JP6764885B2 - 熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents
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Description
また、特許文献1には、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂をノボラック型フェノール樹脂で硬化した硬化物が開示されている(実施例)が、特許文献1に記載された硬化物は、従来の硬化物に比べて誘電特性が優れるが、耐熱性は高いものではなかった。
[1] ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)、ノボラック型フェノール樹脂(B)、インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)および硬化触媒(D)を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
前記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数aと、前記ノボラック型フェノール樹脂(B)中のフェノール性水酸基のモル数bと、前記インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(D)中の酸無水物基のモル数cが下記の関係を満たす、熱硬化性樹脂組成物。
a:b+c=1.00:1.10〜1.00:0.45、かつ
b:c=96:4〜65:35
[2] 上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物。
また、本発明において、数量範囲を「以下」または「以上」を用いて表現したときは、その数量範囲には基準となる数量を含むものとする。
また、本発明において、数量範囲を「未満」または「超」もしくは「超える」を用いて表現したときは、その数量範囲には基準となる数量を含まないものとする。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)、ノボラック型フェノール樹脂(B)、インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)および硬化触媒(D)を含有する熱硬化性樹脂組成物である。
ここで、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数aと、ノボラック型フェノール樹脂(B)中のフェノール性水酸基のモル数bと、インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)中の酸無水物基のモル数cは、下記の関係を満たす。
a:b+c=1.00:1.10〜1.00:0.45、かつ
b:c=96:4〜65:35
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)(以下、単に「エポキシ樹脂(A)」という場合がある)は、ジシクロペンタジエン類とフェノール類とを酸触媒の存在下で縮合させて得られるジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂である。
エポキシ樹脂(A)を製造する際の原料として用いることができるジシクロペンタジエン類は、ジシクロペンタジエン骨格を有する有機化合物であれば特に限定されない。
これらのジシクロペンタジエン類は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて、エポキシ樹脂(A)の製造に用いることができる。ジシクロペンタジエン類を2種類以上組み合わせて用いるときは、2種類以上を混合物として用いてもよい。
エポキシ樹脂(A)を製造する際の原料として用いることができるフェノール類は、フェノールまたはその誘導体であれば特に限定されない。
これらのフェノール類は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて、エポキシ樹脂(A)の製造に用いることができる。フェノール類を2種類以上組み合わせて用いるときは、2種類以上を混合物として用いてもよい。
(ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂の製造)
ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂の製造方法は、特に制限されないが、一例として次の方法で製造することができる。
ジシクロペンタジエン類に対し、過剰モル量のフェノール類を反応容器に仕込み、これに酸触媒を加えて、50℃から150℃の範囲に加熱する。加熱後、反応容器内の混合物にジシクロペンタジエン類を少量ずつ滴下して反応させる。反応後、反応混合物から過剰のフェノール類を減圧蒸留等により除去し、得られた樹脂を、加熱溶融した状態で回収する。
ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化方法は、特に限定されないが、一例として次の方法でエポキシ化することができる。
ジメチルスルホキシド等の極性溶媒中で、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、エピクロロヒドリンおよび水酸化ナトリウムを反応させてエポキシ化反応を行う。反応後、溶媒および過剰のエピクロロヒドリンを蒸留除去し、残渣にメチルエチルケトン等の抽出溶媒を加え、さらに、イオン交換水で数回洗浄し、生成した塩化ナトリウムを除去した後、溶媒のメチルエチルケトンを蒸留除去することにより、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物、すなわち、エポキシ樹脂(A)を得ることができる。
エポキシ樹脂(A)の平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量(ポリスチレン換算)で、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは300〜5000である。重量平均分子量がこの範囲内であると、耐熱性がより優れたものとなり、かつ、加熱時に粘度が高くなり過ぎず成形性がより優れたものとなる。
なお、上記エポキシ樹脂(A)の重量平均分子量は、以下の条件でGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定したものである。
GPC条件:
カラム Shodex(登録商標) KF−801、KF−802.5、KF−802.5、KF−803(昭和電工社製)
ガードカラム Shodex KF−801(昭和電工社製)
連結溶離液 テトラヒドロフラン
流速 0.8L/min.
カラム温度 40℃
検出 示差屈折(RI)検出器(Refractive Index Detector)
標準物質 ポリスチレン
上記ノボラック型フェノール樹脂(B)(以下、単に「フェノール樹脂(B)」という場合がある)は、フェノール類とホルムアルデヒド類とを酸触媒の存在下で縮合させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール樹脂(B)を製造する際の原料として用いることができるフェノール類は、フェノールまたはその誘導体であれば特に限定されない。
これらのフェノール類は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて、フェノール樹脂(B)の製造に用いることができる。フェノール類を2種類以上組み合わせて用いるときは、2種類以上を混合物として用いてもよい。
フェノール樹脂(B)を製造する際の原料として用いることができるホルムアルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン(ホルムアルデヒドの水溶液)およびパラホルムアルデヒド(ホルムアルデヒドの重合体(固体))が挙げられる。
これらのホルムアルデヒド類は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせてフェノール樹脂(B)の製造に用いることができる。ホルムアルデヒド類を2種類以上組み合わせて用いるときは、2種類以上を混合物として用いてもよい。
フェノール樹脂(B)を製造する際の原料として用いることができる酸触媒は、特に限定されないが、入手が容易であり、かつ、安価であることから、パラトルエンスルホン酸、硫酸およびシュウ酸からなる群から選択される少なくとも1種類が好ましい。
フェノール樹脂(B)は、合成してもよいが、市販品を購入することもできる。
このような市販品として、例えば、PHENOLITE(登録商標) TD−2131(104g/当量)、TD−2106(104g/当量)、TD−2093(104g/当量)およびTD−2090(105g/当量)等のフェノールノボラック樹脂、ならびにPHENOLITE KA−1160(117g/当量)、KA−1163(118g/当量)およびKA−1165(119g/当量)等のクレゾールノボラック樹脂を挙げることができる(いずれもDIC社製;括弧内にはフェノール水酸基当量を記載した)。
インデン類と無水マレイン酸の共重合体(C)(以下、単に「共重合体(C)」という場合がある)は、溶媒を用いて(溶媒中で)、または溶媒を用いないで、触媒またはラジカル開始剤の存在下、インデン類と無水マレイン酸類とを加熱し、重合させて得られる共重合体である。
上記インデン類は、二重結合を有し、インデン骨格を有する化合物であれば、特に限定されず、例えば、インデン、インデンの1つ以上の水素原子にメチル基、エチル基、t−ブチル基その他のアルキル基が置換したアルキル置換インデン、インデンの1つ以上の水素原子にフェニル基、ナフチル基その他のアリール基が置換したアリール置換インデン、インデンの2つ以上の水素原子にアルキル基およびアリール基が置換したアルキル/アリール置換インデンが挙げられる。
上記無水マレイン酸類は、下記式(1)で表される、酸無水物基を含む五員環に重合性の炭素−炭素二重結合を含む構造を分子構造中に有する酸無水物であれば特に限定されないが、好ましくは下記式(2)で表される化合物である。
重合反応の形態は、ラジカル重合、カチオン重合およびアニオン重合のいずれを用いてもよいが、反応速度が早く、かつ、副生物の生成が少ない点で、ラジカル重合を用いることが好ましい。ラジカル重合では、ラジカル開始剤を用いなければ重合反応が進行しないわけではないが、反応速度が速くなることから、ラジカル開始剤を用いることが好ましい。
上記ラジカル開始剤の中では、常温で比較的安定で取扱い容易であり、かつ、反応性が高いことから、アゾビスイソブチルニトリルまたはベンゾイルパーオキサイドが好ましい。
共重合体(C)の平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量(ポリスチレン換算)で、好ましくは100〜100000であり、より好ましくは300〜50000である。重量平均分子量がこの範囲内であると、耐熱性がより優れたものとなり、かつ、加熱時に粘度が高くなり過ぎず成形性がより優れたものとなる。
なお、上記共重合体(C)の重量平均分子量は、以下の条件でGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定したものである。
GPC条件:
カラム Shodex KF−801、KF−802.5、KF−802.5、KF−803
ガードカラム Shodex KF−801
連結溶離液 テトラヒドロフラン
流速 0.8L/min.
カラム温度 40℃
検出 示差屈折(RI)検出器(Refractive Index Detector)
標準物質 ポリスチレン
硬化触媒(D)は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤であるフェノール樹脂(B)および共重合体(C)との硬化反応を触媒する化合物である。
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数aと、フェノール樹脂(B)中のフェノール性水酸基のモル数bと、共重合体(C)中の酸無水物基のモル数cが、以下の関係(1)および関係(2)を満たすように、各成分を配合する。
a:b+c=1.00:1.10〜1.00:0.45、好ましくはa:b+c=1.00:1.00〜1.00:0.50
a:b+cが上記範囲内であると、得られる硬化物の強度が十分に高くなる。
aと(b+c)の比の値〔a/(b+c)〕が0.45/1.00未満であると、得られる硬化物の耐熱性が不十分となり、1.00/1.10超であると、得られる硬化物の誘電性能が不十分となる。
b:c=96:4〜65:35、好ましくはb:c=95:5〜70:30
b:cが上記範囲内であると、得られる硬化物の誘電特性および耐熱性を両立することができる。
bとcの比の値〔b/c〕が96/4超であると、得られる硬化物の誘電性能が不十分となり、65/35未満であると、得られる硬化物の成形性が不十分となる。
エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数は、例えば、JIS K 7236:2009「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に従って、エポキシ当量を求め測定することができる。すなわち、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含む質量であり、この値から、単位質量に含まれるエポキシ基のモル数を求めることができる。
フェノール性水酸基当量:ビスフェノールF(本州化学工業株式会社製、商品名:BPF−D)を5mg/L、20mg/L又は50mg/L含有するテトラヒドロフラン溶液を50mL作成し、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド10%水溶液を20μL添加混合した後、UVスペクトルを測定し、305nmの吸光度により検量線を作成した。実施例及び比較例のサンプルを0.1g秤量し、テトラヒドロフラン50mLに溶解(希釈倍率:500倍)させて、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド10%水溶液を20μL添加混合した後、UVスペクトルを測定し、305nmの吸光度からビスフェノールFに由来するフェノール性水酸基当量(POHE)を下記の数式にて算出した。
POHE={(m×k)/(c×d)}×106
ただし、式中、m、k、cおよびdは以下に示すものである。
m:試料採取量(g)
k:ビスフェノールFのグラム当量、100(g/当量)
c:検量線濃度(mg/L)
d:試料溶液の希釈倍率、500(mL)
共重合体(C)中の酸無水物基のモル数は、例えば、IRスペクトルの吸光度を測定し、単位質量に含まれる酸無水物基のモル数を求めることができる。すなわち、予め、種々の配合割合でインデン類と無水マレイン酸類の混合物を作成し、各配合のIRスペクトルの吸光度を測定する。これらのIRスペクトルについて、無水マレイン酸類に含まれるC=O結合に起因する1785cm−1のピーク強度とインデン類および無水マレイン酸類に含まれるC−H結合に起因する2800〜3000cm−1のピーク強度との比R〔R=1785cm−1のピーク強度/2800〜3000cm−1のピーク強度〕を求め、無水マレイン酸類の物質量(モル)とインデン類および無水マレイン酸類の合計物質量(モル)の比L〔L=無水マレイン酸類の物質量(モル)/インデン類および無水マレイン酸類の合計物質量(モル)〕に関する検量線を作成する。次に、共重合体(C)のIRスペクトルを測定し、Rを求め、検量線からLを算出することで、単位質量あたりの酸無水物基のモル数を求めることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で様々な無機充填剤および/または各種添加剤を配合することができる。
使用できる無機充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タルク、マイカ、ガラス繊維および炭素繊維が挙げられる。無機充填剤を配合する場合、熱膨張が低く熱伝導性に優れることから、シリカが好ましい。
使用できる各種添加剤としては、例えば、脂肪酸およびワックス等の離形剤、ならびに臭素系難燃剤、りん系難燃剤およびアンチモン系難燃助剤等の難燃剤・難燃助剤が挙げられる。
本発明の硬化物は、上述した本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物である。
より具体的には、本発明の熱硬化性樹脂組成物を加圧または非加圧下で、常圧または減圧下に加熱硬化することで、本発明の硬化物を得ることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化する方法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにすることができる。
150℃〜200℃の温度で、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)および共重合体(C)を溶融混練して均一にした後、混合物の温度を140℃に下げ、硬化触媒(D)を加えてさらに溶融混練する。その後、150℃で2時間加熱し、170℃で2時間加熱し、さらに180℃で2時間加熱する。この一連の加熱操作により、本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させ、本発明の硬化物を得ることができる。
また、変法として、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、共重合体(C)および硬化触媒(D)を予めメチルエチルケトン等の溶媒に溶解し、80℃〜100℃に加熱して溶媒を蒸発させ、さらに、上記温度および上記時間で加熱して、本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させる方法も用いることができる。
容量1Lのガラス製セパラブルフラスコに、フェノール106gを入れ、オイルバスで105℃に加熱した。加熱後、三フッ化ホウ素フェノール錯体4g(触媒)を、加熱したフェノールに加えた。次いで、上記セパラブルフラスコに、ジシクロペンタジエン88gを、1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を145℃に昇温し、さらに5時間反応させた。反応終了後、反応液にハイドロタルサイト16.0g(触媒中和剤)を添加し、撹拌しながら30分かけて触媒を触媒中和剤に吸着させた。吸着後、反応液を濾過し、触媒を吸着した触媒中和剤を濾別した。濾別後、減圧下で、反応液を220℃まで昇温してフェノールを蒸留除去し、赤褐色のジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂を得た。
容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、インデン60g、無水マレイン酸35.9gおよびトルエン400gを加え、セパラブルフラスコ内容物を100℃に昇温した。次いで、上記セパラブルフラスコに、アゾビスイソブチロニトロル1.2gをトルエン30gに溶解した溶液を、30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を4時間反応させ、1晩放置して冷却した。冷却後、2Lのメタノール中に反応液を徐々に滴下して、再沈殿させた。沈殿物を濾別して、インデン無水マレイン酸共重合樹脂を得た。
得られたインデン無水マレイン酸共重合樹脂の酸無水物当量を、以下の測定方法に従って測定したところ、131g/当量であった。
〈硬化物の製造〉
上記のとおり合成したDCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a1[モル])、ノボラック型フェノール樹脂(PHENOLITE TD−2090,DIC社製;フェノール性水酸基当量105g/当量;以下「フェノールノボラック樹脂1」という場合がある)0.85g(フェノール性水酸基のモル数=b1[モル])、上記のとおり合成したIMA樹脂1 1.53g(酸無水物基のモル数=c1[モル])を混合して、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物1」という場合がある)を製造した〔a1:(b1+c1)=1.00:1.00,b1:c1=70:30〕。
熱硬化性樹脂組成物1をアルミ製カップに入れ、ホットプレートを用いて180℃に加熱し、ステンレス製スプーンを用いて均一に撹拌した。温度を140℃に下げて、2−メチルイミダゾール0.04g(硬化触媒)を加え、均一にした。その後、150℃で2時間、170℃で2時間、180℃で2時間加熱して、熱硬化性樹脂組成物1を硬化させ、硬化物(以下「熱硬化物1」という場合がある)を得た。
《耐熱性の評価方法》
耐熱性は、熱硬化性樹脂組成物1を上記加熱条件で加熱硬化して製造した測定用試料のガラス転移温度(Tg;単位℃)を測定することで評価した。評価結果を表1の該当欄に示す。
測定用試料は、厚み0.3mmに成形した硬化成形体を10mm×10mm角に切断した後、表面を紙やすりで研磨して、平滑にして製造した。
測定用試料のTgは、熱機械分析装置(TMA−50,島津製作所社製)を用いて、針入法(プローブ径=0.5mm)により、荷重1.0gの条件で、窒素雰囲気下、室温から250℃まで、10℃/分で昇温した時のTMA曲線を測定し、変曲点近傍の接線の交点として測定した。
誘電特性は、熱硬化性樹脂組成物1を上記加熱条件で加熱硬化し、加工して製造した測定用試料の比誘電率(εr;単位なし)を測定することで評価した。誘電率は評価結果を表1の該当欄に示す。
測定用試料は、厚み0.3mmに成形した硬化成形体を40mm×40mm角に切断した後、表面を紙やすりで研磨して、平滑にして製造した。
測定用試料のεrは、誘電率測定装置(AET社製)を用いて、同軸共振法により1GHzの共振周波数の条件で測定した。
表1には以下の形式で示した。
180℃において、エポキシ樹脂と硬化剤が均一に混ざり、その後の触媒添加と加熱処理によって硬化物が得られ、得られた硬化物を誘電特性の測定用試料に加工することができた、・・・・・・A
180℃において、エポキシ樹脂と硬化剤が不均一で混ざりにくく、その後の触媒添加と加熱処理によって硬化物が得られず、誘電特性の測定用試料への加工ができなかった・・・・・・X
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a2[モル])、フェノールノボラック樹脂1 1.03g(フェノール性水酸基のモル数=b2[モル])およびIMA樹脂1 0.79g(酸無水物基のモル数=c2[モル])を混合して、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物2」という場合がある)を製造した〔a2:(b2+c2)=1.00:1.00,b2:c2=85:15〕。
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a3[モル])、フェノールノボラック樹脂1 1.09g(フェノール性水酸基のモル数=b3[モル])およびIMA樹脂1 0.51g(酸無水物基のモル数=c3[モル])を混合して、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物3」という場合がある)を製造した〔a3:(b3+c3)=1.00:1.00,b3:c3=90:10〕。
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a4[モル])、フェノールノボラック樹脂1 1.15g(フェノール性水酸基のモル数=b4[モル])およびIMA樹脂1 0.25g(酸無水物基のモル数=c4[モル])を混合して、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物4」という場合がある)を製造した〔a4:(b4+c4)=1.00:1.00,b4:c4=95:5〕。
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a5[モル])、フェノールノボラック樹脂1 0.43g(フェノール性水酸基のモル数=b5[モル])およびIMA樹脂1 0.77g(酸無水物基のモル数=c5[モル])を混合して、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物5」という場合がある)を製造した〔a5:(b5+c5)=1.00:0.50,b5:c5=70:30〕。
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a6[モル])およびIMA樹脂1 5.11g(酸無水物基のモル数=c6[モル])を混合して、フェノールノボラック樹脂1は使用せず(フェノール性水酸基のモル数=b5[モル])、樹脂組成物(以下「樹脂組成物6」という場合がある)を製造した〔a6:(b6+c6)=1.00:1.00,b6:c6=0:100〕。
樹脂組成物6を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させようとしたが、硬化物を得ることができなかった。
硬化物の耐熱性および誘電特性の評価を行っていない。評価結果として「N.D.」(データなし)を表1の該当欄に示す。
成形性は、樹脂組成物6を用いて評価を行った。評価結果を表1の該当欄に示す。
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a7[モル])、フェノールノボラック樹脂1 0.61g(フェノール性水酸基のモル数=b7[モル])およびIMA樹脂1 2.56g(酸無水物基のモル数=c7[モル])を混合して、樹脂組成物(以下「樹脂組成物7」という場合がある)を製造した〔a7:(b7+c7)=1.00:1.00,b7:c7=50:50〕。
樹脂組成物6を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させようとしたが、硬化物を得ることができなかった。
硬化物の耐熱性および誘電特性の評価を行っていない。評価結果として「N.D.」(データなし)を表1の該当欄に示す。
成形性は、樹脂組成物7を用いて評価を行った。評価結果を表1の該当欄に示す。
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a8[モル])およびフェノールノボラック樹脂1 1.54g(フェノール性水酸基のモル数=b8[モル])を混合して、IMA樹脂1を使用せず(酸無水物基のモル数=c8[モル])、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物8」という場合がある)を製造した〔a8:(b8+c8)=1.00:1.27,b8:c8=100:0〕。
オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EPICLON(登録商標) N−673,DIC社製;エポキシ基当量205〜215g/当量;以下「OCNエポキシ樹脂1」という場合がある) 3.0g(エポキシ基のモル数=a9[モル])およびフェノールノボラック樹脂1 1.54g(フェノール性水酸基のモル数=b9[モル])を混合して、IMA樹脂1を使用せず(酸無水物基のモル数=c9[モル])、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物9」という場合がある)を製造した〔a9:(b9+c9)=1.00:1.00,b9:c9=100:0〕。
OCNエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a10[モル])、フェノールノボラック樹脂1 1.23g(フェノール性水酸基のモル数=b10[モル])およびIMA樹脂1 1.29g(酸無水物基のモル数=c10[モル])を混合して、樹脂組成物(以下「樹脂組成物10」という場合がある)を製造した〔a10:(b10+c10)=1.00:1.00,b10:c10=80:20〕。
樹脂組成物10を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させようとしたが、硬化物を得ることができなかった。
硬化物の耐熱性および誘電特性の評価を行っていない。評価結果として「N.D.」(データなし)を表1の該当欄に示す。
成形性は、樹脂組成物10を用いて評価を行った。評価結果を表1の該当欄に示す。
比較例1、2および5の樹脂組成物は、硬化物が得られなかったことから、ガラス転移温度、誘電特性を評価できなかった。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物は、耐熱性が高く、比誘電率が低く、伝送損失が少ないことから、高速大容量の通信機器向けの回路基板や半導体封止材等に用いることができる。
Claims (2)
- ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)、ノボラック型フェノール樹脂(B)、インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)および硬化触媒(D)を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
前記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数aと、前記ノボラック型フェノール樹脂(B)中のフェノール性水酸基のモル数bと、前記インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)中の酸無水物基のモル数cが下記の関係を満たす、熱硬化性樹脂組成物。
a:b+c=1.00:1.10〜1.00:0.45、かつ
b:c=96:4〜65:35 - 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物。
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