JP6394037B2 - 点火制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関において混合気への点火を制御する点火制御システムに関する。
従来、燃料供給流路の燃料を加熱し、内燃機関の始動性を向上させる技術が知られている。例えば特許文献1に開示された燃料加熱装置は、高圧燃料ポンプから圧送された高圧燃料をインジェクタに供給する燃料レールの燃料を加熱する。
特にアルコール混合燃料を用いるフレキシブルフューエルビークル(以下、「FFV車両」という)では、アルコールはガソリンに比べ同一温度での揮発性が低いため、着火性が悪い。そこで、燃料を加熱することで、低温時の始動性の向上を図っている。
特表2008−542622号公報
特許文献1の従来技術は単に燃料を加熱するのみで、点火プラグの放電の条件を変えることにより着火性を向上させるものではない。そのため、例えば−10℃以下の極低温でアルコール混合燃料を使用する場合、たとえ燃料供給流路の燃料を加熱したとしても、燃焼室での燃料の霧化及び着火性が悪く、内燃機関の始動が困難となるおそれがある。
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低温での内燃機関の始動性を向上させる点火制御システムを提供することにある。
本発明は、内燃機関において混合気への点火を制御する点火制御システムであって、点火コイル、点火スイッチ、エネルギ投入手段、投入エネルギ設定手段、及び燃料加熱装置を備える。
点火コイルは、直流電源から供給される一次電流が流れる一次コイル、及び、点火プラグの電極に接続され、一次電流の通電及び遮断による二次電圧が発生し二次電流が流れる二次コイルを有する。
点火スイッチは、一次コイルの直流電源と反対側である接地側に接続され、点火信号に従って一次電流の通電と遮断とを切り替える。
エネルギ投入手段は、点火スイッチにより一次電流を遮断し、遮断による二次電圧で点火プラグの放電を発生させた後の所定のエネルギ投入期間(IGW)において、一次コイル側から点火コイルにエネルギを投入可能である。好ましくは、エネルギ投入手段は、一次コイルの接地側から点火コイルに二次電流と同じ極性で重畳的にエネルギを投入可能である。
ここで、「点火スイッチにより一次電流を遮断して発生させた二次電流による点火」を「通常点火」という。すなわち、本発明のエネルギ投入手段は、通常点火後のエネルギ投入期間に、エネルギを投入する。
また、一次コイルの接地側には、接地に向かう電流を遮断し、接地から一次コイルの接地側に向かう電流を通流する整流素子が接続されている。
投入エネルギ設定手段は、エネルギ投入手段による投入エネルギを設定する。
燃料加熱装置は、内燃機関に供給される燃料が収容される燃料供給流路の燃料を加熱可能である。ここで、「燃料が収容される燃料供給流路」には、燃料を貯留する燃料タンクや燃料が圧送される燃料ポンプ、及び、それらを接続する配管等、内燃機関に供給される燃料が収容される流路のどの部分も含まれる。一例としては、各気筒のインジェクタに燃料を分配する燃料レールが燃料供給流路に相当する。
そして、投入エネルギ設定手段は、燃料加熱装置の燃料温度に応じて、投入エネルギを設定することを特徴とする。
本発明の点火制御システムは、低温時に燃料加熱装置において燃料を加熱すると共に、点火プラグの放電時に燃焼室における着火性を向上させるように積極的にエネルギ投入を行うことを特徴とする。
これにより、燃料温度が低く霧化能力が低下した状態であっても着火性を確保し、内燃機関を良好に始動させることができる。また、投入エネルギにより着火性を向上させるため、燃料加熱装置による加熱時間を短縮することができる。したがって、揮発性の低いアルコール混合燃料を極低温で使用する場合に特に効果がある。
投入エネルギ設定手段は、具体的には、燃料加熱装置の燃料温度が低いほど、二次電流の目標値を高く設定するか、かつ/又は、エネルギ投入期間を長く設定する。
これにより、燃料温度に依存する混合燃料の霧化能力に応じて、適切な投入エネルギを設定することができる。
また、投入エネルギ設定手段は、燃料加熱装置の燃料温度が所定の温度閾値を超えるとき、二次電流の目標値又はエネルギ投入期間を、温度閾値において不連続に変化させつつゼロに設定し、エネルギ投入手段によるエネルギ投入を停止する
燃料加熱装置の燃料温度が所定の温度閾値を超える領域では通常点火によって十分に良好な着火が可能であるため、エネルギ投入制御を停止することで消費電力を低減することができる。
例えば、燃料加熱装置は、燃料を加熱可能な加熱手段、及び、燃料温度を検出する温度検出手段を有し、投入エネルギ設定手段は、温度検出手段が検出した燃料温度の検出値に応じて、投入エネルギを設定するとよい
本発明の各実施形態による点火制御システムが適用されるエンジンシステムの概略構成図。 本発明の各実施形態による点火制御システムの構成図。 図2の点火制御システムによるエネルギ投入制御の作動を説明するタイムチャート。 第1実施形態の投入エネルギ制御による、(a)燃料温度、(b)燃料加熱時間と目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWとの関係を示すマップ。 図2の点火制御システムによる通常点火の作動を説明するタイムチャート。 第2実施形態の投入エネルギ制御による、(a)燃料温度、(b)燃料加熱時間と目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWとの関係を示すマップ。
以下、本発明の実施形態による点火制御システムを図面に基づいて説明する。
本発明の各実施形態による点火制御システムは、車両等に搭載されるエンジンシステムに適用される。以下の実施形態の説明では、特許請求の範囲に記載の「内燃機関」を「エンジン」という。
[エンジンシステムの構成]
まず、エンジンシステムの概略構成について図1を参照して説明する。図1に示すように、エンジンシステム10は火花点火式のエンジン13を備えている。エンジン13は、例えば4気筒等の多気筒エンジンであり、図1では1気筒の断面のみを図示する。以下に説明する構成は、図示しない他の気筒にも同様に設けられている。
なお、図1のエンジンシステム10は、EGR(排気還流)システムを有していないものとする。或いは、EGRシステムを有している場合でも、本実施形態の特徴とは関連性が低いため、図示を省略する。さらに、排気通路に設けられる触媒の図示も省略する。
エンジン13は、スロットル弁14を通じて吸気マニホールド15から供給される空気とインジェクタ16から噴射される燃料との混合気を燃焼室17内で燃焼させ、その燃焼時の爆発力によりピストン18を往復運動させる。このピストン18の往復運動は、クランクシャフト19により回転運動に変換されて出力される。燃焼ガスは、排気マニホールド20等を通じて大気中に放出される。
燃焼室17の入口であるシリンダヘッド21の吸気ポートには吸気弁22が設けられ、また燃焼室17の出口であるシリンダヘッド21の排気ポートには排気弁23が設けられている。吸気弁22及び排気弁23は、バルブ駆動機構24により開閉駆動される。吸気弁22のバルブタイミングは、可変バルブ機構25により調整される。
燃焼室17の混合気の点火は、点火制御システム300によって点火プラグ7の電極間に放電を発生させることにより行われる。点火制御システム300は、電子制御ユニット32の指令に基づき点火回路ユニット31を動作させて点火コイル40から点火プラグ7に高電圧を印加することにより、燃焼室17で火花放電を発生させる。
点火プラグ7は、エンジン13の燃焼室17で所定のギャップを隔てて対向する一対の電極(図2参照)を有し、上記ギャップで絶縁破壊が生じるだけの高電圧が一対の電極間に印加されると放電を発生させる。以下の説明において、「高電圧」とは、点火プラグ7の一対の電極間で放電が発生し得るほどの電圧をいう。
電子制御ユニット32は、CPU、ROM、RAM及び入出力ポート等からなるマイクロコンピュータによって構成されており、図中、「ECU」と表す。
破線矢印で示すように、電子制御ユニット32は、クランク位置センサ35、カム位置センサ36、水温センサ37、スロットル開度センサ38、及び吸気圧センサ39等の各種センサからの検出信号が入力される。電子制御ユニット32は、これらの各種センサからの検出信号に基づき、実線矢印で示すように、スロットル弁14、インジェクタ16、及び点火回路ユニット31等を駆動してエンジン13の運転状態を制御する。
燃料加熱装置80は、電子制御ユニット32と通信しつつ、燃料供給流路85の燃料を加熱する。燃料供給流路85には、例えば、各気筒のインジェクタ16に燃料を分配する燃料レールが相当する。その他、燃料を貯留する燃料タンクや燃料が圧送される燃料ポンプ、及び、それらを接続する配管等、エンジン13に供給される燃料が収容される流路のどの部分を加熱対象としてもよい。なお、図中、燃料供給流路85の上流側は具体的な構成を図示せず、破線で示している。
[点火制御システムの構成]
次に、点火制御システム300の構成について図2を参照して説明する。
図2に示すように、点火制御システム300は、点火コイル40、点火回路ユニット31、及び、電子制御ユニット32、及び燃料加熱装置80を含む。
点火コイル40は、一次コイル41と二次コイル42と整流素子43とを有し、公知の昇圧トランスを構成している。
一次コイル41は、一端が、一定の直流電圧を供給可能な「直流電源」としてのバッテリ6の正極に接続されており、他端が点火スイッチ45を介して接地されている。以下、一次コイル41のバッテリ6と反対側を「接地側」という。
二次コイル42は、一次コイル41と磁気的に結合されており、一端が点火プラグ7の一対の電極を介して接地されており、他端が整流素子43及び二次電流検出抵抗47を介して接地されている。
一次コイル41に流れる電流を一次電流I1といい、一次電流I1の通電及び遮断によって発生し、二次コイル42に流れる電流を二次電流I2という。図中に矢印で示すように、一次電流I1は、一次コイル41から点火スイッチ45に向かう方向の電流を正とし、二次電流I2は、二次コイル42から点火プラグ7に向かう方向の電流を正とする。また、二次コイル42の点火プラグ7側の電圧を二次電圧V2という。
整流素子43は、ダイオードで構成されており、二次電流I2を整流する。
点火コイル40は、一次コイル41を流れる電流の変化に応じて電磁誘導の相互誘導作用により二次コイル42に高電圧を発生させ、この高電圧を点火プラグ7に印加する。本実施形態では、1つの点火プラグ7に対し1つの点火コイル40が設けられている。
点火回路ユニット31は、点火スイッチ(イグナイタ)45、エネルギ投入部50、二次電流検出抵抗47、二次電流検出回路48を有している。
点火スイッチ45は、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)で構成されており、コレクタが点火コイル40の一次コイル41の接地側に接続され、エミッタが接地され、ゲートが電子制御ユニット32に接続されている。エミッタは、整流素子46を介してコレクタに接続されている。
点火スイッチ45は、ゲートに入力される点火信号IGTに応じてオンオフ動作する。詳しくは、点火スイッチ45は、点火信号IGTの立ち上がり時にオンとなり、点火信号IGTの立ち下がり時にオフとなる。一次コイル41における一次電流I1は、点火スイッチ45により点火信号IGTに従って通電及び遮断が切り替えられる。
「エネルギ投入手段」としてのエネルギ投入部50は、エネルギ蓄積コイル52、充電スイッチ53、充電スイッチ用ドライバ回路54、及び整流素子55から構成されるDCDCコンバータ51、並びに、コンデンサ56、放電スイッチ57、放電スイッチ用ドライバ回路58及び整流素子59を有しており、エネルギを一次コイル41の接地側に継続的に投入する。
DCDCコンバータ51は、バッテリ6の電圧を昇圧し、コンデンサ56に供給する。
エネルギ蓄積コイル52は、一端がバッテリ6に接続され、他端が充電スイッチ53を介して接地されている。充電スイッチ53は、例えばMOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ)で構成されており、ドレインがエネルギ蓄積コイル52に接続され、ソースが接地され、ゲートがドライバ回路54に接続されている。ドライバ回路54は、充電スイッチ53をオンオフ駆動可能である。
整流素子55は、ダイオードで構成されており、コンデンサ56からエネルギ蓄積コイル52及び充電スイッチ53側への電流の逆流を防止する。
充電スイッチ53がオンしたとき、エネルギ蓄積コイル52に誘起電流が流れ、電気エネルギが蓄積される。また、充電スイッチ53がオフしたとき、エネルギ蓄積コイル52に蓄積された電気エネルギがバッテリ6の直流電圧に重畳してコンデンサ56側へ放出される。充電スイッチ53がオンオフ動作を繰り返すことで、エネルギ蓄積コイル52にてエネルギの蓄積と放出が繰り返され、バッテリ電圧が昇圧される。
コンデンサ56は、一方の電極が整流素子55を介してエネルギ蓄積コイル52の接地側に接続され、他方の電極が接地されている。コンデンサ56は、DCDCコンバータ51によって昇圧された電圧を蓄電する。
放電スイッチ57は、例えばMOSFETで構成されており、ドレインがコンデンサ56に接続され、ソースが一次コイル41の接地側に接続され、ゲートがドライバ回路58に接続されている。ドライバ回路58は、放電スイッチ57をオンオフ駆動可能である。
整流素子59は、ダイオードで構成されており、点火コイル40からコンデンサ56への電流の逆流を防止している。
なお、図2では1気筒に対する構成のみを示しているが、現実には、放電スイッチ57以降の構成は気筒数分が並列して設けられており、放電スイッチ57の手前で電流経路が気筒毎に分岐され、コンデンサ56に蓄積されたエネルギが各経路に分配される。
二次電流検出回路48は、燃焼室17に設けられる二次電流検出抵抗47の両端電圧に基づいて二次電流I2を検出する。そして、二次電流I2を目標値(以下「目標二次電流I2*」という。)に一致させようとするフィードバック制御により、放電スイッチ57のオンデューティ比を演算し、ドライバ回路58に指令する。
以上が点火回路ユニット31の構成である。
次に、電子制御ユニット32は、「投入エネルギ設定手段」としての点火制御部33を含む。なお、本実施形態における点火制御部33は、投入エネルギの設定のみでなく点火信号IGTの生成等の制御機能全般を含むため、「点火制御部」という。
電子制御ユニット32の点火制御部33は、クランク位置センサ35等の各種センサから取得したエンジン13の運転情報に基づいて、点火信号IGT及びエネルギ投入期間信号IGWを生成し、点火回路ユニット31に出力する。また、点火制御部33は、燃料加熱装置80の燃料温度に応じて、投入エネルギを設定することを特徴とする。
点火制御部33が生成した点火信号IGTは、点火スイッチ45のゲート、及び、充電スイッチ用ドライバ回路54に入力される。点火スイッチ45は、点火信号IGTが入力されている期間、オンとなる。ドライバ回路54は、点火信号IGTが入力されている期間、充電スイッチ53のゲートに対し、充電スイッチ53をオンオフ制御する充電スイッチ信号SWcを繰り返し出力する。
エネルギ投入期間信号IGWは、放電スイッチ用ドライバ回路58に入力される。ドライバ回路58は、エネルギ投入期間信号IGWが入力されている期間、放電スイッチ57のゲートに対し、放電スイッチ57をオンオフ制御する放電スイッチ信号SWdを繰り返し出力する。
また、ドライバ回路58には、目標二次電流I2*を指示するための目標二次電流信号IGAが入力される。
燃料加熱装置80は、「加熱手段」としてのヒータ81、ヒータスイッチ82、制御回路83、及び、「温度検出手段」としての温度センサ84を含む。
ヒータ81は、例えば電熱線等の電気ヒータである。ヒータスイッチ82は、例えばMOSFET等の半導体スイッチング素子で構成されており、バッテリ6からヒータ81への通電を開閉する。制御回路83は、ヒータスイッチ82のスイッチ動作を制御するヒータスイッチ信号SWhを出力する。
温度センサ84は、サーミスタ、熱電対等で構成され、検出した燃料温度を電圧信号等として電子制御ユニット32に出力する。
電子制御ユニット32は、例えば温度センサ84から取得した温度検出値に基づき、検出温度が目標温度に一致するようにPI演算等によるフィードバック制御によって制御回路83を介してヒータ81への通電を制御する。或いは、フィードフォワード制御により通電等を制御してもよい。
[点火制御システムの作動]
次に、点火制御システム300によるエネルギ投入の作動について図3のタイムチャートを参照して説明する。図3のタイムチャートは、共通の時間軸を横軸とし、縦軸に上から順に、点火信号IGT、エネルギ投入期間信号IGW、コンデンサ電圧Vdc、一次電流I1、二次電流I2、投入エネルギP、充電スイッチ信号SWc、放電スイッチ信号SWdの時間変化を示している。
ここで、「コンデンサ電圧Vdc」はコンデンサ56に蓄電された電圧を意味する。また、「投入エネルギP」は、コンデンサ56から放出され、一次コイル41の低電圧側端子側から点火コイル40に供給されるエネルギを意味し、1回の点火タイミング中における供給開始(最初の放電スイッチ信号SWdの立ち上がり)からの積算値を示す。
図3中、「一次電流I1」及び「二次電流I2」は、図2に示す矢印方向の電流を正の値とし、矢印と反対方向の電流を負の値とする。以下の説明において、負の電流の大小に言及する場合、「電流の絶対値」を基準として大小を表す。すなわち、負領域において、電流値が0[A]から離れ絶対値が大きくなるほど「電流が増加又は上昇する」といい、0[A]に近づき絶対値が小さくなるほど「電流が減少又は低下する」という。
また、エネルギ投入期間信号IGWが出力されている時刻t3−t4の期間における二次電流I2の制御目標値を、「目標二次電流I2*」とする。目標二次電流I2*は、点火放電を良好に維持可能な程度の電流に設定される。本実施形態では、波状の最大値と最小値との中間値を目標値とするが、他の実施形態では、波状の最大値又は最小値を目標値としてもよい。
時刻t1にて点火信号IGTがH(ハイ)レベルに立ち上がると、点火スイッチ45がオンされる。このとき、エネルギ投入期間信号IGWはL(ロー)レベルであるため放電スイッチ57はオフである。これにより、一次コイル41における一次電流I1の通電が開始する。
また、点火信号IGTがHレベルに立ち上がっている間、矩形波パルス状の充電スイッチ信号SWcが、充電スイッチ53のゲートに入力される。すると、充電スイッチ53のオン後のオフ期間に、コンデンサ電圧Vdcがステップ状に上昇する。
このようにして、点火信号IGTがHレベルに立ち上がっている時刻t1−t2間に、点火コイル40が充電されるとともに、DCDCコンバータ51の出力によってコンデンサ56にエネルギが蓄積される。このエネルギの蓄積は、時刻t2までに終了する。
このとき、コンデンサ電圧Vdc、すなわちコンデンサ56のエネルギ蓄積量は、充電スイッチ信号SWcのオンデューティ比及びオンオフ回数によって制御可能である。
その後、時刻t2にて点火信号IGTがLレベルに立ち下げられ点火スイッチ45がオフされると、それまで一次コイル41に通電していた一次電流I1が急激に遮断される。すると、二次コイル42に高電圧が発生し、点火プラグ7の電極間にて放電が発生することにより、二次電流I2(放電電流)が流れる。
時刻t2で点火放電を発生させた後にエネルギ投入を行わない場合、二次電流I2は、破線で示すように、時間経過とともに0[A]に近づき、放電を維持できない程度まで減衰すると放電は終了する。このような放電による点火方式を「通常点火」という。
それに対し本実施形態では、時刻t2の直後の時刻t3にエネルギ投入期間信号IGWがHレベルに立ち上げられ、充電スイッチ53がオフの状態で放電スイッチ57がオンされる。すると、コンデンサ56の蓄積エネルギが放出され、一次コイル41の接地側に投入される。これにより、点火放電中に、「投入エネルギPに起因する一次電流I1」が通電する。なお、投入エネルギPは、時刻t2までに蓄積されたコンデンサ電圧Vdcが高いほど大きくなる。
このとき、二次コイル42には、時刻t2−t3間に通電していた二次電流I2に対し、投入エネルギPに起因する一次電流I1の通電に伴う追加分が同じ極性で重畳される。この一次電流I1の重畳は、時刻t3−t4の間、放電スイッチ57がオンされる毎に行われる。
すなわち、放電スイッチ信号SWdがオンになる毎に、コンデンサ56の蓄積エネルギにより一次電流I1が順次追加され、これに対応して、二次電流I2が順次追加される。二次電流I2が所定値になると放電スイッチ57がオフされ一次電流I1への重畳投入が停止し、I2が低下していき所定値になると再度放電スイッチ57がオンされる。これにより、二次電流I2は、目標二次電流I2*に一致するように維持される。
時刻t4でエネルギ投入期間信号IGWがLレベルに立ち下げられると、放電スイッチ信号SWdのオンオフ動作が停止し、一次電流I1、二次電流I2ともにゼロとなる。以下、電流について「ゼロ」と記載する場合、厳密な0[A]に限らず、実質的に0[A]と同等の微少電流範囲を含むものとする。
このように、時刻t2における点火放電の後、「一次コイル41の接地側」から点火コイル40にエネルギを投入する制御方式は、本出願人が開発したものである。以下、本明細書において、単に「エネルギ投入制御」という場合、この制御方式を意味する。
一方、周知の多重放電方式のように、一次コイル41のバッテリ6側、或いは二次コイル42の点火プラグ7と反対側から点火コイル40にエネルギを投入する方式を包括して「従来のエネルギ投入制御」という。本出願人が開発したエネルギ投入制御では、従来の方式に比べ、低電圧側からエネルギを投入することで最低限のエネルギを効率良く投入しつつ、点火可能な状態を一定期間持続させることができる。
ところで、エタノール等のアルコールを含む燃料を用いるFFV車両では、アルコールの蒸発温度がガソリンの蒸発温度よりも高いことにより、揮発性が低下する。特に−10℃以下の極低温でアルコール混合燃料を使用する場合、たとえ燃料加熱装置80によって燃料供給流路85の燃料を加熱したとしても、燃焼室17での燃料の霧化及び着火性が低く、エンジン13の始動が困難となるおそれがある。
そこで本実施形態の点火制御システム300は、燃料加熱装置80によって燃料を加熱することに加え、点火回路ユニット31にてエネルギ投入制御を実施することで燃料の霧化を促進し、放電による火花が着火しやすい状態を継続的に形成する。また、このとき、点火制御部33は、燃料加熱装置80の燃料温度に応じて、投入エネルギを適切に設定する。
次に、点火制御部33による投入エネルギの具体的な設定に関して、実施形態毎に説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による投入エネルギの設定について、図4を参照して説明する。
ここで、エネルギ投入制御において目標二次電流I2*を高くすることとエネルギ投入期間IGWを長くすることとは、放電を強くするか、放電の機会を増やすかという詳細な作用効果に違いはあるものの、「エネルギ投入をより増進させて火花着火性を高める」方向に変化させるという点で共通している。逆に、目標二次電流I2*を低くすることとエネルギ投入期間IGWを短くすることとは、「エネルギ投入をより軽減する」方向に変化させるという点で共通している。
したがって、説明が重複することを避けるため、図4(a)、(b)の縦軸において、目標二次電流I2*とエネルギ投入期間IGWとを並列に記載する。ただし、当然ながら、電流及び期間の数値単位は全く別のものである。また、図4(a)、(b)は、目標二次電流I2*及びエネルギ投入期間IGWがいずれも右下がりの特性であるという傾向を示すに過ぎず、特性線の形状が厳密に一致していることを意味しない。
図4(a)に示す例では、点火制御部33は、温度センサ84による燃料温度の検出値を常に取得する。そして、第1実施形態では、燃料温度の全範囲にわたって、燃料温度が低いほど目標二次電流I2*を高く、又は、エネルギ投入期間IGWを長く設定する。
図4(b)に示す例では、点火制御部33は、加熱開始時点における燃料の初期温度を温度センサ84から取得する。或いは、エンジン水温等の情報に基づいて燃料の初期温度を推定してもよい。また、ヒータ81への通電時間、すなわち制御回路83がヒータスイッチ82をオンした時間から燃料加熱時間を算出し、燃料の初期温度及び燃料加熱時間に基づいて現在の燃料温度を推定する。そして、燃料加熱時間の全範囲にわたって、燃料加熱時間が短いほど目標二次電流I2*を高く、又は、エネルギ投入期間IGWを長く設定する。
この場合、燃料の初期温度が低くなると、一点鎖線で示す特性線は、同一の燃料加熱時間に対して目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWが大きくなる方向にオフセットする。一方、燃料の初期温度が高くなると、破線で示す特性線は、同一の燃料加熱時間に対して目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWが小さくなる方向にオフセットする。
こうすることで、燃料温度が低く霧化能力が低下した状態ほど放電を強くし、或いは放電可能時間を長く確保することができる。したがって、燃料温度に依存する混合燃料の霧化能力に応じて、適切な投入エネルギを設定することができる。なお、図4では、燃料温度又は燃料加熱時間に応じて目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWを直線状に変化させているが、これに限らず、ステップ状や曲線状に変化させてもよい。
ここで、目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWのいずれを変化させるかは、例えばエンジン13の回転数及び負荷の条件によって、高回転、高負荷条件では燃料温度が低いほど目標二次電流I2*を高くし、低回転、低負荷条件では燃料温度が低いほどエネルギ投入期間IGWを長くするようにしてもよい。また、重み付けを考慮しつつ、目標二次電流I2*及びエネルギ投入期間IGWの両方を変化させてもよい。
(効果)
(1)本実施形態の点火制御システム300は、低温時に燃料加熱装置80において燃料を加熱すると共に、点火プラグ7の放電時に燃焼室17における着火性を向上させるように積極的にエネルギ投入を行うことを特徴とする。
これにより、燃料温度が低く霧化能力が低下した状態であっても着火性を確保し、エンジン13を良好に始動させることができる。また、投入エネルギにより着火性を向上させるため、燃料加熱装置80による加熱時間を短縮することができる。したがって、揮発性の低いアルコール混合燃料を極低温で使用する場合に特に効果がある。
(2)本実施形態の点火制御部33は、燃料加熱装置80の燃料温度に応じて、投入エネルギの設定値として、目標二次電流I2*及びエネルギ投入期間IGWを設定する。具体的には、燃料温度が低いほど、目標二次電流I2*を高く設定するか、かつ/又は、エネルギ投入期間IGWを長く設定する。
これにより、燃料温度に依存する混合燃料の霧化能力に応じて、適切な投入エネルギを設定することができる。
(3)本実施形態の点火制御システム300は、エネルギ投入制御の方式として、DCDCコンバータ51で昇圧しコンデンサ56に蓄電した投入エネルギを、一次コイル41の接地側から投入する方式を採用している。これにより、多重放電等のエネルギ投入方式に比べ、低電圧側からエネルギを投入することで最低限のエネルギを効率良く投入しつつ、点火可能な状態を一定期間持続させることができる。
また、エネルギ投入期間IGW中、二次電流I2は、常に負の値となりゼロクロスしないため、火花が消えることを回避することができる。よって、着火性を向上させることができる。
(4)本実施形態の点火制御システム300は、二次電流検出抵抗47及び二次電流検出回路48を備え、二次電流I2をフィードバック制御するため、フィードフォワード制御に対し二次電流I2の実値を目標二次電流I2*に精度良く一致させることができる。したがって、点火制御部33による投入エネルギの設定を適確に実行することができる。
(5)本実施形態の点火制御システム300の点火制御部33は、温度センサ84が検出した燃料温度の検出値、又は、燃料の初期温度及びヒータ81の通電時間である燃料加熱時間に基づいて推定した燃料温度の推定値に応じて、投入エネルギを設定する。
温度センサ84から燃料温度の検出値を取得する場合、推定演算が不要なので処理が単純になる。一方、初期温度を含めて燃料温度の検出値を用いず推定する場合には温度センサ84を廃止することができる。また、温度センサ84を設ける場合であっても、実際の温度変化に対して温度センサ84の追従が遅れる場合、燃料温度を推定することで処理の応答性が向上する。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図5、図6を参照して説明する。図5、図6における各記号は、図3、図4で用いた記号を援用する。第2実施形態の点火制御システムの構成は、図2に示す第1実施形態の点火制御システム300と同一であり、点火制御部33による投入エネルギの設定の仕方のみが異なる。
図5のタイムチャートは、図3のエネルギ投入制御を実行しない場合の点火制御システム300の作動を示す。
点火制御部33は、点火信号IGTの出力期間中、充電スイッチ用ドライバ回路54による充電スイッチ53のオンオフ動作を停止する。また、エネルギ投入期間信号IGWの出力期間中、放電スイッチ用ドライバ回路58による放電スイッチ57のオンオフ動作を停止する。これにより、コンデンサ電圧Vdcは蓄積されず、点火コイル40へのエネルギ投入もされなくなる。したがって、一次電流I1の遮断によって発生する二次電流I2による「通常点火」のみが行われる。この状態は、目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWをゼロに設定した状態に相当する。
図6(a)に示すように、第2実施形態では、燃料温度が所定の温度閾値Tαを超える領域Iでは目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWをゼロで一定とし、通常点火を行う。一方、燃料温度が温度閾値Tα以下の領域IIでは、第1実施形態の図4(a)と同様に、燃料温度が低いほど目標二次電流I2*を高く設定するか、又は、エネルギ投入期間IGWを長く設定する。
或いは、図6(b)に示すように、燃料加熱時間が所定の時間閾値Xを超える領域Iでは目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWをゼロで一定とし、通常点火を行う。一方、燃料加熱時間が時間閾値X以下の領域IIでは、第1実施形態の図4(b)と同様に、燃料加熱時間が短いほど目標二次電流I2*を高く設定するか、又は、エネルギ投入期間IGWを長く設定する。なお、時間閾値Xに相当する縦軸の値をYとする。
この場合、燃料の初期温度が低くなると、一点鎖線で示す特性線は、同一の燃料加熱時間に対して目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWが大きくなる方向にオフセットし、時間閾値Xは長くなる。一方、燃料の初期温度が高くなると、破線で示す特性線は、同一の燃料加熱時間に対して目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWが小さくなる方向にオフセットし、時間閾値Xは短くなる。
燃料温度が温度閾値Tαを超える、又は、燃料加熱時間が時間閾値Xを超える領域Iでは、通常点火によって十分に良好な着火及び始動が可能であるため、エネルギ投入制御を停止することで消費電力を低減することができる。
一方、燃料温度が温度閾値Tα以下、又は、燃料加熱時間が時間閾値X以下の領域IIでは、燃料温度又は燃料加熱時間に応じて目標二次電流I2*又はエネルギ投入期間IGWを変更することで、低温での始動時に良好な着火性を確保することができる。
ここで、温度閾値Tα、及び、ある初期温度に対応する時間閾値Xは、例えばエンジン回転数、エンジン負荷、又は燃料中のアルコール濃度等のパラメータにより、マップ等を用いて可変としてもよい。
また、図5のタイムチャートでは、放電スイッチ57によるエネルギ投入を停止させると共に、充電スイッチ53によるエネルギの蓄積を停止しているため、コンデンサ56が過充電になることを防止することができる。ただし、コンデンサ56の充電能力が十分に有る場合は、エネルギ投入の有無に関わらず、コンデンサ電圧Vdcを蓄積してもよい。これにより、燃料温度が急激に低下した場合、蓄積したエネルギを迅速に投入することができる。
(その他の実施形態)
(ア)上記実施形態では、本出願人が開発した「一次コイルの接地側からエネルギ投入する方式」における設定値を燃料加熱装置80の燃料温度に応じて設定している。この他、従来の多重放電方式や特開2012−167665号公報に開示された「DCO方式」等のエネルギ投入制御方式に対して、本発明を適用し、燃料温度に基づいて投入エネルギを設定するようにしてもよい。より、具体的には放電持続時間を延ばして放電時間を延ばせばよいし、電源電圧を上げて二次電流を増加させてもよい。
また、図2の構成の点火制御システム300によるエネルギ投入制御は、図3に示すように、点火信号IGTのHレベル中に充電スイッチ信号SWcをオンオフしてコンデンサ電圧Vdcを蓄積した後、エネルギ投入期間IGWに、一次コイル41の接地側にエネルギを投入する方法に限らない。例えば、エネルギ投入期間IGWに、充電スイッチ信号SWcと放電スイッチ信号SWdとを交互にオンオフ制御することで、充電スイッチ信号SWcがオンのときエネルギ蓄積コイル52が蓄積したエネルギを、その都度、一次コイル41の接地側に投入するようにしてもよい。その場合、コンデンサ56を備えなくてもよい。
(イ)二次電流I2の制御は、上記実施形態のように、二次電流検出抵抗47及び二次電流検出回路48を備え、二次電流I2をフィードバック制御する形態に限らない。例えば、二次電流検出抵抗47及び二次電流検出回路48を備えず、二次電流I2をフィードフォワード制御してもよい。
(ウ)点火回路ユニット31は、電子制御ユニット32を収容するハウジング内に収容されるか、或いは点火コイル40を収容するハウジング内に収容されてもよい。
点火スイッチ45及びエネルギ投入部50は別々のハウジング内に収容されてもよい。例えば、点火コイル40を収容するハウジング内に点火スイッチ45が収容され、電子制御ユニット32を収容するハウジング内にエネルギ投入部50が収容されてもよい。
(エ)点火スイッチは、IGBTに限らず、比較的耐圧の高い他のスイッチング素子で構成されてもよい。また、充電スイッチ及び放電スイッチは、MOSFETに限らず、他のスイッチング素子で構成されてもよい。
(オ)直流電源は、バッテリに限らず、例えば交流電源をスイッチングレギュレータ等によって安定化した直流安定化電源等で構成されてもよい。
(カ)上記実施形態では、エネルギ投入部50は、DCDCコンバータ51によって、バッテリ6の電圧を昇圧している。その他、点火装置がハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される場合には、主機バッテリの出力電圧をそのまま、或いは降圧して、投入エネルギとして用いてもよい。
(キ)電子制御ユニット32は、点火制御部33及びその他の機能部分が一つのユニットとして構成されてもよく、或いは、信号線等によって互いに通信される別体のユニットとして構成されてもよい。
(ク)上記実施形態の図2では、ヒータ81の電力源として、点火コイル40に一次電流を供給するバッテリ6を共通に用いているが、ヒータ専用の電力源を用いてもよい。
また、加熱手段は、電気ヒータに限らず、エンジン13の排熱を利用した排熱ヒータ等を用いてもよい。
(ケ)ヒータ81への通電を開閉するヒータスイッチ82は、MOSFET等の半導体スイッチング素子に限らず、機械式スイッチ等を用いてもよい。
(コ)上記第2実施形態では、燃料の初期温度とヒータ81の通電時間である燃料加熱時間とから現在の燃料温度を推定する。この他、ヒータ81の通電時間に代えて、例えばヒータ81の消費電力等、ヒータ81の出力を反映する情報に基づいて、現在の燃料温度を推定してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施可能である。
13 ・・・内燃機関、
300・・・点火制御システム、
33 ・・・点火制御部(投入エネルギ設定手段)、
40 ・・・点火コイル、
41 ・・・一次コイル、 42 ・・・二次コイル、
45 ・・・点火スイッチ、
50 ・・・エネルギ投入部(エネルギ投入手段)、
6 ・・・バッテリ(直流電源)、
7 ・・・点火プラグ、
80 ・・・燃料加熱装置、
85 ・・・燃料供給流路。

Claims (3)

  1. 内燃機関(13)において混合気への点火を制御する点火制御システム(300)であって、
    直流電源(6)から供給される一次電流が流れる一次コイル(41)、及び、点火プラグ(7)の電極に接続され、前記一次電流の通電及び遮断による二次電圧が発生し二次電流が流れる二次コイル(42)を有する点火コイル(40)と、
    前記一次コイルの前記直流電源と反対側である接地側に接続され、点火信号(IGT)にしたがって前記一次電流の通電と遮断とを切り替える点火スイッチ(45)と、
    前記点火スイッチにより前記一次電流を遮断し、前記遮断による二次電圧で前記点火プラグの放電を発生させた後の所定のエネルギ投入期間(IGW)において、前記一次コイル側から前記点火コイルにエネルギを投入可能なエネルギ投入手段(50)と、
    前記エネルギ投入手段による投入エネルギを設定する投入エネルギ設定手段(33)と、
    前記内燃機関に供給される燃料が収容される燃料供給流路(85)の燃料を加熱可能な燃料加熱装置(80)と、
    を備え、
    前記一次コイルの接地側には、接地に向かう電流を遮断し、接地から前記一次コイルの接地側に向かう電流を通流する整流素子(46)が接続されており、
    前記投入エネルギ設定手段は、
    前記燃料加熱装置の燃料温度に応じて、前記燃料加熱装置の燃料温度が低いほど、前記二次電流の目標値を高く設定するか、かつ/又は、前記エネルギ投入期間を長く設定するように前記投入エネルギを設定し、
    前記燃料加熱装置の燃料温度が所定の温度閾値を超えるとき、
    前記二次電流の目標値又は前記エネルギ投入期間を、前記温度閾値において不連続に変化させつつゼロに設定することを特徴とする点火制御システム。
  2. 前記燃料加熱装置は、燃料を加熱可能な加熱手段(81)、及び、燃料温度を検出する温度検出手段(84)を有し、
    前記投入エネルギ設定手段は、
    前記温度検出手段が検出した燃料温度の検出値に応じて、前記投入エネルギを設定することを特徴とする請求項に記載の点火制御システム。
  3. 前記エネルギ投入手段は、前記一次コイルの接地側から前記二次電流と同じ極性で重畳的に前記点火コイルにエネルギを投入可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の点火制御システム。
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