JP5824271B2 - 包装用容器 - Google Patents
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Description
特に、3倍以上の発泡倍率を有する耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートは、軽量性に優れ、しかも、優れた断熱性能を有することから、熱い食材を収容させる容器に使用したり、収容した食材を電子レンジで加熱するための容器などに使用したりした場合でも容器が熱くなり難くこの種の用途に好適なものである。
しかし、一般にポリスチレン系樹脂は、汎用の樹脂の中では、耐油性、耐溶剤性が比較的低いことから、このような特性が求められる用途においては、ポリスチレン系樹脂発泡シートの一面側、又は、両面側にポリスチレン系樹脂よりも耐油性や耐溶剤性に優れたポリオレフィン系樹脂フィルムを積層して積層シートの形態で利用されたりしている(下記特許文献1参照)。
なお、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とは相溶性が低く、ポリスチレン系樹脂発泡シートとポリオレフィン系樹脂フィルムとを熱ラミネートのような積層方法で直接積層させることが難しいことから、上記のような積層シートを形成させるのに際しては、ポリオレフィン系樹脂フィルムとポリスチレン系樹脂フィルムとを接着剤で貼り合わせ、片面側を前記ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる層で構成させ、他面側を前記ポリスチレン系樹脂フィルムからなる層で構成させたドライラミネートフィルムと呼ばれる複合樹脂フィルムが用いられている。
近年の資源消費の削減に対する要望から合成樹脂製品をリサイクルする試みが広くなされており、前記トリミングロスについてもその有効利用が求められている。
このマテリアルリサイクルにおいては、樹脂成形品を製造する過程において生じる端材や使用済みの樹脂成形品等を原料とした再生樹脂をこの樹脂成形品と同じ製品にリサイクルすることが望ましいが、一般には再生樹脂は異物の混入などによってバージン材よりも特性が低いことからマテリアルリサイクルされる場合でも、多くは凝木や植木鉢などの低品位な製品に利用されている。
特に、前記トリミングロスを再び耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートに使用しようとして、この耐熱性ポリスチレン系樹脂シートを3倍以上にまで発泡させた場合には、該耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートと前記複合樹脂フィルムとの接着性が低くなるおそれがあり、複合樹脂フィルムと耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートとの境界面に泡状の部分的な剥離を生じ易くなるため前記トリミングロスは耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートなどの発泡成形品に再利用されていない。
さらに、通常、このような積層シートは二次発泡性能が低く、加熱厚み変化が1.5倍未満となるために良好な熱成形を行うことが困難である。
したがって、このような積層シートには、上記のようなリサイクル原料が用いられておらず、積層シートやその成形品は、資源消費の削減に対する要望を十分満足させるには至っていない。
その結果、本発明者は、耐熱性ポリスチレン系樹脂中のポリフェニレンエーテルの割合を所定の範囲に調整するとともにスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、及び、スチレン−ブタジエン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SBBS)の内の1つ以上を前記相溶化剤として採用することでヤケ樹脂を発生させるおそれが低く、しかも、このような相溶化剤を採用することで耐熱性ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との相溶化に顕著な効果が発揮されることを見出して本発明を完成させたものである。
また、本発明においては、積層シートや包装用容器を製造する際にリサイクル原料の利用割合を従来に比べて増大させることができ積層シートや包装用容器を環境に優しいものとすることができる。
さらに、得られた高発泡倍率の耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリオレフィン系樹脂フィルムからなる層を有する樹脂フィルムを積層させた積層シートを熱成形した包装用容器は、前記樹脂フィルムの剥離強度を3.0N以上もの優れた値とすることができるので泡状の部分的な剥離を生じることもなく、しかも、断熱性に優れることから電子レンジ等での加熱用途に使用しても外側が熱くなり難く、素手で容易に取り扱うことができる。
そして、本実施形態においては、後述するようにこの耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物を用いて耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートを形成させ、該耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートにポリオレフィン系樹脂フィルムを積層して元の積層シートと同様の構成を有する積層シートを作製し、該積層シートを包装用容器の原材料として利用する。
図1は、積層シートの一例を示した図であり、積層シートの断面構造を示す図である。
この図1に例示の積層シート1は、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シート2(以下、単に「耐熱性発泡シート」ともいう)の上面側に、ポリオレフィン系樹脂フィルム3を表面層に有するドライラミネートフィルム6が加熱接着されたものであり、前記ドライラミネートフィルム6は、前記耐熱性発泡シート2との接着面を構成するポリスチレン系樹脂フィルム5が接着剤層4を介して前記ポリオレフィン系樹脂フィルム3に積層一体化された複合樹脂フィルムである。
そして、前記積層シート1は、前記ポリオレフィン系樹脂フィルム3によってその表面に耐熱性発泡シート2よりも優れた耐油性、耐溶剤性が付与されている。
なお、前記ポリフェニレンエーテルとしては、下記一般式(1)で表される単独重合体のみならず下記一般式(1)で表される重合体が2種以上組み合わされた共重合体であってもよい。
一方で耐熱性ポリスチレン系樹脂は、過剰にポリフェニレンエーテルを含有させると軟化温度が高くなり過ぎて耐熱性発泡シートを作製することが難しくなるおそれを有する。
このようなことから、耐熱性発泡シート2を形成させるための耐熱性ポリスチレン系樹脂にはポリフェニレンエーテルを10質量%以上、30質量%以下の割合で含有させることが好ましい。
また、耐熱性発泡シート2を形成させるための耐熱性ポリスチレン系樹脂は、スチレン系単量体の割合を25質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがより好ましい。
このポリスチレン系樹脂フィルム5を形成するポリスチレン系樹脂としては、例えば、スチレン系単量体の単独重合体、複数のスチレン系単量体からなる共重合体、スチレン系単量体とこれに共重合可能なビニル系単量体との共重合体、これらの重合体の変性物、並びに、これらと異種の樹脂との混合物を挙げることができ、具体的には、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−α・メチルスチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体などが挙げられる。
該ポリプロピレン系樹脂フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。
このようなポリプロピレン系樹脂を採用することで、耐油性や耐溶剤性に優れるとともに優れた光沢を有する積層シートや成形品が得られるばかりでなく、当該積層シートを用いて伸びムラの少ない深絞り加工を行うことができ、熱成形時における有利な効果も期待することができる。
バージン材のみによって形成された前記積層シート1は、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、両面真空成形、プレス成形といった熱成形を実施して、包装用容器などの成形品に成形加工することができる。
なお、この種の熱成形によって包装用容器を製造する際には、通常、ワンショットで積層シートに複数の製品形状が形成され、その後、この製品形状が設けられた部分の外周をトムソン刃型などで切断して製品を取り除くような工程が実施され、製品が取り除かれた後のトリミングロスを端材として発生させている。
なお、このトリミングロスのみならず、例えば、製造時に生じた不良品などの端材、良品として出荷された後に使用済み品として回収された成形品や在庫処分対象となった未使用の成形品、設計変更等によって使用されることがなくなった積層シートなどもリサイクル原料として本実施形態の耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物に含有させることができる。
このSEBS、SEPS、SBBSは、前記第一成分に含有されているポリオレフィン系樹脂が耐熱性ポリスチレン系樹脂から分離することを抑制させる相溶化剤として機能するものであり、前記リサイクル原料100質量部に対して3〜30質量部混合することが重要である。
すなわち、この耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物を3倍以上15倍以下の発泡倍率を有する耐熱性発泡シートの形成材料として再利用する上で、連続気泡の形成や外観不良の少ない良好なる耐熱性発泡シートを形成させ得る点において、前記リサイクル原料100質量部に対する前記相溶化剤の割合が3〜30質量部であることが重要であり、このような機能をより確実に発揮させるためには、相溶化剤の割合を5〜15質量部とすることが好ましい。
しかも、このSEBS、SEPS、SBBSは、耐熱性発泡シートを形成させるのに耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物を高い温度に加熱しても熱分解等を生じにくく、ヤケ樹脂となって耐熱性発泡シートに外観不良を生じさせるおそれが低い点においても重要なものである。
また、前記SEBSとしては、旭化成ケミカルズ株式会社より「タフテック」の商品名で市販されているものが使用でき、「H1221」、「H1052」、「H1062」、「H1053」、「H1041」、「H1051」、「H1043」などのグレード名で市販されているものを使用することができる。
さらには、前記SEBSとしては、クレイトンポリマー社から「Kraton G」の商品名で市販されているものが使用でき、「A1535H」、「A1536H」、「G1641H」、「G1651H」、「G1654H」などのグレード名で市販されているものを使用することができる。
前記SBBSは、通常、水素化前のSBSを構成させるモノマーとして1,2−ブタジエンと1,3−ブタジエンとの2種類のブタジエンを採用し、該SBSを部分的に水素化させるのにあたって1,2−ブタジエンによって構成されている部分を1,3−ブタジエンによって構成されている部分よりも優先的に水素化させて得られるものであり、旭化成ケミカルズ株式会社より「タフテック」の商品名で市販されているものが使用でき「P JT−83」、「P JT−84」、「P−2000」などのグレード名で市販されているものを使用することができる。
そして、耐熱性発泡シートを作製するのに用いる耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物は、前記耐熱性発泡シートを3〜20倍の発泡倍率にさせる上において上記成分が下記質量比率となるように配合することが重要である。
第一成分(リサイクル原料):第三成分(バージン材)=1:99〜65:35
第一成分(リサイクル原料):第二成分(相溶化剤)=100:3〜100:30
ただし、これらの成分を含有する耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物は、再び耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートの形成に用いることから、リサイクル原料の出発材料としての耐熱性発泡シート2について述べたのと同じ理由で、当該耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物中に占めるポリフェニレンエーテルの割合が10〜30質量%となるように調整することが重要である。
即ち、第一成分に含まれている耐熱性ポリスチレン系樹脂と第三成分のバージン材とに含有されるポリフェニレンエーテルの合計量が耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物中に10〜30質量%となるように調整することが耐熱性に優れた耐熱性発泡シートを良好なる発泡状態で形成させる上において重要である。
一方でバージン材の上限値が99質量%とされているのは、99質量%を超えた量とするのでは、得られる耐熱性発泡シート、および、該耐熱性発泡シートを用いて得られる積層シート、並びに、該積層シートを用いて得られる成形品が、もはや資源消費の削減に有効な製品とは言い難いものになるためである。
また、その際には、リサイクル原料と相溶化剤とを溶融混合した樹脂ペレットを一旦作製した後にバージン材を混合するようにしても良く、このような方法に代えて、例えば、予めバージン材に相溶化剤を混合した後で、これにトリミングロスなどのリサイクル原料を混合してもよく、予めバージン材とリサイクル原料とを混合したものに、後から前記相溶化剤を混合してもよい。
例えば、発泡剤として、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の脂環族炭化水素、及び、これらの混合物を含有させることができる。
また、分解型発泡剤として、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウムなどを含有させることができる。
さらには、二酸化炭素などの無機ガスを含有させることができる。
この発泡剤としては、ハロゲン化水素を含まず、オゾン層の破壊などといった環境への影響の少ないものを選択することが好ましい。
なお、発泡剤の使用量については、特に限定がされるものではないが、通常、樹脂成分100g当たり0.01モル〜0.1モルとなる範囲の中で使用でき、これにより作製する耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートの発泡倍率を3〜15倍とすることができる。
その際には、前記相溶化剤が樹脂組成物中に特定量含有されることでポリオレフィン系樹脂の存在による外観不良や溶融樹脂の伸びの低下が改善され、耐熱性発泡シートを3倍以上の高発泡倍率とすることができる。
従って、SBS等を相溶化剤として利用した際には、このSBSがヤケ樹脂となって耐熱性発泡シートに褐色異物を発生させるおそれがあるが、本実施形態においては、ヤケを生じ難いSEBS、SEPS、SBBSが前記相溶化剤として採用されているために、耐熱性発泡シートに異物を発生させるおそれを抑制させることができる。
そして、この積層シートを、元の積層シートと同様に熱成形して包装用容器を製造した後に、そのトリミングロスを利用して、再び同じ構成の積層シートを作製し、この積層シートを同じ包装用容器の製造に利用することで、トリミングロスを循環利用させることができ、材料ロスの無い包装用容器の製造ラインを構築させることができる。
なお、積層シートは、加熱厚み変化が過度に小さい場合には成形品におけるドライラミネートフィルムの剥離強度が低くなり、ひいては成形品における耐熱性発泡シートとドライラミネートフィルムとの界面において部分的な剥離(バブルの発生)を生じ易くなる。
一方で、積層シートは、加熱厚み変化が過度に大きい場合には、成形時における付形が良好に出来なくなるおそれを有する。
このようなことから、積層シートは、加熱厚み変化が1.5倍以上2.5倍以下であることが重要な要件となる。
なお、本実施形態においては、「ポリオレフィン系樹脂フィルム層/接着剤層/ポリスチレン系樹脂フィルム層」の3層構成の複合樹脂フィルムを耐熱性発泡シートに積層して積層シートを形成させる場合を例示しているが、本実施形態において具体的に示した複合樹脂フィルム以外の樹脂フィルムを用いる場合も本発明の積層シートとして意図する範囲のものであり、このような積層シートを用いた場合であっても、成形品における剥離強度を3.0N以上8.0N以下とすることが重要である点においては変わりがない。
また、このようなリサイクル原料を用いて形成させる積層シートは、元の積層シートとは構成の異なるものであってもよい。
(耐熱性発泡シート)
ポリフェニレンエーテルを20質量%含有する耐熱性発泡シートを形成させるべく、サビック社製の商品名「ノリルPKN−4752」(ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン=70:30(質量比))とDIC社製のポリスチレン樹脂(商品名「ディックスチレンXC−515」、MFR:1.5g/10min)とを29:71の質量比でブレンドし、この「PKN−4752」と「XC−515」の混合物100質量部に対して、発泡剤(ブタンガス)3.5質量部、気泡調整剤(粉末タルク)1.4質量部を含有する樹脂組成物を押出機で溶融混練し、該溶融混練物を口径110mmのサーキュラーダイ(ダイスリット:0.4mm)から発泡押出しして目付け140g/m2の耐熱性発泡シートを作製した。
より具体的には、前記押出機としては、50mmφの押出機に60mmφの押出機が接続されたタンデム押出機を用い、該押出機の途中で最高280℃の設定温度で樹脂組成物を溶融混練させた後に、温度を低下させ、最終的に165℃の設定温度で前記サーキュラーダイからの発泡押出しを実施した。
なお、発泡剤のブタンガスは、i−ブタンとn−ブタンとの混合品(混合比率:i−ブタン/n−ブタン=60/40)を用いた。
また、粉末タルクは、東洋インキ社製の粉末タルク含有マスターバッチ(商品名:PEX1470)を用いて上記配合量となるように調整した。
前記耐熱性発泡シートとともに積層シートを形成させるためのドライラミネートフィルムには、大阪樹脂化工社製の厚み25μmの無延伸ポリプロピレン樹脂フィルムに接着剤層(東洋モートン社製、ポリウレタン系接着剤、商品名:TM329)を介してDIC社製の厚み20μmのポリスチレン系樹脂フィルム(商品名:XC−535)を積層したものを用いた。
前記ドライラミネートフィルムのポリスチレン系樹脂フィルム側を耐熱性発泡シートの表面に面接着させた状態で一対の熱ロール(直径:300mm、加熱温度:195℃)の間を4.5m/minの速度で通過させた直後に表面温度が20℃の冷却ロールを通過させてドライラミネートフィルムと耐熱性発泡シートとがヒートラミネートされた積層シートを作製した。
この積層シートを、前記ポリプロピレン樹脂フィルムが内側となるように熱成形を実施した。
熱成形においては、前記積層シートをヒーター温度が約265℃に加熱された炉内を通過させ、該積層シートに、長さ230mm×幅190mm×深さ20mmの凹部が形成されたテスト金型を用いて3.5秒の成形時間で箱型の容器形状を形成させた。
その後、この容器形状の外縁部を切断して積層シートから製品(箱型容器)を取り除き、残ったトリミングロスを回収した。
元の積層シートと同様に、サビック社製の商品名「ノリルPKN−4752」とDIC社製の商品名「ディックスチレンXC−515」とを29:71の質量比でブレンドし、ポリフェニレンエーテルを20質量%含むバージン材を用意した。
前記トリミングロスとこのバージン材とを、10:90(トリミングロス:バージン材)の質量割合で含有させるとともにこれらの合計100質量部に対して相溶化剤(旭化成ケミカルズ社製、SEBS、商品名:タフテック「H−1043」)を2質量部(トリミングロス100質量部に対して20質量部)混合した耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物を耐熱性発泡シートの原材料として使用し、元の積層シートと同様に耐熱性発泡シートを作製した。
なお、この樹脂材料100質量部に対する発泡剤(ブタン)の使用量(3.8質量部)や気泡調整剤(粉末タルク)の使用量(1.2質量部)も元の積層シートの製造条件と同じにした。
また、ブタンをi−ブタンとn−ブタンとの混合物とし、タルクを東洋インキ社製マスターバッチ「PEX1470」で導入して、押出し条件も元の積層シートの製造条件と同様にして耐熱性発泡シートを形成させた。
(1)耐熱性発泡シートの評価
(外観)
なお、このリサイクル事例1において作製した耐熱性発泡シートの表面を目視にて観察し、表面に周囲から分離状態にある樹脂の有無を確認した。
結果を、下記表1に示す。
JIS K7222に準拠し、耐熱性発泡シートの質量(m)と体積(V)とを測定して発泡倍率を求めた。
発泡倍率 a(倍)= ρ0/ρa
(ただし、「ρa」は、耐熱性発泡シートの見掛け上の比重(m/V)であり、「ρ0」は、耐熱性発泡シートを形成している耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物の真比重である。)
(積層シートの作製)
得られた耐熱性発泡シートの表面に前記ドライラミネートフィルムのポリスチレン系樹脂フィルム側を面接着させた状態で一対の熱ロール(直径:300mm、加熱温度:195℃)の間を4.5m/minの速度で通過させて積層シートを作製した。
この積層シートから25mm×150mmのサンプルを作製し、ドライラミネートフィルムの剥離性を島津製作所製引張試験機「オートグラフAG−1」を使用して確認した。
具体的には、両面にテープを貼って補強したサンプルを垂直に支持し、下端側においてドライラミネートフィルムを剥離し、剥離したドライラミネートフィルムを180度折り曲げてその先端を引張試験機の上側クランプにクランプさせるとともに、ドライラミネートフィルムが剥がされたサンプル下端部を下側クランプにクランプさせて前記引張試験機で引張り試験を実施した。
なお、この評価においては、ドライラミネートフィルムと耐熱性発泡シートとの間に良好なる接着性が発揮されているかどうかをサンプル自体が破壊(材料破壊)するか否かによって判定した。
この積層シートの厚みを、ヒーター温度が約265℃に加熱された炉内を5秒程度の時間をかけて通過させた前後で比較し加熱厚み変化を測定した。
なお、厚みは積層シートの幅方向に10点の測定点を設け、その平均値を炉内通過前後で比較し、炉内通過前の厚みに対する炉内通過後の厚みの比率を加熱厚み変化とした。
(剥離強度)
この積層シートを成形して得られた成形品から採取した25mm×150mmのサンプルの剥離強度を島津製作所製引張試験機「オートグラフAG−1」を使用して測定した。
なお、成形品の大きさの関係上25mm×150mmのサンプルの採取が困難である場合には、有効長さ60mm(初期剥離長さ20mm、測定長さ40mm)以上のサンプルに残りの長さ分の別なサンプルを継ぎ足して測定に用いても良い。
具体的には、両面にテープを貼って補強したサンプルを垂直に支持し、下端側においてドライラミネートフィルムを剥離し、剥離したドライラミネートフィルムを180度折り曲げてその先端を引張試験機の上側クランプにクランプさせるとともに、ドライラミネートフィルムが剥がされたサンプル下端部を下側クランプにクランプさせて該引張試験機で50mm/minの引張り試験を、剥離区間約40mmにわたって実施した。
この引張り試験によって得られた波形グラフの始まりと終わりの各5mm分除き30mmの区間における最も高い応力の値と、最も小さい応力の値との平均値をそのサンプルの剥離強度とし、この剥離強度を5つのサンプルについてそれぞれ求め、その平均値をこの事例1における剥離強度とした。
測定器:島津製作所製オートグラフAG−1を使用して測定した。
サンプル:長さ180mm×幅190mm×深さ30mmの容器
測定方法:前記容器を開口側が下側となるようにアルミニウム板の上に伏せて載置し、その上に別のアルミニウム板を載せ、2枚のアルミニウム板の間に容器を挟んだ状態にし、上側のアルミニウム板を移動距離が合計10mmに達するまで100mm/minの移動速度で下側のアルミニウム板に接近させて容器を圧縮し、該圧縮に際して容器に座屈が生じた際の強度を圧縮強度として測定した。
長さ180mm×幅190mm×深さ30mmの容器を作製して評価用試料とした。
タバイエスペック社製ギアオーブン(型名「GPS−112」)の金網(試料棚)の上に厚み5mmの石膏ボードを置き、その上に各事例の容器を空の状態で載せて所定温度で1時間加熱をした。
この加熱温度を5℃刻みで変更して同様の試験を実施し、容器の長さ、又は、幅が2mm以上広がる結果となった温度を耐熱温度とした。
条件を表1に示すように変更したこと以外は、リサイクル事例1の耐熱性発泡シートと同様に耐熱性発泡シートを作製し、リサイクル事例1の耐熱性発泡シートと同様に評価した。
結果を併せて表1に示す。
なお、事例17においては、バージンをポリスチレン樹脂(ディックスチレンXC−515)のみとして耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物に占めるポリフェニレンエーテル(PPE)の割合が5質量%となるよう調整した。
また、事例18においては、バージン材のポリフェニレンエーテル含有量を調整して耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物に占めるポリフェニレンエーテル(PPE)の割合が39.5質量%となるよう調整した。
また、「事例16」の結果から、相溶化剤の量が少ない場合も、相溶化剤を含有させていない「事例13」の結果と同様の結果となることがわかる。
なお、「事例14」の結果から、相溶化剤を過剰に含有させた場合も良品が得られないことがわかる。
また、「事例15」の結果から、相溶化剤の種類が、SEBS、SBBS、SEPS以外の場合は「事例13」、「事例16」ほどではないものの良品を得られ難いことがわかる。
しかも、SBSを用いたこの「事例15」においては、トリミングロスを循環使用した際に、4回目の押出しにおいて耐熱性発泡シートにヤケ樹脂による黒色異物(黒点)が発生した。
さらに、「事例11」、「事例12」の結果からは、バージン材を30質量%を超えた量とすることが、良品を確実に得る上で重要であることがわかる。
また、ポリフェニレンエーテルの含有量が少量となっている「事例17」においては、成形品に対する耐熱性の付与が不十分になる結果となり、多量のポリフェニレンエーテルを含有させた「事例18」においては、押出条件を適正化できないという結果となった。
Claims (1)
- 積層シートが熱成形された包装用容器であって、
前記積層シートは、耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートの少なくとも一面側に、少なくともポリオレフィン系樹脂フィルムからなる層を有する樹脂フィルムが積層されたものであって、その加熱厚み変化は1.5倍以上2.5倍以下であり、
包装用容器における前記樹脂フィルムの剥離強度は3.0N以上8.0N以下であり、
前記耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートは、第一成分と第二成分と第三成分を含有する耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物が発泡剤により発泡した発泡シートであって、その発泡倍率は3〜20倍であり、
該耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物における、前記第一成分と前記第三成分との質量割合は1:99〜65:35で、前記第一成分と前記第二成分との質量割合は100:3〜100:30で、且つ、ポリフェニレンエーテルの含有量は10〜30質量%であり、
前記第一成分は、ポリフェニレンエーテルを含む耐熱性ポリスチレン系樹脂組成物が発泡した耐熱性ポリスチレン系樹脂発泡シートの少なくとも一面側にポリオレフィン系樹脂フィルムが積層されてなる積層シート、該積層シートが熱成形された成形品、及び、熱成形された積層シートから前記成形品が取り除かれた後の端材の内の1つ以上からなり、
前記第二成分は、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体、及び、スチレン−ブタジエン/ブチレン−スチレンブロック共重合体の内の1つ以上からなり、
前記第三成分は、ポリフェニレンエーテルを含む耐熱性ポリスチレン系樹脂のバージン材からなる、
ことを特徴とする包装用容器。
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