以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。
また、図面には、図面相互の関係を明確にする等の目的で、便宜的に直交座標系xyzを付すことがある。x軸、y軸及びz軸は、部材の形状等に基づいて便宜的に定義されており、圧電体の電気軸、機械軸及び光軸を意味するものではない。
まず、本発明の実施形態に係る水晶片折り取り装置(以下、「水晶片」は省略)の説明に先立って、折り取り装置の製造対象である水晶片について説明する。
図1は、水晶片の利用例である、水晶振動子101(以下、「水晶」は省略)の概略構成を示す分解斜視図である。
振動子101は、例えば、凹部103aが形成された素子搭載部材103と、凹部103aに収容された水晶振動素子105(以下、「水晶」は省略)と、凹部103aを塞ぐ蓋部材107とを有している。
振動子101は、例えば、蓋部材107により凹部103aが塞がれた状態で、概ね薄型の直方体状であり、その寸法は適宜に設定されてよい。例えば、比較的小さいものでは、長辺又は短辺の長さが1〜2mmであり、厚さが0.2〜0.4mmである。凹部103aは蓋部材107により封止され、その内部は、例えば、真空とされ、又は、適宜なガス(例えば窒素)が封入されている。
素子搭載部材103は、例えば、素子搭載部材103の主体となる基体109と、振動素子105を実装するための素子搭載パッド111と、振動子101を不図示の回路基板等に実装するための外部端子113とを有している。基体109は、セラミック等の絶縁材料からなり、上記の凹部103aを構成している。素子搭載パッド111及び外部端子113は、例えば、金属等からなる導電層により構成されており、基体109内に配置された不図示の導体等によって互いに接続されている。蓋部材107は、例えば、金属から構成され、素子搭載部材103の上面にシーム溶接等により接合されている。
振動素子105は、例えば、水晶片115と、水晶片115に電圧を印加するための1対の励振電極117(一方の励振電極117は水晶片115に隠れて不図示)と、振動素子105を素子搭載パッド111に実装するための1対の引出電極119とを有している。
水晶片115は、例えば、概ね長方形の板状に形成されている。水晶片115は、例えば、ATカット水晶片からなる。1対の励振電極117は、例えば、水晶片115の両主面の中央側に層状に設けられている。1対の引出電極119は、1対の励振電極117から引き出されて水晶片115の長手方向の一端側部分に設けられている。1対の励振電極117及び1対の引出電極119は、例えば、振動素子105の両主面のいずれを凹部103aの底面側としてもよいように、水晶片115の長手方向に延びる不図示の中心線に対して180°回転対称の形状に形成されている。
振動素子105は、主面を凹部103aの底面に対向させて凹部103aに収容される。引出電極119は、不図示のバンプにより素子搭載パッド111に接合される。これにより、振動素子105は、素子搭載部材103に片持ち梁のように支持される。また、1対の励振電極117は、1対の素子搭載パッド111と電気的に接続され、ひいては、複数の外部端子113のいずれか2つと電気的に接続される。バンプは、例えば、導電性接着剤からなる。
図2は、振動素子105の製造方法の概要を説明するための図であり、具体的には、水晶片115が多数個取りされる水晶ウェハ121の一部を示している。振動素子105は、例えば、以下のように製造される。
まず、水晶片115の厚みと同一の厚みに形成された水晶ウェハ121が準備される。なお、水晶ウェハ121の外縁は、円形に限定されず、例えば、多角形であってもよい。本実施形態では、外縁が矩形の水晶ウェハ121を例示する。
次に、水晶ウェハ121に対してエッチングを行い、図2に示されているように、水晶片115となる部分と、水晶片115の1辺と接続され、水晶片115を支持する枠部123とを形成する。
より具体的には、例えば、水晶片115は、短辺に平行な方向(y方向)に配列されて列をなし、また、この列が長辺に平行な方向(x方向)に複数構成されるように、水晶ウェハ121に形成される。なお、水晶片115の列間において、水晶片115のy方向の位置は、図2に例示するように互いに同一であってもよいし、図2とは異なり互いに異なっていてもよい。
また、例えば、枠部123は、概略格子状に形成される。すなわち、枠部123は、全ての水晶片115を囲む外枠123a(本実施形態では矩形の4辺からなる。図2では1辺の一部のみ示す。)と、外枠123aのy方向両側の部分(2辺)同士を結ぶようにy方向に延びる複数の枝123bとを有している。枝123bは、水晶片115の列間において延びている。枝123bの幅は、例えば、外枠123aの幅よりも狭くされている。
そして、水晶片115は、1対の引出電極119が配置される側(x方向正側)の短辺において、枝123b(最もx方向正側に位置する水晶片115の列については外枠123aの4辺のうちのx方向正側の1辺)と接続されている。より具体的には、例えば、短辺の両端において、接続部123cによって接続されている。
次に、水晶片115に励振電極117及び引出電極119を形成する。例えば、フォトリソグラフィーによって水晶片115の表面にレジストからなるマスクを形成し、そのマスクを介して蒸着等によって水晶片115の表面に金属膜を形成する。なお、2つの接続部123c間に形成された開口123hは、引出電極119のうちの水晶片115の両主面間を導通する部分の形成に寄与する。
その後、水晶片115と接続部123cとの境界部分を折ることによって破断する。すなわち、水晶片115を枠部123(水晶ウェハ121)から折り取って、水晶片115を完全に個片化する。折り取りは、例えば、ピン状乃至はノズル状の部材によって水晶片115の主面を押すことによってなされる。
図3は、水晶片115を水晶ウェハ121から折り取るための折り取り装置1の要部の構成を示す模式的な斜視図である。
折り取り装置1は、例えば、水晶片115を折り取る本体部3と、折り取られた水晶片115を収容するための収納部5と、本体部3に水晶片115が折り取られる次の水晶ウェハ121を準備する準備部7と、これら各部を制御するための制御装置8とを有している。
なお、図3では、準備部7、本体部3及び収納部5が順に直線上に配置され、また、1台の基台を分割した領域に各部が設けられているように図示されているが、実際には、各部は、直線上に配置されずに適宜な位置関係とされたり、適宜に分離又は統合されたりしてよい。
本体部3は、例えば、図2に示した状態の水晶ウェハ121を保持する保持装置9と、保持装置9が保持している水晶ウェハ121の水晶片115を押して水晶片115を折り取るヘッド装置11と、を有している。
保持装置9は、例えば、いわゆる真空吸着によって水晶ウェハ121を保持するように構成されており、トレイ台13と、トレイ台13上に載置され、水晶ウェハ121が載置されるトレイ15と、トレイ台13を介してトレイ15上の雰囲気を吸引する吸引装置17(真空装置)とを有している。
トレイ台13は、例えば、適宜な本体用基台18上に設けられている。なお、トレイ台13は、本体用基台18に対して移動不可能に設けられていてもよいし、水平方向(xy平面)において移動可能に設けられていてもよい。トレイ台13は、金属又は樹脂等の適宜な材料によって形成されてよい。
トレイ15は、例えば、トレイ台13に対して搬入及び搬出が可能(着脱可能、交換可能)とされている。従って、水晶ウェハ121は、トレイ15に載置された状態で、トレイ台13に対して搬入及び搬送が可能となっている。
トレイ15は、例えば、支持部材19と、支持部材19に支持されるトレイ本体21とを有している。
1台のトレイ台13上には、例えば、1つの支持部材19が載置される。1つの支持部材19上には、例えば、2つのトレイ本体21が載置される。各トレイ本体21上には、例えば、1つの水晶ウェハ121が載置される。トレイ本体21は、例えば、支持部材19よりも薄く形成されている。支持部材19及びトレイ本体21は、金属又は樹脂等の適宜な材料によって形成されてよい。
吸引装置17は、トレイ台13に形成された接続ポート13pに接続されている。なお、接続ポート13pは、例えば、トレイ本体21(水晶ウェハ121)毎に設けられており、本実施形態では合計で2つ設けられている。ただし、全てのトレイ本体21に共通に一つの接続ポート13pが設けられてもよい。
吸引装置17は、例えば、ポンプ式の吸引装置によって構成されている。具体的には、例えば、吸引装置17は、真空ポンプ23と、真空ポンプ23を駆動するポンプ用モータ25と、真空ポンプ23によって排気される真空タンク27と、真空タンク27と接続ポート13pとの間の気体(空気)の流れを許容又は禁止するトレイ用バルブ29とを有している。トレイ用バルブ29は、例えば、接続ポート13p毎に設けられている。
吸引装置17は、例えば、トレイ用バルブ29を閉じた状態で、真空ポンプ23によって予め真空タンク27の真空引きを行い、真空タンク27の圧力を大気圧よりも低い所定の圧力にしておく。そして、接続ポート13pから排気を行うときには、トレイ用バルブ29を開く。また、吸引装置17は、トレイ用バルブ29を開いている間等において、真空タンク27の圧力が所定の圧力に維持されるように真空ポンプ23を駆動する。
なお、真空ポンプ23は、ロータリーポンプであってもよいし、プランジャポンプであってもよいし、定容量式であってもよいし、可変容量式であってもよい。ポンプ用モータ25は、オープンループで制御されるものであってもよいし、フィードバック制御がなされるサーボモータであってもよい。トレイ用バルブ29は、開状態及び閉状態のみを基本的に実現するものであってもよいし、開度を無段階で調整可能なサーボバルブであってもよい。吸引装置17は、上記の構成の他、真空タンク27の圧力を検出する圧力センサ、及び/又は、真空タンク27等の圧力を一定に保つための圧力制御弁等を有していてもよい。
ヘッド装置11は、例えば、水晶片115を押すためのノズル31と、ノズル31を水晶ウェハ121に対して移動させるためのノズル移動装置33とを有している。また、ヘッド装置11は、吸引装置17の一部(真空ポンプ23、ポンプ用モータ25及び真空タンク27)を保持装置9と共用するとともに、真空タンク27とノズル31との間の気体の流れを許容又は禁止するノズル用バルブ35を有している。
ノズル31は、先端に開口が形成されており(図5参照)、真空引きされることにより、先端に水晶片115を吸着することが可能である。従って、例えば、ノズル31は、水晶片115を吸着した状態で水晶片115を押すことにより、折り取った後の水晶片115を保持可能となっている。
ノズル移動装置33は、例えば、ロボットにより構成されており、ノズル31を上下方向及び水平方向に駆動する。これにより、ノズル31により水晶ウェハ121内の任意の水晶片115を押して折り取る動作、及び、折り取られてノズル31に保持された水晶片115を搬送する動作が可能とされている。
ノズル移動装置33を構成するロボットは、例えば、垂直多関節ロボットであってもよいし、スカラロボットであってもよいし、直交ロボットであってもよい。ただし、水晶片115を折り取る際には、水晶片115は接続部123c側を支点として傾斜するから、ロボット(ノズル31を保持するためのアタッチメントを含む)は、水晶片115の傾斜に合わせてノズル31を傾斜させることができる機能を有していることが好ましい。
なお、ノズル移動装置33は、特に図示しないが、アーム等の基本的な構成に加え、水晶片115の位置を特定するための撮像装置及び画像処理装置、及び/又は、ノズル31による押圧力若しくは水晶ウェハ121の枠部123に対する変位を検出するセンサ等を有していてもよい。
吸引装置17の構成は上述したとおりである。ノズル31は、ノズル用バルブ35が開かれることによって真空引きされる。なお、ノズル用バルブ35は、トレイ用バルブ29と同様に、開状態及び閉状態のみを基本的に実現するものであってもよいし、開度を無段階で調整可能なサーボバルブであってもよい。
収納部5は、例えば、折り取られた水晶片115を収容する収納トレイ37と、収納トレイ37を搬送する不図示の搬送装置とを有している。
特に図示しないが、収納トレイ37は、例えば、上方に開口し、複数の水晶片115を収容可能な複数の凹部を有している。折り取られた水晶片115は、当該水晶片115を吸着しているノズル31がヘッド装置11によって凹部上に搬送され、ノズル31による吸着が解除されることによって凹部に収容される。
なお、一の収納トレイ37が収容可能な水晶片115の数は、一の水晶ウェハ121から折り取られる水晶片115の数に対して少なくてもよいし、同等でもよいし、多くてもよい。好ましくは、トレイ15の交換の際に収納トレイ37を交換できるように(折り取りの最中に収納トレイ37の交換の必要性が生じないように)、収納トレイ37が収容可能な水晶片115の数は、一のトレイ15上の水晶ウェハ121から折り取られる水晶片115の数と同等以上であることが好ましい。
収納トレイ37を搬送する不図示の搬送装置は、例えば、空の収納トレイ37を収納用基台39上に搬入し、また、水晶片115を収容した収納トレイ37を収納用基台39から搬出する。搬送装置は、例えば、ロボットによって構成されている。収納トレイ37は、収納用基台39に単に位置決めされて載置されるだけでもよいし、収納用基台39に適宜な吸着手段によって保持されてもよい。
準備部7は、図2に示した状態の水晶ウェハ121が載置されたトレイ15を準備し、本体部3に供給する。例えば、準備部7は、トレイ15を搬送可能なトレイ搬送装置41と、水晶ウェハ121を搬送可能なウェハ搬送装置43とを有している。
トレイ搬送装置41は、例えば、複数のトレイ15を収容する不図示の容器乃至は複数のトレイ15を搬送するコンベアから一のトレイ15を取り出し、準備用基台42上に載置する。ウェハ搬送装置43は、例えば、複数の水晶ウェハ121を収容する不図示の容器乃至は複数の水晶ウェハ121を搬送するコンベアから一枚ずつ水晶ウェハ121を取り出し、準備用基台42上のトレイ15上に載置する。これにより、準備用基台42上に、水晶ウェハ121が載置されたトレイ15が準備される。また、トレイ搬送装置41は、例えば、折り取りが完了した水晶ウェハ121が載置されたトレイ15を本体部3から搬出し、準備用基台42に準備されたトレイ15を本体部3へ搬入する動作も行う。このようにすることにより、事前にトレイ15に水晶ウェハ121を位置合わせしたものを準備しておくことができるため、折り取りが終了した後のトレイ15を排出した後、すぐに水晶ウェハ121を位置合わせしたトレイ15を搬入することができるので、サイクルタイムを短縮させることができる。
トレイ搬送装置41及びウェハ搬送装置43は、例えば、ロボットによって構成されている。ノズル移動装置33を構成するロボットは、例えば、垂直多関節ロボットであってもよいし、スカラロボットであってもよいし、直交ロボットであってもよい。トレイ15又は水晶ウェハ121を保持する機構は、例えば、吸着式が用いられている。
制御装置8は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置等を含んで構成されている。そして、予めROM乃至は外部記憶装置に記憶された手順に従って、各部の制御を行う。
図4は、トレイ台13及びトレイ15の分解斜視図である。
上述のように、トレイ15は、支持部材19及びトレイ本体21を有している。支持部材19は、例えば、枠状に形成されており、接続孔19hを有している。トレイ本体21は、接続孔19hを塞ぐように支持部材19に載置される。トレイ本体21には、トレイ本体21を上下方向に貫通する複数の第2吸着孔21hが形成されている。
一方、トレイ台13の上面には、接続孔19hに嵌合する凸部13aが形成されている。凸部13aの上面(頂面)には、トレイ台13内部の流路13r(図5参照)を介して接続ポート13pと接続された複数の第1吸着孔13hが開口している。
従って、トレイ15がトレイ台13に載置されると、凸部13aが接続孔19hに嵌合し、これにより、トレイ15はトレイ台13に対してxy方向において位置決めされる。また、このとき、第1吸着孔13hと第2吸着孔21hとが通じ、ひいては、第2吸着孔21hは、第1吸着孔13h及び接続ポート13pを介して吸引装置17に接続される。従って、吸引装置17によって接続ポート13pから排気を行うことにより、トレイ15の上面に水晶ウェハ121を吸着させることができる。
なお、接続孔19h(凸部13a)の平面形状は適宜に設定されてよく、例えば、矩形である。接続孔19h(凸部13a)は、図4において例示するように複数のトレイ本体21に対して共通に設けられていてもよいし、トレイ本体21毎に設けられていてもよい。
支持部材19及びトレイ本体21の平面方向における位置決めは適宜になされてよい。例えば、2部材の一方に複数のピンを設け、他方に複数の貫通孔を形成し、両者の嵌合によって位置決めがなされてよい。
図5は、トレイ台13、トレイ15、水晶ウェハ121及びノズル31の一部の模式的な断面図である。なお、図中において、符号が付されていない矢印は、空気の流れを示している。
図5の左側部分は、図2のV−V線の位置に相当し、当該左側部分において、水晶ウェハ121は、枝123b、当該枝123bから延びる接続部123c、接続部123cに接続された水晶片115、及び、水晶片115の自由端と枝123bとの間のスリット123s(図2も参照)が図示されている。図5の右側部分は、トレイ台13の接続ポート13p側の端部を含む断面に相当し、当該右側部分において、水晶ウェハ121は、外枠123aの1辺が図示されている。
上述のように、トレイ15は、支持部材19の接続孔19hにトレイ台13の凸部13aが嵌合するようにトレイ台13に載置されており、トレイ台13の第1吸着孔13hと、トレイ15の第2吸着孔21hとは接続されている。
より具体的には、例えば、支持部材19は、トレイ台13の上面に載置されている。また、凸部13aの上面は、トレイ本体21の下面に当接しており、第1吸着孔13hと第2吸着孔21hとは直接的に重なっている。
トレイ15は、その上面に開口する凹状の収容凹部21rを有している。第2吸着孔21hは、その周囲に位置している。水晶ウェハ121は、水晶片115が収容凹部21r上に位置し、枠部123が第2吸着孔21h上に位置するように、トレイ15上に載置される。従って、第2吸着孔21hを排気すると、枠部123(主として外枠123a及び枝123b)がトレイ15の上面に吸着される。
また、水晶片115は、自由端が収容凹部21rに収容されるように枠部123に対して傾斜することが可能である。従って、ノズル31により水晶片115を下方へ押して、水晶片115を枠部123から折り取ることが可能となっている。
なお、片持ち梁の曲げモーメント分布は固定端において最も大きくなるから、水晶片115は、接続部123cにおいて折れる。接続部123cの上面及び/又は下面に接続部123cを横断する(y方向に延びる)不図示の溝を形成し、応力集中が生じやすくすることによって、折れる位置を精度よく制御してもよい。
トレイ本体21は、例えば、2枚の板状部材からなる。すなわち、トレイ本体21は、支持部材19に載置される下層部材21aと、下層部材21a上に重ねられた上層部材21bとを有している。下層部材21a及び上層部材21bは、例えば、接着剤等により互いに接着されている。
第2吸着孔21hは、下層部材21aに形成された第3吸着孔21ahと、上層部材21bに形成された第4吸着孔21bhとが重なることによって構成されている。収容凹部21rは、例えば、上層部材21bに、その下面から上面に貫通する貫通孔21brが形成され、下層部材21aの上面が、貫通孔21brの下方の開口を塞いで凹部の底面となることによって構成されている。
図6は、上層部材21bを示す平面図である。
収容凹部21rを構成する貫通孔21brは、例えば、平面視において、概略、水晶片115と同等の大きさ及び形状に形成されており、水晶片115と同様に配置されている。すなわち、貫通孔21brは、概略矩形に形成されており、短辺の延びる方向(y方向)に配列され、また、その配列が長辺の延びる方向(x方向)に複数設けられている。
第2吸着孔21hの上方側部分を構成する第4吸着孔21bh(21bh−1、21bh−2)は、例えば、平面視において、外枠123a及び複数の枝123bに重なる位置にて、これらに沿って延びる溝状に形成されている。すなわち、上層部材21bには、全ての貫通孔21brを囲む矩形の4辺に沿って延びる第4吸着孔21bh−1と、貫通孔21brの列の間において、当該列に沿って延びる複数の第4吸着孔21bh−2とが形成されている。
外枠123aに対応する第4吸着孔21bh−1は、例えば、互いに同一の幅とされている。複数の枝123bに対応する複数の第4吸着孔21bh−2は、例えば、互いに同一の幅及び長さとされ、一定の間隔で配置されている。なお、図6の例では、外枠123aに対応する第4吸着孔21bh−1は、枝123bに対応する第4吸着孔21bh−2よりも幅が広く形成されている。ただし、これらは、互いに同等の幅であってもよい。
図7は、下層部材21aを示す平面図である。
第2吸着孔21hの下方側部分を構成する第3吸着孔21ah(21ah−1、21ah−2)は、例えば、平面視において、第4吸着孔21bhと同一の形状及び大きさとされている。そして、上層部材21bは、第3吸着孔21ahと第4吸着孔21bhとが平面視において一致するように、下層部材21aに対して重ねられる。なお、本実施形態においては、第3吸着孔21ah及び第4吸着孔21bhの形状及び大きさは互いに同一であることから、図6及び図7に示した第3吸着孔21ah及び第4吸着孔21bhの平面形状は、第2吸着孔21hの平面形状とみなしてよい。
図8は、トレイ台13の上面の一部(トレイ本体21に相当する範囲)を示す上面図である。図8では、トレイ本体21の第2吸着孔21h(21h−1、21h−2)も点線で示している。
第1吸着孔13h(13h−1、13h−2)は、例えば、平面視において、溝状に形成されている。より具体的には、例えば、トレイ台13には、全ての貫通孔21br(図6)を囲む矩形の4辺に沿って延びる第1吸着孔13h−1と、複数の貫通孔21brの配置領域において、複数の第2吸着孔21h−2に直交する方向に延びる複数の第1吸着孔13h−2とが形成されている。
複数の第1吸着孔13h−1は、例えば、平面視において、複数の第2吸着孔21h−1の大部分に重なり、これにより、第2吸着孔21h−1と通じる。第1吸着孔13h−1の開口面積の合計は、例えば、第2吸着孔21h−1の開口面積の合計よりも大きい。より具体的には、例えば、第1吸着孔13h−1の幅は、第2吸着孔21h−1の幅よりも大きく、また、両者の長さの合計は、概略同等である。複数の第1吸着孔13h−1の幅は、例えば、互いに同一の幅とされている。
複数の第1吸着孔13h−2は、例えば、平面視において、複数の第2吸着孔21h−2に交差しており、これにより、その交差部Crにおいて、複数の第2吸着孔21h−2と通じている。複数の第1吸着孔13h−2は、例えば、例えば、互いに同一の幅及び長さとされ、一定の間隔で配置されている。
複数の第1吸着孔13h−2の幅及び間隔は一定であり、また、複数の第2吸着孔21h−2の幅及び間隔は一定であるから、複数の交差部Crのx方向の間隔、y方向の間隔及び面積は一定である。複数の第1吸着孔13hは、例えば、第2吸着孔21hの長さ全体に亘って配列されており、複数の交差部Crは、全ての貫通孔21brの配置領域の概略全体に亘って分布している。
第1吸着孔13h−2の開口面積の合計は、例えば、第2吸着孔21h−2の開口面積の合計よりも大きくされている。第1吸着孔13h−2の幅は、例えば、第2吸着孔21h−2の幅よりも大きい。
なお、図8の例では、第1吸着孔13h−1及び第1吸着孔13h−2は、互いに同等の幅とされているが、第2吸着孔21hと同様に、第1吸着孔13h−1の幅が第1吸着孔13h−2の幅よりも大きくされるなどしてもよい。
上述のように、第1吸着孔13h−1の開口面積の合計は、例えば、第2吸着孔21h−1の開口面積の合計よりも大きく、第1吸着孔13h−2の開口面積の合計は、第2吸着孔21h−2の開口面積の合計よりも大きいから、第1吸着孔13hの開口面積の合計は、第2吸着孔21hの開口面積の合計よりも大きい。
第1吸着孔13h及び第2吸着孔21hの各種寸法は適宜に設定されてよい。一例として、第1吸着孔13hの短辺の長さ(幅)は、1.0mm以上2.0mm以下であり、第1吸着孔13hの長辺の長さは、100mm以上300mm以下であり、第2吸着孔21hの短辺の長さ(幅)は、0.1mm以上0.2mm以下であり、第2吸着孔21hの長辺の長さは、50mm以上70mm以下である。
特に図示しないが、接続ポート13pと複数の第1吸着孔13hとを接続する流路13rの平面形状は、適宜な形状とされてよい。例えば、流路13rは、接続ポート13pから適宜な数で分岐して複数の第1吸着孔13hに接続されるような平面形状であってもよいし、複数の第1吸着孔13h(又は13h−2)に亘る広さの矩形状部分を有する平面形状であってもよい。
図9は、折り取り装置1(制御装置8)が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
ステップST1では、制御装置8は、まだ水晶ウェハ121が載置されていないトレイ15を準備用基台42上に載置するようにトレイ搬送装置41を制御する。
ステップST2では、制御装置8は、準備用基台42上に載置されたトレイ15上に水晶ウェハ121(水晶片115が枠部123に接続され、励振電極117及び引出電極119が形成された状態のもの)を載置するようにウェハ搬送装置43を制御する。なお、この際の水晶ウェハ121とトレイ15との平面方向における位置合わせには、公知の方法が採用されてよい。例えば、画像認識処理によって両者のアライメントマークを位置合わせする方法、又は、トレイ15に設けられた位置決め部に水晶ウェハ121の縁部を当接させる方法などが採用されてよい。
ステップST3では、制御装置8は、水晶ウェハ121が載置されたトレイ15を準備用基台42上から搬出し、トレイ台13上に載置する。なお、この際、上述のように、トレイ15は、トレイ台13の凸部13aがトレイ15の接続孔19hに嵌合されて位置決めされ、また、トレイ台13の第1吸着孔13hとトレイ15の第2吸着孔21hとは重ねられる(接続される)。
ステップST4では、制御装置8は、トレイ用バルブ29を開き、接続ポート13p及び第1吸着孔13hを介して第2吸着孔21hの排気を行う。これにより、水晶ウェハ121をトレイ15に吸着させる。
ステップST5では、制御装置8は、水晶片115を折り取るようにヘッド装置11を制御する。例えば、まず、ノズル移動装置33によってノズル31が折り取り対象の水晶片115上へ水平移動される。次に、ノズル用バルブ35が開かれ、ノズル31による吸引がなされた状態で、ノズル移動装置33によってノズル31が下方へ移動される。水晶片115は、ノズル31によって吸着された状態で、ノズル31によって下方へ押され、水晶ウェハ121から折り取られる。折り取られた水晶片115は、ノズル移動装置33によるノズル31の移動によって、収納トレイ37上へ搬送される。そして、ノズル用バルブ35が閉じられることにより、折り取られた水晶片115は、ノズル31による吸着が解除され、収納トレイ37に収容される。
ステップST6では、制御装置8は、全ての水晶片115の折り取りが終了したか否か判定する。終了していない場合は、制御装置8は、ステップST5の処理に戻る。これにより、上述した一連の折り取り動作が、複数の水晶片115に対して順次行われる。全ての水晶片115の折り取りが終了すると、制御装置8は、ステップST7に進む。
ステップST7では、制御装置8は、トレイ用バルブ29を閉じ、水晶ウェハ121の吸着を解除する。
ステップST8では、制御装置8は、全ての水晶片115が折り取られた水晶ウェハ121が載置されたトレイ15をトレイ台13から搬出するようにトレイ搬送装置41を制御する。トレイ15は、例えば、トレイ搬送装置41によって、不図示の後処理装置に搬送され、後処理装置にて塵等の除去処理がなされる。その後、処理されたトレイ15は、準備部7に搬送されて、再度、水晶ウェハ121の保持に利用される。
ステップST3〜ST8に並行して、制御装置8は、次に折り取りが行われる水晶ウェハ121を準備するための処理を行う。すなわち、ステップST9及びST10において、ステップST1及びST2と同様の処理を行う。
このようにすることにより、従来の水晶片の製造方法のように、押さえ板によって圧電ウェハ121を押さえ付けることがないため、水晶ウェハ121の位置ずれを低減することができる。また、押さえ板を使用しないため、押さえ板で、水晶片15乃至は水晶片15上の励振電極117に傷つけることを防ぐことができるので、水晶片の発振周波数が変動することを低減することができる。
以上のとおり、本実施形態の折り取り装置1は、トレイ台13と、トレイ15と、吸引装置17と、ヘッド装置11とを有している。トレイ台13は、上面に開口する第1吸着孔13hを有している。トレイ15は、上面に開口する凹状の収容凹部21r、及び、収容凹部21rの周囲にて上下方向へ貫通する第2吸着孔21hを有し、第2吸着孔21hと第1吸着孔13hとが通じるようにトレイ台13の上面に載置される。吸引装置17は、第1吸着孔13hを介して第2吸着孔21hを排気して、トレイ15の上面に水晶ウェハ121を吸着させる。ヘッド装置11は、水晶ウェハ121のうち収容凹部21r上に位置する所定部分(水晶片115に対応する部分)を下方へ押して、前記所定部分を水晶ウェハ121の他の部分(枠部123)から折り取り、所定部分を水晶片115とする。
また、別の観点では、本実施形態の水晶片115の製造方法は、上面に開口する凹状の収容凹部21rと、収容凹部21rの周囲にて上下方向へ貫通する第2吸着孔21hとを有したトレイ15の上面に、水晶ウェハ121を載置する水晶ウェハ載置ステップ(ステップST2及び/又はST10)と、水晶ウェハ121が載置されたトレイ15を、上面に開口する第1吸着孔13hを有するトレイ台13の上面に、第2吸着孔21hと第1吸着孔13hとが通じるように載置するトレイ載置ステップ(ステップST3)と、第1吸着孔13hを介して第2吸着孔21hを排気して、トレイ15の上面に水晶ウェハ121を吸着させる吸着ステップ(ステップST4)と、水晶ウェハ121のうち収容凹部21r上に位置する所定部分を下方へ押して、前記所定部分を水晶ウェハ121の他の部分から折り取り、所定部分を水晶片115とする個片化ステップ(ステップST5)と、を有している。
従って、例えば、水晶ウェハ121を上から押え付ける(水晶ウェハ121をトレイ15と挟む)押さえ板は不要である。その結果、押さえ板によって水晶ウェハ121を押さえ付けるときに、押さえ板の位置ずれによって、水晶ウェハ121の位置ずれが生じることはない。例えば、押さえ板によって水晶ウェハ121乃至は励振電極117に傷がつくこともない。さらに、押さえ板を設けるためのコストを低減できる。
また、例えば、折り取りの対象とされる水晶ウェハ121の種類が変更され(水晶片115の大きさ、及び、水晶片115の水晶ウェハ121における配置等が変更され)、収容凹部及び吸着孔の形状及び大きさ等を変更する必要が生じたときに、トレイ台13を交換せず、トレイ15のみを交換して対応することが可能である。その結果、低コストで多様な水晶ウェハ121に対応することができる。
また、例えば、水晶ウェハ121の搬送をトレイ15に載置した状態で行うことができ、このトレイ15に水晶ウェハ121を保持するための第2吸着孔21hが形成されていることから、本体部3において水晶ウェハ121を第2吸着孔21hに対して位置合わせする必要がなくなる。すなわち、本体部3における水晶片115の折り取りと並行して、準備部7において、次に折り取りが行われる水晶ウェハ121を第2吸着孔21hに対して位置合わせすることができる。その結果、折り取りのサイクルが短縮され、生産性が向上することが期待される。
また、例えば、第1吸着孔13hを介して第2吸着孔21hを排気することから、第2吸着孔21hを直接的に排気する場合と異なり、水晶ウェハ121は、トレイ台13に吸着され、その間にトレイ15が挟まれることになる。別の観点では、水晶ウェハ121及びトレイ15がトレイ台13に吸着される。従って、水晶ウェハ121をトレイ15に吸着させるための吸引装置17は、トレイ15をトレイ台13に吸着させることに兼用される。従って、構成が簡素である。
また、本実施形態では、複数の第2吸着孔21h−2が、平面視において並列に所定方向(y方向)に延びている。
従って、第2吸着孔21hに水晶ウェハ121の枠部123(実施形態では枝123b)を重ねることによって、枠部123に作用する吸着力を大きくしつつ、吸着力が水晶片115に作用してしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態では、複数の第1吸着孔13h−2が、平面視において、並列に所定方向に直交する方向(x方向)に延び、これにより、所定方向(y方向)に並列に延びる複数の第1吸着孔13h−2に交差している。
従って、例えば、トレイ15を交換して複数の第2吸着孔21h−2の幅乃至は間隔を変更したとしても、確実に複数の第1吸着孔13h−2及び複数の第2吸着孔21h−2を互いに通じさせることができる。例えば、仮に、複数の第1吸着孔13h−2が、複数の第2吸着孔21h−2に対して平行であると、複数の第2吸着孔21h−2の幅及び間隔を水晶ウェハ121の枝123bの幅及び間隔に合わせて設定したときに、複数の第2吸着孔21h−2と複数の第1吸着孔13h−2とが重ならなくなるおそれがあるが、そのような不都合は生じない。また、例えば、トレイ台13及びトレイ15それぞれは、複数の吸着孔間に複数の梁を有する構成となり、複数の梁の側面視において曲げモーメントに対する剛性が高い部材となる。そして、トレイ台13及びトレイ15は、複数の梁が互いに直交するように重ねられるから、全体として、剛性が高くなる。
また、本実施形態では、複数の第1吸着孔13h−2及び複数の第2吸着孔21h−2が直交することに加えて、複数の第1吸着孔13h−2は、幅が互いに同一であり、且つ、間隔(y方向)が一定であり、複数の第2吸着孔21h−2は、幅が互いに同一であり、且つ、間隔(x方向)が一定である。
従って、例えば、両者の連通部分(交差部Cr)は均等に分布することになる。ひいては、水晶ウェハ121をトレイ15に吸着させる力の分布も均等になりやすい。その結果、例えば、水晶ウェハ121を吸着したときに水晶ウェハ121のトレイ15に対する位置ずれが生じるおそれが低減される。
また、本実施形態では、第2吸着孔21hの開口面積の合計は、第1吸着孔13hの開口面積の合計よりも小さい。
従って、水晶ウェハ121をトレイ台13に直接載置する場合に比較して、吸着孔の面積を絞り、水晶ウェハ121の枠部123以外の部分が吸着されるおそれを低減することができる。また、トレイ台13とトレイ15との間に負圧が生じることから、トレイ台13によるトレイ15の吸着が直接的になされ、両者の位置ずれが抑制されると期待される。
また、本実施形態では、トレイ15は、複数の収容凹部21r及び複数の第2吸着孔21hを有するトレイ本体21と、トレイ本体21が載置され、複数の第2吸着孔21hと通じる接続孔19hを有する支持部材19と、を有している。
従って、例えば、トレイ本体21は、比較的微細な複数の収容凹部21r及び複数の第2吸着孔21hの形成が容易な薄型の板状部材とし、その一方で、支持部材19は、トレイ15の強度を確保が容易なトレイ本体21よりも厚い枠状部材(接続孔19hが形成された板状部材)とすることができる。すなわち、微細な形状と強度とを両立させることができる。また、例えば、折り取りの対象とされる水晶ウェハ121の種類が変更され、収容凹部及び吸着孔の形状及び大きさ等を変更する必要が生じたときに、支持部材19を交換せず、トレイ本体21のみを交換して対応することが可能である。その結果、低コストで多様な水晶ウェハ121に対応することができる。
また、本実施形態では、支持部材19上に複数のトレイ本体21が並列に載置される。
従って、水晶ウェハ121とトレイ本体21との位置合わせ(ステップST2及び/又はST10)等の取り扱いを容易にしつつ、複数のトレイ本体21のトレイ台13に対する搬入又は搬出(ステップST3及びST8)を同時に行い、サイクルタイムを短縮させることができる。
また、本実施形態では、トレイ台13は、上面に第1吸着孔13hが開口し、接続孔19hに嵌合する凸部13bを有する。
従って、上述のように強度の向上等に寄与する支持部材19をトレイ15のトレイ台13に対する位置決め部として利用することができ、且つ、第1吸着孔13hとトレイ本体21の第2吸着孔21hとを近付ける(さらには直接的に重ねる)ことができる。
また、本実施形態では、トレイ15は、下層部材21a及び上層部材21bを有している。下層部材21aは、第2吸着孔21hの下方側部分を構成する第3吸着孔21ahを有し、トレイ台13に載置される。上層部材21bは、収容凹部21rを構成する貫通孔21br、及び、第2吸着孔21hの上方側部分を構成する第4吸着孔21bhを有し、下層部材21aに重ねられている。
従って、例えば、簡便に収容凹部21rを形成することができる。また、例えば、水晶片115及び/又は枠部123の形状及び大きさ等が若干変更されたときに、上層部材21bのみを設計変更して対応することが可能である。
なお、以上の実施形態において、折り取り装置1は圧電片折り取り装置の一例であり、水晶ウェハ121は圧電ウェハの一例であり、水晶片115は圧電片の一例である。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
圧電ウェハ及び圧電片は、水晶ウェハ及び水晶片に限定されず、例えば、セラミックからなるものであってもよい。圧電片は、発振信号を生成するための振動子を構成するものに限定されず、例えば、SAW(Surface Acoustic Wave)フィルタの圧電基板を構成するもの、又は、振動型ジャイロスコープの振動子を構成するものであってもよい。また、発振信号を生成するための圧電デバイスは、振動子に限定されず、例えば、発振回路を含む発振器であってもよい。また、振動子や発振器の構造は、実施形態に例示したものに限定されず、H型の素子搭載部材を有するものなど、適宜な構造とされてよい。
圧電ウェハにおける圧電片の配置及び枠部の形状等は適宜に設定されてよい。例えば、実施形態では、枠部123の構成として、外枠123a、及び、外枠123aのy方向両側の2辺を結ぶように延びる互いに同一の幅の複数の枝123bを示したが、枠部123の強度を確保するために、外枠123aのx方向両側の2辺を結ぶ枝が適宜な本数で設けられたり、x方向又はy方向に延びる複数の枝のうちいずれかの幅が他の枝の幅に比較して広くされたりしてもよい。例えば、外枠123aの内部を4つの領域に仕切るように、外枠123aと同等の幅で十字の仕切(枝)を設け、4つの領域それぞれにおいて、比較的幅が狭く、y方向に延びる複数の枝123bを設けるようにしてもよい。
実施形態では、接続部123cについて、水晶片115が折り取られたときに、水晶ウェハ121に残る部分(枠部123の一部)として説明したが、接続部123cは、その中途又は枝123b側の端部にて折られ、その一部又は全部が水晶片115の一部とされてもよい。
第1吸着孔及び第2吸着孔の形状及び大きさは、適宜に設定されてよく、実施形態に例示したものに限定されない。例えば、第1吸着孔及び第2吸着孔の形状及び大きさは互いに同一であってもよい。また、例えば、第1吸着孔は、比較的大きな面積を有する(例えば複数の第2吸着孔に重なるような)矩形又は円形であってもよい。また、例えば、第2吸着孔は、比較的小さな矩形又は円形とされ、複数の第2吸着孔が圧電ウェハの枠部に沿って配列されてもよい。また、例えば、第1吸着孔及び/又は第2吸着孔は、貫通方向に直交する断面形状及び/又は断面積が貫通方向において変化するものであってもよい。
溝状に延びる第1吸着孔又は第2吸着孔は、トレイの強度を確保することなどを目的として、長さ方向において適宜な本数に分割され、圧電ウェハの外枠又は枝の長さよりも短く(例えば半分〜1/4の長さに)されてもよい。また、例えば、上述のように、圧電ウェハの枠部が、x方向両側の2辺を結ぶ枝を有したり、他の枝よりも幅が広い枝を有したりする場合は、これに合わせて、複数の収容凹部の間をx方向に延びる第2吸着孔が形成されたり、複数の収容凹部の間を延びる第2吸着孔の幅が互いに異なっていたりしてもよい。また、溝状の第1吸着孔及び第2吸着孔が延びる方向は、複数のトレイ本体の配列方向や接続ポートの位置等に対して適宜に設定されてよい。例えば、実施形態において、図とは逆に、第1吸着孔13hがy方向に延び、第2吸着孔21hがx方向に延びてもよい。
収容凹部は、圧電片毎に設けられなくてもよい。例えば、実施形態において、y方向に配列された複数の収容凹部は、適当な数で互いにつなげられ、y方向に延びる溝状に形成されていてもよい。
実施形態では、トレイ本体21の下面と、トレイ台13の凸部13aの上面とが当接したが、これらは当接せず、隙間を介して対向してもよい。すなわち、第1吸着孔と第2吸着孔とは接続孔の一部又は全部を介して通じてもよい。
実施形態では、1台のトレイ台13上に、順に、1つの支持部材19、2つのトレイ本体21及び2つの水晶ウェハ121が載置された。これらの部材の数の組み合わせは適宜に変更されてよい。例えば、支持部材上には3以上のトレイ本体が載置されてもよい。なお、1つのトレイ本体上に1つの圧電ウェハが載置されるようにし、また、1台のトレイ台及び1つの支持部材上に複数のトレイ本体が載置されるようにすると、実施形態においても述べたように、圧電ウェハ及びトレイ本体の位置合わせ等の取り扱いを容易にしつつ、複数の圧電ウェハをトレイ台に対して同時に搬入又は搬出でき、好ましい。
トレイは、支持部材(別の観点では接続孔)を有さず、トレイ本体のみから構成されてもよい。また、トレイは、接続孔を有する部分と複数の吸着孔を有する部分とが一体的に形成されてもよい。トレイ本体は、上層部材及び下層部材の2層(複数層)から構成されず、1層から構成されてもよい。
トレイに接続孔が設けられなくてもよいことから理解されるように、トレイ台の凸部は設けられなくてもよい。また、トレイに接続孔が設けられる場合においても、トレイ台の凸部が設けられず、第1吸着孔と第2吸着孔とが接続孔によって連通されてもよい。また、上述のように、圧電ウェハが複数の領域に仕切られているような場合には、トレイ台の凸部は、各領域に対応するように形成されてもよい(一の圧電ウェハに対して複数の接続孔及び凸部が形成されてもよい)。
吸引装置(真空装置)は、(狭義の)ポンプ式のものに限定されない。例えば、圧縮空気を噴出し、その側方に生じる負圧によって吸引を行うエジェクタ式のものであってもよいし、シリンダ内でピストンを一方向へ摺動させることによって吸引を行うシリンダ式のものであってもよい。また、吸引装置において、真空タンク及びバルブは省略可能である。実施形態では、保持装置9とヘッド装置11とで吸引装置17を共用したが、共用されずに、それぞれに吸引装置が設けられてもよい。
圧電ウェハ及びトレイ等を搬送するための構成は、適宜に変更されてよい。例えば、トレイ搬送装置及びウェハ搬送装置は統合されてもよいし、トレイ搬送装置は、準備用と交換用とで分離されてもよい。
また、例えば、折り取られた圧電片は、収納トレイに収納されるのではなく、そのまま素子搭載部材(実施形態では素子搭載部材103)に実装されてもよい。すなわち、実施形態の収納部5に代えて、圧電片を実装するための実装部が設けられてもよい。
実施形態では、ヘッド装置11は、水晶片115を下方へ押して水晶片115を折り取った。ただし、圧電片は、上方へ引っ張られることによって折り取られてもよい。例えば、ノズルによって圧電片を真空吸着し、ノズルを上方へ移動させ、圧電片を折り取ってもよい。