JP2008163305A - 難燃性樹脂化合物、これを用いた熱硬化性樹脂組成物並びにプリプレグ及び積層板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】N置換マレイミド化合物と酸性置換基を有するアミン化合物より得られた化合物(a)及び含リンエポキシ樹脂(b)を有機溶媒中で反応させることにより製造された難燃性樹脂化合物、該難燃性樹脂化合物の溶液(A)と6−置換グアナミン化合物(B)、スチレン化合物又はビニル化合物と無水マレイン酸の共重合樹脂(C)、エポキシ樹脂(D)および、酸性置換基を有するエポキシ樹脂用硬化剤(E)を含む熱硬化性樹脂組成物並びにこれを用いたプリプレグ及び積層板である。
【選択図】なし
Description
また、ポリカーボネート系樹脂とポリスチレン系樹脂及び、ホスファゼン化合物、トリアジン骨格含有化合物、フッ素ポリオレフィンからなる樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、これは、ポリカーボネート系樹脂とポリスチレン系樹脂からなる樹脂の難燃化に主眼を置いたものである。
さらに、スチレン系樹脂の難燃化の手法として、ポリフェニレンエーテル及び、有機リン化合物、トリアジン骨格含有化合物、硼酸塩を添加する手法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、これはスチレン系樹脂に関してはある程度の効果が提案されているが,耐吸湿性及び低発煙性に劣るという問題があった。
1.1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a−1)と下記一般式(1)に示す酸性置換基を有するアミン化合物(a−2)を有機溶媒(a−3)中で反応させて得られた化合物(a)と、下記一般式(2)に示す含リンエポキシ樹脂(b)とを、有機溶媒(c)中で反応させることにより製造された難燃性樹脂化合物。
4.上記3記載のプリプレグを積層成形して得られた積層板。
5.プリプレグの少なくとも一方に金属箔を重ねた後、加熱加圧成形して得られた金属張積層板である上記4の積層板。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、難燃性、金属箔接着性、耐熱性、耐湿性及び誘電特性(比誘電率、誘電正接)の全てにおいてバランスがとれ、優れた性能を有するプリプレグや積層板などを提供することができ、電子部品等に好適に用いられる。
先ず、本発明の難燃性樹脂化合物は、1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a−1)と下記一般式(1)に示す酸性置換基を有するアミン化合物(a−2)を有機溶媒(a−3)中で反応させて得られた化合物(a)と、下記一般式(2)に示す含リンエポキシ樹脂(b)とを、有機溶媒(c)中で反応させて製造され、酸性置換基と不飽和マレイミド基を有するものである。
1.0≦(マレイミド基当量)/(−NH2基換算の当量)≦10.0
に示す範囲であることが好ましく、該当量比が2.0〜10.0であることがさらに好ましい。該当量比を上記範囲内とすることにより、溶剤への溶解性が不足したり、ゲル化を起こしたり、熱硬化性樹脂の耐熱性が低下することがなくなる。
これらの有機溶媒の中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びメチルセロソルブが好ましく、低毒性である点からシクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましく、揮発性が高くプリプレグの製造時に残溶媒として残りにくいプロピレングリコールモノメチルエーテルが特に好ましい。
有機溶媒(a−3)の使用量は、アミン化合物(a−1)とマレイミド化合物(a−2)の総和100質量部当たり、10〜1000質量部とすることが好ましく、100〜500質量部とすることがより好ましく、200〜500質量部とすることが特に好ましい。
反応には、必要により任意に反応触媒を使用することができる。反応触媒は特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
含リンエポキシ樹脂(b)は、前記一般式(2)に示す含リンエポキシ樹脂であり、具体的には、有機環状リン化合物(例えば、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホフェナントレン−10−酸化物〔以下、HCAと略称する〕)を直接エポキシ樹脂の分子中に導入して得られた分岐状の含リンエポキシ樹脂が挙げられる。
難燃性樹脂化合物の製造に用いられる有機溶媒(c)は、上記により製造された化合物(a)及び含リンエポキシ樹脂(b)を溶解するものであれば特に制限されない。
反応温度は100〜150℃であることが好ましく、120〜140℃であることがさらに好ましい。反応時間は0.1〜10時間であることが好ましく、1〜4時間であることがさらに好ましい。
なお、本発明の難燃性樹脂化合物は上記反応により製造され、公知方法により分離することができるが、本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、この難燃性樹脂化合物を分離せずに、難燃性樹脂化合物の溶液(A)として用いる。これにより窒素とリンを含有した優れた難燃性を有する化合物が溶液状態で得られるので、熱硬化性樹脂組成物への配合が容易となり、その特性を導入することができる。
また、一般式(4)で示すモノマー単位(C−2)は、無水マレイン酸から得られる。
共重合樹脂(C)には、更に、上記のモノマー単位以外にも、各種の重合可能なモノマー単位を含有させてもよく、これら各種の共重合可能なモノマー単位(C−3)としては、例えば、N−フェニルマレイミド、N−ヒドロキシフェニルマレイミド、N−カルボキシフェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド化合物、メチルメタクリレート、メチルアクリレート等のメタクリロイル基又はアクリロイル基を有する化合物等が挙げられる。
また、モノマー単位(C−3)を含有する場合のモノマー比率〔m/(n+r)〕は、誘電特性やガラス転移温度、耐湿耐熱性、接着性とのバランスを考慮すると、0.1〜9.0が好ましく、1.0〜6.0がより好ましい。
共重合樹脂(C)の重量平均分子量は、耐熱性や機械強度と成型加工性とのバランスを考慮すると、1,000〜200,000であることが好ましい。なお、重量平均分子量は、溶離液としてテトラヒドロフランを用いたGPCにより測定し、標準ポリスチレン検量線により換算した値である。
これらの中で、誘電特性、耐熱性、耐湿性及び金属箔接着性の点からビスフェノールF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましく、誘電特性や高いガラス転移温度を有する点からジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂及びフェノールノボラック型エポキシ樹脂がより好ましく、耐湿耐熱性の点からフェノールノボラック型エポキシ樹脂及びジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂が特に好ましい。
(A)成分は1〜96質量部とすることが好ましく、20〜49質量部とすることがより好ましく、20〜44質量部とすることが特に好ましい。(A)成分の含有量を1質量部以上とすることにより、難燃性や接着性、可とう性が向上し、また96質量部以下とすることにより耐熱性が低下することがない。
(B)成分は1〜96質量部とすることが好ましく、20〜49質量部とすることがより好ましく、20〜44質量部とすることが特に好ましい。(B)成分の含有量を1質量部以上とすることにより、難燃性や接着性、誘電特性が向上し、また96質量部を超える場合も耐熱性が低下することがない。
(C)成分は1〜50質量部とすることが好ましく、1〜30質量部とすることがより好ましく、1〜20質量部とすることが特に好ましい。(C)成分の含有量を1質量部以上とすることにより、溶解性や誘電特性が向上し、また50質量部以下とすることにより、難燃性が低下することがない。
(D)成分は1〜96質量部とすることが好ましく、20〜49質量部とすることがより好ましく、20〜44質量部とすることが特に好ましい。
(E)成分は1〜96質量部とすることが好ましく、10〜39質量部とすることがより好ましく、15〜39質量部とすることが特に好ましい。
(D)および(E)成分の含有量を1質量部以上とすることにより、難燃性や接着性、耐熱性が向上し、また96質量部以下とすることにより、低誘電損失性が低下することがない。
無機充填剤の含有量は、(A)〜(E) 成分の質量の総和100質量部に対する質量として、0〜300質量部とすることが好ましく、20〜200質量部とすることがより好ましく、20〜150質量部とすることが特に好ましい。無機充填剤の含有量を300質量部以下とすることにより、成形性や接着性の低下することがない。
エポキシ樹脂用硬化促進剤の例としては、イミダゾール類及びその誘導体、第三級アミン類及び第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
熱可塑性樹脂の例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
エラストマーの例としては、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン、カルボキシ変性ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
有機充填剤の例としては、シリコーンパウダー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル等の有機物粉末などが挙げられる。
基材の厚さは、特に制限されないが、例えば、約0.03〜0.5mmのものを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて、本発明のプリプレグを得ることができる。
なお、以下の実施例で得られた銅張積層板は、以下の方法で性能を測定・評価した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより、1cm幅の帯部分を残して銅箔を取り除いた評価基板を作製し、オートグラフ〔島津製作所(株)製AG−100C〕を用いて帯部分のピール強度を測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置〔デュポン(株)製TMA2940〕を用い、評価基板の熱膨張特性を観察することにより評価した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5cm角の評価基板を作製し、プレッシャー・クッカー試験装置〔平山製作所(株)製〕を用いて、121℃、0.2MPaの条件に4時間放置し、次いで温度288℃のはんだ浴に20秒間浸漬した後、評価基板の外観を観察することによりはんだ耐熱性を評価した。
(4)吸湿性(吸水率)の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、プレッシャー・クッカー試験装置〔平山製作所(株)製〕を用いて、121℃、0.2MPaの条件に4時間放置した後、評価基板の吸水率を測定した。
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板から、長さ127mm、幅12.7mmに切り出した評価基板を作製し、UL94の試験法(V法)に準じて評価した。
(6)比誘電率及び誘電正接の測定
得られた銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた評価基板を作製し、比誘電率測定装置(Hewllet・Packerd社製、HP4291B)を用いて、周波数1GHzでの比誘電率及び誘電正接を測定した。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:358.0g、m−アミノフェノール:54.5g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:412.5gを入れ、還流させながら5時間反応させて化合物(a−a)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:358.0g、p−アミノフェノール:54.5g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:412.5gを入れ、還流させながら5時間反応させて化合物(a−b)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)スルフォン:408.0g、p−アミノフェノール:54.5g及びN,N−ジメチルアセトアミド:462.5gを入れ、
還流させながら5時間反応させて化合物(a−c)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)エーテル:360.0g、p−アミノフェノール:54.5g及びN,N−ジメチルアセトアミド:414.5gを入れ、還流させながら5時間反応させて化合物(a-d)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、2,2'−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:570.0g、p−アミノフェノール:54.5g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:624.5gを入れ、還流させながら5時間反応させて化合物(a−e)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド:282.0g、p−アミノフェノール:54.5g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:336.5gを入れ、還流させながら5時間反応させて化合物(a−f)の溶液を得た。
マントルヒーター、温度コントロ−ル装置、電動撹拌装置、熱電対、水冷式冷却装置、
滴下ロートを備えた容量3000mlの五頸のガラス反応容器中に、乾燥処理した9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホフェナントレン−10−酸化物(以下、「有機環状リン化合物HCA」と称する)216gを入れ、加熱溶解した。撹拌しながら温度を上げて、温度が110℃に達したところで、4−ヒドロオキシベンズアルデヒド112gとフェノ−ル940gを加え、3時間以上反応を行なった。過剰のフェノ−ルを回収し、メタノ−ルで反応生成物を洗い出し、室温迄冷却した後、反応生成物を濾過、乾燥して、(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスホフェナントレン−10−酸化物−10−イル)−(4−ヒドロオキシフェニル)メタノ−ル(以下、「含リン化合物HPP」と称す。)を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、製造例1で得られた化合物(a−a):277.9g、製造例7で得られた含リンエポキシ樹脂(b1):300.0g及びN,N−ジメチルアセトアミド:50.0gを入れ、120℃で5時間反応させて難燃性樹脂化合物の溶液(A1)を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、製造例2で得られた化合物(a−b):277.9g、製造例7で得られた含リンエポキシ樹脂(b1):300.0g及びN,N−ジメチルアセトアミド:50.0gを入れ、120℃で5時間反応させて難燃性樹脂化合物の溶液(A2)を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、製造例3で得られた化合物(a−c):277.88g、製造例7で得られた含リンエポキシ樹脂(b1):300.00g及びN、N−ジメチルアセトアミド:50.00gを入れ、120℃で5時間反応させて難燃性樹脂化合物(A3)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、製造例3で得られた化合物(a−d):277.88g、製造例7で得られた含リンエポキシ樹脂(b1):300.00g及びN、N−ジメチルアセトアミド:50.00gを入れ、120℃で5時間反応させて難燃性樹脂化合物(A4)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、製造例3で得られた化合物(a−e):277.88g、製造例7で得られた含リンエポキシ樹脂(b1):300.00g及びN、N−ジメチルアセトアミド:50.00gを入れ、120℃で5時間反応させて難燃性樹脂化合物(A5)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、製造例3で得られた化合物(a−f):277.88g、製造例7で得られた含リンエポキシ樹脂(b1):300.00g、及びN、N−ジメチルアセトアミド:50.00gを入れ、120℃で5時間反応させて難燃性樹脂化合物(A6)の溶液を得た。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、スチレン(m)と無水マレイン酸(n)の共重合樹脂(エルフ・アトケム社製、商品名EF−40、モノマー比率(m/n)=4.0、重量平均分子量:10,000):514.0g及びシクロヘキサノン:462.6g、トルエン:51.4gを入れ、70℃に昇温して均一に溶解した後、アニリン:46.5gを少量づつ滴下した。次いで還流温度まで昇温し、発生する縮合水を除去しながら5時間反応させてスチレンと無水マレイン酸とN−フェニルマレイミドからなる共重合樹脂(C1)の溶液を得た。(C1)のスチレン(m)と無水マレイン酸(n)とN−フェニルマレイミド(r)のモノマー比率は、m/(n+r)=4.0、重量平均分子量は11,000であった。
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積1リットルの反応容器に、イソブチレン(m)と無水マレイン酸(n)の共重合樹脂(クラレ社製、商品名イソバン−600、m/n=1.0、重量平均分子量:6,000):154.0g及びN.N−ジメチルアセトアミド:308.0g、トルエン:30.8gを入れ、70℃に昇温して均一に溶解した後、p−アミノフェノール:54.5gを少量づつ添加した。次いで還流温度まで昇温し、発生する縮合水を除去しながら5時間反応させてイソブチレンと無水マレイン酸とN−ヒドロキシフェニルマレイミドからなる共重合樹脂(C2)の溶液を得た。(C2)のイソブチレン(m)と無水マレイン酸(n)とp−ヒドロキシフェニルマレイミド(r)のモノマー比率は、m/(n+r)=1.0、重量平均分子量は7,000であった。
実施例では(A)成分として製造例8〜13で得られた難燃性樹脂化合物の溶液(A1〜A6)を、比較例では(A)成分の代わりに、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン〔大和化成工業(株)製、商品名:BMI1000〕と、難燃剤のトリフェニルホスフェート〔第八化学工業(株)製、商品名:TPP〕、芳香族縮合リン酸エステル〔第八化学工業(株)製、商品名:PX200〕又は非ハロゲン系含リン難燃剤〔クラリアント製、商品名:OP930〕とを、(B)成分の6−置換グアナミン化合物としてベンゾグアナミン〔日本触媒(株)製〕を、(C)成分の共重合樹脂として、上記の製造例6〜7で得られた共重合樹脂(C1、C2)、スチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂(エルフ・アトケム社製、商品名:EF−40、m/n=4.0、重量平均分子量:10,000)又はイソブチレンと無水マレイン酸の共重合樹脂〔クラレ(株)製、商品名イソバン−600、m/n=1.0、重量平均分子量:6,000〕を、(D)成分のエポキシ樹脂として、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:エピクロンN−770)又はジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、商品名:HP−7200H)を、(E)成分のエポキシ樹脂用硬化剤としてクレゾールノボラック型フェノール樹脂〔大日本インキ化学工業(株)製、商品名:KA−1165〕を、無機充填剤として破砕シリカ〔福島窯業(株)製、商品名:F05−30、平均粒径10μm〕及び水酸化アルミニウム〔昭和電工(株)製、商品名:HD−360、平均粒径3μm〕を、また希釈溶剤としてメチルエチルケトンを各々使用して第1表および第2表に示す配合割合(質量部)で混合して樹脂分70質量%の均一なワニスを得た。
次に、得られたワニスを厚さ0.2mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量55質量%のプリプレグを得た。このプリプレグを4枚重ね、18μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.45MPa(25kgf/cm2)、温度185℃で90分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
このようにして得られた銅張積層板を用いて、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、ガラス転移温度(Tg)、吸湿性(吸水率)、難燃性、比誘電率(1GHz)及び誘電正接(1GHz)について前記の方法で測定・評価した。結果を第1表〜第3表に示す。
本発明の実施例では、銅箔接着性(銅箔ピール強度)、ガラス転移温度(Tg)、吸湿性(吸水率)、難燃性、比誘電率(1GHz)及び誘電正接(1GHz)の全てにおいてバランスがとれており、本発明の難燃性樹脂化合物の溶液を使用した熱硬化性樹脂組成物を基材に含浸又は塗工して得たプリプレグ並びに該プリプレグを積層成形することにより製造した積層板は、難燃性に優れ、電子機器用プリント配線板として有用である。
Claims (5)
- 1分子中に少なくとも2個のN−置換マレイミド基を有するマレイミド化合物(a−1)と下記一般式(1)に示す酸性置換基を有するアミン化合物(a−2)を有機溶媒(a−3)中で反応させて得られた化合物(a)と、下記一般式(2)に示す含リンエポキシ樹脂(b)とを、有機溶媒(c)中で反応させることにより製造された難燃性樹脂化合物。
- 請求項1に記載の難燃性樹脂化合物の溶液(A)、下記一般式(2b)に示す6−置換グアナミン化合物(B)、下記一般式(3)で示すモノマー単位(C−1)と下記一般式(4)で示すモノマー単位(C−2)を有する共重合樹脂(C)、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(D)並びに水酸基、カルボキシ基及びスルホン酸基から選ばれる酸性置換基を1分子中に少なくとも2個有するエポキシ樹脂用硬化剤(E)を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
- 請求項2に記載の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工した後、Bステージ化して得られたプリプレグ。
- 請求項3に記載のプリプレグを積層成形して得られた積層板。
- プリプレグの少なくとも一方に金属箔を重ねた後、加熱加圧成形して得られた金属張積層板である請求項4に記載の積層板。
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