JPWO2018062224A1 - SiC単結晶の製造方法及びSiC種結晶 - Google Patents

SiC単結晶の製造方法及びSiC種結晶 Download PDF

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Abstract

溶媒インクルージョンの発生を抑制できる、溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法及び溶液成長法に用いるSiC種結晶を提供する。本実施形態によるSiC単結晶の製造方法は、SiC種結晶(8)の結晶成長面(80)をSi‐C溶液(7)に接触させてSiC単結晶を成長させる溶液成長法による製造方法である。製造方法は、準備工程と、成長工程とを備える。準備工程では、原料を加熱して溶融し、Si‐C溶液(7)を準備する。成長工程では、結晶成長面(80)をSi‐C溶液(7)に接触させ、結晶成長面(80)上にSiC単結晶を成長させる。結晶成長面(80)は非ファセット領域及びファセット領域(81)のいずれか一方のみからなる。SiC種結晶(8)の結晶成長面(80)中の特定の測定位置における、窒素濃度の最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合は15%以下である。

Description

本発明は、SiC単結晶の製造方法及びSiC種結晶に関し、さらに詳しくは、溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法及び溶液成長法に用いるSiC種結晶に関する。
SiC単結晶は、熱的及び化学的に安定な化合物半導体である。SiC単結晶は、Si単結晶と比較して、優れた物性を有する。例えば、SiC単結晶は、Si単結晶と比較して、大きいバンドギャップ、高い絶縁破壊電圧及び高い熱伝導率を有し、電子の飽和速度が速い。そのため、SiC単結晶は、次世代の半導体材料として注目されている。
SiC単結晶を製造する方法として、昇華再結晶法(以下、昇華法ともいう)及び溶液成長法(以下、溶液法ともいう)等が知られている。昇華法では、原料を気相の状態にしてSiC種結晶の上に供給することでSiC単結晶を成長させる。
一方、溶液法では、Si‐C溶液にSiC種結晶を接触させて、SiC種結晶上にSiC単結晶を成長させる。具体的には、坩堝内にSiを含む原料を入れて溶融させ、Si‐C溶液を製造する。Si‐C溶液にSiC種結晶を接触させて、SiC種結晶近傍のSi‐C溶液を過冷却することで、SiC単結晶を製造する。ここで、Si‐C溶液とは、Si又はSi合金の融液に炭素(C)が溶解した溶液のことをいう。
SiC単結晶を製造する際、その製造方法に関わらず、多結晶の発生、異種の結晶多形の混入、結晶欠陥及び転位の導入等が生じ、SiC単結晶の品質が低下する場合がある。このため、SiC単結晶には、さらなる品質の向上が求められている。
ところで、SiC単結晶には、物性の異なる2つの領域、すなわちファセット領域及び非ファセット領域が存在する。一般的には、ファセット領域とは、結晶成長時の成長界面が特定の結晶面と一致している領域を意味する。非ファセット領域とは、ファセット領域とは異なる領域である。つまり、非ファセット領域とは、結晶成長時の成長界面が結晶面と一致しない領域を意味する。しかしながら、上記の定義に限定されず、ファセット領域及び非ファセット領域は、以下の特許文献に開示されるとおり、各技術分野において、様々に定義される。
SiC単結晶の品質を向上するため、昇華法においては、均質なSiC単結晶を得るための検討がされている。
たとえば、特開2012−250897号公報(特許文献1)、特開2013−87005号公報(特許文献2)、及び特開2013−100217号公報(特許文献3)には、昇華法により得られたSiC単結晶から、非ファセット領域又はファセット領域を切り出して、均質なSiC単結晶を得るための技術が提案されている。
特許文献1は、ファセット領域をスパイラル成長によって形成された領域と定義する。特許文献1はさらに、ノンファセット領域(非ファセット領域)をステップフロー成長によって形成された領域と定義する。特許文献1では、昇華法により、ファセット領域及びノンファセット領域の両方を有する単結晶を成長させる。成長させた単結晶からファセット領域又はノンファセット領域のみを除去して、均質な単結晶を得る。これにより、単結晶から切り出された基板における物性の面内ばらつきを抑制できる、と特許文献1は開示する。
特許文献2及び特許文献3は、ファセット領域を、窒素濃度が他の領域より高くなっている高濃度窒素領域と定義する。特許文献2及び特許文献3では、昇華法により、ファセット領域及びノンファセット領域の両方を有する単結晶を成長させる。この際、ファセット領域が単結晶の中央部に位置するように成長させる。成長させた単結晶の外周部を研削する。これにより、特性の均一性に優れた全面ファセット領域の基板を得ることができる、と特許文献2及び特許文献3は開示する。
しかしながら、特許文献1〜特許文献3に開示された方法では、得られたSiC単結晶から均質な部分のみを切り出すため、特に大型のSiC単結晶の場合、生産上の損失が大きい。これらの方法ではさらに、得られたSiC単結晶から均質な部分のみを切り出すため、得られるSiC単結晶のサイズが限定され、再現性も良くない。これらの方法はさらに、昇華法であるため、結晶欠陥低減が不十分である場合がある。結晶欠陥とは例えば、マイクロパイプ欠陥と呼ばれる中空貫通状の欠陥、基底面転位、積層欠陥等の格子欠陥、及び結晶多形などである。昇華法ではさらに、SiC単結晶の結晶成長面において、非ファセット領域とファセット領域とが混在しつつ、SiC単結晶が成長する。
一方、溶液法では、昇華法と比較して、熱平衡に近い状態で結晶成長が行われる。そのため、溶液法を用いて製造されたSiC単結晶は、昇華法を用いて製造されたSiC単結晶と比較して、結晶欠陥が少ない。そのため、結晶欠陥の低減を目的として、昇華法ではなく、溶液法によるSiC単結晶の製造方法が検討されることが多くなってきた。
しかしながら、溶液法を用いてSiC単結晶を製造すれば、溶媒インクルージョンが発生する場合がある。溶媒インクルージョンとは、SiC単結晶内部にSi‐C溶液が閉じ込められてしまうことにより生じる欠陥をいう。溶媒インクルージョンは、Si‐C溶液を用いない昇華法においては問題とならなかった現象である。溶媒インクルージョンが発生すれば、SiC単結晶の品質が低下する。
特開2006−117441号公報(特許文献4)は、溶液法において溶媒インクルージョンの発生を抑制するための技術を提案する。特許文献4では、SiC単結晶の結晶成長中において、坩堝の回転数又は回転数及び回転方向を周期的に変化させることによってSi‐C溶液を攪拌することを特徴とする。これにより、径が1インチ以上で厚みが5ミクロン以上と大型になっても、インクルージョンのない良質のSiC単結晶を高い結晶成長速度で製造できる、と特許文献4には記載されている。
特開2012−250897号公報 特開2013−87005号公報 特開2013−100217号公報 特開2006−117441号公報
しかしながら、上述の特許文献4に開示された技術を用いても、SiC単結晶に溶媒インクルージョンが発生する場合がある。
本発明の目的は、溶媒インクルージョンの発生を抑制できる、溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法及び溶液成長法に用いるSiC種結晶を提供することである。
本実施形態によるSiC単結晶の製造方法は、溶液成長法による製造方法である。本実施形態による溶液成長法では、SiC種結晶の結晶成長面をSi‐C溶液に接触させてSiC単結晶を成長させる。製造方法は、準備工程と、成長工程とを備える。準備工程では、原料を加熱して溶融し、Si‐C溶液を準備する。成長工程では、ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる結晶成長面をSi‐C溶液に接触させ、結晶成長面上にSiC単結晶を成長させる。本実施形態によるSiC単結晶の製造方法ではさらに、半径Rを有する上記SiC種結晶の上記結晶成長面の中心位置と、上記中心位置を中心とした半径1/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される位置を複数の第1測定位置とする。上記中心位置を中心とした半径2/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される位置を複数の第2測定位置とする。中心位置、第1測定位置及び第2測定位置における窒素濃度のうち、最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合は15%以下である。
本実施形態によるSiC種結晶は、溶液成長法に用いるSiC種結晶である。SiC種結晶は、ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる結晶成長面を有する。本実施形態によるSiC種結晶ではさらに、半径Rを有する上記SiC種結晶の上記結晶成長面の中心位置と、上記中心位置を中心とした半径1/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される位置を複数の第1測定位置とする。上記中心位置を中心とした半径2/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される位置を複数の第2測定位置とする。中心位置、第1測定位置及び第2測定位置における窒素濃度のうち、最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合は15%以下である。
本実施形態によるSiC単結晶の製造方法、及び、本実施形態によるSiC種結晶を用いることで、溶媒インクルージョンの発生を抑制できる。
図1は、SiC種結晶の結晶成長面中の特定の測定位置における、窒素濃度の最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合(窒素濃度ばらつきNc)(%)と結晶成長において、全結晶成長厚さに対する、溶媒インクルージョンを発生せずに結晶成長する厚さの比(インクルージョンフリー度)との関係を示す図である。 図2は、本実施形態によるSiC単結晶の製造方法に用いられる製造装置の模式図である。 図3は、結晶成長面にファセット領域と非ファセット領域との両方を含む従来のSiC種結晶の底面図(結晶成長面の図)である。 図4は、図3とは異なる結晶成長面にファセット領域と非ファセット領域との両方を含む従来のSiC種結晶の底面図である。 図5は、結晶成長面での窒素濃度の測定位置を示す図である。
本発明者らは、溶媒インクルージョンの発生を抑制できる、溶液法によるSiC単結晶の製造方法について種々検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
溶液法によるSiC単結晶の結晶成長では、SiC種結晶の結晶成長面をSi‐C溶液に接触させてSiC単結晶を結晶成長させる。SiC種結晶には、ファセット領域が含まれている場合がある。ファセット領域とは、他の領域と同じ結晶構造を持ち、他の領域と比較して螺旋転位密度及び窒素濃度が高い領域をいう。
螺旋転位は、結晶成長が進行しやすいステップと呼ばれる原子レベルの小さな階段を有する。ファセット領域は、螺旋転位密度が高いため、結晶成長中にステップの供給源となる。すなわち、結晶成長面にファセット領域が含まれていれば、ファセット領域では、他の領域に比べて優先的に結晶成長が進行する。ファセット領域ではない領域を、以下、非ファセット領域という。つまり、非ファセット領域とは、他の領域と比較して螺旋転位密度及び窒素濃度が低い領域をいう。
ファセット領域と、非ファセット領域とにおける、上記の結晶成長速度の差により、溶媒インクルージョンが発生することを、本発明者らは新たに見出した。つまり、ファセット領域と、非ファセット領域とにおける結晶速度の差により発生する溶媒インクルージョンは、溶液法特有の課題である。
ファセット領域と、非ファセット領域とにおける、上記の結晶成長速度の差により、溶媒インクルージョンが発生する理由は、次のとおりであると、本発明者らは考えた。
ファセット領域では、結晶成長が早い。一方、非ファセット領域では、ファセット領域から遠い程結晶成長が遅い。そのため、結晶成長面の端にファセット領域があれば、ファセット領域と、ファセット領域から最も離れた領域とで結晶成長速度が大きく異なる。この場合、ファセット領域と、ファセット領域から最も離れた領域とでSiC単結晶が成長する厚さが大きく異なる。結晶成長厚さが大きく異なれば、ステップバンチングと呼ばれるステップの束化が進行する。ステップバンチングは、SiC単結晶の三次元的成長を促進する。SiC単結晶が三次元的に成長すれば、溶媒の一部がSiC単結晶中に閉じ込められて、溶媒インクルージョンが発生する。
本実施形態では、結晶成長面がファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなるSiC種結晶を用いる。溶液法では、種結晶の領域が結晶成長の全過程において引き継がれる。したがって、本実施形態のSiC単結晶の結晶成長面は、ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる。これにより、結晶成長面の全体において結晶成長速度の差が小さくなる。つまり、結晶成長厚さのばらつきが抑制される。これにより、ステップバンチング及びSiC単結晶の三次元的成長を抑制する。その結果、溶媒インクルージョンを抑制できる。
非ファセット領域と比較して、ファセット領域の窒素濃度は高い。したがって、結晶成長面における窒素濃度ばらつきが小さければ、結晶成長面がファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなることを意味する。つまり、結晶成長面における窒素濃度ばらつきが小さければ、上記のとおり、溶媒インクルージョンを抑制できる。
ここで、窒素濃度ばらつきとは、半径Rを有するSiC種結晶の結晶成長面の中心位置と、中心位置を中心とした半径1/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される複数の第1測定位置と、中心位置を中心とした半径2/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される複数の第2測定位置とにおける窒素濃度のうち、最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合を意味する。
図1は、SiC種結晶の結晶成長面中の特定の測定位置における、窒素濃度の最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合(窒素濃度ばらつきNc)(%)と結晶成長において、全結晶成長厚さに対する、溶媒インクルージョンを発生せずに結晶成長する厚さの比(インクルージョンフリー度)との関係を示す図である。図1は後述の実施例の結果をプロットした図である。
図1を参照して、窒素濃度ばらつきNcが15%以下の場合、インクルージョンフリー度は1.0でほぼ一定である。つまり、全結晶成長厚さにおいて、溶媒インクルージョンを顕著に発生せずに、結晶成長できる。一方、窒素濃度ばらつきNcが15%を超えた場合、インクルージョンフリー度が急激に低下する。つまり、図1のグラフでは、窒素濃度ばらつきNc=15%付近で変曲点が存在する。したがって、窒素濃度ばらつきNcが15%以下であれば、顕著に溶媒インクルージョンを抑制できる。この場合、結晶成長面はファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる。これにより結晶成長厚さのばらつきが抑制され、溶媒インクルージョンを抑制できる。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態によるSiC単結晶の製造方法は、溶液成長法による製造方法である。本実施形態による溶液成長法では、SiC種結晶の結晶成長面をSi‐C溶液に接触させてSiC単結晶を成長させる。製造方法は、準備工程と、成長工程とを備える。準備工程では、原料を加熱して溶融し、Si‐C溶液を準備する。成長工程では、ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる結晶成長面をSi‐C溶液に接触させ、結晶成長面上にSiC単結晶を成長させる。本実施形態によるSiC単結晶の製造方法ではさらに、半径Rを有する上記SiC種結晶の上記結晶成長面の中心位置と、上記中心位置を中心とした半径1/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される位置を複数の第1測定位置とする。上記中心位置を中心とした半径2/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される位置を複数の第2測定位置とする。中心位置、第1測定位置及び第2測定位置における窒素濃度のうち、最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合は15%以下である。
この場合、SiC単結晶の結晶成長面はファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなり、溶媒インクルージョンを抑制できる。
本実施形態の製造方法において、SiC単結晶を成長させる工程で、SiC単結晶の結晶成長面の中心位置を通る最長径は2インチ以上である。つまり、SiC単結晶の結晶成長面の大きさは2インチ径以上である。
この場合、大型のSiC単結晶を得ることができる。
上記成長工程では、結晶成長面上にSiC単結晶を2mm以上成長させてもよい。
この場合、SiC単結晶の収量を高めることができる。
SiC種結晶及びSiC単結晶は4H多形の結晶構造を有してもよい。
本実施形態のSiC種結晶は、上述の溶液法に用いられ、ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる結晶成長面を有する。そのため、溶媒インクルージョンが抑制できる。
本実施形態のSiC種結晶では、SiC種結晶の結晶成長面において、半径Rを有するSiC種結晶の結晶成長面の中心を中心位置とする。中心位置を中心とした半径1/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される位置を複数の第1測定位置とする。上記中心位置を中心とした半径2/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される位置を複数の第2測定位置とする。中心位置、第1測定位置、及び第2測定位置における窒素濃度のうち、最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合は15%以下である。
この場合、SiC種結晶の結晶成長面はファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなり、溶媒インクルージョンを抑制できる。
以下、図面を参照して、本実施形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる結晶成長面]
ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる結晶成長面とは、次のとおり規定する窒素濃度ばらつきNcが15%以下である結晶成長面を意味する。
SiC種結晶の結晶成長面において、半径Rを有するSiC種結晶の結晶成長面の中心を中心位置とする。中心位置を中心とした半径1/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される位置を複数の第1測定位置とする。上記中心位置を中心とした半径2/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される位置を複数の第2測定位置とする。中心位置、第1測定位置、及び第2測定位置における窒素濃度のうち、最小値をNmin、最大値をNmaxとし、最大値Nmaxと最小値Nminとの差分値をΔNとする。最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合を、窒素濃度ばらつきNcと定義する。窒素濃度ばらつきNc(%)は次の式で表される。
Nc=(ΔN/Nmin)×100
ここで、ΔN=Nmax−Nminである。
[ファセット領域及び非ファセット領域の定義]
ファセット領域とは、他の領域と同じ結晶構造を持ち、他の領域と比較して螺旋転位密度及び窒素濃度が高い。
螺旋転位は、結晶成長が進行しやすいステップと呼ばれる原子レベルの小さな階段を有する。ファセット領域は、螺旋転位密度が高いため、結晶成長中にステップの供給源となる。すなわち、結晶成長面にファセット領域が含まれていれば、ファセット領域では、他の領域に比べて優先的に結晶成長が進行する。ファセット領域ではない領域を、以下、非ファセット領域という。つまり、非ファセット領域とは、他の領域と比較して螺旋転位密度及び窒素濃度が低い領域をいう。
ファセット領域は、周知の方法により螺旋転位密度又は窒素濃度を測定することで確認することができる。ファセット領域はさらに、次の方法でも確認することができる。SiC種結晶を1mm以下の厚さに切断する。切断片を白熱電球等の光源の前に配置して光を透過させる。目視により、他の領域より着色が強い部分がファセット領域であると確認できる。したがって、結晶成長面全体にわたって、着色の強さに差がなく、相対的に着色が強い場合はファセット領域、相対的に着色が弱い場合は非ファセット領域と判断する。
本実施形態のSiC単結晶及びSiC種結晶の結晶成長面において、窒素濃度ばらつきNcが15%以下であれば、結晶成長面はファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる。このNcの測定方法については、後で述べる。
[製造方法]
本実施形態によるSiC単結晶の製造方法は、準備工程と成長工程とを備える。
[準備工程]
準備工程では、製造装置、SiC種結晶、及びSi‐C溶液を準備する。
[製造装置]
図2は、本実施形態によるSiC単結晶の製造方法に用いられる製造装置1の一例の模式図である。
製造装置1は、チャンバ2と、坩堝5と、断熱部材4と、誘導加熱装置3と、回転装置20と、シードシャフト6とを備える。
チャンバ2は筐体である。チャンバ2は断熱部材4及び誘導加熱装置3を収容する。チャンバ2はさらに、坩堝5を収納可能である。SiC単結晶が製造されるとき、チャンバ2は冷却媒体で冷却される。
坩堝5は、筐体状の断熱部材4内に収納される。坩堝5は、上端が開口した筐体である。坩堝5には、天板が設けられていてもよい。この場合、Si‐C溶液7の蒸発を抑制することができる。坩堝5は、Si‐C溶液7を収容する。
Si‐C溶液7は、原料を加熱により溶融して生成される。原料は、Siのみであってもよいし、Siと他の金属元素とを含有してもよい。Si‐C溶液7の原料に含有される金属元素はたとえば、チタン(Ti)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、バナジウム(V)及び鉄(Fe)からなる群から選択される1種又は2種以上である。これらの原料にさらに炭素(C)が溶解することでSi‐C溶液7が生成される。添加した炭素源からSi‐C溶液7へ炭素(C)を供給する場合、Si‐C溶液7の原料は炭素(C)を含有する。
坩堝5の溶解によってSi‐C溶液7へ炭素(C)を供給する場合、坩堝5は、好ましくは、炭素(C)を含有する。より好ましくは、坩堝5の素材は黒鉛である。添加した炭素源からSi‐C溶液7へ炭素(C)を供給する場合、坩堝5は、結晶成長温度で安定な材料であればよい。この場合、坩堝5の素材は、セラミックスや高融点の金属であってもよい。坩堝5が黒鉛以外の素材である場合、坩堝5の内表面に黒鉛を含有する被膜を形成してもよい。
断熱部材4は、坩堝5を取り囲む。断熱部材4は、周知の断熱材からなる。断熱材はたとえば、繊維系又は非繊維系の成形断熱材である。
誘導加熱装置3は、断熱部材4を取り囲む。誘導加熱装置3は、高周波コイルを含む。高周波コイルは、シードシャフト6と同軸に配置される。誘導加熱装置3は、電磁誘導により、坩堝5を誘導加熱して、坩堝5内に収納された原料を溶融してSi‐C溶液7を生成する。誘導加熱装置3はさらに、Si‐C溶液7を結晶成長温度に維持する。
回転装置20は、チャンバ2の高さ方向に延びるシャフトである。回転装置20の上端は、チャンバ2の内部に配置される。坩堝5は、回転装置20の上面に配置される。回転装置20は、駆動源21と連結されており、駆動源21により回転装置20の中心軸周りに回転する。回転装置20が回転することによって、坩堝5が回転する。坩堝5及び回転装置20は回転してもよいし、回転しなくてもよい。
シードシャフト6は、チャンバ2の高さ方向に延びるシャフトである。シードシャフト6の上端は、チャンバ2の外部に配置される。シードシャフト6は、チャンバ2の外部で駆動源9に取り付けられている。シードシャフト6の下端は、坩堝5の内部に配置される。シードシャフト6の下端には、SiC種結晶8が取り付けられている。シードシャフト6は、駆動源9によって昇降及び回転できる。シードシャフト6が、駆動源9によって降下して、SiC種結晶8がSi‐C溶液7と接触する。シードシャフト6が、駆動源9によって回転して、SiC種結晶8が回転する。シードシャフト6の回転方向は、坩堝5の回転方向と同じ方向でもよいし、反対方向でもよい。シードシャフト6は回転してもよいし、回転しなくてもよい。好ましくは、シードシャフト6は、黒鉛である。
[SiC種結晶]
ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる結晶成長面を有するSiC種結晶8を準備する。SiC種結晶8は板状であり、SiC単結晶からなる。好ましくは、SiC種結晶8の結晶構造は、製造しようとするSiC単結晶の結晶構造と同じである。たとえば、4H多形のSiC単結晶を製造する場合、4H多形のSiC種結晶8を用いることが好ましい。
[結晶成長面]
SiC種結晶8の表面のうち、Si‐C溶液7と接触し、その上にSiC単結晶が成長する面を結晶成長面という。好ましくは、結晶成長面は(000‐1)面(カーボン面)である。結晶成長面は、(000‐1)面から8°以下の角度で傾斜した面であってもよい。図3は、結晶成長面にファセット領域と非ファセット領域との両方を含む従来のSiC種結晶の底面図(結晶成長面の図)である。
図3を参照して、従来のSiC種結晶8の結晶成長面80は、ファセット領域81と非ファセット領域との境界82を含む。すなわち、従来のSiC種結晶8の結晶成長面80は、非ファセット領域及びファセット領域81の両方を含む。SiC種結晶8の結晶成長面80のうち、ファセット領域81以外の領域が、非ファセット領域である。本実施形態では、SiC種結晶8の結晶成長面80は、ファセット領域と非ファセット領域との境界82を含まない。すなわち、SiC種結晶8の結晶成長面80は、非ファセット領域及びファセット領域81のいずれか一方のみからなる。
結晶成長面80は、図3に示す半径Rを有する円形でもよいし、他の形状でもよい。結晶成長面80の形状はたとえば、図4に示す六角形である。結晶成長面80の形状は、他の多角形(四角形及び八角形等)でもよいし、楕円形でもよい。この場合、RはSiC種結晶8の結晶成長面80の中心位置C1と結晶成長面80の外周84とを結ぶ線分のうちの最長の線分の長さとする。2R、つまり結晶成長面80の中心位置C1を通る最長径が2インチ以上であれば、大型のSiC単結晶を得ることができる。結晶成長面80の形状は特に限定されない。
[種結晶の調整]
SiC溶液成長において結晶成長面80からファセット領域81を完全に取り除いた結晶を種結晶として用いる。このようにして調整した種結晶は、結晶成長面80が非ファセット領域及びファセット領域81のいずれか一方のみからなる。これにより、結晶成長面80の全体において結晶成長速度の差が小さくなる。つまり、結晶成長厚さのばらつきが抑制される。これにより、ステップバンチング及びSiC単結晶の三次元的成長を抑制する。その結果、溶媒インクルージョンを抑制できる。
結晶成長面80が非ファセット領域及びファセット領域81のいずれか一方のみからなる種結晶の調整は、種結晶をファセット領域81の中から取り出すことでも実現することができる。ただし、ファセット領域から2インチ径以上の大きな種結晶を確保することは難しい。このため、結晶成長面80からファセット領域81を完全に取り除いた結晶を種結晶として用いるほうが2インチ径以上の大口径結晶成長を行う際に好ましい。
上記結晶成長面80が非ファセット領域及びファセット領域81のいずれか一方のみからなる種結晶は、ファセット領域81を含まないように、SiC単結晶インゴットから切り出されることによって製造される。この場合、種結晶全面は非ファセット領域からなる。結晶成長面80がファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる種結晶の調整方法の別の形態は、種結晶全体をファセット領域81から切り出すことによって達成できる。SiC単結晶インゴットの切り出し方法は、周知の方法を採用できる。たとえば、ブレードソー方式及びワイヤーソー方式である。SiC種結晶8を切り出す際、上述のとおりとなる様に適宜調整する。
[窒素濃度ばらつきNc]
本実施形態のSiC種結晶8の結晶成長面80が非ファセット領域及びファセット領域81のいずれか一方のみからなることは、SiC種結晶8の結晶成長面80における窒素濃度ばらつきNcで確認できる。
具体的には、図5を参照して、SiC種結晶8の結晶成長面80中の測定位置C1〜C17における、窒素濃度の最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合、つまり窒素濃度ばらつきNcが15%以下である。測定位置C1は、結晶成長面80の中心位置である。測定位置C2〜位置C9は、結晶成長面80の半径がRである場合、中心位置C1を中心とした半径1/3Rの仮想円上で中心角45°おきに配置される、第1測定位置である。測定位置C10〜位置C17は、中心位置C1を中心とした半径2/3Rの仮想円上で中心角45°おきに配置される、第2測定位置である。
本実施の形態によるSiC単結晶では、各測定位置C1〜C17における、窒素濃度ばらつきNcが15%以下と十分に小さい。この場合、各測定位置での窒素濃度のばらつきNcが十分に小さく、SiC種結晶8の結晶成長面80が非ファセット領域及びファセット領域81のいずれか一方のみからなる。その結果、溶媒インクルージョンが抑制できる。
各測定位置C1〜C17における、窒素濃度ばらつきNcが15%を超えれば、SiC種結晶8の結晶成長面80はファセット領域81と非ファセット領域との境界82を含む。つまり、SiC種結晶8の結晶成長面80に、非ファセット領域及びファセット領域81の両方が含まれている。この場合、溶媒インクルージョンが発生する。
窒素濃度ばらつきNcは好ましくは12%以下である。この場合、さらに溶媒インクルージョンを抑制できる。
各測定位置C1〜C17での窒素濃度は次の方法により求められる。SiC種結晶8の結晶成長面80の各測定位置C1〜C17を中心とした、直径(5/100)R〜(10/100)Rの円領域からサンプルを採取する。採取されたサンプルに対して、組成分析を実施して、窒素含有量を得る。組成分析はたとえば、二次イオン質量分析計(Secondary Ion Mass Spectroscopy;SIMS)を用いて行う。得られた窒素含有量を利用して、各測定位置C1〜C17での窒素濃度(atoms/cm)を求める。得られた窒素濃度から、最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合、つまり窒素濃度ばらつきNc(%)を計算する。
[Si‐C溶液]
原料を加熱して溶融し、Si‐C溶液7を生成する。初めに、坩堝5内に上述の組成を有するSi‐C溶液7の原料を収納する。原料が収納された坩堝5を、チャンバ2内の回転装置20の上面に配置する。坩堝5をチャンバ2内に収納した後、チャンバ2内に不活性ガス、たとえば、ヘリウムガスを充填する。さらに、誘導加熱装置3によって、坩堝5及びSi‐C溶液7の原料を、Si‐C溶液7の原料の融点以上に加熱する。炭素を含有する坩堝5を加熱すれば、坩堝5から炭素が融液に溶け込む。その結果、Si‐C溶液7が生成される。別の方法として、炭化水素ガスからSi‐C溶液7へ炭素を溶解させる気相経由の方法がある。さらに別の方法として、固相の炭素源をSi‐C溶液7に投入して溶解させる方法がある。固相の炭素源はたとえば、黒鉛、非晶質炭素原料、SiC及び添加元素の炭化物からなる群から選択される1種又は2種以上である。これらは、ブロック、棒、顆粒及び紛体等の形状でSi‐C溶液7に添加される。炭素を含む原料を加熱することでSi‐C溶液7が生成する。
加熱は、Si‐C溶液7が結晶成長温度に到達するまで行う。加熱は、結晶成長温度まで継続してもよいし、一定温度で保持する期間を設けてもよい。一定温度で保持する場合、その保持温度は、原料の液相温度以上であればよい。この場合、加熱は、Si‐C溶液7中の炭素が過飽和状態に近づくまで行う。固体の炭素源を使用する場合は、炭素供給源が完全に溶解するまで加熱することが好ましい。加熱時間はたとえば、0.5〜10時間である。
[成長工程]
成長工程では、Si‐C溶液7にSiC種結晶8の結晶成長面80を接触させ、SiC種結晶8の結晶成長面80上にSiC単結晶を成長させる。
Si‐C溶液7を生成した後、シードシャフト6を降下させて、SiC種結晶8の結晶成長面80をSi‐C溶液7に接触させる(以下、着液ともいう)。結晶成長面80は非ファセット領域及びファセット領域81のいずれか一方のみからなる。非ファセット領域及びファセット領域81のいずれか一方のみからなる種結晶は、ファセット領域81を完全に取り除いた結晶を種結晶として用いることで実現することができる。又は、種結晶をファセット領域81の中から取り出すことでも実現することができる。
誘導加熱装置3の出力を調整して、Si‐C溶液7の温度を結晶成長温度に維持する。結晶成長温度はたとえば1850〜2100℃である。
Si‐C溶液7に温度勾配を付与することによって、効率的にSiC単結晶を製造できる。具体的には、Si‐C溶液7中SiC種結晶8の近傍が、他の部分より低温になるような温度勾配を付与する。これにより、SiC種結晶8の近傍のSiCの過飽和度を高めることができる。その結果、SiC単結晶の成長速度が速くなる。たとえば、誘導加熱装置3の出力を調整して、Si‐C溶液7の上部が低温になるように温度勾配を付与する。他には、坩堝5からの伝熱によりSi‐C溶液7の温度を維持するように誘導加熱装置3の出力を調整する。これにより、Si‐C溶液7の中心部が低温となるような温度勾配を付与する。温度勾配は、上下方向及び水平方向のいずれの場合であっても、5〜50℃/cmの範囲であることが好ましい。温度勾配が5℃/cm以上であれば、SiC単結晶の成長速度が速くなる。温度勾配が50℃/cm以下であれば、Si‐C溶液7中のSiCの核の自然発生を抑制できる。
成長工程は、Si‐C溶液7の温度を一定に維持しながら行ってもよいし、昇温しながら行ってもよい。Si‐C溶液7を昇温させながら結晶成長を行うことにより、Si‐C溶液7における炭素濃度の過飽和度を、適度な範囲に調整することができる。そのため、螺旋成長が支配的に進行する。その結果、2次元核成長による異種の結晶多形の混入をさらに抑制できる。Si‐C溶液7を昇温しながら成長工程を実施する場合、昇温速度が一定の範囲内であれば、SiC単結晶が溶解されることなく、安定して2次元核成長を抑制できる。
着液後に、メニスカスを形成してもよい。メニスカスを形成する場合、Si‐C溶液7に接触したSiC種結晶8を、Si‐C溶液7の液面より上方に引き上げる。メニスカスを形成することによって、Si‐C溶液7の濡れ上がりを抑制することができる。その結果、多結晶が抑制できる。メニスカス高さはたとえば、0.1〜4.0mmである。
[その他の製造方法]
図2では、坩堝5を用いる製造装置1の例を示している。しかしながら、坩堝5を用いず、電磁力により原料を浮揚させて溶解するレビテーション法を採用してもよい。他には、水冷された金属坩堝内で磁気反発により浮揚したSi‐C溶液7を生成するコールドクルーシブル法を採用してもよい。
以上の工程により、本実施形態のSiC単結晶を製造できる。
[試験番号1]
図2に示す製造装置1を用いた。試験番号1において、坩堝5は黒鉛坩堝であり、誘導加熱装置3は高周波コイルであり、シードシャフト6は黒鉛であり、チャンバ2は水冷ステンレスチャンバであった。
黒鉛坩堝内に、Si‐C溶液の原料(モル比、Si:Cr=60:40)を投入した。製造装置の内部を、ヘリウムガスで置換した。高周波コイルにより黒鉛坩堝及びSi‐C溶液の原料を加熱して、Si‐C溶液を作製した。
Si‐C溶液の上部が低温となるように温度勾配を形成した。温度勾配の形成は、黒鉛坩堝と高周波コイルとの位置関係を制御して形成した。具体的には、Si‐C溶液の中央部が高周波コイルの高さの中央(発熱中心)よりも上側になるように配置することにより、温度勾配を形成した。温度勾配は、本実施例とは別に、あらかじめSi‐C溶液内に熱電対を挿入して温度を測定することで確認した。SiC種結晶近傍の温度勾配は約12℃/cmであった。結晶成長中のSiC種結晶近傍のSi‐C溶液の温度を測定した。測定は、測温孔を備えたシードシャフトを用いて、SiC種結晶背面の黒鉛の温度を光温度計で測温することで実施した。結晶成長温度は1940℃であった。
シードシャフトを降下させて、SiC種結晶をSi‐C溶液に着液させた。SiC種結晶は、昇華再結晶法により製造され、直径50.8mmの円形の結晶成長面を有した。SiC種結晶の結晶構造及び結晶成長面は4H‐SiC(000‐1)on axisであった。試験番号1では、種結晶の作製時に目視でファセット領域を確認し、当該ファセット領域を完全に取り除いた。上述の方法でSiC種結晶の成長面の窒素濃度及び窒素濃度ばらつきNcを測定した。
着液後、シードシャフトを引き上げてメニスカスを形成した。メニスカス高さは0.5mmであった。Si‐C溶液の温度を一定に維持して結晶成長を行った。坩堝とシードシャフトとは逆方向に10rpmで回転させた。着液から結晶成長終了までの時間は、50時間であった。結晶成長終了後、シードシャフトを上昇させてSiC単結晶をSi‐C溶液から離した。黒鉛坩堝を室温まで徐冷した後、SiC単結晶をシードシャフトから離して回収した。
[試験番号2]
試験番号2で用いたSiC種結晶は、昇華再結晶法により製造され、直径33.0mmの円形の結晶成長面を有した。SiC種結晶の結晶構造及び結晶成長面は4H‐SiC(000‐1)on axisであった。試験番号2では、種結晶の作製時に目視でファセット領域を確認し、当該ファセット領域のなかから結晶成長面の全面がSiC種結晶となるように結晶を切り出した以外は、試験番号1と同様に結晶成長を行った。
[試験番号3]
試験番号3で用いたSiC種結晶は、昇華再結晶法により製造され、直径50.8mmの円形の結晶成長面を有した。SiC種結晶の結晶構造及び結晶成長面は4H‐SiC(000‐1)on axisであった。試験番号3では、SiC種結晶近傍の温度勾配を約15℃/cm、成長時間を15時間とした以外は、試験番号1と同様に結晶成長を行った。
[試験番号4]
試験番号4で用いたSiC種結晶は、昇華再結晶法により製造され、直径50.8mmの円形の結晶成長面を有した。SiC種結晶の結晶構造及び結晶成長面は4H‐SiC(000‐1)on axisであった。試験番号4では、種結晶の作製時に目視でファセット領域を確認し、結晶成長面が当該ファセット領域及び非ファセット領域の両方を含むSiC種結晶となるように結晶を切り出した以外は、試験番号1と同様に結晶成長を行った。
[試験番号5]
試験番号5で用いたSiC種結晶は、昇華再結晶法により製造され、直径33.0mmの円形の結晶成長面を有した。SiC種結晶の結晶構造及び結晶成長面は4H‐SiC(000‐1)on axisであった。試験番号5では、種結晶の作製時に目視で非ファセット領域を確認し、結晶成長面が当該非ファセット領域とファセット領域とを含むSiC種結晶となるように結晶を切り出した以外は、試験番号2と同様に結晶成長を行った。
[インクルージョンフリー度測定試験]
各試験番号のSiC単結晶において、インクルージョンフリー度を測定した。具体的には、次のとおり測定した。
各試験番号のSiC種結晶及びSiC単結晶を結晶成長方向に切断し、断面を研磨した。断面を、光学顕微鏡を用いて観察した。SiC単結晶の結晶成長方向の厚さを測定し、全結晶成長厚さとした。ファセット領域とそれ以外の領域との境界にステップバンチング及び溶媒インクルージョンが発生していないSiC単結晶の結晶成長厚さを測定し、インクルージョンフリー厚さとした。以下の式により、インクルージョンフリー度を求めた。
インクルージョンフリー度=インクルージョンフリー厚さ(mm)/全結晶成長厚さ(mm)
結果を表1に示す。
Figure 2018062224
[評価結果]
試験番号1〜試験番号3では、適切なSiC種結晶を用いてSiC単結晶を製造した。具体的には、試験番号1〜試験番号3のSiC種結晶の結晶成長面は、ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる。そのため、試験番号1〜試験番号3のSiC単結晶はインクルージョンフリー度が1.0であった。
一方、試験番号4及び試験番号5では、窒素濃度ばらつきNcが15%を超えた。つまり、試験番号4及び試験番号5のSiC種結晶の結晶成長面は、ファセット領域と非ファセット領域の両方を含む。そのため、試験番号4及び試験番号5のSiC単結晶は、インクルージョンフリー度が0.3であった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
1 製造装置
7 Si‐C溶液
8 SiC種結晶
80 結晶成長面
81 ファセット領域
82 ファセット領域と非ファセット領域との境界
84 結晶成長面の外周
C1 結晶成長面の中心位置

Claims (5)

  1. SiC種結晶の結晶成長面をSi‐C溶液に接触させてSiC単結晶を成長させる溶液成長法によるSiC単結晶の製造方法であって、
    前記Si‐C溶液の原料を加熱して溶融し、前記Si‐C溶液を準備する工程と、
    ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる前記結晶成長面を前記Si‐C溶液に接触させ、前記結晶成長面上に前記SiC単結晶を成長させる工程とを備え、
    半径Rを有する前記SiC種結晶の前記結晶成長面の中心位置と、前記中心位置を中心とした半径1/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される複数の第1測定位置と、前記中心位置を中心とした半径2/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される複数の第2測定位置とにおける窒素濃度のうち、最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合が15%以下である、SiC単結晶の製造方法。
  2. 請求項1に記載のSiC単結晶の製造方法であって、
    前記SiC単結晶を成長させる工程では、前記中心位置を通る最長径が2インチ以上である前記結晶成長面を前記Si‐C溶液に接触させる、SiC単結晶の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のSiC単結晶の製造方法であって、
    前記SiC単結晶を成長させる工程では、前記結晶成長面上に前記SiC単結晶を2mm以上成長させる、SiC単結晶の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のSiC単結晶の製造方法であって、
    前記SiC種結晶は4H多形の結晶構造を有し、
    前記SiC単結晶を成長させる工程では、4H多形の結晶構造を有するSiC単結晶を成長させる、SiC単結晶の製造方法。
  5. SiC種結晶をSi‐C溶液に接触させて前記SiC種結晶上にSiC単結晶を成長させる溶液成長法に用いるSiC種結晶であって、
    ファセット領域及び非ファセット領域のいずれか一方のみからなる結晶成長面を有し、
    半径Rを有する前記SiC種結晶の前記結晶成長面の中心位置と、前記中心位置を中心とした半径1/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される複数の第1測定位置と、前記中心位置を中心とした半径2/3Rの仮想円上であって、中心角45°おきに配置される複数の第2測定位置とにおける窒素濃度のうち、最小値に対する最大値と最小値との差分値の割合が15%以下である、SiC種結晶。
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