JP6384711B2 - 絶縁性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板 - Google Patents

絶縁性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板 Download PDF

Info

Publication number
JP6384711B2
JP6384711B2 JP2014128150A JP2014128150A JP6384711B2 JP 6384711 B2 JP6384711 B2 JP 6384711B2 JP 2014128150 A JP2014128150 A JP 2014128150A JP 2014128150 A JP2014128150 A JP 2014128150A JP 6384711 B2 JP6384711 B2 JP 6384711B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
compound
group
mass
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014128150A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016008229A (ja
Inventor
芳克 白男川
芳克 白男川
垣谷 稔
稔 垣谷
鴨志田 真一
真一 鴨志田
裕一 安達
裕一 安達
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Chemical Co Ltd, Showa Denko Materials Co Ltd filed Critical Hitachi Chemical Co Ltd
Priority to JP2014128150A priority Critical patent/JP6384711B2/ja
Publication of JP2016008229A publication Critical patent/JP2016008229A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6384711B2 publication Critical patent/JP6384711B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Epoxy Resins (AREA)

Description

本発明は、電子部品等の搭載に好適に用いられるプリント配線板用積層板を作製するのに用いられる絶縁性樹脂組成物に関する。詳しくはハロゲンフリーであり、かつ優れた誘電特性、耐熱性、接続信頼性を有した絶縁性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板に関する。
近年、多機能型携帯電話端末等のマザーボードにおいて、高速通信化、配線の高密度化、配線板の極薄化と共に、配線板のL/S(ラインアンドスペース)も狭小化している傾向がある。このように、L/Sの狭小化に従って、配線パターン幅を歩留り良く安定して生産することが困難となってくる事例が増加している。また、従来の配線板の設計では、通信障害等を考慮して、ある層にスキップ層と呼ばれる配線パターンの無い層をあえて設計している。この場合、電子機器は高機能となるが、それと共に配線設計量の増加に従い、配線板の層数が増加し、厚みの薄いマザーボードを設計できない、という事例も増加している。これらの問題を改善する方法として、配線板に使用される絶縁材料の比誘電率を低下させることが有効である。絶縁材料の比誘電率の低下により、L/Sのインピーダンスコントロールが容易に達成できることから、L/Sを現状設計に近い形状で安定生産でき、スキップ層を減らすことで層数の減少が可能となることから、配線板に使用される絶縁材料には比誘電率の小さい材料特性が求められるようになっている。
また環境意識の高まりとともに、電子機器及び電子部品についても環境への配慮が不可欠となっている。電子部品をはじめとするプラスチック製品全般に用いられているハロゲン系難燃剤は、最も代表的な臭素系難燃剤であるデカブロモジフェニルオキサイドが焼却時に有毒な臭素化ジベンゾダイオキシンとフランを生成させることが報告されて以来、その安全性が疑われている。環境問題への配慮の点から、従来のハロゲンを含む臭素系難燃剤を使用しないハロゲンフリー製品の導入が進められている。
これまで比誘電率および誘電正接の小さい絶縁性樹脂組成物を達成するための手法として、比誘電率の小さいエポキシ樹脂の使用、シアネート基の導入、ポリフェニルエーテルの導入等の方法が用いられてきた。
例えば、エポキシ樹脂を併用した樹脂組成物(特許文献1参照)、ビスマレイミドを併用した樹脂組成物(特許文献2参照)、シアネートエステルを併用した樹脂組成物(特許文献3参照)、スチレン−ブタジエン共重合体又はポリスチレンと、トリアリルシアヌレートやトリアリルイソシアヌレートを併用した樹脂組成物(特許文献4〜5参照)、ポリブタジエンを併用した樹脂組成物(特許文献6及び特許文献7参照)、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、(メタ)アクリル基等の官能基を有する変性ポリブタジエンとビスマレイミド及び/又はシアネートエステルを予備反応させた樹脂組成物(特許文献8参照)、不飽和二重結合基を有する化合物を付与又はグラフトさせたポリフェニレンエーテルにトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートやポリブタジエン等を併用した樹脂組成物(特許文献9及び特許文献10参照)、あるいはポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸又は不飽和酸無水物との反応生成物とビスマレイミド等を併用した樹脂組成物(特許文献11参照)等が提案されている。
特開昭58−69046号公報 特開昭56−133355号公報 特公昭61−18937号公報 特開昭61−286130号公報 特開平3−275760号公報 特開昭62−148512号公報 特開昭59−193929号公報 特開昭58−164638号公報 特開平2−208355号公報 特開平6−184213号公報 特開平6−179734号公報
しかし、上記手法を単純に組み合わせただけでは、比誘電率の低下と高い耐熱性、接続信頼性、ハロゲンフリーといった、各特性を満足することができない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、ハロゲンフリーで、比誘電率が低く優れた誘電特性、耐熱性、接続信頼性に優れた絶縁性樹脂組成物を提供すると共に、これを用いたプリプレグ及びプリント配線板用積層板を提供する。
本発明は、マレイミド化合物、エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂の硬化剤を含有する樹脂組成物に対して、特定のポリフェニレンエーテル樹脂を最適量使用することにより、ハロゲンフリーで、比誘電率の小さい絶縁性樹脂組成物が得られ、耐熱性、接続信頼性に優れることを見出した。
すなわち、本発明は、[1](a)下記一般式(II)に示す1分子主鎖中に少なくとも2個のベンゼン環を有するジアミン化合物、(b)分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(c)モノアミン化合物(前記(a)または(b)が分子構造中に酸性置換基(フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基)を有しない場合は、酸性置換基を有するモノアミン化合物とする)を反応させて得られる酸性置換基及び分子主鎖中にN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(A)と、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)と、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸を構成成分として含む共重合樹脂(C)と、単環式フェノールの1種類以上の重縮合により得られるポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂とを70:30(質量比)で混合した重量平均分子量が80000の混合物(D)とを含み、前記(C)成分の共重合樹脂が、下記一般式(1)に示す芳香族ビニル化合物に由来する構成成分をm、無水マレイン酸に由来する構成成分をnとした場合の構成モル比がm:n=7:1〜9:1で、有機樹脂固形分総量100質量部に対して、(A)成分が15〜65質量部、(B)成分が15〜50質量部、(C)成分が15〜40質量部、(D)成分が5〜10質量部である絶縁性樹脂組成物を提供する。
Figure 0006384711
[一般式(1)中、Rは水素原子、又は炭素数1〜5個の炭化水素基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5個の脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、xは0〜3の整数であり、好ましくは0であり、mは芳香族ビニル化合物に由来する構成成分のモル数、nは無水マレイン酸に由来する構成成分のモル数で、m:n=7:1〜9:1(m:n=87.5:12.5〜90:10)である]
Figure 0006384711
〔一般式(II)中、Aは炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基又はエーテル結合、R 及びR は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、又はスルホン酸基を示し、ベンゼン環の水素と置換するR 及びR の数は各々独立に0〜4の整数である。〕
また、本発明は、[2]上記[1]に記載の絶縁性樹脂組成物をワニスとし、このワニスを基材に含浸乾燥してなるプリプレグを提供する。
さらに、本発明は、[3]上記[2]に記載のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね合わせ、その少なくとも片面に金属箔を構成後、加熱成形して得られるプリント配線板用積層板を提供する。
本発明によれば、ハロゲンフリーで、優れた誘電特性を有し、耐熱性、接続信頼性等の諸特性をバランス良く兼ね備えた絶縁性樹脂組成物、それを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
((A)成分:分子中にN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物)
本発明で用いる(A)成分の分子中にN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物は、下記の(a)、(b)及び(c)を反応させて得られ、酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する。
(a)一般式(II)に示す1分子主鎖中に少なくとも2個のベンゼン環を有するジアミン化合物、
Figure 0006384711
〔一般式(II)中、Aは炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基又はエーテル結合、R1及びR2は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、又はスルホン酸基を示し、ベンゼン環の水素と置換するR及びRの数は各々独立に0〜4の整数である。〕
(b)分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物。
(c)モノアミン化合物。
本発明で用いる(A)成分は、上記の(a)、(b)、及び(c)の化合物を必要により有機溶媒中で加熱・保温しながら攪拌し、反応させて得られ、これにより酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有する化合物が得られる。
上記の一般式(II)に示す(a)成分の分子主鎖中にフェニル骨格を有するジアミン化合物としては、例えば、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルエタン、4,4´−ジアミノジフェニルプロパン、2,2´−ビス[4,4´−ジアミノジフェニル]プロパン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジメチル−4,4´−ジアミノジフェニルエタン、3,3´−ジエチル−4,4´−ジアミノジフェニルエタン、4,4´−ジアミノジフェニルエーテル、4,4´−ジアミノジフェニルチオエーテル、3,3´−ジヒドロキシ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、2,2´,6,6´−テトラメチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジブロモ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、2,2´,6,6´−テトラメチルクロロ−4,4´−ジアミノジフェニルメタン、2,2´,6,6´−テトラブロモ−4,4´−ジアミノジフェニルメタンが挙げられ、これらのジアミン化合物は、単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。安価である点から4,4´−ジアミノジフェニルメタン、3,3´−ジエチル−4,4´−ジアミノジフェニルメタンがより好ましく、溶媒への溶解性の点から、4,4’−ジアミノジフェニルメタンが特に好ましい。
上記の(b)の化合物である、分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物は、例えば、N,N´−エチレンビスマレイミド、N,N´−ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N´−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、N,N´−[1,3−(2−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N´−[1,3−(4−メチルフェニレン)]ビスマレイミド、N,N´−(1,4−フェニレン)ビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、3,3−ジメチル−5,5−ジエチル−4,4−ジフェニルメタンビスマレイミド、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ケトン、ビス(4−マレイミドシクロヘキシル)メタン、1,4−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,3−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3−マレイミドフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エタン、2,2-ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、4,4−ビス(3−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(4−マレイミドフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]ケトン、2,2´−ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−マレイミドフェノキシ)−3,5−ジメチル−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、ポリフェニルメタンマレイミドが挙げられ、これらのマレイミド化合物は、単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
これらの中で、反応率が高く、より高耐熱性化できるビス(4−マレイミドフェニル)メタン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルホン、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフィド、ビス(4−マレイミドフェニル)ジスルフィド、N,N´−(1,3−フェニレン)ビスマレイミド、2,2−ビス(4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパンが好ましく、安価である点からビス(4−マレイミドフェニル)メタン、N,N´−(1,3−フェニレン)ビスマレイミドがより好ましく、溶媒への溶解性の点から、ビス(4−マレイミドフェニル)メタンがさらに好ましい。
上記の(c)の化合物である、モノアミン化合物としては、前記(a)または(b)が分子構造中に酸性置換基(フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基等)を有しない場合は、酸性置換基を有するモノアミン化合物とする。このようなモノアミン化合物としては、例えば、(o‐,m‐,p‐)(この表記はo-、m-またはp−を表す。)アミノフェノール、(o‐,m‐,p‐)アミノ安息香酸、(o‐,m‐,p‐)アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリンが挙げられるが、低熱膨張性や溶解性の点から、(o‐,m‐,p‐)アミノフェノールが好ましい。
一方、前記(a)または(b)の化合物が分子構造中に酸性置換基を有する場合は、モノアミン化合物としては、特に酸性置換基を有していても、有していなくても良く、たとえば、アニリン、(o‐,m‐,p‐)メチルアニリン、(o‐,m‐,p‐)エチルアニリン、(o‐,m‐,p‐)ビニルアニリン、(o‐,m‐,p‐)アリルアニリンなどのモノアミン化合物を使用することもできる。
以上の(a)、(b)、及び(c)の化合物を有機溶媒中で反応させる際、反応温度は70〜200℃であることが好ましく、70〜160℃であることがさらに好ましい。反応時間は0.1〜10時間であることが好ましく、1〜6時間であることがさらに好ましい。
ここで、(a)の芳香族ジアミン化合物と(c)の酸性置換基を有する場合のモノアミン化合物の使用量は、−NH2基当量の総和と、(b)のマレイミド化合物のC=C基当量との関係が、 0.1≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦10.0に示す範囲になることが好ましい。より好ましくは、この関係が、 1.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦9.0、さらに好ましくは、 2.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH2基当量の総和〕≦8.0の範囲とする。
該当量比を0.1以上とすることによりゲル化及び耐熱性が低下することがなく、又、10.0以下とすることにより有機溶媒への溶解性、接着性、及び耐熱性が低下することがない。
この反応で使用される有機溶媒は特に制限されないが、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチルエステルやγ−ブチロラクトン等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒などが挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトン、ジメチルアセトアミドが好ましく、低毒性であることや揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶媒として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアセトアミドがより好ましい。
有機溶媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)成分の総和100質量部当たり、25〜1000質量部とすることが好ましく、40〜700質量部とすることがより好ましい。
有機溶媒の配合量を25質量部以上とすることにより充分な溶解性が得られ、また1000質量部以下とすることにより合成に長時間を要することがない。
また、この反応には任意に反応触媒を使用することができる。このような反応触媒の例としては、特に限定されないが、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等があげられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
触媒の添加量は、(b)のビスマレイミド化合物と(c)のアミン化合物との合計質量に対して、0.001〜5質量%が好ましい。
(a)、(b)及び(c)を有機溶媒中で反応させて得られる、酸性置換基及びN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(A)の質量平均分子量は、溶解性や機械強度の観点から400〜3500であるのが好ましい。なお本発明における質量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレンン換算)で測定される。
(A)成分のビスマレイミド化合物は、有機固形分の総量100質量部当り15〜65質量部である。15質量部未満の場合、優れた高耐熱性を発現しにくくなる。また65質量部を超えると、剛直な樹脂骨格が増大し過ぎるために、樹脂の流動性、加工性等が悪化する。
((B)成分:1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂)
(B)成分の1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA系、ビスフェノールF系、ビフェニル系、ノボラック系、多官能フェノール系、ナフタレン系、脂環式系及びアルコール系のグリシジルエーテル、グリシジルアミン系並びにグリシジルエステル系が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用することができる。具体的には、誘電特性、耐熱性、耐湿性及び銅箔接着性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、良好な低熱膨張性や高いガラス転移温度を有する点から、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましい。
エポキシ樹脂(B)は、有機樹脂固形分の総量100質量部当り15〜50質量部である。15質量部未満の場合、(C)成分の芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸を構成成分として含む共重合樹脂の未反応成分が残り、耐熱性が低下する。また、50質量部を超えると誘電特性の低下が顕著となる。
((C)成分:芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸を構成成分として含む共重合樹脂)
次に、本発明で使用される(C)成分の芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸を構成成分として含む共重合樹脂(C)としては、下記一般式(1)に示す芳香族ビニル化合物に由来する構成成分をm、無水マレイン酸に由来する構成成分をnとした場合の構成モル比がm:n=7:1〜9:1である構造を有する共重合樹脂である。
Figure 0006384711
(一般式(I)中、Rは水素原子、又は炭素数1〜5個の炭化水素基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5個の脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、xは0〜3の整数であり好ましくは0であり、mは芳香族ビニル化合物に由来する構成成分のモル数、nは無水マレイン酸に由来する構成成分のモル数で、m:n=7:1〜9:1(m:n=87.5:12.5〜90:10)である)。
一般式(1)に示す芳香族ビニル化合物に由来する構成成分となるモノマーとしては、スチレン、1−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジメチルスチレン等が挙げられ、1種又は2種以上を混合した化合物から得ることが出来る。
更に、上記のモノマーである芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸以外にも、各種の重合可能な成分と共重合させてもよく、これらの成分として例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、アクリロニトリル等のビニル化合物、メチルメタクリレートのようなメタクリレート及びメチルアクリレートのようなアクリレート等のメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物が挙げられる。
ここで任意のモノマーにフリーデル・クラフツ反応やリチウム等の金属系触媒を用いた反応を通じて、アリル基、メタクリロイル基、アクリロイル基及びヒドロキシル基等の置換基を導入する事ができる。
低誘電特性及び耐熱性等を確保するために、(C)成分の芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸を構成成分として含む共重合樹脂は、(B)成分のエポキシ樹脂との相溶性確保という観点からスチレンと無水マレイン酸からなることが好ましく、スチレンのモル比をm、無水マレイン酸のモル比をnとした場合、m/n=7〜9である。
m/nが7未満の場合、誘電特性の改善効果が十分でなく、9を超えると相溶性が悪化する等の問題が発生する。
また、(C)成分の共重合樹脂は、有機樹脂固形分の総量100質量部当り15〜40質量部とする。15質量部未満であると低誘電率化の効果が十分ではなく、40質量部を超えると、共重合樹脂の未反応成分が残ることにより、耐熱性、ピール強度が著しく低下する。
((D)成分:単環式フェノールの1種類以上の重縮合により得られる重量平均分子量が80000の高分子量のポリフェニレンエーテル樹脂)
本発明で使用される(D)成分のポリフェニレンエーテル樹脂は、一般式(III)で示される構造単位を有している樹脂であり、単環式フェノールを重縮合させて得られる。
Figure 0006384711
(一般式(III)中、R5、R6、R7及びR8は炭素数1〜3のアルキル基又は水素原子でありR7とR8のうち少なくとも一方はアルキル基である。)
また、一般式(III)で示される構造を根幹とし、この根幹にビニル芳香族化合物をグラフト重合して得られるグラフト共重合体も使用することができる。
ポリフェニレンエーテル樹脂の合成に使用される単環式フェノールとしては、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジプロピルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2−メチル−6−プロピルフェノール、2−エチル−6−プロピルフェノール、m−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,3−ジプロピルフェノール、2−メチル−3−エチルフェノール、2−メチル−3−プロピルフェノール、2−エチル−3−メチルフェノール、2−エチル−3−プロピルフェノール、2−プロピル−3−メチルフェール、2−プロピル−3−エチル−フェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,6−トリエチルフェノール、2,3,6−トリプロピルフェノール、2,6−ジメチル−3−エチルフェノール、2,6−ジメチル−3−プロピルフェノール等が挙げられる。
これら単環式フェノールの1種類以上の重縮合により得られるポリフェニレンエーテル樹脂を具体的に例示すると、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルにスチレンをグラフト重合したグラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合したグラフト共重合体が挙げられる。
また、ポリフェニレンエーテル樹脂は、ポリスチレンなどとのアロイ化ポリマーの形で市販されることがある。このようなアロイ化ポリマーも使用できる。アロイ化ポリマーとしては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとポリスチレンとのアロイ化ポリマー、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルとスチレン−ブタジエンコポリマーとのアロイ化ポリマーが挙げられる。
また、ポリフェニレンエーテル樹脂は、有機樹脂固形分の総量100質量部当り5〜10質量部である。5質量部未満であると低誘電率化の効果が十分ではなく、10質量部を超えると、耐熱性が著しく低下する。
本発明の絶縁性樹脂組成物では、絶縁樹脂層の熱膨張率を低下させるために無機充填材を含有させることが好ましい。無機充填材の例としては、シリカ、マイカ、タルク、ガラス短繊維、ガラス微粉末、中空ガラス、三酸化アンチモン、炭酸カルシウム、石英粉末、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが挙げられ、これらの中で誘電特性、耐熱性、難燃性の点からシリカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、低熱膨張性であることからシリカ、水酸化アルミニウムがより好ましい。
本発明の絶縁性樹脂組成物では、難燃性を付与するため、リン化合物併用することが有効である。リン化合物として、例えば、リン含有エポキシ樹脂、リン含有フェノール樹脂、フェノキシホスファゼン化合物、縮合型リン酸エステル化合物、ジホスフィン酸塩が挙げられる。
リン化合物の配合量は、(A)〜(D)成分の合計量100質量部当り、リン原子含有率が0.1〜3.0質量部であることが好ましく、0.2〜3.0質量部であることがより好ましく、0.5〜3.0質量部がさらに好ましい。
リン原子含有率が低いと難燃性が不足するため、(A)成分の含有量を高くすることで窒素原子含有率を高くし、難燃性を付与する必要がある。(A)〜(D)成分の含有量を上記の範囲とすることで、本発明の特徴である、低熱膨張で耐熱性が高く、難燃性や吸湿性などでバランスが取れ、高信頼性を有する多層のプリント配線板用積層板とすることができる絶縁樹脂組成物が得られる。
本発明に用いる絶縁性樹脂組成物は、前記の成分の他に、熱硬化性樹脂の硬化剤や変性剤、または着色剤、酸化防止剤、還元剤、紫外線不透過剤等を配合することができ、これらは通常使用されているもので良く、特に限定されない。
本発明に用いる絶縁性樹脂組成物は、有機溶媒(有機溶剤)に溶解又は分散させたワニスとして使用することが好ましい。
有機溶媒としては、特に制限するものではないが、ケトン系、芳香族炭化水素系、エステル系、アミド系、アルコール系等を用いることができる。
具体的には,ケトン系溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが、芳香族炭化水素系としては、トルエン、キシレンが、エステル系溶剤としてはメトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、ブトキシエチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチルが、アミド系溶剤としてはN−メチルピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが、アルコール系溶剤としてはメタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルが挙げられる。
これらの溶媒は1種又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明のプリプレグに用いる基材としては、紙、コットンリンターのような天然繊維基材、アラミド、ポリビニルアルコール、ポリエステル、アクリルのような有機合成繊維基材、ガラス、アスベストのような無機繊維基材が挙げられる。耐燃性の見地から、ガラス繊維基材が好ましい。
ガラス繊維基材としては、Eガラス、Cガラス、Dガラス、Sガラス等を用いた織布や短繊維を有機バインダーで接着したガラス織布、更に、ガラス繊維とセルロース繊維とを混沙したものが挙げられ、より好ましくは、Eガラスを使用したガラス織布である。
本発明によれば、織布や不織布等の基材に前記ワニスを含浸し、乾燥してプリプレグを製造することができる。
得られるプリプレグは、必要に応じて少なくとも1枚以上の必要枚数を重ねあわせ、その片面又は両面に銅箔、アルミニウム箔等の金属箔を構成後、加圧、加熱成形することにより、プリント配線板用積層板とすることができる。
成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。
本発明によれば、プリント配線板用積層板の金属箔に対して回路加工を施すことにより印刷配線板とすることができる。回路加工は、例えば、金属箔表面にレジストパターンを形成後、エッチングにより不要部分の金属箔を除去し、レジストパターンを剥離後、ドリルにより必要なスルーホールを形成し、再度レジストパターンを形成後、スルーホールに導通させるためのメッキを施し、最後にレジストパターンを剥離することにより行うことができる。このようにして得られた印刷配線板の表面に更に上記のプリント配線板用積層板を前記したのと同様の条件で積層し、更に、上記と同様にして回路加工して多層印刷配線板とすることができる。この場合、必ずしもスルーホールを形成する必要はなく、バイアホールを形成してもよく、両方を形成することができる。このような多層化は必要回数行われる。
上記のようにして作製された印刷配線板を内層回路板として、これの片面又は両面に接着剤付き金属箔を積層することができる。この積層成形は、通常加熱加圧下に行われる。金属箔としては、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。得られた多層積層板には、上記と同様に回路加工を施し、多層印刷配線板とすることができる。
以下に本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。以下、特に断らない限り、部は「質量部」を、%は「質量%」を意味する。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積1リットルの反応容器に(a)の1分子主鎖中に少なくとも2個のベンゼン環を有するジアミン化合物として4,4´−ジアミノジフェニルメタン:19.2gと、(b)の分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物としてビス(4−マレイミドフェニル)メタン:174.0gと、(c)のモノアミン化合物としてp−アミノフェノール:6.6g、及び有機溶媒としてジメチルアセトアミド:330.0gを入れ、100℃で2時間反応させて(A)成分の分子中に酸性置換基と不飽和N−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物の溶液を得た。
また、(B)成分のエポキシ樹脂として、EPICLON N−673(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、DIC株式会社製商品名)、(C−1)芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸を構成成分として含む共重合樹脂である、SMA−EF40(アルケマ社製商品名、スチレン/無水マレイン酸モル比=4)、(C−2)SMA−EF80(アルケマ社製商品名、スチレン/無水マレイン酸モル比=8)、(C−3)SMA−1000(アルケマ社製商品名、重量平均分子量8000、スチレン/無水マレイン酸モル比=1.3)を用いた。
また、(D)成分のポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂との混合物として、ノリルPKN4752(日本ジーイープラスチックス株式会社製商品名、ポリ(2,6−ジメチル−1,4フェニレン)エーテル/ポリスチレン=70:30(質量比)、重量平均分子量80000)をトルエン溶媒中で固形分濃度が10〜30%になるよう加熱溶解した。
その他成分として、添加型リン系化合物である、PX−200(芳香族縮合リン酸エステル、大八化学工業株式会社製商品名)、無機充填剤として、シリカF05−30(福島窯業株式会社製商品名)を用いた。
(実施例1〜6、比較例1〜10)
上記に示した(A)〜(D)成分と添加剤を下記表1、2、3に示した通り配合し、メチルエチルケトンをワニスの不揮発分が65〜75%になるよう混合し、実施例1〜6及び比較例1〜10の各絶縁性樹脂組成物を調製した。
Figure 0006384711
Figure 0006384711
Figure 0006384711
表1〜3に示した固形分配合の樹脂組成物を、メチルエチルケトンに溶解させた後、ワニスの不揮発分を65〜75%になるようにメチルエチルケトンで調整してワニスを作製した。この後、ワニスをIPC品番#2116ガラスクロス(0.1mm)に含浸させ、160℃で4分間乾燥してプリプレグを得た。
次いで、このプリプレグ8枚重ねたものの両面に18μmの銅箔(3EC−VLP−18:三井金属株式会社製品名)を重ね、温度190℃、圧力2.5MPa(25kgf/cm)にて90分間加熱加圧成形して厚さ0.8mm(プリプレグ8枚)の両面銅張積層板(プリント配線板用積層板)を作製した。
また、このプリプレグを1枚使用し、両面に18μmの銅箔(YGP−18:日本電解株式会社製商品名)を重ね、温度190℃、圧力2.5MPa(25kgf/cm)にて90分間加熱加圧成形して厚さ0.1mm(プリプレグ1枚)の両面銅張積層板を作製した後、両銅箔面に内層密着処理(BF処理:日立化成株式会社製商品名)を施した後に、プリプレグを1枚ずつ重ね両面に18μmの銅箔(YGP−18:日本電解株式会社製商品名)を重ね、温度190℃、圧力2.5MPa(25kgf/cm)にて90分間加熱加圧成形して4層銅張積層板を作製した。
以上作製した両面銅張積層板(プリプレグ8枚のもの)について、比誘電率、ピール強度、Tgをそれぞれ測定した。
また、作製した4層銅張積層板について、リフロー耐熱性(266℃)を評価した。
なお、特性試験の方法は以下の通りとした。
リフロー耐熱性:
最高到達温度を266℃とし、260℃以上の恒温槽環境下で30秒以上基板を流すことを1サイクルとし、基板が膨れるまでのサイクル数を求めた。
比誘電率:
ヒューレットパッカード社製ネットワークアナライザ(8722C)を用い、トリプレート構造直線線路共振器法により1〜10GHzにおける銅張積層板の比誘電率の測定を実施した。試験片サイズは200mm×50mm×厚さ0.8mmで、1枚の銅張積層板の片面の中心にエッチングにより幅1.0mmの直線線路(ライン長さ200mm)を形成し、裏面は全面に銅を残しグランド層とした。もう1枚は片面を全面エッチングし、裏面はグランド層とした。ついで2枚の積層板のグランド層を外側にして重ね合わせストリップ線路とし、測定は25℃で行った。
ピール強度:
積層板を銅エッチング液に浸漬することにより3mm幅の銅箔ラインを形成して評価基板を作製し、オートグラフ(株式会社島津製作所製AG−100C)を用いてピール強度を測定した。
ガラス転移温度(Tg)の測定:
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を5mm角に切断したサンプルを作製した。これをTAインスツルメンツ社製TMA(製品名:Q400EM)を用いて、昇温速度10℃/min、測定温度範囲30〜230℃で得られた銅張積層板の評価基板の熱膨張特性を観察することにより評価した。
上記の測定結果をまとめて表4〜6に示した。
Figure 0006384711
Figure 0006384711
Figure 0006384711
上記の表4〜6に示した結果から、実施例1〜6はいずれも優れた誘電特性を有し、リフロー耐熱性において、耐熱要求レベル以上の10サイクル以上を達成し、耐熱性が良好であった。
これに対し、(A)成分のマレイミド化合物の配合部数を10部とした比較例1は、耐熱性、誘電率、Tgが十分ではなく、80部とした比較例2は、誘電率が十分ではない。エポキシ樹脂の配合部数が10部である比較例3は、耐熱性の低下が著しく、60部である比較例4でも耐熱性、誘電特性が悪化する。芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸からなる共重合樹脂の配合部数が5部である比較例5は耐熱性、誘電特性の低下が起こり、50部である比較例6は耐熱性、ピール強度が十分ではない。また、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸からなる共重合樹脂であるスチレン/無水マレイン酸=4、1.3である比較例7、8は誘電特性が十分ではない。ポリフェニレンエーテル樹脂の配合部数が2部である比較例9では、優れた誘電特性が発現せず、比較例10の20部の場合、著しい耐熱性、ピール強度の低下が起こる。
上記の結果から、特定の(A)〜(D)成分を特定量用いることで、ハロゲンフリーで、優れた誘電特性を有し、耐熱性、接続信頼性等の諸特性をバランス良く兼ね備えた絶縁性樹脂組成物及びそれを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板を得ることができる。

Claims (3)

  1. (a)下記一般式(II)に示す1分子主鎖中に少なくとも2個のベンゼン環を有するジアミン化合物、(b)分子構造中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物、(c)モノアミン化合物(前記(a)または(b)が分子構造中に酸性置換基(フェノール性水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基)を有しない場合は、酸性置換基を有するモノアミン化合物とする)を反応させて得られる酸性置換基及び分子中にN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(A)と、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(B)と、芳香族ビニル化合物と無水マレイン酸を構成成分として含む共重合樹脂(C)と、単環式フェノールの1種類以上の重縮合により得られるポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂とを70:30(質量比)で混合した重量平均分子量が80000の混合物(D)とを含み、前記(C)成分の共重合樹脂が、下記一般式(1)に示す芳香族ビニル化合物に由来する構成成分をm、無水マレイン酸に由来する構成成分をnとした場合の構成モル比がm:n=7:1〜9:1で、有機樹脂固形分総量100質量部に対して、(A)成分が15〜65質量部、(B)成分が15〜50質量部、(C)成分が15〜40質量部、(D)成分が5〜10質量部である絶縁性樹脂組成物。
    Figure 0006384711
    [一般式(1)中、Rは水素原子、又は炭素数1〜5個の炭化水素基であり、Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜5個の脂肪族炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であり、xは0〜3の整数で、mは芳香族ビニル化合物に由来する構成成分のモル数、nは無水マレイン酸に由来する構成成分のモル数で、m:n=7:1〜9:1である]

    Figure 0006384711
    〔一般式(II)中、Aは炭素数1〜3の2価の脂肪族炭化水素基又はエーテル結合、R 及びR は各々独立に、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、又はスルホン酸基を示し、ベンゼン環の水素と置換するR 及びR の数は各々独立に0〜4の整数である。〕
  2. 請求項1に記載の絶縁性樹脂組成物をワニスとし、このワニスを基材に含浸乾燥してなるプリプレグ。
  3. 請求項2に記載のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね合わせ、その少なくとも片面に金属箔を構成後、加熱成形して得られるプリント配線板用積層板。
JP2014128150A 2014-06-23 2014-06-23 絶縁性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板 Expired - Fee Related JP6384711B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014128150A JP6384711B2 (ja) 2014-06-23 2014-06-23 絶縁性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014128150A JP6384711B2 (ja) 2014-06-23 2014-06-23 絶縁性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016008229A JP2016008229A (ja) 2016-01-18
JP6384711B2 true JP6384711B2 (ja) 2018-09-05

Family

ID=55226034

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014128150A Expired - Fee Related JP6384711B2 (ja) 2014-06-23 2014-06-23 絶縁性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6384711B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109312156B (zh) * 2016-06-02 2022-02-22 昭和电工材料株式会社 热固化性树脂组合物、预浸渍体、层叠板、印刷线路板和高速通信应对模块
CN108401433B (zh) 2016-12-07 2019-05-28 日立化成株式会社 树脂清漆、预浸渍体、层叠板及印制线路板
EP3428215B1 (en) * 2016-12-07 2020-04-29 Hitachi Chemical Company, Ltd. Thermosetting resin composition, method for producing same, prepreg, laminate, and printed wiring board
KR102489450B1 (ko) * 2017-03-30 2023-01-16 쇼와덴코머티리얼즈가부시끼가이샤 프리프레그 및 그의 제조 방법, 적층판, 프린트 배선판 그리고 반도체 패키지
KR102478431B1 (ko) * 2017-03-30 2022-12-15 쇼와덴코머티리얼즈가부시끼가이샤 프리프레그의 제조 방법, 프리프레그, 적층판, 프린트 배선판 및 반도체 패키지
JP6863126B2 (ja) * 2017-06-22 2021-04-21 昭和電工マテリアルズ株式会社 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ
JP2018095889A (ja) * 2018-02-14 2018-06-21 日立化成株式会社 樹脂ワニス、プリプレグ、積層板及びプリント配線板
CN115073864B (zh) * 2022-07-05 2023-11-10 陕西生益科技有限公司 一种磁介电无纺布预浸料、包含其的覆铜板及应用

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS57143320A (en) * 1981-02-28 1982-09-04 Mitsubishi Gas Chem Co Inc Novel curable resin composition
JPS61163921A (ja) * 1985-01-15 1986-07-24 Matsushita Electric Works Ltd プリプレグ
JPS63113069A (ja) * 1986-10-31 1988-05-18 Sumitomo Chem Co Ltd 熱可塑性樹脂組成物
TWI278481B (en) * 2002-04-16 2007-04-11 Hitachi Chemical Co Ltd Thermosetting resin composition, prepreg and laminate using the same
WO2009117345A2 (en) * 2008-03-17 2009-09-24 Henkel Corporation Adhesive compositions for use in die attach applications
JP5684804B2 (ja) * 2009-06-22 2015-03-18 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー エポキシ樹脂のためのハードナー組成物
JP5772189B2 (ja) * 2011-04-27 2015-09-02 日立化成株式会社 熱硬化性樹脂組成物並びにこれを用いたプリプレグ、積層板及び配線板
JP5824271B2 (ja) * 2011-07-28 2015-11-25 株式会社エフピコ 包装用容器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016008229A (ja) 2016-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6384711B2 (ja) 絶縁性樹脂組成物及びこれを用いたプリプレグ、プリント配線板用積層板
CN112204105B (zh) 树脂组合物、预浸料、覆金属箔层叠板、树脂片及印刷电路板
JP6079930B2 (ja) N−置換マレイミド基を有するポリフェニレンエーテル誘導体、並びにそれを用いた熱硬化性樹脂組成物、樹脂ワニス、プリプレグ、金属張積層板、及び多層プリント配線板
JP6705447B2 (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板
TWI721978B (zh) 熱硬化性樹脂組成物、預浸體、積層板及多層印刷線路板
US7288587B2 (en) Poly(phenylene oxide) resin composition, prepreg, laminates sheet, printed wiring board, and multilayer printed wiring board
JP5233710B2 (ja) 樹脂組成物、プリプレグおよび金属箔張り積層板
JP6981007B2 (ja) 樹脂組成物、樹脂シート及びプリント配線板
JP5320699B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物並びにこれを用いたプリプレグ及び積層板
JP5381438B2 (ja) 熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いたプリプレグ、樹脂付フィルム、積層板、及び多層プリント配線板
WO2008041453A1 (fr) Composition de résine thermodurcissable, pré-imprégné et stratifié obtenus avec celle-ci
KR102338982B1 (ko) 열경화성 수지 조성물, 이를 이용한 프리프레그 및 기판
JP6863126B2 (ja) 樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び半導体パッケージ
JP6443657B2 (ja) 熱硬化性絶縁樹脂組成物、並びにこれを用いた支持体付絶縁フィルム、プリプレグ、積層板及び多層プリント配線板
KR20140133892A (ko) 산성 치환기와 불포화 말레이미드기를 갖는 경화제의 제조 방법 및 열경화성 수지 조성물, 프리프레그 및 적층판
JP7082454B2 (ja) プリプレグ、積層体及びプリント配線基板
JP6307236B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、硬化物、電気・電子部品及び回路基板材料
JP2005248147A (ja) 熱硬化性樹脂組成物及びそれを用いたプリプレグ、金属張積層板、印刷配線板
WO2019127391A1 (zh) 马来酰亚胺树脂组合物、预浸料、层压板和印刷电路板
JP7106819B2 (ja) 樹脂ワニス、樹脂組成物、プリプレグ、積層板、多層プリント配線板及び樹脂ワニスの保存方法
JP2008163305A (ja) 難燃性樹脂化合物、これを用いた熱硬化性樹脂組成物並びにプリプレグ及び積層板
JP2015166431A (ja) 熱硬化性樹脂組成物、プリプレグ及び積層板
JP5028971B2 (ja) (変性)グアナミン化合物溶液、熱硬化性樹脂組成物並びに、これを用いたプリプレグ及び積層板
JP2017066280A (ja) 熱硬化性樹脂組成物とその製造方法、並びに前記熱硬化性樹脂組成物を有するプリプレグ、金属張積層板、及び多層プリント配線板
JP5266685B2 (ja) 熱硬化性樹脂組成物並びにこれを用いたプリプレグ及び積層板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170526

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180301

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180425

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180628

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180712

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180725

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6384711

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees