JP4059415B2 - ポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリスチレン系樹脂発泡体にポリオレフィン系樹脂を積層したシート状又は板状の多層体(以下、単に多層シートとも言う)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発泡ポリスチレンシートは、熱成形されてトレイ、弁当箱、丼、カップ等の各種容器に広く使用されている。しかし、発泡ポリスチレンシートは耐油性、耐溶剤性に劣り、また、その耐熱性も、容器を電子レンジで加熱した場合変形が生じやすく、けっして高いとはいえない。
これらの発泡ポリスチレンシートの欠点を改良することを目的として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の樹脂フィルムを発泡ポリスチレンシートの片面や両面に貼りあわせた多層シートが検討されている。
実公昭59−17628号公報では、ポリスチレン系樹脂40〜60重量%とポリオレフィン系樹脂60〜40重量%との溶融混合物を接着剤として、発泡ポリスチレンシートの片面または両面にポリオレフィン系樹脂フィルムを接着してなる複合シートが示されているが、この複合シートの場合、その接着剤の混合状態が制御されていないためにその接着強度は30gf/cm以下と低く、シートを丼やカップ等の深物容器に成形しようとすると成形時にポリオレフィン系樹脂フィルムが一部剥離(デラミ)するという問題を抱えており、より強い接着強度を持つ多層シートが望まれていた。また、ポリオレフィン系樹脂といってもポリエチレンについて検討されているに過ぎず、ポリプロピレン等の耐熱性の高いシートについては何ら検討されていない。
実公昭62−20269号公報では、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体等の熱可塑性ゴムまたは熱可塑性ゴムとポリエチレンとの混合物を接着剤として、発泡ポリスチレンシートの片面または両面にポリオレフィン系樹脂フィルムを接着してなる複合シートが示されている。しかしながら、これらの熱可塑性ゴムはポリスチレンやポリエチレン等に比べて3倍以上高価であるだけでなく、充分な接着強度を発揮させるためには熱可塑性ゴムはそれ単独で使用するかまたは多量にポリエチレンに混合しなければならず、コストメリットに欠けるものであった。また、接着性についてもポリエチレン以外のポリオレフィンたとえばポリプロピレンと混合した場合の接着強度は、ポリスチレンとポリプロピレンを接着するには不十分であり、より強い接着強度を持つ多層シートが望まれていた。
実公昭62−13784号公報では、一液性ウレタン、エチレン/酢酸ビニル共重合体を接着剤に用いているが、効果的なリサイクルができない、耐熱性が低い、エチレン/酢酸ビニル共重合体の臭気が強いという問題を抱えていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特殊な接着剤を用いず、ポリスチレン系樹脂発泡体上にポリオレフィン系樹脂層が丼等の深物容器を成形に耐えうるくらいの高い接着強度でラミネートされ、従来のポリスチレン系樹脂発泡体以上の耐油性を有する安価でしかもリサイクル可能なポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体を提供することをその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく種々検討した結果、接着剤としてポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂を特定の混合状態に混合したアロイ層を有するポリスチレン系樹脂発泡体層とすることによって、特別な接着剤を用いずに少なくとも片面にポリオレフィン系樹脂層を高い接着強度でラミネートされた安価な多層体が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)の少なくとも片面に、アロイ層(Y)を介してポリオレフィン系樹脂層(Z)が積層された多層体であって、該アロイ層(Y)がポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合樹脂からなり、該ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)と該ポリオレフィン系樹脂層(Z)との接着強度が40gf/cm以上であることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体が提供される。また、ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)の少なくとも片面に、アロイ層(Y)を介してポリオレフィン系樹脂層(Z)が積層された多層体であって、該アロイ層(Y)がポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合樹脂からり、該アロイ層(Y)の混合状態を表す相構造指数PI値が、0.7<PI<1.3であることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体が提供される。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるポリスチレン系樹脂には、スチレンの単独重合体及び共重合体が包含され、その重合体中に含まれるスチレン系モノマー単位は少なくとも25重量%以上、好ましくは50重量%以上である。本発明で用いる好ましいポリスチレン系樹脂は、下記の一般式(1)で表される構造単位を樹脂中に少なくとも25重量%含有する樹脂である。
【化1】
Figure 0004059415
前記一般式(1)において、Rは水素原子またはメチル基を示し、Zはハロゲン原子またはメチル基を示し、pは0または1〜3の整数である。
前記ポリスチレン系樹脂としては、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリスチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、ポリスチレンとポリフェニレンエーテルとの混合物などが例示される。これらの樹脂に脆性改善等を目的としてスチレン−共役ジエンブロック共重合ゴムやその水添物をブレンドしたものやリサイクル樹脂の混合等を考慮してポリプロピレン系樹脂や高密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を20重量%以下の割合でブレンドしたものも使用することができる。尚、ビカット軟化点が110℃以上のポリスチレン系樹脂を使用することにより、本発明多層発泡体の耐熱性を向上させることができる。尚、本明細書において、樹脂のビカット軟化点はJIS K7206(試験荷重はA法、伝熱媒体の昇温速度は50±5℃/時の条件)にて求められる値を指す。
【0006】
本発明で用いるポリスチレン系樹脂において、その溶融粘度は、190℃、剪断速度100sec-1の条件下での溶融粘度で、200poise以上で100000poise未満、好ましくは1000〜50000poiseである。その溶融粘度が前記範囲より小さいと、発泡体成形時にダイスより押出された溶融樹脂が垂れてしまい、成形困難になる虞れがある。一方、前記範囲を超えると、粘度が高すぎて押出圧力が上昇して押出成形が困難になり、良質の発泡体が成形できなくなる虞れがある。
【0007】
本発明で用いるポリオレフィン系樹脂には、オレフィンの単独重合体、共重合体(ランダム共重合体、ブロック共重合体等)及びブレンド体等が包含される。本発明では、特に、耐熱性の点から、ビカット軟化点が112℃以上のもの、更に該軟化点が120℃以上のもの(該軟化点の上限値は特に限定されないが160℃程度である。)、特に高密度ポリエチレンやポリプロピレン系樹脂の使用が好ましい。尚、ポリプロピレン系樹脂には、プロピレンの単独重合体、共重合体及びブレンド体等が包含される。プロピレン共重合体において、その共重合成分には、エチレン、ブチレン、その他のα−オレフィンが包含され、そのα−オレフィンの炭素数は12以下、好ましくは8以下である。その共重合成分であるα−オレフィンの含有量は、ブロック共重合体の場合は20重量%以下、ランダム共重合体の場合は8重量%以下であることが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂のブレンド体において、そのブレンド用樹脂には、エチレンの単独重合体、エチレンと炭素数が3〜12個のα−オレフィンとの共重合体、炭素数が4〜6のα−オレフィンの単独重合体等が挙げられる。これらのブレンド体において、そのプロピレン成分の含有率は、50重量%以上、好ましくは75重量%以上である。尚、本明細書で言うプロピレン系樹脂には、前記プロピレン系樹脂に対し、少なくとも1個の二重結合を有する化合物(たとえば、不飽和のカルボン酸、ビニルシラン化合物等)をグラフト重合することによって得られる変性プロピレン系樹脂も含まれる。
【0008】
次に、本発明の多層シートの層構成について詳述する。
本発明の多層シートは、ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)(以下、単に発泡体層(X)とも言う)を含有する。この発泡体層(X)において、その密度は0.035〜0.7g/cm3、好ましくは0.05〜0.5g/cm3であり、特に熱成形用のものは0.07〜0.5g/cm3のものが好ましい。また、その厚みは0.5〜10mm、好ましくは0.7〜5mmであり、特に熱成形用のものは0.7〜4mmである。この発泡体層の連続気泡率(ASTM D2856、手順C)は90%以下、好ましくは70%以下、更に好ましくは40%以下である。その密度が前記範囲より小さくなると、その多層シートを二次成形して得られる成形品の強度が不足するばかりでなく、加熱真空成形するときに伸び不足を生じて成形品に透孔を生じることがある。一方、その密度が前記範囲よりも大きくなると、経済的に不利になる他、成形品の断熱性が悪くなり、容器等の成形品に熱湯を入れたときに、その容器を手で持つことができなくなる。また、前記発泡体層(X)の厚みが余りにも薄くなると、真空成形等により得られる成形品の壁厚が不十分となり、強度や断熱性の点で劣ったものとなる。一方、その厚みが大きくなりすぎると、加熱真空成形の際に、シートの内部と外部の加熱ムラが起りやすく、精密な温度制御が必要となる。発泡体層(X)の連続気泡率は熱成形時の二次発泡性や得られる二次成形品の品質(強度等の物性)に影響を与えるので、前記の通りに規定するのがよい。
【0009】
本発明の多層シートは、前記発泡体層(X)の少なくとも一方の片面に形成されたアロイ層(Y)を含有する。このアロイ層(Y)は、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合樹脂を主成分とし、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との重量比が95:5〜30:70、更に90:10〜40:60、特に85:15〜55:45であることが好ましい。なお、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とからなるアロイはアロイ層に対し50重量%以上を含有されている。
アロイ層(Y)に使用されるポリオレフィン系樹脂としては、アロイ層(Y)上に積層されるポリオレフィン系樹脂層(Z)に用いられるポリオレフィン系樹脂と同一の樹脂、もしくは熱融着可能な同種のポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。このアロイ層(Y)において、そのポリスチレン系樹脂の重量比が前記範囲を超えると、そのアロイ層(Y)と発泡体層(X)との間の接着強度は満足するものの、そのアロイ層(Y)とポリオレフィン系樹脂層(Z)との間の接着強度が不十分になる虞がある。一方、そのポリスチレン系樹脂の重量比が前記範囲より低くなると、逆に、そのアロイ層(Y)とポリオレフィン系樹脂層(Z)との間の接着強度は満足するものの、その発泡体層(X)とアロイ層(Y)との間の接着強度が不十分となる虞がある。アロイ層(Y)において、その厚みは15〜200μmの範囲内で厚みが増す程、接着力が大きくなる傾向にあり、アロイ層(Y)の厚みは好ましくは20〜150μmであり、その発泡体層(X)の厚みに対する割合は、3〜50%、好ましくは5〜40%である。アロイ層(Y)の厚みが前記範囲よりも小さくなると、接着性が不十分となり、一方、前記範囲を超えると、発泡体層の連続気泡率が高くなる傾向にあり、また、コストアップの原因となる。
【0010】
本発明の多層シートは、そのアロイ層(Y)の上面に形成されたポリオレフィン系樹脂層(Z)を含有する。このポリオレフィン系樹脂層(Z)において、その厚みは0.01〜1mm、好ましくは0.015〜0.8mm、更に好ましくは0.015〜0.35mmであり、その発泡体層(X)の厚みに対する割合は3〜50%、好ましくは5〜40%である。このポリオレフィン系樹脂層(Z)の厚みが前記範囲よりも小さくなると、二次成形時にシートに透孔や破れを生じるので好ましくない。一方、余りにも厚くなりすぎると、コストアップになるばかりか、そのフィルム層(Z)の加熱成形時間と発泡体層(X)の加熱成形時間との差が開きすぎて、そのフィルム層(Z)に最適な加熱時間で多層シートを成形すると、その発泡体層(X)が溶融したりする。
尚、アロイ層(Y)の上面に形成するポリオレフィン系樹脂層(Z)として耐熱性、外観の面から高密度ポリエチレンやポリプロピレン系樹脂が好ましく、高密度ポリエチレンからなる樹脂層(Z)を形成した場合、積層シートの表面がつや消しの外観を呈するもの、ポリプロピレン系樹脂からなる樹脂層(Z)を形成した場合、積層シートの表面光沢性に優れたものが得られる。更に、熱成形性、特に積層シートの伸びムラのない深し絞り等の成形性に関連する積層シートの伸びの均一性に優れる面から高密度ポリエチレンやポリプロピレン系ランダム共重合体が好ましい。更に、熱成形工程の金型成型後における積層シートの離型性の面から100℃における半結晶化時間が40秒以下、更に30秒以下のポリオレフィン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂層(Z)を積層することが好ましい。
本明細書で言う半結晶化時間とは、結晶化速度測定器(コタキ商事株式会社製のMK−801型)を使用し、あらかじめ300℃に加熱した樹脂試料を、100℃に設定した結晶化浴に投入し、測定することができる。なお、測定試料は、フィルム状のものを用意する。この場合、そのフィルムの厚みは0.1±0.02mmのものとし、そのフイルムの寸法は15×15mmの四角とする。これを顕微鏡用カバーガラスに挟み込んだものを測定試料として使用する。また、光源ランプの輝度設定は指示値を3Vとする。
前記コタキ商事株式会社製の結晶化速度測定器は、試料の結晶化と光の複屈折の関係より結晶化度を求める装置であり、本明細書で言う半結晶化時間とは前記測定方法により得られる図1に示すグラフ上の曲線から複屈折による光の量が一定になった値Aをグラフ上縦軸から読取り、その値に0.5を乗じたグラフ上縦軸の値Bに対応するグラフ上の曲線のグラフ上横軸の値Cとして求められる値である。
【0011】
本発明の多層シートにおいて、その発泡体層(X)の両面に前記アロイ層(Y)を介してポリオレフィン系樹脂層(Z)を積層させることができるが、必ずしもその両面にアロイ層(Y)を介してポリオレフィン系樹脂層(Z)を積層させる必要はなく、その発泡体層(X)の一方の片面は、未積層面とすることができ、また、発泡体層(X)の一方の片面にポリスチレン系樹脂層(L)やアロイ層(Y)等の樹脂層を積層することができる。そのポリスチレン系樹脂層(L)やアロイ層(Y)において、その厚みは15〜350μm、好ましくは20〜250μmであり、その発泡体層(X)の厚みに対する割合は3〜50%、好ましくは5〜40%である。その発泡体層(X)の片面にポリスチレン系樹脂層(L)が積層されているものは、その樹脂層(L)が印刷性、光沢性にすぐれているので、印刷面とすることができる。一方、その発泡体層(X)の片面にアロイ層(Y)が積層されているものは、そのアロイ層(Y)が印刷適性にすぐれ、また光沢性にもすぐれているので、印刷面として有利に用いることができると共に、共押出し法により発泡体層(X)の両面に形成する2つのアロイ層(Y)を同じ押出機を使用して同時に積層することができる為、生産性において優れる。
【0012】
本発明の多層シートにおいて、そのアロイ層(Y)には、相溶化剤を添加することができる。この場合の相溶化剤としては、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを相溶化し得るものであればよく、従来公知の各種のものを用いることができる。このようなものとしては、特にスチレン系熱可塑性エラストマーの使用が好ましい。このスチレン系熱可塑性エラストマーには、SEBS系やSEPS系のものや、SBS系又はSIS系のもの等が包含される。SBS系又はSIS系のものは、ハードセグメントとしてポリスチレンの結晶相を有し、ソフトセグメントとしてポリブタジエン又はポリイソプレンがブロック的に共重合された構造を有する。一方、SEBS系やSEPS系のものは、前記SBS系やSIS系のものに含まれているポリブタジエン、ポリイソプレンを高度に水素化してその主鎖中の二重結合を飽和させたものである。これらのSEBS系や、SEPS系、SBS系及びSIS系等のスチレン系熱可塑性エラストマーについては、「プラスチックエージ」、第101頁〜第106頁(June 1985)に詳述されている。
【0013】
相溶化剤は、アロイ層(Y)中のアロイ100重量部当り、0.1〜25重量部、好ましくは0.5〜10重量部の割合で添加するのが好ましい。また、スチレン系熱可塑性エラストマー等のゴム成分をアロイ層に添加するのが好ましい。この相溶化剤やゴム成分の添加により、発泡体層(X)と樹脂層(Z)との接着性、多層シートの衝撃強度や脆性が更に改善される。アロイ層へのゴム成分の添加はアロイ100重量部当り2〜30重量部の割合で添加するのが好ましい。尚、該ゴム成分とは、上記スチレン系熱可塑性エラストマー、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等が挙げられ、特にスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
【0014】
本発明の多層シートにおいて、その発泡体層(X)とポリオレフィン系樹脂層(Z)との間の接着強度はいずれも40gf/cm以上、特に好ましくは100gf/cm以上、更には150gf/cm以上という大きな接着強度を有する。その接着強度の上限値は、通常、500gf/cm程度である。このような大きな層間接着強度を有する多層シートは本発明者らによって初めて開発されたものである。
【0015】
本発明の多層シートの層間接着強度が前記のように大きな値を有することは、そのアロイ層(Y)の相構造指数PI値が0.7〜1.3、好ましくは0.8〜1.2の範囲にあることに起因する。
前記アロイ層(Y)の相構造指数PI値は、アロイ層のポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合状態を示すもので、下記式(1)で定義される。
【数1】
Figure 0004059415
前記式(1)において、φAはアロイ層中のポリスチレン系樹脂相の体積分率、ηAは190℃、剪断速度100sec-1におけるポリスチレン系樹脂の溶融粘度、φBはアロイ層中のポリオレフィン系樹脂相の体積分率、ηBは190℃、剪断速度100sec-1におけるポリオレフィン系樹脂の溶融粘度である。
【0016】
本発明者らの研究によれば、前記アロイ層(Y)のPI値が前記範囲より小さくなると、アロイ層中のポリオレフィン系樹脂がポリスチレン系樹脂に覆われて接着表面に露出し難くなり、発泡体層(X)とアロイ層(Y)との接着強度は満足し得るものの、アロイ層(Y)とポリオレフィン系樹脂層(Z)との間の接着強度が不十分となり、多層シートを熱成形して得られる容器等(特に丼等の深物)の成形品に成形する際に層間剥離が生じやすくなる。一方、PI値が1.3を超えるようになると、アロイ層中のポリスチレン系樹脂がポリオレフィン系樹脂に覆われ接着表面に露出し難くなり、ポリオレフィン系樹脂層(Z)とアロイ層(Y)との接着強度は満足するものの、アロイ層(Y)と発泡体層(X)との接着強度が不十分となり、多層シートを容器等(特に丼等の深物)の成形品に成形する際に層間剥離が生じやすくなる。結局、上記PI値が0.7〜1.3の範囲にあることで発泡体層(X)とポリオレフィン系樹脂層(Z)との間の接着強度が優れたものとなる。
【0017】
尚、アロイ層に相溶化剤等を添加する場合のPI値の計算はポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とのどちらの方に相溶化剤がより相溶性が良いかを判断し相溶性の良い方の構成成分として(例えば、SEBS系のものはポリオレフィン系樹脂の構成成分として、SBS系のものはポリスチレン系樹脂の構成成分として)、前記(1)式によりPI値を求める。
本発明の多層シートは、従来公知の方法で製造することができる。その代表的な方法としては、予め発泡体層(X)を製造し、その後製造ライン上または別ラインでポリオレフィン系樹脂層(Z)とアロイ層(Y)を別な押出機より供給して接着する方法、発泡体層(X)を製造し、製造ライン上または別ラインでポリオレフィン系樹脂層(Z)としてポリオレフィン系樹脂フィルムを導入し、アロイ層(Y)を別な押出機より供給して接着する方法、多層共押出法によって発泡体層(X)の少なくとも片面にアロイ層(Y)及びポリオレフィン系樹脂層(Z)を設けて押出製造する方法等がある。
なかでも多層共押出法によって得られる多層シートは、他の方法に比べて工程がシンプルで低コスト化が可能であり、また発泡体層(X)とアロイ層(Y)、アロイ層(Y)とポリオレフィン系樹脂層(Z)の接着強度が高くなるので好ましい。
また、特に片面にハイインパクトポリスチレン(HIPS)等のポリスチレン系樹脂を積層した本発明多層シートを製造する方法としては、前記共押出法等にてポリスチレン系樹脂発泡体の片面にアロイ層を介してオレフィン系樹脂を積層した多層シートを得て、次にTダイスを使用してハイインパクトポリスチレン溶融物を発泡体層のポリオレフィン系樹脂層が積層されていない面側に押出ラミネート法により積層する方法や発泡体層、アロイ層、樹脂層そしてポリスチレン系樹脂層を共押出する方法等が採用される。
アロイ層(Y)に用いるポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂および相溶化剤等はペレット状でドライブレンドした後、そのまま押出機の投入口に入れても良く、また予め溶融混練して用いても良い。
【0018】
ポリスチレン系樹脂発泡体を製造する場合に用いる発泡剤としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ブタンとi−ブタンとの混合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1−ジフルオロ−1−クロロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物等が挙げられる。
更に、分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げられる。また、二酸化炭素等の無機ガスも挙げられる。これらの発泡剤は適宜混合して用いることができる。
このなかでもハロゲン化水素を含まないオゾン層の破壊等環境への影響の少ないものを使用することが好ましい。
発泡剤の使用量は、特に限定されないが、おおむね樹脂100gあたり0.01〜0.1モルで目標のシート密度に対し自由に選択することができる。
【0019】
本発明の多層シートに用いられる樹脂組成物には、本発明の目的を著しく損なわない範囲で、必要に応じて通常ポリスチレン系樹脂およびポリオレフィン系樹脂等に添加される各種の添加剤、例えば、造核剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、耐候剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、無機充填剤等を添加することができる。
【0020】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
【0021】
実施例1〜20、比較例1〜3
表1、表2、表5及び表6に示す構成の多層シートを作製した。また、表1、表2、表5及び表6には、この多層シート密度(g/cm3)、シート厚み(mm)及びその製造に採用された多層シート製法の種類についても示した。さらに、表1、表2、表5及び表6には、その多層シートの耐油性、ポリオレフィン系樹脂層(Z1又はZ2)の接着強度(gf/cm)及び発泡体層の連続気泡率(%)を示した。
【0022】
表1、表2、表5及び表6に示した多層シートにおいて、ポリオレフィン系樹脂(Z1)はその表面層を示し、ポリオレフィン系樹脂層(Z2)は裏面層を示す。また、接着強度において、Z1/Xは表面層を形成するポリオレフィン系樹脂層(Z1)と発泡体層(X)との接着強度を示し、Z2/Xは裏面層を形成するポリオレフィン系樹脂層(Z2)と発泡体層(X)との接着強度を示す。
【0023】
表1、表2、表5及び表6に示した多層シートの製法の種類の具体的内容は以下の通りである。また、表1、表2、表5及び表6に示した樹脂温度は押出機の口金(ダイス)より押し出す際の樹脂温度である。
(後ラミ)
押出機として直径65mmと直径90mmの2台の押出機を用い、口金(ダイス)としては、直径84mm、厚さ0.5mmの円筒状細隙を有するものを用いた。
直径65mmの押出機で原料投入口より所定の量の樹脂および添加剤を樹脂100重量部に対して表3又は表4に示す量、加熱混練し、約200℃に調整された樹脂混合物に対して表3又は表4に示す発泡剤および量を圧入し、次いで、直径90mmの押出機に供給し、表1又は2に示す樹脂温度に調整して、口金(ダイス)より樹脂を押出した。
押出された円筒状樹脂を、直径200mmの冷却された円筒に沿わせて引取り押出方向に切り開いてポリスチレン系樹脂発泡シートを得、該発泡シートを巻き取った。
得られた発泡シートに表1又は表2に示す厚さのポリオレフィン系樹脂フィルムを表1又は表2に示すアロイ層を介してラミネートし多層シートを得た。アロイ層は直径50mmの押出機で原料投入口より、表1又は表2に示す所定の量の樹脂および必要に応じてアロイ100重量部当り表1又は表2に示す量の相溶化剤を加熱混練し、200℃で幅650mmのTダイスより押出供給した。
(共押出)
発泡体層用の押出機として直径65mmと直径90mmの2台の押出機を、ポリオレフィン系樹脂層用の押出機としては直径50mmの押出機を、アロイ層用としては直径40mmの押出機を用い、口金(ダイス)としては、直径84mm、厚さ0.5mmの円筒状細隙を有するものを用いた。
発泡体層は直径65mmの押出機で原料投入口より所定の量の樹脂および添加剤を樹脂100重量部当り表3、表4、表7又は表8に示す量、加熱混練し、約200℃に調整された樹脂混合物に対して表3、表4、表7又は表8に示す発泡剤および量を圧入し、次いで、直径90mmの押出機に供給し、表1、表2、表5及び表6に示す樹脂温度に調整した。一方ポリオレフィン系樹脂層は直径50mmの押出機より、アロイ層は直径40mmの押出機よりそれぞれポリスチレン系樹脂発泡体層形成用溶融物の片面又は両面に必要に応じて供給し、ダイス内部で発泡体層形成用溶融物と合流させ共押出した。なお、アロイ層には必要に応じてポリスチレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ100重量部当り相溶化剤を表3、表4、表7又は表8に示す量添加した。
押出された円筒状樹脂を、直径200mmの冷却された円筒に沿わせて引取ることにより、多層シートを巻き取った。
【0024】
表3、表4、表7又は表8に多層シートを構成する発泡体層(X)、アロイ層(Y1、Y2)及びポリオレフィン系樹脂層(Z1、Z2)の具体的内容について示す。なお、表中アロイ層のPS樹脂又はPO樹脂の量(重量%)はPS樹脂とPO樹脂との合計重量100重量%に対する値である。尚、実施例14及び18については、アロイ層中にゴム成分として後述する樹脂YをPS樹脂とPO樹脂との混合樹脂100重量部に対して20重量部添加した。また実施例20についてもアロイ層中にゴム成分として後述する樹脂ZをPS樹脂とPO樹脂との混合樹脂100重量部に対して25重量部添加した。
【0025】
発泡体層(X)に関して符号で示したPS樹脂(ポリスチレン系樹脂)の具体的内容は後期に示す通りである。また、PS樹脂に配合したタルクは松村産業社製ハイフィラー#12である。さらに、符号で示した発泡剤において、Bはn−ブタン70wt%とiso−ブタン30wt%からなるブタン混合物を示し、n−pはn−ペンタンを示し、CF40Sは、大日精化社製「ハイドロセロールCF40S](化学発泡剤)を示す。
アロイ層(Y1、Y2)に関してPO樹脂(ポリオレフィン系樹脂)及び相溶化剤の具体的内容は、後期において示す通りである。
なお、アロイ層(Y1)とアロイ層(Y2)の成分組成は同じである。
【0026】
PO層(ポリオレフィン層)(Z1、Z2)に関して符号で示したPO樹脂の具体的内容は後期において示す通りである。
なお、PO層(Z1)とPO層(Z2)の成分組成は同じである。
【0027】
前記多層シートに関しての耐油性及び接着強度の評価法は以下の通りである。
(耐油性)
25mm×40mmのシートの中央に米炊飯調味油(フレッシュロールホワイト、(株)ローリング製)を0.025ml滴下し均一に延ばした後、80℃で5分間加熱し前後の変化を調べた。
○・・・変化なし
×・・・シート表面に侵食有り
(接着強度)
ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)とポリオレフィン系樹脂層(Z)との間の接着強度は多層シートより幅25mmの試験片を切り出し、JIS Z0237に準拠し、剥離速度条件300mm/minの90°剥離試験にて測定して求めた値(g/25mm)を2.5で割り算して接着強度(g/cm)とした。
【0028】
表1〜表8において符号で示した樹脂の具体的内容は以下の通りである。
(1)樹脂A
出光石油化学社製、「HH32」(汎用ポリスチレン(GPPS)、溶融粘度20400ポイズ、密度1.05g/cm3
(2)樹脂B
出光石油化学社製、「HH30J」(GPPS、溶融粘度12300ポイズ、密度1.05g/cm3
(3)樹脂C
旭化成社製、「スタイロン679」(GPPS、溶融粘度8300ポイズ、密度1.05g/cm3
(4)樹脂D
旭化成社製、「G9001」(スチレン−メタクリル酸共重合体、溶融粘度26800ポイズ、密度1.05g/cm3、ビカット軟化点110℃以上)
(5)樹脂H
日本ポリオレフィン社製、「PM761A」(プロピレン−エチレンブロック共重合体、溶融粘度6600ポイズ、密度0.9g/cm3、ビカット軟化点120℃以上、半結晶化時間(100℃)7秒)
(6)樹脂I
日本ポリオレフィン社製、「MK211」(プロピレン−エチレンブロック共重合体、溶融粘度8000ポイズ、密度0.9g/cm3、ビカット軟化点120℃以上、半結晶化時間(100℃)10秒以下)
(7)樹脂J
出光石油化学社製、「E250G」(プロピレン−エチレンブロック共重合体、溶融粘度15700ポイズ、密度0.9g/cm3、ビカット軟化点120℃以上、半結晶化時間(100℃)10秒以下)
(8)樹脂K
日本ポリオレフィン社製、「KB175A」(高密度ポリエチレン、溶融粘度19100ポイズ、密度0.957g/cm3、ビカット軟化点120℃以上、半結晶化時間(100℃)10秒以下)
(9)樹脂V
旭化成社製、「タフテックH1041」(水素添加スチレンブタジエンスチレンエストラマー、溶融粘度29000ポイズ、密度0.9g/cm3
(10)樹脂W
日本油脂社製、「モディーパA3100」(スチレングラフトポリプロピレン、溶融粘度3600ポイズ、密度0.94g/cm3
(11)樹脂M
チッソ社製、「F8188」(プロピレン−エチレンランダム共重合体、溶融粘度6300ポイズ(190℃)、密度0.9g/cm3、ビカット軟化点120℃以上、半結晶化時間(100℃)25秒)
(12)樹脂N
出光石油化学社製、「310E」(高密度ポリエチレン、溶融粘度16500ポイズ、密度0.965g/cm3、ビカット軟化点130℃、半結晶化時間(100℃)10秒以下)
(13)樹脂O
出光石油化学社製、「580MB」(高密度ポリエチレン、溶融粘度19000ポイズ、密度0.964g/cm3、ビカット軟化点128℃、半結晶化時間(100℃)10秒以下)
(14)樹脂P
出光石油化学社製、「J5051HP」(プロピレン−エチレンブロック共重合体、溶融粘度2600ポイズ、密度0.9g/cm3、ビカット軟化点151℃、半結晶化時間(100℃)10秒以下)
(15)樹脂Q
出光石油化学社製、「210JZ」(高密度ポリエチレン、溶融粘度8200ポイズ、密度0.968g/cm3、ビカット軟化点129℃、半結晶化時間(100℃)5秒)
(16)樹脂R
日本ポリオレフィン社製「PM731M](プロピレン−エチレンランダム共重合体、溶融粘度6100ポイズ、密度0.9g/cm3、ビカット軟化点120℃以上、半結晶化時間(100℃)17秒)
(17)樹脂X
旭化成社製、「タフテックL512」(水素添加スチレンブタジエンスチレンエストラマー、溶融粘度2900ポイズ、密度0.91g/cm3
(18)樹脂Y
旭化成社製、「タフプレン125」(スチレンブタジエンスチレンエストラマー、溶融粘度12100ポイズ、密度0.95g/cm3
(19)樹脂Z
フィリップス社製「Kレジン KR05」(スチレンブタジエンスチレンエラストマー、溶融粘度11500ポイズ、密度1.01g/cm3
【0029】
前記樹脂に関して示したその溶融粘度は以下のようにして測定されたものである。
(樹脂の溶融粘度)
剪断速度100sec-1の条件下の溶融粘度は、ノズル内径(D)が1.0mm、L/D=10(Lはノズル長(mm))のノズルを用い樹脂温度190℃の条件にてチアスト社製レオビス2100で測定した。
【0030】
また、アロイ層のPI値の算出は前記式(1)を使用した。相溶化剤を添加する場合は相溶化剤を相溶性の良い方の樹脂成分として算出する。実施例2の場合の算出例を以下に示す。
使用樹脂:
HH32(PS樹脂)(溶融粘度 20400ポイズ、密度1.05g/cm3
PM761A(PO樹脂)(溶融粘度 6600ポイズ)
タフテックH1041(相溶化剤)(溶融粘度 29000ポイズ)
前記タフテックはポリスチレンよりもポリプロピレン(PP)との相溶性が良いので、PP成分として計算する。
まず、PP成分の溶融粘度を求める。このためには、タフテック(密度0.9g/cm3)とPP(密度0.9g/cm3)とのブレンドの体積比を求める。この場合のブレンド比は5:25(重量比)であるから、その体積比は16.7:83.3となる。
PP成分の粘度=10α
但し、
α=〔{log(PPの粘度:6600)×83.3+log(タフテックの粘度:29000)×16.7}/100〕
よってPP成分の粘度は8450となる。
PP成分の体積分率:
〔{(25+5)/0.9}/〔{(25+5)/0.9}+(75/1.05)〕〕×100=32
PSの体積分率:
〔(75/1.05)/〔{(25+5)/0.9}+(75/1.05)〕〕×100=68
したがってPI値は
Figure 0004059415
【0031】
【表1】
Figure 0004059415
【0032】
【表2】
Figure 0004059415
【0033】
【表3】
Figure 0004059415
【0034】
【表4】
Figure 0004059415
【0035】
【表5】
Figure 0004059415
【0036】
【表6】
Figure 0004059415
【0037】
【表7】
Figure 0004059415
【0038】
【表8】
Figure 0004059415
【0039】
【発明の効果】
本発明は、特殊な接着剤を用いず、ポリスチレン系樹脂発泡体上にポリオレフィン系樹脂層が丼等の深物容器を成形に耐えうる高い接着強度で積層接着され、従来のポリスチレン系樹脂発泡体以上の耐油性を有する安価でしかもリサイクル可能なポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体が得られる。特に、ビカット軟化点が112℃以上のポリオレフィン系樹脂からなる樹脂層をポリスチレン系樹脂発泡体上に積層接着することにより耐熱性が向上する。また、ビカット軟化点が110℃以上のポリスチレン系樹脂からなる発泡体を採用することにより、ポリオレフィン系樹脂層の基材樹脂のビカット軟化点によらず特に優れた耐熱性を得ることができる。
【0040】
【図面の簡単な説明】
【図1】結晶化時間測定のグラフを示す図である。
【符号の説明】
(I)結晶化と相関関係にある光量曲線
(II)結晶化浴温度
a 複屈折による光の量が一定となった時間
A aにおける複屈折による光の量
B A×0.5
C 半結晶化時間
D 結晶化浴設定温度

Claims (10)

  1. ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)の少なくとも片面に、アロイ層(Y)を介してポリオレフィン系樹脂層(Z)が積層された多層体であって、該アロイ層(Y)がポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合樹脂からなり、該ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)と該ポリオレフィン系樹脂層(Z)との接着強度が40gf/cm以上であることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体。
  2. ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)の少なくとも片面に、アロイ層(Y)を介してポリオレフィン系樹脂層(Z)が積層された多層体であって、該アロイ層(Y)がポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との混合樹脂からり、該アロイ層(Y)の混合状態を表す相構造指数PI値が、0.7<PI<1.3であることを特徴とするポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体。
  3. アロイ層(Y)中のポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂との重量比が95:5〜30:70であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体。
  4. ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)の片面にアロイ層(Y)を介してポリオレフィン系樹脂層(Z)が積層され、該ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)の他方の片面にポリスチレン系樹脂層(L)が積層されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体。
  5. ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)の片面にアロイ層(Y)を介してポリオレフィン系樹脂層(Z)が積層され、該ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)の他方の片面にアロイ層(Y)が積層されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体。
  6. アロイ層(Y)に相溶化剤が添加され、その相溶化剤の添加量がアロイ層(Y)中のポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ100重量部当り0.1〜25重量部の割合であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体。
  7. アロイ層(Y)にゴム成分が添加され、そのゴム成分の添加量がアロイ層(Y)中のポリオレフィン系樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ100重量部当り2〜30重量部の割合であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体。
  8. アロイ層(Y)の厚みが15〜200μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体。
  9. ポリスチレン系樹脂発泡体層(X)とアロイ層(Y)とが共押出法で積層されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体。
  10. ポリオレフィン系樹脂層(Z)がビカット軟化点112℃以上のポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂発泡体/ポリオレフィン系樹脂多層体。
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