CA」程度以上が望ましいと考えられる。
一方、図7から分かるように、排気弁12を15°CA進角させることで(図7(a))、排気弁12の進角量を「0°CA」又は「30°CA」とした場合(図7(b),(c))に比べて排気マニホールドの集合部におけるHC濃度が小さくなる。排気マニホールドの集合部におけるHC濃度が小さいことは、「後燃え」により効率良く排ガス中の未燃HCが燃焼されたことを意味する。また、開弁オーバーラップ量とHC濃度との関係について考察すると、開弁オーバーラップ量が大きいほどHC濃度が大きくなる。ここで、未燃HCの排出を抑制するには、開弁オーバーラップ量を最大で「30°CA」程度とするとよいことが分かる。
図8は、エンジン排気ポート端面からの距離と排ガス温度との関係を示す図である。同図において、実線及び点線はそれぞれ、(a)開弁オーバーラップ量=30°CA,排気弁進角量=15°CA,A/F=16の条件で得られた実験データ(本実施の形態のデータ)を示し、(b)は、開弁オーバーラップ量=0°CA,排気弁進角量=0°CA,A/F=ストイキの条件で得られた実験データを示す。
図8によれば、排気管(排気マニホールド)内のどの位置においても、(a)で示す排ガス温度が(b)で示す排ガス温度よりも高いことが明らかに分かる他、(a)で示す排ガス温度の方が温度低下の勾配が小さいことが分かる。これは、排気管内における「後燃え」が効率良く実施され、それにより、排ガスが高温状態で維持されたまま排気管下流側へ流れるためであると考えられる。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)エンジン1の冷間始動時においてVVT機構23,24を操作し、吸気弁11と排気弁12との開弁オーバーラップ量を所定量(30°CA程度)に制御するようにしたので、排気管3内での「後燃え」が起こり、排ガス温度が高温で維持される。その結果、冷間状態にある触媒コンバータ13,14の早期活性化が促進される。
(2)吸気弁11と排気弁12との開弁オーバーラップ量を「30°CA」としたので、筒内から排出される未燃ガスのHC濃度が高くなり、上述した内部EGRの効果が確実に得られるようになる。この場合、触媒活性化を図るための所望の温度域で排ガス温度が維持され、また後燃えの実施に伴い、未燃のまま大気放出されるHC量が最小限に抑えられる(前記図6,7参照)。
(3)エンジン1の冷間始動時において、開弁オーバーラップ量の制御に加え、点火時期の遅角制御と、弱リーンでの空燃比制御と、排気弁12の進角制御とを実施するようにした。これら各制御を組み合わせて実施することで、「後燃え」による排ガス高温化の効果がより一層確実に実現できる。
(4)排気弁12の開弁時期を「15°CA」進角させるようにしたので、筒内温度のピーク付近で排ガスを排出することが可能となり、「後燃え」が効率良く実施される。
(5)エンジン1の始動完了までの所定期間において、バルブタイミング制御をはじめとするエンジン冷間時の各種制御を禁止するようにした。つまり、クランキング開始後、エンジン回転数が始動完了とみなされる所定の回転数に達するまでは、始動性の安定化を優先して上記各制御を実行せず、始動完了後に当該制御を実行するようにした。これにより、エンジン始動性が損なわれるといった不具合が回避できる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明における第2の実施の形態を説明する。但し、第2の実施の形態の構成において、上述した第1の実施の形態と同等であるものについては図面に同一の記号を付すと共にその説明を簡略化し、以下には第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。
上記第1の実施の形態では、エンジンの冷間始動時において触媒コンバータの早期活性(触媒暖機)を図るべく、主として吸排気弁の開弁オーバーラップ量を増やし、それにより排気管内での「後燃え」を行わせるものであったが、本実施の形態ではこれに代えて、主として点火時期を遅角側に制御して触媒コンバータの早期活性(触媒暖機)を図り、更には1回の燃焼行程につき複数回の点火動作を行わせる、いわゆる多重点火を行うことで点火時期の遅角制御時に発生しがちなトルク変動を抑制するものである。ここで本実施の形態では、排ガス温調整手段及びトルク変動抑制手段をはじめ、その他に記憶手段、補正手段、実施条件判定手段が具体化される。
すなわち、点火時期を遅角側に制御することで筒内での燃焼速度が制御できることに着眼し、この燃焼速度制御により排気弁の開弁時における排ガス温度を所望の温度とする。そして、こうした燃焼速度制御により触媒コンバータの早期活性を図る。
図9は本実施の形態におけるエンジン制御装置の概要を示す構成図である。前記図1との相違点として、図9の構成では、吸気側及び排気側のVVT機構23,24が排除されている。また、スロットル弁4を迂回するようにバイパス通路41が設けられ、そのバイパス通路41にISC弁(アイドル回転数制御弁)42が配設されている。例えばエンジンの冷間始動時には、エンジンの円滑な回転を得るべくISC弁42が所望の開度に制御され、スロットル弁4をバイパスする空気の量が増量されるようになっている。吸気管2には、エアフローメータ5に代えて、吸気管内の圧力(吸気管圧力PM)を検出するための吸気圧センサ43が設けられると共に、吸気の温度(吸気温Ta)を検出するための吸気温センサ44が設けられている。
次に、上記構成のエンジン制御装置の作用を、図10〜13のフローチャートに従い説明する。その概要を先ず説明すれば、点火時期制御では、触媒暖機の実施条件が成立する場合において、点火時期の遅角補正値θREを求め、該θREだけ基本点火時期θBSEを遅角側に制御する。このとき併せて、トルク変動を抑制すべく多重点火を実施する。また、燃料噴射制御では、同じく触媒暖機の実施条件が成立する場合において、空燃比をストイキ又は弱リーンに制御する。触媒暖機の実施条件が成立するか否かは触媒暖機実行フラグXCATを参照して判定されるようになっており、同フラグXCATは図10の処理にて操作される。ここで、XCAT=1は実施条件の成立を表し、XCAT=0は実施条件の不成立を表す。
図10の処理は所定周期(例えば10ms毎)でCPU31により実行され、同処理において、
・ステップ401では、エンジン回転数Neが400〜2000rpmであるか否かを判別する。
・ステップ402では、エンジン水温Twが0〜60℃であるか否かを判別する。
・ステップ403では、車両におけるオートマチックトランスミッションの変速位置がP又はNレンジにあるか(マニュアルトランスミッションの場合はニュートラル位置にあるか)否かを判別する。
・ステップ404では、エンジン1の始動完了後15秒以内であるか否かを判別する。
・ステップ405では、各種フェイルが発生していないか否かを判別する。
そして、上記ステップ401〜405が全てYESであれば、CPU31は触媒暖機の処理実行を許可すべく、ステップ406で触媒暖機実行フラグXCATに「1」をセットする。但し、ステップ401〜405の何れかが一つでもNOであれば、CPU31は触媒暖機の処理実行を禁止すべく、ステップ407で触媒暖機実行フラグXCATを「0」にクリアする。
次に、図11のフローチャートに従い、本実施の形態における点火時期の制御手順を説明する。なお、図11の処理は所定周期(例えば10ms毎)にCPU31により実行される。
図11において、CPU31は、先ずステップ501でエンジン回転数Ne、吸気管圧力PM、エンジン水温Twなどを読み出し、続くステップ502で今現在、エンジン始動が完了しているか否かを判別する。例えばその時のエンジン回転数Neが400rpm以上であれば、始動完了の旨を判定する(ステップ502をYESとする)。
エンジン始動完了前であれば、CPU31はステップ503に進み、予め設定された固定点火時期(例えばBTDC5°CA)を所定のアドレスに格納し、このルーチンを一旦終了する。
また、エンジン始動完了後であれば、CPU31はステップ504に進み、スロットルセンサ20の出力を基に、スロットル全閉か否か、すなわちアイドルか否かを判定する。アイドル時であれば、CPU31はステップ505に進み、その時のエンジン回転数Neに応じて基本点火時期θBSEを算出する。また、非アイドル時であれば、CPU31はステップ506に進み、ROM32に予め記憶されているマップを用い、その時のエンジン回転数Neと吸気管圧力PMとに応じて基本点火時期θBSEを算出する。ステップ505,506では、概ね高回転域ほど進角側に基本点火時期θBSEが設定される。なお、エンジン始動当初には通常、基本点火時期θBSEは例えばBTDC10°CA付近に設定される。
その後、CPU31は、ステップ507で触媒暖機実行フラグXCATが「1」であるか否かを判別する。CPU31は、XCAT=1であれば、後続のステップ508〜510にて触媒暖機に係る点火時期制御を実行し、XCAT=0であれば、そのまま本ルーチンを終了する。
詳細には、CPU31はステップ508で図14に示される特性図を用い、その時々のエンジン水温Twに応じて触媒暖機のための遅角補正値θREを算出する。図14の特性図によれば、エンジン水温Twに応じて0〜20°CAの範囲で遅角補正値θREが設定されるようになっている。より具体的には、Tw=0〜20℃では高Twほど遅角補正値θREが大きくなり、Tw=20〜40℃では遅角補正値θREが一定値となり、Tw=40〜60℃では高Twほど遅角補正値θREが小さくなる。
その後、CPU31は、ステップ509で前記算出した基本点火時期θBSEから遅角補正値θREを減算し(θig=θBSE−θRE)、その値を新たな点火時期として所定のアドレスに格納し、本ルーチンを終了する。
その後、CPU31はステップ510に進み、多重点火での点火間隔と点火回数とを各種パラメータに応じて設定する。図15(a),(b)は、通常時の点火信号IGTと、多重点火の際の点火信号IGTとを比較のために示す信号波形図であり、(a)の場合、1回の燃焼行程につき1個のパルス信号が出力されるのに対し、(b)の場合、1回の燃焼行程につき複数個のパルス信号が出力される。
多重点火では各点火の着火と各火炎の分散とを得ることが必須要件となり、これを前提に、その時々の燃焼条件に合わせて点火間隔又は点火回数が設定される。ここで、多重点火の点火間隔は0.5ms〜1.5ms間の値で、点火回数は2〜10回の値で、各々可変に設定されるとよい。より詳細には、図16の(a),(b)の少なくとも一方の関係を用い、横軸に示すエンジン回転数Ne(又はエンジン負荷)、点火時期(遅角補正値θRE)といった各パラメータに応じて点火間隔を設定する。但し図16の(a),(b)で設定される点火間隔が各々異なる場合、大きい方の値を選択する。また、図17の(a),(b),(c)の少なくとも一つの関係を用い、横軸に示すエンジン回転数Ne(又はエンジン負荷)、点火時期(遅角補正値θRE)、点火間隔といった各パラメータに応じて点火回数を設定する。但し図17の(a)〜(c)で設定される点火回数が各々異なる場合、多い方の値を選択する。エンジン負荷としては吸気管圧力PM或いは吸入空気量を用いればよい。
次に、図12,13のフローチャートに従い、本実施の形態における燃料噴射の制御手順を説明する。なお、図12,13の処理は所定周期(例えば10ms毎)にCPU31により実行される。
CPU31は、先ず図12のステップ601でエンジン回転数Ne、吸気管圧力PM、エンジン水温Tw、吸気温Taなどを読み出し、続くステップ602でエンジン始動完了後であるか否かを判別する。エンジン始動完了前であれば、CPU31はステップ603に進み、エンジン水温Twに応じて始動時噴射量TAUSTAを算出する。因みに、始動時噴射量TAUSTAは、エンジン水温が低いほど大きい値となる。また、CPU31は、続くステップ604で始動時噴射量TAUSTAを吸気温Ta、エンジン回転数Neなどで補正し、このルーチンを一旦終了する。
始動完了に伴いステップ602がYESになると、CPU31は図13のステップ605に進み、触媒暖機実行フラグXCATが「1」であるか否かを判別する。CPU31は、XCAT=0であれば、後続のステップ606〜609で通常の燃料噴射制御を実行し、XCAT=1であれば、後続のステップ610〜616にて触媒暖機に係る燃料噴射制御を実行する。
すなわち、XCAT=0時において、CPU31は、ステップ606で通常マップを用い、その時のエンジン回転数Neと吸気管圧力PMとに応じて基本噴射量Tpを算出する。また、CPU31は、続くステップ607で周知の空燃比F/B条件が成立しているか否かを判別する。ここで、空燃比F/B条件とは、エンジン水温Twが所定温度以上であること、高回転・高負荷状態でないこと、A/Fセンサ15が活性状態にあることなどを含む。
F/B条件不成立の場合、CPU31はステップ608に進み、フィードバック補正係数FAFを「1.0」とする。また、F/B条件成立の場合、CPU31はステップ609に進み、その時の実空燃比AFr(A/Fセンサ15の出力)と目標空燃比AFtgとの偏差に応じてフィードバック補正係数FAFを設定する。FAF値の設定に際しては、周知のPID制御手法や現代制御手法を用いればよい。
FAF値の算出後、CPU31は、ステップ616でエンジン水温Twに応じて始動後増量係数FASE及び暖機増量係数FWLを算出し、続くステップ617でエアコンの電気負荷増量など、他の補正係数βを算出する。因みに、始動後増量係数FASEによればエンジン始動後の数十秒間だけ燃料増量が行われるのに対し、暖機増量係数FWLによればエンジン水温Twが所定温度に達するまで燃料増量が行われる。
その後、CPU31は、ステップ618で前記算出した基本噴射量Tpに対して各種補正を施して燃料噴射量TAUを算出し、本ルーチンを終了する。上記の通りXCAT=0の時、ステップ618では、演算式、
TAU=Tp・(1+FAF+FASE+FWL)・β
を用いて燃料噴射量TAUが算出される。
一方、XCAT=1の場合(ステップ605がYESの場合)、CPU31はステップ610に進み、触媒暖機時における目標空燃比AFtgをストイキ〜弱リーンの範囲(例えばA/F=14.7〜16の範囲)内で設定する。ここで、目標空燃比AFtgは、前記図11で算出した遅角補正値θREに応じて設定される。図18には遅角補正値θREと目標空燃比AFtgとの関係を示しており、目標空燃比AFtgは図中の斜線域で設定されればよい。図18では、遅角補正値θREが大きいほど目標空燃比AFtgがストイキに近くに設定される。
本実施の形態における具体的な数値を挙げると、
・θRE=0°CAの時は、AFtg=16、
・θRE=5°CAの時は、AFtg=15.5、
・θRE=10°CAの時は、AFtg=15、
・θRE=15°CAの時は、AFtg=14.7、
・θRE=20°CAの時は、AFtg=14.7、
とする。要するに、既述した点火遅角並びに空燃比の弱リーン化を共に実施する場合、これら何れの制御も筒内の燃焼速度の制御要因となるため、両者を対比させつつ燃焼速度を制御する。
その後、CPU31は、ステップ611でROM32内に予め設定される目標空燃比AFtg毎のマップを用い、その時のエンジン回転数Neと吸気管圧力PMとに応じて基本噴射量Tpを算出する。
更にCPU31は、ステップ612でA/Fセンサ15が活性状態にあるか否かを判別する。例えばA/Fセンサ15の素子温、又は素子抵抗が活性状態を表す相当値(例えば素子温=700℃相当)に達していれば、A/Fセンサ15が活性状態にあるとみなされる。また、CPU31は、ステップ613で目標空燃比AFtgと実空燃比AFrとの偏差の絶対値が所定値以上であるか否かを判別する。
ステップ612,613の何れかがNOの場合、CPU31はステップ614に進み、それ以前にECU30内のバックアップRAM34に記憶保持されている補正値FDを読み出す。この補正値FDは、エンジン始動当初のオープンループ制御に際し、燃料噴射量の制御ズレを解消するためのものである。
また、ステップ612,613が共にYESの場合、CPU31はステップ615に進み、その時の空燃比偏差(AFtg−AFr)に応じて補正値FDを算出し、該算出した補正値FDによりバックアップRAM34内の既存値を更新する。すなわち、例えば図19の関係を用いて更新幅ΔFDを求め、そのΔFD分だけ既存の補正値FDを更新する(FD=FD+ΔFDとする)。図19によれば、AFtg−AFr>K1の時、すなわち実空燃比AFrが目標空燃比AFtgに対してリッチの時、負のΔFDが求められ、AFtg−AFr<K2の時、すなわち実空燃比AFrが目標空燃比AFtgに対してリーンの時、正のΔFDが求められる。
その後、CPU31は、ステップ616でエンジン水温Twに応じて始動後増量係数FASE及び暖機増量係数FWLを算出し、続くステップ617でエアコンの電気負荷増量など、他の補正係数βを算出する。更にその後、CPU31は、ステップ618で前記算出した基本噴射量Tpに対して各種補正を施して燃料噴射量TAUを算出し、本ルーチンを終了する。上記の通りXCAT=1の時、ステップ618では、演算式、
TAU=Tp・(1+FD+FASE+FWL)・β
を用いて燃料噴射量TAUが算出される。
図20は、CPU31による上記各処理をより具体的に説明するためのタイムチャートである。同図20には、エンジン1の冷間始動時において点火遅角や空燃比の弱リーン化による触媒暖機の処理が実施される様子を示す。
さて、図20の時刻t1でイグニッションキーがON側に操作されると、図示しないスタータモータによるクランキングが開始される。このとき、点火時期がBTDC5°CAに設定される(図11のステップ503)。
時刻t2では、エンジン回転数Neが始動完了を表す400rpmに達し、これと同時に触媒暖機の実施条件が全て成立するとすれば、触媒暖機実行フラグXCATに「1」がセットされる(図10のステップ406)。すると、時刻t2以降、点火時期θigが基本点火時期θBSEに対して遅角補正値θREだけ遅角側に制御される(図11のステップ508,509)。また、点火遅角制御と同時に、多重点火が開始される(図11のステップ510)。
更に時刻t2では、その時の遅角補正値θREに応じて目標空燃比AFtgがストイキ〜弱リーンの範囲内で設定される(図13のステップ610)。これにより、排ガス中の酸素量が増える。また、補正値FDがバックアップRAM34から読み出され、その補正値FDにより燃料噴射量が補正される(図13のステップ614)。
なお時刻t2以降、ISC弁42の開度が調節されてバイパス通路41を通過する空気量が増量される。つまり、いわゆるファーストアイドル処理が実施され、エンジン回転数Neが暖機後のアイドル回転数(例えば700rpm)よりも高い、所定の始動時回転数(例えば1200rpm)に制御される。
その後、時刻t3では、A/Fセンサ15が活性判定され(図13のステップ612がYES)、その時の空燃比偏差が所定値以上であれば、その空燃比偏差に応じたΔFD分だけ補正値FDが更新される(図13のステップ615)。この更新した補正値FDは、次回のエンジン始動時にバックアップRAM34から読み出され、噴射量補正に用いられる。これにより、エンジン始動当初(センサ活性前)における燃料噴射量の制御ズレが解消されるようになる。
その後、時刻t2から15秒が経過して時刻t4になると、触媒暖機実行フラグXCATが「0」にクリアされ、それに伴い触媒暖機に係る各処理が終了される。すなわち時刻t4以降、点火時期が徐々に進角側に制御される。また、補正値FDによる噴射量補正が終了されると共に、目標空燃比AFtgがエンジン運転状態に対応する目標値に変更されてその目標空燃比AFtgを基に空燃比フィードバック制御が開始される。
上記の如く時刻t2〜t4において、点火時期を遅角側に制御し、且つ空燃比を弱リーン化することにより、筒内での燃焼速度が制御でき、排気弁12から排出される排ガスの温度調整が可能となる。すなわち、筒内温度のピークを遅らせ、そのピーク付近のタイミングで排気弁12が開弁されれば、高温の排ガスが排気管3に排出されることとなる。このとき、排気管3内での「後燃え」が可能な温度よりも排ガス温度が高温となれば、後燃え効果により排ガス温度が更に上昇する。その結果、高温の排ガスが確実に触媒コンバータ13,14に送り込まれ、同触媒コンバータ13,14の早期活性化が促進される。
なお、上述した排ガス温度の高温化に伴い、A/Fセンサ15の早期活性化も可能となり、実空燃比の検出が早期に可能となる。つまり、図20で示した通り、触媒暖機の処理期間(時刻t2〜t4)内でのセンサ活性化が可能となる。
上記点火遅角や空燃比の弱リーン化による触媒暖機の処理(燃焼速度の制御)を行う際、本来、筒内でトルク等に変換されるべきエネルギが排気管3へ排出されるためにトルク変動が発生しがちになるが、多重点火を行うことでトルク変動が抑制される。
次に、点火遅角や空燃比の弱リーン化による筒内温度の昇温効果を、図21,図22用いて説明する。図21は点火遅角による筒内温度の昇温効果を説明するための図であり、同図21中、実線、点線、二点鎖線はそれぞれ点火時期を、(a)BTDC10°CA、(b)圧縮TDC、(c)ATDC10°CAとした時の筒内温度の推移を示す。
図21において、筒内温度は混合気の燃焼に伴い一旦上昇し、その後下降に転じる。但し通常の点火時期に相当する(a)では、排気弁の開弁前に筒内温度のピークが既に過ぎ、同開弁時には筒内温度が低下している。これに対し、(b),(c)では、排気弁の開弁時に筒内温度がほぼピーク値となり、排気弁を介して排出される排ガス温度が、排気管内での後燃えに必要な700℃以上の温度に達していることが確認できる。またこのとき、点火時期を遅角側に制御するほど、燃焼速度が遅くなり、筒内温度のピークが遅れることが分かる。
一方、図22は、空燃比の弱リーン化による筒内温度の昇温効果を説明するための図であり、同図22中、実線、点線、二点鎖線はそれぞれ空燃比を、(a)A/F=12、(b)ストイキ(A/F=14.7)、(c)A/F=16とした時の筒内温度の推移を示す。但し(a)〜(c)の各々は同一点火時期における実験データを示す。
図22において、空燃比をリッチ化した(a)では、排気弁の開弁前に筒内温度のピークが既に過ぎ、同開弁時には筒内温度が低下している。これに対し、(b),(c)では、排気弁の開弁時に筒内温度がほぼピーク値となり、排気弁を介して排出される排ガス温が、排気管内での後燃えに必要な700℃以上の温度に達していることが確認できる。またこのとき、空燃比をリーン側に制御するほど、燃焼速度が遅くなり、筒内温度のピークが遅れることが分かる。
また、排気弁直後の排ガス温と触媒入口の排ガス温とを比較すると、図23に示されるように通常、排気管内における「熱損失分」だけ後者の温度が低くなる。これに対し、既述の通り点火遅角や空燃比の弱リーン化による触媒暖機の処理を行い、排気管内での「後燃え」が可能な温度(700℃)よりも排ガス温度が高温となれば、後燃えにより排ガス温度が実線で示す通り上昇する。このとき、後燃えによる昇温効果により触媒入口での温度低下分が少なくなる。
以上第2の実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)エンジン1の冷間始動時において点火時期の遅角制御により筒内の燃焼速度を制御したので、排気弁12の開弁時における排ガス温度が高温となる。またこのとき、排ガス温度の上昇により排気管3内での「後燃え」が可能となる。これらガス排出時の昇温効果と排気管3内での後燃え効果とが共に得られれば、高温の排ガスを確実に触媒コンバータ13,14に送り込むことができ、冷間状態にある触媒コンバータ13,14の早期活性化が促進される。
(2)点火遅角等による燃焼速度の制御に際し、多重点火を実施してトルク変動を抑制することで、トルク変動に起因してドライバビリティが悪化する等の問題が解消される。またこのとき、失火等が防止されて燃焼状態が安定するため、点火時期の遅角限界が拡張されるようになる。
(3)エンジン1の冷間始動時において、点火遅角制御に加えて空燃比のストイキ化又は弱リーン化を行うこととしたので、後燃えに必要な酸素が確保できる。従って、より一層確実に排ガス高温化の効果が得られる。
(4)エンジン1の冷間始動時における遅角補正値θREに基づいて目標空燃比AFtgを設定することとし、該θREが大きいほど目標空燃比AFtgをストイキ(理論空燃比)に近づけて設定したので、燃焼の安定化を図りつつ、両制御の複合的な作用により排ガス温度が所望の温度に調整できる。
(5)エンジン始動時に空燃比の弱リーン制御が実施される時、A/Fセンサ15の活性直後における空燃比ズレ分を補正値FDとして記憶保持し、次回のエンジン始動時には補正値FDを反映した噴射量補正を行うこととした。これにより、エンジン始動当初の弱リーン化途中における空燃比の制御精度が向上する。
(6)多重点火の実施に際し、エンジン回転数Neや点火時期等の燃焼条件パラメータに応じて点火間隔及び点火回数を可変に設定したので、各点火の着火と各火炎の分散とが適正に得られる。
(7)冷間始動時のエンジン運転状態を基に、燃焼速度制御の可否を判定するようにしたので、所定のエンジン運転状態でのみ、燃焼速度制御の実施が許容されることになり、必要以上に排ガス温度を上昇させ、それが原因で触媒や排気管がダメージを受けるといった不都合が回避できる。
(8)エンジン1の始動完了後、所定時間(15秒)が経過する迄の期間にて燃焼速度制御の実施を許可するようにしたので、触媒コンバータの早期暖機が完了した後は、点火遅角や空燃比の弱リーン化等の処理が停止され、通常の制御により燃焼状態の安定化が図られる。
(第3の実施の形態)
以下、上記第2の実施の形態におけるエンジン制御装置の一部を変更した第3の実施の形態を説明する。
本実施の形態の装置では、エンジン筒内(燃焼室内)にスワール流を生成するためのスワール生成機構(渦流生成機構)を新たに備える。スワール生成機構の構成を図24に示す。図24において、2つに分岐した吸気ポート51,52間にインジェクタ18が設けられ、同インジェクタ18は2方向に燃料を噴射する。インジェクタ18の噴射燃料は2つの吸気弁11から燃焼室10内に導入される。
2つの吸気ポート51,52の一方にはスワール制御弁53が設けられ、スワール制御弁53はECU30からの制御信号に応じてその開度が操作される。例えば図示の通りスワール制御弁53が閉じられると、一方の吸気ポート51が閉鎖され、他方の吸気ポート52から導入された吸気の流れにより燃焼室10内でスワールが生成される。
上記スワール制御弁53は一般に、希薄燃焼(リーンバーン)の実施等、燃焼状態が比較的悪化する際に、スワールを生成して混合気の筒内流れを改善すべく閉側に制御される。また、エンジン始動時には同スワール制御弁53が全開状態で保持される。これに対し本実施の形態では、エンジン始動時において触媒暖機を要する場合に、スワール制御弁53を閉側に制御し、スワール生成を促進させることとする。すなわち、既述の通りエンジンの冷間始動時には点火時期の遅角制御に伴うトルク変動を抑制すべく多重点火が実施されるため、スワールの生成によりその際の複数個の火炎形成を補助する。
具体的には、スワール制御弁53の制御に際し、ECU30は図25の処理を行う。つまり、ステップ701では、上記触媒暖機実行フラグXCATが「1」か否かを判定する。そして、XCAT=1であれば、ステップ702でスワール制御弁53を閉側に制御し、スワール生成を促進させる。一方、XCAT=0であれば、ステップ703で通常のスワール制御を実施する。
以上第3の実施の形態によれば、上記第2の実施の形態で説明した(1)〜(8)の効果に加え、以下の効果が得られる。すなわち、(9)多重点火の実施に際し、スワールの生成を促進させるようにしたので、複数個の火炎形成を補助し、多重点火による燃焼安定化の効果をより一層高めることができる。
(第4の実施の形態)
以下、上記第2の実施の形態におけるエンジン制御装置の一部を変更した第4の実施の形態を説明する。
本実施の形態の装置では、筒内燃焼速度の制御に際し、吸気弁と排気弁との開弁オーバーラップ量を所定量に制御する。この制御は、例えば前記第1の実施の形態における図4の処理に準じて行われればよい。それは概ね、触媒暖機の実施条件が成立した時(第2の実施の形態におけるXCAT=1の時)に、排気弁12の開閉時期を「15°CA」だけ最遅角位置よりも進角させ且つ、吸気弁11と排気弁12との開弁オーバーラップ量を「30°CA」とする。これにより、前記図5
に示す通り吸排気弁が開閉動作する。
本実施の形態によれば、内部EGRの増加分に伴い筒内での燃焼速度が制御できる。このとき、筒内で燃焼されなかった未燃燃料が排気管3内に排出された後、自己着火して燃焼(後燃え)に供される。また、排気弁12の開弁時期を進角側に制御することで、筒内温度のピーク付近で排ガスを排出することが可能となり、後燃えの促進に寄与できる。従って、排ガス温度が高温で維持され、触媒コンバータ13,14の早期活性化が実現できる。
図26は、吸排気弁の開弁オーバーラップ量の増加による筒内温度の昇温効果を説明するための図であり、同図26中、実線、点線はそれぞれ、(a)通常制御、(b)開弁オーバーラップ量=20°CA、とした時の筒内温度の推移を示す。
図26において、(a),(b)を比較すると、(b)の方が筒内温度のピークが遅く、排気弁が開弁した時に排出される排ガス温度が高いことが分かる。また、排気弁の開弁時期を図中のAからBへと進角させることで、排気弁を介して排出される排ガスの温度が上昇することが分かる。
なお本発明は、上記以外に次の形態にて具体化できる。
(別の形態1)
上記第1の実施の形態におけるエンジン制御装置では、(イ)空燃比を弱リーン値で制御すること、(ロ)点火時期を遅角側で制御すること、(ハ)吸気弁11と排気弁12との開弁オーバーラップ量を増やすこと、(ニ)排気弁12の開弁時期を進角させること、の4つの処理を適用したが、排ガス高温化の効果が得られることを前提に、上記構成を変更してもよい。例えば上記(ハ)を単独で実施し、触媒コンバータの早期活性化を図るようにする。かかる構成でも排ガス高温化の効果が得られることが本発明者により確認されている。また、少なくとも上記(ハ)を実施することとして、それ以外の(イ),(ロ),(ニ)を適宜組み合わせて実施することもできる。
(別の形態2)
上記第1,第4の実施の形態では、吸気弁11と排気弁12との開弁オーバーラップ量を「30°CA」とし、また、排気弁12の開弁時期を「15°CA」進角させたが、これを変更する。例えば吸気弁11と排気弁12との開弁オーバーラップ量を20〜30°CAの範囲内で変更し、排気弁12の開弁時期を10〜20°CAの範囲内で変更する。かかる場合にも、既存の装置と比較して排ガスが高温化され、触媒活性化を早めることができる。
(別の形態3)
上記第1,第4の実施の形態では、吸気側及び排気側の両方のバルブタイミングを可変に制御したが、この構成を変更する。例えば排気側にだけVVT機構を設け、排気側のみバルブタイミングを制御する。そして、触媒暖機の処理に際し、排気弁を進角させて排ガス高温化を図るようにする。
(別の形態4)
上記第1,第4の実施の形態では、VVT機構(可変バルブタイミング機構)として位相調整式のものを採用したが、他の構成のVVT機構を採用してもよい。例えばカムプロフィールの異なる複数種のカム装置を切り換え可能としたVVT機構であってもよい。要は、VVT制御において、吸排気弁の開弁オーバーラップ量、又は排気弁の進角量が可変に制御できる構成であればよい。
(別の形態5)
上記第1の実施の形態では、触媒暖機を継続する条件として、クランキング開始から20秒が経過したか否か、或いは非アイドル状態になったか否かを判別したが(図2〜図4のステップ130,230,330)、この条件を変更する。例えば触媒温度を計測(又は推定)し、その触媒温度が暖機完了温度に達した時に触媒暖機完了の旨を判別する。この場合、暖機完了温度は必ずしも触媒コンバータの活性温度でなくてもよく、触媒コンバータの反応熱を見込んで触媒活性温度よりも低い温度でよい。
又は、触媒コンバータ13下流側のA/Fセンサ15の検出結果に基づき、触媒暖機の完了を判別する。この場合、同一空燃比(弱リーン空燃比)で燃料噴射が行われている最中に、A/Fセンサ15の出力値が変化した時、触媒コンバータ13が活性化されて触媒反応が始まったとして暖機完了の旨を判別する。因みに、A/Fセンサ15は触媒コンバータに比べて活性化が早いことから、こうした構成も実現できる。
(別の形態6)
上記第2の実施の形態では、エンジン1の冷間始動時において触媒暖機のための遅角補正値θREを算出し、基本点火時期θBSEから遅角補正値θREを減算して最終の点火時期θigを算出したが(図11のステップ508,509)、この構成を変更する。エンジン1の冷間始動時において遅角側に予め設定された点火時期を選択し(例えばTDC〜ATDC10°CA内の値)、それを最終の点火時期とする。
(別の形態7)
上記第2の実施の形態では、図10のステップ401〜405の判定結果から触媒暖機実施の可否を判断したが、この判定項目を一部変更する。例えば図10の判定に下記項目を適宜追加し、それら各項が不成立の時はやはり、触媒暖機のための筒内燃焼速度の制御を実施しない(XCAT=0とする)。
・空燃比が極リッチ値でないか(例えばA/F≧14か)否かを判別する。
・ファーストアイドルの実施によりエンジン回転数が所定の始動時回転数(例えば1200±100rpm)に制御されているか否かを判別する。
因みに、ファーストアイドル時には、エンジン回転数を始動時回転数(例えば1200rpm)まで増加させることで、点火から排気弁の開弁までの時間短縮が可能となり、排ガス温度の昇温効果をより一層高めることができる。
(別の形態8)
上記第2の実施の形態では、多重点火の実施に際し、図16及び図17を用い、エンジン回転数、エンジン負荷、点火時期等に応じて点火間隔や点火回数を可変に設定したが、この構成を変更する。例えば空燃比、エンジン始動後からの経過時間、スワール制御弁の制御量、吸排気弁の開弁オーバーラップ量、等々の何れか一つ又は組み合わせにて点火間隔や点火回数を可変に設定する。すなわち、図27(a)〜(d)の関係を用いて点火間隔を設定し、図28(a)〜(d)の関係を用いて点火回数を設定する。かかる構成においても、多重点火の実施に際し、各点火の着火と各火炎の分散とが適正に得られ、多重点火の効果を高めることが考えられる。或いは、点火間隔や点火回数を固定として本発明を実現することも可能である。
(別の形態9)
上記第2の実施の形態では、トルク変動抑制手段として多重点火を行ったが、これを変更する。例えば燃焼室内の複数箇所で点火動作を行わせる、いわゆる多点点火を行う。実際には、点火プラグを複数箇所に設け、それら各点火プラグから火花を順次発生させて燃焼改善を図る。
(別の形態10)
上記第3の実施の形態では、筒内のスワールを必要に応じて生成したが、これに代えてタンブルを必要に応じて生成するようにしてもよい。かかる場合、多重点火又は多点点火の実施に際し、タンブルの生成を促進させることで、複数個又は複数箇所の火炎形成を補助し、多重点火又は多点点火による燃焼安定化の効果をより高めることができる。
(別の形態11)
上記各実施の形態では、エンジン排気管にスタートキャタリストとしての触媒コンバータ13を設け、このスタートキャタリストの早期活性化を図るものとしたが、勿論、スタートキャタリストを持たない装置にも適用できる。
(別の形態12)
上記各実施の形態では、エンジン1の冷間始動時において触媒コンバータの早期活性を図るべく排ガスを高温化させたが、始動時以外にも、エンジン運転途中に触媒の活性状態が低下した時に排ガスを高温化させて触媒活性状態を保持するようにしてもよい。一例として、触媒コンバータの温度をモニタし、その触媒温度が低下したら吸排気弁のオーバーラップ量の調整、点火遅角、空燃比の弱リーン化等の処理を行い、排ガス高温化を図るようにする。
発明の実施の形態におけるエンジン制御装置の概要を示す全体構成図。 燃料噴射の制御手順を示すフローチャート。 点火時期の制御手順を示すフローチャート。 VVT制御手順を示すフローチャート。 吸気弁と排気弁との開閉動作を示す図。 開弁オーバーラップ量と排ガス温度との関係を示す図。 開弁オーバーラップ量とHC濃度との関係を示す図。 エンジン排気ポート端面からの距離と排ガス温度との関係を示す図。 第2の実施の形態におけるエンジン制御装置の概要を示す構成図。 第2の実施の形態において触媒暖機の条件判定手順を示すフローチャート。 第2の実施の形態において点火時期の制御手順を示すフローチャート。 第2の実施の形態において燃料噴射の制御手順を示すフローチャート。 図12に続き、燃料噴射の制御手順を示すフローチャート。 遅角補正値を設定するための図。 多重点火の点火信号波形を示す図。 多重点火の点火間隔を設定するための図。 多重点火の点火回数を設定するための図。 触媒暖機時において目標空燃比を設定するための図。 補正値の更新幅ΔFDを設定するための図。 第2の実施の形態における作用を説明するためのタイムチャート。 筒内温度の昇温効果を確認するための図。 筒内温度の昇温効果を確認するための図。 排気弁直後の排ガス温度と触媒入口の排ガス温度との関係を示す図。 第3の実施の形態においてスワール生成機構の構成を示す図。 スワール制御処理を示すフローチャート。 第4の実施の形態において筒内温度の昇温効果を確認するための図。 別の形態において多重点火の点火間隔を設定するための図。 別の形態において多重点火の点火回数を設定するための図。
符号の説明
1…エンジン(内燃機関)、3…排気管、11…吸気弁、12…排気弁、13,14…触媒コンバータ、15…A/Fセンサ(空燃比センサ)、19…点火プラグ、23…吸気側VVT機構(可変バルブタイミング機構)、24…排気側VVT機構(可変バルブタイミング機構)、30…ECU(電子制御装置)、31…バルブ制御手段,点火時期制御手段,空燃比制御手段,排ガス温調整手段,トルク変動抑制手段,記憶手段,補正手段,実施条件判定手段を構成するCPU、34…バックアップRAM、53…スワール制御弁。

Claims (2)

  1. 機関排気管に設けられた触媒コンバータを備える火花点火式の内燃機関に適用され、
    内燃機関の冷間時に筒内における混合気の燃焼速度を制御し、排気弁の開弁時における排ガス温度を所望の温度とするための排ガス温調整手段と、
    該燃焼速度の制御に際し、トルク変動を抑制するためのトルク変動抑制手段と
    冷間時の機関運転状態を基に、前記排ガス温調整手段による燃焼速度制御の可否を判定する実施条件判定手段とを備え、
    内燃機関の冷間始動に際し、暖機後のアイドル回転数よりも高い所定の始動時回転数で機関回転数を一時的に保持する内燃機関の制御装置において、
    前記実施条件判定手段は、該機関回転数が始動時回転数に制御されている時に、燃焼速度制御の実施を許可し、
    前記トルク変動抑制手段は、1回の燃焼行程につき複数回の点火動作を行わせるものであり、その時々の燃焼条件に合わせて点火間隔又は点火回数の少なくとも一方を決定することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関の始動完了後、所定時間が経過する迄野期間にて前記排ガス温調整手段による燃焼速度制御の実施を許可する請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
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