以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。一部の構成要素を用いない場合もある。以下で説明する実施形態における構成要素は、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものを含む。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内において第1軸と平行な方向をX軸方向、水平面内において第1軸と直交する第2軸と平行な方向をY軸方向、第1軸及び第2軸のそれぞれと直交する第3軸と平行な方向をZ軸方向とする。第1軸(X軸)を中心とする回転方向(傾斜方向)をθX方向、第2軸(Y軸)を中心とする回転方向(傾斜方向)をθY方向、第3軸(Z軸)を中心とする回転方向(傾斜方向)をθZ方向とする。XY平面は、水平面である。Z軸方向は、鉛直方向(上下方向)である。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品実装装置10の一例を模式的に示す図である。図2及び図3は、本実施形態に係る電子部品実装装置10の実装ヘッド15の一例を示す図である。
電子部品実装装置10は、基板Pに電子部品Cを実装する。電子部品実装装置10は、表面実装装置又はマウンタとも呼ばれる。電子部品Cは、リードを有するリード型電子部品(挿入型電子部品)でもよいし、リードを有しないチップ型電子部品(搭載型電子部品)でもよい。リード型電子部品は、基板Pの開口にリードが挿入されることによって基板Pに実装される。チップ型電子部品は、基板Pに搭載されることによって基板Pに実装される。
図1、図2、及び図3において、電子部品実装装置10は、基板Pを搬送する基板搬送装置50と、電子部品Cを供給する供給装置14と、ノズル32を有する実装ヘッド15と、ヘッド駆動装置16及びノズル駆動装置34を含み、ノズル32を移動可能な駆動装置26と、電子部品Cの画像を取得可能なカメラを含む撮像ユニット17と、交換用のノズル32を保持する交換ノズル保持機構18と、電子部品Cを貯留可能な部品貯留部19と、電子部品実装装置10の少なくとも一部が収容される筐体11と、電子部品実装装置10を制御する制御装置20と、を備えている。
基板搬送装置50は、基板Pを搬送する。基板搬送装置50は、水平面内の所定方向に基板Pを搬送する搬送部材51と、搬送部材51を駆動するモータ52と、搬送部材51に搬送される基板Pをガイドするガイドレール53と、を含む。搬送部材51は、搬送ベルトを含む。本実施形態において、搬送部材51は、基板PをX軸方向に搬送する。モータ52は、基板PがX軸方向に移動するように搬送部材51を駆動する。ガイドレール53は、2つ設けられる。ガイドレール53は、X軸方向に長い。基板Pは、ガイドレール53にガイドされて、X軸方向に移動可能である。基板搬送装置50は、基板Pを少なくともX軸方向に移動する。なお、基板搬送装置50が、基板PをX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZの6つの方向に移動可能でもよい。基板Pの表面の少なくとも一部に電子部品Cが実装される。
基板搬送装置50は、基板Pの表面と実装ヘッド15の少なくとも一部とが対向するように基板Pを移動可能である。基板Pは、基板供給装置から電子部品実装装置10に供給される。基板供給装置から供給された基板Pは、ガイドレール53の所定位置まで搬送され、基板搬送装置50の保持機構(クランプ機構)54で保持される。実装ヘッド15は、所定位置に配置され、保持機構54で保持された基板Pの表面に電子部品Cを実装する。基板Pに電子部品Cが実装された後、保持機構54による基板Pの保持が解除される。保持機構54による保持が解除された基板Pは、基板搬送装置50によって次工程の装置に搬送される。
供給装置14は、電子部品Cを実装ヘッド15に供給する。供給装置14は、電子部品Cを複数保持する。供給装置14に保持された複数の電子部品Cのうち少なくとも1つの電子部品Cが実装ヘッド15に供給される。供給装置14は、Y軸方向に関して基板搬送装置50の両側に配置される。供給装置14は、フィーダ12と呼ばれる供給器と、フィーダ12を支持するフィーダバンクとを有する。また、供給装置14は、電子部品Cを保持するテープ13を含む。電子部品Cを保持するテープ13がリールに巻かれる。フィーダ12は、そのリールを支持する。供給装置14は、電子部品Cを保持するテープ13を移動して、電子部品Cを供給位置SPに供給する。
なお、供給装置14から供給される電子部品Cは、同種の電子部品でもよいし、異種の電子部品でもよい。
撮像ユニット17は、ノズル32に保持された電子部品Cの形状、及びノズル32による電子部品Cの保持状態を検出する。撮像ユニット17は、画像認識装置を含み、電子部品Cの画像を取得可能なカメラを含む。撮像ユニット17は、ノズル32に保持された電子部品Cを下側(−Z側)から撮影し、撮影された画像を解析することによって、ノズル32に保持された電子部品Cの形状、及びノズル32による電子部品Cの保持状態を検出する。撮像ユニット17により取得された情報は、制御装置20に出力される。
交換ノズル保持機構18は、実装ヘッド15に対して交換されるノズル32を複数保持する。本実施形態において、ノズル32は、電子部品Cを吸引して保持する吸引ノズルを含む。なお、ノズル32が、電子部品Cを挟んで保持する把持ノズルを含んでもよい。交換ノズル保持機構18により、実装ヘッド15に装着されるノズル32が変更(交換)される。実装ヘッド15は、その装着されたノズル32で電子部品Cを保持する。
部品貯留部19は、基板Pに実装されない電子部品Cを貯留する。部品貯留部19は、基板Pに実装されない電子部品Cが廃棄される廃棄ボックスを含む。ノズル32に保持されている電子部品Cが基板Pに実装されない場合、そのノズル32に保持されている電子部品Cは、部品貯留部19に投入される。部品貯留部19に投入された電子部品Cは、廃棄される。
次に、実装ヘッド15について説明する。実装ヘッド15は、ベースフレーム31と、電子部品Cを着脱可能に保持するノズル32と、実装ヘッド15と対向する物体の画像を取得する撮像装置36と、実装ヘッド15と対向する物体の高さ(Z軸方向に関する位置)を検出する高さセンサ37と、電子部品Cの状態を検出するレーザ認識装置38とを有する。ベースフレーム31は、ノズル32、撮像装置36、高さセンサ37、及びレーザ認識装置38を支持する。
実装ヘッド15は、供給装置14から供給された電子部品Cを基板Pに実装する。実装ヘッド15は、供給装置14から供給された電子部品Cをノズル32で保持する。ノズル32は、保持機構54に保持されている基板Pに電子部品Cを実装する。
ノズル32は、電子部品Cを着脱可能に保持する。ノズル32は、電子部品Cを吸着して保持する吸引ノズルを含む。ノズル32は、電子部品Cを吸着して保持する吸着機構を含む。ノズル32の先端に開口33が設けられる。開口33から空気が吸引されることによって、ノズル32の先端に電子部品Cが吸着され、保持される。ノズル32は、シャフト32aを含む。シャフト32aの内部に、開口33と吸引装置とを接続する流路が設けられる。吸引装置は、真空システムを含む。開口33を含むノズル32の先端部と電子部品Cとが接触した状態で、開口33からの吸引動作が行われることにより、ノズル32に電子部品Cが保持される。開口33からの吸引動作が解除されることによって、電子部品Cはノズル32から解放される。
実装ヘッド15は、複数のノズル32を有する。複数のノズル32が一列に配置される。本実施形態においては、6本のノズル32が、X軸方向に配置される。
駆動装置26は、供給位置SP、及び基板Pと対向する実装位置SJのそれぞれに実装ヘッド15を移動可能なヘッド駆動装置16と、ノズル32を移動可能なノズル駆動装置34とを含む。ノズル駆動装置34は、実装ヘッド15に配置される。ノズル駆動装置34は、ベースフレーム31に支持される。
ヘッド駆動装置16により実装ヘッド15が移動されることによって、その実装ヘッド15に支持されているノズル32、撮像装置36、高さセンサ37、及びレーザ認識装置38のそれぞれは、供給位置SP及び実装位置SJのそれぞれに移動する。
ヘッド駆動装置16は、アクチュエータを含み、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに実装ヘッド15を移動する。本実施形態において、ヘッド駆動装置16は、実装ヘッド15のベースフレーム31を移動する。ヘッド駆動装置16は、X軸駆動部22及びY軸駆動部24を有する。X軸駆動部22及びY軸駆動部24のそれぞれは、アクチュエータを含む。X軸駆動部22は、実装ヘッド15のベースフレーム31と連結される。X軸駆動部22の作動により、ベースフレーム31がX軸方向に移動する。Y軸駆動部24は、X軸駆動部22を介してベースフレーム31と連結される。Y軸駆動部24の作動によりX軸駆動部22がY軸方向に移動されることによって、ベースフレーム31がY軸方向に移動する。
ヘッド駆動装置16の作動によりベースフレーム31がXY平面内において移動されることによって、そのベースフレーム31に支持されているノズル32、ノズル駆動装置34、撮像装置36、高さセンサ37、及びレーザ認識装置38のそれぞれは、ベースフレーム31と一緒にXY平面内を移動する。
ノズル駆動装置34は、ベースフレーム31に支持される。ノズル駆動装置34は、アクチュエータを含み、Z軸方向及びθZ方向にノズル32を移動可能である。
本実施形態においては、ヘッド駆動装置16の作動により、ノズル32がX軸及びY軸方向の2つの方向に移動する。ノズル駆動装置34の作動により、ノズル32がZ軸及びθZ方向の2つの方向に移動する。本実施形態において、ヘッド駆動装置16及びノズル駆動装置34を含む駆動装置26は、ノズル32を、X軸、Y軸、Z軸、及びθZの4つの方向に移動可能である。なお、駆動装置26が、ノズル32を、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZの6つの方向に移動可能でもよい。
駆動装置26の作動により、ノズル32は、供給位置SP及び実装位置SJのそれぞれを移動する。ノズル32は、供給装置14から電子部品Cを搬出し、基板Pまで搬送可能である。実装ヘッド15は、供給位置SPの電子部品Cをノズル32で保持して基板Pに実装する。実装ヘッド15は、ノズル32で保持した電子部品Cを、基板Pの表面の任意の位置に実装可能である。
撮像装置36は、実装ヘッド15と対向する物体の画像を取得可能なカメラを含む。撮像装置36は、基板Pの画像を取得可能である。撮像装置36は、基板Pの表面に形成された基準マークの画像を取得可能である。撮像装置36は、基板Pに搭載された電子部品Cの画像を取得可能である。撮像装置36は、供給装置14に存在する電子部品Cの画像を取得可能である。撮像装置36は、基板P及び電子部品Cのみならず、実装ヘッド15が対向する領域に配置される物体の画像を取得可能である。
ヘッド駆動装置16の作動により、実装ヘッド15に配置されている撮像装置36は、供給位置SP及び実装位置SJのそれぞれに移動可能である。撮像装置36は、供給位置SPを含む所定領域の画像を取得可能である。撮像装置36は、供給位置SPに供給された電子部品C及び供給装置14のテープ13の少なくとも一部の画像を取得可能である。
高さセンサ37は、実装ヘッド15と対向する物体との距離を検出して、その物体の高さを検出する。高さセンサ37は、基板Pとの距離、及び基板Pに搭載された電子部品Cとの距離を検出可能である。高さセンサ37は、レーザ光(検出光)を射出する発光素子と、実装ヘッド15と対向する位置に配置されている物体に照射され、その物体で反射したレーザ光の少なくとも一部を受光可能な受光素子とを含む。
レーザ認識装置38は、ノズル32に保持されている電子部品Cの状態を検出する。電子部品Cの状態は、電子部品Cの寸法、電子部品Cの形状、及びノズル32で保持されている電子部品Cの姿勢の少なくとも一つを含む。レーザ認識装置38は、レーザ光(検出光)を射出する射出装置38aと、射出装置38aから射出されたレーザ光の少なくとも一部を受光可能な受光装置38bとを含む。受光装置38bは、射出装置38aと対向する位置に配置されている。射出装置38aは、レーザ光を射出可能な発光素子を含む。受光装置38bは、レーザ光を受光可能な受光素子を含む。Z軸方向に関して、射出装置38aと受光装置38bとは同じ位置(高さ)に配置されている。レーザ認識装置38は、ノズル32に保持された電子部品Cに対してレーザ光を照射して、電子部品Cの状態を検出する。
次に、基板搬送装置50について説明する。図4は、本実施形態に係る基板搬送装置50の一例を示す斜視図である。図5は、本実施形態に係る基板搬送装置50の一例を示す側面図である。
図4及び図5に示すように、基板搬送装置50は、X軸方向に基板Pを搬送する搬送部材51と、搬送部材51を駆動するモータ52と、搬送部材51に搬送される基板Pをガイドするガイドレール53と、を含む。搬送部材51は、搬送ベルトを含む。モータ52は、基板PがX軸方向に移動するように搬送部材51を駆動する。基板Pは、ガイドレール53にガイドされて、X軸方向に移動可能である。
また、基板搬送装置50は、ガイドレール53の所定位置において基板Pを保持する保持機構(クランプ機構)54を有する。本実施形態において、ガイドレール53は、基板Pの上面の一部と対向可能な対向部材55を有する。保持機構54は、ガイドレール53に設けられた対向部材55と、基板Pの下面の少なくとも一部を支持して上下方向(Z軸方向)に移動可能な第1昇降部材56と、を含む。第1昇降部材56が上昇することによって、基板Pの+Y側の端部及び−Y側の端部のそれぞれが、対向部材55と第1昇降部材56との間に挟まれる(クランプされる)。これにより、基板Pが保持機構54によって保持され、ガイドレール53の所定位置において基板Pが位置決めされる。
なお、第1昇降部材56は、図4に示す、ガイド部材(ストッパ部材とも称する)56a、56aにより上下方向に移動可能に支持される。また、第1昇降部材56は、ガイド部材(ストッパ部材とも称する)56a、56aに当接して、後述する下端位置S1bに停止する。
また、基板搬送装置50は、第1昇降部材56の下方に配置された第2昇降部材57と、第2昇降部材57を上下方向に移動させるアクチュエータ58と、を備える。
第2昇降部材57は、プレート状の部材である。アクチュエータ58は、シリンダとシリンダの内部空間において移動可能なピストンとを有するエアシリンダである。アクチュエータ58は、第2昇降部材57の下方に配置される。アクチュエータ58が作動することによって、第2昇降部材57が昇降する。
以下の説明においては、第1昇降部材56を適宜、クランプ部材56、と称し、第2昇降部材57を適宜、サポートテーブル57、と称し、アクチュエータ58を適宜、エアシリンダ58、と称する。
また、以下の説明においては、保持機構54によって基板Pが保持されている状態を適宜、保持状態又はクランプ状態、と称し、保持機構54によって基板Pが保持されていない状態を適宜、非保持状態又は非クランプ状態と称する。
図6、図7、図8、及び図9は、本実施形態に係る保持機構54の一例を示す図である。図6は、非クランプ状態における保持機構54の一例を示す斜視図である。図7は、非クランプ状態における保持機構54の一例を示す側面図である。図8は、クランプ状態における保持機構54の一例を示す斜視図である。図9は、クランプ状態における保持機構54の一例を示す側面図である。
図8及び図9に示すように、本実施形態においては、サポートテーブル57を介してクランプ部材56が上昇することによって、基板Pの+Y側の端部及び−Y側の端部が、ガイドレール53の対向部材55とクランプ部材56との間に挟まれる。これにより、基板Pは対向部材55とクランプ部材56とによって保持される。クランプ部材56が下降することによって、対向部材55とクランプ部材56とが離れ、基板Pの保持が解除される。クランプ状態は、クランプ部材56が上昇して、クランプ部材56と対向部材55とが接近して、基板Pがクランプ部材56と対向部材55とで挟まれる状態を含む。非クランプ状態は、クランプ部材56が下降して、クランプ部材56と対向部材55とが離れる状態を含む。
図6及び図8に示すように、基板Pは、搬送ベルトを含む搬送部材51に支持される。搬送部材51は、Y軸方向に少なくとも2つ配置される。一方の搬送部材51は、基板Pの下面の+Y側の端部を支持する。他方の搬送部材51は、基板Pの下面の−Y側の端部を支持する。搬送部材51の少なくとも一部は、クランプ部材56と対向部材55との間に配置される。図6に示すように、非クランプ状態において、搬送部材51及び基板Pは、クランプ部材56と対向部材55とに挟まれてなく(保持されてなく)、搬送部材51は、基板Pを支持した状態で移動可能である。図8に示すように、クランプ状態において、搬送部材51の一部及び基板Pが一緒にクランプ部材56と対向部材55とに挟まれる(保持される)。
図6及び図8に示すように、クランプ部材56は、基板Pの下面の一部と対向可能なクランプ部56Sと、クランプ部56Sから下方に突出する突出部56Lと、を含む。クランプ部56Sは、プレート状の部材を含む。突出部56Lは、ロッド状の部材を含む。
本実施形態において、サポートテーブル57は、クランプ部材56の突出部56Lと接触する接触状態及び接触しない非接触状態の一方から他方に変化するように、上下方向に移動可能である。
図6及び図7に示すように、サポートテーブル57が下降することにより、サポートテーブル57とクランプ部材56(突出部56L)とが非接触状態になる。また、サポートテーブル57が下降することにより、クランプ部材56も下降する。クランプ部材56が下降することによって、基板Pは非クランプ状態になる。
図8及び図9に示すように、サポートテーブル57が上昇することにより、サポートテーブル57とクランプ部材56(突出部56L)とが接触状態になる。また、サポートテーブル57が上昇することにより、クランプ部材56も上昇する。クランプ部材56が上昇することによって、基板Pはクランプ状態になる。
エアシリンダ58は、サポートテーブル57を上下方向に移動させる。エアシリンダ58によりサポートテーブル57が上昇することによって、クランプ部材56が上昇する。これにより、基板Pがクランプ状態になる。エアシリンダ58によりサポートテーブル57が下降することによって、クランプ部材56が下降する。これにより、基板Pが非クランプ状態になる。
図6及び図8に示すように、対向部材55は、Z軸方向に関する位置が固定された固定部55Aと、Z軸方向に関して移動可能な可動部55Bと、を含む。可動部55Bは、例えばばねのような付勢部材により上下方向に移動可能に支持される。図6に示すように、非クランプ状態において、可動部55Bは、付勢部材の力により、下方に移動する。図8に示すように、クランプ状態において、可動部55Bは、上方に移動する。非クランプ状態からクランプ状態に変化するとき、すなわち、クランプ部材56の上昇により基板Pが上昇して対向部材55に近づくとき、可動部55Bが固定部55Aよりも先に基板Pの上面と接触する。付勢部材により下方に向かう力が与えられている可動部55Bと基板Pとが接触した状態で、基板Pが上昇し、基板Pの上面と固定部55Aとが接触する。これにより、+Z方向(上方)に対するクランプ部材56(基板P)の移動が規制され、上方に対するクランプ部材56(基板P)の移動が停止する。本実施形態においては、対向部材55が可動部55Bを含むので、基板Pと可動部55Bとが接触したときの衝撃が緩和される。固定部55Aが設けられるので、Z軸方向に関して基板Pが位置決めされる。
図10、図11、図12、図13、及び図14は、本実施形態に係る保持機構54の動作の一例を模式的に示す図である。保持機構54は、基板Pの下面の少なくとも一部を支持して上下方向に移動可能であり、対向部材55との間で基板Pを保持可能なクランプ部材56と、クランプ部材56の下方に配置され、クランプ部材56(突出部56L)と接触する接触状態及び接触しない非接触状態の一方から他方に変化するように上下方向に移動可能なサポートテーブル57と、サポートテーブル57を上下方向に移動させるエアシリンダ58と、を備えている。なお、図11、図12、図13、及び図14においてエアシリンダ58の図示を省略する。
クランプ部材56は、上下方向に定められた第1可動範囲S1を移動可能である。クランプ部材56は、第1可動範囲S1の上端位置S1aと下端位置S1bとの間を移動可能である。第1可動範囲S1の上端位置S1aは、Z軸方向に関して、クランプ部材56に支持された基板Pが対向部材55との間で保持されるクランプ部材56の位置を含む。Z軸方向に関して対向部材55(固定部55A)の位置は固定されている。クランプ部材56が上昇し、クランプ部材56と対向部材55とに基板Pが挟まれることによって、上方に対するクランプ部材56の移動は停止される。上端位置S1aは、その停止される位置を含む。本実施形態において、下端位置S1bを規定するストッパ部材がガイドレール53に設けられる。そのストッパ部材によって、下方に対するクランプ部材56の移動が停止される。下端位置S1bは、その停止される位置を含む。
クランプ部材56は、第1可動範囲S1の上端位置S1aに移動して、対向部材55との間で基板Pを保持する。クランプ部材56は、第1可動範囲S1の下端位置S1bに移動して、基板Pの保持を解除する。
サポートテーブル57は、上下方向に定められた第2可動範囲S2を移動可能である。サポートテーブル57は、第2可動範囲S2の上端位置S2aと下端位置S2bとの間を移動可能である。第2可動範囲S2の上端位置S2aは、サポートテーブル57と接触状態のクランプ部材56が第1可動範囲S1の上端位置S1aに配置される位置を含む。サポートテーブル57は、クランプ部材56と接触状態で第2可動範囲S2の上端位置S2aに移動することによって、クランプ部材56を第1可動範囲S1の上端位置S1aに移動可能である。本実施形態において、下端位置S2bを規定するストッパ部材がガイドレール53に設けられる。そのストッパ部材によって、下方に対するサポートテーブル57の移動が停止される。下端位置S2bは、その停止される位置を含む。サポートテーブル57が第2可動範囲S2の下端位置S2bに配置されることによって、サポートテーブル57とクランプ部材56とは非接触状態となる。サポートテーブル57は、クランプ部材56と非接触状態になるように、第2可動範囲S2の下端位置S2bに移動可能である。
図10は、クランプ部材56が第1可動範囲S1の下端位置S1bに配置され、サポートテーブル57が第2可動範囲S2の下端位置S2bに配置されている状態を示す。図10に示すように、クランプ部材56が第1可動範囲S1の下端位置S1bに配置され、サポートテーブル57が第2可動範囲S2の下端位置S2bに配置されている状態において、基板Pは非クランプ状態であり、クランプ部材56とサポートテーブル57とは非接触状態である。
図11に示すように、エアシリンダ58の作動によりサポートテーブル57が上昇すると、そのサポートテーブル57は、下端位置S1bに配置されているクランプ部材56(突出部56L)と接触する。サポートテーブル57は、第2可動範囲S2の中間位置S2cにおいてクランプ部材56と接触する。中間位置S2cは、Z軸方向に関して上端位置S2aと上端位置S2bとの間の位置である。第1可動範囲S1の下端位置S1bに配置されているクランプ部材56と、第2可動範囲S2の中間位置S2cに配置されているサポートテーブル57とが接触する。本実施形態においては、下端位置S2bから上端位置S2aに上昇するサポートテーブル57は、第2可動範囲S2の中間位置S2cにおいて、第1可動範囲S1の下端位置S1bに配置されているクランプ部材56に対して、非接触状態から接触状態に変化する。
図12に示すように、サポートテーブル57とクランプ部材56とが接触状態で、エアシリンダ58の作動によりサポートテーブル57が上昇すると、サポートテーブル57が第2可動範囲S2の上端位置S2aに移動し、クランプ部材56が第1可動範囲S1の上端位置S1aに移動する。第1可動範囲S1の上端位置S1aに移動したクランプ部材56は、対向部材55との間で基板Pを保持する。
基板Pに対する電子部品Cの実装は、クランプ部材56と対向部材55との間に基板Pが保持された状態で実行される。すなわち、本実施形態において、基板Pに対する電子部品Cの実装は、サポートテーブル57が第2可動範囲S2の上端位置S2aに配置され、クランプ部材56が第1可動範囲S1の上端位置S1aに配置された状態で実行される。
基板Pに対する電子部品Cの実装が終了すると、図13に示すように、エアシリンダ58の作動によりサポートテーブル57が下降する。サポートテーブル57と接触状態のクランプ部材56は、サポートテーブル57と一緒に下降する。クランプ部材56が下端位置S1bに移動したとき、サポートテーブル57は中間位置S2cに移動する。クランプ部材56は下端位置S1bよりも下方に移動しない。そのため、サポートテーブル57が中間位置S2cから更に下降すると、クランプ部材56とサポートテーブル57とが離れ、クランプ部材56とサポートテーブル57とは非接触状態となる。本実施形態においては、上端位置S2aから下端位置S2bに下降するサポートテーブル57は、第2可動範囲S2の中間位置S2cにおいて、第1可動範囲S1の下端位置S1bに配置されているクランプ部材56に対して、接触状態から非接触状態に変化する。
図14に示すように、サポートテーブル57とクランプ部材56とが非接触状態で、エアシリンダ58の作動によりサポートテーブル57が下降すると、サポートテーブル57が第2可動範囲S2の下端位置S2bに移動する。本実施形態においては、サポートテーブル57が下端位置S2bに配置された後、次工程に対する基板Pの搬送が開始される。
本実施形態においては、図13に示すように、エアシリンダ58は、サポートテーブル57が第2可動範囲S2の上端位置S2aから中間位置S2cに移動する第1区間K1において、サポートテーブル57を第1速度V1で下降する。次に、図14に示すように、エアシリンダ58は、サポートテーブル57が第2可動範囲S2の中間位置S2cから下端位置S2bに移動する第2区間K2において、サポートテーブル57を第2速度V2で下降する。第2速度V2は、第1速度V1よりも高い(速い)。すなわち、本実施形態においては、サポートテーブル57が上端位置S2aから下端位置S2bに下降する区間の前半においてサポートテーブル57がゆっくりと下降し、後半においてサポートテーブル57が素早く下降するように、エアシリンダ58が作動する。
図13及び図14を参照して説明したように、第1区間K1は、クランプ部材56と接触状態でサポートテーブル57が下降する区間を含み、第2区間K2は、クランプ部材56と非接触状態でサポートテーブル57が下降する区間を含む。第2可動範囲S2の中間位置S2cにおいて、サポートテーブル57は、第1可動範囲S1の下端位置S1bに配置されているクランプ部材56に対して、接触状態から非接触状態に変化する。
次に、エアシリンダ58を作動するための空気圧システム60について説明する。図15は、本実施形態に係る空気圧システム60の一例を示す図である。図15に示すように、空気圧システム60は、エアシリンダ58を作動させるための空気圧回路を含む。
図15に示すように、エアシリンダ58は、シリンダ40と、シリンダ40の内部空間において移動可能であり、シリンダ40の内部空間を第1空間41と第2空間42とに仕切るピストン43と、を有する。エアシリンダ58は、第1空間41に空気が供給されることによりサポートテーブル57を下降させ、第2空間42に空気が供給されることによりサポートテーブル57を上昇させる。
空気圧システム60は、電磁弁44と、電磁弁44と第1空間41の第1ポート(第1吸排気口)とを結ぶ第1流路61と、第1流路61に配置され、第1空間41から排出され第1流路61を流れる空気量を調節してエアシリンダ58の速度を調整する第1スピードコントロールバルブ71と、第2空間42の第2ポート(第2吸排気口)と結ばれる第2流路62と、第2流路62に配置され、第2空間42から排出され第2流路62を流れる空気量を調節してエアシリンダ58の速度を調整する第2スピードコントロールバルブ72と、第2流路62と結ばれ、空気によって作動するエアオペレートバルブ45と、エアオペレートバルブ45と結ばれる第3流路63と、エアオペレートバルブ45と結ばれる第4流路64と、電磁弁44と第3流路63及び第4流路64とを結ぶ第5流路65と、第3流路63に配置され、エアオペレートバルブ45から供給され第3流路63を流れる空気量を調節してエアシリンダ58の速度を調整する第3スピードコントロールバルブ73と、を有する。
また、本実施形態において、空気圧システム60は、第1流路61とエアオペレートバルブ45とを結び、エアオペレートバルブ45を作動させるための空気を流す第6流路66と、第6流路66に配置され、第1流路61から供給され第6流路66を流れる空気量を調節してエアオペレートバルブ45の作動量を調整する第4スピードコントロールバルブ74と、を有する。
また、本実施形態において、空気圧システム60は、第1流路61に配置される第1レギュレータ46及び第2レギュレータ47を有する。
電磁弁44は、制御装置20から出力される制御信号に基づいて作動する。空気は、空気圧システム60の外部から電磁弁44に供給される。
本実施形態において、空気圧システム60の空気圧回路は、エアシリンダ58の排気側を流れる空気量をスピードコントロールバルブによって絞り(調節して)、その圧力(背圧)を調整して、エアシリンダの移動速度を制御するメータアウト回路である。
第1スピードコントロールバルブ71は、第1空間41の第1ポートから排出され、第1流路61を流れる空気量を調節する(流れる空気量を絞る)。第1スピードコントロールバルブ71は、第1流路61を介して第1空間41の第1ポートに供給される空気量を調節しない。第1空間41の第1ポートに供給される空気は、その流量を減らされずに第1スピードコントロールバルブ71を通過する。
第2スピードコントロールバルブ72は、第2空間42の第2ポートから排出され、第2流路62を流れる空気量を調節する。第2スピードコントロールバルブ72は、第2流路62を介して第2空間42の第2ポートに供給される空気量を調節しない。第2空間42の第2ポートに供給される空気は、その流量を減らされずに第2スピードコントロールバルブ72を通過する。
第3スピードコントロールバルブ73は、エアオペレートバルブ45から供給され、第3流路63を流れる空気量を調節する。第3スピードコントロールバルブ73は、第3流路63を介してエアオペレートバルブ45に供給される空気量を調節しない。エアオペレートバルブ45に供給される空気は、その流量を減らされずに第3スピードコントロールバルブ73を通過する。
エアオペレートバルブ45は、空気の力によって作動する。本実施形態においては、第1流路61とエアオペレートバルブ45とが第6流路66を介して接続されている。エアオペレートバルブ45は、第6流路66を介して第1流路61から供給される空気の力によって作動する。
第4スピードコントロールバルブ74は、第1流路61から供給され、第6流路66を流れる空気量を調節する。第4スピードコントロールバルブ74によって、エアオペレートバルブ45に供給される空気量が調整される。エアオペレートバルブ45に供給される空気量が調整されることによって、エアオペレートバルブ45の作動量及び作動速度(流路の切替速度)が調整される。エアオペレートバルブ45の作動速度が調整されることによって、エアオペレートバルブ45による流路の切り替えのタイミングが調整される。
エアオペレートバルブ45は、第2流路62と第3流路63との接続と、第2流路62と第4流路64との接続と、を切り替える。本実施形態において、エアオペレートバルブ45は、第2流路62と第3流路63とが接続された後、第2流路62と第4流路64とが接続されるように、流路を切り替える。すなわち、エアオペレートバルブ45は、エアシリンダ58の第2空間42から排出され第2流路62を流れた空気が、第3流路63に流れた後、第4流路64に流れるように、第3流路63と第4流路64との接続を切り替える。
第4スピードコントロールバルブ74によってエアオペレートバルブ45に供給される空気量が調整されることによって、第2流路62と第3流路63とが接続された状態から第2流路62と第4流路64とが接続された状態に切り替えられるタイミングが調整される。
第3流路63に第3スピードコントロールバルブ73が配置される。第4流路64にスピードコントロールバルブは配置されない。エアオペレートバルブ45により第2流路62と第3流路63とが接続されるとき、第2空間42から排出された空気は、第2スピードコントロールバルブ72及び第3スピードコントロールバルブ73を通過して、電磁弁44に供給される。エアオペレートバルブ45により第2流路62と第4流路64とが接続されるとき、第2空間42から排出された空気は、第2スピードコントロールバルブ72を通過して、電磁弁44に供給される。
すなわち、エアオペレートバルブ45により第2流路62と第3流路63とが接続されるとき、第2空間42から排出された空気は、2つのスピードコントロールバルブ(72、73)を通過して、電磁弁44に供給される。エアオペレートバルブ45により第2流路62と第4流路64とが接続されるとき、第2空間42から排出された空気は、1つのスピードコントロールバルブ(72)を通過して、電磁弁44に供給される。
エアオペレートバルブ45により第2流路62と第3流路63とが接続されるとき、第2空間42から排出された空気は、2つのスピードコントロールバルブ(72、73)により十分に減速された状態で、電磁弁44に供給される。エアオペレートバルブ45により第2流路62と第4流路64とが接続されるとき、第2空間42から排出された空気は、1つのスピードコントロールバルブ(72)により僅かに減速された状態で、電磁弁44に供給される。その後、大気開放される。このように、本実施形態においては、エアオペレートバルブ45により第2流路62に対する第3流路63と第4流路64との接続が切り替えられることにより、電磁弁44に供給される空気量が2段階に調整される。
次に、本実施形態に係る空気圧システム60の動作の一例について、図16、図17、及び図18に示す模式図を参照して説明する。
図16を参照して、基板Pをクランプ状態にするときの空気圧システム60の動作の一例について説明する。図11及び図12を参照して説明したように、基板Pをクランプ状態にすることは、サポートテーブル57及びクランプ部材56を上昇させることを含む。
空気圧システム60の外部から空気が供給される。外部から供給された空気は、電磁弁44に供給され、電磁弁44のAポートから排出される。電磁弁44から排出された空気は、第5流路65を流れる。
エアオペレートバルブ45及び第4スピードコントロールバルブ74から残圧が開放され、エアオペレートバルブ45によって第2流路62と第3流路63とが接続される。第5流路65を流れる空気は、第3流路63を介して、エアオペレートバルブ45に供給される。第3スピードコントロールバルブ73は、第3流路63を介してエアオペレートバルブ45に供給される空気量を調節しない。したがって、第5流路65から第3流路63に流入した空気は、その流量を減らさずに第3スピードコントロールバルブ73を通過して、第2流路62に流入する。
第2スピードコントロールバルブ72は、第2流路62を介して第2空間42の第2ポートに供給される空気量を調節しない。したがって、エアオペレートバルブ45から第2流路62に流入した空気は、その流量を減らさずに第2スピードコントロールバルブ72を通過して、エアシリンダ58の第2空間42に流入する。これにより、ピストン43が上昇し、サポートテーブル57及びクランプ部材56が上昇する。
また、エアシリンダ58の第1空間41から空気が排出される。第1空間41の第1ポートから排出された空気は、第1流路61に流入する。第1流路61に第1スピードコントロールバルブ71が配置されている。第1スピードコントロールバルブ71は、第1空間41の第1ポートから排出され、第1流路61を流れる空気量を調節する。第1スピードコントロールバルブ71によってその流量を調節された空気は、第2レギュレータ47を通過した後、第1流路61を介して、電磁弁44のBポートから電磁弁44に流入し、外部に排出(大気開放)される。
次に、図17及び図18を参照して、基板Pを非クランプ状態にするときの空気圧システム60の動作の一例について説明する。図13及び図14を参照して説明したように、基板Pを非クランプ状態にすることは、サポートテーブル57及びクランプ部材56を下降させることを含む。
図17は、図13を参照して説明したような、サポートテーブル57が第2可動範囲S2の上端位置S2aから中間位置S2cに移動する第1区間K1において下降するときの空気圧回路を示す。図18は、図14を参照して説明したような、サポートテーブル57が第2可動範囲S2の中間位置S2cから下端位置S2bに移動する第2区間K2において下降するときの空気圧回路を示す。
図17を参照して、サポートテーブル57が第1区間K1において下降するときの空気の流れについて説明する。空気圧システム60の外部から空気が供給される。外部から供給された空気は、電磁弁44に供給され、電磁弁44のBポートから排出される。電磁弁44から排出された空気は、第1流路61を流れる。
第1流路61を流れる空気は、第2レギュレータ47によって減圧された後、エアシリンダ58の第1空間41に供給される。第2レギュレータ47によって空気が減圧されることにより、サポートテーブル57の下降開始直後にサポートテーブル57が急激に下降することが抑制される。
第1スピードコントロールバルブ71は、第1流路61を介して第1空間41の第1ポートに供給される空気量を調節しない。したがって、電磁弁44から第1流路61に流入した空気は、その流量を減らさずに第1スピードコントロールバルブ71を通過して、エアシリンダ58の第1空間41に流入する。これにより、ピストン43が下降し、サポートテーブル57及びクランプ部材56が下降する。
また、エアシリンダ58の第2空間42から空気が排出される。第2空間42の第2ポートから排出された空気は、第2流路62に流入する。第2流路62に第2スピードコントロールバルブ72が配置されている。第2スピードコントロールバルブ72は、第2空間42の第2ポートから排出され、第2流路62を流れる空気量を調節し、低減する。第2スピードコントロールバルブ72によってその流量を低減された空気は、エアオペレートバルブ45に流入する。
エアオペレートバルブ45によって第2流路62と第3流路63とが接続されている。第2流路62からエアオペレートバルブ45に供給された空気は、第3流路63に流入する。第3流路63に第3スピードコントロールバルブ73が配置されている。第3スピードコントロールバルブ73は、エアオペレートバルブ45から供給され、第3流路63を流れる空気量を調節し、低減する。第3スピードコントロールバルブ73によってその流量を低減された空気は、電磁弁44のAポートから電磁弁44に流入し、外部に排出(大気開放)される。
図17に示す例においては、第2空間42から排出された空気が2つのスピードコントロールバルブ(72、73)を通過するので、ピストン43(サポートテーブル57及びクランプ部材56)は、ゆっくり下降する。本実施形態においては、第2空間42から排出された空気が、第3スピードコントロールバルブ73が配置された第3流路63に流れることにより、図13を参照して説明したように、サポートテーブル57は、第1区間K1において、第1速度V1で下降する。
次に、図18を参照して、サポートテーブル57が第2区間K2において下降するときの空気の流れについて説明する。空気圧システム60の外部から供給された空気は、電磁弁44に供給され、電磁弁44のBポートから排出され、第1流路61を流れる。 第1流路61を流れる空気は、第2レギュレータ47によって減圧された後、エアシリンダ58の第1空間41に供給される。
エアシリンダ58の第2空間42の第2ポートから排出された空気は、第2流路62に流入する。第2流路62に第2スピードコントロールバルブ72が配置されている。第2スピードコントロールバルブ72は、第2空間42の第2ポートから排出され、第2流路62を流れる空気量を調節し、低減する。第2スピードコントロールバルブ72によってその流量を低減された空気は、エアオペレートバルブ45に流入する。
第1流路61及び第6流路66を介してエアオペレートバルブ45に空気が供給される。エアオペレートバルブ45は、第6流路66から供給される空気の力によって作動する。第4スピードコントロールバルブ74は、サポートテーブル57が第1区間K1における下降を終了し第2区間K2における下降を開始するタイミングで、第2流路62と第3流路63とが接続された状態から第2流路62と第4流路64とが接続される状態に変化するように、エアオペレートバルブ45に供給される空気量を調整する。
エアオペレートバルブ45によって第2流路62と第4流路64とが接続される。第2流路62からエアオペレートバルブ45に供給された空気は、第4流路64に流入する。第4流路64にスピードコントロールバルブは配置されていない。エアオペレートバルブ45から第4流路64に流入した空気は、電磁弁44のAポートから電磁弁44に流入し、外部に排出(大気開放)される。
図18に示す例においては、第2空間42から排出された空気は1つのスピードコントロールバルブ(72)のみを通過するので、ピストン43(サポートテーブル57及びクランプ部材56)は、素早く下降する。本実施形態においては、第2空間42から排出された空気が、スピードコントロールバルブが配置されていない第4流路64に流れることにより、図14を参照して説明したように、サポートテーブル57は、第2区間K2において、第1速度V1よりも高い第2速度V2で下降する。
次に、本実施形態に係る電子部品実装装置10を用いて基板Pに電子部品Cを実装する方法の一例について、図19から図24に示す模式図を参照して説明する。
図19及び図20に示すように、ガイドレール53にガイドされ、搬送部材51によって搬送される基板Pが、実装位置SJで停止される。X軸方向(基板Pの搬送方向)に関する基板Pの位置は、ストッパ部材39によって位置決めされる。
図21に示すように、エアシリンダ58の作動により、サポートテーブル57が上昇する。サポートテーブル57の上昇により、クランプ部材56も上昇する。クランプ部材56に支持されている基板Pは、クランプ部材56と対向部材55との間に保持される。
クランプ部材56と対向部材55との間に保持された状態で、基板Pに電子部品Cが実装される。
基板Pに対する電子部品Cの実装が終了した後、エアシリンダ58の作動により、サポートテーブル57が下降する。サポートテーブル57の下降により、クランプ部材56も下降する。これにより、基板Pの保持が解除される。
図22に示すように、サポートテーブル57の第2可動範囲S2の上端位置S2aから中間位置S2cに移動する第1区間K1においては、図17を参照して説明したように、エアシリンダ58の第2空間42から排出された空気が第3流路63に流入するように、エアオペレートバルブ45の動作が調整される。これにより、サポートテーブル57は、第1速度V1で下降する。なお、上述したように、クランプ部材(第1昇降部材)56は、ガイド部材(ストッパ部材とも称する)56a、56aに当接して、下端位置S1bに停止する。
第4スピードコントロールバルブ74でエアオペレートバルブ45に供給される空気量を調整されることによって、エアオペレートバルブ45の作動時間(切替タイミング)が調整される。第4スピードコントロールバルブ74を介して一定量の空気がエアオペレートバルブ45に供給され、エアオペレートバルブ45の動作圧力に達すると、第2流路62と第3流路63とが接続された状態から第2流路62と第4流路64とが接続される状態に変化する(切り替わる)。
図23に示すように、サポートテーブル57の第2可動範囲S2の中間位置S2cから下端位置S2bに移動する第2区間K2においては、図18を参照して説明したように、エアシリンダ58の第2空間42から排出された空気が第4流路64に流入するように、エアオペレートバルブ45の動作が調整される。これにより、サポートテーブル57は、第1速度V1よりも速い第2速度V2で下降する。
サポートテーブル57が下端位置S2bに配置された後、図24に示すように、ストッパ部材39による保持が解除され、搬送部材51による基板Pの搬送が開始される。基板Pは、電子部品実装装置10から搬出され、次の工程に移送される。
以上説明したように、本実施形態によれば、サポートテーブル57が第2可動範囲S2の上端位置S2aから中間位置S2cに移動する第1区間K1においてサポートテーブル57を第1速度V1で下降し、第2可動範囲S2の中間位置S2cから下端位置S2bに移動する第2区間K2においてサポートテーブル57を第1速度V1よりも高い第2速度V2で下降するようにしたので、基板Pに実装された電子部品Cが基板Pから脱落することが抑制される。
基板Pに対する電子部品Cの実装が終了した後、クランプ部材56は、第1可動範囲S1の上端位置S1aから下端位置S1bまで移動し、下端位置S1bにおいて停止する。クランプ部材56を支持するサポートテーブル57が第2可動範囲S2の上端位置S2aから中間位置S2cに移動する第1区間K1において高速で下降すると、基板Pに衝撃力が作用する可能性がある。その結果、基板Pに実装された電子部品Cが基板Pから脱落する可能性がある。実装された電子部品Cが基板Pにクリンチされていない場合(電子部品Cの抜け止め処理が行われていない場合)、基板Pに衝撃力が作用すると、電子部品Cが基板Pから脱落する可能性が高くなる。
本実施形態によれば、基板Pを支持するクランプ部材56がサポートテーブル57に支持され、そのサポートテーブル57を下降することによってクランプ部材56を下降させる場合、サポートテーブル57の第2可動範囲S2の前半区間である第1区間K1において低速な第1速度V1でサポートテーブル57を下降させるようにしたので、基板Pに電子部品Cが実装された直後、基板Pに衝撃力が作用することが抑制される。そのため、基板Pに実装された電子部品Cが基板Pから脱落することが抑制される。したがって、不良な電子機器が生産されることが抑制される。また、第2区間K2においては高速な第2速度V2でサポートテーブル57を下降させるようにしたので、基板Pに対する電子部品Cの実装が終了してから、その基板Pの搬送を開始するまでの時間を短くすることができる。したがって、電子部品実装装置10の生産性が低下することが抑制される。
また、本実施形態においては、第1区間K1は、クランプ部材56と接触状態でサポートテーブル57が下降する区間を含み、第2区間K2は、クランプ部材56と非接触状態でサポートテーブル57が下降する区間を含む。第2可動範囲S2の中間位置S2cにおいて、サポートテーブル57が第1可動範囲S1の下端位置S1bに配置されているクランプ部材56に対して接触状態から非接触状態に変化するように、サポートテーブル57の速度が調整される。基板Pを支持するクランプ部材56が第1可動範囲S1の上端位置S1aから下端位置S1bまで移動し、下端位置S1bにおいて停止したときに、基板Pに作用する衝撃力が大きくなる可能性が高い。そのため、クランプ部材56が下端位置S1bに移動するまでクランプ部材56がゆっくりと(第1速度V1で)下降することにより、基板Pに大きい衝撃力が作用することが抑制される。クランプ部材56が下端位置S1bに配置されてクランプ部材56とサポートテーブル57とが非接触状態になった後、サポートテーブル57が高速で(第2速度V2で)下降することにより、電子部品実装装置10の生産性の低下が抑制される。
また、本実施形態によれば、エアオペレートバルブ45を使って、エアシリンダ58の第2空間42から排出された気体が、2つのスピードコントロールバルブ(72、73)が配置された流路及び1つのスピードコントロールバルブ(72)が配置された流路のいずれか一方を通過することを、円滑に切り替えることができる。これにより、サポートテーブル57の下降速度を2段階に円滑に切り替えることができる。
また、本実施形態によれば、エアオペレートバルブ45に作用させる空気の力は、第4スピードコントロールバルブ74によって調整される。これにより、例えば圧力センサ等を用いることなく、簡易な構成で、サポートテーブル57の下降速度を2段階に円滑に切り替えることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
図25は、本実施形態に係る空気圧システム60Bの一例を示す図である。上述の実施形態においては、エアシリンダ58が、空気圧システム60により、サポートテーブル57を第1速度V1と第2速度V2との2つの速度で下降する2段階制御を実施する例について説明した。本実施形態においては、エアシリンダ58が、空気圧システム60Bにより、第2可動範囲S2の上端位置S2aから下端位置S2bまで移動する区間においてサポートテーブル57を同一速度で下降可能である例について説明する。本実施形態においては、空気圧システム60Bは、2つの速度でサポートテーブル57を下降させる2段階制御と、1つの速度でサポートテーブル57を下降させる1段階制御と、を切り替え可能な例について説明する。
本実施形態に係る空気圧システム60Bは、上述の実施形態で説明した空気圧システム60の構成要素に加えて、第2流路62と第5流路65とを結ぶ第7流路67と、第7流路67に配置され、第2空間42から排出され第7流路67を流れる空気量を調節してエアシリンダ58の速度を調整する第5スピードコントロールバルブ75と、エアシリンダ58の第2空間42から排出された空気が、第2流路62及び第7流路67のいずれか一方に流れるように切り替えるメカニカルバルブ80と、を有する。
また、空気圧システム60Bは、メカニカルバルブ80と第5流路65とを結ぶ第8流路68と、第2流路62に配置され、エアオペレートバルブ45からメカニカルバルブ80への空気の移動を規制する第1チェック弁81と、第7流路67に配置され、第5流路65からメカニカルバルブ80への空気の移動を規制する第2チェック弁82と、第8流路68に配置され、メカニカルバルブ80から第5流路65への空気の移動を規制する第3チェック弁83と、を有する。
次に、本実施形態に係る空気圧システム60Bの動作の一例について、図26、図27、図28、及び図29に示す模式図を参照して説明する。
図26を参照して、基板Pをクランプ状態にするときの空気圧システム60Bの動作の一例について説明する。
基板Pをクランプ状態にするとき、第2空間42と第8流路68とが接続され、第2流路62が遮断され、第2空間42と第7流路67とが非接続状態となるように、メカニカルバルブ80が操作される。
空気圧システム60Bの外部から空気が供給される。外部から供給された空気は、電磁弁44に供給され、電磁弁44のAポートから排出される。電磁弁44から排出された空気は、第5流路65を流れ、第8流路68を流れ、第3チェック弁83を通過する。第3チェック弁83を通過した空気は、メカニカルバルブ80を通過して、エアシリンダ58の第2空間42に供給される。これにより、ピストン43が上昇し、サポートテーブル57及びクランプ部材56が上昇する。
エアシリンダ58の第1空間41から排出された気体は、第1流路61を流れ、第1スピードコントロールバルブ71で減速され、第2レギュレータ47を通過した後、電磁弁44のBポートに流入し、大気開放される。
また、エアオペレートバルブ45及び第4スピードコントロールバルブ74から残圧が開放される。
次に、図27及び図28を参照して、基板Pを非クランプ状態にするときの空気圧システム60Bの動作の一例について説明する。図27及び図28は、上述の第1実施形態で説明したような、2段階制御を実行する場合の空気圧回路を示す。図27は、サポートテーブル57が第1速度V1で下降する例を示す。図28は、サポートテーブル57が第2速度V2で下降する例を示す。
2段階制御で基板Pを非クランプ状態にするとき、第2空間42とエアオペレートバルブ45が接続され(第2流路62が非遮断状態となり)、第2空間42と第7流路67とが非接続状態となり、第2空間42と第8流路68とが非接続状態となるように、メカニカルバルブ80が操作される。
空気圧システム60Bの外部から空気が供給される。外部から供給された空気は、電磁弁44に供給され、電磁弁44のBポートから排出される。電磁弁44のBポートから排出された空気は、第1流路61を流れ、第2レギュレータ47で減圧され、第1スピードコントロールバルブ71を通過する。第1スピードコントロールバルブ71を通過した空気は、エアシリンダ58の第1空間41に供給される。これにより、ピストン43が下降し、サポートテーブル57及びクランプ部材56が下降する。
図27に示すように、サポートテーブル57が第1速度V1で下降するとき、エアシリンダ58の第2空間42から排出された気体は、メカニカルバルブ80を通過し、第1チェック弁81を通過して、第2スピードコントロールバルブ72で絞られ、その排出する空気量が低減される。さらに、エアオペレートバルブ45を通過して、第3流路63に流入し、第3スピードコントロールバルブ73で、その排出する空気量が低減される。第3スピードコントロールバルブ73で低減された空気は、第5流路65を流れた後、電磁弁44のAポートに流入し、大気開放される。これにより、サポートテーブル57は、第1速度V1で下降する。
図28に示すように、サポートテーブル57が第2速度V2で下降するとき、エアシリンダ58の第2空間42から排出された気体は、メカニカルバルブ80を通過し、第1チェック弁81を通過して、第2スピードコントロールバルブ72で絞られ、その排出する空気量が低減される。その後、エアオペレートバルブ45を通過して、第4流路64に流入し、第5流路65を流れた後、電磁弁44のAポートに流入し、大気開放される。これにより、サポートテーブル57は、第2速度V2で下降する。
次に、図29を参照して、基板Pを非クランプ状態にするときの空気圧システム60Bの動作の一例について説明する。図29は、1段階制御を実行する場合の空気圧回路を示す。
1段階制御で基板Pを非クランプ状態にするとき、第2空間42と第7流路67とが接続され、第2流路62が遮断され、第2空間42と第8流路68とが非接続状態となるように、メカニカルバルブ80が操作される。
空気圧システム60Bの外部から空気が供給される。外部から供給された空気は、電磁弁44に供給され、電磁弁44のBポートから排出される。電磁弁44のBポートから排出された空気は、第1流路61を流れ、第2レギュレータ47で減圧され、第1スピードコントロールバルブ71を通過する。第1スピードコントロールバルブ71を通過した空気は、エアシリンダ58の第1空間41に供給される。これにより、ピストン43が下降し、サポートテーブル57及びクランプ部材56が下降する。
エアシリンダ58の第2空間42から排出された気体は、メカニカルバルブ80を通過し、第7流路67に流入し、第2チェック弁82を通過して、第5スピードコントロールバルブ75でその排出される空気量が低減された後、第5流路65に流入する。第5流路65に流入した空気は、電磁弁44のAポートに流入し、大気開放される。これにより、サポートテーブル57は、上端位置S2aから下端位置S2bまで一定速度で下降する。
以上説明したように、本実施形態によれば、第2可動範囲S2の上端位置S2aから下端位置S2bまで移動する区間においてサポートテーブル57を2つの速度(V1、V2)で下降させる2段階制御と、1つの速度で下降させる1段階制御とを切り替えるようにしたので、2段階制御が不要な場合、1段階制御を円滑に実施することができる。
また、本実施形態によれば、メカニカルバルブ80を操作することによって、2段階制御と1段階制御とを円滑に切り替えることができる。