JP6764885B2 - 熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物に関する。
エポキシ樹脂をフェノール性水酸基、アミノ基または酸無水物基等を持つ化合物によって硬化して得られる硬化物は、強度、耐熱性および難燃性が優れることから、プリント配線基板および半導体封止材等の原料として用いられている。
近年、電子機器、特に、情報通信機器の分野においては、通信速度の高速化およびデータ処理の大容量化が進んでいることから、高速大容量の処理が求められる高周波回路では、伝送損失が少ない、誘電特性に優れた材料に対する需要が高まってきている。
また、従来、電子回路などの基板に電子部品を搭載するためには鉛と錫の合金であるはんだ(含鉛はんだ)が大量に使用されていた。しかし、鉛は人体に有害であり、環境負荷も高いことから、欧州連合ではパソコンおよびテレビ受像機など電気・電子機器への含鉛はんだの使用が原則として禁止され(RoHS)、さらに日本をはじめとする各国でも規制が進んでいる(J−MOSSなど)。そのため、含鉛はんだから、鉛を含まない鉛フリーはんだ(無鉛はんだ)への切り替えが進められているが、鉛フリーはんだは、合金の溶融温度がこれまでの含鉛はんだよりも高いため、はんだが接触する部材には、より高い耐熱性が要求されるようになった。
特開2001−240654号公報
しかし、従来、この分野で用いられてきた、クレゾールボラック型エポキシ樹脂またはフェノールノボラック型エポキシ樹脂をフェノールノボラック型硬化剤で硬化させた硬化物は、耐熱性は十分であるものの、要求に応えるだけの誘電特性を備えてはいなかった。
また、特許文献1には、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂をノボラック型フェノール樹脂で硬化した硬化物が開示されている(実施例)が、特許文献1に記載された硬化物は、従来の硬化物に比べて誘電特性が優れるが、耐熱性は高いものではなかった。
そこで、本発明は、耐熱性と誘電特性の両方に優れた硬化物を得ることができる熱硬化性樹脂組成物ならびにその硬化物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の硬化剤として、ノボラック型フェノール樹脂およびインデン類と無水マレイン酸類の共重合体を特定量用いると、耐熱性と誘電特性の両方に優れた硬化物を得ることができる熱硬化性樹脂組成物ならびにその硬化物を提供することができることを知得し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の[1]および[2]を提供する。
[1] ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)、ノボラック型フェノール樹脂(B)、インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)および硬化触媒(D)を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
前記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数aと、前記ノボラック型フェノール樹脂(B)中のフェノール性水酸基のモル数bと、前記インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(D)中の酸無水物基のモル数cが下記の関係を満たす、熱硬化性樹脂組成物。
a:b+c=1.00:1.10〜1.00:0.45、かつ
b:c=96:4〜65:35
[2] 上記[1]に記載の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物。
本発明によれば、耐熱性と誘電特性の両方に優れた硬化物を得ることができる熱硬化性樹脂組成物ならびにその硬化物を提供することができる。
本発明において、数量範囲を「〜」を用いて表現したときは、その数量範囲には「〜」の両側を含むものとする。
また、本発明において、数量範囲を「以下」または「以上」を用いて表現したときは、その数量範囲には基準となる数量を含むものとする。
また、本発明において、数量範囲を「未満」または「超」もしくは「超える」を用いて表現したときは、その数量範囲には基準となる数量を含まないものとする。
以下、本発明をより詳細に説明する。
[熱硬化性樹脂組成物]
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)、ノボラック型フェノール樹脂(B)、インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)および硬化触媒(D)を含有する熱硬化性樹脂組成物である。
ここで、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数aと、ノボラック型フェノール樹脂(B)中のフェノール性水酸基のモル数bと、インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)中の酸無水物基のモル数cは、下記の関係を満たす。
a:b+c=1.00:1.10〜1.00:0.45、かつ
b:c=96:4〜65:35
〈ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)〉
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)(以下、単に「エポキシ樹脂(A)」という場合がある)は、ジシクロペンタジエン類とフェノール類とを酸触媒の存在下で縮合させて得られるジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂である。
《ジシクロペンタジエン類》
エポキシ樹脂(A)を製造する際の原料として用いることができるジシクロペンタジエン類は、ジシクロペンタジエン骨格を有する有機化合物であれば特に限定されない。
上記ジシクロペンタジエン類として、例えば、ジシクロペンタジエン、1−メチルジシクロペンタジエン、2−メチルジシクロペンタジエン、2,3−ジメチルジシクロペンタジエン、2,3−ジヒドロキシジシクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンモノエポキシド、ビニルノルボルネンおよび5−エチリデンノルボルネンを挙げることができる。
これらのジシクロペンタジエン類は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて、エポキシ樹脂(A)の製造に用いることができる。ジシクロペンタジエン類を2種類以上組み合わせて用いるときは、2種類以上を混合物として用いてもよい。
上記ジシクロペンタジエン類の中では、入手が容易であり、かつ、最終的に得られる硬化物の誘電特性がより優れたものとなることから、ジシクロペンタジエンが好ましい。
《フェノール類》
エポキシ樹脂(A)を製造する際の原料として用いることができるフェノール類は、フェノールまたはその誘導体であれば特に限定されない。
上記フェノール類として、例えば、オルトクレゾール(2−メチルフェノール)、メタクレゾール(3−メチルフェノール)、パラクレゾール(4−メチルフェノール)、フェノール、2,6−キシレノール(2,3−ジメチルフェノール)、3,5−キシレノール(3,5−ジメチルフェノール)その他のアルキル置換フェノール類、αナフトール、βナフトールその他のアルキル置換ナフトール類およびフェノールを挙げることができる。
これらのフェノール類は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて、エポキシ樹脂(A)の製造に用いることができる。フェノール類を2種類以上組み合わせて用いるときは、2種類以上を混合物として用いてもよい。
上記フェノール類の中では、入手が容易であり、かつ、安価であることから、フェノール、オルトクレゾール、メタクレゾールおよびパラクレゾールからなる群から選択される1種類以上が好ましく、フェノールがより好ましい。
《エポキシ樹脂(A)の製造方法》
(ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂の製造)
ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂の製造方法は、特に制限されないが、一例として次の方法で製造することができる。
ジシクロペンタジエン類に対し、過剰モル量のフェノール類を反応容器に仕込み、これに酸触媒を加えて、50℃から150℃の範囲に加熱する。加熱後、反応容器内の混合物にジシクロペンタジエン類を少量ずつ滴下して反応させる。反応後、反応混合物から過剰のフェノール類を減圧蒸留等により除去し、得られた樹脂を、加熱溶融した状態で回収する。
上記酸触媒は、特に限定されないが、例えば、三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素エーテル錯体その他のルイス酸、または硫酸、塩酸、パラトルエンスルホンその他のプロトン酸である。上記酸触媒の中では、生成物の着色が少なく、かつ、副生成物が生じにくいことから、三フッ化ホウ素フェノール錯体または三フッ化ホウ素エーテル錯体が好ましい。
反応終了後には、反応混合物に中和剤を添加し、酸触媒を中和して失活させることが好ましい。また、中和後の生成物中の酸触媒残渣は、濾過または水洗によって生成物から除去することが好ましい。
上記中和剤は、使用する酸触媒に応じて適宜選択することができるが、例えば、酸触媒として三フッ化ホウ素フェノール錯体を用いた場合は、ハイドロタルサイトその他の層状無機物を用いることができ、酸触媒としてパラトルエンスルホン酸を用いた場合は、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウムその他のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物または塩を用いることできる。ハイドロタルサイトは、酸触媒を中和することができるだけでなく、吸着することもできるので好ましく、水酸化ナトリウムおよび炭酸カルシウムは安価であるので好ましい。
(ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化)
ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化方法は、特に限定されないが、一例として次の方法でエポキシ化することができる。
ジメチルスルホキシド等の極性溶媒中で、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、エピクロロヒドリンおよび水酸化ナトリウムを反応させてエポキシ化反応を行う。反応後、溶媒および過剰のエピクロロヒドリンを蒸留除去し、残渣にメチルエチルケトン等の抽出溶媒を加え、さらに、イオン交換水で数回洗浄し、生成した塩化ナトリウムを除去した後、溶媒のメチルエチルケトンを蒸留除去することにより、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物、すなわち、エポキシ樹脂(A)を得ることができる。
《エポキシ樹脂(A)の平均分子量》
エポキシ樹脂(A)の平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量(ポリスチレン換算)で、好ましくは100〜10000であり、より好ましくは300〜5000である。重量平均分子量がこの範囲内であると、耐熱性がより優れたものとなり、かつ、加熱時に粘度が高くなり過ぎず成形性がより優れたものとなる。
なお、上記エポキシ樹脂(A)の重量平均分子量は、以下の条件でGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定したものである。
GPC条件:
カラム Shodex(登録商標) KF−801、KF−802.5、KF−802.5、KF−803(昭和電工社製)
ガードカラム Shodex KF−801(昭和電工社製)
連結溶離液 テトラヒドロフラン
流速 0.8L/min.
カラム温度 40℃
検出 示差屈折(RI)検出器(Refractive Index Detector)
標準物質 ポリスチレン
〈ノボラック型フェノール樹脂(B)〉
上記ノボラック型フェノール樹脂(B)(以下、単に「フェノール樹脂(B)」という場合がある)は、フェノール類とホルムアルデヒド類とを酸触媒の存在下で縮合させて得られるフェノール樹脂である。
《フェノール類》
フェノール樹脂(B)を製造する際の原料として用いることができるフェノール類は、フェノールまたはその誘導体であれば特に限定されない。
上記フェノール類として、例えば、オルトクレゾール(2−メチルフェノール)、メタクレゾール(3−メチルフェノール)、パラクレゾール(4−メチルフェノール)、フェノール、2,6−キシレノール(2,3−ジメチルフェノール)、3,5−キシレノール(3,5−ジメチルフェノール)その他のアルキル置換フェノール類、αナフトール、βナフトールその他のアルキル置換ナフトール類およびフェノールを挙げることができる。
これらのフェノール類は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせて、フェノール樹脂(B)の製造に用いることができる。フェノール類を2種類以上組み合わせて用いるときは、2種類以上を混合物として用いてもよい。
上記フェノール類の中では、入手が容易であり、かつ、安価であることから、フェノール、オルトクレゾール、メタクレゾールおよびパラクレゾールからなる群から選択される1種類以上が好ましく、フェノールがより好ましい。
《ホルムアルデヒド類》
フェノール樹脂(B)を製造する際の原料として用いることができるホルムアルデヒド類は、例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン(ホルムアルデヒドの水溶液)およびパラホルムアルデヒド(ホルムアルデヒドの重合体(固体))が挙げられる。
これらのホルムアルデヒド類は、1種類を単独で、または2種類以上を組み合わせてフェノール樹脂(B)の製造に用いることができる。ホルムアルデヒド類を2種類以上組み合わせて用いるときは、2種類以上を混合物として用いてもよい。
《酸触媒》
フェノール樹脂(B)を製造する際の原料として用いることができる酸触媒は、特に限定されないが、入手が容易であり、かつ、安価であることから、パラトルエンスルホン酸、硫酸およびシュウ酸からなる群から選択される少なくとも1種類が好ましい。
《市販のフェノール樹脂(B)》
フェノール樹脂(B)は、合成してもよいが、市販品を購入することもできる。
このような市販品として、例えば、PHENOLITE(登録商標) TD−2131(104g/当量)、TD−2106(104g/当量)、TD−2093(104g/当量)およびTD−2090(105g/当量)等のフェノールノボラック樹脂、ならびにPHENOLITE KA−1160(117g/当量)、KA−1163(118g/当量)およびKA−1165(119g/当量)等のクレゾールノボラック樹脂を挙げることができる(いずれもDIC社製;括弧内にはフェノール水酸基当量を記載した)。
〈インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)〉
インデン類と無水マレイン酸の共重合体(C)(以下、単に「共重合体(C)」という場合がある)は、溶媒を用いて(溶媒中で)、または溶媒を用いないで、触媒またはラジカル開始剤の存在下、インデン類と無水マレイン酸類とを加熱し、重合させて得られる共重合体である。
《インデン類》
上記インデン類は、二重結合を有し、インデン骨格を有する化合物であれば、特に限定されず、例えば、インデン、インデンの1つ以上の水素原子にメチル基、エチル基、t−ブチル基その他のアルキル基が置換したアルキル置換インデン、インデンの1つ以上の水素原子にフェニル基、ナフチル基その他のアリール基が置換したアリール置換インデン、インデンの2つ以上の水素原子にアルキル基およびアリール基が置換したアルキル/アリール置換インデンが挙げられる。
上記アルキル置換インデンの具体例として、1−メチルインデン、2−メチルインデン、3−メチルインデン、4−メチルインデン、5−メチルインデン、6−メチルインデン、7−メチルインデン、1−エチルインデン、2−エチルインデン、3−エチルインデン、4−エチルインデン、5−エチルインデン、6−エチルインデン、7−エチルインデン、1−nプロピルインデン、2−nプロピルインデン、3−nプロピルインデン、4−nプロピルインデン、5−nプロピルインデン、6−nプロピルインデン、7−nプロピルインデン、1−イソプロピルインデン、2−イソプロピルインデン、3−イソプロピルインデン、4−イソプロピルインデン、5−イソプロピルインデン、6−イソプロピルインデン、7−イソプロピルインデン、1−t−ブチルインデン、2−t−ブチルインデン、3−t−ブチルインデン、4−t−ブチルインデン、5−t−ブチルインデン、6−t−ブチルインデンおよび7−t−ブチルインデンが挙げられる。
また、上記アリール置換インデンの具体例として、1−フェニルインデン、2−フェニルインデン、3−フェニルインデン、4−フェニルインデン、5−フェニルインデン、6−フェニルインデン、1−ナフチルインデン、2−ナフチルインデン、3−ナフチルインデン、4−ナフチルインデン、5−ナフチルインデン、6−ナフチルインデンおよび7−ナフチルインデンが挙げられる。
上記インデン類の中でも、入手が容易であることから、インデンおよびメチルインデン(インデンの水素原子の1つにメチル基が置換したアルキル置換インデン)が好ましく、さらに、得られる硬化物の誘電特性がより優れたものとなることから、メチルインデン類がより好ましい。
《無水マレイン酸類》
上記無水マレイン酸類は、下記式(1)で表される、酸無水物基を含む五員環に重合性の炭素−炭素二重結合を含む構造を分子構造中に有する酸無水物であれば特に限定されないが、好ましくは下記式(2)で表される化合物である。
上記式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基およびアリール基からなる群から選択される基である。また、上記RおよびRは、結合して、5〜8員の炭素環を形成してもよい。さらに、上記アルキル基、アルケニル基、アルキニル基およびアリール基は、水素原子の1つ以上にアルキル基および/またはアリール基が置換してもよい。
上記RおよびRは、好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基からなる群から選択される基であり、より好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、メチル基およびエチル基からなる群から選択される基である。
上記無水マレイン酸類の具体例として、無水マレイン酸、無水マレイン酸の水素原子の1つ以上にアルキル基および/またはアリール基が置換した置換無水マレイン酸、1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ならびに1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物の水素原子の1つ以上にアルキル基および/またはアリール基が置換した置換1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物を挙げることができる。
上記無水マレイン酸類は、より好ましくは、無水マレイン酸または1−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物であり、さらに好ましくは、無水マレイン酸である。
《インデン類と無水マレイン酸類との重合反応》
重合反応の形態は、ラジカル重合、カチオン重合およびアニオン重合のいずれを用いてもよいが、反応速度が早く、かつ、副生物の生成が少ない点で、ラジカル重合を用いることが好ましい。ラジカル重合では、ラジカル開始剤を用いなければ重合反応が進行しないわけではないが、反応速度が速くなることから、ラジカル開始剤を用いることが好ましい。
上記ラジカル開始剤は特に限定されないが、例えば、各種アゾ化合物、各種過酸化物、各種酸化剤と還元剤の組み合わせ(レドックス開始剤)からなる混合物およびジハロゲンを挙げることができる。
上記ラジカル開始剤の中では、常温で比較的安定で取扱い容易であり、かつ、反応性が高いことから、アゾビスイソブチルニトリルまたはベンゾイルパーオキサイドが好ましい。
共重合体(B)の製造時のインデン類と無水マレイン酸の重合反応の際の加熱温度は、特に限定されないが、好ましくは0℃〜200℃であり、より好ましくは20℃〜180℃であり、さらに好ましくは40℃〜160℃である。上記加熱温度がこの範囲内であると、反応速度が速いことから生産性がより良好なものとなり、かつ、重合度が高くなり過ぎないことから反応容器から生成物を回収することがより容易なものとなる。
共重合体(B)の製造時のインデン類と無水マレイン酸の重合反応の際に溶媒を用いる場合の溶媒は、特に限定されないが、入手が容易であることから、ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンからなる群から選択される少なくとも1種類が好ましい。
《共重合体(C)の平均分子量》
共重合体(C)の平均分子量は、特に限定されないが、重量平均分子量(ポリスチレン換算)で、好ましくは100〜100000であり、より好ましくは300〜50000である。重量平均分子量がこの範囲内であると、耐熱性がより優れたものとなり、かつ、加熱時に粘度が高くなり過ぎず成形性がより優れたものとなる。
なお、上記共重合体(C)の重量平均分子量は、以下の条件でGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定したものである。
GPC条件:
カラム Shodex KF−801、KF−802.5、KF−802.5、KF−803
ガードカラム Shodex KF−801
連結溶離液 テトラヒドロフラン
流速 0.8L/min.
カラム温度 40℃
検出 示差屈折(RI)検出器(Refractive Index Detector)
標準物質 ポリスチレン
〈硬化触媒(D)〉
硬化触媒(D)は、エポキシ樹脂(A)と、硬化剤であるフェノール樹脂(B)および共重合体(C)との硬化反応を触媒する化合物である。
上記硬化触媒(D)として、例えば、有機リン系化合物、4級ホスホニウム塩類、イミダゾール類、有機金属化合物、無機金属化合物、3級アミン類、ジアザビシクロアルケン類、4級アンモニウム類、ホウ素化合物および金属ハロゲン化物を挙げることができる。
上記有機リン系化合物の具体例としては、トリフェニルホスフィン、トリパラトリルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、エチルトリフェニルホスヒホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、1,4−ビスジフェニルホスフィノブタンおよびテトラフェニルホスホニウムテトラ−p−トリルボレートが挙げられる。
上記4級ホスホニウム塩類の具体例としては、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムヨーダイド、エチルトリフェニルホスホニウムアセテート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート、テトラブチルホスホニウムジエチルホスホジチオネート、テトラ−n−ブチルホスホニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルホスホニウムテトラフェニルボレートおよびテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートが挙げられる。
上記イミダゾール類の具体例としては、2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、および2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物が挙げられる。
上記ジアザビシクロアルケン類の具体例としては、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7およびその有機酸塩が挙げられる。
上記4級アンモニウム塩類の具体例としては、テトラエチルアンモニウムブロマイドおよびテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイドが挙げられる。
上記ホウ素化合物の具体例としては、三フッ化ホウ素およびホウ酸トリフェニルが挙げられる。
上記金属ハロゲン化合物の具体例としては、塩化亜鉛および塩化第二錫が挙げられる。
硬化反応の際の硬化触媒(D)の使用量(質量)は、本発明の効果を損なわない範囲であれば適宜設定することができるが、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)および共重合体(C)の合計量(質量)に対して、好ましくは0.001質量%〜20質量%であり、より好ましくは0.01質量%〜10質量%であり、さらに好ましくは0.05質量%〜5質量%である。酸化触媒(D)の使用量がこの範囲内であると、硬化速度が速く、生産性がより良好であり、かつ、耐熱性および誘電特性に優れた硬化物を得ることができる。
〈a,b,c〉
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数aと、フェノール樹脂(B)中のフェノール性水酸基のモル数bと、共重合体(C)中の酸無水物基のモル数cが、以下の関係(1)および関係(2)を満たすように、各成分を配合する。
・関係(1)
a:b+c=1.00:1.10〜1.00:0.45、好ましくはa:b+c=1.00:1.00〜1.00:0.50
a:b+cが上記範囲内であると、得られる硬化物の強度が十分に高くなる。
aと(b+c)の比の値〔a/(b+c)〕が0.45/1.00未満であると、得られる硬化物の耐熱性が不十分となり、1.00/1.10超であると、得られる硬化物の誘電性能が不十分となる。
・関係(2)
b:c=96:4〜65:35、好ましくはb:c=95:5〜70:30
b:cが上記範囲内であると、得られる硬化物の誘電特性および耐熱性を両立することができる。
bとcの比の値〔b/c〕が96/4超であると、得られる硬化物の誘電性能が不十分となり、65/35未満であると、得られる硬化物の成形性が不十分となる。
《エポキシ基のモル数・エポキシ当量》
エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数は、例えば、JIS K 7236:2009「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に従って、エポキシ当量を求め測定することができる。すなわち、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含む質量であり、この値から、単位質量に含まれるエポキシ基のモル数を求めることができる。
《フェノール性水酸基のモル数・フェノール性水酸基当量》
フェノール性水酸基当量:ビスフェノールF(本州化学工業株式会社製、商品名:BPF−D)を5mg/L、20mg/L又は50mg/L含有するテトラヒドロフラン溶液を50mL作成し、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド10%水溶液を20μL添加混合した後、UVスペクトルを測定し、305nmの吸光度により検量線を作成した。実施例及び比較例のサンプルを0.1g秤量し、テトラヒドロフラン50mLに溶解(希釈倍率:500倍)させて、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド10%水溶液を20μL添加混合した後、UVスペクトルを測定し、305nmの吸光度からビスフェノールFに由来するフェノール性水酸基当量(POHE)を下記の数式にて算出した。
POHE={(m×k)/(c×d)}×10
ただし、式中、m、k、cおよびdは以下に示すものである。
m:試料採取量(g)
k:ビスフェノールFのグラム当量、100(g/当量)
c:検量線濃度(mg/L)
d:試料溶液の希釈倍率、500(mL)
《酸無水物基のモル数・酸無水物基当量》
共重合体(C)中の酸無水物基のモル数は、例えば、IRスペクトルの吸光度を測定し、単位質量に含まれる酸無水物基のモル数を求めることができる。すなわち、予め、種々の配合割合でインデン類と無水マレイン酸類の混合物を作成し、各配合のIRスペクトルの吸光度を測定する。これらのIRスペクトルについて、無水マレイン酸類に含まれるC=O結合に起因する1785cm−1のピーク強度とインデン類および無水マレイン酸類に含まれるC−H結合に起因する2800〜3000cm−1のピーク強度との比R〔R=1785cm−1のピーク強度/2800〜3000cm−1のピーク強度〕を求め、無水マレイン酸類の物質量(モル)とインデン類および無水マレイン酸類の合計物質量(モル)の比L〔L=無水マレイン酸類の物質量(モル)/インデン類および無水マレイン酸類の合計物質量(モル)〕に関する検量線を作成する。次に、共重合体(C)のIRスペクトルを測定し、Rを求め、検量線からLを算出することで、単位質量あたりの酸無水物基のモル数を求めることができる。
〈その他含有してもよい成分〉
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で様々な無機充填剤および/または各種添加剤を配合することができる。
使用できる無機充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、窒化ケイ素、炭化ケイ素、タルク、マイカ、ガラス繊維および炭素繊維が挙げられる。無機充填剤を配合する場合、熱膨張が低く熱伝導性に優れることから、シリカが好ましい。
使用できる各種添加剤としては、例えば、脂肪酸およびワックス等の離形剤、ならびに臭素系難燃剤、りん系難燃剤およびアンチモン系難燃助剤等の難燃剤・難燃助剤が挙げられる。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上述した本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物である。
より具体的には、本発明の熱硬化性樹脂組成物を加圧または非加圧下で、常圧または減圧下に加熱硬化することで、本発明の硬化物を得ることができる。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化する方法は、特に限定されないが、例えば、以下のようにすることができる。
150℃〜200℃の温度で、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)および共重合体(C)を溶融混練して均一にした後、混合物の温度を140℃に下げ、硬化触媒(D)を加えてさらに溶融混練する。その後、150℃で2時間加熱し、170℃で2時間加熱し、さらに180℃で2時間加熱する。この一連の加熱操作により、本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させ、本発明の硬化物を得ることができる。
また、変法として、エポキシ樹脂(A)、フェノール樹脂(B)、共重合体(C)および硬化触媒(D)を予めメチルエチルケトン等の溶媒に溶解し、80℃〜100℃に加熱して溶媒を蒸発させ、さらに、上記温度および上記時間で加熱して、本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化させる方法も用いることができる。
以下に、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、本実施例に限定されるものではない。
[ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の合成]
容量1Lのガラス製セパラブルフラスコに、フェノール106gを入れ、オイルバスで105℃に加熱した。加熱後、三フッ化ホウ素フェノール錯体4g(触媒)を、加熱したフェノールに加えた。次いで、上記セパラブルフラスコに、ジシクロペンタジエン88gを、1時間かけて滴下した。滴下終了後、反応液を145℃に昇温し、さらに5時間反応させた。反応終了後、反応液にハイドロタルサイト16.0g(触媒中和剤)を添加し、撹拌しながら30分かけて触媒を触媒中和剤に吸着させた。吸着後、反応液を濾過し、触媒を吸着した触媒中和剤を濾別した。濾別後、減圧下で、反応液を220℃まで昇温してフェノールを蒸留除去し、赤褐色のジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂を得た。
容量500mLの4つ口フラスコに、得られたジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂25g、クロロメチルオキシラン(エピクロロヒドリン)51.4gおよびジメチルスルホキシド30gを入れ、40℃に加熱した。加熱後、上記4つ口フラスコに、水酸化ナトリウムを1.0gずつ、10分間隔で6回、合計6.0gを添加した。次いで、反応液を50℃で1時間反応させた後、70℃に昇温し、さらに1時間反応させた。反応終了後、反応液を130℃に加熱し、減圧下で、過剰のクロロメチルオキシラン(エピクロロヒドリン)を1時間かけて蒸留除去した。除去後、反応液にメチルイソブチルケトンを400g加え、70℃で1時間反応させた。反応液を分液ロートに移し、蒸留水200mLを加えて良く振り混ぜ、静置した。分液ロート内容物が有機層と水層に分離してから、水層を除去した。分液ロートに再び蒸留水200mLを加え、良く振り混ぜ、静置して有機層と水層に分離させ、水槽を除去する操作を、水層が中性になるまで繰り返し行った。水層が中性になった後、有機層をナスフラスコに移し、エバポレーターを用いて、バス温70℃でメチルエチルケトンを蒸留除去し、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物を得た。
得られたジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物のエポキシ当量を、JIS K 7236:2009「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に従って測定した結果、260g/当量であった。
以下、得られたジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のエポキシ化物を「DCPDエポキシ樹脂1」という場合がある。
[インデン無水マレイン酸共重合樹脂の合成]
容量1リットルのガラス製セパラブルフラスコに、インデン60g、無水マレイン酸35.9gおよびトルエン400gを加え、セパラブルフラスコ内容物を100℃に昇温した。次いで、上記セパラブルフラスコに、アゾビスイソブチロニトロル1.2gをトルエン30gに溶解した溶液を、30分かけて滴下した。滴下終了後、反応液を4時間反応させ、1晩放置して冷却した。冷却後、2Lのメタノール中に反応液を徐々に滴下して、再沈殿させた。沈殿物を濾別して、インデン無水マレイン酸共重合樹脂を得た。
得られたインデン無水マレイン酸共重合樹脂の酸無水物当量を、以下の測定方法に従って測定したところ、131g/当量であった。
予め、種々の配合割合でインデンと無水マレイン酸の混合物を作成し、各配合のIRスペクトルの吸光度を測定した。これらのIRスペクトルについて、無水マレイン酸に含まれるC=O結合に起因する1785cm−1のピーク強度とインデンおよび無水マレイン酸に含まれるC−H結合に起因する2800〜3000cm−1のピーク強度の比の値R〔R=1785cm−1のピーク強/2800〜3000cm−1のピーク強度〕と無水マレイン酸の物質量(モル)とインデンおよび無水マレイン酸の合計物質量(モル)の比の値L〔L=無水マレイン酸の物質量(モル)/インデンおよび無水マレイン酸の合計物質量(モル)〕に関する検量線を作成した。次に、インデン無水マレイン酸共重合樹脂のIRスペクトルを測定し、Rを求め、検量線からLを算出し、1当量の酸無水物基を含む樹脂の質量を求めた。
以下、得られたインデン無水マレイン酸共重合樹脂を「IMA樹脂1」という場合がある。
[実施例1]
〈硬化物の製造〉
上記のとおり合成したDCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a[モル])、ノボラック型フェノール樹脂(PHENOLITE TD−2090,DIC社製;フェノール性水酸基当量105g/当量;以下「フェノールノボラック樹脂1」という場合がある)0.85g(フェノール性水酸基のモル数=b[モル])、上記のとおり合成したIMA樹脂1 1.53g(酸無水物基のモル数=c[モル])を混合して、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物1」という場合がある)を製造した〔a:(b+c)=1.00:1.00,b:c=70:30〕。
熱硬化性樹脂組成物1をアルミ製カップに入れ、ホットプレートを用いて180℃に加熱し、ステンレス製スプーンを用いて均一に撹拌した。温度を140℃に下げて、2−メチルイミダゾール0.04g(硬化触媒)を加え、均一にした。その後、150℃で2時間、170℃で2時間、180℃で2時間加熱して、熱硬化性樹脂組成物1を硬化させ、硬化物(以下「熱硬化物1」という場合がある)を得た。
〈硬化物の耐熱性および誘電特性の評価〉
《耐熱性の評価方法》
耐熱性は、熱硬化性樹脂組成物1を上記加熱条件で加熱硬化して製造した測定用試料のガラス転移温度(Tg;単位℃)を測定することで評価した。評価結果を表1の該当欄に示す。
測定用試料は、厚み0.3mmに成形した硬化成形体を10mm×10mm角に切断した後、表面を紙やすりで研磨して、平滑にして製造した。
測定用試料のTgは、熱機械分析装置(TMA−50,島津製作所社製)を用いて、針入法(プローブ径=0.5mm)により、荷重1.0gの条件で、窒素雰囲気下、室温から250℃まで、10℃/分で昇温した時のTMA曲線を測定し、変曲点近傍の接線の交点として測定した。
《誘電特性の評価方法》
誘電特性は、熱硬化性樹脂組成物1を上記加熱条件で加熱硬化し、加工して製造した測定用試料の比誘電率(ε;単位なし)を測定することで評価した。誘電率は評価結果を表1の該当欄に示す。
測定用試料は、厚み0.3mmに成形した硬化成形体を40mm×40mm角に切断した後、表面を紙やすりで研磨して、平滑にして製造した。
測定用試料のεは、誘電率測定装置(AET社製)を用いて、同軸共振法により1GHzの共振周波数の条件で測定した。
〈硬化物の成形性の評価方法〉
表1には以下の形式で示した。
180℃において、エポキシ樹脂と硬化剤が均一に混ざり、その後の触媒添加と加熱処理によって硬化物が得られ、得られた硬化物を誘電特性の測定用試料に加工することができた、・・・・・・A
180℃において、エポキシ樹脂と硬化剤が不均一で混ざりにくく、その後の触媒添加と加熱処理によって硬化物が得られず、誘電特性の測定用試料への加工ができなかった・・・・・・X
[実施例2]
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a[モル])、フェノールノボラック樹脂1 1.03g(フェノール性水酸基のモル数=b[モル])およびIMA樹脂1 0.79g(酸無水物基のモル数=c[モル])を混合して、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物2」という場合がある)を製造した〔a:(b+c)=1.00:1.00,b:c=85:15〕。
熱硬化性樹脂組成物2を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させて、硬化物(以下「硬化物2」という場合がある)を得た。
実施例1に記載した評価方法により、熱硬化性樹脂組成物2の硬化物の耐熱性、誘電特性および成形性を評価した。評価結果を表1の該当欄にそれぞれ示す。
[実施例3]
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a[モル])、フェノールノボラック樹脂1 1.09g(フェノール性水酸基のモル数=b[モル])およびIMA樹脂1 0.51g(酸無水物基のモル数=c[モル])を混合して、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物3」という場合がある)を製造した〔a:(b+c)=1.00:1.00,b:c=90:10〕。
熱硬化性樹脂組成物3を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させて、硬化物(以下「硬化物3」という場合がある)を得た。
実施例1に記載した評価方法により、熱硬化性樹脂組成物3の硬化物の耐熱性、誘電特性および成形性を評価した。評価結果を表1の該当欄にそれぞれ示す。
[実施例4]
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a[モル])、フェノールノボラック樹脂1 1.15g(フェノール性水酸基のモル数=b[モル])およびIMA樹脂1 0.25g(酸無水物基のモル数=c[モル])を混合して、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物4」という場合がある)を製造した〔a:(b+c)=1.00:1.00,b:c=95:5〕。
熱硬化性樹脂組成物4を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させて、硬化物(以下「硬化物4」という場合がある)を得た。
実施例1に記載した評価方法により、熱硬化性樹脂組成物4の硬化物の耐熱性、誘電特性および成形性を評価した。評価結果を表1の該当欄にそれぞれ示す。
[実施例5]
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a[モル])、フェノールノボラック樹脂1 0.43g(フェノール性水酸基のモル数=b[モル])およびIMA樹脂1 0.77g(酸無水物基のモル数=c[モル])を混合して、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物5」という場合がある)を製造した〔a:(b+c)=1.00:0.50,b:c=70:30〕。
熱硬化性樹脂組成物5を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させて、硬化物(以下「硬化物5」という場合がある)を得た。
実施例1に記載した評価方法により、熱硬化性樹脂組成物5の硬化物の耐熱性、誘電特性および成形性を評価した。評価結果を表1の該当欄にそれぞれ示す。
[比較例1]
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a[モル])およびIMA樹脂1 5.11g(酸無水物基のモル数=c[モル])を混合して、フェノールノボラック樹脂1は使用せず(フェノール性水酸基のモル数=b[モル])、樹脂組成物(以下「樹脂組成物6」という場合がある)を製造した〔a:(b+c)=1.00:1.00,b:c=0:100〕。
樹脂組成物6を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させようとしたが、硬化物を得ることができなかった。
硬化物の耐熱性および誘電特性の評価を行っていない。評価結果として「N.D.」(データなし)を表1の該当欄に示す。
成形性は、樹脂組成物6を用いて評価を行った。評価結果を表1の該当欄に示す。
[比較例2]
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a[モル])、フェノールノボラック樹脂1 0.61g(フェノール性水酸基のモル数=b[モル])およびIMA樹脂1 2.56g(酸無水物基のモル数=c[モル])を混合して、樹脂組成物(以下「樹脂組成物7」という場合がある)を製造した〔a:(b+c)=1.00:1.00,b:c=50:50〕。
樹脂組成物6を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させようとしたが、硬化物を得ることができなかった。
硬化物の耐熱性および誘電特性の評価を行っていない。評価結果として「N.D.」(データなし)を表1の該当欄に示す。
成形性は、樹脂組成物7を用いて評価を行った。評価結果を表1の該当欄に示す。
[比較例3]
DCPDエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a[モル])およびフェノールノボラック樹脂1 1.54g(フェノール性水酸基のモル数=b[モル])を混合して、IMA樹脂1を使用せず(酸無水物基のモル数=c[モル])、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物8」という場合がある)を製造した〔a:(b+c)=1.00:1.27,b:c=100:0〕。
熱硬化性樹脂組成物8を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させて、硬化物(以下「硬化物8」という場合がある)を得た。
実施例1に記載した評価方法により、熱硬化性樹脂組成物8の硬化物の耐熱性、誘電特性および成形性を評価した。評価結果を表1の該当欄にそれぞれ示す。
[比較例4]
オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EPICLON(登録商標) N−673,DIC社製;エポキシ基当量205〜215g/当量;以下「OCNエポキシ樹脂1」という場合がある) 3.0g(エポキシ基のモル数=a[モル])およびフェノールノボラック樹脂1 1.54g(フェノール性水酸基のモル数=b[モル])を混合して、IMA樹脂1を使用せず(酸無水物基のモル数=c[モル])、熱硬化性樹脂組成物(以下「熱硬化性樹脂組成物9」という場合がある)を製造した〔a:(b+c)=1.00:1.00,b:c=100:0〕。
熱硬化性樹脂組成物9を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させて、硬化物(以下「硬化物9」という場合がある)を得た。
実施例1に記載した評価方法により、熱硬化性樹脂組成物9の硬化物の耐熱性、誘電特性および成形性を評価した。評価結果を表1の該当欄にそれぞれ示す。
[比較例5]
OCNエポキシ樹脂1 3.0g(エポキシ基のモル数=a10[モル])、フェノールノボラック樹脂1 1.23g(フェノール性水酸基のモル数=b10[モル])およびIMA樹脂1 1.29g(酸無水物基のモル数=c10[モル])を混合して、樹脂組成物(以下「樹脂組成物10」という場合がある)を製造した〔a10:(b10+c10)=1.00:1.00,b10:c10=80:20〕。
樹脂組成物10を実施例1に記載した加熱条件で熱硬化させようとしたが、硬化物を得ることができなかった。
硬化物の耐熱性および誘電特性の評価を行っていない。評価結果として「N.D.」(データなし)を表1の該当欄に示す。
成形性は、樹脂組成物10を用いて評価を行った。評価結果を表1の該当欄に示す。

実施例1〜5の熱硬化性樹脂組成物は、高いガラス転移温度と低い誘電率を合わせもつ硬化物が得られた。これに対し、比較例3の組成物は、ガラス転移温度が低く、比較例4の組成物は、比誘電率の高い硬化物であった。
比較例1、2および5の樹脂組成物は、硬化物が得られなかったことから、ガラス転移温度、誘電特性を評価できなかった。
本発明の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物は、耐熱性が高く、比誘電率が低く、伝送損失が少ないことから、高速大容量の通信機器向けの回路基板や半導体封止材等に用いることができる。

Claims (2)

  1. ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)、ノボラック型フェノール樹脂(B)、インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)および硬化触媒(D)を含有する熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(A)中のエポキシ基のモル数aと、前記ノボラック型フェノール樹脂(B)中のフェノール性水酸基のモル数bと、前記インデン類と無水マレイン酸類との共重合体(C)中の酸無水物基のモル数cが下記の関係を満たす、熱硬化性樹脂組成物。
    a:b+c=1.00:1.10〜1.00:0.45、かつ
    b:c=96:4〜65:35
  2. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物を加熱硬化して得られる硬化物。
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