JP2001130624A - 熱可塑性樹脂シート - Google Patents

熱可塑性樹脂シート

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JP2001130624A
JP2001130624A JP31684799A JP31684799A JP2001130624A JP 2001130624 A JP2001130624 A JP 2001130624A JP 31684799 A JP31684799 A JP 31684799A JP 31684799 A JP31684799 A JP 31684799A JP 2001130624 A JP2001130624 A JP 2001130624A
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layer
adhesive layer
styrene
sheet
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JP31684799A
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English (en)
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Takuya Hamada
拓也 浜田
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Daicel Corp
Original Assignee
Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 密封性及び易開封性を両立できるとともに、
耐熱性、耐油性、成形性、低温衝撃性に優れた容器成形
用熱可塑性樹脂シートを得る。 【解決手段】 熱可塑性樹脂シートは、接着剤層と、複
数の樹脂成分で構成された網目構造を有する基材層とで
構成できる。接着剤層は、複数の樹脂成分で構成された
海島構造を有していてもよい。また、接着剤層及び基材
層のうち、いずれか一方が発泡していてもよい。接着剤
層にシール層をヒートシールしたシートにおいては、シ
ール層の樹脂成分と、接着剤層の海成分を構成する樹脂
成分とを同系統の樹脂で構成してもよい。接着剤層及び
基材層は、通常、それぞれスチレン系樹脂及びオレフィ
ン系樹脂で構成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐熱性及び成形性
に優れるとともに、密封性及び易開封性を両立できる熱
可塑性樹脂シート、及びこのシートで形成され、かつ食
品用容器として有用な容器に関する。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂は、高い剛性を有すると
ともに、溶融時の熱安定性及び流動性が良好で成形性に
優れており、その成形品は、食品用容器などの包装容
器、日用品、電気製品など種々の分野で使用されてい
る。一方、スチレン系樹脂は、耐熱性及び耐油性に劣る
ため、惣菜などを収容したスチレン系樹脂容器を直接電
子レンジなどで加熱すると、容器が変形する。容器の変
形は、収容された食品が油脂を含む食品(例えば、ギョ
ウザなど)の場合に顕著である。このようなスチレン系
樹脂の欠点を改善するために、耐熱性や耐油性の高い熱
可塑性樹脂シートでスチレン系樹脂容器を被覆する方法
が知られている。しかし、この方法では、製造工程が複
雑になるばかりか、コストアップにもなり工業的に不利
である。
【0003】また、耐熱性の高い樹脂とスチレン系樹脂
とを混合し、押出成形によって容器を得る方法が提案さ
れている。このような複合シートを使用して得られた容
器は、密封性を高めるために、同系統の樹脂シート又は
フィルムでヒートシールが行われ、接着力の高い容器が
得られる。しかし、容器内の収容物を取り出す場合、密
封性が高いために刃物などを使用しないと開封できな
い。一方、異種の樹脂シート又はフィルムをヒートシー
ルすると、開封性には優れるものの、密封性が低減す
る。そのため、密封性を高めるためには、接着剤が必要
となる。
【0004】このように、従来の方法では、相反する密
封性と易開封性とを両立させることができない。
【0005】また、スチレン系樹脂シートと他の熱可塑
性樹脂シートを積層した多層構造のシートやこのシート
で形成された容器が提案されている。例えば、特公昭6
2−8306号公報には、オレフィン系樹脂とスチレン
系樹脂とで構成された内層と、スチレン系樹脂シートの
外層とで構成され、前記内層縁部とオレフィン系樹脂か
らなる蓋材とをヒートシールして密封した容器が開示さ
れ、前記容器が易開封性に優れていることが記載されて
いる。しかし、この容器では、外層がスチレン系樹脂で
構成されているため、耐熱性及び低温衝撃性を向上でき
ない。
【0006】特開昭63−307072号公報及び特公
平5−63385号公報には、多層シートで形成された
多層容器本体と、この容器本体とフランジ部において接
着されたトップフィルムとからなるピール容器が開示さ
れている。この文献では、前記容器本体の内外層の層間
接着力を、前記フランジ部と前記トップフィルムの接着
力より小さくするとともに、前記フランジ部の容器開口
部側の内層に切り込みを設けて易開封性を向上させてい
る。しかし、このような容器では、トップフィルムの特
徴に応じて、層間接着力をコントロールする必要がある
とともに、構造が複雑化する。
【0007】このように、従来の多層シートでは、易開
封性をある程度改善できるものの、成形性及び耐熱性を
大きく改善しつつ、容器の密封性と易開封性とを両立さ
せるのは困難である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐熱
性及び低温衝撃性を向上でき、密封性と易開封性とを両
立できる熱可塑性樹脂シート及びこのシートで形成され
た容器を提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、密封性及び易開封性
に優れ、耐熱性や耐油性を大きく改善できる熱可塑性樹
脂シート及びこのシートで形成され、かつ電子レンジな
どの加熱食品用容器としても有用な容器を提供すること
にある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討した結果、接着剤層と、複数の
樹脂成分で構成された網目構造を有する基材層とを組み
合わせることにより、成形性、耐熱性及び低温衝撃性に
優れるとともに、接着剤層に対するシール層のヒートシ
ール強度をコントロールでき、易開封性に優れた熱可塑
性樹脂シートが得られることを見いだし、本発明を完成
した。
【0011】すなわち、本発明の熱可塑性樹脂シート
は、接着剤層と、複数の樹脂成分で構成された網目構造
を有する基材層とで構成されている。接着剤層は、複数
の樹脂成分で構成された海島構造を有していてもよい。
また、接着剤層及び基材層のうち、いずれか一方が発泡
していてもよい。接着剤層にシール層をヒートシールす
るためのシートでは、このシール層の樹脂成分と、接着
剤層の海成分を構成する樹脂成分とが同系統の樹脂で構
成されていてもよい。接着剤層及び基材層は、通常、そ
れぞれスチレン系樹脂及びオレフィン系樹脂を組み合わ
せた樹脂で構成されている。接着剤層とシール層とのヒ
ートシール強度は、200〜2500g/15mm程度
である。なお、本発明には、前記熱可塑性樹脂シートで
形成された容器も含まれる。
【0012】
【発明の実施の形態】[接着剤層]接着剤層は、基材層
及びシール層に対して、それぞれ接着可能であればよ
く、その構造については特に制限されず、例えば、易開
封性及び密封性を両立できる接着剤を用いて形成しても
よいが、通常、複数の樹脂成分で構成された海島構造を
有する。海島構造は、互いに非相容性(非混和性)の海
成分(海ポリマー)および島成分(島ポリマー)とを含
んでおり、相分離による海島構造(分散構造)を形成し
ている。また、海島構造では、MD方向(引き取り方
向)及びTD方向(幅方向)のいずれかの方向におい
て、島成分が、粒子状や繊維状の形態で互いに独立した
状態で存在する。このような海島構造を利用すると、シ
ール層に対するヒートシール強度をコントロールでき、
密封性と易開封性とを両立できる。
【0013】島成分の形状は、特に制限されず、円状、
楕円状、棒状、繊維状などいずれであってもよい。島成
分が粒子状である場合、島成分の直径サイズ(平均直
径)は、例えば、0.1〜30μm、好ましくは0.5
〜20μm、さらに好ましくは1〜10μm程度であ
る。島成分が楕円形状又は棒状である場合、長軸は、1
〜50μm、好ましくは5〜30μm程度であり、短軸
は、0.1〜30μm、好ましくは0.5〜15μm程
度であり、アスペクト比は、1〜1000、好ましくは
10〜500程度である。島成分が繊維状である場合、
平均繊維径は、0.01〜10μm、好ましくは0.1
〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μm程度であ
る。
【0014】接着剤層を構成する樹脂は、上記のような
海島構造を形成可能(つまり、互いに非相溶性の樹脂)
であれば特に制限されず、例えば、スチレン系樹脂、オ
レフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂(例えば、ナイロン
6,ナイロン66,ナイロン6/10,ナイロン6/1
1,ナイロン6/12など)、ポリエステル系樹脂(例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、アル
キレンテレフタレートを主成分とするコポリエステルな
ど)などの樹脂が使用できる。好ましい樹脂の組み合わ
せは、スチレン系樹脂及びオレフィン系樹脂である。ス
チレン系樹脂とオレフィン系樹脂とを組み合わせた海島
構造では、成形性、剛性などのスチレン系樹脂の特性
と、耐油性などのオレフィン系樹脂の特性とを両立でき
る。
【0015】スチレン系樹脂としては、スチレン系単量
体の単独又は共重合体などが挙げられる。スチレン系単
量体としては、例えば、芳香族ビニル単量体[例えば、
スチレン、アルキルスチレン(例えば、o−,m−,p
−メチルスチレンなどのビニルトルエン類、2,4−ジ
メチルスチレンなどのビニルキシレン類、p−エチルス
チレン、p−t−ブチルスチレンなどのC1-4アルキル
置換スチレン類)、α−アルキル置換スチレン(例え
ば、α−メチルスチレン、α−メチル−4−メチルスチ
レンなど)、ハロゲン置換スチレン(例えば、p−クロ
ロスチレン、ブロモスチレンなど)などが例示できる。
これらのスチレン系単量体は単独で又は二種以上組合せ
て使用できる。好ましいスチレン系単量体には、スチレ
ン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどが含ま
れ、特にスチレンが好ましい。
【0016】なお、スチレン系樹脂は、スチレン系単量
体と共重合性ビニル単量体との共重合体であってもよ
い。共重合性ビニル単量体としては、例えば、(メタ)
アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メ
タ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチ
ルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの(メ
タ)アクリル酸C1-20(好ましくはC1-8)アルキルエ
ステルなど]、シアン化ビニル系単量体[例えば、(メ
タ)アクリロニトリルなど]、カルボキシル基含有単量
体又はその無水物[例えば、(メタ)アクリル酸、マレ
イン酸、無水マレイン酸、フマル酸など]、ヒドロキシ
ル基含有単量体[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒ
ドロキシC2-4アルキル(メタ)アクリレートなど]、
エポキシ基含有単量体[例えば、グリシジル(メタ)ア
クリレートなど]、イミド系単量体[例えば、マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N
−フェニルマレイミドなど]、ビニルエステル系単量体
[例えば、酢酸ビニルなど]などが挙げられる。これら
の共重合性ビニル単量体は単独で又は二種以上組合せて
使用できる。
【0017】共重合性ビニル単量体の使用量は、スチレ
ン系単量体100重量部に対して、0〜100重量部、
好ましくは0〜50重量部、さらに好ましくは0〜25
重量部程度の範囲から選択できる。
【0018】また、スチレン系樹脂は、必要であれば、
混練、グラフト又はブロック共重合などによりゴム成分
を含有していてもよい。このゴム含有スチレン系樹脂中
のゴム成分としては、例えば、共役ジエン系ゴム(ポリ
ブタジエン、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジ
エン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレンなど
の非スチレン系ゴム;ブタジエン−スチレン共重合体、
スチレン−イソプレンゴムなどのスチレン系ゴムな
ど)、エチレン−プロピレンゴム(EPDMゴム)、ア
クリルゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポ
リエチレンなどが例示できる。なお、ブタジエンゴム
は、シス−1,4−構造の含有率の高いハイシス型、又
はシス−1,4−構造の含有率の低いローシス型のいず
れであってもよい。ゴム含有スチレン系樹脂のゴム成分
の含有量は、5〜70重量%、好ましくは6〜50重量
%程度である。
【0019】なお、共重合体の重合形態は、特に制限さ
れす、グラフト、ブロック、ランダム、テーパーブロッ
クなどであってもよい。また、ブロック共重合体の構造
も、特に制限されず、線状であってもよく、スター状で
あってもよい。
【0020】スチレン系樹脂としては、例えば、ポリス
チレン(GPPS)、スチレン−メタクリル酸メチル共
重合体(MS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重
合体(AS樹脂)、ゴム含有スチレン系樹脂[例えば、
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、アクリロニトリル
−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(ABS樹脂)、ブタ
ジエン−スチレン−無水マレイン酸共重合体(ゴム変性
スチレン−無水マレイン酸共重合体)、アクリロニトリ
ル−エチレンプロピレンゴム−スチレン樹脂(AES樹
脂)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−メタクリル
酸メチル−スチレン樹脂(ABSM樹脂)、アクリロニ
トリル−n−ブチルアクリレートゴム−スチレン樹脂
(AAS樹脂)、アクリロニトリル−エチレン−酢酸ビ
ニル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエ
チレン−スチレン樹脂などのグラフト共重合体;スチレ
ン−ブタジエン共重合体(SB樹脂)、スチレン−ブタ
ジエン−スチレン共重合体(SBS樹脂)、スチレン−
イソプレン−スチレン共重合体(SIS樹脂)などのブ
ロック共重合体]などが挙げられる。また、ゴム含有ス
チレン系樹脂は、水添物であってもよい。
【0021】スチレン系樹脂(ゴム含有スチレン系樹脂
では、マトリックスを構成するスチレン系樹脂)の重量
平均分子量は、1×104〜10×105、好ましくは2
×104〜5×105、さらに好ましくは5×104〜3
×105程度である。
【0022】なお、ゴム含有スチレン系樹脂を含む樹脂
組成物のゴム成分の含有量は、0.5〜20重量%(例
えば、1〜20重量%)、好ましくは1〜18重量%
(例えば、3〜15重量%)、さらに好ましくは4〜1
5重量%(例えば、5〜15重量%)、特に5〜10重
量%程度である。
【0023】スチレン系樹脂(ゴム含有スチレン系樹脂
では、マトリックスを構成するスチレン系樹脂)の重量
平均分子量は、1×104〜10×105、好ましくは2
×104〜5×105、さらに好ましくは5×104〜3
×105程度である。
【0024】オレフィン系樹脂としては、オレフィンの
単独又は共重合体が挙げられる。オレフィンとしては、
例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテ
ン、4−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチ
ル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどの
2-10−α−オレフィンなどが挙げられる。これらのオ
レフィンは、単独で又は二種以上組み合わせて使用して
もよい。好ましいオレフィンとしては、エチレン、プロ
ピレン、特にプロピレンなどが挙げられる。
【0025】オレフィン系樹脂は、オレフィンと共重合
性モノマーとの共重合体であってもよい。共重合性モノ
マーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル
(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチルなど);ビニルエステル類(例えば、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニルなど);ノルボルネン、エチ
リデンノルボルネンおよびシクロペンタジエンなどの環
状オレフィン;ブタジエン、イソプレンなどのジエンな
どが例示される。共重合性モノマーは、単独で又は2種
以上組み合わせて使用できる。共重合性モノマーの使用
量は、オレフィン100重量部に対して、0〜100重
量部、好ましくは0〜50重量部、さらに好ましくは0
〜25重量部程度の範囲から選択できる。
【0026】オレフィン系樹脂としては、ポリエチレン
系樹脂(例えば、低、中又は高密度ポリエチレン、線状
低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマ
ー、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル、エチレン
−酢酸ビニル共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂
(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重
合体、プロピレン−ブテン共重合体、プロピレン−エチ
レン−ブテン共重合体などのプロピレン含量80重量%
以上のプロピレン系樹脂など)、メチルペンテン樹脂な
どが挙げられる。好ましいオレフィン系樹脂は、ポリプ
ロピレン系樹脂である。
【0027】前記海島構造は、海成分(マトリックス)
及び島成分の溶融粘度、流動性(メルトインデックスな
ど)、含有量を調整することにより形成できる。また、
海成分及び島成分の溶液粘度、流動性や含有量、混練条
件(温度、剪断力など)は、島成分のサイズや形状に大
きな影響を及ぼす。例えば、溶融粘度の異なる2成分の
樹脂を使用した場合、一般的に、溶融粘度が高く、かつ
含有量が多い樹脂が海成分(マトリックス)となり易
い。
【0028】島成分の割合は、海成分の種類に応じて島
成分を安定に形成できる範囲(例えば、海成分及び島成
分の総量に対して固形分換算で0.5〜40重量%)か
ら適当に選択でき、例えば、海成分及び島成分の総量に
対して、固形分換算で、1〜40重量%(例えば、5〜
35重量%)、好ましくは5〜30重量%(例えば、5
〜25重量%)程度である。島ポリマーの割合が多すぎ
ると、島成分が経時的に融合し易く、島成分のサイズを
制御することが困難となり、島ポリマーの割合が少なす
ぎると、分散した粒子状の島成分の生成効率が低下しや
すい。
【0029】さらに、樹脂の含有量とメルトインデック
ス(MI)とを組み合わせて調整すれば、島成分のサイ
ズや形状をより精度よく制御できる。より具体的には、
スチレン系樹脂(メルトインデックス測定方法:200
℃/荷重5kg)、及びオレフィン系樹脂(メルトイン
デックス測定方法:230℃/荷重2.16kg)を例
に説明すると、MI 4g/10分以上(例えば、4〜
60g/10分、好ましくは10〜50g/10分程
度)のスチレン系樹脂10〜40重量%(例えば、10
〜35重量%)程度と、MI 4g/10分未満(例え
ば、0.1〜3.5g/10分、好ましくは0.5〜3
g/10分程度)のオレフィン系樹脂60〜90重量%
(例えば、60〜80重量%)程度とを組み合わせる
と、スチレン系樹脂を島成分、オレフィン系樹脂を海成
分とする海島構造が得られ、MI 4g/10分未満
(例えば0.1〜3.5g/10分、好ましくは0.5
〜3g/10分程度)のスチレン系樹脂を60〜90重
量%(例えば60〜80重量%)程度、MI 4g/1
0分以上(例えば4〜60g/10分、好ましくは10
〜50g/10分程度)のオレフィン系樹脂を10〜4
0重量%(例えば10〜35重量%)程度とを組み合わ
せるとスチレン系樹脂を海成分、オレフィン系樹脂を島
成分とする海島構造が得られる。
【0030】なお、オレフィン系樹脂(特に、ポリプロ
ピレン系樹脂)がマトリックスを構成すると、耐油性も
大きく向上できる。
【0031】前記溶液粘度は、種々の方法、例えば、島
ポリマー及び海ポリマーの分子量、置換基の種類、置換
度などの調整などによりコントロール可能である。 [基材層]基材層は、複数の樹脂成分が、MD方向及び
TD方向のいずれの方向においても網目状に互いに連な
った状態で混在した相分離構造、すなわち網目構造(連
続構造)を有している。
【0032】基材層を構成する樹脂としては、前記接着
剤相の項で例示した樹脂が使用できる。接着剤層との密
着性を高めるために、基材層の樹脂成分としては、接着
剤層と同系統の樹脂を使用するのが好ましい。好ましい
樹脂の組み合わせとしては、スチレン系樹脂とオレフィ
ン系樹脂との組み合わせである。なお、スチレン系樹脂
とオレフィン系樹脂とがそれぞれ連続して分散した網目
構造(両連続構造)の基材層は、耐熱性、耐油性、低温
耐衝撃性などを高いレベルで向上できる。
【0033】上記のような網目構造も、各樹脂の溶融粘
度、流動性や含有量、混練条件などを調整することによ
り得ることができる。網目構造は、例えば、2成分の樹
脂で構成されている場合、各成分の割合をほぼ等量(例
えば、一方の樹脂/他方の樹脂=40/60〜60/4
0(重量比)程度)にすることにより形成できる。ま
た、一方の樹脂の溶融粘度を低くすると、広い量的割合
でも網目構造を形成できる。例えば、一方の樹脂/他方
の樹脂=30/70〜70/30(重量比)程度であっ
ても、網目構造を形成できる。
【0034】さらに、樹脂の含有量とメルトインデック
スとを組み合わせて調整すれば、島成分のサイズや形状
をより精度よく制御できる。より具体的には、スチレン
系樹脂及びオレフィン系樹脂を例に説明すると、MI
5g/10分以上(例えば、5〜60g/10分、好ま
しくは10〜50g/10分程度)のオレフィン系樹脂
20〜80重量%(例えば、20〜70重量%、好まし
くは25〜65重量%)程度と、MI 7g/10分以
下(例えば、0.1〜7g/10分、好ましくは1〜6
g/10分程度)のスチレン系樹脂20〜80重量%
(例えば、20〜60重量%、好ましくは30〜50重
量%)程度とを組み合わせると、スチレン系樹脂とポリ
オレフィン系樹脂との網目構造(両連続構造)が得られ
る。
【0035】なお、各樹脂層に3以上の樹脂成分を使用
する場合であっても、上述の条件(例えば、メルトイン
デックス、含有量)を調整することにより、海島構造や
網目構造を形成できる。
【0036】本発明では接着剤層及び基材層に、相溶化
剤を添加してもよい。相溶化剤は、使用する樹脂の種類
に応じて選択できる。スチレン系樹脂及びオレフィン系
樹脂を使用する場合の相溶化剤としては、例えば、ス
チレン系単量体と、共役ジエン化合物とのランダム又は
ブロック共重合体又はその水素添加物、スチレン系単
量体と、共役ジエン化合物に由来する二重結合がエポキ
シ化されたエポキシ変性共重合体又はその水素添加物、
スチレン系樹脂の構成単位となるスチレン系単量体
と、オレフィン系樹脂の構成単位となるオレフィンとの
共重合体、オレフィン系樹脂に官能基(例えば、カル
ボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、エステル基な
ど)を導入した変性オレフィン系樹脂などが挙げられ
る。スチレン系単量体、共役ジエン化合物及びオレフィ
ンとしては、前記接着剤層の項で例示した化合物が使用
できる。
【0037】代表的な水素添加共重合体としては、例え
ば、水素添加ゴム変性スチレン系樹脂(スチレン−エチ
レン−ブチレン−スチレン(SEBS)共重合体、スチ
レン−エチレン−プロピレン−スチレン(SEPS)共
重合体など)が例示できる。なお、水素添加共重合体に
は、スチレン系単量体と少なくとも一種のα−オレフィ
ンとのランダム又はブロック共重合体も含まれる。
【0038】エポキシ変性共重合体としては、同一分子
内に、スチレン系単量体(スチレンなど)を主体とする
重合体ブロック(ポリスチレンブロックなど)と、共役
ジエン化合物(ブタジエン,イソプレンなど)を主体と
する重合体ブロック(ポリブタジエンブロックなど)と
で構成されたブロック共重合体またはその部分水添物の
うち、共役ジエン化合物に由来する二重結合がエポキシ
化されたエポキシ変性ブロック共重合体などが例示でき
る。スチレン系単量体と共役ジエン化合物との割合は、
前者/後者=5/95〜95/5(重量比)程度の範囲
から適当に選択できる。
【0039】相溶化剤の使用量は、前記スチレン系樹脂
及びオレフィン系樹脂の総量100重量部に対して、
0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜15重量部、
さらに好ましくは1〜15重量部程度であり、通常、1
〜10重量部程度の範囲から選択できる。
【0040】本発明では、各樹脂層は、必要により、添
加剤(例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤,熱安定剤な
どの安定剤,難燃剤,滑剤,離型剤,帯電防止剤,タル
クなどの充填剤、顔料などの着色剤,高級脂肪酸などの
分散剤、可塑剤、帯電付与剤、シリコーンなどの帯電防
止剤など)を含んでいてもよい。
【0041】[熱可塑性樹脂シート]熱可塑性樹脂シー
トは、発泡又は未発泡のいずれであってもよい。熱可塑
性樹脂シートの層構造としては、少なくとも基材層と接
着剤層とが積層された2層構造であればよく、基材層の
両面に接着剤層が積層した3層構造であってもよい。ま
た、前記2層構造又は3層構造の樹脂層(特に外側層)
に、他の層(例えば、オレフィン系樹脂層など)が積層
した層構造であってもよく、発泡又は未発泡シートの表
面にはスキン層が形成されていてもよい。なお、各樹脂
層は、直接積層してもよく、エポキシ基を含有する樹脂
層などの接着層を、接着剤層と基材層との間に介在させ
てもよい。
【0042】本発明の熱可塑性樹脂シート、未延伸シー
トであってもよく、一軸又は二軸延伸シートであっても
よい。延伸倍率は、各延伸方向について1.2〜10倍
程度である。
【0043】各樹脂層の厚みは、所望する特性に応じて
調整でき、例えば、接着剤層の厚みは、10〜500μ
m、好ましくは50〜300μm程度である。接着剤層
と基材層との厚みの割合は、前者/後者=0.1/1〜
5/1、好ましくは0.3/1〜3/1、さらに好まし
くは0.5/1〜1/1程度である。
【0044】なお、熱可塑性樹脂シート全体の厚みは、
0.1〜3mm、好ましくは0.3〜2.5mm(例え
ば、0.3〜2mm)、さらに好ましくは0.4〜1.
5mm、特に0.45〜1mm程度であってもよい。厚
みが0.1mm未満であると容器の腰、断熱性が悪く、
3mmを越えると、容器のスタック性が低下し嵩張る。
【0045】また、本発明の樹脂シートは、基材層及び
接着剤層の少なくともいずれか一方が、発泡していても
よい。発泡層又は発泡シートは、慣用の方法、例えば、
発泡剤を添加して押出成形する方法、発泡ガス原料
を樹脂成分に注入しながら押出成形する方法、液状の
発泡ガス原料を樹脂成分に含浸させて、押出成形する方
法などによって行われる。
【0046】発泡シートの発泡倍率は、1.1〜3倍
(例えば、1.3〜2.5倍)、好ましくは1.1〜
2.2倍程度の範囲から選択できる。発泡倍率が1.1
倍未満であると、保温性、断熱性が低下するとともに、
外観が損なわれる。また、3倍を越えると容器のスタッ
ク性が低下し嵩張る。
【0047】発泡シートの単位厚さ当たりの平均気泡膜
数は、1〜50個/mm(例えば、5〜50個/m
m)、好ましくは5〜45個/mm(例えば、5〜40
個/mm)、さらに好ましくは10〜40個/mm程度
である。平均気泡膜数が50個/mmを越えると、発泡
シートの強度が低下し、シートの腰、耐衝撃性が低下す
る。1個/mm未満では保温性が低下し、容器成形過程
での延伸により気泡が目立ちやすくなり、外観が低下す
る。なお、平均気泡膜数は、例えば、押出し温度、混練
条件、冷却条件などの製造条件により調整できる。
【0048】平均気泡膜数の多い発泡シート(例えば、
20〜50個/mm程度の発泡シート)は、組織が緻密
であり、均一性が高く、発泡シートの表面光沢を向上さ
せるのに有用である。
【0049】本発明の樹脂シートの表面光沢は、JIS
K7105に規定する方法(入射角60°)で測定し
たとき、10%以上(例えば、12〜99%)、好まし
くは13%以上(例えば、15〜99%)、さらに好ま
しくは18%以上(例えば、20〜90%)程度であ
る。表面光沢が10%未満であると、容器の表面外観が
低下するとともに、成形時の延伸により光沢が低下す
る。
【0050】発泡剤(又は発泡ガス原料)としては、慣
用の化合物、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘ
キサンなどの揮発性発泡剤、炭酸アンモニウム、重炭酸
アンモニウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウ
ム、アゾ化合物(アゾビスイソブチロニトリル、アゾジ
カルボンアミド、ジアゾアミノベンゼンなど)、スルホ
ニルヒドラジド化合物(ベンゼンスルホニルヒドラジ
ド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、ジフェニルオ
キシ−4,4′−ビススルホニルヒドラジドなど)、ニ
トロソ化合物(N,N′−ジニトロソペンタメチレンテ
トラミンなど)などの化学発泡剤(分解型発泡剤)、二
酸化炭素、窒素ガス、水などが例示できる。また、液状
プロパンなどの液体発泡剤を使用してもよい。これらの
発泡剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用しても
よい。発泡剤の含有量は、例えば、各層の樹脂成分10
0重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.3
〜2.5重量部、さらに好ましくは0.5〜1.5重量
部程度である。
【0051】また、平均気泡膜数を調整するために、各
樹脂層は核剤を含んでいてもよい。核剤としては、無機
微粉末、例えば、タルク、シリカ、ケイソウ土、クレ
ー、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙
げられる。核剤の使用量は、所望する平均気泡膜数など
に応じて選択でき、例えば、各樹脂層の樹脂成分100
重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.5
〜5重量部程度の範囲から選択できる。
【0052】そして、本発明の熱可塑性樹脂シートは、
少なくとも下記(a)〜(d)から選択された少なくと
も1種の特性を備えている。
【0053】(a)シートの表面光沢が10%以上 (b)シートの厚みが0.1〜3mm (c)発泡倍率が1.1〜3倍、および (d)単位厚さ当たりの平均気泡膜数が1〜50個/m
m なお、未発泡熱可塑性樹脂シートでは、前記特性(a)
及び(b)から選択された少なくとも1種の特性を備え
ており、発泡熱可塑性樹脂シートでは、前記特性(a)
〜(d)から選択された少なくとも1種の特性を備えて
いる。
【0054】本発明の熱可塑性樹脂シートは、接着剤層
と基材層とを同系統の樹脂で構成することにより、密着
性を高めるとともに、各樹脂の特性を高いレベルで維持
できる。特に、スチレン系樹脂及びオレフィン系樹脂を
使用すると、各樹脂層での分散構造の相違によって異な
る特性が得られ、成形性、耐熱性、耐油性、低温衝撃性
を大きく改善できる。
【0055】熱可塑性樹脂シートの製造方法は、特に制
限されず、各樹脂層に対応するフィルムを熱接着又は接
着剤などによりラミネートしてもよいが、通常、各樹脂
層に対応する樹脂を用いる共押し出し成形などの慣用の
シート成形法により行われる。例えば、前記樹脂成分
(必要により発泡剤成分)を押出し成形機に供給し、溶
融混練してダイ(フラット状、T状(Tダイ)、円筒状
(サーキュラダイ)など)から押出して成形(又は発泡
成形)することにより得ることができる。前記ダイは、
熱可塑性樹脂シートの厚みに対応するリップ開度を有し
ていればよい。シート成形法により得られたシートは、
必要により一軸又は二軸延伸してもよい。なお、シート
表面は、コロナ放電、プラズマ処理などの慣用の方法に
より表面処理してもよい。さらに、シートの表面には、
表面改質剤、防曇剤、帯電防止剤、離型剤(エマルジョ
ンなどの形態のポリシロキサンなど)などを塗布しても
よい。
【0056】[ヒートシール層]本発明の熱可塑性樹脂
シートは、容器成形し、前記接着剤層にシール層(ヒー
トシール層)をヒートシールして、密封性及び易開封性
を向上させるのに有用である。シール層を構成する樹脂
としては、前記接着剤層の海成分と同系統の樹脂(例え
ば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂など)が使用で
きる。
【0057】接着剤層とヒートシール層とのヒートシー
ル(接着)強度は、200〜2500g/15mm、好
ましくは300〜2000g/15mm(例えば、50
0〜2000g/15mm)、さらに好ましくは500
〜1500g/15mm程度である。ヒートシール強度
が、200g/15mm未満であると、高い密封性を確
保することが困難であり、容器の運搬中にヒートシール
層が剥がれたり、高温下で容器の内圧が上昇することに
よりヒートシール層が剥がれる虞がある。また、ヒート
シール強度が2500g/15mmを越えると、易開封
性を損なうとともに、開封時にヒートシール層が接着剤
層から剥離せず、無理に剥離しようとすると、シート又
は容器を破損する虞がある。なお、ヒートシール強度
は、接着剤層の分散構造(例えば、海島の程度、サイズ
など)を制御することにより調整できる。
【0058】本発明の容器(イージーピール容器)は、
基材層と、この基材層の上に積層された接着剤層とで構
成されている。また、容器は、収容部が形成された容器
本体部と、この容器本体部の側壁頂部から延出するフラ
ンジ部とを備えていてもよい。そして、このフランジ部
の接着剤層は、シール層(ヒートシール層)とヒートシ
ール可能である。すなわち、前記フランジ部でシール層
とのヒートシール接着により、容器は密封可能である。
さらに、シール層が接着剤層の海成分と同系統の樹脂で
構成されているため、海成分とは互いに密着し、密封性
を高めるとともに、島成分とは容易に剥離する。従っ
て、本発明の容器は、相反する密封性と易開封性とを両
立できる。さらに、本発明の容器は、接着剤層と網目構
造の基材層とで構成されているので、耐熱性、耐油性、
低温衝撃性、成形性にも優れている。
【0059】本発明の熱可塑性樹脂シートから容器を成
形する方法としては、例えば、真空成形、真空圧空成
形、熱板成形などの通常の熱成形法が挙げられる。な
お、本明細書において、「容器、トレー」とは、被収容
体を収容するための凹部を有する容器本体だけでなく、
蓋体を含んでいてもよい意味に用いる。蓋体は、容器本
体に対して、開閉可能である限り、取り外し可能であっ
てもよく、ヒンジ式に結合していてもよい。
【0060】従って、本発明の容器は、密封性及び易開
封性を両立できるとともに、耐熱性及び耐油性にも優れ
ているので、オーブンや電子レンジ用容器、熱湯を注ぐ
タイプの容器(例えば、インスタント食品用容器、紙コ
ップなど)、油脂分を含む食品(例えば、ギョウザなど
の油脂含有食品の他、油脂分が滲出する魚貝類などの食
品など)用容器、加熱殺菌に供される容器、非加熱容器
などとして有用である。特に、本発明の容器は、容器内
に内容物を充填した容器(特に、内容物を隙間なく充填
した容器)に有用である。このような充填容器は、豆
腐、プリン、ゼリーなどのゲル状食品容器として使用さ
れる。
【0061】
【発明の効果】本発明では、海島構造を有する接着剤層
と、網目構造の基材層とを積層させ、前記接着剤層の上
に接着剤層の海成分と同系統の樹脂成分で構成されたヒ
ートシール層を設けることにより、密封性と易開封性と
を両立できるとともに、成形性を維持しつつ、耐熱性、
耐油性及び低温衝撃性を大きく改善できる。
【0062】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0063】実施例1〜8及び比較例1〜12 表に示す割合でスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂
および相溶化剤、必要により発泡剤を含む組成物を用い
て溶融混練し、押出成形法により熱可塑性樹脂シートを
製造した。なお、表中の樹脂成分A及びBの割合は重量
%であり、相溶化剤及び発泡剤の割合は、樹脂成分A及
びBの総量100重量部に対する重量部である。なお、
実施例及び比較例で使用した成分を以下に示す。 [スチレン系樹脂] (A−1)ポリスチレン(東洋スチレン(株)製、#1
0(MI=29g/10分)) (A−2)ポリスチレン(東洋スチレン(株)製、#3
0(MI=3g/10分)) (A−3)耐衝撃性ポリスチレン(東洋スチレン(株)
製、S85(MI=3g/10分)) なお、スチレン系樹脂のメルトインデックス(g/10
分)は、温度200℃、荷重5kgで測定した。 [オレフィン系樹脂] (B−1)ポリプロピレン(グランドポリマー(株)
製、B101WA(MI=0.5g/10分)) (B−2)ポリプロピレン(グランドポリマー(株)
製、J108M(MI=40g/10分)) (B−3)ポリプロピレン(グランドポリマー(株)
製、FL100(MI=8g/10分)) なお、オレフィン系樹脂のメルトインデックス(g/1
0分)は、温度230℃、荷重2.16kgで測定し
た。 [相溶化剤] (C−1)ゴム含有スチレン系樹脂(JSR(株)製、
TR2003、ゴム含有量57重量%) [発泡剤] (D−1)セルマイク623(協和化成(株)製)
【0064】(1)表面光沢 熱可塑性樹脂シートの表面光沢を、JIS K7105
に準拠して入射角60°で測定した。
【0065】(2)ヒートシール強度 熱可塑性樹脂シート(シート原反)の接着層を、ポリプ
ロピレン複合フィルム(ポリエチレンテレフタレートフ
ィルム(PET)20μm/未延伸ポリプロピレンフィ
ルム(CPP)20μm)又はポリスチレンフィルム
(25μm)で覆い、日本理学工業(株)製のPM−R
型を用いてヒートシールした。なお、ポリプロピレン複
合フィルムは、CPP層をシート原反の接着剤層に重ね
てヒートシールした。その後、ヒートシール部分を15
mm幅に切り取り、引張試験機(テンシロン、オリエン
テック(株)製)により、10mm/minの引張速度
で180°剥離試験を行いヒートシール強度を測定し
た。 ○…500〜2000g/15mm △…200〜500g/15mm未満又は2000/1
5mmを越え、2500g/15mm未満 ×…200g/15mm未満又は2500g/15mm
以上
【0066】(3)耐油性 浅野研究所製の単発真空成形機を用いて成形したカップ
状の容器(開口部の直径が90mm、底面直径が70m
m、深さ80mm)に、100gの市販のサラダ油を入
れ、40℃のオーブン中で5日間放置した。その後、容
器の変形度合いを目視で観察し、下記の基準で評価し
た。 ○…異常(油漏れ、着色、クラックの発生、割れ発生)
なし △…着色又は油のしみ込みが若干見られたが、クラッ
ク、割れはなし ×…油漏れと着色が著しく、クラック、割れも発生した
【0067】(4)低温衝撃試験 浅野研究所製の単発真空成形機を用いて成形したカップ
状の容器(開口部の直径が90mm、底面直径が70m
m、深さ80mm)20個に、それぞれ、0〜5℃の水
100mlを入れ、容器外縁(フランジ部)をポリプロ
ピレンフィルム(PET20μm/CPP20μm)又
は、ポリスチレンフィルム(25μm)でヒートシール
した。このようにして密封した容器を30cm高さより
コンクリート床の上に落下させ、割れた容器の割合を調
べ、下記の基準で評価した。 ○…10%未満 △…10〜50% ×…50%を越える
【0068】(5)耐熱性 浅野研究所製の単発真空成形機を用いて成形したカップ
状容器(開口部の直径が90mm、底面直径が70m
m、深さ80mm)に、100gの市販サラダ油(日清
製油(株)製)を入れ、500Wの電子レンジにて5分
間加熱した。加熱後の容器の変形度合を目視で観察し、
下記の基準で評価した。 ○…変形がなく、表面に溶融痕もない △…変形が若干見られるか又は表面に溶融痕が見られた ×…変形が大きく、かつ表面に溶融痕が見られた
【0069】(6)平均気泡膜数 発泡シートの幅方向から超薄切り切片を採取し、光学顕
微鏡にて観察できる気泡膜を厚み方向に数え、その個数
を1mm当たりに換算した。結果を表1〜4に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3E049 AA05 DB10 3E067 BA07A BA10A BB14A BB17A BB25A BC02A CA30 EB17 3E086 AD05 AD06 BA04 BA15 BA16 BA42 BB41 BB51 BB90 4F100 AK01A AK01B AK03A AK03B AK07 AK12A AK12B AK12J AK29 AK29J AL01 AR00B AT00A BA02 BA33 CB03B DA01 DC11A DJ01A DJ01B GB16 GB23 JB07 JJ03 JK06 JK10 JL01 JL12 JL12B JL14 YY00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡又は未発泡熱可塑性樹脂で構成され
    たシートであって、接着剤層と、複数の樹脂成分で構成
    され網目構造を有する基材層とで構成されている熱可塑
    性樹脂シート。
  2. 【請求項2】 接着剤層が、複数の樹脂成分で構成され
    た海島構造を有する請求項1記載の熱可塑性樹脂シー
    ト。
  3. 【請求項3】 接着剤層及び基材層のうち、いずれか一
    方が発泡している請求項1記載の熱可塑性樹脂シート。
  4. 【請求項4】 接着剤層にシール層をヒートシールする
    ためのシートであって、このシール層の樹脂成分と、接
    着剤層の海成分を構成する樹脂成分とが同系統の樹脂で
    ある請求項2記載の熱可塑性樹脂シート。
  5. 【請求項5】 接着剤層及び基材層が、それぞれスチレ
    ン系樹脂及びオレフィン系樹脂で構成されている請求項
    1記載の熱可塑性樹脂シート。
  6. 【請求項6】 接着剤層とシール層とのヒートシール強
    度が、200〜2500g/15mmである請求項4記
    載の熱可塑性樹脂シート。
  7. 【請求項7】 下記(a)〜(d)から選択された少な
    くとも1種の特性を有する請求項1記載の熱可塑性樹脂
    シート。 (a)シートの表面光沢が10%以上 (b)シートの厚みが0.1〜3mm (c)発泡倍率が1.1〜3倍、および (d)単位厚さ当たりの平均気泡膜数が1〜50個/m
  8. 【請求項8】 請求項1記載の熱可塑性樹脂シートで形
    成された容器。
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