JP2004338325A - 多層発泡シート - Google Patents

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Shoji Kono
昇治 河野
Hiroyuki Maehara
浩之 前原
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JNC Petrochemical Corp
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Chisso Corp
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Abstract

【課題】表面光沢に優れ、表面に凹みが発生せず、表面外観が良好な熱成形に使用される多層発泡シートを提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)からなる発泡した基層と、ポリプロピレン系樹脂(II)からなる非発泡の表層とを有する共押出多層発泡シートであって、振動歪を与える動的粘弾性測定において、温度180℃、角周波数ωが10rad/sの条件で得られた樹脂(I)及び/または樹脂(I’)の溶融粘度をη、ポリプロピレン系樹脂(II)の溶融粘度をηIIとした時、η/ηIIが1以上であり、振動歪を与える動的粘弾性測定において、温度180℃、角周波数ωが10−2〜10−1rad/sの条件で得られた樹脂(II)の貯蔵弾性率G’(単位:Pa)の傾き値AIIが0.7以下であり、190℃における樹脂(II)の溶融張力MSII(単位:cN)が1〜5cNであり、樹脂(II)の結晶化温度TcIIが105℃以上であり、かつ樹脂(II)の分子量分布QIIが5以上である多層発泡シート。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多層発泡シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系樹脂発泡シートやポリスチレン系樹脂発泡シートからなる丼やトレー等の発泡容器は、純白で清潔感がありかつ軽量で断熱性や剛性に優れるため、野菜や魚肉類から調理済食品にいたるまでの種々の食品の容器として使用されている。近年、電子レンジやコンビニエンス・ストアの普及等による生活環境の変化から、調理済食品を電子レンジで加熱して食するホーム・ミール・リプレースメント(HMR)の需要が増加している。しかし、従来の発泡容器は耐熱性が十分でなく、油調理食品や塩分を含む食材を入れ電子レンジで加熱すると熱変形や溶融が生じる。このため、耐熱温度の高いポリプロピレン系樹脂のフィルムを貼る等した容器が短時間加熱用として用いられているが、複合樹脂製品であるためリサイクルに不適である。
【0003】
これを改善するため、耐熱性のあるポリプロピレン系樹脂に無機充填剤を配合してなる食品容器が電子レンジ加熱用容器として用いられている。しかし、これらは発泡していないため断熱性に乏しく、電子レンジ加熱した後に素手で取出し難い。このため、ポリプロピレン系樹脂による発泡容器が望まれるようになり、ポリプロピレン系樹脂とポリスチレン系樹脂とスチレン系エラストマーからなるポリプロピレン系樹脂発泡シート(例えば、特許文献1参照)、電子線架橋されたポリプロピレン系樹脂からなる発泡シート(例えば、特許文献2参照)等が上市されるようになった。
【0004】
上記のポリオレフィン系樹脂発泡シートから丼やトレー等の容器を得るには、熱成形法が広く用いられている。しかし、成形時にシートを加熱することによりシートの表面が破け、厚さが著しく減少することがある。このため、発泡シートの片面または両面に無発泡のフィルムを積層した成形時に適したポリプロピレン系発泡シート(例えば、特許文献3参照)、真空成形に適した積層発泡シート(例えば、特許文献4参照)等のように積層シートにする技術が開示されている。しかし、これらの方法では確かに熱成形性は改善されるが、発泡層の気泡に起因する表面の凹みにより、電子レンジ加熱で発泡シートと表層フィルムとの間で膨れが発生し外観が損なわれることがある。これを改善するために共押出しによる多層ポリオレフィン発泡シートの製造方法(例えば、特許文献5参照)が開示されているが、発泡シートと表層フィルムとの間で発生する膨れは防止できても、表面に発生する細かい凹みまでは抑えることができないのが実状である。
【0005】
【特許文献1】
特公平5−75012号公報
【特許文献2】
特許第2521388号明細書
【特許文献3】
特許第2668812号明細書
【特許文献4】
特公平6−94190号公報
【特許文献5】
特開2001−113584号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、表面光沢に優れ、表面に凹みが発生せず、表面外観が良好な熱成形に使用される多層発泡シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題を解決するため鋭意研究した。その結果、ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)からなる発泡した基層と、ポリプロピレン系樹脂(II)からなる非発泡の表層とを有する共押出多層発泡シートであって、振動歪を与える動的粘弾性測定において、温度180℃、角周波数ωが10rad/sの条件で得られた樹脂(I)及び/または樹脂(I’)の溶融粘度をη、ポリプロピレン系樹脂(II)の溶融粘度をηIIとした時、η/ηIIが1以上であり、振動歪を与える動的粘弾性測定において、温度180℃、角周波数ωが10−2〜10−1rad/sの条件で得られた樹脂(II)の貯蔵弾性率G’(単位:Pa)の傾き値AIIが0.7以下であり、190℃における樹脂(II)の溶融張力MSII(単位:cN)が1〜5cNであり、樹脂(II)の結晶化温度TcIIが105℃以上であり、かつ樹脂(II)の分子量分布QIIが5以上である多層発泡シートによって課題が解決されることを知り、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0008】
本発明は以下によって構成される。
(1)ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)からなる発泡した基層と、ポリプロピレン系樹脂(II)からなる非発泡の表層とを有する共押出多層発泡シートであって、ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)並びにポリプロピレン系樹脂(II)が下記の関係を満たす多層発泡シート。ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)からなる発泡した基層と、ポリプロピレン系樹脂(II)からなる非発泡の表層とを有する共押出多層発泡シートであって、ポリオレフィン系樹脂(I)とポリプロピレン系樹脂(II)が下記の関係を満たす多層発泡シート。
1)振動歪を与える動的粘弾性測定において、温度180℃、角周波数ωが10rad/sの条件で得られた、ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)の溶融粘度をη、ポリプロピレン系樹脂(II)の溶融粘度をηIIとした時、η/ηII≧1である。
2)振動歪を与える動的粘弾性測定において、温度180℃、角周波数ωが10−2〜10−1rad/sの条件で得られたポリプロピレン系樹脂(II)の貯蔵弾性率G’(単位:Pa)の傾き値をAII、190℃におけるポリプロピレン系樹脂(II)の溶融張力をMSII(単位:cN)、ポリプロピレン系樹脂(II)の結晶化温度をTcII(単位:℃)、ポリプロピレン系樹脂(II)の分子量分布をQIIとした時、AII≦0.7、1≦MSII≦5、105≦TcII、かつ5≦QIIである。
【0009】
(2)基層の厚さを1とした時の表層の厚さが、2×10−1〜1×10−3である前記(1)項記載の多層発泡シート。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の多層発泡シートは、ポリオレフィン系樹脂(I)もしくはポリスチレン系樹脂(I’)、またはこれらの混合物からなる発泡した基層と、ポリプロピレン系樹脂(II)からなる非発泡の表層とを有する。表層の位置は基層の片面でも両面でもよい。
本発明の多層発泡シートは、共押出法によって製造される。
【0011】
前記樹脂(I)及び/または樹脂(I’)の溶融粘度をη、ポリプロピレン系樹脂(II)の溶融粘度をηIIとした時の溶融粘度比η/ηIIは、η/ηII≧1、好ましくは2.0≧η/ηII≧1.3の関係にある。η/ηIIが1以上であることによって、多層発泡シートを共押出する時に樹脂の流れむらが起こりにくく、多層発泡シートの表面外観は良好となる。
尚、上記溶融粘度は、振動歪を与える動的粘弾性測定において、温度180℃、角周波数ωが10rad/sの条件下で得られた値である。
【0012】
また、樹脂(II)の180℃における貯蔵弾性率G’(単位:Pa)の傾き値をAII、190℃における樹脂(II)の溶融張力をMSII(単位:cN)、樹脂(II)の結晶化温度をTcII(単位:℃)、樹脂(II)の分子量分布をQIIとした時、AII≦0.7、1≦MSII≦5、105≦TcII、かつ5≦QIIである。
尚、上記貯蔵弾性率G’(単位:Pa)の傾き値は、温度を180℃に保持した状態で、線形領域内において角周波数ωを変化させて、振動歪を与える動的粘弾性測定を行って得られた貯蔵弾性率G’(単位:Pa)の対数値を縦軸に、G’(単位:Pa)に対応するω(単位:rad/s)の対数値を横軸にプロットし、べき乗回帰計算により、回帰式 G’=B×ωのAの値として求められる。
【0013】
樹脂(II)においては、温度180℃、ω=10−2〜10−1rad/sの条件下で得られた前記AIIの値が0.7以下、好ましくは0.5以下である。AIIの値が0.7以下であると、本発明の多層発泡シートを共押出する時に、ダイリップから出た樹脂(II)の溶融物の弾性が高く、樹脂(II)を表層に用いた多層発泡シートは、基層の発泡に起因する表面の凹凸が平滑化され、細かい凹みも解消される。
【0014】
樹脂(II)においては、190℃における溶融張力MSII(単位:cN)が、1≦MSII≦5、好ましくは2≦MSII≦5、の関係を満足する。MSIIが上記の範囲内にあると、多層発泡シート表面に凹みが発生しにくく外観も良好である。
また、樹脂(II)の結晶化温度TcIIは105℃以上、好ましくは110〜120℃である。TcIIが105℃以上であると、多層発泡シート表面に凹みが発生しにくい。
更に、樹脂(II)の分子量分布QIIは5以上、好ましくは7以上20以下である。QIIが5以上であると、多層発泡シート表面に凹みが発生しにくい。
【0015】
本発明の多層発泡シートにおいて、基層に使用されるポリオレフィン系樹脂(I)としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン共重合体、ポリ4−メチル−ペンテン−1等のα−ポリオレフィン、エチレン−プロピレンエラストマー等のオレフィン系エラストマー、オレフィンと他の単量体、例えば酢酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体、及びこれらの混合物を挙げることができる。樹脂の選択においては、基層と他の層との接着性を考慮して相互の接着性が良好な樹脂を選択することが好ましい。
【0016】
本発明の多層発泡シートにおいて、基層に使用されるポリスチレン系樹脂(I’)としては、スチレン単独重合体、スチレンを主成分とするスチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、耐衝撃性ポリスチレン等を挙げることができる。上記スチレン系共重合体におけるスチレン成分含有量は好ましくは50重量%以上である。
【0017】
前記樹脂(I)及び/または樹脂(I’)には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、造核剤、滑剤、難燃剤、着色剤、無機充填剤、有機充填剤等の添加剤を添加することができる。
【0018】
本発明の多層発泡シートにおいて、基層は樹脂(I)及び/または樹脂(I’)を発泡させた層である。樹脂(I)及び/または樹脂(I’)を発泡させるためには、樹脂(I)及び/または樹脂(I’)に発泡剤と必要に応じて他の添加剤を加えた樹脂組成物を加熱溶融して発泡剤から気体を発生させた後、冷却固化する方法(化学発泡法)、及び樹脂(I)及び/または樹脂(I’)に発泡核剤と必要に応じて他の添加剤を加えた樹脂組成物を加圧下で加熱溶融し、発泡剤である気体または気化された揮発性液体を圧入して、攪拌し分散させた後に圧力を開放する方法(物理発泡法)等が例示できる。中でも、化学発泡法は実施が容易であり好ましく用いられる。
【0019】
前記発泡剤としては、プラスチックやゴム等に使用されている公知公用の発泡剤が問題なく使用できる。具体的には、アゾジカルボンアミド、ジニトロペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミド、重炭酸ナトリウム−クエン酸等の化学発泡剤、プロパン、ブタン、ペンタン、ジクロロモノフロロメタン、ジクロロジフロロメタン、窒素、炭酸ガス等の物理発泡剤、熱膨張剤を含有させたマイクロカプセル等が例示できる。
また、前記発泡核剤としては、N,N’−ジニトロペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、クエン酸、タルク、重炭酸ナトリウム等が例示できる。
【0020】
化学発泡法に適した樹脂組成物を製造する方法は、樹脂組成物中に未発泡の発泡剤が残存することができ、ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)と発泡剤とが均一に分散して混合される混合方法であれば、特に限定はされない。例えば、樹脂(I)及び/または樹脂(I’)と発泡剤の所定量を、リボンブレンダー、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー(商品名)により混合して樹脂組成物を得る方法が例示できる。
化学発泡用樹脂組成物における発泡剤の添加量は、発泡剤の種類によって適宜選択されるが、樹脂(I)及び/または樹脂(I’)100重量部に対して、0.1〜50重量部が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましく、0.3〜25重量部が更に好ましい。
【0021】
物理発泡法に適した樹脂組成物を製造する方法は、樹脂組成物中に未発泡の発泡核剤が残存することができ、ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)と発泡核剤とが均一に分散して混合される混合方法であれば、特に限定はされない。例えば、樹脂(I)及び/または樹脂(I’)と発泡核剤の所定量を、リボンブレンダー、タンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー(商品名)により混合して樹脂組成物を得る方法が例示できる。
物理発泡用樹脂組成物における発泡核剤の添加量は、発泡剤の種類や量、発泡核剤の種類や量によって適宜選択されるが、樹脂(I)及び/または樹脂(I’)100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましい。
【0022】
本発明の多層発泡シートにおいて、基層の発泡倍率は1.1〜5倍が好ましく、1.5〜3倍がより好ましい。発泡倍率がこの範囲内であれば多層発泡シートの断熱性や軽量性が十分で、表面の凹みも殆どない。
【0023】
本発明の多層発泡シートにおいて、表層となるポリプロピレン系樹脂(II)としては、上記の条件を満足すれば制限はないが、例えばプロピレン結晶性単独重合体、プロピレンとエチレンもしくは炭素数4以上のα−オレフィンから選ばれた1種以上との二元以上の共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。
樹脂(II)においては、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、可塑剤、滑剤等を添加することができる。
【0024】
本発明の多層発泡シートは、ポリプロピレン系樹脂(II)からなる表層を有することによって、光沢感があり凹みの発生がなく表面外観が良好となる。該多層発泡シートの表層の光沢度は、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上である。尚、ここで凹みとは、シート表面にできる直径3mm以下の円形状の凹みをいう。
本発明において、表層の位置は基層の片面でも両面でもよい。また、基層の両面に表層を有する場合は、両表層に用いられるポリプロピレン系樹脂は、同一でも別々でも良い。中でも、基層と表層に用いられる樹脂が共にポリプロピレン系樹脂から選択されると、シートのリサイクルが容易で好ましい。
【0025】
本発明の多層発泡シートの厚さは、特に限定はされないが、該シートの熱成形性等を考慮すると、0.3〜4.0mmが好ましく、0.5〜1.5mmがより好ましい。また、多層発泡シートの基層と表層の厚さ構成比は、基層の厚さを1とした時の表層の厚さが、2×10−1〜1×10−3であることが好ましく、1×10−1〜5×10−2であることがより好ましい。基層の厚さに対する表層の厚さが上記の関係にあると、多層発泡シートの表面の凹みも殆どない。尚、上記の基層と表層の厚さの関係は、基層と1層の表層との関係を示す。
【0026】
本発明の多層発泡シートは、共押出法によって製造される。具体的には、ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)である発泡層構成材料を押し出す第1押出機とポリプロピレン系樹脂(II)である非発泡層構成材料を押し出す第2押出機とが1基の押出ダイスに接続されており、第1押出機で樹脂(I)及び/または樹脂(I’)を溶融し、発泡剤と混合する溶融混錬工程、第2押出機で樹脂(II)を溶融する溶融工程、及び押出ダイスにおいて樹脂(I)及び/または樹脂(I’)と樹脂(II)を溶融状態で大気圧下に共押出して樹脂(I)及び/または樹脂(I’)を発泡させる方法が例示できる。
【0027】
本発明の多層発泡シートは、熱成形によって丼やトレー等の容器に加工される。熱成形の方法としては、真空成形法、圧空成形法、圧縮成形法等公知の方法を用いることができる。また、本発明の多層発泡シートには、熱成形の前または後に、必要に応じて印刷や積層等の加飾処理や二次加工を施しても構わない。
【0028】
【実施例】
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。以下に、実施例及び比較例において使用された評価方法を示す。
(a)メルトフローレート(以下、MFRという。):JIS K 7210に規定された方法(230℃、21.18N)で測定した(単位:g/10分)。
【0029】
(b)溶融粘度η:レオメトリックス・ダイナミック社製ストレス・レオメーター(DSR)を用いて測定した。樹脂100重量部に対して2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.2重量部、及びステアリン酸カルシウム0.1重量部を混合し、温度230℃の熱プレスによって、厚さ約1mm、直径25mmの試験片を成形した。溶融粘度ηは180℃に保ったDSRの直径25mmのパラレルプレートまたはコーン角0.1radのコーンプレートに試験片をセットし、温度180℃、1×10−3〜1×10rad/sの角周波数範囲で線形範囲内の歪で測定した動的粘弾性から求めた(単位:Pa・s)。
【0030】
(c)貯蔵弾性率G’の傾き値A:上記の動的粘弾性測定を行って得た貯蔵弾性率G’(単位:Pa)の対数値を縦軸にG’に対応するω(単位:rad/s)の対数値を横軸にプロットした図1より、べき乗回帰計算により、下記回帰式のAの値として求めた。
G’=B×ω
【0031】
(d)溶融張力MS:(株)東洋精機製作所製メルトテンションテスター2型を用い、190℃に加熱溶融した樹脂を、直径2.095mm、長さ40mmのオリフィスから20mm/分の速度で押出されたストランドを引き取る時の値を溶融張力MS(単位:cN)とした。
【0032】
(e)結晶化温度Tc:パーキンエルマー社製のDSC7型示差走査熱量分析計を用いて樹脂組成物を20℃で5分間保持後、20℃/分の昇温条件下で200℃まで昇温、同温度にて5分間保持後、−20℃/分にて20℃まで降温し結晶化時の最大ピークを示す温度を結晶化温度Tc(単位:℃)とした。
【0033】
(f)分子量分布Q:樹脂をオルトジクロロベンゼンに溶解させて濃度0.75mg/mlの溶液とし、GPC(WATER社製150C型、使用カラム;TSKGEL GMH6−HT)を用いて135℃にて測定した重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnから下記式により計算して求めた。
Q=Mw/Mn
【0034】
(g)凹み数:多層シートの非発泡層面の1.0m当たりの数を目視で数えた値を示した。
【0035】
(h)多層シートの表面外観:目視観察し下記基準に従って評価した。
○:両側共に表面に凹凸や樹脂の流れむら等もなく良好な状態。
×:片面若しくは両面に凹凸や樹脂の流れむら等があり、表面が荒れている状態。
【0036】
(i)光沢:多層シートの非発泡層面側の表面をJIS K 7105の試験条件、60度鏡面光沢度に基づいて測定した(単位:%)。
【0037】
実施例1
50mmφ押出機と90mmφ押出機の2台を有する2種3層の共押出シートが成形可能な押出装置を用いた。MFRが4g/10分、180℃の温度条件下で角周波数ω=10rad/s時の溶融粘度ηが1.9×10Pa・sのポリプロピレン樹脂NEWFOAMER、FH3400(商品名、チッソ(株)製)100重量部に発泡剤として重炭酸ナトリウム−クエン酸(ベーリンガーインゲルハイム社製「ハイドロセロール、HK70」)を2重量部添加しリボンブレンダーにて攪拌混合したものを90mmφ押出機に投入し押出機出口では樹脂温度が180℃になるように冷却しながら、発泡倍率2倍の発泡シートを基層として押出し、また基層用樹脂との溶融粘度比η/ηIIが1.4で、MFRが9g/10分、貯蔵弾性率G’の傾き値Aが0.5、溶融張力MSが3cN、結晶化温度Tcが120℃、分子量分布Qが7.5のポリプロピレン樹脂Aを50mmφ押出機に投入して、表層として押出し、基層の両側に各厚さ35μmの表層を有する、総厚さ0.7mmの多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの特性を表1に示す。表面外観は良好であり、凹みの発生もなく、光沢も30%以上あることが分かる。
【0038】
実施例2
実施例1と同様の樹脂を用いて、基層は発泡倍率2倍の発泡シートであり、基層の片側のみに厚さ70μmの表層を有する、総厚さ0.7mmの2種2層のシートを得た。得られた多層発泡シートの特性を表1に示す。多層発泡シートの非発泡層面側の表面外観は良好であり、凹みの発生もないことが分かる。
【0039】
実施例3
表層用樹脂として、基層用樹脂との溶融粘度比η/ηIIが1.4で、MFRが7g/10分、貯蔵弾性率G’の傾き値Aが0.4、溶融張力MSが3cN、結晶化温度Tcが114℃、分子量分布Qが6.3のポリプロピレン樹脂Bを用いた他は実施例1と同様にして、多層シートを作成した。得られた多層発泡シートの特性を表1に示す。表面に凹みの発生はなく、両面共に外観は良好であることが分かる。
【0040】
実施例4
表層用樹脂として、基層用樹脂との溶融粘度比η/ηIIが1.1で、MFRが4g/10分、貯蔵弾性率G’の傾き値Aが0.2、溶融張力MSが5cN、結晶化温度Tcが112℃、分子量分布Qが16のポリプロピレン樹脂Cを用いた他は実施例1と同様にして、多層シートを作成した。得られた多層発泡シートの特性を表1に示す。分子量分布を広げても両面共に外観は良好であり、表面に凹みの発生はないことが分かる。
【0041】
実施例5
基層に、MFRが5g/10分、180℃の温度条件下における角周波数ω=10rad/s時の溶融粘度ηが3.4×10Pa・sのポリスチレン樹脂Dを用いた他は実施例1と同様にして多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの特性を表1に示す。基層がポリスチレン樹脂でも表面外観は良好であり、凹みも発生しないことが分かる。
【0042】
実施例6
基層に、MFRが4g/10分、180℃の温度条件下における角周波数ω=10rad/s時の溶融粘度ηが2.2×10Pa・sのポリプロピレン樹脂Eを用いた他は実施例1と同様にして多層発泡シートを得た。得られた多層発泡シートの特性を表1に示す。表面外観は良好であり、凹みも発生しないことが分かる。
【0043】
比較例1
表層用樹脂として、基層用樹脂との溶融粘度比η/ηIIが1.1で、MFRが9g/10分、貯蔵弾性率G’の傾き値Aが1.3、溶融張力MSが1cN、結晶化温度Tcが106℃、分子量分布Qが5.5のポリプロピレン樹脂Fを用いた他は実施例1と同様にして、多層発泡シートを作成した。得られた多層発泡シートの特性を表1に示す。表面外観は良好であるが、貯蔵弾性率の傾き値Aが範囲外であると凹みが数多く発生することが分かる。
【0044】
比較例2
表層用樹脂として、基層用樹脂との溶融粘度比η/ηIIが0.8で、MFRが5g/10分、貯蔵弾性率G’の傾き値Aが1.3、溶融張力MSが2cN、結晶化温度Tcが89℃、分子量分布Qが3.8のポリプロピレン樹脂Gを用いた他は実施例1と同様にして、多層発泡シートを作成した。得られた多層発泡シートの特性を表1に示す。凹みが数多く発生し、表面が荒れ、外観が損なわれることが分かる。
【0045】
比較例3
表層用樹脂として、基層用樹脂との溶融粘度比η/ηIIが1.3で、MFRが15g/10分、貯蔵弾性率G’の傾き値Aが1.5、溶融張力MSが1cN、結晶化温度Tcが74℃、分子量分布Qが3.4のポリプロピレン樹脂Hを用いる他は実施例1と同様にして、多層発泡シートを作成した。得られた多層発泡シートの特性を表1に示す。表面の光沢は40%以上と高いが、凹みが数多く発生し表面が荒れ外観が損なわれることが分かる。
【0046】
比較例4
表層用樹脂として、基層用樹脂との溶融粘度比η/ηIIが1.4で、MFRが5g/10分、貯蔵弾性率G’の傾き値Aが0.4、溶融張力MSが7cN、結晶化温度Tcが110℃、分子量分布Qが6.4のポリプロピレン樹脂Iを用いた他は実施例1と同様にして、多層発泡シートを作成した。得られた多層発泡シートの特性を表1に示す。凹みの発生はないが、溶融張力が高過ぎると両面共に表面が流れむらのような模様状になり、外観が損なわれることが分かる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の多層発泡シートは、ポリプロピレン系樹脂を表層に用いることにより、多層シートの表面に光沢感を持たせ、且つ基層が発泡していても凹みが発生しない表面外観の優れたシートを得ることができる。
【0048】
【表1】
Figure 2004338325

【図面の簡単な説明】
【図1】回帰式G’=B×ωにより貯蔵弾性率G’の傾き値Aを求めるための図である。

Claims (2)

  1. ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)からなる発泡した基層と、ポリプロピレン系樹脂(II)からなる非発泡の表層とを有する共押出多層発泡シートであって、ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)並びにポリプロピレン系樹脂(II)が下記の関係を満たす多層発泡シート。
    1)振動歪を与える動的粘弾性測定において、温度180℃、角周波数ωが10rad/sの条件で得られた、ポリオレフィン系樹脂(I)及び/またはポリスチレン系樹脂(I’)の溶融粘度をη、ポリプロピレン系樹脂(II)の溶融粘度をηIIとした時、η/ηII≧1である。
    2)振動歪を与える動的粘弾性測定において、温度180℃、角周波数ωが10−2〜10−1rad/sの条件で得られたポリプロピレン系樹脂(II)の貯蔵弾性率G’(単位:Pa)の傾き値をAII、190℃におけるポリプロピレン系樹脂(II)の溶融張力をMSII(単位:cN)、ポリプロピレン系樹脂(II)の結晶化温度をTcII(単位:℃)、ポリプロピレン系樹脂(II)の分子量分布をQIIとした時、AII≦0.7、1≦MSII≦5、105≦TcII、かつ5≦QIIである。
  2. 基層の厚さを1とした時の表層の厚さが、2×10−1〜1×10−3である請求項1記載の多層発泡シート。
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