JP2021088535A - メラニン細胞刺激ホルモン受容体抑制作用を介したメラニン細胞増殖抑制作用を呈するエリオジクチオール誘導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 メラニン細胞刺激ホルモン受容体抑制作用を介したメラニン細胞増殖抑制作用を呈するエリオジクチオール誘導体を提供する。【解決手段】 メラニン細胞刺激ホルモン受容体抑制作用を介したメラニン細胞増殖抑制作用を呈するエリオジクチオール誘導体はMSH受容体を阻害することによりメラニン細胞の増殖を抑制し、メラニン産生を減少させる。このエリオジクチオール誘導体は抗酸化作用によりメラニンを分解する。ジンセンベリーの果実を乳酸桿菌で発酵した発酵液を精製する製造方法により製造される。これは化粧料、食品製剤、医薬品として利用される。特に、化粧料に利用した場合、美白作用がある。【選択図】 なし
Description
この発明はメラニン細胞刺激ホルモン受容体抑制作用を介したメラニン細胞増殖抑制作用を呈するエリオジクチオール誘導体に関するものである。
メラニンはアミノ酸の一種であるプロリンから酵素により生成される褐色ないし黒色の色素である。メラニンはメラニン産生細胞で生成され、皮膚の基底層に蓄積される。このメラニン細胞を刺激するホルモンはメラニン細胞刺激ホルモン(Melanocyte Stimulating Hormone、MSHと略す)といわれ、脳下垂体中葉から分泌される。このMSHがチロシナーゼを活性化してメラニンを産生させる。
肌のメラニンの蓄積は日光の露光により誘導される。日光により酵素であるチロシナーゼが誘導される。また、チロシンからの生成物であるドーパキノンはシステインと反応してメラニンとなる。
美白作用を目的としてメラニンの産生を抑制する方法や物質が発明されているものの、メラニンの産生を抑制することはできていない。
例えば、シロウリを被抽出材料として抽出されたエタノール可溶性成分またはその加水分解物を有効成分として含有するチロシナーゼ活性阻害剤に関する発明がある(例えば、特許文献1参照)。
また、キノベオン還元体又はこれらの混合物を含んでなるチロシナーゼ活性阻害剤に関する発明がある(例えば、特許文献2参照)。しかし、その利用範囲は限定的であり、メラニンの減少作用は示されていない。さらに、MSH受容体に関する発明は認められない。
既存の植物エキスや化学物質によるメラニン産生の抑制作用は軽度であり、産業上への利用が限定されるという課題があり、また、化学合成された物質では安全性に問題があり、利用が限られている。
そこで、副作用が弱く優れたメラニン細胞刺激ホルモン受容体抑制作用を介したメラニン細胞増殖抑制作用を呈するエリオジクチオール誘導体を提供する。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は下記の式(1)に示すメラニン細胞刺激ホルモン受容体抑制作用を介したメラニン細胞増殖抑制作用を呈するエリオジクチオール誘導体に関するものである。
この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。
請求項1に記載のエリオジクチオール誘導体によれば、優れたメラニン細胞刺激ホルモン受容体抑制作用を介してメラニン細胞増殖抑制作用が得られる。
以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
メラニン細胞刺激ホルモン受容体抑制作用を介したメラニン細胞増殖抑制作用を呈するエリオジクチオール誘導体とは、式(1)で示される構造からなる化合物である。
このエリオジクチオール誘導体はエリオジクチオール(eriodictyol)の1分子、没食子酸の2分子、ヒスチジンの1分子及びグリシンの1分子より構成される。
エリオジクチオールのC環のパラ位置の水酸基と没食子酸のカルボン酸がエステル結合している。この結合によりフェノール性水酸基が増加して抗酸化力が増加することは好ましい。
また、エリオジクチオールの側鎖の水酸基と別の没食子酸のカルボン酸がエステル結合している。この結合によりフェノール性水酸基が増加して抗酸化力が増加することはメラニンを減少させる点から好ましい。
さらに、エリオジクチオールの水酸基にはヒスチジンのカルボン酸がエステル結合している。C環のメタ位の水酸基はグリシンとエステル結合している。このヒスチジンとグリシンの結合によりMSH受容体の反応が低下する。すなわち、MSH受容体の活性中心がこのエリオジクチオール誘導体の2種類のアミノ酸と反応することにより、MSHとMSH受容体の結合が阻害される。阻害の形式は拮抗型阻害であり、安全性が高い。すなわち、MSHが大量に存在する場合にはMSHが受容体と結合することが可能であることから、完全な阻害ではないことは好ましい。
すなわち、エリオジクチオール誘導体はMSH受容体を阻害することにより、メラニン細胞の増殖を抑制する。メラニン細胞は皮膚にも存在し、メラニン色素を生成し、表皮組織内に分泌する。分泌されたメラニン色素は皮膚に沈着し、シミやそばかすの原因となり、皮膚の容姿を悪化させる。
加えて、このエリオジクチオール誘導体は、没食子酸の合計6個のフェノール性水酸基により、強い抗酸化作用を示す。この抗酸化作用はチロシナーゼの反応を阻害し、メラニンの形成が阻害される。この作用は皮膚の美白作用に寄与することから好ましい。
加えて、エリオジクチオール誘導体はメラニン産生細胞内のチロシナーゼを抑制する。その働きはエリオジクチオール誘導体の優れた抗酸化作用に起因している。
また、エリオジクチオール誘導体はスーパーオキシド ディスムューターゼ(SOD)を誘導し、SOD活性を活性化することにより活性酸素を除去する。特に、没食子酸の側鎖がSOD活性を活性化し、美白作用につながることは好ましい。
このエクオジクチオール誘導体はエクオジクチオール、没食子酸、ヒスチジン及びグリシンを原料として有機化学的に合成され、また、ダイヤイオンHP−20(三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、セファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、イオン交換担体IRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体DM1020T(富士シリシア社製)により精製され、純度96%以上の精製品を得ることができる。この合成品は構造解析の標準品としての目的で利用できる。
このエクオジクチオール誘導体の構造は核磁気共鳴装置(例えば、ブルカー製NMR、600MHz)により、DMSO−d6中における1H−NMRと13C−NMRの解析を行うことにより解析される。この構造は600MHzの1H−NMR解析により、3.15、3.65、3.83、5.51、5.55、6.40、6.54、6.76、6.78、6.79、7.13、7.14、7.19、7.45、7.46、7.70、7.83、8.05、8.12、9.04、9.84及び10.99ppmにピークが認められる。
さらに、DMSO−d6中における600MHzの13C−NMRの解析により、27.5、59.9、60.4、77.0、83.0、87.1、88.1、94.2、107.4、110.6、113.7、115.8、119.4、120.8、121.7、123.2、123.5、124.7、127.3、127.8、129.8、132.0、132.4、133.6、134.4、138.5、140.0、144.2、150.8、153.4、153.5、155.8、165.8、170.5、172.3及び178.8ppmにピークが認められる。
構成成分であるエクオジクチオールは元来、植物由来の物質で、このエクオジクチオールはポリフェノールの一種として天然界に存在する物質であることから安全性は高い。一方、ここで示すエクオジクチオール誘導体は過剰量を摂取した際には生体内で分解され、排泄されることから安全性が高い。また、体内や環境中での蓄積性は認められず、環境への安全性も高い。
エリオジクチオールは抗酸化作用に優れ、紫外線に対する防御の働きが報告されていることからメラニン細胞増殖抑制作用の他に、美肌作用をもつ点は好ましい。
エリオジクチオールは食経験も豊富であり、アレルギーを発生される原因にもならず、その他の副作用も報告されておらず、安全性が高いことから好ましい。
さらに、ここに示したエリオジクチオール誘導体に中性であり、皮膚刺激性が低く、口腔内、胃などの消化管に対する副作用も少ない。このエリオジクチオール誘導体の製造方法としては発酵法、酵素反応法や化学合成法などのいずれかの方法が用いられる。
エリオジクチオールを含有する植物または合成されたエリオジクチオールを原料として用いるが、特に、ジンセンベリーの果実や葉にはエリオジクチオールが含有されていることから製造の原料として利用することは好ましい。ジンセンベリーとは学名Panax Ginsengである。和名はオタネニンジンまたはチョウセンニンジンともいわれ、食経験が豊富な植物である。さらに、ジンセンベリーの果実は貴重であり、数年に一度、赤い果実として結実する。このジンセンベリーの果実にはエリオジクチオールを含むポリフェノールが豊富である。特に、ジンセンベリーの果実を乳酸桿菌で発酵した発酵液を精製する製造方法により製造されるメラニン細胞刺激ホルモン受容体抑制作用を介したメラニン細胞増殖抑制作用を呈するエリオジクチオール誘導体とすることにより、製造方法により限定することが可能である。特に、発酵法は化学合成による製造方法とは異なり、化学的な不純物ができにくく、安全性が高い点は特に好ましい。
以下に、このエリオジクチオール誘導体の製造方法としてジンセンベリーの果実を乳酸桿菌で発酵した発酵液を精製する製造方法について説明する。
原料はジンセンベリーの果実及び乳酸桿菌である。ここでいうジンセンベリーの果実は学名Panax Ginsengであり、日本国産、韓国産、中国産などのアジア産またはアメリカ産の果実が用いられる。特に、島根県の寿物産の栽培するジンセンベリーの果実は品質が良い点から好ましい。
用いる乳酸桿菌は学名Lactobacillusの細菌であり、通常の発酵に利用される有用菌であり、真正類、ラクトバチルス科に属す。形状が桿状で、胞子を形成せずに、主として乳酸を発酵する。いくつかの亜種があるが、ラクトバチルス カゼイの発酵力が安定している。
この乳酸桿菌は安全性が高く、使用経験が豊富である。特に、活性が高い東亜薬品工業株式会社製のLC菌末トーアカゼイ菌は好ましい。また、発酵の反応性が高く、使用しやすい点から好ましい。
前記の発酵に関するそれぞれの添加量は、ジンセンベリー果実1重量に対し、乳酸桿菌0.002〜0.04重量が好ましい。乳酸桿菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
前記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により前記の材料を混合することは好ましい。
また、この発酵は、30〜42℃に加温され、発酵は5日間から30日間行われる。
発酵後、90℃程度の加温により乳酸桿菌が死滅し、発酵が停止される。この発酵の工程によって目的とするエリオジクチオール誘導体が製造される。
前記の発酵により生成された発酵物を含水エタノールで抽出することは、生成物を効率良く回収でき、次の工程が実施しやすいことから、好ましい。また、得られた発酵物を超音波破砕処理することは、生成物が分離しやすいことから、好ましい。また、凍結乾燥などにより、濃縮することは、以下の工程が短時間に実施できることから好ましい。
前記の発酵物を分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。この精製の方法としては、分離用の樹脂などの精製操作を利用することが好ましい。
例えば、分離用担体または樹脂により分離され、分取されることは好ましい。分離用担体または樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の多糖類、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。
これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(HP−20型またはHP21型、三菱化学(株)社製)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。
これらのうち、ダイヤイオンHP−20型、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜35倍量が好ましく、4〜25倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜30℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはそれらの混合液が好ましい。
ダイヤイオンHP−20型及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。
また、活性を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
また、最終抽出を食用油や化粧料に用いる油脂で実施することは、得られる活性部分が油の中で安定に維持することから好ましい。例えば、大豆油、米ぬか油、グレープシード油、オリーブ油、ホホバ油で抽出することは好ましい。
医薬品として注射剤または経口剤または塗布剤などの非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、塗布剤、ゲル剤、歯磨き粉等に配合されて利用される。
経口剤としては錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。前記の錠剤は、シェラックまたは砂糖で被覆することもできる。
また、前記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに油脂等の素材を含有させることができる。前記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を添加することができる。
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によって軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
食品製剤として美白を目的とした美容食品、美容を目的とした食品、ダイエット食品、神経細胞や筋肉細胞の維持を目的とした滋養強壮剤、毛髪の促進のための食品などに利用される。また、保健機能食品として、栄養機能食品や特定保健用食品に利用することは好ましい。
得られた食品製剤をイヌやネコなどのペットや家畜動物に利用する場合、抗酸化作用を介して炎症を抑制するための糖尿病対策や関節炎対策を含む全身の健康を維持する目的として、飼料や動物用サプリメントとして利用される。
化粧料として常法に従って界面活性化剤、溶剤、増粘剤、賦形剤等とともに用いることができる。例えば、クリーム、毛髪用ジェル、洗顔剤、美容液、化粧水等の形態とすることができ、メラニン細胞の増殖を抑制する化粧料となる。化粧料の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状または粉末状として用いることができる。
また、植物活性化剤として植物を元気にさせる用途にも使用できる。豆類、穀物、米類、根菜類や花にも使用でき、収穫高や品質を高め、植物の生育と寿命を高める。切り花の保持にも利用できる。
以下、前記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、これらは一例であり、素材、原料や検体の違いに応じて常識の範囲内で条件を変更させることが可能である。
島根県の寿物産の栽培するジンセンベリーの果実を購入した。ジンセンベリーの果実を乾燥し、粉末化した。発酵の前にオートクレーブ滅菌し、発酵をスムーズに行った。
また、3マイクロメーター以下の粒子サイズの粉末として発酵の工程を実施しやすくした。
これとは別に東亜薬品工業株式会社製のLC菌末トーア カゼイ菌を滅菌水に懸濁して35℃で1日間発酵させて前培養液とした。
ジンセンベリーの果実5kgに前培養液200gを添加して35℃から40℃の発酵タンクで14日間発酵させた。発酵の程度はエリオジクチオール誘導体の分析、気泡の発生及び発酵液の色の変化などで観察した。
14日間の発酵後、発酵液を96℃の加温槽に入れて20分間加温し、滅菌した。これを冷却後、ろ過し、ろ液として3.1kgを得た。これをエリオジクチオール誘導体含有エキス液とした。これを冷暗所にて保管した。
前述のエリオジクチオール誘導体含有エキス液を精製した。すなわち、エリオジクチオール誘導体含有エキス液の3kgに6%エタノール含有精製水2Lを添加した。これを濾紙により濾過し、濾液をダイヤイオンHP−20型(三菱化学製)200gを6%エタノール液に懸濁・充填したカラムに供した。
これに3Lの9%エタノール液を添加して清浄した。さらに、25%エタノール液を2L添加して洗浄した。この後、68%エタノールを供して目的とするエクオジクチオール誘導体を溶出させた。ここで精製されたエクオジクチオール誘導体は減圧蒸留により、エタノール部分を除去し、水溶液とした。この水溶液をさらに上記方法により精製した。この精製工程を合計3回繰り返し、99.1%の純度を示すエクオジクチオール誘導体を得てこれを検体1とした。なお、この検体1はHPLCによる分析で単一ピークを呈した。
以下にエクオジクチオール誘導体の同定試験について説明する。
(試験例1)
上記のように得られた検体1をジメチルスルホキシドd6(DMSOd6)に溶解し、このエクオジクチオール誘導体の構造は核磁気共鳴装置(例えば、ブルカー製NMR、600MHz)により、DMSO−d6中における1H−NMRと13C−NMRの解析を行った。1H−NMRの結果として、3.15、3.65、3.83、5.51、5.55、6.40、6.54、6.76、6.78、6.79、7.13、7.14、7.19、7.45、7.46、7.70、7.83、8.05、8.12、9.04、9.84及び10.99ppmにピークが認められた。
上記のように得られた検体1をジメチルスルホキシドd6(DMSOd6)に溶解し、このエクオジクチオール誘導体の構造は核磁気共鳴装置(例えば、ブルカー製NMR、600MHz)により、DMSO−d6中における1H−NMRと13C−NMRの解析を行った。1H−NMRの結果として、3.15、3.65、3.83、5.51、5.55、6.40、6.54、6.76、6.78、6.79、7.13、7.14、7.19、7.45、7.46、7.70、7.83、8.05、8.12、9.04、9.84及び10.99ppmにピークが認められた。
また、DMSO−d6中における600MHzの13C−NMRの解析により、27.5、59.9、60.4、77.0、83.0、87.1、88.1、94.2、107.4、110.6、113.7、115.8、119.4、120.8、121.7、123.2、123.5、124.7、127.3、127.8、129.8、132.0、132.4、133.6、134.4、138.5、140.0、144.2、150.8、153.4、153.5、155.8、165.8、170.5、172.3及び178.8ppmにピークが認められた。
エリオジクチオールの1分子に没食子酸の2分子、ヒスチジンの1分子とグリシンの1分子が結合した目的とするエリオジクチオール誘導体が同定された。
以下に、ヒト皮膚由来メラニン細胞を用いた確認試験について述べる。
(試験例2)
(試験例2)
クラボウ株式会社より購入したヒト由来メラニン細胞(メラノセル)を用いた。培養液としては、5%牛胎児血清含有MEM培地(Sigma製)を用いて培養した、1000個の細胞を35mm培養シャーレに播種し、5%炭酸ガス下、37℃で培養した。
これに、前記の実施例1で得られた検体1及び対照としてビタミンCを0.1mg/mlの最終濃度で添加した。これを48時間培養した。
細胞を剥離後、メラニン細胞数を計数した。なお、シャーレは5枚を用いてその平均値を算出した。
その結果、検体1の0.1mg/mlの添加によりメラニン細胞数が溶媒対照群に比して平均値として33%に減少した。一方、ビタミンCの添加では、細胞数は88%に低下した。検体1の方がメラニン細胞の増殖抑制作用は著しかった。この0.1mg/mlという濃度は低い濃度であり、化粧料として利用しやすい濃度である。
得られた細胞についてMSH受容体の阻害作用を調べた。すなわち、前記の検体処理した細胞を懸濁し、超音波破砕機により分散し、遠心分離機により細胞膜部分を採取した。この細胞膜部分のMSH受容体の活性を測定した。測定にはBIA(GE社製、T200型)を用いた。BIAとはBiophysical Interaction Analysisのことである。つまり、生物物理学的相互作用解析法であり、生体内での分子間相互作用を測定する方法である。標準となるヒトMSHはフナコシ株式会社より購入したR&Dsystems製のアルファMSH(コード2584/1)を用いた。また、細胞懸濁液中のメラニン量をHPLC(島津製作所製)により定量した。
その結果、検体1を添加したメラニン細胞のMSH受容体のkm値は溶媒対照群に比して平均値として266%に増加し、一方、Vmaxは82%に減少した。このkm値はMSHとMSH受容体との結合濃度を示しており、このkm値が増加するということはMSH受容体の阻害作用が認められることを示している。Vmaxは最大結合数であり、このVmaxが低いことは結合値が低いことであり、MSH受容体の結合が抑制されるということになる。この結果から、検体1はMSH受容体阻害作用を示したことになる。一方、ビタミンC添加群では溶媒対照に対するMSH受容体のkmは99%、Vmaxは101%であり、MSH受容体に対する作用はビタミンCでは認められなかった。
また、検体1の添加によるメラニン量は溶媒対照の値に比して11%となった。一方、ビタミンC添加では61%となった。この結果、検体1はビタミンCより著しいメラニンの抑制作用が認められた。この結果から検体1は優れたメラニン抑制作用が認められた。ビタミンCよりも効力として61/11=5.5倍も強い効果を示した。
以下にメラニン産生試験について述べる。
(試験例2)
(試験例2)
前記のようにヒト由来メラニン産生細胞より得られたメラニンを0.1mg/mLの濃度に調製し、これに検体1の溶液を10%添加して37℃で3時間攪拌した。その後、メラニン量を定量した。
同時に、溶媒を同量添加した対照群を用いた。その結果、検体1の添加により溶媒対照に比してメラニン量は10%となり、メラニンの減少が認められた。この抑制作用は検体1の抗酸化作用に起因するものと考えられた。
一方、安全性試験の一環として人工皮膚であるEpiSkin(SkinEthic社製)を用いた皮膚刺激性実験を実施した。その結果、検体1の添加により刺激性は認められず、安全性が確認された。なお、この方法は皮膚刺激性試験評価法として動物を使用しない動物実験代替法として確立されている。
本発明で得られるエリオジクチオール誘導体はメラニン細胞のMSH受容体を阻害し、メラニン産生を抑制し、かつ、副作用が少ないことから、国民のQOLを改善し、美容業界の発展に寄与するものである。
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JP2010260818A (ja) * | 2009-05-07 | 2010-11-18 | Picaso Cosmetic Laboratory Ltd | チロシナーゼ阻害剤 |
KR20120078064A (ko) * | 2010-12-31 | 2012-07-10 | 주식회사 코리아나화장품 | 곰보 배추 추출물, 3′,4′,5,6,7-펜타하이드록시플라바논 및 그 제조방법, 이로부터 제조된 화장료 조성물 |
JP2019141825A (ja) * | 2018-02-23 | 2019-08-29 | 国立大学法人佐賀大学 | 乳化組成物およびその用途 |
-
2019
- 2019-12-05 JP JP2019220045A patent/JP2021088535A/ja active Pending
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010260818A (ja) * | 2009-05-07 | 2010-11-18 | Picaso Cosmetic Laboratory Ltd | チロシナーゼ阻害剤 |
KR20120078064A (ko) * | 2010-12-31 | 2012-07-10 | 주식회사 코리아나화장품 | 곰보 배추 추출물, 3′,4′,5,6,7-펜타하이드록시플라바논 및 그 제조방법, 이로부터 제조된 화장료 조성물 |
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Non-Patent Citations (1)
Title |
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JAIN, AC ET AL.: "A STUDY OF THE ACTION OF IODINE AND SILVER ACETATE ON FLAVANONES", PROCEEDINGS - INDIAN ACADEMY OF SCIENCES, SECTION A, vol. 42, JPN6022000781, 1965, pages 293 - 306, ISSN: 0004684372 * |
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