JP3459354B2 - 積層発泡体とそれを用いた発泡成形体 - Google Patents

積層発泡体とそれを用いた発泡成形体

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JP3459354B2
JP3459354B2 JP07809298A JP7809298A JP3459354B2 JP 3459354 B2 JP3459354 B2 JP 3459354B2 JP 07809298 A JP07809298 A JP 07809298A JP 7809298 A JP7809298 A JP 7809298A JP 3459354 B2 JP3459354 B2 JP 3459354B2
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foamed
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恵造 小野
英志 浅田
雅浩 新堂
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばトレイ、
丼、カップなどの食品容器などに使用される積層発泡体
と、それを用いた、上記食品容器などに適した発泡成形
体とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえばスーパーマーケットの店頭など
で、食品を収容した状態で販売される食品容器としては
従来、スチレンの単独重合体(ポリスチレン)からなる
単層の発泡シートを、真空成形などの方法で熱成形した
ものが主流であった。しかし近年の、一般家庭などへの
電子レンジの普及や、あるいはコンビニエンスストアの
増加などにともなって、たとえばあらかじめ加熱前の段
階まで調理された食品を、その容器ごと電子レンジで加
熱調理する機会が増加する傾向にあり、食品容器に耐熱
性が要求されるようになってきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の要求に対応すべ
く、はじめに非発泡のポリプロピレン製の容器が検討さ
れたが、このものは断熱性が十分でなく、たとえば陶磁
器製の食器に食品を移しかえて加熱調理した場合と同様
に、加熱調理された食品の熱によって容器自体も高温に
なって、電子レンジから素手で取り出せないといった問
題を生じるために、とくに食べるまでの取り扱いの簡便
さが重要視される、上記のような食品の容器には適さな
かった。
【0004】そこでつぎに、電子レンジなどによる加熱
調理に対する耐熱性にすぐれる上、断熱性にもすぐれた
食品容器用の素材として、スチレンと、(メタ)アクリ
ル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸な
どとの共重合体を主体とする発泡シートが提案された
(たとえば特開平3−109441号公報、特公平4−
55586号公報など)。
【0005】しかしこれらの発泡シートは耐油性が不十
分で、とくに油分の多い食品を収容した状態で加熱調理
すると、高温の油によって容器の内面が侵されるおそれ
があった。そこで通常は、耐油性を必要とする面(主に
容器の内面)に、プロピレン系樹脂やポリエチレンテレ
フタレートなどの耐油性のフィルムを積層して、容器の
耐油性を向上させている。
【0006】しかし、かかる方法を採用した積層シート
は、発泡シートとフィルムの両層を形成する上記の樹脂
が互いに相溶性、接着性を有しないために、当該両層を
積層、接着するのに特殊な接着剤が必要であり、汎用性
の高い食品容器などの素材として使用するにはコストが
高くつきすぎるという問題があった。そこでつぎに、
(A) ゲルパーミェーションクロマトグラフによる分子量
分布曲線のうち高分子領域に、分岐ポリマーを含むこと
を示すカーブの張り出しのある分子量分布を示すプロピ
レン系樹脂と、(B) プロピレンとα−オレフィンとを共
重合させたプロピレン系共重合樹脂との混合物を発泡さ
せた発泡シートが提案された(特開平6−192460
号公報)。
【0007】しかし上記の発泡シートは、プロピレン系
樹脂自体の特性上、スチレン系樹脂の発泡シートに比べ
て、その重量当たりの強度が低いために、実用に適した
強度を有する容器を得ようとすると重量をかなり大き
く、つまり容器1個当たりの樹脂の使用量を多くしなけ
ればならないため、上記(A)(B)の樹脂がともに特殊な樹
脂であることと相まって、やはり汎用性の高い食品容器
などの素材として使用するにはコストが高くつきすぎる
という問題があった。
【0008】本発明の目的は、耐熱性、断熱性および耐
油性にすぐれた食品容器などを、より低コストで製造し
うる新規な積層発泡体と、かかる積層発泡体から形成さ
れた、上記食品容器などとして好適な発泡成形体とを提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の、本発明の積層発泡体は、 (i) スチレン系樹脂からなる連続相中に、スチレン系樹
脂からなる単一の連続相を内包するゴム状重合体が分散
した、単一オクルージョン型の分散粒子形状を有するゴ
ム変性スチレン系樹脂と、オレフィン系樹脂との混合物
の発泡層と、 (ii)スチレン系樹脂の発泡層と、が積層されたことを特
徴とするものである。
【0010】また本発明の発泡成形体は、上記の積層発
泡体を熱成形したことを特徴とするものである。かかる
本発明によれば、スチレン系樹脂にオレフィン系樹脂を
混合して耐熱性、耐油性を向上させるとともに、発泡さ
せることで断熱性を向上させた上記(i)の発泡層を、(i
i)の通常のスチレン系樹脂の発泡層の、耐熱性や耐油性
を必要とする面(内面または内外両面)に積層している
ため、とくに加熱調理に使用する際の耐熱性、断熱性お
よび耐油性にすぐれた食品容器などを製造することが可
能となる。
【0011】また本発明によれば、 上記(i) の発泡層に含まれるスチレン系樹脂によっ
て、当該発泡層を形成する混合物の、(ii)の発泡層を形
成するスチレン系樹脂との良好な相溶性、接着性が維持
されるため、特殊な接着剤などを使用せずに直接に、た
とえば両層を熱接着などするだけで、層間はく離のおそ
れのない積層発泡体を製造できるとともに、 かかる積層発泡体は、その全体が、上記のようにス
チレン系樹脂を主体とする、いずれも汎用の安価な樹脂
にて形成されており、しかも 上記のスチレン系樹脂は重量当たりの強度が高く、
容器1個当たりの樹脂の使用量が少なくて済むので、 これらのことが相まって、食品容器などの発泡成形体
を、より低コストで製造することが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を説明する。本発
明の積層発泡体は、前記のように、 (i) スチレン系樹脂からなる連続相中に、スチレン系樹
脂からなる単一の連続相を内包するゴム状重合体が分散
した、単一オクルージョン型の分散粒子形状を有するゴ
ム変性スチレン系樹脂と、オレフィン系樹脂との混合物
の発泡層と、 (ii)スチレン系樹脂の発泡層と、が積層されたことを特
徴とするものである。
【0013】このうち(i) の発泡層を形成するスチレン
系樹脂(S) としては、上記のゴム変性スチレン系樹脂に
さらに、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステル
および酢酸ビニルからなる群より選ばれた少なくとも1
種とエチレンとの共重合体を含有させてなり、近時、ハ
イインパクトポリスチレンの1種でありながら、これま
でのものよりもさらに耐衝撃性が高く、ABSに匹敵す
る高い耐衝撃性を有する上、コスト面でもABSに十分
に対抗できるものと期待されているゴム変性スチレン系
樹脂が、とくに好適に使用される。
【0014】かかるゴム変性スチレン系樹脂は、上記の
各特性にすぐれるだけでなく、それ自体がプロピレン系
樹脂との相溶性にもすぐれるため、後述する相溶化剤を
必要とせずに、均一でかつ良好な発泡層を形成できて、
食品容器などのより一層の低コスト化に貢献できるとい
う利点がある。
【0015】記ゴム変性スチレン系樹脂のもとになる
スチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体の他、
スチレンと、他のビニルモノマーとの共重合体なども使
用できる。スチレンと共重合可能な他のビニルモノマー
としては、たとえばα−メチルスチレン、アクロニトリ
ル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどがあげ
られる。これらのスチレン系樹脂はそれぞれ単独で使用
される他、2種以上を併用することもできる。
【0016】また、かかるスチレン系樹脂中に分散され
るゴム状重合体としては、積層発泡体に耐衝撃性を付与
する効果などを考慮すると、とくにジエン系ゴムが好ま
しく、かかるジエン系ゴムとしてはたとえばポリブタジ
エン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロ
ピレン−非共役ジエン三元共重合体などがあげられる。
上記のうちポリブタジエンとしては、シス結合の含有率
が高いハイシスポリブタジエンから、シス結合の含有率
が低いローシスポリブタジエンまでの種々のポリブタジ
エンが、いずれも使用可能である。
【0017】これらのゴムもそれぞれ単独で使用される
他、2種以上を併用することもできる。上記ゴム状重合
体は、スチレン系樹脂からなる連続相中に、単一オクル
ージョン型の分散粒子形状を有するように分散される。
単一オクルージョン型の分散粒子形状とは、スチレン系
樹脂の連続相中に分散された多数のゴム状重合体の粒子
がそれぞれ、当該ゴム状重合体を外殻とする粒子内部
に、スチレン系樹脂からなる単一の連続相を内包した、
いわゆるコアシェル構造を有するものを指す。
【0018】かかる単一オクルージョン型の分散粒子形
状は、通常の多くのゴム変性スチレン系樹脂において、
スチレン系樹脂の連続相中に分散されたゴム状重合体の
粒子が示す、当該ゴム状重合体を外殻とする粒子内部
に、多数のスチレン系樹脂の小粒子を内包したいわゆる
サラミ構造とは明らかに異なるものである。上記の、単
一オクルージョン型の分散粒子形状を有するゴム変性ス
チレン系樹脂は、サラミ構造を有するものと比べて、光
沢などの外観が向上するという利点がある。
【0019】単一オクルージョン型の分散粒子形状を有
するゴム変性スチレン系樹脂はたとえば、スチレンとゴ
ム分とのブロック共重合体(スチレン−ブタジエンブロ
ック共重合体など)の存在下で、スチレンを重合させる
などして製造される。単一オクルージョン型の分散粒子
形状における、ゴム状重合体の粒子の、スチレン系樹脂
の連続相中での分散粒径は、およそ0.1〜0.5μm
程度であるのが好ましい。
【0020】ゴム状重合体の粒子の分散粒径が上記の範
囲未満では、積層発泡体の耐衝撃性が低下するおそれが
ある。また逆に、分散粒径が上記の範囲を超えた場合に
は、ゴム変性スチレン系樹脂の均一性が低下するため
に、やはり積層発泡体の耐衝撃性が低下するおそれがあ
る他、光沢などの外観が悪化するおそれもある。なおゴ
ム状重合体の粒子の分散粒径は、上記の範囲内でもとく
に0.2〜0.4μm程度であるのがさらに好ましい。
【0021】かかる、ゴム状重合体の粒子の分散粒子形
状や分散粒径は、下記のようにして観察される。すなわ
ち、ウルトラミクロトームなどを用いてゴム変性スチレ
ン系樹脂の超薄切片を作製し、四塩化オスミウム溶液に
およそ一日、浸漬して染色したのち、その透過型電子顕
微鏡写真を撮影して、写真中のゴム状重合体の粒子の分
散粒子形状を確認するとともに、上記ゴム状重合体の粒
子の分散粒径を計測する。
【0022】上記ゴム変性スチレン系樹脂中に含有させ
てもよい、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステ
ルおよび酢酸ビニルからなる群より選ばれた少なくとも
1種とエチレンとの共重合体としては、たとえばエチレ
ン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重
合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレ
ン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル
酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合
体、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体などがあげら
れる。これらの共重合体もそれぞれ単独で使用される
他、2種以上を併用することもできる。
【0023】かかる共重合体は、ゴム変性スチレン系樹
脂100重量部に対して0.1〜10重量部程度の範囲
で含有させるのが好ましい。共重合体の含有量が上記の
範囲未満では、オレフィン系樹脂との相溶性が低下し
て、積層発泡体の耐油性が低下するおそれがある。また
逆に共重合体の含有量が上記の範囲を超えた場合には、
積層発泡体の耐熱性が低下するおそれがある。
【0024】なお共重合体の含有量は、上記の範囲内で
もとくに、ゴム変性スチレン系樹脂100重量部に対し
て1〜5重量部程度であるのが好ましい。上記ゴム変性
スチレン系樹脂としては、たとえば特開平8−1515
00号公報に開示された各種の樹脂があげられる。その
具体例としては、これに限定されないがたとえば住友化
学工業(株)製の商品名スミブライトDJシリーズがあ
げられ、その中でもとくに品番DJ8000、DJ90
00などが、とくに耐油性にすぐれるために好適に使用
される。
【0025】上記ゴム変性スチレン系樹脂などのスチレ
ン系樹脂(S) とともに(i) の発泡層を形成するオレフィ
ン系樹脂(O) としては、たとえば高密度ポリエチレン、
低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどの
エチレンの単独重合体や、プロピレンの単独重合体(ポ
リプロピレン)の他、プロピレンとエチレンとのランダ
ムあるいはブロック共重合体なども使用できる。これら
のオレフィン系樹脂も、それぞれ単独で使用される他、
2種以上を併用することもできる。ただし容器の耐熱性
ならびに強度を考慮すると、上記オレフィン系樹脂とし
ては、上記の中でもプロピレン系樹脂が好ましく、とく
にポリプロピレンや、エチレン−プロピレンブロック共
重合体などが好適に使用される。
【0026】本発明において(i) の発泡層を形成する、
上述したスチレン系樹脂(S) とオレフィン系樹脂(O) と
の含有割合はとくに限定されないが、重量比で表して
(S) /(O) =5/95〜95/5であるのが好ましい。
この範囲よりもスチレン系樹脂(S) が少ない場合には、
上記(i) の発泡層を形成する混合物の、(ii)の発泡層を
形成するスチレン系樹脂に対する相溶性、接着性が低下
して、両層が、その層間ではく離しやすくなるおそれが
ある他、(i) の発泡層の発泡性が低下して、十分な断熱
性、耐熱性を有する積層発泡体が得られなくなるおそれ
がある。また逆に、上記の範囲よりもオレフィン系樹脂
(O) が少ない場合には、積層発泡体の耐油性、耐熱性が
低下するおそれがある。
【0027】なお上記両樹脂の含有割合(S) /(O) は、
積層発泡体の耐熱性、断熱性、耐油性および上記(i)(i
i) の両発泡層の接着性などの各特性のバランスを考慮
すると、上記の範囲内でもとくに20/80〜95/5
程度であるのが好ましく、40/60〜90/10程度
であるのがさらに好ましい。(i) の発泡層を形成する、
上記(S)(O)両樹脂の混合物には、たとえば前述した相溶
化剤や、層を発泡させるための発泡剤、あるいは発泡の
際に気泡の大きさなどを調整するための気泡調整剤など
の各種の添加剤を、必要に応じて添加してもよい。
【0028】このうち相溶化剤は、前記の、それ自体が
オレフィン系樹脂との相溶性にすぐれたゴム変性スチレ
ン系樹脂以外の、オレフィン系樹脂との相溶性があまり
よくない、通常のスチレン系樹脂やゴム変性スチレン系
樹脂をスチレン系樹脂(S) として使用して(i) の発泡層
を形成する際に、当該発泡層を均一でかつ良好なものと
するために添加される。
【0029】かかる相溶化剤としては、たとえばスチレ
ン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレ
ン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物、スチレ
ン−ブタジエン系熱可塑性エラストマーなどの、従来公
知の種々の相溶化剤があげられる。相溶化剤の添加量は
とくに限定されないが、(S)(O)両樹脂の相溶性と、当該
両樹脂にて形成される(i) の発泡層の耐熱性、断熱性、
耐油性などの、各特性のバランスとを考慮すると、両樹
脂の総量100重量部に対して2〜30重量部程度であ
るのが好ましく、5重量部前後であるのがさらに好まし
い。
【0030】なお当然ながら、スチレン系樹脂(S) とし
て前記の、それ自体がオレフィン系樹脂との相溶性にす
ぐれたゴム変性スチレン系樹脂を使用する場合は、相溶
化剤を添加する必要はなく、つまり相溶化剤の添加量は
0重量部でよく、前述したようにその分、食品容器など
のより一層の低コスト化が可能となる。またスチレン系
樹脂(S) として、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸
エステルおよび酢酸ビニルからなる群より選ばれた少な
くとも1種とエチレンとの共重合体を含有せず、オレフ
ィン系樹脂との相溶性があまりよくないゴム変性スチレ
ン系樹脂を使用する場合は相溶化剤が必要であるが、か
かるゴム変性スチレン系樹脂と、前記の、オレフィン系
樹脂との相溶性にすぐれたゴム変性スチレン系樹脂とを
併用する場合には、後者のゴム変性スチレン系樹脂自体
が相溶化剤として機能するために、やはり別に相溶化剤
を添加する必要がない。
【0031】発泡剤としては、層の発泡方法に応じて、
気体状、揮発性および分解型などの、従来公知の種々の
発泡剤が、いずれも使用可能である。上記のうち気体状
の発泡剤としては、たとえば二酸化炭素、空気、窒素な
どのガスがあげられる。また揮発性の発泡剤としては、
たとえばプロパン、n−ブタン、i−ブタン、ペンタン
などの脂肪族炭化水素類、シクロペンタンなどの環状脂
肪族炭化水素類、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ
フルオロメタン、メチルクロライドなどのハロゲン化炭
化水素類などがあげられる。さらに分解型の発泡剤とし
ては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレ
ンテトラミンなどの有機系の発泡剤や、あるいは弱酸
と、当該弱酸との反応によって二酸化炭素を発生する無
機塩とを組み合わせた無機系の発泡剤とがあげられる。
無機塩としては、たとえばアルカリ金属もしくはアルカ
リ土類金属の炭酸塩または重炭酸塩(重炭酸ナトリウム
など)や、炭酸アンモニウムなどがあげられる。また弱
酸としては、たとえばシュウ酸、マロン酸、マレイン
酸、フマル酸、コハク酸、イタコン酸、シトラコン酸、
アジピン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ステア
リン酸、オレイン酸、カプリル酸、エナント酸、カプロ
ン酸、吉草酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、フタル酸、安
息香酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ク
ロル酢酸、ジグリコール酸などの有機酸や、あるいはホ
ウ酸などの無機酸、酸性酒石酸カルシウムなどの酸性酸
などがあげられ、このうちとくにクエン酸が好適に使用
される。
【0032】これらの発泡剤もそれぞれ単独で使用され
る他、2種以上を併用することもできる。このうちとく
に(i) の発泡層を、後述する押出成形法で製造する場合
には、弱酸と、成形時の熱によって当該弱酸と反応して
二酸化炭素を発生する無機塩とを組み合わせた無機系の
分解型の発泡剤が好適に使用される。
【0033】上記弱酸と無機塩とは、それぞれ別々に樹
脂組成物に添加してもよく、両者を、ワックス類や熱可
塑性樹脂などでコーティングしたり、あるいはマスター
バッチ化した状態で添加してもよい。かかる弱酸と無機
塩とを組み合わせた無機系の分解型の発泡剤は、それ自
体が気泡調整剤の機能をも兼ね備えており、他の発泡剤
に比べて、微細でかつ均一な気泡を発生できるために、
(i) の発泡層の断熱性が向上するとともに、光沢など
の、発泡体の外観が向上するという利点がある。この効
果は、上記弱酸と無機塩とを、他の発泡剤、たとえば気
体状あるいは揮発性の発泡剤などと併用した際にも得ら
れる。
【0034】無機系の分解型の発泡剤としての弱酸と無
機塩とは、(S)(O)両樹脂の総量100重量部に対して、
合計で0.01〜5重量部の範囲で添加するのが好まし
い。気泡調整剤としては、たとえばタルク、シリカなど
の無機粉末や、多価カルボン酸などの酸性塩、多価カル
ボン酸と炭酸ナトリウムまたは重炭酸ナトリウムとの反
応混合物などがあげられる。これらの気泡調整剤もそれ
ぞれ単独で使用される他、2種以上を併用することもで
きる。
【0035】気泡調整剤の添加量は、(S)(O)両樹脂の総
量100重量部に対して、0.01〜2重量部程度であ
るのが好ましい。気泡調整剤以外の他の添加剤として
は、たとえば着色剤、難燃剤、滑剤(炭化水素系、脂肪
酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系など
の各種ワックス類、金属石けん類、シリコーン油、低分
子量ポリエチレンなど)、展着剤(流動パラフィン、ポ
リエチレングリコール、ポリブテンなど)、分散剤など
があげられる。これら他の添加剤は、(i) の発泡層を製
造する際の妨げとならず、かつ製造された発泡層の特
性、ひいてはかかる(i) の発泡層を(ii)の発泡層と積層
して形成される積層発泡体や、当該積層発泡体から製造
される発泡成形体の特性に影響を及ぼさない程度の範囲
で添加される。
【0036】上記(i) の発泡層と積層される(ii)の発泡
層は、前述したようにスチレン系樹脂にて形成される。
すなわち、前記例示のスチレンの単独重合体や、スチレ
ンと他のビニルモノマーとの共重合体、あるいは各種の
ゴム変性スチレン系樹脂が、いずれも使用可能である。
ただし本発明によれば、上記(i) の発泡層の作用によっ
て、全体としての耐熱性、断熱性および耐油性が確保さ
れるため、(ii)の発泡層を形成するスチレン系樹脂とし
ては、生産コストや熱成形性などを考慮して、通常の、
汎用のポリスチレンが好適に使用される。
【0037】(ii)の発泡層を形成するスチレン系樹脂に
は、先の(i) の発泡層の場合と同様に、層を発泡させる
ための発泡剤、発泡の際に気泡の大きさなどを調整する
ための気泡調整剤などの各種の添加剤を、必要に応じて
添加してもよい。それぞれの添加剤の種類なども、(i)
の発泡層の場合と同程度でよい。また、各添加剤の添加
量は、(ii)の発泡層を形成するスチレン系樹脂100重
量部に対する添加量の数値範囲が、(i) の発泡層におけ
る、(S)(O)両樹脂の総量100重量部に対する数値範囲
と同程度となるように設定すればよい。
【0038】上記(i)(ii) の両発泡層を備えた、本発明
の積層発泡体は、具体的にはたとえば、(ii)のスチレン
系樹脂の発泡層の片面(とくに容器の内面となる側の
面)に、(i) のスチレン系樹脂とオレフィン系樹脂との
混合物の発泡層を積層した2層構造のものや、上記(ii)
の発泡層の両面に、(i) の発泡層を積層した3層構造の
ものなどを含んでいる。(i) の発泡層を、(ii)の発泡層
の片面に積層するか、あるいは両面に積層するかは、当
該積層発泡体から製造される発泡成形体の用途などに応
じて適宜、変更することができる。
【0039】両発泡層の厚み、発泡倍率、密度などは、
積層発泡体、ならびにかかる積層発泡体から製造される
発泡成形体の寸法、形状、用途などに応じて適宜、設定
される。ただし前述したトレイ、丼、カップなどの食品
容器の場合は、その耐熱性、断熱性、耐油性、強度なら
びに重量などの各特性を考慮すると、(i) の発泡層は、
厚み0.3〜2mm程度、密度0.1〜0.8g/cm
3 程度であるのが好ましい。また(ii)の発泡層は、上記
食品容器などの断熱性や強度などを考慮すると、厚み
0.5〜3mm程度、密度0.05〜0.35g/cm
3 程度であるのが好ましい。
【0040】かかる積層発泡体を製造する方法としては
種々、考えられるが、樹脂と添加剤とをあらかじめドラ
イブレンドした混合物を、押出成形機を用いて溶融、混
練し、ついで当該押出成形機の先端に接続した口金(ダ
イ)を通して大気中に押し出して発泡させるとともにシ
ート状に成形する、いわゆる押出成形法によって連続的
に製造するのが、生産コストなどの点で好ましい。すな
わち、押出成形法を利用した、下記(a)(b)の製造方法が
好適に採用される。 (a) 押出成形機を用いて、(i)(ii) の両発泡層をそれぞ
れ別個に、シート状に押出成形したのち、たとえば熱ラ
ミネート法などによって直接に熱接着して、積層発泡体
を製造する。 (b) 発泡層の数だけ用意した押出成形機の先端からほぼ
同時に溶融、押し出しした各層用の樹脂の溶融物を、合
流式のダイ内で、あるいは単層式のダイと接続したフィ
ードブロック内で合流させて積層したのち、大気中に押
し出して発泡させる、いわゆる共押出法によって積層発
泡体を製造する。
【0041】なお上記の両製造方法において、前述し
た、無機系の分解型の発泡剤と弱酸とをマスターバッチ
化したものなどの、固形状の発泡剤を使用する場合は、
ドライブレンドの工程、またはそのつぎの溶融、混練の
工程でこれを添加すればよい。また、気体状または揮発
性の発泡剤を使用する場合は、それを溶融、混練状態の
樹脂組成物に圧入すればよい。具体的にはたとえば、押
出成形機のスクリューシリンダに設けたノズルから、当
該スクリューシリンダ内で溶融、混練されている樹脂組
成物に、気体状または揮発性の発泡剤を圧入すればよ
い。
【0042】また本発明の積層発泡体は、上記食品容器
などの外観や強度などを向上するために、その片面ある
いは両面の最表層に、さらに非発泡の樹脂の層を積層し
てもよい。積層する非発泡の樹脂の層を構成する樹脂と
しては、たとえばポリスチレンや、スチレンと(メタ)
アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイ
ン酸などの他のビニルモノマーとの共重合体などのスチ
レン系樹脂、かかるスチレン系樹脂をジエン系ゴムなど
のゴムで変性したゴム変性スチレン系樹脂、ポリプロピ
レン、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレ
ン−プロピレンランダム共重合体、高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、ポリ
エチレンテレフタレート、エチレン−ブテン共重合体、
エチレン−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン共
重合ゴムなどがあげられる。これらの樹脂もそれぞれ単
独で使用される他、2種以上を併用することもできる。
とくにリサイクル面や積層の容易さ、あるいは発泡体と
の物性のバランスなどを考慮すると非発泡の樹脂の層を
構成する樹脂としては、発泡体と類似の成分が好適に使
用される。また、市販されている印刷フィルムなども使
用可能である。
【0043】また、上記非発泡の樹脂の層は、無機充て
ん剤を含有してもよい。かかる無機充てん剤としては、
たとえばタルク、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、水
酸化マグネシウムなどがあげられる。積層発泡体の両面
または片面に、上記非発泡樹脂の層を積層するには、
(I) 前述した(a)(b)の製造方法で製造された積層発泡体
に、非発泡樹脂の層を熱ラミネート法などで積層する、
(II)前記(a) の製造方法において、発泡層を熱ラミネー
ト法などによって積層する際に、非発泡樹脂の層も同時
に積層する、あるいは(III) 前記(b) の製造方法におい
て、非発泡樹脂の層も同時に、積層しつつ押し出し成形
する、などの方法が考えられる。
【0044】つぎに、本発明の発泡成形体について説明
する。かかる本発明の発泡成形体は、上記の積層発泡体
を原反として使用して、真空成形、加圧成形などの方法
で熱成形して製造される。上記の発泡成形体は、原反と
しての積層発泡体が、前記のように耐熱性、断熱性およ
び耐油性にすぐれ、かつ安価に製造されるために、それ
自体も上記の各特性にすぐれ、かつ食品容器として汎用
性の高い安価なものとなる。
【0045】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例にもとづい
て説明する。なお以下の実施例、比較例で使用する各成
分の具体的な構成は、それぞれ下記のとおりである。 (a) スチレン系樹脂 A1:ポリスチレン〔電気化学工業(株)製の商品名H
RM−2〕 A2:ポリスチレンからなる連続相中に、スチレン−ブ
タジエンブロック共重合体の粒子が、単一オクルージョ
ン型の分散粒子形状を有するように分散されているとと
もに、エチレン−アクリル酸エステル共重合体が含有さ
れたゴム変性スチレン系樹脂〔前出の住友化学工業
(株)製の商品名スミブライトDJ9000〕 A3:ポリスチレンからなる連続相中に、スチレン−ブ
タジエンブロック共重合体の粒子が、単一オクルージョ
ン型の分散粒子形状を有するように分散されたゴム変性
スチレン系樹脂〔電気化学工業(株)製の商品名UR−
621〕 A4:ポリスチレンからなる連続相中に、スチレン−ブ
タジエンブロック共重合体の粒子が、サラミ構造を有す
るように分散されたゴム変性スチレン系樹脂〔旭化成
(株)製の商品名403R〕 (b) オレフィン系樹脂 B1:エチレン−プロピレンブロック共重合体〔住友化
学工業(株)製の商品名AD571〕 B2:エチレン−プロピレンブロック共重合体〔日本ポ
リオレフィン(株)製の商品名J720N〕 (c) 相溶化剤 スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物
〔旭化成(株)製の商品名タフテックH1075〕 (d) 発泡剤 クエン酸と重炭酸ナトリウムとをマスターバッチ化した
固形状の分解型無機系発泡剤〔ベーリンガーインゲルハ
イムケミカルズ社製の商品名HK−70〕 実施例1〜4、比較例1、2 〈(i) の発泡層の形成〉下記表1〜3に示す各成分をド
ライブレンドした混合物を、2本のスクリューシリンダ
を有するタンデム型の押出成形機のホッパに供給し、1
本目の、スクリュー径φ90mmのスクリューシリンダ
内で溶融、混練させつつ、この1本目のスクリューシリ
ンダに設けたノズルから、揮発性の発泡剤としてのブタ
ンを圧入した。
【0046】つぎに上記の溶融、混練物を、2本目の、
スクリュー径φ115mmのスクリューシリンダに供給
し、当該スクリューシリンダ内で均一に冷却した後、こ
の2本目のスクリューシリンダの先端に取り付けた、口
径170mmの円筒状のダイから、100kg/時間の
吐出量で、円筒状に大気中に押し出すとともに発泡させ
た。
【0047】そして得られた円筒状の樹脂発泡体を冷却
マンドレルで連続的に冷却した後、円周上の2点で、カ
ッターによって連続的にシート状に切開して、表1〜3
に示す厚みと密度とを有する(i) の発泡層を形成した。 〈(ii)の発泡層の形成〉下記表1〜3に示す各成分をド
ライブレンドした混合物を、上記と同様に2本のスクリ
ューシリンダを有するタンデム型の押出成形機のホッパ
に供給し、1本目の、スクリュー径φ90mmのスクリ
ューシリンダ内で溶融、混練させつつ、この1本目のス
クリューシリンダに設けたノズルから、揮発性の発泡剤
としてのブタンを圧入した。
【0048】つぎに上記の溶融、混練物を、2本目の、
スクリュー径φ115mmのスクリューシリンダに供給
し、当該スクリューシリンダ内で均一に冷却した後、こ
の2本目のスクリューシリンダの先端に取り付けた、口
径170mmの円筒状のダイから、100kg/時間の
吐出量で、円筒状に大気中に押し出すとともに発泡させ
た。
【0049】そして得られた円筒状の樹脂発泡体を冷却
マンドレルで連続的に冷却した後、円周上の2点で、カ
ッターによって連続的にシート状に切開して、表1〜3
に示す厚みと密度とを有する(ii)の発泡層を形成した。 〈積層発泡体の製造〉上記で製造した(i)(ii) の両発泡
層を1枚ずつ、熱ラミネート法によって積層して、2層
構造の積層発泡体を製造した。
【0050】すなわち(i)(ii) の両発泡層の接着面に、
約350℃に加熱した熱風を吹きつけて軟化させた後、
両発泡層の総厚みより間隔を狭くした一対の圧ロール間
を通して両発泡層を積層、一体化することによって、2
層構造の積層発泡体を製造した。なお上記(i)(ii) の両
発泡層の厚みは、それぞれマイクロメータを用いて実測
した。また密度は、両発泡層の厚みと坪量とを測定し、
これらの測定値と、発泡層の原料である混合物の密度と
から、下記式により算出した。また混合物の密度は、当
該混合物を構成する各樹脂成分の固有の密度と、その配
合比率とから求めた。
【0051】
【数1】
【0052】比較例4 (i) の発泡層の形成に際し、溶融、混練状態の混合物
に、揮発性の発泡剤としてのブタンを圧入しなかったこ
と以外は実施例1〜4と同様にして、下記表2に示す各
成分により、(i)(ii) の両発泡層を形成し、当該両発泡
層を、前記と同条件で熱ラミネート法によって積層し
て、2層構造の積層発泡体を製造した。
【0053】実施例5 合流式の、口径170mmの円筒状のダイに、(i) の発
泡層用としての、実施例1〜4、比較例1、2で使用し
たのと同じ、2本のスクリューシリンダを有するタンデ
ム型の押出成形機と、(ii)の発泡層用としての、スクリ
ュー径φ90mmの単独のスクリューシリンダを有する
押出成形機とを接続した共押出成形装置を用意した。
【0054】つぎに、下記表2に示す両発泡層用の各成
分をドライブレンドした混合物をそれぞれ、上記2台の
押出成形機のホッパに供給して、そのスクリューシリン
ダ内で溶融、混練させつつ、当該スクリューシリンダに
設けたノズルから、揮発性の発泡剤としてのブタンを圧
入した。つぎに上記の溶融、混練物をそれぞれ、前記合
流式のダイに連続的に供給して、ダイ内で溶融状態で積
層、一体化した後、ダイの先端から、円筒状に大気中に
押し出すとともに発泡させた。
【0055】そして得られた円筒状の積層発泡体を冷却
マンドレルで連続的に冷却した後、円周上の2点で、カ
ッターによって連続的にシート状に切開して、表2に示
す厚みと密度とを有する2層の発泡層が積層された、2
層構造の積層発泡体を製造した。なお、上記両発泡層の
厚みは、積層発泡体の断面を撮影した顕微鏡写真から計
測した。また両発泡層の密度は、当該両発泡層の原料で
ある樹脂の押出量から予測した両層の重量比と、積層発
泡体を秤量して求めた、積層発泡体全体としての単位面
積当たりの重量とから、それぞれの層の単位面積当たり
の重量を算出し、その結果と、上記両発泡層の厚みとか
ら求めた。
【0056】比較例3 (i) の発泡層に代えて、下記表3に示すように無機発泡
剤を含有しない各成分をドライブレンドした混合物を、
溶融混練時にブタンを圧入せずに押出成形して得た、非
発泡の層を使用したこと以外は実施例1〜4と同様にし
て、2層構造の積層発泡体を製造した。
【0057】上記各実施例、比較例で得た積層発泡体に
ついて、以下の試験を行って、その特性を評価した。 耐熱・耐油性試験 各実施例、比較例の積層発泡体を、(i) の発泡層、また
は比較例3の場合は非発泡層が容器の内面側となるよう
に、発泡スチレンシート成形機(真空成形機)を用い
て、長さ156mm、幅126mm、深さ30mmのグ
ラタン皿状に熱成形した。
【0058】そして、150ccのサラダオイルを入れ
た上記のグラタン皿を電子レンジに入れて加熱した際
の、容器全体の変形の有無と、容器内面の状態とを観察
し、容器が変形するか、または容器内面が侵された時点
での、サラダオイルの温度を記録した。以上の結果を表
1〜3に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】表より、本発明の構成である実施例1〜5
の積層発泡体から形成された発泡容器はいずれも、比較
例1〜4のものに比べて、耐熱・耐油性にすぐれること
がわかった。これは、容器の内面に積層された(i) の発
泡層を構成する樹脂自体が耐熱性、耐油性にすぐれる
上、発泡されて断熱性にもすぐれており、(ii)の発泡層
に熱を伝えにくいためであると考えられる。このこと
は、内面に実施例1、5と同じ樹脂を使用した非発泡の
層を設けた比較例3の容器が、容器内面は侵されていな
いにもかかわらず、低温で変形したことからも明らかで
ある。
【0063】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
耐熱性、断熱性および耐油性にすぐれた食品容器など
を、より低コストで製造しうる新規な積層発泡体と、か
かる積層発泡体から形成された、上記食品容器などとし
て好適な発泡成形体とを提供できるという特有の作用効
果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 25:04 C08L 25:04 51:04 51:04 (72)発明者 堀野 静 奈良県奈良市神功5−7−6 (56)参考文献 特開 平4−191043(JP,A) 特開 平3−220255(JP,A) 特開 平8−151500(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 51/00 - 51/46 C08J 9/00 - 9/42 C08L 1/00 - 101/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(i) スチレン系樹脂からなる連続相中に、
    スチレン系樹脂からなる単一の連続相を内包するゴム状
    重合体が分散した、単一オクルージョン型の分散粒子形
    状を有するゴム変性スチレン系樹脂と、オレフィン系樹
    脂との混合物の発泡層と、 (ii)スチレン系樹脂の発泡層と、 が積層されたことを特徴とする積層発泡体。
  2. 【請求項2】上記(i) の発泡層を形成する、スチレン系
    樹脂(S) とオレフィン系樹脂(O) との含有割合が、重量
    比で表して(S) /(O) =5/95〜95/5である請求
    項1記載の積層発泡体。
  3. 【請求項3】上記(i) の発泡層を形成するスチレン系樹
    脂が、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸エステルお
    よび酢酸ビニルからなる群より選ばれた少なくとも1種
    とエチレンとの共重合体を含有するゴム変性スチレン系
    樹脂である請求項1記載の積層発泡体。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の積層発泡
    体を熱成形したことを特徴とする発泡成形体。
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