JP6388201B2 - サイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体 - Google Patents

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この発明はサイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体に関するものである。
サイトケラチンは上皮細胞の細胞骨格を形成する細胞骨格タンパク質であり、中間径の骨格を形成している。細胞質中の原形質流動や糖質の分解酵素、脂肪の蓄積にも関与する。
さらに、皮膚の表皮細胞や内臓の上皮細胞にも豊富であり、細胞内情報伝達系の調節にも関与している。特に、チロシンキナーゼやプロインキナーゼの働きの制御にも関与している。
このサイトケラチンは加齢とともに減少し、皮膚のハリや皮膚の再生の遅延にも関係している。サイトケラチンには10種類以上のタイプが存在しているものの、皮膚の表皮細胞に含有されるサイトケラチンが豊富であり、美容領域や皮膚科学領域でサイトケラチンが注目されている。
また、サイトケラチンは腫瘍マーカーとしても注目されており、種々の測定方法が発明さけている。たとえば、循環ガン細胞の迅速かつ効率的な単離のための方法および試薬に関する発明がある(例えば、特許文献1参照。)。
たとえば、改善されたイムノアッセイ法の発明がある(例えば、特許文献2参照。)。
また、抗アシアロガングリオシド抗体の測定による敗血症の診断方法の発明がある(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、医療領域、皮膚領域や美容領域でサイトケラチンを増加させる方法、成分や物質に関する発明はない。
また、サイトケラチンを増加させる物質が化学物質である場合には、副作用が発生する危険性があり、産業上の利用が限定される。
そこで、天然物由来でかつ、サイトケラチンを増加させる物質が望まれている。
特許第5265855号 特許第4876127号 特許第4372680号
前記したように既存の天然物によるサイトケラチン増加作用は軽度であり、産業上への利用が限定されるという課題があり、また、化学合成された物質では安全性に問題があり、利用が限られている。
そこで、副作用が弱く優れたサイトケラチン増加作用を呈する天然物が望まれている。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は下記の式(1)に示されるサイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体に関するものである。
Figure 0006388201
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載の誘導体によれば、優れたサイトケラチン増加作用を発揮することができる。
以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
まず、下記の式(1)に示されるサイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体はカロチノイドの1分子とポリフェノールの1分子とシステインの1分子からなる。
Figure 0006388201
カロチノイドはルテイン分子の半分であり、直鎖部分の水酸基と環状部分に水酸基を有している。
システインはL型である。ポリフェノールはデオキシノジリマイシンに類似した構造体である。
カロチノイドの水酸基にシステインのカルボキシル基がエステル結合している。
また、カロチノイドの環状部分の水酸基にポリフェノールの窒素部分がエーテル結合している。
このカロチノイド誘導体はテルペン部分が疎水性であることから細胞膜を通過し、細胞内に到達することが可能である。また、水酸基を有することから水溶性でもあり、両親媒性を呈することから細胞内に浸透後、水溶性のサイトケラチン合成酵素にも働きかけることから好ましい。
このカロチノイド誘導体はサイトケラチン合成酵素の活性中心を活性化してサイトケラチン合成を活性化する。活性化の様式は、可逆的であり、このカロチノイド誘導体が存在しなくなることによりその活性化は停止する。
サイトケラチン合成酵素の活性化が可逆的であることは、安全性の面から好ましい。すなわち、このカロチノイド誘導体が分解されれば、その働きは停止する。
カロチノイド誘導体にはポリフェノールが含有され、水酸基が存在していることから紫外線による活性酸素の産生を抑制できる。紫外線や活性酸素はサイトケラチンを切断してしまうことから、この活性酸素を除去できる点は好ましい。
このカロチノイド誘導体は皮膚細胞や皮下組織の細胞に浸透しやすいことから好ましい。つまり、両親媒性の性質を有していることは好ましい。
カロチノイドには元来、酵素反応を調整する働きがある。酵素の触媒反応を調整することにより阻害作用や活性化作用、アロステリック作用などを発揮する。
ここに示したカロチノイド誘導体はサイトケラチン合成酵素を活性化する働きを呈する。その働きの特徴は可逆的であり、活性化のタイプは拮抗型であるという点である。
サイトケラチン合成酵素は全身の組織や細胞に分布する酵素であり、肝臓、脂肪組織、血液などに存在してする。
このカロチノイド誘導体の抽出方法または製造方法としては発酵法、酵素反応法や化学合成法などのいずれかの方法が用いられる。
このカロチノイド誘導体の抽出方法としては黄色を呈した絹やシルクから抽出することができる。この抽出方法ではプロテアーゼやリパーゼなどの消化酵素を利用することは抽出効率が高められることから好ましい。
また、酵素反応法の場合、カロチノイドを含有する植物から抽出することができる。または、発酵により微生物に生合成させる。
さらに、精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
例えば、分離用担体または樹脂により分離され、分取されることは好ましい。分離用担体または樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。
これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜40倍量が好ましく、4〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜30℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはそれらの混合液が好ましい。
ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。
また、活性を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
このカロチノイド誘導体は人の皮膚や皮膚細胞に存在する細胞に直接作用してサイトケラチンを生合成し、美肌作用や皮膚再生作用を呈する。
カロチノイド誘導体に油脂を添加することは、得られる活性部分が油の中で安定に維持することから好ましい。例えば、大豆油、米ぬか油、グレープシード油、オリーブ油、ホホバ油で抽出することは好ましい。
医薬品として注射剤または経口剤または塗布剤などの非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、塗布剤、ゲル剤、歯磨き粉等に配合されて利用される。
経口剤としては錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラックまたは砂糖で被覆することもできる。
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を添加することができる。
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
食品製剤として美容を目的とした美容食品、美容を目的とした食品、健康的な細胞の維持を目的とした細胞賦活剤などに利用される。また、保健機能食品として、栄養機能食品や特定保健用食品に利用することは好ましい。
得られた食品製剤をイヌやネコなどのペットや家畜動物に利用する場合、皮膚や組織の健康を維持する目的として、飼料やサプリメントとして利用される。
化粧料として常法に従って界面活性化剤、溶剤、増粘剤、賦形剤等とともに用いることができる。例えば、クリーム、毛髪用ジェル、洗顔剤、美容液、化粧水等の形態とすることができ、サイトケラチンの産生を促進する化粧料となる。
化粧料の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状または粉末状として用いることができる。
次に、シルクとマリーゴールド花を添加し、納豆菌により発酵させた発酵液に分岐シクロデキストリンを添加してプロテアーゼ処理を行う工程からなるサイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体の製造方法について説明する。
ここでいうカロチノイド誘導体はカロチノイドの1分子とポリフェノールの1分子とシステインの1分子からなる。
カロチノイドはルテイン分子の半分であり、直鎖部分の水酸基と環状部分に水酸基を有している。
システインはL型である。ポリフェノールはデオキシノジリマイシンに類似した構造体である。
カロチノイドの水酸基にシステインのカルボキシル基がエステル結合している。
また、カロチノイドの環状部分の水酸基にポリフェノールの窒素部分がエーテル結合している。
この製造方法はシルクとマリーゴールド花を添加し、納豆菌により発酵させた発酵液に分岐シクロデキストリンを添加してプロテアーゼ処理を行う工程からなる。
原料となる物質はシルク、マリーゴールド花、納豆菌、分岐シクロデキストリン及びプロテアーゼである。
シルクは絹のことであり、蚕の産物である。シルクの原産国は日本、アジア、アメリカ、ヨーロッパなどいずれも利用できる。特に、タイ産のシルクは品質も良好であり、カロチノイドとの結合に優れていることから好ましい。
特に、タイ産の黄色を呈したゴールデンシルクはカロチノイドを結合しやすいことから好ましい。
マリーゴールド花はキク科コウオウソウ属の花で学名Tagetes patulaの花であり、フレンチマリーゴールドの花である。これは和名としてコウオウソウ、クジャクソウまたはマンジュギクといわれる。
このマリーゴールドの花の粉末にはルテインなどのカロチノイドが豊富である。
用いる納豆菌は学名バチルス サブチリスであり、納豆の製造に利用される有用な微生物である。納豆素本舗の粉末の納豆菌は品質が良好で発酵に適していることから好ましい。
分岐シクロデキストリンは環状ブドウ糖の一つであり、ブドウ糖が環状に結合し、食品や化粧料に利用されることから好ましい。この分岐シクロデキストリンは内腔に疎水性部分を有することから疎水性の高い物質を吸着しやすい。塩水港精糖社製の分岐シクロデキストリンは品質が高いことから好ましい。
用いるプロテアーゼとしては天野エンザイム社製の食品加工用プロテアーゼであるプロテアーゼA「アマノ」SD、プロテアーゼM「アマノ」SDまたはプロテアーゼP「アマノ」3SDの品質が安定し、使用実績が豊富なことから好ましい。
まず、このシルクは粉砕機などにより粉末にされる。粉末にすることにより、加工がしやすくなる。
マリーゴールド花は粉砕機により粉砕され、清浄な水を添加して懸濁される。シルク100gに対してマリーゴールド花は50〜300g添加され、清浄な容器の中で精製水などの水と1リットル〜10リットルとともに攪拌される。
シルクとマリーゴールド花は煮沸滅菌され、発酵タンクに添加される。滅菌することにより雑菌の混入が防御され、納豆菌による発酵が進行する。
発酵は静置法または撹拌法のいずれでも良いが、発酵を短時間で実施できる点から撹拌法が好ましい。
発酵は38〜46℃で24時間から70時間行われることが好ましい。温度が低く、時間が短い場合には発酵が進まず、温度が高く、時間が長い場合には目的とするカロチノイド誘導体が分解されてしまうおそれがある。
この発酵液は濾過布などにより濾過されることは以下の工程を容易に行えることから好ましい。
このろ液に分岐シクロデキストリンが添加される。分岐シクロデキストリンは環状ブドウ糖の一つであり、ブドウ糖が環状に結合し、食品や化粧料に利用されることから好ましい。この分岐シクロデキストリンは内腔に疎水性部分を有することから疎水性の高い物質を吸着しやすい。塩水港精糖社製の分岐シクロデキストリンは品質が高いことから好ましい。
添加される分岐シクロデキストリンはシルク100gに対して分岐シクロデキストリンの60gから300gが好ましい。この分岐シクロデキストリンによりマリーゴールド花のカロチノイドがシルクと結合して誘導体が生成される。
この分岐シクロデキストリンとの懸濁液は攪拌されることが好ましい。
この懸濁液にプロテアーゼが添加される。添加されるプロテアーゼは発酵液100gに対して0.001gから0.2gが好ましい。このプロテアーゼは精製水に懸濁して添加されることは反応が進むことから好ましい。
この懸濁液は反応を促進するために加温され、攪拌されることは好ましい。加温としては37〜44℃が好ましい。また、攪拌は1分間当り10〜30回が好ましい。時間は1時間から6時間が好ましい。
このプロテアーゼ反応液は濾過される。濾紙やメンブランフィルターを用いることにより効率良くろ過される。ろ過してろ液を得ることにより反応していない成分や原料を排除できることから好ましい。
得られた反応物は煮沸滅菌され、プロテアーゼを失活させることは好ましい。
得られた反応物は、凍結乾燥することにより粉末化され、用いられる。
前記の反応物から、目的とするカロチノイド誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
例えば、分離用担体または樹脂により分離され、分取されることにより目的とするカロチノイド誘導体が得られる。分離用担体または樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。
これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜30倍量が好ましく、5〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜30℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはそれらの混合液が好ましい。
ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。
カロチノイド誘導体を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするカロチノイド誘導体を粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
また、このカロチノイド誘導体を粉末化することは防腐の目的から好ましい。
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、これらは一例であり、素材、原料や検体の違いに応じて常識の範囲内で条件を変更させることが可能である。
タイ産の黄色を呈したゴールデンシルク10kgをタイより輸入した。これを水洗後、粉砕機(株式会社奈良機械製作所製のスーパー自由ミル)に精製水とともに粉砕して粉砕物9kgを得た。
この粉砕物を乾燥器により乾燥し、シルクの粉末を得た。
さらに、日本産のマリーゴールドの花10kgを生活の木より購入して用いた。この花を精製水により洗浄後、粉砕機により粉砕し、粉砕物を得た。
シルクの粉末5kgとマリーゴールド花の粉末5kgを清浄なステンレス製の寸胴に移し、20リットルの精製水を添加して懸濁した。
これを95〜97℃で1時間煮沸して滅菌した。これらを100kg容量の横河電機社製の撹拌式発酵タンク(FP211)に移し、滅菌した精製水20リットルを添加した。
これに納豆菌本舗である有限会社高橋祐蔵研究所製造の粉末納豆菌15gを購入した。この納豆菌を滅菌水100gに懸濁し、これに粉末大豆粉を添加し、37℃で1時間加温して前培養した。
この納豆菌液を前記の撹拌式発酵タンクに添加して41〜43℃で48時間発酵させた。発酵の状態は大豆の粉末の分解性及び溶解したタンパク質の定量(ビューレット法)によりモニタリングした。
発酵後、得られた発酵液の上清を濾過布により粗濾過してろ液を得た。
このろ液10リットルを清浄なタンクに移してこれに塩水港精糖社製の分岐シクロデキストリン(イソエリート)500gを添加して十分に攪拌した。
さらに、天野エンザイム製のプロテアーゼM「アマノ」SD10gを添加し、37℃に加温して攪拌した。
攪拌は攪拌装置を用いて室温で4時間実施した。この反応液を煮沸滅菌し、酵素を失活させた。得られた反応液を東洋濾紙の濾紙(No.2)により吸引ろ過してろ液を得た。
この溶液を凍結乾燥機(タイテック社製のフリーズトラップVA−140S)により凍結乾燥させて目的とする粉末253gを得た。これを検体1とした。
得られた検体1の粉末50gを精製水200mLに懸濁して5%エタノールで膨潤させたダイアイオン(三菱化学製)500gに供した。5%エタノール800mLで洗浄後、50%エタノールでさらに、洗浄した。
これに、80%エタノール500mLを添加し、目的とするカロチノイド誘導体を分画した。得られた分画を減圧乾燥器により乾燥し、粉末12gを得た。この粉末を検体2とした。
以下に、カロチノイド誘導体の構造解析に関する試験方法及び結果について説明する。
(試験例1)
上記のように得られた検体2を精製水に溶解し、濾過後、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析した。
さらに、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製、AC−250)で解析した。構造解析の結果、検体2からカロチノイドとポリフェノールとシステインが結合した誘導体が検出された。
結合は、いずれも酸素分子を介したエステル結合であり、ポリフェノールの水酸基はイオン化しており、中性領域では水酸基が存在していた。
また、システインとの結合はシステインのカルボキシル基を介しており、アミノ基とSH基はフリー体であった。
以下に、ヒト皮膚由来表皮細胞を用いたサイトケラチン産生の確認試験について述べる。
(試験例2)
東洋紡ライフサイエンス事業部よりヒト皮膚由来表皮細胞(HEK細胞)を購入して用いた。この表皮細胞を専用の基本培地にて37℃、5%炭酸ガス下で培養した。増殖期にある細胞をトリプシン含有培地にて剥離した。まず、生細胞数をトリパンブルー色素排除法により顕微鏡下で計数した。
細胞数を1mLあたり1000個に調整して5mLずつ培養シャーレに播種してさらに、37℃、5%炭酸ガス下で培養した。これを紫外線照射装置(ロックタイト、出力88MH)により紫外線を照射して細胞にダメージを与えた。照射はシャーレの蓋を外して1時間実施した。
この紫外線照射により表皮細胞が障害を受け、この障害に対する回復を試験した。なお、この方法は皮膚領域では試験物質の評価に実施される方法である。
ここに試験物質として検体2及び対照物質としてヒトEGF(フナコシ製)をいずれも生理食塩液に懸濁し、希釈して最終濃度で0.1mg/mLになるように添加した。
なお、溶媒対照として生理食塩液を用いた。これを37℃で2日間培養して生細胞数を顕微鏡下で計数した。さらに、細胞を精製水に分散して超音波破砕機により細胞分散液を得た。この細胞分散液中に含まれるサイトケラチン量をELISA法(コスモ・バイオ株式会社)により定量した。
その結果、溶媒対照の細胞数を100%として検体2の添加により表皮細胞数は360%に増加した。一方、EGFでは280%となり。検体2の方が優れていた。
サイトケラチン量については溶媒対照の値を100%として検体2の添加によりサイトケラチン量は533%に増加した。一方、EGFでは302%となり。検体2の方がサイトケラチン産生に優れていた。
本発明で得られるカロチノイド誘導体はサイトケラチン増加作用を呈し、かつ、副作用が少ないことから、皮膚病の治療や予防に利用され、国民のQOLを改善できる。
本発明で得られるカロチノイド誘導体は化粧料としても皮膚改善に利用され、化粧品業界の発展に寄与する。

Claims (1)

  1. 下記の式(1)に示されるサイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体。
    Figure 0006388201
JP2014157443A 2014-08-01 2014-08-01 サイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体 Active JP6388201B2 (ja)

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