JP6845418B2 - 炭化ケイ素単結晶ウェハ、インゴット及びその製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素単結晶ウェハ、インゴット及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、半導体素子として好適な高品質の炭化ケイ素単結晶及び液相成長法による高品質の炭化ケイ素の結晶の製造方法などに関する。
炭化ケイ素(SiC)は電子デバイスなどの材料として幅広く用いられているSiと比較して、バンドギャップが2〜3倍程度、絶縁破壊電圧が約10倍である。そのため、SiC結晶はケイ素を用いたデバイスを超えるパワーデバイスの基板材料として期待される。SiC基板はSiC単結晶のインゴットから切出されて得られる。SiCインゴットの製造方法として、SiC結晶を気相中で結晶成長させる方法(気相成長法)と、SiC結晶を液相中で成長させる方法(液相成長法)が知られている。液相成長法は気相成長法と比較して、熱平衡に近い状態で結晶成長を行う為、欠陥密度が小さな高品質SiC単結晶が得られると期待されている。
SiCをパワーデバイス向けの基板材料として普及させる為には、デバイス化の際の信頼性向上とコストの低減が望まれている。デバイス化の際の信頼性向上に関しては、SiC単結晶中の転位欠陥が強い影響を及ぼすことが報告されており、転位欠陥の少ない高品質なSiC単結晶の製造技術が求められる。一方、製造コストの低減に関しては、SiC単結晶インゴットから切出されるチップ枚数を確保するため大型化の為の技術検討が進められている。
SiC単結晶の高品質化に関して、気相成長法の一種である昇華法では、{1−100}面や{11−20}面といういわゆるa面に繰り返し結晶成長させることで、<0001>方向に伝播する転位密度を低減させることが可能であると報告されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の手法は、RAF法(Repeated a−Face method)と呼ばれ、高品質な結晶を得る方法として知られている。しかしながら、RAF法においても、転位密度を1000個/cm以下にすることは難しかったため、原理的に気相成長法よりも欠陥密度の小さな高品質SiC単結晶が得られると期待されている液相成長法が注目されている。
SiC単結晶の高品質化に関して、液相成長法では、Si−C溶液に、(1−100)面を接触させてSiC単結晶を成長させることで、らせん転位、刃状転位、及びマイクロパイプ欠陥といった貫通転位密度を低減した高品質なSiC単結晶を得ることが可能であると報告されている(特許文献2)。特許文献2の実施例1では、種結晶の(1−100)面をSi−C溶液に接触させて、4mm程度成長させて結晶成長させ、成長結晶を(0001)面を露出するように切断すると、貫通転位が含まれていない箇所があった。
一方で、パワーデバイス向けの基板材料として使用されるSiCウェハは、(0001)面とほぼ平行に切り出す必要がある。特許文献2に記載の手法では、(1−100)面を接触させて成長させているため、(0001)面と平行にウェハを切り出すには、得られたSiCインゴットを成長面に垂直に切断する必要があり、無駄な部分が非常に多い。また、大面積のウェハを得るには、インゴットの直径を拡径するのではなく、長尺化する必要があるため、大面積のSiCウェハを大量生産するには向いていなかった。
そのため、(0001)面をSi−C溶液に接触させて、結晶成長させることができれば、得られたインゴットを結晶成長面と平行に切断するだけで、(0001)面と平行なウェハが得られるのに加えて、成長結晶の直径を種結晶の直径よりも拡張することも可能であるため、大面積のSiCウェハを大量生産するのに向いた方法だと考えられている。しかし、(0001)面の結晶成長は、最も成長速度が遅く、更には(0001)面に垂直方向に延びる貫通転位が成長とともに引き継がれるため、高品質なSiC単結晶を得ることが難しかった。
例えば、(0001)面をSi−C溶液に接触させる液相成長法ではオフ角を有する種結晶基板(以下オフ基板と記す)上に結晶成長させた場合、欠陥の少ないかつ表面の滑らかな単結晶を得ることが可能であると報告されている(特許文献3)。液相成長法でオフ基板を用いると、成長方向に平行に伸びる貫通らせん転位や貫通刃状転位が、基底面上の欠陥に変換されることで、成長に伴い欠陥が結晶の外部に掃きだされることで成長結晶内の転位密度を劇的に減少させることが可能である。特許文献3では、(0001)面に対してオフ角を設けた種結晶を用いて結晶成長を行った結果、オフ角部分上に形成された結晶表面には、貫通刃状転位と基底面転位の存在を示すエッチピットが8×10個/cmであり、貫通らせん転位の密度は1×10個/cm以下であり、オフ角を形成しない領域に形成された結晶表面よりもはるかに転位密度を減らすことができた。
他に、2種の3C−SiCの一方を優先的に成長させるために、(0001)面から〔1−100〕方向±15度の範囲となるようにオフ角が形成された6H−SiCまたは4H−SiCを種結晶として用いる方法が開示されているが、特に貫通刃状転位と貫通らせん転位についての評価を行っていなかった(特許文献4)。
また、オフ基板上の表面荒れを抑制しながら炭化ケイ素の単結晶を成長させるために、種結晶の回転中心の位置を、種結晶の中心位置からずらすことで、トレンチの形成を抑制する方法が開示されているが、特に貫通刃状転位と貫通らせん転位についての評価を行っていなかった(特許文献5)。
また、貫通らせん転位の発生を抑制するため、溶液成長法によりステップバンチングを形成した種結晶を用いて、昇華再結晶法によりSiC単結晶インゴットを得る方法が開示されている(特許文献6)。
特開2003−119097号公報 国際公開第2013/157418号 国際公開第2014/034081号 国際公開第2014/034080号 国際公開第2016/039415号 国際公開第2016/133172号
しかしながら、特許文献3、6では、貫通らせん転位と貫通刃状転位を合わせて1000個/cmを超えており、(0001)面をSi−C溶液に接触させる液相成長法で、より転位欠陥を減少させることが可能なSiC単結晶の製造技術が望まれていた。更に、欠陥を減少させた上で単結晶を直径10mm以上に大型化し、安定して厚さ10mm以上に成長させることが望まれていた。
本発明は、大面積かつ高品質な炭化ケイ素単結晶ウェハ及び炭化ケイ素単結晶インゴットと、転位欠陥密度を100個/cm以下に減少させることが可能な炭化ケイ素単結晶の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、液相成長法で、(000−1)面に対して所定のオフ角を有するオフ基板を使用して結晶成長させる際に、溶液が結晶成長面に対して上昇流となるようにすると、結晶成長時に欠陥が減少し、従来になく高品質の単結晶が得られることを見出した。このような効果は、オフ角がないオン基板や、オフ角が8度の基板では確認されず、オフ角が0.5〜5度の間にあり、結晶成長面に上昇流が接触する場合に欠陥が減少する現象が見られた。
本願の第1の発明は、円板状の炭化ケイ素単結晶ウェハであって、前記ウェハの直径が、10mm以上であり、前記ウェハの平面が、炭化ケイ素単結晶の(0001)面から0.5度以上5度以下傾いたオフ角を有し、少なくとも、直径がウェハの直径の1/3であり、中心がウェハの中心と同じである円形の領域において、貫通転位密度が100個/cm未満であることを特徴とする、炭化ケイ素単結晶ウェハである。
本願の第2の発明は、略円柱状又は略多角柱状の炭化ケイ素単結晶インゴットであって、結晶成長面が、炭化ケイ素単結晶の(000−1)面から0.5度以上5度以下傾いたオフ角を有し、結晶成長方向に対して垂直な平面内において、少なくとも、直径がインゴット断面の直径又は最遠頂点間距離の1/3であり、中心がインゴット断面の中心と同じである円形の領域において、貫通転位密度が100個/cm未満であることを特徴とする、炭化ケイ素単結晶インゴットである。
本願の第3の発明は、炭化ケイ素の種結晶を、ケイ素及び炭素を含む原料溶液に上方より接触させながら結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法において、前記種結晶の結晶成長面は(000−1)面から0.5度以上5度以下傾いたオフ角を有し、結晶成長中の原料溶液の溶液流れが、種結晶の中心部に接触する上昇流を形成していることを特徴とする、炭化ケイ素単結晶の製造方法である。
本発明により、大面積かつ高品質な炭化ケイ素単結晶ウェハ及び炭化ケイ素単結晶インゴットと、転位欠陥密度を減少させることが可能な炭化ケイ素単結晶の製造方法を提供することができる。
本発明にかかる結晶成長装置1の概要を示す図。 結晶育成装置1を利用した結晶育成の様子を示す図。 オフ角を有する種結晶9の断面の模式図。 (a)本発明にかかるSiC単結晶インゴット21の図、(b)A−A’断面図。 (a)本発明にかかるSiC単結晶インゴット22の図、(b)D−D’断面図。 本発明にかかるSiC単結晶ウェハ31の図。 比較例1−1での結晶育成の様子を示す図。
本明細書において、(000−1)面などの表記における「−1」は、本来、数字の上に横線を付して表記するところを、「−1」と表記したものである。4H−SiC又は6H−SiCとは、4H又は6Hの結晶多形を持つ炭化ケイ素結晶を表す。Hとは六方晶、数字は積層方向の一周期中に含まれる、正四面体構造層の数を表す。
本発明の実施形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の炭化ケイ素単結晶の製造方法を実施する結晶成長装置1の概要を示す図である。結晶成長装置1は、るつぼ3の内部にケイ素と炭素を含む原料溶液5を有し、引き上げ軸7は、長軸を回転軸として先端に取り付けられた種結晶9を回転可能である。種結晶9に向けて下から上へ原料溶液5が流れるような上昇流6が形成されている。なお、るつぼ3と引き上げ軸7の中心は、必ずしも一致していなくてもよいが、るつぼ3の中心と回転軸、引き上げ軸7の中心と回転軸が全て一致していることが好ましい。
るつぼ3としては、原料溶液5に炭素を供給可能なグラファイト製の黒鉛るつぼが好ましいが、炭化水素ガスや固体の炭素源を添加可能であれば、黒鉛るつぼ以外の坩堝を使用可能である。なお、原料溶液5の組成を均一にするために、るつぼ3を回転させることが好ましい。るつぼ3の回転速度は5〜30rpmが好ましく、5〜20rpmがより好ましい。回転速度が遅すぎると成長速度が遅くなる。また、回転速度が速すぎると装置に負担となるうえに、成長速度もさほど高くならない。また、るつぼ3を正方向と逆方向に周期的に回転方向を反転させながら回転させてもよい。
原料溶液5は、るつぼ3の周囲に設けられたヒーター4a、4b(以後、合わせてヒーター4とも記載する)などにより加熱され、溶融状態が保たれる。ヒーター4a、4bは、誘導加熱式でも抵抗加熱式でもよい。るつぼ3内の温度が1700〜2100℃であることが好ましい。
原料溶液のシリコン源としては、金属シリコン、シリコン合金、シリコン化合物などを用いることができる。また、原料溶液の炭素源としては、黒鉛、グラッシーカーボン、炭化ケイ素などの固体の炭素源や、メタン、エタン、プロパン、アセチレンなどの炭化水素ガス、などを用いることができる。
原料溶液5は、炭化ケイ素の結晶成長に用いられるケイ素と炭素を含む溶液であれば特に限定されないが、添加元素を加えたSi溶媒に、炭素が溶解している溶液を用いることが好ましい。原料溶液のシリコン源として使用されるシリコン合金又はシリコン化合物としては、シリコンと、Ti、Cr、Sc、Ni、Al、Co、Mn、Mg、Ge、As、P、N、O、B、Dy、Y、Nb、Nd、Feから選ばれる少なくとも一種の添加元素の合金又は化合物を使用できる。特に、炭素溶解度が大きく、蒸気圧が小さく、化学的に安定している点で、Crを20〜60モル%含むSi−Cr合金系を溶媒として用いることが好ましい。
原料溶液5は、るつぼ3の中央部、るつぼ3内を下から上に移動する上昇流6が形成され、種結晶9の中心部に接触している。上昇流の速度は成長界面から1cm離れた位置で0.5cm/s以上、5cm/s以下であることが好ましい。上昇流6の形成方法は特に限定されないが、側面のヒーター4aと底面のヒーター4bの出力を調整する方法や、るつぼ3内に流れを制御可能な突起部や板部を設ける方法、又は、外部からの高周波コイルによる電磁場により生じたローレンツ力により上昇流を形成する方法が考えられる。例えば、底面のヒーター4bの出力を高くすれば、ヒーター4bから上に向かうような対流が生じ、上昇流6が形成される。
引き上げ軸7は、種結晶9をゆっくりと上方に引き上げ、SiC単結晶11を成長させる。SiC単結晶11の直径は、種結晶9の直径と同程度でもよいが、図2に示すように、SiC単結晶11は、種結晶9よりも直径が大きくなるように結晶成長させることが好ましい。成長結晶の直径を拡大させる角度は、好ましくは35度〜90度であり、より好ましくは60度〜90度、さらに好ましくは78度〜90度である。種結晶9の側面に原料溶液を濡れ上がらせ、メニスカスを形成することにより、種結晶9の直径よりも成長結晶の直径を拡大させることができる。具体的には、種結晶周囲の溶液温度を低下させ、炭素過飽和度を増大させることで種結晶側面方向への成長速度が増大し、結晶径を拡大させることができる。
種結晶9は、4H−SiCおよび6H−SiCに代表される結晶多形を用いることができる。図3は種結晶9の表面の模式図である。種結晶9は(000−1)面に対して0.5〜5度傾斜して切断された表面を有しており、種結晶9の表面と(000−1)面との角度をオフ角と呼ぶ。また、ステップフロー方向とは、ステップが進展する方向である。例えば、[11−20]方向に向けてオフ角が形成されていれば、ステップフロー方向は[11−20]方向である。オフ角については、特許文献4の図20についても参考になる。
種結晶9の厚さは、特に限定はされないが、通常は0.1mm以上である。本実施形態においては、種結晶9の厚さが厚い方が、得られるSiC単結晶11の欠陥密度が減少する傾向があるため、種結晶9の厚さは0.3mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることがさらに好ましい。なお、種結晶9が過度に厚い場合、種結晶9が高価になりすぎるため、通常は種結晶9の厚さは10mm以下である。
少なくとも種結晶9の結晶成長面に接触する原料溶液5は、過飽和状態になっている必要がある。SiCの過飽和状態を得る方法としては、溶液を蒸発させ過飽和状態とする蒸発法、飽和濃度のSiC溶液に種結晶基板を浸漬後、過冷却によって過飽和状態とする冷却法、温度勾配を有するSiC溶液中に種結晶基板を浸漬し、低温部でSiC結晶を晶出させる温度差法などが可能である。
温度差法を用いる場合は、ヒーター4の加熱を制御するか、種結晶9により冷却するなどして、種結晶9の近辺のみが過飽和状態になるため、引き上げ軸7は、種結晶9を原料溶液5の液面にすれすれで接触する位置で回転しながら引き上げることで、種結晶9の結晶成長面にはSiCの結晶が析出する。
冷却法や蒸発法を用いる場合は、原料溶液5の全体が過飽和となるため、種結晶9を原料溶液5の内部に浸漬した状態で、引き上げ軸7を回転させることでも結晶成長をすることが可能である。
種結晶9は、固定したままでもよいが、原料溶液5の表面に平行な面内で回転させることが好ましい。種結晶9を回転させる場合、回転速度は20〜300rpmが好ましく、20〜150rpmがより好ましい。回転速度が遅すぎると成長速度が遅くなる。また、回転速度が速すぎると装置に負担となるうえに、成長速度もさほど高くならない。
また、種結晶9の回転は、周期的に正回転と逆回転を繰り返す回転であることが好ましく、その周期は30秒〜5分程度である。周期的に回転方向を入れ替えることで、結晶成長を行う際の種結晶の成長表面における原料溶液の流れを制御することができる。
オフ基板である種結晶9は、図3に示すように、(000−1)面に対して、所定のオフ角を有するように切り出されている。特に、[0001]方向から[11−20]方向に0.5〜5度の範囲でオフ角を有することが好ましい。単結晶9は、オフ角を有する面を結晶成長面として原料溶液5に接触させるように、引き上げ軸7に取り付けられる。
本発明においては、るつぼ3内に、SiC単結晶11の結晶成長面に上昇流6となるような原料溶液5の流れを設けることで、欠陥密度の少ないSiC単結晶11を得ることができる。
SiC単結晶11は、引き上げ軸7から切り離され、図4(a)に示すようなSiC単結晶インゴット21となる。通常は、種結晶9と直径が拡大した部分はSiC単結晶インゴット21から切断される。SiC単結晶インゴット21の結晶成長方向は、SiC単結晶インゴット21の長軸方向と一致する。
図4(b)は、図4(a)でのA−A’切断面での断面図である。本発明のSiC単結晶インゴット21の中央部23では、貫通らせん転位(TSD)と貫通刃状転位(TED)を合わせた貫通転位の密度が100個/cm未満である。中央部23の直径C−C’は、インゴット21の直径B−B’の1/3であり、中央部23の中心とインゴット21の中心は同一である。なお、インゴット21は、中央部23の外側の領域において、貫通転位密度が100個/cm未満であってもよいし、100個/cm以上であってもよい。
中央部23は、結晶成長時に原料溶液5の上昇流6が接触していた箇所に該当し、上昇流の影響により欠陥の少ない領域となる。
なお、SiC単結晶インゴット21は、図4では、断面が円の円柱として図示しているが、図5に示すSiC単結晶インゴット22のように、断面が六角形などの多角形である多角柱であってもよい。図5(b)は、図5(a)でのD−D’切断面での断面図である。図5(b)が示すように、中央部23の直径F−F’は、インゴット22の断面の輪郭が形成する多角形の最遠頂点間距離E−E’の1/3である。
ここで、インゴット21の直径B−B’と、インゴット22の断面の最遠頂点間距離E−E’は、15mm以上であることが好ましく、20mm以上であることがより好ましい。また、インゴット21とインゴット22の結晶成長方向の長さが10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。
SiC単結晶インゴット21を薄く切断すると、円板状のSiC単結晶ウェハ31となる。なお、SiC単結晶インゴット22を、そのまま切断すると多角形状のウェハを得ることができ、周囲を研磨して円柱状に加工してから切断すると円板状のウェハを得ることができる。ウェハの厚さは50μm以上10mm以内程度である。図6に示すように、SiC単結晶ウェハ31には、中央部33があり、この中央部33には、中央部23と同様に、貫通らせん転位(TSD)と貫通刃状転位(TED)を合わせた貫通転位の密度が100個/cm未満である。また、中央部33の直径は、ウェハ31の直径の1/3であり、中央部33の中心とウェハ31の中心は同一である。なお、ウェハ31は、少なくとも中央部33において貫通転位の密度が100個/cm未満であり、中央部33の外側の領域において、貫通転位密度が100個/cm未満であってもよいし、100個/cm以上であってもよい。
ウェハ31の直径が、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることがより好ましい。また、ウェハ31は、ウェハ31の平面が4H−SiC又は6H−SiCの(0001)面から±5度以下にあるように切り出されることが好ましく、ウェハ31の平面が、炭化ケイ素単結晶の(0001)面から0.5度以上5度以下傾いたオフ角を有してもよい。なお、ウェハ31は、オリエンテーションフラットと呼ばれる平面部分や、ノッチと呼ばれる溝を有していてもよい。
本発明のSiC単結晶ウェハ31の中央部33は、貫通らせん転位や貫通刃状転位といった貫通転位だけでなく、基底面転位や積層欠陥なども少なくなるため、電子デバイスの材料、特にパワーデバイスの基板材料として好適である。
[実施例1−1]
直径10mm、厚さ3mmの円板状の4H−SiC種結晶を炭素製の引き上げ軸の下端に固定した。種結晶の溶液に接する成長面はC面であり、[0001]方向から[11−20]方向に1度オフセットしていた。図1に示すような、高周波加熱装置の中央に設置した炭素製のるつぼ内にシリコン融液を保持することで炭素が溶解したSi−C溶液を準備した。種結晶をSi−C溶液表面に接触させて種結晶下端からSiC結晶を成長させた。更に、成長中は溶液の流れが成長界面に対して上昇流が形成されるような条件を整えた。溶液流れの制御手法としては高周波コイルへの通電により形成される電磁場により溶液側へローレンツ力を作用させ、その条件制御により所望の上昇流を調整した。
その後、引き上げ軸を回転させて種結晶を最大30rpmで回転しながら毎時0.1mmの速度で引き上げ、拡大しながら成長する結晶の直径が15mmになるまで略円錐状に結晶育成した。その後、結晶の直径が一定に保たれるように引き上げ速度を毎時0.3mm、引き上げ軸回転速度を最大30rpm、成長界面付近の温度を1850℃±20℃に制御しながら結晶育成を継続し、結晶長さが20mmを超えるまで育成を継続した。その後、育成結晶を引き上げ軸から切り離した。
得られた、育成結晶の中央部を厚さ500μmにワイヤソーを用いて、(0001)面でスライスし、その後Si面側を鏡面研磨した後に、KOHでエッチングを行い、顕微鏡によりエッチピットの数を測定することにより貫通転位密度を評価した結果、スライスしたウェハの中心から半径5mm以内の領域において、貫通転位に由来するエッチピット密度は10個/cm未満であった。
また、育成結晶と種結晶の界面近傍の領域をワイヤソーにより切断し断面観察した結果、育成結晶側では成長界面の中央部から溶液のインクルージョンの無い連続したSiC単結晶領域が成長厚みの増大とともに拡大する様子が観察された。
[実施例1−2]
種結晶厚さを0.5mmとする以外は、実施例1−1と同様にして結晶成長を行った。
[比較例1−1、1−2]
図7に示すように、結晶成長中に溶液の流れが成長界面に対して下降流8が形成されるような条件を整える以外は、実施例1−1、1−2と同様にして結晶成長を行った。但し、結晶育成は、結晶長さが5mmを超えた時点で停止した。
[比較例1−3 〜 1−6]
オフ角が0度である基板、即ちオン基板を用いる以外は、実施例1−1、1−2、比較例1−1、1−2と同様にして、結晶成長を行った。但し、結晶育成は、結晶長さが5mmを超えた時点で停止した。
比較例1−6においては、育成結晶を厚さ500μmにワイヤソーを用いてスライスし、その後Si面側を鏡面研磨した後に、KOHエッチングにより貫通転位密度を評価した結果、スライスしたウェハの中心から半径5mmの領域における貫通転位に由来するエッチピット密度は2000個/cmであった。育成結晶と種結晶の界面近傍の領域をワイヤソーにより切断し断面観察した結果、育成結晶側では溶液のインクルージョンがランダムに発生していた。
[比較例1−7 〜 1−10]
オフ角が8度である基板を用いる以外は、実施例1−1、1−2、比較例1−1、1−2と同様にして、結晶成長を行った。但し、結晶育成は、結晶長さは5mmを超えた時点で停止した。
[実施例1−3、1−4、比較例1−11、1−12]
オフ角が4度である基板を用いる以外は、実施例1−1、1−2、比較例1−1、1−2と同様にして、結晶成長を行った。但し、結晶長さが20mmを超えるまで結晶育成を継続した。
以上の実施例・比較例を、表1にまとめた。表中において、ウェハの中心から半径5mmの領域における貫通転位に由来するエッチピット密度を、中央部転位密度として評価した。表中の記号は以下の通りである。
◎:10個/cm未満
○:10個/cm以上100個/cm未満
×:100個/cm以上
実施例と比較例を対比すると、オフ角が0.5〜5度の範囲にあり、種結晶下部の流れが上昇流である場合に、中央部転位密度が良好であった。さらに、種結晶厚さが3mmである実施例1において、特に中央部転位密度が少なかった。
一方で、オフ角が0.5〜5度の範囲にあっても、種結晶下部の流れが下降流である場合、中央部転位密度の低減効果は見られなかった。同様に、オフ角が0度の場合や、8度の場合には、種結晶下部の流れが上昇流でも下降流でも中央部転位密度の低減効果は見られなかった。
[実施例2−1〜2−4、比較例2−1〜2−12]
結晶引き上げ時に、種結晶を回転させなかった以外は、実施例1−1〜1−4、比較例1−1〜1−12と同様にして、結晶育成を行った。その結果を表2に示す。
実施例2−1のように種結晶を回転させずに結晶成長させた場合でも、実施例1−1のように種結晶を回転させて結晶成長させた場合と同様の傾向が見られた。即ち、種結晶のオフ角が0.5〜5度の範囲にあり、種結晶下部の流れが上昇流である場合に、中央部転位密度が良好であった。
1 単結晶成長装置
3 るつぼ
4 ヒーター
5 原料溶液
6 上昇流
7 引き上げ軸
8 下降流
9 種結晶
11 SiC単結晶
13 ステップフロー方向
21 SiC単結晶インゴット
22 SiC単結晶インゴット
23 中央部
31 SiC単結晶ウェハ
33 中央部

Claims (13)

  1. 円板状の炭化ケイ素単結晶ウェハであって、
    前記ウェハの直径が、15mm以上であり、
    前記ウェハの平面が、炭化ケイ素単結晶の(0001)面から±5度以下にあり、
    少なくとも、直径がウェハの直径の1/3であり、中心がウェハの中心と同じである円形の領域において、貫通転位密度が100個/cm未満であることを特徴とする、炭化ケイ素単結晶ウェハ。
  2. 前記の円形の領域の外側の領域において、貫通転位密度が100個/cm 以上であることを特徴とする請求項1に記載の炭化ケイ素単結晶ウェハ。
  3. 略円柱状又は略多角柱状の炭化ケイ素単結晶インゴットであって、
    結晶成長面が、炭化ケイ素単結晶の(000−1)面から0.5度以上5度以下傾いたオフ角を有し、
    結晶成長方向に対して垂直な平面内において、少なくとも、直径がインゴット断面の直径又は最遠頂点間距離の1/3であり、中心がインゴット断面の中心と同じである円形の領域において、貫通転位密度が100個/cm未満であり、
    前記インゴットの、結晶成長方向に対して垂直な平面での断面の直径又は最遠頂点間距離が、15mm以上であることを特徴とする、炭化ケイ素単結晶インゴット。
  4. 結晶成長方向の長さが10mm以上である請求項3に記載の炭化ケイ素単結晶インゴット。
  5. 前記の円形の領域の外側の領域において、貫通転位密度が100個/cm 以上であることを特徴とする請求項3又は4に記載の炭化ケイ素単結晶インゴット。
  6. 炭化ケイ素の種結晶を、ケイ素及び炭素を含む原料溶液に上方より接触させながら結晶を成長させる炭化ケイ素単結晶の製造方法において、
    前記種結晶の結晶成長面は(000−1)面から0.5度以上5度以下傾いたオフ角を有し、
    結晶成長中の原料溶液の溶液流れが、種結晶の中心部に接触する上昇流を形成していることを特徴とする、
    炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  7. 前記種結晶の厚さが、0.3mm以上であることを特徴とする請求項6に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  8. 前記種結晶の厚さが、3mm以上であることを特徴とする請求項6に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  9. 前記種結晶が、回転中心が種結晶の中心と一致するように回転することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  10. 前記種結晶の回転方向が、周期的に反転することを特徴とする請求項9に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  11. 原料溶液の側面より底面をより強く加熱することにより、原料溶液に上昇流を形成することを特徴とする請求項6〜10のいずれか1項に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  12. 炭化ケイ素単結晶を、10mm以上成長させることを特徴とする請求項6〜11のいずれか1項に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
  13. 前記炭化ケイ素単結晶の、結晶成長方向に対して垂直な平面での断面の直径又は最遠頂点間距離が、15mm以上であることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1項に記載の炭化ケイ素単結晶の製造方法。
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