JP6390684B2 - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、SiC単結晶の製造方法に関する。
SiC単結晶は、熱的、化学的に非常に安定であり、機械的強度に優れ、放射線に強く、しかもSi単結晶に比べて高い絶縁破壊電圧、高い熱伝導率などの優れた物性を有する。そのため、Si単結晶やGaAs単結晶などの既存の半導体材料では実現できない高出力、高周波、耐電圧、耐環境性等を実現することが可能であり、大電力制御や省エネルギーを可能とするパワーデバイス材料、高速大容量情報通信用デバイス材料、車載用高温デバイス材料、耐放射線デバイス材料等、といった広い範囲における、次世代の半導体材料として期待が高まっている。
従来、SiC単結晶の成長法としては、代表的には気相法、アチソン(Acheson)法、及び溶液法が知られている。気相法のうち、例えば昇華法では、成長させた単結晶にマイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通状の欠陥や積層欠陥等の格子欠陥及び結晶多形が生じやすいという欠点を有するが、結晶の成長速度が大きいため、従来、SiCバルク単結晶の多くは昇華法により製造されている。昇華法による成長結晶の欠陥を低減する試みも行われているが、欠陥を含まない結晶を成長させることは困難である。アチソン法では原料として珪石とコークスを使用し電気炉中で加熱するため、原料中の不純物等により結晶性の高い単結晶を得ることは不可能である。
溶液法は、黒鉛坩堝中でSi融液又はSi融液に合金を融解した融液に、Cを溶解させ、低温部に設置した種結晶上にSiC結晶層を析出させて成長させる方法である。溶液法は気相法に比べ、熱平衡に近い状態で結晶成長が行われるため、低欠陥化が期待できる。このため、最近では、溶液法によるSiC単結晶の製造方法がいくつか提案されており、特許文献1では、転位及び欠陥が少ないSiC単結晶を得る方法が提案されている。
特許文献1は、口径拡大させて、転位及び欠陥の少ないSiC単結晶を得ようとするものであるが、口径拡大率が未だ不十分であり、転位及び欠陥が少なくかつ従来よりも大きな口径拡大部を得る方法が望まれている。
本発明は、上記課題を解決するものであり、転位及び欠陥が少なくかつ口径拡大率の大きいSiC単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の態様は、以下のようである。
(1)内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持されたSiC種結晶を接触させる、溶液法によるSiC単結晶の製造方法において、
前記種結晶は、前記Si−C溶液の表面に平行に配置される下面と、前記種結晶保持軸に保持される上面と、前記上面と前記下面の間の側面と、を有し、
前記種結晶の下面が、(0001)面又は(000−1)面であり、
前記種結晶の下面の形状が、円形状の少なくとも一部に除去部を有する形状で、かつ、外周に円弧形状部を有する形状であり、
前記除去部の数が、1又は複数であり、
前記除去部の形状は、前記円形状の円弧上の2点を結ぶ弦に沿って除去された、劣弧又は半円周を有する弓形であり、
前記円形状の中心と1つの前記除去部の前記円弧上の2点とが成す中心角が40°以上であり、
前記除去部の前記中心角の合計が180°以下であり、
前記種結晶と前記Si−C溶液との間にメニスカスを形成して、前記種結晶の前記下面から前記SiC単結晶を成長させること、を含む、
SiC単結晶の製造方法。
(2)前記除去部の数が、1〜4である、上記(1)に記載の製造方法。
(3)前記除去部の数が、1である、上記(1)に記載の製造方法。
(4)前記種結晶を前記Si−C溶液に接触させているときに、前記種結晶を、前記Si−C溶液の表面と平行な方向に回転させることを含む、上記(1)〜(3)いずれか一項に記載の製造方法。
(1)内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持されたSiC種結晶を接触させる、溶液法によるSiC単結晶の製造方法において、
前記種結晶は、前記Si−C溶液の表面に平行に配置される下面と、前記種結晶保持軸に保持される上面と、前記上面と前記下面の間の側面と、を有し、
前記種結晶の下面が、(0001)面又は(000−1)面であり、
前記種結晶の下面の形状が、円形状の少なくとも一部に除去部を有する形状で、かつ、外周に円弧形状部を有する形状であり、
前記除去部の数が、1又は複数であり、
前記除去部の形状は、前記円形状の円弧上の2点を結ぶ弦に沿って除去された、劣弧又は半円周を有する弓形であり、
前記円形状の中心と1つの前記除去部の前記円弧上の2点とが成す中心角が40°以上であり、
前記除去部の前記中心角の合計が180°以下であり、
前記種結晶と前記Si−C溶液との間にメニスカスを形成して、前記種結晶の前記下面から前記SiC単結晶を成長させること、を含む、
SiC単結晶の製造方法。
(2)前記除去部の数が、1〜4である、上記(1)に記載の製造方法。
(3)前記除去部の数が、1である、上記(1)に記載の製造方法。
(4)前記種結晶を前記Si−C溶液に接触させているときに、前記種結晶を、前記Si−C溶液の表面と平行な方向に回転させることを含む、上記(1)〜(3)いずれか一項に記載の製造方法。
本発明によれば、転位及び欠陥が少なく且つ大きな口径拡大部を有するSiC単結晶を得ることができる。
<SiC単結晶の製造方法>
本発明の実施形態におけるSiC単結晶の製造方法について説明する。
本発明の実施形態におけるSiC単結晶の製造方法について説明する。
本発明の実施形態におけるSiC単結晶の製造方法は、内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持されたSiC種結晶を接触させる、溶液法によるSiC単結晶の製造方法において、上記種結晶は、上記Si−C溶液の表面に平行に配置される下面、上記種結晶保持軸に保持される上面、及び上記上面と上記下面の間の側面と、を有し、上記種結晶の下面が、(0001)面又は(000−1)面であり、上記種結晶の下面の形状が、円形状の少なくとも一部に除去部を有する形状で、かつ、外周に円弧形状部を有する形状であり、上記除去部の数が、1又は複数であり、上記除去部の形状は、上記円形状の円弧上の2点を結ぶ弦に沿って除去された、劣弧又は半円周を有する弓形であり、上記円形状の中心と1つの上記除去部の上記円弧上の2点とが成す中心角が40°以上であり、上記除去部の上記中心角の合計が180°以下であり、上記種結晶と上記Si−C溶液との間にメニスカスを形成して、上記種結晶の上記下面から上記SiC単結晶を成長させること、を含む。
(000−1)面等の表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを「−1」と表記したものである。
メニスカスとは、表面張力によって種結晶の下面とSi−C溶液の表面に形成される凹状の曲面を言う。
円形状とは、真円形状だけでなく、楕円形状を含む形状を意味する。
以下、図面を参照しながら説明する。
除去部とは、図2の除去部16で例示される。除去部16は、切り出しや研磨等によって円形状の種結晶から除去された部分のことを意味する。
劣弧とは、図2の劣弧6で例示される。劣弧6は、円周上の二点によって円周を分けたときの、半円より小さい方の弧を意味する。また、半円周とは、円周を直径で二等分したときの、その一方のことであり、円周の半分を意味する。
弓形とは、図2の除去部16で例示される形であり、円の弧と、その両端を結ぶ弦とによってできる形のことを意味する。
中心角とは、図2の中心角2で例示される。中心角2とは、円の弧の両端を通る2つの半径が作る角を意味する。
円弧形状部とは、円形状の円周の一部を有する部分を意味する。
従来より、溶液法を用いて、(0001)面又は(000−1)面を成長面としてSiC単結晶を結晶成長させることが行われているが、成長した結晶中には、積層欠陥及び基底面転位は伝搬しにくいが、貫通転位は伝搬しやすいことが知られている。例えば、特許文献1では、通常の円盤状の種結晶を用いて結晶を成長させて、種結晶の下面(c面)よりも下方で、種結晶のc面の直下よりも外側の領域で、転位や欠陥が含まれない単結晶を得ることが開示されている。
しかしながら、従来から用いられている円盤状の種結晶を用いて結晶成長を行う場合、転位等が含まれない高品質な口径拡大部が小さく、より口径拡大率を高めたSiC単結晶の製造方法が必要とされていた。
そこで、発明者らは、より口径拡大率を高めたSiC単結晶の製造方法について鋭意研究を行った結果、除去部から成長する結晶の口径拡大率が、除去部以外(円弧形状部)から成長する結晶の口径拡大率よりも大きいという新たな知見を得た。換言すると、円形状の中心からの距離が近い除去部から成長する結晶の口径拡大率が、円形状の中心からの距離が遠い円弧形状部から成長する結晶の口径拡大率よりも大きいことを見出した。その結果、低転位部分が大きいSiC単結晶を得ることができる。
本発明の実施形態におけるSiC単結晶の製造方法において、除去部から成長する結晶の口径拡大率が、除去部以外(円弧形状部)から成長する結晶の口径拡大率よりも大きくなることについて、特定の理論に束縛はされないが、以下のようなメカニズムであると推定される。
円形状から除去された一つの上記除去部の上記中心角が40°以上であることで、除去部の弦に形成されるSi−C溶液のメニスカス角度が、円弧形状部に形成されるSi−C溶液のメニスカス角度よりも大きくなる。メニスカス角度が大きくなると、得られる結晶は基本的にメニスカスに沿った形状となるため、大きな口径拡大部を有することとなる。口径拡大部は転位及び欠陥が含まれない単結晶であるため、メニスカス角度が大きくなると、転位及び欠陥が少ない大きな口径拡大部を形成することができる。ここで、メニスカス角度とは、図3のメニスカス角度30及び31で示される角度であり、メニスカス28と種結晶の側面36とが成す角度を意味する。
さらに、種結晶の下面の形状が、円形状の少なくとも一部に除去部を有する非円形状であっても、Si−C溶液の面方向の温度分布は円形状に対称性を有するため、単結晶はSi−C溶液の温度分布の対称性に起因して、円形状に成長しようとすると推定される。その場合、除去部からの結晶成長が促進されないと、成長した単結晶は円形状に近づかない。そのため、円弧形状部での結晶成長が、除去部での結晶成長を引っ張るような作用をし、除去部から成長する結晶の口径拡大速度が促進されると考えられる。その結果、除去部(例えば、弦の中心点)から成長する結晶の口径拡大率が、円弧形状部から成長する結晶の口径拡大率よりも大きくなる。つまり、円形状の中心からの距離が近い部分(例えば、弦の中心点)の口径拡大率が、遠い部分(例えば、円弧形状部の円周上の点)での口径拡大率よりも大きくなり、従来の円形状の種結晶の時よりも大きな口径拡大部を得ることができると推定される。ここで、口径拡大率とは、口径拡大率=口径拡大方向に成長した長さ/種結晶の下面に垂直方向に成長した長さ、を意味する。
以下に、本発明の実施形態におけるSi−C単結晶の製造方法を構成ごとに説明する。
本発明の実施形態におけるSiC単結晶の製造方法では、溶液法が用いられる。SiC単結晶を製造するための溶液法とは、坩堝内において、内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液の表面に種結晶を接触させ、種結晶近傍のSi−C溶液を過飽和にすることによって、種結晶上にSiC単結晶を成長させる方法である。
本発明の実施形態におけるSi−C溶液とは、Si又はSi/X(XはSi以外の一種以上の金属)の融液を溶媒とし、その溶媒にCを溶解させた溶液をいう。Xは一種類以上の金属であり、SiC(固相)と熱力学的に平衡状態となる液相(溶液)を形成できれば特に制限されない。適当な金属Xの例としては、Ti、Mn、Cr、Ni、Ce、Co、V、Fe等が挙げられる。
本発明の実施形態におけるSi−C溶液は、Si/Cr/X(XはSi及びCr以外の一種以上の金属)の融液を溶媒とするSi−C溶液が好ましい。さらに、Cの溶解量の変動が少ないという観点から、原子組成百分率でSi/Cr/X=30〜80/20〜60/0〜10の融液を溶媒とするSi−C溶液が好ましい。例えば、坩堝内にSiに加えて、Cr、Ni等を投入し、Si−Cr溶液、Si−Cr−Ni溶液等を形成することができる。
本発明の実施形態におけるSi−C溶液は、内部から表面に向けて温度勾配を有する。Si−C溶液の表面領域の温度勾配とは、Si−C溶液の表面の垂直方向の温度勾配であって、Si−C溶液の内部から溶液の表面に向けて温度低下する温度勾配である。表面温度は1800℃〜2200℃であることが好ましい。
Si−C溶液の温度測定は、熱電対、放射温度計等を用いて行うことができる。熱電対に関しては、高温測定及び不純物混入防止の観点から、ジルコニアやマグネシア硝子を被覆したタングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対が好ましい。
本発明の実施形態におけるSiC種結晶は、種結晶保持軸により保持されている。種結晶保持軸は、その端面に種結晶を保持する黒鉛の軸であることができる。種結晶保持軸は、円柱状、角柱状等の任意の形状であることができ、種結晶の上面の形状と同じ端面形状を有する黒鉛軸を用いてもよい。
種結晶のSi−C溶液への接触は、種結晶を保持した種結晶保持軸をSi−C溶液面に向かって降下させ、種結晶の下面をSi−C溶液の表面に対して平行にして、Si−C溶液に接触させることによって行うことができる。そして、Si−C溶液面に対して種結晶を所定の位置に保持して、SiC単結晶を成長させることができる。種結晶の下面がSi−C溶液の表面に平行とは、実質的に平行であれば良い。
種結晶の保持位置は、種結晶の下面の位置が、Si−C溶液面に対して上側にあってよい。その場合は、一旦、種結晶をSi−C溶液に接触させて、種結晶の下面にSi−C溶液を接触させてから、所定の位置に引き上げる。また、結晶成長中に種結晶の位置を調節してもよい。
本発明の実施形態においては、種結晶の下面となる(0001)面又は(000−1)面からエピタキシャル成長を行うために、図3に示すように、種結晶の下面とSi−C溶液との間にメニスカスを形成してSiC単結晶を成長させる。また、「メニスカスを形成」とは、Si−C溶液の表面に種結晶の下面を接触させてから、所定の位置まで引き上げて、Si−C溶液にメニスカスが形成されている状態を表す。
本発明の実施形態における種結晶は、Si−C溶液の表面に平行に配置される下面、種結晶保持軸に保持される上面、及び上面と下面との間の側面を有する。
種結晶は、種結晶の下面と側面との間の角度(以下、下面/側面角度)が90°の円盤状、円柱状、若しくは角柱状等であることができ、又は種結晶の下面/側面角度が90°よりも小さい円錐台状若しくは角錐台状等であることができる。
下面/側面角度が90°の円盤状、円柱状、又は角柱状の種結晶の場合、種結晶試料の準備が比較的容易である。下面/側面角度が90°よりも小さい円錐台状又は角錐台状の種結晶は、円盤状、円柱状、若しくは角柱状の種結晶を切断、研磨等を行って準備することができる。
本発明の実施形態における種結晶の下面は、(0001)面又は(000−1)面である。当該下面とSi−C溶液の表面との間にメニスカスを形成して口径拡大しながら単結晶を成長させる。(0001)面又は(000−1)面での結晶成長は、(0001)面又は(000−1)面の直下に貫通転位が伝搬しやすく、積層欠陥及び基底面転位は成長結晶に伝搬しにくい。そのため、口径拡大部は、転位や欠陥のない高品質な単結晶である。
種結晶の厚みは、特に限定されないが、実用上15mm以下のものを用いることが好ましい。例えば1〜5mm厚の種結晶を用いることができる。
本発明の実施形態における種結晶の下面は、例えば、図2で示されるような形状を有することができる。図2に示されるように、種結晶14は、円形状の少なくとも一部に除去部16を有する。除去部16は、円形状の円弧上の2点を結ぶ弦4に沿って除去された、劣弧6又は半円周を有する弓形である。つまり、除去部16の大きさは、種結晶14の大きさよりも小さい、又は同じ大きさである。また、弦4は実質的に直線状であれば良く、円弧形状部8は実質的に円弧形状であれば良い。
除去部16は、1つ又は複数有していてもよく、円形状の中心と1つの除去部16の円弧上の2点とが成す中心角2が40°以上であり、除去部16の中心角2の合計が180°以下となるように形成される。一つの中心角2が40°以上180°以下であることで、図3で示されるように、メニスカス28を形成した時、除去部16でのメニスカス角度30を、円弧形状部8でのメニスカス角度31よりも大きくすることができる。メニスカス角度30が大きくなると、種結晶を成長させる際に、口径拡大がしやすくなるため、転位及び欠陥の少ない大きな口径拡大部を得ることができる。中心角2が40°より小さくなると、形成されるメニスカス28のメニスカス角度30が、円弧形状部8のメニスカス角度31と実質的に同じ角度になり、口径拡大しにくい。除去部16の中心角2が180°より大きくなると、除去部において、局所的にメニスカス角度が大きくなる現象が得られなくなる。また、本発明の実施形態における製造方法では、円の中心とるつぼの中心を一致させることが好ましい。そのためには、事実上結晶の保持軸の中心と円の中心も一致させることが好ましい。中心角2が180°を超えるとこれが困難となる。また、実験結果より165°を超えると、メニスカス角度が大きくなる効果が小さくなりはじめる。
本発明の実施形態における種結晶の下面の形状は、図2の他にも、図4で示されるような形状を挙げることができる。図4に示されるような種結晶の下面の形状は、円形状の少なくとも一部に除去部を有し、かつ、外周に円弧形状部を有する。
図4(a)、(b)、(c)及び(d)は、本発明の実施形態を例示したものであり、これらに限定されるものではないが、一つの除去部によって形成される中心角は、それぞれ100°、90°、60°、及び45°であり、全て40°以上である。そのため、メニスカス角度が、従来の円形状の種結晶を用いた時に形成されるメニスカス角度よりも大きくなり、円形状の種結晶を用いた時よりも口径拡大がしやすい。また、各形状において、全ての除去部の中心角の合計は、それぞれ100°、180°、180°、及び180°であり、全て180°以下の範囲内である。
除去部の中心角の合計は、口径拡大部を大きくするという観点から、40°〜180°が好ましく、40°〜110°がより好ましく、40°〜90°が更に好ましい。
本発明の実施形態の種結晶の下面の形状における除去部の数は、円形状の中心と1つの除去部の円弧上の2点とが成す中心角が40°以上であり、除去部の中心角の合計が180°以下であれば、特に限定はされないが、1〜4がより好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2がより好ましく、1がさらに好ましい。除去部の数が少ないと、1つの除去部の大きさを大きくできるため、口径拡大部を大きくすることができる。
また、SiC単結晶を成長させる種結晶には、もともと転位や欠陥が含有されている場合があるため、転位や欠陥が円形状の円周部付近にある場合、転位や欠陥を含む部分を切り出すことができる。つまり、転位や欠陥を切り出しつつ、口径拡大率の大きい除去部を形成することで、効率よく高品質のSiC単結晶を製造できる。
除去部を作製する方法は、任意の方法であることができ、例えば、切り出しや研磨により作製することができる。
本発明の実施形態において、種結晶をSi−C溶液に接触させるとき、種結晶をSi−C溶液の表面と平行な方向に回転させてもよい。種結晶を回転させることで、Si−C溶液の熱分布のばらつきによる転位や欠陥の発生をより抑制することができる。また、形成される単結晶を対称性を有する円形状に成長させやすい。回転速度は1〜5rpm程度が好ましい。
図1に、本発明の方法を実施するのに適したSiC単結晶製造装置の一例を示す。図示したSiC単結晶製造装置100は、Si又はSi/Xの融液中にCが溶解してなるSi−C溶液24を収容した坩堝10を備え、Si−C溶液の内部から溶液の表面に向けて温度低下する温度勾配を形成し、昇降可能な黒鉛軸12の先端に保持された種結晶14をSi−C溶液24に接触させて、SiC単結晶を成長させることができる。坩堝10及び/又は黒鉛軸12を回転させてもよい。
Si−C溶液24は、原料を坩堝に投入し、加熱融解させて調製したSi又はSi/Xの融液にCを溶解させることによって調製される。坩堝10を、黒鉛坩堝などの炭素質坩堝又はSiC坩堝とすることによって、坩堝10の溶解によりCが融液中に溶解し、Si−C溶液が形成される。こうすると、Si−C溶液24中に未溶解のCが存在せず、未溶解のCへのSiC単結晶の析出によるSiCの浪費が防止できる。Cの供給は、例えば、炭化水素ガスの吹込み、又は固体のC供給源を融液原料と一緒に投入するといった方法を利用してもよく、又はこれらの方法と坩堝の溶解とを組み合わせてもよい。
保温のために、坩堝10の外周は、断熱材18で覆われている。これらが一括して、石英管26内に収容されている。石英管26の外周には、加熱用の高周波コイル22が配置されている。高周波コイル22は、上段コイル22A及び下段コイル22Bから構成されてもよく、上段コイル22A及び下段コイル22Bはそれぞれ独立して制御可能である。
坩堝10、断熱材18、石英管26、及び高周波コイル22は、高温になるので、水冷チャンバーの内部に配置される。水冷チャンバーは、Ar、He、N2等を用いて装置内に、ガス導入口とガス排気口とを備える。
Si−C溶液の温度は、通常、輻射等のためSi−C溶液の内部よりも表面の温度が低い温度分布となる。しかし、高周波コイル22の巻数及び間隔、高周波コイル22と坩堝10との高さ方向の位置関係、並びに高周波コイルの出力を調整することによって、Si−C溶液24に、種結晶14が浸漬される溶液上部が低温、溶液下部が高温となるようにSi−C溶液24の表面に垂直方向の所定の温度勾配を形成することができる。例えば、下段コイル22Bの出力よりも上段コイル22Aの出力を小さくして、Si−C溶液24に溶液上部が低温、溶液下部が高温となる所定の温度勾配を形成することができる。温度勾配は、例えば、溶液表面からの深さがおよそ10mmまでの範囲で、1〜30°/cmにすることができる。
Si−C溶液24中に溶解したCは、拡散及び対流により分散される。種結晶14の下面近傍は、コイル22の上段/下段の出力制御、Si−C溶液の表面からの放熱、及び黒鉛軸12を介した抜熱によって、Si−C溶液24の下部よりも低温となる温度勾配が形成される。高温で溶解度の大きい溶液下部に溶け込んだCが、低温で溶解度の低い種結晶下面付近に到達すると過飽和状態となり、この過飽和度を駆動力として種結晶14上にSiC単結晶を成長させることができる。
いくつかの態様において、SiC単結晶の成長前に、SiC種結晶の表面層をSi−C溶液中に溶解させて除去するメルトバックを行ってもよい。SiC単結晶を成長させる種結晶の表層には、転位等の加工変質層や自然酸化膜などが存在していることがあり、SiC単結晶を成長させる前にこれらを溶解して除去することが、高品質なSiC単結晶を成長させるために効果的である。溶解する厚みは、SiC種結晶の表面の加工状態にもよるが、加工変質層や自然酸化膜を十分に除去するために、およそ5〜50μmが好ましい。
メルトバックは、Si−C溶液の内部から溶液の表面に向けて温度が増加する温度勾配、すなわち、SiC単結晶成長とは逆方向の温度勾配をSi−C溶液に形成することにより行うことができる。高周波コイルの出力を制御することによって上記逆方向の温度勾配を形成することができる。
メルトバックは、Si−C溶液に温度勾配を形成せず、単に液相線温度より高温に加熱されたSi−C溶液に種結晶を浸漬することによっても行うことができる。この場合、Si−C溶液温度が高くなるほど溶解速度は高まるが溶解量の制御が難しくなり、温度が低いと溶解速度が遅くなることがある。
Si−C溶液面に種結晶の下面を接触させる際、種結晶の下面は、(0001)面又は(000−1)面からのオフセット角度が0〜±10°、好ましくは0〜±5°、さらに好ましくは0〜±2°、さらに好ましくは0〜±1°の面であり、最も好ましくは(0001)面又は(000−1)面に平行な面である。種結晶から成長結晶に伝搬し得る貫通転位は(0001)面又は(000−1)面に垂直方向に形成され得るため、種結晶の下面が(0001)面又は(000−1)面に平行であるほど、口径拡大部に貫通転位を生じにくくすることができる。
いくつかの態様において、あらかじめ種結晶を加熱しておいてから種結晶をSi−C溶液に接触させてもよい。低温の種結晶を高温のSi−C溶液に接触させると、種結晶に熱ショック転位が発生することがある。種結晶をSi−C溶液に接触させる前に、種結晶を加熱しておくことが、熱ショック転位を防止し、高品質なSiC単結晶を成長させるために効果的である。種結晶の加熱は黒鉛軸ごと加熱して行うことができる。この場合、種結晶をSi−C溶液に接触させた後、SiC単結晶を成長させる前に種結晶保持軸の加熱を止める。又は、この方法に代えて、比較的低温のSi−C溶液に種結晶を接触させてから、結晶を成長させる温度にSi−C溶液を加熱してもよい。この場合も、熱ショック転位を防止し、高品質なSiC単結晶を成長させるために効果的である。
<種結晶の作製>
(比較例1)
下面の円形状の直径が41mmの円盤状の4H−SiC種結晶を、円柱形状の黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。この時、種結晶の下面(成長面)を(000-1)面とした。
(比較例1)
下面の円形状の直径が41mmの円盤状の4H−SiC種結晶を、円柱形状の黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。この時、種結晶の下面(成長面)を(000-1)面とした。
図1に示すSiC単結晶製造装置を用い、Si−C溶液24を収容する黒鉛坩堝10に、Si/Cr/Niを原子組成百分率で50:40:10の割合で融液原料として仕込んだ。単結晶製造装置の内部の空気をヘリウムで置換した。黒鉛坩堝10の周囲に配置された高周波コイル22に通電して加熱により黒鉛坩堝10内の原料を融解し、Si/Cr/Ni合金の融液を形成した。そしてSi/Cr/Ni合金の融液に黒鉛坩堝10から十分な量のCを溶解させて、Si−C溶液24を形成した。
上段コイル22A及び下段コイル22Bの出力を調節して黒鉛坩堝10を加熱し、Si−C溶液24の内部から溶液の表面に向けて温度低下する温度勾配を形成した。所定の温度勾配が形成されていることの確認は、昇降可能な、ジルコニア被覆タングステン−レニウム素線を黒鉛保護管の中に入れた熱電対を用いて、Si−C溶液24の温度を測定することによって行った。高周波コイル22A及び22Bの出力制御により、Si−C溶液24の表面における温度を2000℃にした。Si−C溶液の表面を低温側として、Si−C溶液の表面における温度と、Si−C溶液24の表面から溶液内部に向けて垂直方向の深さ10mmの位置における温度との温度差を10℃とした。
黒鉛軸に接着した種結晶の下面をSi−C溶液面平行に保ちながらSi−C溶液に種結晶を接触させ、種結晶下面の位置を、Si−C溶液の液面に一致する位置に配置して、Si−C溶液の液面から0.3mm引き上げてメニスカスを形成しながら、15時間、結晶を成長させた。
結晶成長の終了後、黒鉛軸を上昇させて、種結晶及び種結晶を基点として成長したSiC結晶を、Si−C溶液及び黒鉛軸から切り離して回収した。得られた成長結晶は単結晶であり、成長速度は250μm/hであった。図5に成長させた単結晶を側面から観察した写真を示す。図5に示されるように、得られた成長結晶の直径は、種結晶の直径よりも、7mm(片側3.5mm)拡大した。また、種結晶の下面に垂直方向には4mm成長した。口径拡大率はどの方位でもほぼ等しく0.875であり、ほぼ対称に口径拡大した。
(実施例1)
比較例1と同様のSiC種結晶に、図6に示すように除去部を作製し、除去部の円弧上の中心点から弦の中心点までの距離(除去部の長さ)を6mmとした。この時、中心角は88°、除去部作製後の種結晶の中心から弦までの距離は15mmであった。比較例1と同様の条件で結晶を成長させた。
比較例1と同様のSiC種結晶に、図6に示すように除去部を作製し、除去部の円弧上の中心点から弦の中心点までの距離(除去部の長さ)を6mmとした。この時、中心角は88°、除去部作製後の種結晶の中心から弦までの距離は15mmであった。比較例1と同様の条件で結晶を成長させた。
実施例1で得られた成長結晶を観察した写真を、図7及び8に示す。図7は、成長結晶を側面から観察した写真であり、図8は、成長結晶を種結晶の上面から観察した写真である。図7及び8に示すように、円弧形状部では、比較例1と同様に口径が3.5mm拡大した。それに対し、除去部では、口径が8mm拡大し、円弧形状部での結晶成長より4.5mm大きく拡大した。また、種結晶の下面に垂直方向には4mm成長した。ここで、除去部での口径拡大率は2であり、円弧形状部での口径拡大率は0.875である。すなわち、除去部の弦での口径拡大率が、除去部以外の口径拡大率よりも大きい。
(比較例2)
下面の円形状の直径が43mmの円盤状の4H−SiC種結晶に、除去部の長さが1mm、中心角が35°の除去部を設けて、種結晶を円柱形状の黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。この時、種結晶の下面(成長面)を(000-1)面とした。そして、除去部の形状とメニスカス角度の関係を調べた。メニスカスの形成は、比較例1と同様の方法で行った。
下面の円形状の直径が43mmの円盤状の4H−SiC種結晶に、除去部の長さが1mm、中心角が35°の除去部を設けて、種結晶を円柱形状の黒鉛軸の端面の略中央部に、黒鉛の接着剤を用いて接着した。この時、種結晶の下面(成長面)を(000-1)面とした。そして、除去部の形状とメニスカス角度の関係を調べた。メニスカスの形成は、比較例1と同様の方法で行った。
(実施例2)
除去部の除去部の長さを1.5mm、中心角を40°とした以外は、比較例2と同様の方法でメニスカス角度を測定した。
除去部の除去部の長さを1.5mm、中心角を40°とした以外は、比較例2と同様の方法でメニスカス角度を測定した。
(実施例3)
除去部の除去部の長さを6mm、中心角を88°とした以外は、比較例2と同様の方法でメニスカス角度を測定した。
除去部の除去部の長さを6mm、中心角を88°とした以外は、比較例2と同様の方法でメニスカス角度を測定した。
(実施例4)
除去部の除去部の長さを9mm、中心角を109°とした以外は、比較例2と同様の方法でメニスカス角度を測定した。
除去部の除去部の長さを9mm、中心角を109°とした以外は、比較例2と同様の方法でメニスカス角度を測定した。
(実施例5)
除去部の除去部の長さを16mm、中心角を88°とした以外は、比較例2と同様の方法でメニスカス角度を測定した。
除去部の除去部の長さを16mm、中心角を88°とした以外は、比較例2と同様の方法でメニスカス角度を測定した。
実施例1〜5及び比較例1〜2のメニスカス角度の測定結果を、以下の表1に示す。
(評価)
実施例1で得られたSiC単結晶から8mm口径拡大した部分の結晶を切り出し、切り出した結晶を種結晶とし、エピタキシャル成長を実施した。この時、オフセット角度を4°とした。なお、切り出した種結晶には、貫通転位が含まれてなかった。
実施例1で得られたSiC単結晶から8mm口径拡大した部分の結晶を切り出し、切り出した結晶を種結晶とし、エピタキシャル成長を実施した。この時、オフセット角度を4°とした。なお、切り出した種結晶には、貫通転位が含まれてなかった。
エピタキシャル成長により形成されたエピ層の表面の観察結果を図5に示す。図5に示すように、形成されたエピ層の表面はなめらかで、きれいなエピ層が形成されていることが確認できる。
また上記成長させたエピ層と市販の基板上のエピ層における欠陥の数を観察した。共焦点顕微鏡により表面の凹凸を検出し、穴状の欠陥(ピット)と三角形の欠陥(三角欠陥)をカウントした。その結果を表2に示す。表2に示すように、実施例1の種結晶を用いて結晶成長した口径拡大部の結晶を基に形成されたエピ層は、ピット数も三角欠陥数も、市販結晶よりも少ないことが確認された。つまり、実施例1の種結晶を用いて結晶成長した口径拡大部の結晶を基に形成されたエピ層は、高品質であることが確かめられた。
実施例1の種結晶を用いて結晶成長した口径拡大部の結晶を基に形成されたエピ層及びショットキー電極としてのNiを用いて、ショットキーダイオード(SBD)を作製し、順方向I−V特性及び逆方向I−V特性を測定した。それらの結果を、図10及び11に示す。
図10は、順方向のI−V特性を示し、横軸に電圧、縦軸に電流を示す。図10に示されるように、所望の電圧(例えば、2.0V)を印加した時に、電流が流れている。つまり、実施例1の種結晶を用いて結晶成長した部分の結晶を基に形成されたエピ層は、ダイオードとして正常に機能していることがわかる。
図11は、逆方向のI−V特性を示し、横軸に電圧、縦軸に電流を示す。図11において、電圧を大きくすることは、反対方向への電圧を大きくすることを意味する。図11は、所望の逆方向の電圧(例えば、600V)までは、壊れずにダイオードの機能を保つことができ、所望の逆方向の電圧よりも大きな電圧が印加されると、壊れて電流が流れることを表している。それはダイオードとして正常に機能できていることを示す。
2 中心角
4 弦
6 劣弧
8 円弧形状部
10 黒鉛坩堝
12 種結晶保持軸
14 種結晶
16 除去部
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管
28 メニスカス
30 弦に形成されるメニスカスのメニスカス角度
31 円弧形状部に形成されるメニスカスのメニスカス角度
32 種結晶の上面
34 種結晶の下面
36 種結晶の側面
100 単結晶製造装置
4 弦
6 劣弧
8 円弧形状部
10 黒鉛坩堝
12 種結晶保持軸
14 種結晶
16 除去部
18 断熱材
22 高周波コイル
22A 上段高周波コイル
22B 下段高周波コイル
24 Si−C溶液
26 石英管
28 メニスカス
30 弦に形成されるメニスカスのメニスカス角度
31 円弧形状部に形成されるメニスカスのメニスカス角度
32 種結晶の上面
34 種結晶の下面
36 種結晶の側面
100 単結晶製造装置
Claims (4)
- 内部から表面に向けて温度低下する温度勾配を有するSi−C溶液に、種結晶保持軸に保持されたSiC種結晶を接触させる、溶液法によるSiC単結晶の製造方法において、
前記種結晶は、前記Si−C溶液の表面に平行に配置される下面と、前記種結晶保持軸に保持される上面と、前記上面と前記下面の間の側面と、を有し、
前記種結晶の下面が、(0001)面又は(000−1)面であり、
前記種結晶の下面の形状が、円形状の少なくとも一部に除去部を有する形状で、かつ、外周に円弧形状部を有する形状であり、
前記除去部の数が、1又は複数であり、
前記除去部の形状は、前記円形状の円弧上の2点を結ぶ弦に沿って除去された、劣弧又は半円周を有する弓形であり、
前記円形状の中心と1つの前記除去部の前記円弧上の2点とが成す中心角が40°以上であり、
前記除去部の前記中心角の合計が180°以下であり、
前記種結晶と前記Si−C溶液との間にメニスカスを形成して、前記種結晶の前記下面から前記SiC単結晶を成長させること、を含む、
SiC単結晶の製造方法。 - 前記除去部の数が、1〜4である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記除去部の数が、1である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記種結晶を前記Si−C溶液に接触させているときに、前記種結晶を、前記Si−C溶液の表面と平行な方向に回転させることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
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