以下、この発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
まず、下記の式(1)に示される水溶性エキス輸送作用を呈する環状ペプチド誘導体は炭素元素70個、水素元素80個、酸素元素16個及び窒素元素10個から構成されている。
すなわち、C70H80O16N10の化学式である。10分子のL−アミノ酸が環状に結合したペプチド誘導体であり、このうち、1分子のフェニル基がグルタミン酸のγカルボン酸にエステル結合している。
この誘導体の環状ペプチドの構成成分は5分子のフェニルアラニン、4分子のセリン、1分子のグルタミン酸であり、グルタミン酸のC末にフェニルアラニンのN末がペプチド結合し、次に、フェニルアラニンのC末にセリンのN末がペプチド結合している。さらに、このセリンのC末にフェニルアラニンのN末がペプチド結合するというように、フェニルアラニンとセリンが4分子ずつ結合し、最後にフェニルアラニンのC末がグルタミン酸のN末と結合して環状になっている。
構造的にフェニルアラニンのファニル基が疎水性の働きをもっていることからこの誘導体の外側に配向する。この外側には4分子のフェニルアラニン由来のベンゼン環とフェニル基由来のベンゼン環の合計5分子のベンゼン環がほぼ等間隔に配列している。このようにベンゼン環が等間隔に配列することは疎水性を均一にして結合するエキスを安定化させることから好ましい。さらに、このベンゼン環の二重結合は活性酸素やラジカルを吸着して障害を分散させられることから好ましい。
内側には、セリンの水酸基とカルボキシル基の酸素分子が水溶性の性質をもたらしている。内側のセリン残基は4分子であり、いずれも水酸基として極性を示し、水溶性の機能を有している。
また、内側にはカルボン酸の酸素が合計10個存在して極性を示し、水溶性を高めている。カルボン酸のγ位のカルボン酸基は折りたたまれてこの誘導体の内側方向に向いている。
この誘導体は水溶性エキスと結合するが、用いられるエキスはペプチド、植物エキスや藻類のエキスのいずれも用いられる。この誘導体は疎水性と水溶性の両溶媒性を示すことから、水溶性エキスを内側にして疎水性が高まり、油溶性の溶媒に溶解される。水溶性エキスの結合性は高く、数個から10個程度のエキス成分と結合することが可能である。
この誘導体は水溶性エキスを結合したまま、安定に維持し、低温、高温、高湿の環境下でもエキスを安定に維持する。さらに、構成要素がアミノ酸であるため、粘性は少なく、さらさらとした感触が得られる点から、化粧料や食品に利用されやすいことは好ましい。
この誘導体と水溶性エキスの結合の方法は容易であり、この誘導体と水溶性エキスを4℃〜50℃で混合して反応させるだけである。その後、水溶性エキスと結合した誘導体を疎水性や脂溶性の溶媒に分散することにより、疎水性や脂溶性溶媒に均一に分散することができる。
得られた誘導体と水溶性エキスの結合体は乾燥にも耐えられ、また、100℃の沸騰にも安定である。さらに、マイナス200℃程度の液体窒素の中でも安定である。
また、この得られた誘導体と水溶性エキスの結合体は疎水性の溶媒や脂溶性の溶媒の中でも安定である。たとえば、大豆油の中で200℃程度の加熱にも安定である。
さらに、この誘導体と水溶性エキスの結合体は酸性及びアルカリ性に対して耐性を示し、安定的に維持される。たとえば、胃酸の中でも室温で24時間以上安定である。一方、水酸化ナトリウム溶液の中でも安定である。
この誘導体と水溶性エキスの結合体はプロテアーゼにより分解される。細胞内にはプロテアーゼが存在していることから細胞膜を通過した後に、細胞質に存在するプロテアーゼにより分解されて水溶性エキスを細胞内に放出する。
この誘導体自体は細胞内でペプチドとアミノ酸に分解されることから安全性が高い。この環状ペプチド誘導体をフェニルアラニン、セリン、グルタミン酸及びフェニル基を原料として有機化学的に合成することができる。この有機合成された誘導体は標準物質として解析や分析に利用される。しかし、化学的な製造にはコストがかかり、かつ、有害な有機溶媒と重金属を使用することから、化粧品や食品分野には利用しにくいという安全性上の欠点がある。
この環状ペプチド誘導体の構造についてはこの誘導体の重水素化ジメチルスルホキシド中の600MHzのH−NMR(1H−NMR)解析(ブルカー製)により、ピークの位置は0.88、1.27、1.35、1.36、1.37、1.45、1.71、1.79、1.84、2.07、2.39、2.42、2.45、2.51、3.12、3.42、3.45、3.52、3.55、3.65、3.66、3.67、3.68、3.69、3.70、3.71、3.73、3.74、3.81、3.87、3.88、3.91、3.92、3.95、3.99、4.00、4.04、4.11、4.15、4.24、4.28、4.33、4.51、4.53、4.62、4.84、5.01、5.07、5.12、5.24、5.29、5.32、5.50、6.35及び6.36ppmに認められる。
また、この誘導体の重水素化ジメチルスルホキシド中のC−NMR(13C−NMR)解析ではピークの位置は16.3、17.9、18.0、18.1、18.2、18.6、19.0、19.6、24.8、36.4、40.1、40.4、59.7、61.4、62.6、62.7、62.8、64.1、64.5、67.0、68.8、69.4、69.5、69.7、70.6、70.7、71.6、71.8、71.9、72.8、73.0、73.4、73.6、74.6、76.0、76.2、78.3、79.1、80.3、81.2、81.4、81.6、81.9、83.4、85.2、89.0、90.9、93.4、97.2、97.9、98.6、101.6、101.9、102.8、104.7、105.3、113.3、114.7、119.3、120.2、121.5、122.2、135.9、145.2、152.6、154.9、164.2、167.0、167.3及び172.3ppmに認められる。
この環状ペプチド誘導体は天然由来であることから水溶性エキス結合性、細胞への吸収性と安全性が高い。特に、この環状ペプチド誘導体はペプチダーゼやプロテアーゼなどによりフェニル基、アミノ酸及びペプチドに分解される点から安全性が高い。仮に、この誘導体を大量に摂取した場合でも、生体内に過剰量は分解されることから安全性が高い。
さらに、この誘導体は粉末にした場合、水溶液と反応する際に、水素ガスを発生する。発生する水素ガスは活性酸素を除去する働きがあるため、紫外線や酸化物質によって発生した活性酸素を除去して生体を安定に維持できることから好ましい。また、水素ガスはヒドロキシルラジカルを消去し、還元作用を呈し、かつ、抗酸化作用を発揮することから好ましい。
さらに、この誘導体は皮膚表皮細胞に働き、皮膚細胞を増殖させ、また、ケラチンを増加させる。この環状ペプチド誘導体はケラチン合成酵素を活性化してケラチン量を増加させる。ケラチンの増加作用は皮膚や毛髪を強固にすることから好ましい。
また、この誘導体は炎症物質であるプロスタグランジンEやキニン類を吸着して排泄する働きもあることから有害物質の排泄に役立つことは好ましい。
この環状ペプチド誘導体の抽出方法または製造方法としては発酵法、酵素反応法や化学合成法などがある。たとえば、この環状ペプチド誘導体の製造方法としてはエゾウコギ、コメヌカ、大豆などから抽出することができる。また、アサイヤシ果実からも抽出することができる。また、この抽出方法ではプロテアーゼやリパーゼなどの消化酵素を利用することは抽出効率が高められることから好ましい。
特に、エゾウコギ、コメヌカ、大豆を紅麹菌や納豆菌で発酵させる発酵法とシクロデキストリンとプロテアーゼによる低分子化を組み合わせる方法は優れている。エゾウコギの根や葉にはフェニル基を持つ物質が豊富であり、この誘導体の製造には適している。
アサイヤシ、マキベリー、ウコンなどの植物を紅麹菌で発酵させる発酵法もこの環状ペプチド誘導体の製造方法として有用である。これらの発酵技術は日本では知識が豊富であり、食用としての実績も多く、かつ、安全性も高いことから好ましい。
さらに、高純度の誘導体を得る目的で精製されることは好ましい。精製の方法としては、分離用の樹脂を用いて分離用溶媒で抽出する精製操作を利用することは好ましい。
例えば、分離用担体または樹脂により分離され、分取されることは好ましい。分離用担体または樹脂としては、表面が後述のようにコーティングされた、多孔性の環状ペプチド、酸化珪素化合物、ポリアクリルアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、スチレン−ビニルベンゼン共重合体等が用いられる。0.1〜300μmの粒度を有するものが好ましく、粒度が細かい程、精度の高い分離が行なわれるが、分離時間が長い欠点がある。
例えば、逆相担体または樹脂として表面が疎水性化合物でコーティングされたものは、疎水性の高い物質の分離に利用される。陽イオン物質でコーティングされたものは陰イオン性に荷電した物質の分離に適している。また、陰イオン物質でコーティングされたものは陽イオン性に荷電した物質の分離に適している。特異的な抗体をコーティングした場合には、特異的な物質のみを分離するアフィニティ担体または樹脂として利用される。
アフィニティ担体または樹脂は、抗原抗体反応を利用して抗原の特異的な調製に利用される。分配性担体または樹脂は、シリカゲル(メルク社製)等のように、物質と分離用溶媒の間の分配係数に差異がある場合、それらの物質の単離に利用される。
これらのうち、製造コストを低減することができる点から、吸着性担体または樹脂、分配性担体または樹脂、分子篩用担体または樹脂及びイオン交換担体または樹脂が好ましい。さらに、分離用溶媒に対して分配係数の差異が大きい点から、逆相担体または樹脂及び分配性担体または樹脂はより好ましい。
分離用溶媒として有機溶媒を用いる場合には、有機溶媒に耐性を有する担体または樹脂が用いられる。また、医薬品製造または食品製造に利用される担体または樹脂は好ましい。これらの点から吸着性担体としてダイヤイオン(三菱化学(株)社製、HP−20及びHP−21)及びXAD−2またはXAD−4(ロームアンドハース社製)、分子篩用担体としてセファデックスLH−20(アマシャムファルマシア社製)、分配用担体としてシリカゲル、イオン交換担体としてIRA−410(ロームアンドハース社製)、逆相担体としてDM1020T(富士シリシア社製)がより好ましい。
これらのうち、ダイヤイオンHP−20、セファデックスLH−20及びDM1020Tはさらに好ましい。
得られた抽出物は、分離前に分離用担体または樹脂を膨潤化させるための溶媒に溶解される。その量は、分離効率の点から抽出物の重量に対して1〜40倍量が好ましく、4〜20倍量がより好ましい。分離の温度としては物質の安定性の点から4〜30℃が好ましく、10〜25℃がより好ましい。
分離用溶媒には、水、または、水を含有する低級アルコール、親水性溶媒、親油性溶媒が用いられる。低級アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールが用いられるが、食用として利用されているエタノールが好ましい。
セファデックスLH−20を用いる場合、分離用溶媒には低級アルコールが好ましい。シリカゲルを用いる場合、分離用溶媒にはクロロホルム、メタノール、酢酸またはこれらの混合液が好ましい。
ダイヤイオンHP−20及びDM1020Tを用いる場合、分離用溶媒はメタノール、エタノール等の低級アルコールまたは低級アルコールと水の混合液が好ましい。また、活性を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
この環状ペプチド誘導体は優れた水溶性エキス輸送作用を発揮し化粧料に用いられることは好ましい。また、皮膚細胞のケラチン増加作用を呈することから、化粧料、シャンプー、まつ毛増殖剤、育毛剤、毛髪用化粧料としても利用できる。さらに、アミノ酸やペプチド類もエキスとして結合でき、たとえば、成長因子作用を呈するペプチド類の結合と安定化と輸送を実施できる点から好ましい。
この環状ペプチド誘導体にエキスを添加した後、油脂に分散することは、得られる活性部分が油の中で安定に維持することから好ましい。例えば、大豆油、米ぬか油、グレープシード油、オリーブ油、ホホバ油で抽出することは好ましい。この誘導体は水溶性と油溶性の両方の溶媒に溶解する。この両親媒性の性質はこの誘導体の利用を広げることから好ましい。
医薬品として注射剤または経口剤または塗布剤などの非経口剤として利用され、医薬部外品としては、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤、石鹸、塗布剤、ゲル剤、歯磨き粉等に配合されて利用される。特に、胃酸に対して耐性を示すことから、腸溶性の製剤に利用される。
経口剤としては錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。上記の錠剤及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いることができる。上記の錠剤は、シェラックまたは砂糖で被覆することもできる。
また、上記のカプセル剤の場合には、上記の材料にさらに液体エキス担体を含有させることができる。上記のシロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、防腐剤、色素香味剤等を添加することができる。
非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、水剤等の外用剤の他に、注射剤が挙げられる。外用剤の基材としては、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロゴールド等が用いられ、通常の方法によってエキスを導入するための軟膏剤やクリーム剤等とすることができる。
注射剤には、液剤があり、その他、凍結乾燥剤がある。これは使用時、注射用蒸留水や生理食塩液等に無菌的に溶解して用いられる。
食品製剤として水溶性エキス輸送作用を目的とした食品、水溶性エキス輸送作用を目的とした健康食品、さらには、ケラチン増加による皮膚保護のための食品などに利用される。また、保健機能食品として栄養機能食品や特定保健用食品に利用することは好ましい。
得られた食品製剤をイヌやネコなどのペットや家畜動物に利用する場合、有用なエキスやビタミンなどの栄養素の導入を目的として飼料やペット用サプリメントとして利用される。
化粧料として常法に従って界面活性化剤、溶剤、増粘剤、賦形剤等とともに用いることができる。例えば、クリーム、毛髪用ジェル、洗顔剤、美容液、化粧水等の形態とすることができ、水溶性エキス輸送作用及びケラチンの産生を呈する化粧料となる。化粧料の形態は任意であり、溶液状、クリーム状、ペースト状、ゲル状、ジェル状、固形状または粉末状として用いることができる。この誘導体は水溶性と油溶性の両方の溶媒に溶解する。この両親媒性の性質はこの誘導体の利用を広げることから好ましい。
また、この誘導体は水溶性エキス輸送作用を利用した植物活性化剤としても利用される。有用なエキスを植物細胞内に導入することにより植物の生育を活性化し、開花、結実、収穫量の増加をもたらすことは好ましい。たとえば、この誘導体にHB−101(株式会社フローラ製)の植物活力剤を結合することにより植物の成長を促進する働きが増強され、安定化されることから好ましい。
以下に、紅麹菌、納豆菌によりエゾウコギ、コメヌカと大豆を発酵する製造工程によりこの誘導体の製造ついて説明する。つまり、紅麹菌、納豆菌によりエゾウコギ、コメヌカと大豆を発酵させた発酵液に分岐シクロデキストリンを添加してプロテアーゼ処理を行う工程からなる。
原料は紅麹菌、納豆菌、エゾウコギ、コメヌカ、大豆、分岐シクロデキストリン及びプロテアーゼである。
エゾウコギは学名Acanthopanax senticosusまたはEleutherococcus senticosusであり、ウコギ科タラノキ属の多年草の植物その根や茎葉は食経験も豊富である。エゾウコギの根を利用した漢方薬は五加皮(ごかひ)であり、筋肉の増強、骨の強化、抗炎症の働きが知られている。エゾウコギの根にはフェニルプロパノイド系化合物やタンパク質が含有されている。エゾウコギは日本、中国、台湾、アメリカなどいずれの国の由来でも良い。特に、日本産で低農薬や減農薬で生産されたものは好ましい。たとえば、北海道にある合同会社園芸科学が栽培したエゾウコギは品質が良いことから好ましい。エゾウコギは乾燥され、粉末化されることが好ましく、発酵の前にオートクレーブ滅菌されることは発酵をスムーズに行うることから好ましい。3マイクロメーター以下の粒子サイズの粉末が発酵の工程を実施しやすくすることから好ましい。
原料となるコメヌカは米から得られる外皮と胚芽部分である。日本産のコメヌカはトレーサビリティーが確実であり、生産者が明確である点から好ましい。また、原料となる大豆は国産、アメリカ産などいずれの産地でも良いが遺伝子組み換え体ではないものが好ましい。
このうち、有機栽培や無農薬で栽培されたコメヌカや大豆は有害な農薬や金属を含有しないことから、さらに好ましい。
これらの原料は使用に際して株式会社奈良機械製作所製の自由ミル、スーパー自由ミル、サンプルミル、ゴブリン、スーパークリーンミル、マイクロス、減圧乾燥機として東洋理工製の小型減圧乾燥機、株式会社マツイ製の小型減圧伝熱式乾燥機DPTH−40、エーキューエム九州テクノス株式会社製のクリーンドライVD−7、VD−20、中山技術研究所製DM−6などの粉砕機で乾燥され、粉砕される。これにより発酵の工程が効率的に進行されやすい。
用いる紅麹菌は学名Monascaceaeで、食経験が豊富で有用な食用菌である。沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。このうち、紅麹本舗製の紅麹菌は高い発酵性を呈することから好ましい。
用いる納豆菌は学名Bacillus subtilisで日本では納豆の製造や食品加工に汎用され、食経験が豊富で有用な食用菌である。沖縄や鹿児島などの日本産、中国や台湾の東南アジア原産の菌種が用いられる。このうち、納豆本舗製の納豆菌は高い発酵性を呈することから好ましい。
上記の発酵に関するそれぞれの添加量は、エゾウコギ1重量に対し、コメヌカは0.4〜5重量、大豆は0.3〜3重量、納豆菌は0.002〜0.04重量、紅麹菌は0.001〜0.05重量が好ましい。納豆菌と紅麹菌は発酵される前に、前培養することは、発酵の初発時間を短縮し、発酵時間が短縮されることから好ましい。
上記の発酵は清浄な培養用タンクで実施され、滅菌された水道水により上記の材料を混合することは好ましい。さらに、発酵物は以下の工程により、低分子化され、安定に維持される。
分岐シクロデキストリンは環状ブドウ糖の一つであり、内腔に疎水性部分を有することから疎水性の高い物質を吸着しやすい。塩水港精糖社製の分岐シクロデキストリンは品質が高いことから好ましい。
用いるプロテアーゼとしては天野エンザイム社製の食品加工用プロテアーゼであるプロテアーゼA「アマノ」SD、プロテアーゼM「アマノ」SDまたはプロテアーゼP「アマノ」3SDの品質が安定し、使用実績が豊富なことから好ましい。
まず、エゾウコギとコメヌカと大豆は紅麹菌により発酵される。この紅麹菌による発酵によりタンパク質がねじれて環状化が生じる。発酵は静置法または撹拌法のいずれでも良いが、発酵を短時間で実施できる点から撹拌法が好ましい。発酵は39〜44℃で24時間から72時間行われることが好ましい。
温度が低く、時間が短い場合には発酵が進まず、温度が高く、時間が長い場合には目的とする環状ペプチド誘導体が分解されてしまうおそれがある。
この発酵液は濾過布などにより濾過され、さらに納豆菌により発酵が行われる。発酵は38〜44℃で24時間から96時間行われることが好ましい。温度が低く、時間が短い場合には発酵が進まず、温度が高く、時間が長い場合には目的とする環状ペプチド誘導体が分解されてしまうおそれがある。発酵物はろ過されてろ液が以下の工程に供される。
発酵の条件は上記の発酵法に準ずる。納豆菌の発酵によりタンパク質が分解されて低分子化される。
このろ液に分岐シクロデキストリンが添加される。これはペプチドの吸着を行い、目的とする環状オリゴペプチドが安定に維持されることから好ましい。
添加される分岐シクロデキストリンは上記の発酵液100gに対して分岐シクロデキストリンの100gから300gが好ましい。この分岐シクロデキストリンにより目的とする環状ペプチド誘導体が内部に包接されて安定に維持される。この分岐シクロデキストリンとの懸濁液は攪拌されることが好ましい。一方、余分なタンパク質や菌体成分は分岐シクロデキストリンに包接されないことから以下のプロテアーゼ処理により分解される。
この懸濁液にプロテアーゼが添加される。添加されるプロテアーゼは上記の発酵液100gに対して0.001gから0.3gが好ましい。このプロテアーゼは精製水に懸濁して添加されることは反応が進むことから好ましい。
この懸濁液は反応を促進するために加温され、攪拌されることは好ましい。加温としては37〜44℃が好ましい。また、攪拌は1分間当り10〜30回が好ましい。時間は1時間から6時間が好ましい。
このプロテアーゼ反応液は濾過される。濾紙やメンブランフィルターを用いることにより効率良くろ過される。ろ過してろ液を得ることにより反応していない余分な成分や原料を排除できることから好ましい。
得られた反応物は煮沸滅菌され、プロテアーゼを失活させることは好ましい。さらに、得られた反応物は、凍結乾燥することにより粉末化され、用いられる。
上記の反応物から、目的とする環状ペプチド誘導体を上記に記載した精製方法により分離し、精製することは純度の高い物質として摂取量を減少させることができる点から好ましい。
環状ペプチド誘導体を含む画分を採取して乾燥または真空乾燥により溶媒を除去し、目的とする環状ペプチド誘導体を粉末または濃縮液として得ることは溶媒による影響を除外できることから、好ましい。
また、この環状ペプチド誘導体を粉末化することは防腐の目的から好ましい。
以下、上記実施形態を実施例及び試験例を用いて具体的に説明する。なお、これらは一例であり、素材、原料や検体の違いに応じて常識の範囲内で条件を変更させることが可能である。
北海道の合同会社園芸科学が栽培したエゾウコギを購入して用いた。根を水道水で水洗後、天日で乾燥させ、粉砕機(株式会社奈良機械製作所製のスーパー自由ミル)にて粉砕し、エゾウコギ根の乾燥粉末粉砕物を1.1kg得た。
秋田県で無農薬栽培されたコメより得られたコメヌカを農業生産法人シェアふぁーむ秋田五城目より購入して用いた。これをミキサー(クイジナート)に供し、コメヌカ粉砕物1.1kgを得た。上記のエゾウコギとコメヌカ粉砕物をオートクレーブに供し、121℃、20分間、滅菌した。
また、千葉県産の大豆をみやもと山農園より購入して用いた。洗浄後、粉砕して約2kgを発酵に利用した。
これらを清浄な発酵タンク(滅菌された発酵用丸形40リットルタンク)に入れ、滅菌された水道水11kgを添加し、攪拌した。
これとは別に、有限会社紅麹本舗より購入した紅麹菌の11gを小型発酵タンクに供し、滅菌した大豆粉末、コメヌカ粉末と前培養させた培養液を用意した。
上記の前培養した紅麹菌の溶液を上記のエゾウコギ粉末、大豆粉末とコメヌカ粉末を入れた発酵タンクに添加し、攪拌後、39〜41℃の温度範囲で加温し、発酵させた。
発酵過程では、通気によりバブリングと攪拌を行いつつ、発酵液のサンプリングを行った。
発酵の状態は溶解したタンパク質の定量(ビューレット法)によりモニタリングした。
発酵後、得られた発酵液の上清を濾過布により粗濾過してろ液を得た。
このろ液10リットルを清浄なタンクに移して納豆菌本舗製の納豆菌10gを添加してさらに、発酵させた。発酵温度は39〜42℃とし、48時間発酵させた。
発酵後、発酵液をろ過してろ液を採取した。このろ液に塩水港精糖社製の分岐シクロデキストリン(イソエリート)50gを添加して十分に攪拌した。
さらに、天野エンザイム製のプロテアーゼM「アマノ」SDの4gを添加し、37℃に加温して攪拌した。
攪拌は攪拌装置を用いて室温で10時間実施した。この反応液を短時間、煮沸滅菌し、酵素を失活させた。得られた反応液を東洋濾紙の濾紙(No.2)により吸引ろ過してろ液を得た。
この溶液を凍結乾燥機(タイテック社製のフリーズトラップVA−140S)により凍結乾燥させて目的とする粉末29.8gを得た。これを検体1とした。
得られた検体1の粉末10gを精製水100mLに懸濁して4%エタノールで膨潤させたダイヤイオンHP−20(三菱化学製)500gに供した。4%エタノール1500mLで洗浄後、20%エタノール1000mLでさらに洗浄した。
これに70%エタノール500mLを添加し、目的とする環状ペプチド誘導体を分画した。この精製操作を3回実施して最終精製物とした。得られた最終分画を減圧乾燥器により乾燥して粉末8.4gを得た。これを検体2とした。
以下に、環状ペプチド誘導体の構造解析に関する試験方法及び結果について説明する。
(試験例1)
上記のように得られた検体2を精製水に溶解し、濾過後、質量分析器付き高速液体クロマトグラフィ(HPLC、島津製作所)で分析した。
さらに、重水素化ジメチルスルホキシド中、核磁気共鳴装置(NMR、ブルカー製)で解析した。構造解析の結果、検体2及び検体1から環状ペプチド、つまり、フェニル基を有するグルタミン酸、フェニルアラニン及びセリンが結合した目的とする誘導体が検出された。
その結合はペプチド結合及びエステル結合であった。
600MHzのH−NHR分析結果では、0.88、1.27、1.35、1.36、1.37、1.45、1.71、1.79、1.84、2.07、2.39、2.42、2.45、2.51、3.12、3.42、3.45、3.52、3.55、3.65、3.66、3.67、3.68、3.69、3.70、3.71、3.73、3.74、3.81、3.87、3.88、3.91、3.92、3.95、3.99、4.00、4.04、4.11、4.15、4.24、4.28、4.33、4.51、4.53、4.62、4.84、5.01、5.07、5.12、5.24、5.29、5.32、5.50、6.35及び6.36ppmにピークが認められた。
さらに、C−NMR分析結果では、16.3、17.9、18.0、18.1、18.2、18.6、19.0、19.6、24.8、36.4、40.1、40.4、59.7、61.4、62.6、62.7、62.8、64.1、64.5、67.0、68.8、69.4、69.5、69.7、70.6、70.7、71.6、71.8、71.9、72.8、73.0、73.4、73.6、74.6、76.0、76.2、78.3、79.1、80.3、81.2、81.4、81.6、81.9、83.4、85.2、89.0、90.9、93.4、97.2、97.9、98.6、101.6、101.9、102.8、104.7、105.3、113.3、114.7、119.3、120.2、121.5、122.2、135.9、145.2、152.6、154.9、164.2、167.0、167.3及び172.3ppmにピークが認められた。
以下に、C−NMRの解析結果のチャートを示した。(横軸単位はppm、縦軸単位はピーク強度を示す。)
上記の分析値は有機化学合成された環状ペプチド誘導体のピークと同一であり、目的とする環状ペプチド誘導体として同定された。検体2に含まれるこの誘導体は97.1%、つまり、純度97.1%であり、一方、検体1の純度は74.2%であった。
また、得られた誘導体の粉末0.1gを精製水10mLに溶解した場合、水素ガスの発生が認められた。ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、PDD高感度分析システム)で定量した結果、1.6ppmの水素ガス濃度を検出した。
以下に、ビタミンCの結合性及び安定性に関する確認試験について述べる。
(試験例2)
ビタミンCと上記の検体2を結合させた場合とリン脂質によりリポソーム化したビタミンCを製造し、ビタミンCの結合性及び安定性について試験した。なお、この結合性及び安定性に関する試験方法は分析法の常法であり、試験例が豊富である。
まず、検体2の粉末0.1mgを精製水10mLに懸濁した。ここにビタミンC(アスコルビン酸、和光純薬製)0.1mgを添加して撹拌しながら1時間30℃〜32℃に加温した。これを濾紙(アドバンテック東洋ろ紙製、No.2)により濾過して濾液を採取した。このろ液をゲル濾過(GEヘルスケア・ジャパン製)カラムに供して分子量1000〜1500の分画を採取した。ここには、ビタミンCを結合した環状ペプチド誘導体が採取される分画である。
これとは別に常法によりリン脂質によりビタミンC含有リポソームを製造した。つまり、日油株式会社製のPEG化リン脂質(SUNBRIGHT DSPE−020CN)を用いて加温下、ビタミンCをリポソーム化した。これを対照とした。
検体2を用いたビタミンC結合環状ペプチド誘導体とリポソーム化ビタミンCの安定性を検討した。つまり、1%w/vの水溶液状態にして80℃に1時間加温した後、両者に含有されるビタミンC量をHPLC(島津製作所製)により定量した。測定条件はShimpackSCRを用い、移動相として0.1mMEDTA含有10mMシュウ酸ナトリウム緩衝液(pH3.8)を用いてカラム温度40℃で300nmの波長で測定した。標準物質として上記のアスコルビン酸を用いた。
その結果、検体2の結合環状ペプチド誘導体のビタミンC量は89μgであった。一方、リポソーム化ビタミンCのビタミンC量は32μgであった。この結果、検体2の方が2倍以上、安定性に優れ、より多くのビタミンCを含有すると結論された。
以下に、緑茶エキスの結合性及び安定性に関する確認試験について述べる。
(試験例3)
三重県産の伊勢茶を(株)フローラより購入してこれを70℃の熱湯で抽出し緑茶抽出液を採取した。これを濾過後、緑茶エキスの溶液とした。この緑茶エキスと上記の検体2を結合させた場合とリン脂質によりリポソーム化した緑茶エキスを製造し、エピガロカテキンガレート(EGCg)の結合性及び安定性について試験した。なお、この結合性及び安定性に関する試験方法は常法であり、試験例が豊富である。
まず、検体2の粉末0.1mgを精製水10mLに懸濁した。ここに上記の緑茶エキス液(アスコルビン酸、和光純薬製)10mLを添加して撹拌しながら1時間32℃〜35℃に加温した。これを濾紙(アドバンテック東洋ろ紙製、No.2)により濾過して濾液を採取した。このろ液をゲル濾過(GEヘルスケア・ジャパン製)カラムに供して分子量1000〜1500の分画を採取した。ここには、EGCgを結合した環状ペプチド誘導体が採取される分画である。
これとは別に常法によりリン脂質により緑茶エキス含有リポソームを製造した。つまり、日油株式会社製のPEG化リン脂質(SUNBRIGHT DSPE−020CN)を用いて加温下、緑茶エキスをリポソーム化した。これを対照とした。
検体2を用いた緑茶エキス結合環状ペプチド誘導体とリポソーム化緑茶エキスの安定性を比較した。つまり、これらの試験溶液を90℃に3時間加温した後、両者に含有されるEGCg量をHPLC(島津製作所製)により定量した。測定条件にはShimpackXR−ODS(粒子径2.2μm)カラムを用いた。移動相として1mM酢酸含有アセトニトリル(関東化学製)を用いて250nmの波長で測定した。
その結果、検体2の緑茶エキス結合環状ペプチド誘導体のEGCg量は13μgであった。一方、リポソーム化緑茶エキスのEGCg量は3μgであった。この結果、検体2の方が4倍以上、安定性に優れ、より多くのEGCgを結合して含有すると結論された。
以下に、EGF様ペプチドの結合性及び安定性に関する確認試験について述べる。
(試験例4)
EGF様ペプチドはオリゴペプチド−24であり、Nanjing leon biological Technology社(中国)より購入して用いた。このオリゴペプチド−24はEGF様の作用を発揮することが確認されている。このオリゴペプチド−24と上記の検体2を結合させた場合とリン脂質によりリポソーム化したエキスも製造し、オリゴペプチド−24の結合性及び安定性について試験した。なお、この結合性及び安定性に関する試験方法は常法であり、試験例が豊富である。
まず、検体2の粉末0.1mgを精製水10mLに懸濁した。ここに上記のオリゴペプチド−24の1%溶液10mLを添加して撹拌しながら2時間、36℃〜39℃に加温した。これを濾紙(アドバンテック東洋ろ紙製、No.2)により濾過して濾液を採取した。このろ液をゲル濾過(GEヘルスケア・ジャパン製)カラムに供して分子量2000〜2500の分画を採取した。ここの分画はオリゴペプチド−24を結合した環状ペプチド誘導体が採取される分画である。
これとは別に常法によりリン脂質によりオリゴペプチド−24含有リポソームを製造した。つまり、日油株式会社製のPEG化リン脂質(SUNBRIGHT DSPE−020CN)を用いて加温下、オリゴペプチド−24をリポソーム化した。これを対照検体とした。
検体2を用いたオリゴペプチド−24結合環状ペプチド誘導体とリポソーム化オリゴペプチド−24の安定性を比較した。つまり、これらの試験溶液を90℃に3時間加温した後、両者に含有されるオリゴペプチド−24量をHPLC(島津製作所製)により定量した。測定条件にはShimpackXR−ODS(粒子径2.2μm)カラムを用いた。移動相として1%ドデシル硫酸ナトリウム溶液含有45%アセトニトリル液(関東化学製)を用いて370nmの波長で測定した。
その結果、検体2のオリゴペプチド−24結合環状ペプチド誘導体のオリゴペプチド−24量は80mgであった。一方、リポソーム化オリゴペプチド−24のオリゴペプチド−24量は17mgであった。この結果、検体2の方が3倍以上、安定性に優れ、より多くのオリゴペプチド−24を結合して含有すると結論された。
以下に、ヒト由来皮膚細胞を用いたケラチン産生の確認試験について述べる。
(試験例5)
コスモ・バイオ株式会社より購入したヒト皮膚由来の初代表皮培養細胞を用いた。細胞を専用の培養液に懸濁し、前培養して細胞を増殖させた。37℃、5%炭酸ガス下、炭酸ガス培養器内で培養した。その後、増殖期にある細胞をトリプシン含有培地にて剥離して実験に供した。生細胞数をトリパンブルー色素排除法により顕微鏡下で計数した。細胞数を1mLあたり1000個に調整して5mLずつ培養シャーレに播種してさらに、37℃、5%炭酸ガス下で培養した。これを紫外線照射装置(ロックタイト、出力88MH)により紫外線を照射して細胞にダメージを与えた。照射はシャーレの蓋を外して1時間実施した。
この紫外線照射により皮膚細胞が障害を受け、この障害に対する回復を試験した。なお、この方法は皮膚に対する試験物質の評価に実施される方法である。
ここに試験物質として上記のオリゴペプチド−24結合環状ペプチド誘導体とリポソーム化オリゴペプチド−24を用いた。いずれも生理食塩液に懸濁し、希釈して最終濃度で1mg/mLになるように添加した。なお、溶媒対照として生理食塩液を用いた。これを37℃で3日間培養して生細胞数を顕微鏡下で計数した。さらに、細胞を精製水に分散して超音波破砕機により細胞分散液を得た。この細胞分散液中に含まれるケラチン量をELISA法(コスモ・バイオ株式会社)により定量した。
その結果、溶媒対照の細胞数を100%として検体2の添加による比率を求めた結果、オリゴペプチド−24結合環状ペプチド誘導体の添加により208%に増加した。一方、リポソーム化オリゴペプチド−24の添加により133%に増加した。ケラチン量については溶媒対照の値を100%としてオリゴペプチド−24結合環状ペプチド誘導体の添加により292%に増加した。一方、リポソーム化オリゴペプチド−24の添加により177%に増加した。また、この誘導体はヒト由来皮膚細胞に対して障害を与えず、細胞数を回復させたという結果から、安全性は高いと考えられた。
以下に、ヒト由来マスト細胞(肥満細胞)を用いたヒスタミン抑制及び吸着性の確認試験について述べる。
(試験例6)
スギ花粉アレルギーのあるヒト(男性5名及び女性5名、年齢25歳〜65歳)より採取した白血球よりマスト細胞を採取し、培養液に培養して96孔マイクロプレートに播種した。これを培養し、アレルゲンとなるスギ花粉(コスモ・バイオ株式会社)を0.1mg添加した。同時に、試験物質として検体2及び対照物質として塩酸ジフェンヒドラミンをいずれも生理食塩液に懸濁し、希釈して最終濃度で1mg/mLになるように添加した。なお、溶媒対照として生理食塩液を用いた。これを37℃で1日間培養して培養上清に遊離されたヒスタミン量をELISA法(高感度ヒスタミンELISAキット、コスモ・バイオ株式会社)により定量した。
その結果、ヒスタミン量は溶媒対照の値を100%として検体2の添加により26%に減少した。一方、塩酸ジフェンヒドラミンでは50%となり、検体2の方がヒスタミン抑制作用に優れていた。この結果から、検体2はヒスタミン遊離を抑制し、かつ、ヒスタミンを吸着した。
また、検体2に結合されたヒスタミン量をELISA法により定量した結果、上記の検体2には188μgのヒスタミンが結合していた。すなわち、この検体2にはヒスタミンを吸着して生体に反応させないという作用が期待される。