JP6606635B2 - サイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体 - Google Patents

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Description

この発明はサイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体に関するものである。
サイトケラチンは細胞の骨格を形成し、細胞の補強、物質の細胞内輸送、原形質流動、遺伝子調節、細胞内情報伝達、細胞の弾力性と再現性などを調整するたんぱく質である。
サイトケラチンは上皮細胞内に多く認められ、上皮細胞の種類により変異があり、10種類以上のサイトムラチンが存在している。しかし、骨格をなすサイトケラチンは共通であり、低分子のケラチンを骨格として高分子が構成されている。
サイトケラチンは直径10nmほどの中間径フィラメントにも分類されており、細胞機能を調節している。このサイトケラチの産生はmRNAレベルで解析されており、複数のmRNAが関与している。サイトケラチンの減少は細胞機能の低下に関与している。
サイトケラチンを増加させることは、細胞機能の亢進、細胞の機能性を高めるため、いろいろな研究がなされている。上皮増殖因子受容体キナーゼ阻害剤に対する抗癌反応を予測する生物学的マーカーの発明(例えば、特許文献1参照。)では、サイトケラチンの働きが紹介されている。しかし、サイトケラチンを増加させる方法や物質についての発明は確立されていない。
特願2010−503089
既存の物質によるサイトケラチン増加作用は軽度であり、産業上への利用が限定されるという課題があり、また、化学合成された物質では安全性に問題があり、利用が限られている。
そこで、副作用が弱く優れたサイトケラチン増加作用を呈する天然物が望まれている。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は下記の式(1)で示されるサイトケラチン増加作用を有するカロチノイド誘導体に関するものである。
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載のカロチノイド誘導体はサイトケラチン増加作用に優れている。
以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
サイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体とは、下記の式(1)で示される構造からなるものである。
前記の式(1)のようにカロチノイドの1分子にチロシルアラニルチロシンのトリペプチド1分子とジピコリン酸からなる。これらの結合はすべて天然型であり、水酸基の酸素を介したエステル結合である。
カロチノイドはゼアキサンチンまたはルテインに類似した骨格を呈している。チロシルアラニルチロシンの構成アミノ酸はすべてL型であり、N末端はチロシンである。トリペプチドはペプチド結合で結合している。
ジピコリン酸は納豆菌などの細菌が産生する抗菌作用を有する低分子であり、炭素7水素5窒素1酸素4から構成されている。また、分子量は167.12である。このジピコリン酸のカルボキシル基はカロチノイドの水酸基とエステル結合している。
このカロチノイド誘導体はカロチノイドの骨格部分が疎水性であり、トリペプチドとジピコリン酸が親水性であることから、両親媒性の性質を呈し、水や脂質の両方に溶解しやすいことから産業上の利用価値が高い。
このカロチノイド誘導体は細胞膜や核膜を浸透しやすく、遺伝子に直接作用することから働きが直接的であり、強いことは好ましい。特に、サイトケラチンのmRNAの誘導に働き、mRNAを増加させる。この作用メカニズムは直接的作用であることから強力である。
このカロチノイド誘導体は少量であれば、化学的な合成経路により合成することも可能である。カロチノイドとアミノ酸とジピコリン酸から活性部位を保護しながら、有機合成できる。しかし、コストが高く、溶媒の影響も生じやすいことからこの製造方法は産業上の利用が限定される。しかし、標準物質の採取には利用できる。
このカロチノイド誘導体は標準品の構造解析により同定され、化学合成された標準品の400MHzのH−NMRでは重水中でのケミカルシフトは0.8〜1.2、1.36〜1.52、2.241、2.547、2.83〜3.48、6.18〜6.53、7.57〜7.61及び12.052ppmにピークを認めた。
このカロチノイド誘導体は脂肪細胞にも浸透しやすく、脂肪組織から脂肪分解酵素を誘導することから、脂肪の代謝が低下した患者に適している。また、ダイエットの目的にも適している。
さらに、このカロチノイド誘導体は未熟なサイトケラチンの増加を介して上皮細胞の分化と増殖を促進する。たとえば、皮膚では強固なサイトケラチンによる皮膚細胞の補強により皮膚の弾力が増加し、シワの深さを改善する。
このカロチノイド誘導体は上皮細胞のサイトケラチンの増加を介して癌細胞の増殖をブロックすることから癌に対する抑制作用を呈する。
このカロチノイド誘導体は肝臓及び腎臓に存在するエステラーゼによりカロチノイド、トリペプチド及びジピコリン酸に分解され、代謝されることから、過剰量が摂取され、または、塗布された場合にも、過剰による副作用は少ない。
また、このカロチノイド誘導体は全て自然界に存在する物質であり、その食経験や化粧品としての利用実績が豊富であることから安全性が確認されている。
さらに、このカロチノイド誘導体は眼の角膜細胞と水晶体細胞のサイトケラチンを増加して構造を補強し、視力の回復に利用される。
そもそも、カロチノイド自体は眼の組織に豊富であり、視力の回復に貢献することから、このカロチノイド誘導体にも視力回復作用が期待される。
このカロチノイド誘導体は天然にも存在しており、マリーゴールドや菊の花などに極微量認められる。このカロチノイド誘導体を精製により上記の植物から抽出することは可能である。
ただし、精製には大量の原料を必要とすることから、製造方法として産業上への利用は制限される。
この誘導体は肝臓の肝細胞や腎臓の尿細管上皮細胞などの上皮細胞内に浸透し、サイトケラチンを増加させることにより肝臓や腎臓の組織を強化できる。
得られたカロチノイド誘導体を医薬品素材として利用する場合、目的とするカロチノイド誘導体を分離精製することは、目的とするカロチノイド誘導体の純度が高まり、不純物を除去できる点から好ましい。
医薬品として、注射剤または経口剤または塗布剤などの非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、塗布剤、ゲル剤、歯磨き粉等に配合されて利用される。
経口剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラックまたは砂糖で被覆することもできる。
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を添加することができる。
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
食品製剤として皮膚の健康を維持する美容サプリメント、肝臓や腎臓の機能を向上させる健康食品、筋肉を増強するダイエットなどを目的とした健康食品、美容食品などに利用される。また、保健機能食品として、栄養機能食品や特定保健用食品に利用することは好ましい。
得られた食品製剤をイヌやネコなどのペットや家畜動物に利用する場合、サイトケラチンの増加による上皮組織の強化を目的として飼料やサプリメントとして利用される。
化粧料として常法に従って界面活性化剤、溶剤、増粘剤、賦形剤等とともに用いることができる。例えば、クリーム、毛髪用ジェル、洗顔剤、美容液、化粧水等の形態とすることができる。
化粧料の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状または粉末状として用いることができる。
得られた化粧料は皮膚上皮細胞のサイトケラチンを増加させることにより皮膚の構築を強固にし、シワを防止し、たるみを防ぐことは好ましい。
また、ジピコリン酸部分が抗菌作用を発揮することにより、歯磨き剤や入浴剤などに利用できる。
次に、マリーゴールドの花、大豆粉末と納豆本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液をプロテアーゼ処理する工程からなるサイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体の製造方法について説明する。
ここでいうカロチノイド誘導体とはカロチノイドとチロシルアラニルチロシンからなるトリペプチドとジピコリン酸が結合した誘導体である。このカロチノイド誘導体は生体内で酵素により分解されて排泄されるため安全性が高い。
このカロチノイド誘導体のカロチノイドは天然に存在し、食経験も豊富であり、安全性が認められていることから好ましい。
この誘導体は上皮細胞に働き、サイトケラチンを増加させ、組織を強化する。
この製造方法とはマリーゴールドの花、大豆粉末と納豆本舗製の納豆菌を添加して発酵させた発酵液をプロテアーゼ処理する工程からなる。
原料となる物質はマリーゴールドの花、大豆粉末、納豆菌及びプロテアーゼである。
ここでいうマリーゴールドは学名Tagetes patulaであり、キク科コウオウソウ属(マンジュギク属)に属し、コウオウソウともいわれる。アフリカや南米が原産地であり、現在では、日本を含めて世界中で栽培されている。一部は、ルテインを採取するための食品原料として、また、化粧料原料としても利用されている。
マリーゴールドの花には色素、ポリフェノールやカロチノイドが含有されていることからこのカロチノイド誘導体をつくる原料として好ましい。
マリーゴールドの花は日本、中国、台湾、アメリカなどいずれの国の由来でも良い。また、低農薬や減農薬で生産されたものは好ましい。
マリーゴールドの花は乾燥され、粉末化されることが好ましく、発酵の前にオートクレーブ滅菌されることは発酵をスムーズに行うることから好ましい。
3マイクロメーター以下の粒子サイズの粉末が発酵の工程を実施しやすくすることから好ましい。
原料となる大豆粉末は、日本産、中国産、アメリカ産、ロシア産などいずれの産地の大豆でも利用できるが、トレーサビリティーが確実であり、生産者が明確である日本産が好ましい。
このうち、有機栽培や無農薬で栽培された大豆は有害な農薬や金属を含有しないことから、さらに好ましい。
大豆は使用に際して、株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20、中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で粉砕される。これにより発酵の工程が効率的に進行されやすい。
さらに、マリーゴールドの花と大豆は粉砕後、オートクレーブなどにより滅菌されることは雑菌の繁殖を防御できることから好ましい。
用いる納豆本舗製の納豆菌は学名バチルス サブチリスで日本では納豆の製造に汎用され、食経験が豊富で有用な食用菌である。沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。用いる納豆菌は納豆本舗製であり、高い発酵性を呈する。
この納豆菌はマリーゴールドの花と大豆からなるカロチノイドとタンパク質を同時に発酵させることによりカロチノイドとペプチドが結合する。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量はマリーゴールドの花の乾燥粉末1重量に対し、大豆粉末は0.08〜3重量及び納豆本舗製の納豆菌は0.001〜0.02重量が好ましい。納豆菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は38〜42℃に加温され、発酵は、2日間から30日間行われる。目的とするカロチノイド誘導体をHPLCやTLCにより定量することならびに、菌体の増殖性を確認することにより、発酵の工程管理を実施することは好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
この発酵の工程によってタンパク質がカロチノイドと結合するものの、分子量が大きいため、吸収及び皮膚からの浸透を促進する目的でプロテアーゼにより分解され低分子化される。
プロテアーゼはタンパク質を分解し、ペプチドやアミノ酸を生成する加水分解の酵素であり、食用としても利用されている。アマノ製薬のプロテアーゼNは酵素活性が高いことから好ましい。
前記の発酵物にプロテアーゼを添加して加温することによりカロチノイドとタンパク質が分解され、ペプチド型のカロチノイド誘導体になる。
発酵物の1重量に対してプロテアーゼの添加量は0.002〜0.05重量が好ましい。加温温度は37〜42℃が好ましい。加温時間は1時間から6時間が好ましい。
前記のプロテアーゼ処理した分解物は含水エタノールで抽出されることは、生成物を効率良く回収でき、プロテアーゼを失活でき、次の工程が実施しやすいことから、好ましい。
また、得られた発酵物を超音波処理することは、生成物が分離しやすいことから、好ましい。また、凍結乾燥などにより、濃縮することは、以下の工程が短時間に実施できることから好ましい。
前記の還元反応物から、目的とするカロチノイド誘導体を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
例えば、分離用担体または樹脂により分離され、分取されることにより目的とするカロチノイド誘導体が得られる。分離用担体または樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。
これらのうち、ダイヤイオン、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜30倍量が好ましく、4〜25倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から6〜32℃が好ましく、10〜22℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはそれらの混合液が好ましい。
ダイヤイオン及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。
カロチノイド誘導体を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、目的とするカロチノイド誘導体を粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
また、最終抽出を食用油や化粧料に用いる油脂で実施することは、得られるカロチノイド誘導体が安定に維持されることから好ましい。例えば、大豆油、米ぬか油、グレープシード油、オリーブ油、ホホバ油で抽出することは好ましい。
また、このカロチノイド誘導体を粉末化することは防腐の目的から好ましい。
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、これらは一例であり、素材、原料や検体の違いに応じて常識の範囲内で条件を変更させることが可能である。
岡山県で減農薬と有機肥料により栽培されたマリーゴールドの花を用いた。モンゴル地方で減農薬栽培されたマリーゴールドの花を用いた。花を採取した後、水道水で水洗後、天日で乾燥させ、粉砕機(株式会社奈良機械製作所製のスーパー自由ミル)にて粉砕し、マリーゴールドの花の乾燥粉末粉砕物を1.0kg得た。
北海道産の大豆をミキサー(クイジナート)に供し、大豆の粉砕物1.8kgを得た。前記のマリーゴールドの花と大豆の粉砕物をオートクレーブに供し、121℃、20分間、滅菌した。
これらを清浄な発酵タンク(滅菌された発酵用丸形40リットルタンク)に入れ、滅菌された水道水5kgを添加し、攪拌した。
これとは別に、納豆本舗製の粉末納豆菌の10gを小型発酵タンクに供し、滅菌した大豆粉末と前培養させた培養液を用意した。
前記の前培養した納豆菌の培養液とマリーゴールドの花の乾燥粉末と大豆とを入れた発酵タンクに添加し、攪拌後、40〜45℃の温度範囲で加温し、発酵させた。
発酵過程では、通気によりバブリングと攪拌を行いつつ、発酵液のサンプリングを行った。得られた発酵物1kgに対してアマノ製薬のプロテアーゼNを15g添加し、38℃で3時間加温して撹拌した。
この処理物にエタノールを添加して目的とするカロチノイド誘導体108gを得た。これを検体1とした。
さらに、構造解析の目的で精製物を得た。つまり、前述の検体1のカロチノイド誘導体の50gに5%エタノール含有精製水の1Lを添加し、ダイアイオン(三菱化学製)700gを5%エタノール液に懸濁して充填したガラス製カラムに供した。
これに2Lの5%エタノール液を添加して清浄し、さらに、50%エタノール液を1L添加して目的とするカロチノイド誘導体を溶出させ、濃縮し精製した。精製されたカロチノイド誘導体を減圧蒸留により、エタノール部分を除去し、水溶液とした。これをカロチノイド誘導体の精製物として検体2とした。
以下に、カロチノイド誘導体の構造解析に関する試験方法及び結果について説明する。
(試験例1)
上記のように得られた検体2をエタノールに溶解し、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析した。
させら、核磁気共鳴装置(H−NMR、ブルカー製)で解析した結果、検体2からカロチノイド、チロシルアラニルチロシンからなるトリペプチドおよびジピコリン酸とその結合体が検出された。
すなわち、H−NMRのケミカルシフトは、0.809、1.159、1.196、1.363、1.522、2.241、2.547、2.839、3.128、3.156、3.484、6.173、6.192、6.492、6.537、7.572、7.618及び12.05ppmのピークを呈した。
上記の解析結果は、化学的に合成した標準品と同一構造を呈することが判明したことから、検体2はカロチノイド、チロシルアラニルチロシンからなるトリペプチドおよびジピコリン酸が結合する目的としたカロチノイド誘導体であると確認できた。
以下にヒト皮膚上皮細胞を用いた確認試験について述べる。
(試験例2)
クラボウ株式会社より購入したヒト皮膚上皮細胞を用いた。培養液としては、5%牛胎児血清含有MEM培地(Sigma製)を用いて培養した、1000個の細胞を35mm培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。これに、前記の実施例1で得られた検体1及び陽性対照としてEGF(フナコシ(株)、ヒトタイプ)を0.1mg/mlの最終濃度で添加した。これを48時間培養した。
細胞を剥離後、細胞数を計数した後、細胞懸濁液を調整し、細胞内のサイトケラチン量を抗サイトケラチン抗体(低分子、酸性タイプ)を用いたELISA法にて測定した。なお、シャーレは5枚を用いてその平均値を算出した。
その結果、検体1の0.1mg/mlの添加により上皮細胞数が溶媒対照群に比して平均値として180%に増加した。また、検体2では、450%に増加した。一方、EGFでは160%の増加であり、検体1及び検体2の方が優れていた。
サイトケラチン量については検体1により溶媒対照群に比して220%に増加した。また、検体2の添加により溶媒対照の670%となった。EGFでは、190%となり、検体1及び検体2のサイトケラチン産生量が著しかった。
以下にヒト肝臓を用いた確認試験について述べる。
(試験例3)
クラボウ株式会社より購入したヒト肝臓細胞を用いた。培養液としては、専用の培養液を用いて培養した、1000個の細胞を35mm培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。これに、1%のエタノールを添加して肝臓細胞を弱らせた。
ここに、前記の実施例1で得られた検体1及び陽性対照としてHGF(フナコシ(株)、ヒトタイプ)を0.1mg/mlの最終濃度で添加した。これを48時間培養した。
細胞を剥離後、細胞数を計数した後、細胞懸濁液を調整し、肝臓細胞内のサイトケラチン量について抗サイトケラチン抗体(低分子、酸性タイプ)を用いたELISA法にて測定した。なお、シャーレは5枚を用いてその平均値を算出した。
その結果、検体1の0.1mg/mlの添加により肝臓細胞数が溶媒対照群に比して平均値として177%に増加した。また、検体2では、394%に増加した。一方、HGFでは155%の増加であり、検体1及び検体2の方が優れていた。
サイトケラチン量については検体1により溶媒対照群に比して180%に増加した。また、検体2の添加により溶媒対照の522%となった。HGFでは160%となり、検体1及び検体2のサイトケラチン産生量が著しかった。
本発明で得られるカロチノイド誘導体はサイトケラチンの増加を介して上皮細胞と上皮組織を強化することから肝臓、皮膚などの健康障害を軽減し、かつ、副作用が少ないことから、国民のQOLを改善し、健康な労働人口を増加させ、かつ、医療費を削減できる。
本発明で得られるカロチノイド誘導体は皮膚を改善する作用を有することから、化粧料としてシワ、たるみなどの肌トラブルに悩む方の肌の改善に貢献し、化粧品業界の発展に寄与する。
本発明で得られるカロチノイド誘導体は食品としても利用できることから、食品業界の発展に寄与する。

Claims (1)

  1. 下記の式(1)で示されるサイトケラチン増加作用を呈するカロチノイド誘導体
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