以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
まず、下記の式(1)に示されるまつ毛増殖作用及び育毛作用を呈するポリフェノール誘導体はポリフェノールの1分子とツラノース1分子とシステイン1分子とメチオニン1分子からなる。
この誘導体のポリフェノール部分はデルフィニジンに類似したポリフェノールである。
ポリフェノールの母核の3位の水酸基とツラノースが結合している。ツラノースのフルクトフラノースの水酸基との結合である。
ポリフェノールの母核の5位は水酸基のままである。7位の水酸基にメチオニンのカルボキシル基と結合している。
このメチオニンはシステインと結合している。システインがN末側になる。
メチオニンとシステインの硫黄は未反応のままである。ポリフェノールの側鎖のポリフェノールは3、4及び5位の水酸基が存在している。これらの水酸基には結合はない。
ツラノースはD型であり、天然型である。構造的にはグルコシルフルクトースである。グリコシル基はピラノースタイプである。フルクトースはフラノースタイプである。
また、ツラノースは微生物の発酵工程の中で大豆やアズキなどの豆類から発生する2糖類であり、化粧品としても利用される。保湿作用と肌細胞増殖作用に優れている。
メチオニンとシステインはいずれもL型であり、天然型である。このポリフェノール誘導体の成分はすべて天然物由来であり、植物に含有されているものである。また、このポリフェノール誘導体をポリフェノール、メチオニン、システインとツラノースより有機化学的に合成することができる。
この有機合成された誘導体は標準物質として解析に利用される。しかし、製造にはコストがかかり、また、有機溶媒を使用することから、化粧品や食品分野には利用しにくいという欠点がある。
このポリフェノール誘導体の構造についてはこの誘導体の重水素化ジメチルスルホキシド中の400MHzのH−NMR(1H−NMR)解析(ブルカー製)により、ピークの位置は0.96、1.01、1.26、1.29、1.30、1.31、1.47、1.65、1.68、2.07、2.12、2.23、2.25、2.29、2.91、3.12、3.18、3.19、3.37、4.14、5.21、5.33、5.64、5.68、5.92、5.98、6.03、6.15、8.38及び8.63ppmに認められる。
また、この誘導体の重水素化ジメチルスルホキシド中のC−NMR(13C−NMR)解析ではピークの位置は14.8、23.6、24.1、24.5、25.6、25.9、28.3、28.5、30.0、30.1、32.8、32.9、35.1、54.0、56.1、57.5、57.8、63.9、71.7、73.7、124.3、126.7、126.9、135.3、136.6、141.9、142.7、153.7、156.6、165.9、169.2、172.9、173.3、173.7及び174.9ppmに認められる。
このポリフェノール誘導体は天然由来であることから、吸収性と安全性が高い。特に、安全性の面から、このポリフェノール誘導体は体内酵素、特に、ペプチダーゼやエステラーゼなどにより分解され、仮に、大量に摂取した場合でも、分解されることから安全性が高い。
このポリフェノール誘導体は育毛作用を発揮する。特に、まつ毛や毛髪に対して増殖作用を発揮する。
このポリフェノール誘導体によるまつ毛増殖作用及び育毛作用のメカニズムはまつ毛及び毛髪細胞の成長因子として働くためである。このポリフェノール誘導体の成長因子としての働きはEGF(Epidermal Growth Factor)とVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)の両方の受容体と結合してリガンドとして働くことによる。
EGFとVEGFは成長作用を示すタンパク質であるが、活性部位はペプチドである。このポリフェノール誘導体はこれらの成長因子ペプチドに類似しており、受容体を活性化する。この誘導体は水溶性と油溶性の両方の溶媒に溶解する。この両親媒性の性質はこの誘導体の利用を広げることから好ましい。
このポリフェノール誘導体の受容体刺激作用は、一過性であり、受容体に結合することはない。一過性の反応であるがゆえ、安全性が高い。
さらに、システインはケラチンを増加させるためにも必要であり、このポリフェノール誘導体にはケラチン増加作用がある。このポリフェノール誘導体はケラチン合成酵素を活性化してケラチン量を増加させる。このケラチンの増加作用は毛髪とまつ毛を強固にすることから好ましい。
このポリフェノール誘導体の抽出方法または製造方法としては培養法、発酵法、酵素反応法や化学合成法などのいずれかの方法が用いられる。
また、このポリフェノール誘導体はヒト毛根細胞を培養して得られる順化培養液から得ることができる。なお、毛根細胞を採取する年齢は低い方が毛根細胞の成長が高まることから好ましい。さらに、赤ちゃん由来の毛根細胞は成長作用に優れているため、より好ましい。その他、大豆、アズキなどの豆類の発酵物から抽出することができる。この抽出方法ではプロテアーゼやリパーゼなどの消化酵素を利用することは抽出効率が高められることから好ましい。
特に、ポリフェノールが豊富である黄色バラ花発酵エキスを培養液としてヒト毛根細胞を培養して順化培養液を採取する製造方法がある。ここで利用する黄色バラ花発酵エキスは特許第5621330号で公開されている製造方法により製造され、セラミド生成を増加されることは好ましい。
さらに、酵素反応法により製造する場合、原料としてポリフェノールを含有する植物を利用することは好ましい。または、発酵により微生物に生合成させることができる。
また、アズキを発酵させることはこのポリフェノール誘導体の製造方法として有用である。
さらに、得られた物質の精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
例えば、分離用担体または樹脂により分離され、分取されることは好ましい。分離用担体または樹脂としては、表面がコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製、HP−20及びHP−21)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。
これらのうち、ダイヤイオンHP−20、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜40倍量が好ましく、4〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜30℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはそれらの混合液が好ましい。
ダイヤイオンHP−20及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。
また、活性を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
このポリフェノール誘導体は人のまつ毛及び毛髪を増殖させ、さらに、皮膚や皮膚細胞に存在する細胞に直接作用してケラチンも生合成し、美肌作用、育毛作用や皮膚再生作用を呈する。まつ毛増殖剤、育毛剤としても利用できる。
ポリフェノール誘導体に油脂を添加することは、得られる活性部分が油の中で安定に維持することから好ましい。例えば、大豆油、米ぬか油、グレープシード油、オリーブ油、ホホバ油で抽出することは好ましい。この誘導体は水溶性と油溶性の両方の溶媒に溶解する。この両親媒性の性質はこの誘導体の利用を広げることから好ましい。
医薬品として注射剤または経口剤または塗布剤などの非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、塗布剤、ゲル剤、歯磨き粉等に配合されて利用される。
経口剤としては錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラックまたは砂糖で被覆することもできる。
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を添加することができる。
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
食品製剤として育毛や美容を目的とした美容食品、美容と育毛を目的とした食品、健康的な細胞の維持を目的とした細胞賦活剤などに利用される。また、保健機能食品として栄養機能食品や特定保健用食品に利用することは好ましい。
得られた食品製剤をイヌやネコなどのペットや家畜動物に利用する場合、皮膚や組織の健康を維持する目的として、飼料やペット用サプリメントとして利用される。
化粧料として常法に従って界面活性化剤、溶剤、増粘剤、賦形剤等とともに用いることができる。例えば、クリーム、毛髪用ジェル、洗顔剤、美容液、化粧水等の形態とすることができ、育毛及びケラチンの産生を促進する化粧料となる。
化粧料の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状または粉末状として用いることができる。この誘導体は水溶性と油溶性の両方の溶媒に溶解する。この両親媒性の性質はこの誘導体の利用を広げることから好ましい。
次に、黄色バラ花発酵エキスを培養液としてヒト毛根細胞を培養する順化工程からなるまつ毛増殖作用及び育毛作用を呈する前記の式(1)で示されるポリフェノール誘導体の製造方法について説明する。
ここでいう前記の式(1)で示されるポリフェノール誘導体はポリフェノールの1分子とツラノース1分子とシステイン1分子とメチオニン1分子からなる。
ウイルスや細菌感染がないヒトの頭部の毛髪の根本より毛根細胞を剥離法により採取する。得られた毛根細胞を黄色バラ花発酵エキスからなる培養液にて培養する工程からなる。
黄色バラ花発酵エキスは株式会社安理ジャパン製のものは品質と有効性に優れていることから好ましい。黄色バラ花発酵エキスを50〜95%容量、2倍濃縮リン酸緩衝生理食塩液(pH6.8)を溶媒として添加し、浸透圧を等張としてpHを6.4〜7.0に調整し、これを毛根細胞用培養液とする。なお、抗生物質や防腐剤などを含めた添加物は使用しない方が品質上及び安全性の点から好ましい。
この培養液をオートクレーブ滅菌後、単離したヒト毛根細胞を培養液中で培養する。細胞が増殖した後、培養液を順化培養液として採取する。得られたヒト毛根細胞順化培養液は液体のまま、または、凍結乾燥して粉末化できる。
前記の反応物から、目的とするポリフェノール誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。なお、純度を高めるために前述した精製工程を繰り返して実施することは好ましい。
ポリフェノール誘導体を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするポリフェノール誘導体を粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
また、このポリフェノール誘導体を粉末化することは防腐の目的から好ましい。なお、毛根細胞はブタ、ウシ、ヒツジ由来でも利用できる。特に、食用とする場合には食用動物由来の毛根細胞の利用が好ましい。
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、これらは一例であり、素材、原料や検体の違いに応じて常識の範囲内で条件を変更させることが可能である。
ウイルスや細菌感染がないヒトの頭部の毛髪の根本より毛根細胞を剥離法により採取した。この剥離法は毛根細胞を採取する方法として確立されている。
得られた毛根細胞を黄色バラ花発酵エキスからなる培養液にて培養した。株式会社安理ジャパン製の黄色バラ花発酵エキスを用いた。これは特許第5621330号に公開されている製造方法により製造され、かつ、高い品質を呈し、セラミド増加作用に優れている。
この黄色バラ花発酵エキスを90%容量としてここに2倍濃縮リン酸緩衝生理食塩液(pH6.8)10%を添加して浸透圧を等張としてpHを6.4〜7.0に調整した。これを培養液として用いた。なお、抗生物質や防腐剤などを含めた添加物は使用しなかった。
この培養液をガラス製培地瓶に移し、オートクレーブ(株式会社平山製作所製)により121℃で10分間オートクレーブ滅菌した後、冷却した。
前記したヒト毛根組織を前記の滅菌培養液に移して洗浄後、培養液にコラゲナーゼ(新田ゼラチン製)を0.1%添加した細胞分散液中に移した。この毛根組織の入ったコラゲナーゼ液を37℃で10分間消化し、組織を分離させ、毛根細胞を分離した。
この毛根細胞分散液をセルストレーナー(フナコシ製、43−50005−03)を通して、通過した毛根細胞を採取した。得られた毛根細胞を培養液に分散して遠心分離(1500rpm、5分間、室温)して細胞を沈殿させた。再度、この遠沈管に培養液を添加して分散し、遠心分離を行い、上清を廃棄し、沈殿した毛根細胞を培養液に分散して細胞懸濁液を採取した。
この毛根細胞懸濁液を35mm径培養シャーレ(ファルコン製)に培養液とともに播種した。毛根細胞数は1000個程度に調整した。この毛根細胞を5%炭酸ガス/95%空気下、炭酸ガス培養器(ヤマト科学製、CO2インキュベーターNU−5800)にて37℃で5日間から7日間培養した。
毛根細胞の増殖性は位相差顕微鏡(オリンパス製)下で目視により観察しながら、毛根細胞を順化培養した。順化とは毛根細胞が放出する成長因子、タンパク質、脂質からなる因子による成長過程を示し、順化培養液により細胞が増殖している状態である。培養を継続して毛根細胞がコンフレント(シャーレ面に一層状態)になったら、培養液を採取し、遠心分離(3000rpm、5分間)して上清のみを採取し、これをオートクレーブ滅菌して冷却した液を毛根細胞順化培養液とした。これを検体1とした。
なお、コンフレントになった細胞はトリプシンとEDTA液により常法に従い、細胞を剥離させ、培養液に分散後、1000個程度の細胞数を再度、培養シャーレに播種して順化培養させた。
得られた検体1の液体70gを精製水200mLに懸濁して5%エタノールで膨潤させたダイヤイオンHP−20(三菱化学製)500gに供した。5%エタノール700mLで洗浄後、50%エタノールでさらに洗浄した。
これに、80%エタノール500mLを添加し、目的とするポリフェノール誘導体を分画した。得られた分画を減圧乾燥器により乾燥した。この精製操作を4回実施して最終精製物として1.7gを得た。これを検体2とした。
以下に、ポリフェノール誘導体の構造解析に関する試験方法及び結果について説明する。
(試験例1)
上記のように得られた検体2を精製水に溶解し、濾過後、高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析した。
さらに、重水素化ジメチルスルホキシド中核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製)で解析した。構造解析の結果、検体2及び検体1からポリフェノール、ツラノース、システインとメチオニンが結合した誘導体が検出された。
その結合は1分子ずつの結合であった。また、システインとメチオニンはL型であった。
400MHzのH−NHR分析結果では、0.96、1.01、1.26、1.29、1.30、1.31、1.47、1.65、1.68、2.07、2.12、2.23、2.25、2.29、2.91、3.12、3.18、3.19、3.37、4.14、5.21、5.33、5.64、5.68、5.92、5.98、6.03、6.15、8.38及び8.63ppmにピークが認められた。
さらに、C−NMR分析結果では、14.8、23.6、24.1、24.5、25.6、25.9、28.3、28.5、30.0、30.1、32.8、32.9、35.1、54.0、56.1、57.5、57.8、63.9、71.7、73.7、124.3、126.7、126.9、135.3、136.6、141.9、142.7、153.7、156.6、165.9、169.2、172.9、173.3、173.7及び174.9ppmにピークが認められた。
以下に、C−NMRの解析結果のチャートを示した。(横軸単位はppm、縦軸単位はピーク強度を示す。)
上記の分析値は有機化学合成されたポリフェノール誘導体のピークと同一であり、ポリフェノール誘導体が同定された。検体2に含まれるこの誘導体は98.9%、つまり、純度98.9%であり、検体1は77.2%であった。
以下に、ヒトまつ毛由来細胞を用いたケラチン産生の確認試験について述べる。
(試験例2)
健常な男性56才のまつ毛を採取し、コラゲナーゼ法により細胞を分離した。この細胞をまつ毛細胞とした。このまつ毛細胞をMEM基本培地にて37℃、5%炭酸ガス下で培養した。増殖期にある細胞をトリプシン含有培地にて剥離した。まず、生細胞数をトリパンブルー色素排除法により顕微鏡下で計数した。細胞数を1mLあたり1000個に調整して5mLずつ培養シャーレに播種してさらに、37℃、5%炭酸ガス下で培養した。これを紫外線照射装置(ロックタイト、出力88MH)により紫外線を照射して細胞にダメージを与えた。照射はシャーレの蓋を外して1時間実施した。
この紫外線照射によりまつ毛細胞が障害を受け、この障害に対する回復を試験した。なお、この方法は皮膚と毛髪領域では試験物質の評価に実施される方法である。
ここに試験物質として検体2及び対照物質としてヒトEGF(フナコシ製)をいずれも生理食塩液に懸濁し、希釈して最終濃度で0.1mg/mLになるように添加した。なお、溶媒対照として生理食塩液を用いた。これを37℃で3日間培養して生細胞数を顕微鏡下で計数した。さらに、細胞を精製水に分散して超音波破砕機により細胞分散液を得た。この細胞分散液中に含まれるケラチン量をELISA法(コスモ・バイオ株式会社)により定量した。
その結果、溶媒対照の細胞数を100%として検体2の添加によりまつ毛細胞数は344%に増加した。一方、EGFでは147%となり。検体2の方がまつ毛の増殖に優れていた。ケラチン量については溶媒対照の値を100%として検体2の添加によりケラチン量は466%に増加した。一方、EGFでは218%となり、検体2の方がケラチン産生に優れていた。
以下に、ヒト毛髪由来細胞を用いたケラチン産生の確認試験について述べる。
(試験例3)
健常な男性56才の毛髪細胞を採取し、コラゲナーゼ法により細胞を分離した。この細胞を毛髪細胞とした。この毛髪細胞をMEM基本培地にて37℃、5%炭酸ガス下で培養した。増殖期にある細胞をトリプシン含有培地にて剥離した。まず、生細胞数をトリパンブルー色素排除法により顕微鏡下で計数した。
細胞数を1mLあたり1000個に調整して5mLずつ培養シャーレに播種してさらに、37℃、5%炭酸ガス下で培養した。これを紫外線照射装置(ロックタイト、出力88MH)により紫外線を照射して細胞にダメージを与えた。照射はシャーレの蓋を外して1時間実施した。
この紫外線照射により毛髪細胞が障害を受け、この障害に対する回復を試験した。なお、この方法は毛髪領域では試験物質の評価に実施される方法である。
ここに試験物質として検体2及び対照物質としてヒトEGF(フナコシ製)をいずれも生理食塩液に懸濁し、希釈して最終濃度で0.1mg/mLになるように添加した。
なお、溶媒対照として生理食塩液を用いた。これを37℃で3日間培養して生細胞数を顕微鏡下で計数した。さらに、細胞を精製水に分散して超音波破砕機により細胞分散液を得た。この細胞分散液中に含まれるケラチン量をELISA法(コスモ・バイオ株式会社)により定量した。
その結果、溶媒対照の細胞数を100%として検体2の添加により毛髪細胞数は311%に増加した。一方、EGFでは149%となり。検体2の方が毛髪細胞の増殖に優れていた。
ケラチン量については溶媒対照の値を100%として検体2の添加によりケラチン量は433%に増加した。一方、EGFでは188%となり、検体2の方がケラチン産生に優れていた。