上記特許文献1の錠剤分包機においては、鑑査が必要な錠剤をカメラで撮像できるものの、カメラ側に向いた面(表面)に限定され、裏面側は撮影できない。すなわち、特許文献1の錠剤分包装置においては、カメラで撮影した画像により薬剤の外観を認識して薬剤情報を特定しようとするものである。そのため、特許文献1の錠剤分包機においては、錠剤の外観形状が分かる画像が得られるのであれば薬剤をなすいずれの面をカメラで撮影しても良い。その反面、薬剤の外観形状を頼りにして薬剤の特定を行うため、画像処理等の複雑な処理を要するだけでなく、外観が類似した他の薬剤と取り違えてしまうなどして十分な鑑査精度が得られない懸念がある。
また、上記特許文献2のように分包紙に薬剤を包装した後に鑑査を行うようにした場合は、錠剤の撮像を分包紙を介在させた状態で行うことになる。そのため、特許文献2のような構成とした場合には、薬剤の表面に施された刻印等を読み取ることが困難であり、剤数の計数程度の鑑査しか行えないという問題がある。具体的には、分包紙に付された患者名や薬品名等の印字と薬剤とが重なるなどして、薬剤に付された刻印等の情報の読み取りが困難であるという問題がある。
そこで本発明は、薬剤に付された刻印などの識別情報の読み取り精度が高く、優れた鑑査性能を発揮可能な薬剤分包装置の提供を目的とした。
上述した課題を解決すべく提供される本発明の薬剤分包装置は、薬剤が払い出し可能に準備される薬剤準備払出部と、前記薬剤準備払出部から払い出された前記薬剤を分包する分包部と、前記薬剤準備払出部から払い出された前記薬剤を前記分包部により分包されるよりも前の段階で撮影する薬剤撮影装置を備えた分包前撮影部と、前記薬剤準備払出部側から受け入れた複数の前記薬剤を前記分包前撮影部側に個別に供給可能な個別供給部と、制御部とを有し、前記制御部が、前記分包前撮影部により撮影された画像に基づいて前記薬剤に付された識別情報を読み取る読取制御部と、前記読取制御部により読み取られた前記識別情報及び処方情報に基づいて鑑査処理を実行する鑑査処理部とを備えていることを特徴とするものである。
本発明の薬剤分包装置では、薬剤準備払出部から払い出された複数の薬剤を処方情報に則って分包前撮影部側に個別に供給し、分包部により分包されるよりも前の段階で薬剤撮影装置によって撮影することができる。これにより、薬剤準備払出部から払い出された複数の薬剤を個別に撮影した画像を取得できる。また、薬剤撮影装置によって薬剤毎に撮影された画像に基づき、読取制御部により薬剤に付された識別情報を読み取り、読み取られた識別情報及び処方情報に基づき、鑑査処理部によって鑑査処理を実行できる。このような構成とすることにより、薬剤を一つずつ精度良く鑑査できる。
上述した薬剤撮影装置は、前記薬剤準備払出部から払い出された前記薬剤を前記分包部により分包されるよりも前の段階であって分包紙の内側に薬剤が落下するよりも前のタイミングに撮影するものとすることができる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記個別供給部が、前記薬剤準備払出部側から前記薬剤を受け入れる受入部と、前記受入部内の前記薬剤を個別に保持し、前記分包前撮影部側に向けて放すことにより前記薬剤を受け渡す受渡動作を実施可能な受渡部とを備えたものであることが好ましい。
本発明の薬剤分包装置においては、個別供給部により薬剤準備払出部側から受入部に受け入れた薬剤を受渡部によって個別に保持し、分包前撮影部側に供給可能とされている。これにより、個別供給部を介して供給された薬剤に関する識別情報を分包前撮影部において精度良く読み取らせ、鑑査性能の向上に資することができる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤準備払出部が、前記薬剤の撒き入れ及び払い出しが可能な手撒部を備えており、前記手撒部に供給された前記薬剤が前記個別供給部を介して前記分包前撮影部に供給されるものであることが望ましい。
かかる構成によれば、手撒部から一度に複数の薬剤が払い出されたとしても、薬剤を一つずつ個別に分包前撮影部に供給できる。これにより、分包前撮影部における薬剤の撮影精度、及び鑑査処理部における鑑査処理精度の向上に資することができる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤準備払出部が、前記薬剤の撒き入れ及び払い出しが可能な手撒部と、前記薬剤を保管すると共に、保管されている前記薬剤を個別に払い出し可能な薬剤カセットを複数備えたカセット払出部とを有し、前記手撒部から払い出された前記薬剤が、前記個別供給部を経る経路で前記分包前撮影部に至り、前記カセット払出部から払い出された前記薬剤が、前記個別供給部を迂回する経路で前記分包前撮影部に至るものであることが好ましい。
本発明の薬剤分包装置では、薬剤準備払出部が手撒部とカセット払出部とを備えている。手撒部に準備された薬剤は、個別供給部を経る経路で分包前撮影部に向けて払い出される。そのため、手撒部から一度に複数の薬剤が払い出されたとしても、薬剤を一つずつ個別に分包前撮影部に供給できる。カセット払出部に準備された薬剤は、個別供給部を迂回して分包前撮影部に向けて払い出される。カセット払出部は、薬剤カセットに保管されている薬剤を個別に払い出し可能とされている。そのため、カセット払出部から払い出された薬剤が個別供給部を経ることなく分包前撮影部に供給されたとしても、薬剤を一つずつ個別に分包前撮影部に供給できる。このように、本発明の薬剤分包装置では、手撒部及びカセット払出部のいずれに準備された薬剤についても、分包前撮影部に向けて一つずつ供給できる。これにより、分包前撮影部における薬剤の識別情報の読み取り精度、及び鑑査処理部における鑑査処理精度の向上に資することができる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記受渡部が、前記薬剤を吸引可能な吸引装置を備えており、前記吸引装置によって前記薬剤に吸引力を作用させることにより前記薬剤を個別に保持し、前記吸引力を解除することにより前記薬剤を放すものであることが好ましい。
かかる構成によれば、個別供給部に供給された薬剤を確実に保持し、一つずつ個別に分包前撮影部側に供給できる。
ここで、上述した薬剤分包装置は、前記吸引装置が、保持対象である薬剤に対して接触する接触部を有し、前記接触部が、弾性変形可能な素材により形成されており、前記吸引装置に接続される吸気用の吸気口と、前記吸気口を中心として断面形状がテーパー状となるように形成された椀状のパッド部と、前記吸気口の外縁に沿って前記パッド部内に突出した突出部とを有するものであることが好ましい。
本発明において用いられる吸引装置では、接触部が椀状のパッド部を有し、弾性変形可能とされている。そのため、パッド部の外径と同等あるいはそれ以上の大きさの薬剤については、薬剤に対して接触部を接触させることによりパッド部が柔軟に変形し、薬剤を確実に吸着させることができる。また、接触部には、椀状のパッド部に加え、吸気口の外縁に沿ってパッド部内に突出した突出部が設けられている。そのため、パッド部の外径よりも小さくパッド部では吸着しにくい薬剤については、突出部において確実に吸着することができる。従って、本発明によれば、薬剤の大きさ等によらず、吸引装置によって薬剤を確実に吸着することができる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記受渡部が、前記吸引装置によって吸引された前記薬剤に対し、前記吸引力の作用方向とは反対方向に気体を吐出させる吐出装置を備えており、前記薬剤を前記分包前撮影部側に向けて放すときに前記吐出装置により気体を吐出させるものであることが望ましい。
かかる構成によれば、吐出装置により気体を吐出させることにより、受渡部に保持されている薬剤を確実に受渡部から分包前撮影部側に向けて放せる。これにより、薬剤準備払出部側から供給されてきた薬剤を分包前撮影部側に受け渡す動作(受渡動作)の確実性をより一層向上させうる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記受渡部が、前記受渡動作の際に前記薬剤に接触する接触部を有し、前記受渡動作の実施前に、前記薬剤が配置されている箇所を外れた所定の事前吸引位置に前記接触部を接触させた状態で吸引力を作用させる事前吸引動作を実施可能なものであっても良い。
かかる構成によれば、事前吸引動作を実施することにより、受渡部が十分な吸引力を発揮できる状態にあるかかの確認等を行える。
上述した本発明の薬剤分包装置は、取り外し可能であって前記受渡動作時に装着されるべき着脱部材が前記個別供給部に設けられており、前記着脱部材に接触すると想定される位置が前記事前吸引位置とされるものとすることができる。
かかる構成によれば、受渡動作に先だって着脱部材が装着されているか否かを確認するために事前吸引動作を活用できる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記個別供給部が、前記受渡部により放された前記薬剤を前記分包前撮影部側に排出する排出部と、前記受入部及び前記排出部を包囲する枠体とを有し、前記受渡部が、前記枠体の上端よりも低い領域内において、前記薬剤を前記受入部側から前記排出側に移動させるものであることが好ましい。
かかる構成によれば、受渡部の動作により移動する薬剤を枠体よりも低い位置において移動させることができる。これにより、受渡動作の最中に受渡部から薬剤が落下するようなことがあっても、落下した薬剤を枠体の内側に留まらせることができる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記個別供給部が、前記受渡部により放された前記薬剤を前記分包前撮影部側に排出する排出部と、前記受入部及び前記排出部を包囲する枠体とを有し、前記枠体が前記着脱部材とされるものであっても良い。
かかる構成によれば、受渡動作に先だって事前吸引動作を実施することにより、枠体が装着されているか否かを確認できる。これにより、確実に枠体が装着された状態で受渡動作を行うことができる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記受入部の底部が透光性を有する透光性素材で形成されており、前記個別供給部が、前記受入部の上方側に配置され、底部が収まるように撮影可能な受入撮影部と、前記底部を下方側から照明可能な照明部とを備えており、前記制御部が、前記照明部により前記底部を照明した状態で前記受入撮影部により撮影された画像に基づいて前記受入部内における前記薬剤の配置を導出する配置導出部と、前記配置導出部により導出された前記薬剤の配置に基づいて前記受渡部を作動させる受渡動作制御部とを備えたものとすることができる。
かかる構成によれば、受入部に供給された薬剤の配置を適確に把握し、受渡部による受渡動作を精度良く実施できる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記受入部内の前記薬剤を一括して排出させる一括排出機構を備えたものであっても良い。
かかる構成によれば、受入部に導入された薬剤を回収せねばならない場合などに、受入部内の薬剤を迅速に排出させることができる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、所定の軸心位置を中心として回転可能とされた回転体に前記受入部が周方向に複数配されており、前記受渡部が、所定の作動領域内に配された前記受入部内の前記薬剤について前記受渡動作を実施可能であることが好ましい。
かかる構成によれば、薬剤準備払出部側から供給された薬剤を複数設けられた受入部に順次準備しつつ、回転体を受渡部の作動領域内に向けて移動させて受渡動作を実施することにより、薬剤を次々と分包前撮影部側に供給することができる。これにより、個別供給部において薬剤を一つずつ個別に分包前撮影部側に供給する動作を効率的に実施できる。
ここで、受渡部によって受入部内に準備された複数の薬剤を一つずつ、個々に保持する作業を適確に行うためには、受入部内において薬剤が分散していることが望ましい。
かかる知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤準備払出部側から供給された前記薬剤が、前記受入部内であって前記回転体の前記軸心位置側の位置に投入されるものである。
かかる構成によれば、受入部内において回転体の軸心位置側の位置に偏った位置に投入された薬剤が、回転体の回転に伴って受入部内において個々に拡散し、分離した状態になる。そのため、回転体を回転させて受入部が受渡部の作動領域まで到達した時点において、薬剤が受入部内において十分に分離した状態になり、受渡部によって薬剤を一つずつ保持する動作が容易になる。
ここで、受渡部によって薬剤を保持する動作を行う際には、受入部を構成する壁面近傍に存在する薬剤よりも、受入部を構成する壁面よりも離れた位置に存在している薬剤のほうが保持しやすい。
かかる知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、前記制御部が、前記回転体の回転制御を行う回転体制御部を有し、前記回転体制御部が、前記回転体を回転させて前記受入部を前記作動領域内の所定位置に移動させる際に、前記受入部が前記所定位置を越える位置まで回転するように前記回転体を回転させた後、前記受入部が前記所定位置まで戻るように前記回転体を回転させることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、回転体の回転に伴って受入部が受渡部の作動領域まで到達した時点において、受入部を構成する壁面から薬剤が離反した状態になりやすい。これにより、受渡部によって薬剤を一つずつ保持する動作がより一層容易になる。
ここで、受入部が受渡部の作動領域まで到達するように回転体を回転させると、薬剤が受入部内で転がる。そのため、作動領域に到達した受入部内の薬剤を受渡部に適確に保持させるためには、薬剤の転がりがなるべく早く停止し、安定した状態になる構成であることが望ましい。
かかる知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、前記受入部が、立設された受入部周壁を有し、前記受入部周壁の内側に前記薬剤を受け入れる受入領域が設けられたものであり、前記受入領域の形状が非円形とされたものである。
かかる構成によれば、回転体を回転させた後、受入部内で薬剤が安定するまでの時間を最小限に抑制できる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記分包前撮影部が、前記薬剤を転動させる薬剤転動装置を有するものであることが望ましい。
本発明においては、薬剤が包装されるよりも前の段階で薬剤撮影装置により撮影された画像から薬剤を特定するための識別情報を読み取ることができる。すなわち、本発明においては、分包紙等を介することなく撮影した画像に基づいて識別情報を読み取ることができる。さらに、本発明においては、薬剤転動装置において薬剤を転動させつつ、薬剤撮影装置において撮影された画像が識別情報の読み取りに用いられる。そのため、分包前撮影部に対して供給された薬剤の姿勢の影響を受けることなく、識別情報を読み取れる。従って、本発明によれば、薬剤分包装置における薬剤の鑑査処理精度を向上させうる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤転動装置が、並設された第一回転ローラ及び第二回転ローラを備えており、前記識別情報の読み取り時に、前記第一回転ローラ及び前記第二回転ローラを同一方向に回転させるものであることが好ましい。
かかる構成によれば、サイズや形状等によらず薬剤を転動させ、識別情報を認識可能な状態の画像を薬剤撮影装置により撮影できる。従って、本発明の薬剤分包装置によれば、薬剤のサイズや形状等に依存することなく識別情報に基づいた鑑査を行える。
ここで、上述した薬剤転動装置内に薬剤を供給する場合に、後に行われる識別情報の読み取り処理等の作業をスムーズに開始するためには、薬剤転動装置に供給された薬剤の転がりをなるべく早く停止させ、安定した状態にすることが望ましい。
かかる知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤を導入する導入領域を内側に有する導入部が前記薬剤転動装置に設けられており、前記導入領域の断面形状が非円形とされていることが望ましい。
かかる構成によれば、薬剤転動装置の導入領域内に供給された薬剤が安定するまでの時間を最小限に抑制できる。これにより、識別情報の読み取り処理等の作業をスムーズに開始できる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤を導入する導入領域を内側に有する導入部が前記薬剤転動装置に設けられており、前記導入部が、複数の構成体によって構成されており、前記構成体が、互いに端面同士を接触させつつ上下方向に接続されており、前記端面が暗色とされているものであることが望ましい。
上述したように複数の構成体を上下方向に接続して導入部を構成する場合、構成体の端面において光が反射してしまうと、薬剤撮影装置における薬剤の撮影に悪影響を及ぼす懸念がある。具体的には、構成体の端面において発生した反射光の影響により、薬剤撮影装置で撮影した画像中に構成体が白く写り込んでしまい、薬剤と構成体との区別が困難になる懸念がある。かかる懸念を払拭すべく、本発明においては、構成体の端面を暗色としている。これにより、薬剤撮影装置で撮影して得られる画像において構成体が白く写り込んでしまうのを防止し、薬剤と構成体とを適確に区別可能となる。その結果、薬剤分包装置における鑑査精度をさらに向上させうる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤転動装置が、並設された第一回転ローラ及び第二回転ローラを備えており、前記第一回転ローラ及び前記第二回転ローラの上に配された薬剤を回転させうるものであり、前記第一回転ローラ及び前記第二回転ローラが暗色とされていることが望ましい。
かかる構成とした場合、薬剤撮影装置で撮影して得られる画像において、薬剤と第一回転ローラ及び第二回転ローラとを判然と区別可能となる。従って、本発明によれば、薬剤分包装置における鑑査精度をより一層向上させうる。
ここで、本発明の薬剤分包装置において、複数の薬剤についての識別情報を一度に取得できれば、鑑査に要する作業をより一層効率化できる。上述したような薬剤転動装置を設けた場合は、複数の薬剤を重なりあうことなく回転させうる条件下であれば、薬剤撮影装置で得られた画像から複数の薬剤について識別情報を取得できるものと想定される。
かかる知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤転動装置が、並設された第一回転ローラ及び第二回転ローラを備えており、前記第一回転ローラ及び前記第二回転ローラの上に配された薬剤を回転させうるものであり、前記薬剤を複数、前記薬剤転動装置において回転させつつ前記薬剤撮影装置によって撮影する統合処理を実施可能であり、前記薬剤において長さが最長となる部分を薬剤長xとし、前記第一回転ローラ及び前記第二回転ローラの境界線の長さを境界長Xとした場合に、前記統合処理の候補とされる複数の前記薬剤の薬剤長xの和が前記境界長X以下であることが、前記統合処理の実施条件とされるものである。
かかる構成によれば、複数の薬剤が重なりあうことなく薬剤転動装置において回転しうる。そのため、本発明によれば、薬剤撮影装置で得られた画像から複数の薬剤について識別情報を取得可能となり、鑑査に要する作業をより一層効率化できる。
ここで、上述したように識別情報を取得するために薬剤を転動させることとした場合、回転に伴う摩擦の影響により各部が静電気により帯電する可能性がある。分包前撮影部の各部が帯電した状態になると、薬剤が付着してしまい、次工程にうまく供給できない等の影響が出る可能性もある。
かかる知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤転動装置を構成する一部又は全部の部材が、帯電抑制効果を有するものである。
かかる構成によれば、分包前撮影部が静電気により帯電する可能性を低減し、分包前撮影部への薬剤の付着等の悪影響を抑制できる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤転動装置が、並設された第一回転ローラ及び第二回転ローラを備えており、前記第一回転ローラ及び前記第二回転ローラの上に配された薬剤を回転させうるものであり、前記第一回転ローラ及び前記第二回転ローラの間隔を拡張することにより、前記薬剤を払い出し可能なものであり、前記第一回転ローラ及び前記第二回転ローラのうち一方の支軸を移動可能に支持する可動部を有し、前記可動部を持ち上げる方向に外力を作用させることにより前記第一回転ローラ及び前記第二回転ローラの間隔が拡張される方向に前記支軸を移動させ、前記外力を解除することにより前記可動部が自重により降下し、前記第一回転ローラ及び前記第二回転ローラの上に薬剤を配置可能な状態に戻るものであることが望ましい。
本発明の薬剤分包装置においては、薬剤転動装置から薬剤を払い出すために可動部を持ち上げる方向に外力を作用させた後、外力を解除することで可動部が自重で降下し、薬剤を配置可能な状態に戻る。そのため、本発明の薬剤分包装置においては、薬剤の払い出し後、可動部を元の姿勢に戻すための機構等を必要とせず、その分だけ装置構成を簡略化できる。
本発明の薬剤分包装置は、前記可動部を降下させた状態で磁力による固定力で可動部を固定できるものであることが望ましい。
かかる構成によれば、磁力により発現される固定力を下回る弱い外力が可動部に作用しただけでは薬剤転動装置から薬剤が漏洩しないように留まらせることが可能な薬剤分包装置を提供できる。
ここで、上述したように、本発明の薬剤分包装置が薬剤撮影装置が設けられた位置において薬剤を回転させるものである場合には、摩擦力の影響等により薬剤撮影装置が設けられた位置において薬剤の粉等が発生する可能性がある。
かかる知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤撮影装置の下方にトレイが設けられたものである。
かかる構成によれば、薬剤撮影装置において発生した粉体をトレイで受け止めることができる。これにより、薬剤撮影装置近傍における清掃の手間を最小限に抑制できる。
ここで上述した本発明の薬剤分包装置において、読取制御部は、薬剤に付された識別情報を読み取ることができるのであれば、いかなる読み取り方法を実施するものであっても良い。
かかる知見に基づけば、本発明の薬剤分包装置は、前記読取制御部が、薬剤に付された識別情報を文字情報として認識し、薬剤に関する情報を文字情報により規定された識別情報テキストマスタに基づいて識別情報を取得する処理、あるいは薬剤に付された識別情報を画像情報として認識し、薬剤に関する情報を画像情報により規定された識別情報画像マスタに基づいて識別情報を取得する処理のいずれか一方又は双方を実施可能なものであっても良い。
上述したように、本発明の薬剤分包装置は、例えばいわゆるOCR処理のように、薬剤に付された識別情報を光学的に読み取り、予め規定されているパターンとの照合により文字を特定して文字情報として認識し、さらにOCR処理等で認識された文字情報を薬剤テキストマスタと照合することにより識別情報を取得する処理を行うようにしても良い。また、薬剤に関する情報を画像情報により規定された識別情報画像マスタを準備しておき、薬剤に付された識別情報を画像情報として認識し、認識された画像情報を識別情報画像マスタと照合することにより識別情報を取得する処理を行うようにしても良い。いずれの方法で識別情報を取得することとしても、薬剤の鑑査を精度良く実施できる。
ここで、上述した本発明の薬剤分包装置においては、分包対象である薬剤が分包部において分包紙内に供給された後、近接する位置において分包袋形成用として設けられたシール部などの熱源において発生する熱などの影響により分包紙内が高温になると薬剤に悪影響を及ぼす懸念がある。
かかる懸念を払拭すべく提供される本発明の薬剤分包装置は、前記分包部が、薬剤分包用として供給された分包紙を加熱する加熱部と、前記加熱部よりも前記分包紙の搬送方向上流側において前記分包紙内に前記薬剤を導入する薬剤導入部と、前記加熱部よりも前記分包紙の搬送方向上流側において前記分包紙内に送風可能な送風部とを有するものである。
本発明の薬剤分包装置では、送風部が設けられており、加熱部よりも上流側において分包紙内に送風可能とされている。そのため、本発明によれば、分包に備えて分包紙内に供給された薬剤が、熱による悪影響を受けるのを抑制できる。
ここで、本発明者らが鋭意検討したところ、加熱部よりも上流側における分包紙内の温度上昇は、薬剤の分包が連続的に行われている状態よりも、薬剤導入部から分包紙内に薬剤が導入されるのを待機している状態において生じやすいことが判明した。
かかる知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、前記薬剤導入部から前記分包紙内への薬剤の導入待機中であることを条件として、前記送風部による送風がなされることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、加熱部よりも上流側における分包紙内の温度上昇が見込まれる状況において温度上昇を最小限に抑制できる。これにより、例えば一服用分として一緒に分包される薬剤のうち先に分包紙内に供給された薬剤が、残りの薬剤が分包紙内に供給されるまでの間に熱による悪影響を受けてしまう等の問題を抑制できる。
ここで、本発明者らが鋭意検討したところ、分包紙を強制的に加熱部側に送ることにより、分包紙内にある空気の出入りが促進されたり、加熱部において発生している熱が奪われたりするなどの理由で、過度な温度上昇を抑制するための効果が見込まれることが判明した。
上述した知見に基づいて提供される本発明の薬剤分包装置は、前記加熱部よりも前記分包紙の搬送方向上流側において前記分包紙内の温度が所定の温度条件を上回る状態になることを条件として、前記分包紙を前記加熱部側に所定量だけ送ることを特徴とするものである。
かかる構成によれば、分包紙を加熱部側に送ることによる温度上昇の抑制効果が得られ、薬剤が熱による悪影響を受けるのを抑制できる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記分包部が、薬剤包装用として供給された前記分包紙から分包袋を形成するシール部と、前記シール部よりも前記分包紙の搬送方向上流側において前記分包紙内に前記薬剤を導入する薬剤導入部と、前記シール部よりも前記分包紙の搬送方向上流側において前記薬剤導入部から前記分包紙内への薬剤の導入を検知する導入検知部とを有し、前記導入検知部の検知範囲が、前記分包紙内に設定されているものであることが好ましい。
本発明の薬剤分包装置では、分包紙内への薬剤の導入を検知するための導入検知部の検知範囲が、分包紙内に設定されている。そのため、薬剤が薬剤導入部を介して分包紙内に導入されたか否かを正確に検知できる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記シール部よりも前記分包紙の搬送方向上流側において、前記分包紙を拡幅させる拡幅部を有し、前記導入検知部が、検知光を出力可能な発光部と、前記検知光を受光可能な受光部とを有し、前記発光部における前記検知光の出力中に前記受光部における前記検知光の受光が途絶えること又は受光量が減少することを条件として、前記薬剤の通過を検出するものであり、前記受光部が、前記拡幅部側に配置され、前記発光部が、前記受光部に対向する位置に配置されているものであることが望ましい。
かかる構成によれば、薬剤が薬剤導入部を介して分包紙内に導入されたか否かをより一層精度良く検知できる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記発光部が、前記シール部よりも前記分包紙の搬送方向上流側において前記分包紙内に送風可能な送風部に設けられていることが望ましい。
かかる構成によれば、送風部により分包紙内の温度上昇を抑制しつつ、薬剤から生じた粉などによって発光部が汚れるのを防止できる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記分包部が、薬剤包装用として供給された前記分包紙から分包袋を形成するシール部と、前記シール部に対して前記分包紙の搬送方向上流側において、薬剤を分包する前の分包紙に情報を記す分包前情報表記部と、前記シール部に対して前記分包紙の搬送方向下流側において、薬剤を分包した状態の分包紙に対して情報を記す分包後情報表記部とを有することが望ましい。
本発明の薬剤分包装置では、分包前情報表記部によって薬剤を分包する前に分包紙に情報を記すだけでなく、分包後情報表記部によって薬剤を分包した後の分包紙に情報を記すこともできる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記分包後情報表記部が、分包紙の搬送経路を境界として一方側に配された背面側接触部と、前記搬送経路を境界として前記接触部とは反対側に配された表記機構部とを有し、前記表記機構部が、前記分包紙に情報を表記する表記部材を保持するホルダと、前記ホルダと一体的に設けられた表面側接触部とを有し、前記ホルダと前記搬送経路とを近接させることにより、前記表面側接触部が前記表記部材よりも優先的に分包紙に接触し、前記表面側接触部と前記背面側接触部との間に前記分包紙を挟みこんだ分包紙固定状態になり、前記分包紙固定状態よりもさらに前記ホルダと前記搬送経路とを近接させることにより、前記表記部材を分包紙に接触させて情報を表記できるものであることが望ましい。
本発明の薬剤分包装置においては、表面側接触部と背面側接触部との間に分包紙を挟みこんだ分包紙固定状態とすることにより、分包後情報表記部の近傍において分包紙を安定させることができる。そのため、分包紙固定状態において搬送経路に向けて近接する方向にホルダを揺動させることにより、分包紙において情報を記すべき位置に適切に情報を表記できる。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記分包後情報表記部が、分包紙の搬送経路を境界として一方側に配された背面側接触部と、前記搬送経路を境界として前記接触部とは反対側に配された表記機構部とを有し、前記表記機構部が、前記分包紙に情報を表記する表記部材を保持するホルダと、前記ホルダを前記搬送経路に対して近接離反する方向に揺動可能な揺動部と、前記ホルダと一体的に設けられ、弾性を有する表面側接触部とを有し、前記揺動部により前記ホルダを前記搬送経路に向けて近接させることにより、前記表面側接触部が前記表記部材よりも優先的に分包紙に接触し、前記表面側接触部と前記背面側接触部との間に前記分包紙を挟みこんだ分包紙固定状態になり、前記分包紙固定状態からさらに前記搬送経路に向けて近接する方向に前記ホルダを揺動させることにより、前記表記部材を分包紙に接触させて情報を表記できるものであることが望ましい。
上述した本発明の薬剤分包装置は、前記分包後情報表記部が、前記シール部に対して前記分包紙の搬送方向下流側に隣接する位置に設けられていることが望ましい。
かかる構成によれば、薬剤を分包紙で分包して形成される分包袋がいなかなる長さになっても、適切に情報を表記できる。
また、上述した本発明の薬剤分包装置は、前記分包紙の面が立った姿勢で搬送される位置に分包後情報表記部が設けられたものであることが好ましい。
分包紙の面が立った姿勢で搬送される位置においては、分包袋内において薬剤が下方側に偏った状態になり、上方側には薬剤が存在せず表記しやすい領域が形成される。そのため、本発明のような構成とすることにより、分包後情報表記部によって容易に情報を記すことができる。
本発明によれば、薬剤に付された刻印などの識別情報の読み取り精度が高く、優れた鑑査性能を発揮可能な薬剤分包装置を提供できる。
以下、本発明の一実施形態に係る薬剤分包装置10について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。また、薬剤とは、錠剤のほか、カプセル剤、座薬等も含まれ、一定の剤型を保持可能なものを意味する。
図1に示すように、薬剤分包装置10は、装置本体12の内部に薬剤準備払出部20、鑑査ユニット部50、分包部150、及び制御部200を備えている。薬剤分包装置10は、薬剤準備払出部20に準備されている薬剤を処方データに基づいて払い出し、分包部150において一包分ずつ分包するものである。
装置本体12は、正面側に扉14が設けられており、内部に設けられた薬剤準備払出部20のカセット払出部22に薬剤カセット32を着脱できるようになっている。装置本体12の正面(例えば扉14)には、タッチパネル14a、バーコードリーダ14b、及びジャーナルプリンタ14cが設けられている。また、装置本体12には、扉14の下方に薬剤準備払出部20をなす手撒部24と、補充テーブル28とが設けられている。
薬剤準備払出部20は、分包に用いる薬剤が払い出し可能に準備されるものである。薬剤準備払出部20は、カセット払出部22と、手撒部24とを備えている。カセット払出部22は、略円筒状のシリンダに上下及び周方向にモータベース30を設け、各モータベース30に薬剤カセット32を着脱可能としたものである。モータベース30の詳細については図示しないが、モータを内蔵し、ギアを介して薬剤カセット32のロータへと動力を伝達するように構成されている。また、カセット払出部22には、上下方向に配置された薬剤カセット32の各列に対して薬剤通路(図示せず)がそれぞれ設けられている。これらの薬剤通路により、薬剤カセット32から払い出された薬剤がスムーズに下方側へと案内される。なお、薬剤通路には、薬剤カセット32の排出口に連通する部分に、払い出した薬剤の錠数を検出するための計数センサ(図示せず)が設けられている。
薬剤カセット32は、略直方体の箱状で、ロット番号で管理される同一種類の薬剤が収容されている。薬剤カセット32内には図示しないロータが設けられ、その外周部にはポケット部が複数形成されている。各ポケット部には、薬剤カセット32内に収容した薬剤が1つずつ保持される。ロータは、モータベース30に設けたモータの駆動力がギアを介して伝達されて回転する。ロータが回転すると、ポケット部に保持された薬剤が、順次、薬剤通路へと払い出される。
図2に示すように、各薬剤カセット32には、RFID34(Radio Frequency IDentification)が設けられ、収容されている薬剤に関する情報(例えば、薬剤の名称や収容数等の薬剤情報)が記憶されている。各モータベース30には、アンテナ36が設けられ、薬剤カセット32のRFID34と通信できる。アンテナ36を介してRFID34から前記薬剤情報及び薬剤の払出情報(例えば、払い出した薬剤の数量、薬剤カセット32内に残存する薬剤の在庫数量、薬剤カセット32を装着した棚の識別番号等の情報)を読み込み、後述する制御部200のバッファに格納する。
図1に示すように、手撒部24は、格子状に形成された各マスに手作業(手撒き作業)により薬剤を準備し、各マスの底面を開放することにより、後に詳述する鑑査ユニット部50の個別供給部60側に薬剤を1マス分毎に順次払い出すものである。各マスには、薬剤が一包分ずつ撒き入れられる。すなわち、二以上の薬剤が一包分として処方されている場合には、単一のマスに複数の薬剤が撒き入れられる。そのため、複数の薬剤が撒き入れられているマスが開くと、二以上の薬剤が同時に個別供給部60側に払い出される。手撒部24には、自動払出に適さない薬剤(例えば、半錠の薬剤等)のように手作業(手撒き作業)によって用意して払い出すべき薬剤が主として準備される。なお、どの薬剤をどの位置に手撒きするのかは、処方データに基づいてジャーナルプリンタ14cからその指示内容が印刷されるようになっている。
鑑査ユニット部50は、薬剤準備払出部20から払い出された薬剤について鑑査を行うために必要な処理を行うためのものである。図1や図3に示すように、鑑査ユニット部50は、個別供給部60と分包前撮影部100とを備えている。
個別供給部60は、薬剤準備払出部20側から受け入れた薬剤を分包前撮影部100側に向けて一つずつに分離して、個別に供給するものである。本実施形態では、個別供給部60は、薬剤準備払出部20のうち、手撒部24から払い出された薬剤を受け入れ、分包前撮影部100側に個別に供給可能なものとされている。図3や図4に示すように、個別供給部60は、受入ユニット62、受渡装置64(受渡部)、撮影ユニット66を備えている。
図4(a)に示すように、受入ユニット62は、回転体68を中心として構成されている。回転体68は、基台70上において回転可能に設けられた円板状の部材である。回転体68は、それぞれ円板状の表板68aと裏板68bとを所定の間隔を空けて配置したものである。図4(b)に示すように、表板68aは、表層部68c及び下層部68dからなる二層構造とされている。表層部68cの裏面側には、座繰り等により板厚が薄肉化された薄肉部68eが設けられている。薄肉部68eは、落下してきた薬剤の跳ねを抑制する効果を有する。すなわち、薄肉部68eにおいて薬剤を落下させた場合、表板68aの薄肉部68e以外の領域に薬剤を落下させた場合よりも薬剤の跳ねが小さくなる。薄肉部68eは、後に詳述する受入口72a用の開口同士の間に設けられている。また、表板68aと裏板68bとの間には、後に詳述する受入部72をなす受入筒72cや、一括排出機構73をなす部材等を収容するための空間68fが形成されている。また、裏板68bは、透光性を有する素材によって構成されている。本実施形態では、裏板68bとして、透明の板体が採用されている。なお、裏板68bは、薄肉部68eの裏面側(薄肉部68eと下層部68dとの間)に何らかの部材を詰めたものであってもよい。これにより、薬剤が薄肉部68eに落下した時に生じる音を抑制できる。薄肉部68eの裏面側に詰める部材は、いかなるものであっても良いが、例えばスポンジ、布等が好適である。
回転体68には、周方向に複数(本実施形態では3つ)の受入部72が設けられている。受入部72は、表板68aに設けられた3つの開口を受入口72aとし、薬剤準備払出部20側から薬剤を受け入れ可能な受入領域72bを備えたものである。受入領域72bは、各受入口72aに対応して空間68f内に設けられた受入筒72cと、裏板68bとによって囲まれた領域である。受入領域72b(受入筒72c)には、一包分の薬剤が収容される。受入筒72cは、内周面72d(受入部周壁)が非円形とされた筒状の部材である。本実施形態では、受入筒72cは、内周面72dに屈曲部が形成された筒状の部材である。さらに具体的には、受入領域72bの断面形状は、略多角形(本実施形態では六角形)とされている。
また、受入筒72cは、一括排出機構73を作動させることにより、受入口72a及び後述の排出口74との間でスライド移動可能とされている。一括排出機構73は、受入筒72cを受入口72a側から排出口74側に移動させることにより、受入筒72c内に存在する薬剤を一括して排出口74に向けて排出させるためのものである。一括排出機構73は、このような機能を有するものであればいかなるものであっても良いが、本実施形態では次のような構成とされている。具体的には、図5に示すように、一括排出機構73は、各受入筒72cに対応して設けられた受入口側ユニット73aと、排出口74側に設けられた排出口側ユニット73bとを備えたものとされている。
受入口側ユニット73aは、受入筒72cに接続されており、排出口側ユニット73bと組み合わさることにより受入筒72cを受入口72aと排出口74との間でスライド移動させることができる。さらに詳細には、受入筒72cは、外周部から径方向外側に向けて突出したアーム72eを有する。受入筒72cは、アーム72eの先端部にピニオン部72fを有する。また、受入筒72cは、ピニオン部72fの略中心部に立設された支軸72gを中心として回転体68に対して回動可能とされている。受入口側ユニット73aは、スライド片73c、スライドガイド73d、及びバネ73eを備えている。スライド片73cは、先端部にラック部73fを有する。スライド片73cは、回転体68の裏板68bに固定されたスライドガイド73dに沿ってスライド可能とされている。また、ラック部73fは、ピニオン部72fと噛合している。スライド片73cの基端部(ピニオン部72fとは反対側の端部)とスライドガイド73dとの間には、スライド片73cを先端側(ピニオン部72f側)に向けて付勢力を作用させるバネ73eが配されている。
受入口側ユニット73aは、前述した付勢力に反して外力を作用させ、スライド片73cをスライドガイド73dに沿って基端側に向かう方向に押し込むことにより、ピニオン部72fを正方向に回動させることができる。また、ピニオン部72fが正方向に回動させることにより、支軸72gを中心として受入筒72cを移動(回動)させることができる。これにより、常時において受入口72a側に存在している受入筒72cを排出口74側に向けて移動させ、受入筒72c内の薬剤を一括して排出口74に排出させることができる。一方、スライド片73cを基端側に押し込む方向への外力を解除することにより、バネ73eの作用によりスライド片73cが押し返される。これに伴い、受入筒72cが排出口74側から受入口72a側に戻され、受入筒72cが受入口72aを介して薬剤を受け入れ可能な状態に戻る。
上述した受入口側ユニット73aが各受入筒72c毎に設けられているのに対し、排出口側ユニット73bは排出口74に隣接する位置にのみ設けられている。排出口側ユニット73bは、受入口側ユニット73aのスライド片73cに対して外力を作用させるためのものである。排出口側ユニット73bは、モータ73gとカム73hとを有し、両者の回転軸に接続されたギア73i,73jを介して伝達されるモータ73gの動力によりカム73hを回動させることができる。カム73hは、排出口74に隣接する位置に到来した受入筒72cに対応する受入口側ユニット73aのスライド片73cに対して当接可能な位置に配置されている。受入口側ユニット73aは、モータ73gを作動させ、カム73hを回動させることにより、スライド片73cに対して作用する押圧力を変化させることができる。従って、一括排出機構73は、受入口側ユニット73a及び排出口側ユニット73bの相互作用により、受入筒72cを受入口72a側と排出口74側との間で移動させ、受入筒72c内の薬剤を一括して排出口74に排出させることができる。
図3や図4に示すように、基台70には、薬剤を分包前撮影部100側に排出するための排出口74が設けられている。排出口74は、回転体68の外周に隣接する位置に設けられている。また、基台70において、排出口74に対して回転体68の径方向外側に隣接する位置には、枠体支持部76が設けられている。枠体支持部76は、後述の枠体78を設置する際に、枠体78の一端部を支持するためのものである。
図6や図7に示すように、枠体78は、排出口74が設けられた位置から回転体68の略中心部に亘って設置される枠状の部材である。枠体78は、支軸78a、ロック部78b、投入領域形成部78c、受渡領域形成部78d、事前吸着位置形成部78e等を備えている。支軸78aは、枠体78を支承するための軸体である。基台70側の枠体支持部76に設けられた軸挿入溝76aに支軸78aを差し込むことにより、枠体78の一端側が枠体支持部76に対して支持された状態になる。また、ロック部78bは、枠体78において支軸78aとは反対側の端部を固定するためのものである。支軸78a及びロック部78bを用いて枠体78を設置した状態においても、回転体68は枠体78に対して自由に回転できる。
投入領域形成部78cは、回転体68に複数設けられた受入部72のうちの一つを排出口74に隣接する位置に配置した状態において、排出口74に隣接する位置にある受入部72(以下、「受渡対象受入部72」とも称す)と、受渡対象受入部72に対して回転体68の正回転方向上流側に隣接する受入部72(以下「上流側受入部72」とも称す)との間に位置している。投入領域形成部78cは、枠体78の厚み方向に貫通した貫通孔によって構成されている。投入領域形成部78cは、開口形状がいかなるものであっても良いが、本実施形態では略円形とされている。
受入部72のうちの一つを排出口74に隣接する位置に配置した状態において、投入領域形成部78cは、回転体68の表面(表板68a)のうち、薄肉部68eに相当する領域によって底が形成された有底の空間を形成する。この空間は、薬剤準備払出部20側から払い出されてきた薬剤が各受入部72への受け入れよりも前に投入される領域(投入領域80)を構成する。投入領域80に薬剤が投入された後に回転体68を正回転させ、投入領域形成部78cの下方に上流側受入部72を到来させると、投入領域80内の薬剤が上流側受入部72内に移される。このように、投入領域80は、回転体68を投入領域形成部78cに対して相対回転させることにより底が開閉し、排出口74に隣接する位置に到達する前の段階にある受入部72に薬剤を移すことができる。
受渡領域形成部78dは、回転体68に複数設けられた受入部72のうちの一つを排出口74に隣接する位置に配置した状態において、この受入部72と排出口74とを含む領域(受渡領域82)を形成する部分である。受渡領域形成部78dは、投入領域80の外周を取り囲む周壁部78fを有する。また、受渡領域形成部78dは、投入領域80を構成する受入部72側の領域と排出口74側の領域との間を隔てる隔壁部78gを有する。隔壁部78gの高さは、周壁部78fよりも低い。
事前吸着位置形成部78eは、後述する受渡装置64の作動領域内に設けられている。また、事前吸着位置形成部78eは、枠体78において表面が平滑な場所に設けられている。事前吸着位置形成部78eは、これらの条件を満足する位置であればいかなる場所に設けられていても良いが、本実施形態では、枠体78の取り付け状態において回転体68の中心側となる領域に設けられている。
受渡装置64は、排出口74に隣接する位置に到来した受入部72(受渡対象受入部72)内の薬剤を一つずつ個別に保持し、排出口74において放すことにより薬剤を薬剤準備払出部20側から分包前撮影部100側に受け渡す動作(受渡動作)を実施するものである。受渡装置64は、受渡動作を行えるものであればいかなるものであっても良いが、本実施形態では図3や図4に示すように、駆動部84と保持部86とを備えたものとされている。
駆動部84は、保持部86を受入部72(受渡対象受入部72)と排出口74との間で移動可能なものである。駆動部84は、このような動作を実施可能なものであればいかなるものであって良いが、本実施形態ではいわゆるスカラロボットやマニピュレータ等の多関節ロボットによって構成されている。駆動部84は、受入部72(受渡対象受入部72)と排出口74との間で受渡アーム84aを移動させることができる。
保持部86は、薬剤を一つずつ個別に保持する動作(保持動作)と、保持した薬剤を放す動作(保持解除動作)とを行えるものである。保持部86は、保持動作及び保持解除動作を行えるものであればいかなるものであっても良いが、本実施形態では吸着部88、吸引装置90、及び吐出装置92を備えたものとされている。吸着部88は、中空の吸着管88aの先端部分に接触部88bを設けたものを備えている。吸着管88aには、吸引装置90及び吐出装置92が配管接続されている。また、接触部88bは、保持対象である薬剤に対して接触する部分である。接触部88bは、薬剤が破損等しないように弾性力を有するものであることが好ましい。本実施形態では、接触部88bとしてゴム等の弾性素材により形成されたパッド状のものが用いられている。
吸引装置90は、例えばポンプなどによって構成された吸引力を発揮可能な装置である。そのため、吸引装置90を作動させると、吸着管88aの先端に取り付けられた接触部88bに吸引力が作用し、薬剤を一つずつ個別に吸引保持することができる。また、吸引装置90を停止させることにより、接触部88bに作用していた吸引力を解除し、薬剤を放すことができる。また、吐出装置92は、例えばコンプレッサー等によって構成されるものであり、吸着管88aに対して配管接続されている。吐出装置92を作動させることにより、吸引装置90による吸引力の作用方向とは反対方向に気体を吐出させうる。そのため、保持部86に保持されている薬剤を放す際に、吐出装置92を作動させることにより、保持されている薬剤に対して吐出力を作用させ、薬剤を積極的に放すことができる。
図4(c)に示すように、撮影ユニット66は、受入撮影部94及び照明部96を備えている。受入撮影部94は、回転体68の上方に配置されている。受入撮影部94は、受渡アーム84aを排出口74に隣接する位置に到来した受入部72(受渡対象受入部72)の上に移動させることにより、受渡対象受入部72が収まるように撮影して画像データを取得できる。照明部96は、回転体68の下方側に配置されている。照明部96は、受渡対象受入部72を下方から照明できる。上述したように、受渡対象受入部72の底部は、透光性を有する裏板68bによって構成されている。そのため、照明部96により照明した状態において受入撮影部94により撮影を行うと、撮影により得られた画像には、受渡対象受入部72内に存在している薬剤が陰となって写る。従って、受入撮影部94によって得られた画像は、陰となっている部分を特定することにより、薬剤が存在している位置を割り出すために利用できる。
分包前撮影部100は、後述する分包部150により薬剤が分包されるよりも前の段階において、薬剤に付された識別情報を読み取るために薬剤を撮影するものである。図8に示すように、分包前撮影部100は、薬剤転動装置102、及び薬剤撮影装置104を具備している。分包前撮影部100は、薬剤転動装置102によって転動させた薬剤を薬剤撮影装置104によって撮影できる。薬剤転動装置102は、後に詳述する転動部回転体103に対して設置されている。また、薬剤撮影装置104は、転動部回転体103の上方に配された取付体105に対して取り付けられている。
図8や図9に示すように、転動部回転体103は、円板状の天面部103a及び底面部103bが略平行に配され、両者の間に転動ユニット110が配される空間103cが形成された部材である。転動部回転体103は、図示しないモータ等の駆動源を用いて回転可能とされている。
図8に示すように、取付体105は、転動部回転体103の上方において天面部103aに対して略平行に配置された板体である。取付体105には、薬剤撮影装置104の取り付け位置に転動部回転体103を撮影可能とするための開口(図示せず)が設けられている。また、取付体105には、手撒部24から薬剤を薬剤転動装置102に投入するための開口105aや、薬剤準備払出部20のカセット払出部22から払い出された薬剤を薬剤転動装置102に投入するためのホッパー105bが接続されている。
薬剤転動装置102は、転動ユニット110と開閉機構140とを有する。転動ユニット110は、薬剤を転動させるための動作機構を備えたものである。本実施形態では、複数(図示例では6個)の転動ユニット110が円板状の転動部回転体103の周方向に並べた状態で設けられており、それぞれに鑑査対象の薬剤を投入可能とされている。
転動ユニット110は、図10(a),(b)に示すような外観形状を有する。転動ユニット110は、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116を内蔵しており、これらのローラ114,116によって薬剤準備払出部20側から供給されてきた薬剤を転動させうる。転動ユニット110は、転動部回転体103に固定される固定部118と、固定部118に対して装着される駆動部120及び可動部122と、薬剤を導入可能なように上方に向けて開口した導入部124とを備えている。
図13や図14に示すように、第一回転ローラ114は、第一回転軸114aの周囲にゴム製の第一ローラ部114bを一体化したものである。第一ローラ部114bは、第一回転軸114aの軸線方向両端側から中央側に向かうにつれて径方向(軸線方向に対して交差する方向)外側に向けて円弧状に膨出した洋樽状の外観形状を有する。すなわち、第一ローラ部114bは、軸方向中心側の部位の外径が両端側の外径よりも大きい、いわゆるラジアルクラウン型あるいはテーパークラウン型のローラとされている。第一回転ローラ114は、固定部118に対して第一回転軸114aを装着することにより回転自在に支持されている。また、第一回転軸114aの一端側には、第一ギア114cが一体的に取り付けられている。さらに、第一回転軸114aの端部には、メンテナンス等の際に手動により第一回転軸114aを回転させるためのハンドル114dが設けられている。
図13や図14に示すように、第二回転ローラ116は、第二回転軸116aの周囲にゴム製の第二ローラ部116bを一体化したものである。第二ローラ部116bは、第二回転軸116aの軸線方向両端側から中央側に向かうにつれて径方向内側に向けて円弧状にくびれた形状とされている。すなわち、第二ローラ部116bは、第一ローラ部114bとは逆に、軸方向中心側の部位の外径が両端側の外径よりも小さい、いわゆる逆クラウン型のローラとされている。第二ローラ部116bは、第一ローラ部114bに沿う形状に湾曲している。第二回転ローラ116は、可動部122に対して第二回転軸116aを装着することにより回転自在に支持されている。また、第二回転ローラ116の一端側(第一回転ローラ114において第一ギア114cが設けられている側)には、第二ギア116cが一体的に取り付けられている。
固定部118は、転動部回転体103において薬剤排出用の開口(図示せず)が形成された位置に合わせて配置される部材である。固定部118は、ベース部構成体123、第一側方構成体126、及び第二側方構成体128を備えている。ベース部構成体123は、固定部118の底部をなすものであり、転動部回転体103の上に固定される。図10(b)に示すように、ベース部構成体123には、薬剤排出用の排出口130が設けられている。ベース部構成体123は、排出口130を転動部回転体103に設けられた薬剤排出用の開口を基準として位置決め固定される。
図13に示すように、ベース部構成体123には、ローラ装着部132や駆動部装着部133等が設けられている。ローラ装着部132には、第一回転ローラ114が自由に回転可能なように装着されている。具体的には、ローラ装着部132には、軸配置部132a、ローラ配置部132b、及びギア配置部132cが設けられており、これらに第一回転軸114a、第一ローラ部114b、及び第一ギア114cが配置されている。また、第一回転ローラ114の設置領域に対して転動ユニット110の正面側(転動部回転体103の径方向外側)に隣接する部分は、第二回転ローラ116の設置領域とされる。第二回転ローラ116の設置領域となる部分には、ガイド部134,134が設けられている。ガイド部134,134には、ガイド溝134a,134aが設けられている。ガイド溝134a,134aは、後に詳述する可動部122と共に第二回転ローラ116が揺動する際に第二回転軸116aを案内するためのものである。
また、図12等に示すように、駆動部装着部133には、駆動部120が装着されている。駆動部120は、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116を駆動させるためのものである。駆動部120は、動力付与部120aと、駆動ギア120bと、従動ギア120cとを備えている。動力付与部120aには、従来公知のモータを採用することができるが、例えばマグネットギアなどの動力伝達機構と、薬剤撮影装置104等の他の場所に設けられたモータなどの動力源との組み合わせにより動力を付与可能なものなどを動力付与部120aとしても良い。駆動部装着部133には、モータ取付部133a(図12参照)と、回転軸配置部133b(図12参照)と、駆動ギア配置部133c(図12参照)と、従動ギア配置部133d(図13参照)とが設けられている。モータ取付部133a及び回転軸配置部133bには、それぞれ動力付与部120aの本体部及び回転軸が配置されている。駆動ギア配置部133cには、動力付与部120aの回転軸に取り付けられた駆動ギア120bが自由に回転可能なように配置されている。また、従動ギア配置部133dには、従動ギア120cが駆動ギア120bと噛み合いつつ自由に回転可能なように配置されている。
図10、図11、及び図13等に示すように、第一側方構成体126及び第二側方構成体128は、それぞれベース部構成体123に対して略対称に配置された構成体である。第一側方構成体126及び第二側方構成体128は、それぞれベース部構成体123の上方に立設され、薬剤転動装置102の側壁を構成している。第一側方構成体126及び第二側方構成体128には、可動部122を支持するための支軸122b,122bが装着されている。これにより、可動部122が、第一側方構成体126及び第二側方構成体128に対して揺動可能なように支持されている。
可動部122は、一対の可動片122a,122aの間(内側)を繋ぐように操作片122cを設け、これらを一体化した構成とされている。可動片122a,122aは、正面視が略三角形状の板体によって構成されている。可動片122a,122aの間には、第二回転ローラ116が設けられている。第二回転ローラ116は、第二回転軸116aの一端側及び他端側をそれぞれ可動片122a,122aに対して接続することにより回転可能に支持されている。また、可動片122a,122aには、支軸122b,122bが外側に向けて突出するように設けられている。上述したように、支軸122b,122bは、それぞれ第一側方構成体126及び第二側方構成体128に対して挿通されている。これにより、可動部122は、支軸122b,122bを中心として揺動可能なように支持されている。
図10〜図14に示すように、操作片122cは、操作部122dと固定部122eとを有する。操作部122dは、転動ユニット110の正面側(転動部回転体103の径方向外側)に向けて突出するように形成された板状の部分である。操作部122dは、後に詳述する開閉機構140により操作される部分である。操作部122dは、常時においては図10〜図14に示すような略水平な姿勢とされている。この状態においては、図13〜図15に示すように、第一回転ローラ114と第二回転ローラ116とが最も近接した位置関係となり、鑑査対象の薬剤を第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の上に配置できる。
ここで、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116が近接しており、これらの上に鑑査対象である薬剤を配置可能な状態においては、第二回転ローラ116の軸心位置(回転中心)が、第一回転ローラ114の軸心位置(回転中心)に比べて上方側に位置している。これにより、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の上で薬剤を確実に回転させることができる。
具体的には、もし仮に図16(a)のように第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116が同一あるいは同程度の高さに設置されている場合には、次のような原理により、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116を回転させても、薬剤が回転しない懸念がある。すなわち、図中に矢印Rで示す方向(図示例では左回転方向)にローラ114,116を回転させると、ローラ114,116の回転とは逆方向(図示例では右回転方向)への回転力が薬剤に付与される。ここで、ローラ114,116の径が薬剤の大きさに対して比較的小さい等の理由により薬剤の重心Gが、ローラ116と薬剤の接触点Aよりもローラ114から離れる側(図示例では右側)にあると、薬剤の自重の影響により、図中に矢印rで示すように薬剤に対してローラ114,116と同一方向(図示例では左回転方向方向)への力が作用する。このような理由で、ローラ114,116が同一あるいは同程度の高さに設置されている場合には、ローラ114,116を回転させても、薬剤を回転させることができない懸念がある。
これに対し、図16(b)のようにローラ114,116のうち一方(本実施形態では第二回転ローラ116)を他方よりも高い位置に設置すると、同一あるいは同程度の高さに設置した場合に比べて薬剤が起立した状態になる。具体的には、ローラ114,116が第一回転軸114a及び第二回転軸116aを中心として右回転する場合には、ローラ114,116のうち右側に配置されたものの回転中心が他方の回転中心よりも高くなるように設置されている。これとは逆に、図16(b)のようにローラ114,116が回転軸114a,116aを中心として左回転する場合には、ローラ114,116のうち左側に配置されたものの回転中心が他方の回転中心よりも高くなるように設置されている。
上述した構成とすることにより、ローラ114,116の上に配置された薬剤の重心Gがローラ116と薬剤の接触点Aよりもローラ114に近づく側(図示例では右側)に位置した状態になり、薬剤の回転が阻害されない。従って、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の一方(本実施形態では第二回転ローラ116)の回転中心を他方よりも高くすることにより、ローラ114,116として比較的径の小さなものを採用したとしても薬剤を確実に回転させうる。また、ローラ114,116として小径のものを採用できるため、装置構成をコンパクト化しうる。
これに加えて、図15に示すように、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116に取り付けられた第一ギア114c及び第二ギア116cは、それぞれ従動ギア120cを介して動力付与部120aの回転軸に接続された駆動ギア120bに接続されている。そのため、動力付与部120aの駆動に伴い各ギアに動力が伝達されると、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116が同一方向に回転する。図15に示す例においては、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116が左方向に回転する。従って、図15において破線で示すように第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の上に薬剤が配置されると、薬剤と第二回転ローラ116との接触部分においては、第二回転ローラ116の回転に伴い、第二回転ローラ116の外周面が第一回転ローラ114側から離反する方向に移動する。また、第一回転ローラ114の回転に伴い、薬剤と第一回転ローラ114との接触部分においては、第一回転ローラ114の外周面が第二回転ローラ116側に近接する方向に移動する。これにより、薬剤は第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の境界部分近傍に留まりつつ回転する。また、薬剤は、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の軸線方向に沿う方向に延びる仮想の回転軸が存在しているかの如く回転する。これにより、薬剤の表面に刻印や印刷により付された識別情報(薬剤の種類を特定するための情報)を薬剤撮影装置104に向けて周期的に表出させることができる。
さらに、上述したように第一回転ローラ114がいわゆるラジアルクラウン型あるいはテーパークラウン型のローラとされており、第一回転軸114aの軸線方向両端側から中央側に向かうにつれて径方向外側に向けて膨出している。そのため、第一回転ローラ114の回転に伴い、薬剤に対して第一回転ローラ114の軸線方向略中央部に向かう方向への推進力が作用する。従って、転動ユニット110に投入された薬剤は、仮に軸線方向中央部を離れた位置に存在していたとしても、第一回転ローラ114の回転に伴って発生する推進力により軸線方向略中央部に移動し、この場所で回転する。具体的には、ラジアルクラウン型とされた第一回転ローラ114においては、軸線方向中央部と両端部との直径差により、回転している第一回転ローラ114の表面において速度差が生じる。これにより、薬剤が仮に第一回転ローラ114の両端側に外れた位置に投入されたとしても、薬剤が速度の速い中央側に寄せられる効果(いわゆるクラウン効果、あるいはこれに類似した効果)が得られる。
上述したように、ラジアルクラウン型のローラを第一回転ローラ114として採用することにより、薬剤撮影装置104が備えるカメラユニット104a,104bに対して定位置で回転させることができる。これにより、カメラユニット104a,104bによる薬剤の撮影精度を向上させることができる。また、第二回転ローラ116を第一回転ローラ114に沿って湾曲した逆クラウン型のものとすることにより、撮影すべき薬剤の落下原因となるような隙間がローラ114,116間に形成されるのを防止できる。
一方、常時において略水平な姿勢にある操作部122dを持ち上げる操作を行うと、可動片122a,122aが支軸122b,122bを中心として揺動する。これに伴い、ベース部構成体123に設けられたガイド部134,134のガイド溝134a,134aによって第二回転軸116aが案内され、第二回転ローラ116が斜め下方に降下する。これにより、第一回転ローラ114と第二回転ローラ116との間隔が拡がり、これらのローラ114,116の上に乗っていた薬剤が下方に向けて払い出される。
図10、図12、及び図14等に示すように、固定部122e,122eは、可動片122a,122aに対して外側(側方)に向けて突出するように形成された片状の部分である。固定部122e,122eは、操作片122cに対して略直交しており、常時においては第一側方構成体126及び第二側方構成体128の正面に対して面接触している。固定部122e,122eは、例えば鉄などの磁性体によって構成されている。そのため、常時においては、第一側方構成体126側にある固定部122eが、図12や図14に示すように第一側方構成体126の正面側に設けられた磁石126aに対して吸着(付着)して固定されている。従って、操作片122cは、固定部122eに作用している吸着力を上回る外力が作用しない限り持ち上がらない。
導入部124は、底構成部材124a及び導入部材124bを組み合わせたもの(図11参照)に対し、反射部材124cを装着した構成(図10参照)とされている。図11や図12に示すように、底構成部材124aは、固定部118に取り付けられた第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116に対して上方から被さるように装着される部材である。底構成部材124aは、暗色(本実施形態では黒色)の部材とされている。
図11に示すように、導入部材124bは、底構成部材124aに対して上方に接続される筒状の部材である。導入部材124bは、アクリル樹脂等の透光性を有する材料(無色透明が好ましい)によって構成されている。これにより、後に詳述する反射部材124cにおいて発生した反射光を、導入部材124bを介して内側に導入可能とされている。導入部材124bは、内側に断面形状が非円形の導入領域124eが形成される筒状の部材である。本実施形態では、導入部材124bとして、外周面は略円形の断面形状であるが、内周面が多角形(本実施形態では略正方形)の断面形状を有する上下方向に連通した筒状の部材が用いられている。
ここで、上述したように透光性を有する導入部材124bを底構成部材124aに対して接続した場合、導入部材124bの底(接触端124f)において光が反射し、薬剤撮影装置104における薬剤の撮影に悪影響を及ぼす懸念がある。具体的には、接触端124fにおいて発生した反射光の影響により、薬剤撮影装置104で撮影した画像において導入部材124bが白く写り込んでしまい、薬剤と導入部材124bとの区別が困難になる懸念がある。
上記した懸念を払拭すべく、本実施形態では、図17に示すように、導入部材124bにおいて、底構成部材124aとの接続に伴って底構成部材124aと接触する側の端部(接触端124f)を暗色(本実施形態では黒色)に着色している。さらに具体的には、導入部材124bの接触端124fに、艶消しの黒色に着色された着色層124gを設けている。これにより、接触端124fにおける光の反射を抑制している。これに加えて、本実施形態では、上述したように底構成部材124aについても暗色(本実施形態では艶消しの黒色)とすることにより、より一層光の反射を抑制している。また、底構成部材124aを設けることにより、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の回転により導入部材124bの接触端124fに付された着色層124gが剥がれ落ちるのを防止している。
また、本実施形態では、着色層124gの表面に、帯電防止剤により構成された帯電防止層124hが設けられている。これにより、導入部材124b内において薬剤が回動することに伴う静電気を、帯電防止層124hによって抑制できる。なお、本実施形態では、着色層124gとは別に帯電防止層124hを設けているが、帯電防止層124hを設けず、着色層124gに帯電防止剤を練り込む等して、着色層124gが帯電防止効果を備えたものとしても良い。
導入部材124bを底構成部材124aに対して装着すると、図11等に示すように、第一回転ローラ114および第二回転ローラ116の上方に導入領域124eが形成される。図14(b)において破線で示すように、導入部材124bは、その内周面が第一回転ローラ114の軸心を通る鉛直面と、第二回転ローラ116の軸心を通る鉛直面とに内接するように形成されている。これにより、導入領域124e内に導入された薬剤が、第一回転ローラ114や第二回転ローラ116の回転に伴って導入部材124bの外側に漏洩するのを防止できる。
反射部材124cは、光沢を有する板体により構成されている。図10(a)等に示すように、下方(導入部材124b側)に向かうに従って徐々に関口面積が小さくなる円錐状の内面をする部材である。反射部材124cの内周面は、約45〜60度程度の傾斜を有している。これにより、導入部材124bに向けて光を反射させ、導入部材124bの内側(導入領域124e)に導入可能とされている。
図9等に示すように、開閉機構140は、上述した転動部回転体103に対して径方向外側に隣接する位置に設けられている。開閉機構140は、転動部回転体103の回転に伴って隣接する位置に到来した転動ユニット110の操作片122cを持ち上げることにより第一回転ローラ114と第二回転ローラ116との間隔が拡げる操作を行うためのものである。図9、図18、及び図19に示すように、開閉機構140は、開閉用駆動源140aと、動力伝達部140bと、作動片140cと、回転量検知部140dとを備えている。
開閉用駆動源140aは、開閉機構140において駆動力を発揮する部分である。開閉用駆動源140aは、いかなるもので構成されても良いが、本実施形態ではモータによって構成されている。動力伝達部140bは、開閉用駆動源140aから作動片140cに動力を伝達する部分である。
作動片140cは、動力伝達部140bを経て開閉用駆動源140aから受けた動力を用いて作動する片状の部分である。図18や図20に示すように、作動片140cは、長手方向の基端側に作動軸140fを挿通するための挿通孔140hを有し、先端側に操作片122cと接触する接触部140iを有するものとされている。作動片140cは、接触部140iが転動部回転体103側を向くように配されている。挿通孔140hは、作動片140cの長手方向に長い長円状の開口形状を有するものである。作動軸140fは、挿通孔140h内において偏心回転可能とされている。また、作動片140cは、挿通孔140hを離れた位置において作動軸140fに対して略平行に設けられた支軸140jによって回転自在に支持されている。このような構成とすることにより、開閉用駆動源140aの回転軸を所定方向(正方向)に回転させるだけで、操作片122cを上下させ、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の間を開閉できる。また、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の間を閉じるべく、操作片122cを下降させる際に、作動片140cの先端に設けられた接触部140i(本実施形態ではローラ)で、操作片122cの垂直壁122fを押し込むことができる。
回転量検知部140dは、開閉用駆動源140aの回転軸の回転量を検知するためのものである。回転量検知部140dは、いかなるものによって構成されていても良いが、本実施形態ではロータリーエンコーダによって構成されている。
薬剤撮影装置104は、転動ユニット110によって転動させた薬剤を撮影するためのものである。薬剤撮影装置104は、薬剤を撮影可能なものであればいかなるものであっても良いが、本実施形態では複数台(図示例では2台)のカメラユニット104a,104bを備えたものとされている。薬剤撮影装置104は、上述したように転動部回転体103の上方に配置された取付体105に対して取り付けられている。薬剤撮影装置104は、開閉機構140が設けられた位置に対して転動部回転体103の正回転方向(図示例では時計回り方向)の上流側に外れた位置に設けられている。本実施形態では、開閉機構140に隣接する位置に転動ユニット110が静止した状態において、これよりも転動部回転体103の正回転方向上流側に隣接する2つの転動ユニット110,110が配置される位置に対応する位置(以下、「撮影位置」とも称す)にカメラユニット104a,104bが設置されている。
カメラユニット104a,104bは、それぞれカメラ104cと光源104dとを備えている点において共通しているが、撮影対象となる薬剤の種類と、撮影方法が相違している。具体的には、薬剤には、刻印により識別情報が付されたものと、印刷により識別情報が付されたものとがある。カメラユニット104aは、主として刻印により識別情報が付された薬剤の撮影に用いられ、カメラユニット104bは主として印刷により識別情報が付された薬剤の撮影に用いられる。図21(a)に示すように、カメラユニット104aにおいては、光源104dから発せられた光を反射部材124cにおいて反射させ、導入部材124bを介して導入領域124e内に導入する。これにより、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の上で回転している薬剤に対して横方向(カメラ104cから薬剤に向かう方向に対して交差する方向)から光を当てつつ、カメラ104cによって薬剤を撮影する。これに対し、図21(b)に示すように、カメラユニット104bにおいては、導入部材124bの内側(導入領域124e内)に存在する薬剤に向けて直接光を照射する。これにより、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の上で回転している薬剤に対してカメラ104cから薬剤に向かう方向に沿う方向に光を当てつつ、カメラ104cによって薬剤を撮影する。
また、転動部回転体103の下方であって、上述した撮影位置に相当する位置には、トレイ142が設けられている。トレイ142は、転動ユニット110において薬剤を回転させることにより発生した粉体等を受け入れるためのものである。
上述した分包前撮影部100の下方には、分包部150が設けられている。分包部150は、分包紙に対して印刷を施すための印刷ユニット152と、分包紙により薬剤を包装するための包装ユニット154とを備えている。印刷ユニット152は、2つ折りにされた分包紙が巻回されたロール156と、入力された処方データに基づいて、ロール156から巻き戻された分包紙の表面に、薬剤の名称、服用方法等を印刷するプリンタ158とを備える。ロール156に巻回された分包紙の残量は、残量検出センサ160によって検出され、制御部200に残量信号が送信される。また、ロール156から巻き戻される分包紙の搬送路の途中には紙切れセンサ162が設けられており、分包紙が欠品となったことが検出されると制御部200に欠品信号が送信される。
包装ユニット154は、ヒータローラ164(加熱部)により分包紙に対して熱を加えてシールすることにより分包紙から分包袋を形成するものである。包装ユニット154は、斜め上方から斜め下方に向かって搬送される分包紙の両側に配置されるヒータローラ164を備える。ヒータローラ164は、回転することにより分包紙を搬送しながら薬剤を1包分ずつ包装(分包)できる。分包紙の搬送方向に対してヒータローラ164の上流側には、分包前撮影部100側から払い出された薬剤を包装用として供給するためのホッパー166が配置されている。ホッパー166は、包装ユニット154による搬送経路の中途において2つ折りとされた分包紙の間に先端部が差し込まれる。また、分包紙の搬送方向に対してヒータローラ164の下流側には、カッター168が設けられており、分包紙を所望の包数で切断できる。さらに、分包紙の搬送方向に対してカッター168の下流側には、切断された分包紙を取出位置に搬送するための搬送装置170が設けられている。
なお、本実施形態においては、包装ユニット154は、分包紙の搬送及びシール機能を備えるヒータローラ164が設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、包装ユニット154は、ヒータローラ164を設けずに分包紙を両側から挟んでヒートシールする一対の加熱体(加熱部)と、分包紙を搬送する搬送ローラとを備えるものとして、これらにより分包紙から分包袋を形成する構成としてもよい。
制御部200は、複数の処方データが記憶されているサーバとの間で信号の送受信を行う。制御部200は、サーバから受診したコマンドをバッファに蓄積し、コマンドに則って薬剤準備払出部20を駆動制御することにより、処方データに即した薬剤を払い出させる。また同時に、分包部150を駆動制御する。これにより、印刷ユニット152において払い出す薬剤に関する服用情報等を分包紙に印刷させると共に、包装ユニット154を駆動させて1服用分ずつ薬剤を包装させる。さらに、後述するようにして行われる薬剤の鑑査結果をタッチパネル14aなどの表示装置に表示させる。なお、サーバの記憶部には、処方データのほか、薬剤情報(薬剤識別情報、薬剤名、薬剤コード、用法、効能、薬剤画像等)からなるデータテーブルが記憶されている。これらは、制御部200の記憶部に記憶されてもよい。
制御部200には、薬剤分包装置10の各部が信号の送信あるいは受信のいずれか一方又は双方を実施可能なように接続されている。本実施形態では、制御部200は、薬剤準備払出部20、個別供給部60、鑑査ユニット部50、及び分包部150に対して信号を送受信可能なように接続されている。
制御部200は、動作制御部210を備えており、これにより薬剤準備払出部20、個別供給部60、鑑査ユニット部50、及び分包部150の各部を適宜動作制御可能とされている。本実施形態では、薬剤分包装置10における特徴的な動作を実現すべく、動作制御部210に加えて個別供給制御部220、読取制御部230、鑑査処理部240を備えている。以下、動作制御部210を構成する各部についてさらに詳細に説明する。
個別供給制御部220は、個別供給部60の動作制御を行うものである。個別供給制御部220は、回転体制御部222、配置導出部224、及び受渡動作制御部226、動作確認制御部228を備えている。なお、個別供給制御部220を構成する各部は必ずしも必須のものではなく、個別供給部60において薬剤を一つずつ、個別に分包前撮影部100側に供給する動作を実現可能であれば一部を省略したり、他の構成を付加したものであっても良い。
回転体制御部222は、回転体68の動作制御を行うものである。回転体制御部222は、手撒部24から各受入部72への薬剤の受け入れに備え、薬剤を受け入れるのに適した位置に受入部72が配置されるように回転体68を回転させる制御を行う。また、回転体制御部222は、受渡動作(薬剤準備払出部20側から受け入れた薬剤を受渡装置64によって分包前撮影部100側に受け渡す動作)に備え、受入部72を受渡装置64の作動領域内に移動させる制御を行う。受入部72の移動に関する制御に際し、回転体制御部222は、先ず受入部72が排出口74に隣接する所定位置(排出口隣接位置)を越える位置まで回転するように回転体68を正回転させる。その後、回転体制御部222は、受入部72が排出口隣接位置まで戻るように回転体68を逆回転させる制御を行う。
配置導出部224は、回転体制御部222の制御の下、排出口隣接位置に到来した受入部72内にある薬剤の配置を導出するためのものである。配置導出部224は、受入部72が排出口隣接位置に到達した後、照明部96をオン状態として受入部72を下方から照明しつつ、受入撮影部94により受入部72の撮影を行わせる。配置導出部224は、受入撮影部94によって取得された画像データの解析を行い、薬剤が陰として写っている位置を割り出す。この解析結果に基づき、配置導出部224は、受入部72内における薬剤の配置を導出する。
受渡動作制御部226は、受渡装置64等を用いて行われる受渡動作の実行制御を行うものである。ここで、受渡動作の実行方法としては種々のものが考えられるが、本実施形態では、アーム駆動動作、吸引動作、及び離反動作等の複数の動作を組み合わせた方法で実行される。ここで、アーム駆動動作とは、受渡装置64の受渡アーム84aを駆動させる動作を指す。また、吸引動作とは、受渡装置64の保持部86に薬剤を吸引保持させる動作を指し、離反動作とは、吸引保持させた薬剤を保持部86から離反させる動作を指す。なお、受渡動作は、薬剤を受渡装置64によって分包前撮影部100側に受け渡す動作を行うものであれば良く、一部の動作を省略したものや、他の動作を加えたものとしても良い。
受渡動作制御部226は、アーム駆動動作の実行制御を行うものである。受渡動作制御部226は、配置導出部224による解析結果に基づいて受渡アーム84aを移動させる。これにより、受入部72において薬剤が配置されている位置に保持部86が到達するよう、受渡アーム84aを移動させうる。また、保持部86に薬剤を保持させた後は、受渡動作制御部226で受渡アーム84aを作動させ、薬剤を持ち上げて排出口74側に移動させることができる。この際、受渡動作制御部226は、保持部86に保持された薬剤が枠体78によって囲まれた領域内において、枠体78の周壁部78fの高さを超えない範囲で移動するよう、動作範囲を規制しつつ受渡アーム84aを動作させる。
動作確認制御部228は、個別供給部60を構成する各部の動作確認を実行させるためのものである。動作確認制御部228は、種々の確認動作を行うものとすることができるが、本実施形態では受渡動作の実施前に吸引装置90の動作確認と、枠体78の取り付け確認とを兼ねた確認動作を行わせる。具体的には、動作確認制御部228は、受渡動作の実施前に受渡アーム84aに取り付けられた保持部86を薬剤が配置されている箇所を外れた所定の事前吸引位置に移動させ、接触部88bを接触させつつ吸引装置90を作動させる。本実施形態では、枠体78に設けられた事前吸着位置形成部78eに接触部88bを接触させつつ吸引装置90を作動させる。動作確認制御部228は、このような動作に伴って一定の吸引力が発現しているか否かを確認する。これにより、一定の吸引力の発現が確認された場合には、動作確認制御部228は、吸引装置90が正常であると共に、枠体78が正確に取り付けられているものと判断する。一方、一定の吸引力の発現が確認されない場合には、動作確認制御部228は、吸引装置90の異常、あるいは枠体78の取り付け不良のいずれか一方又は双方が起こっているものと判断する。
読取制御部230は、薬剤に付された識別情報を読み取るべく、分包前撮影部100の動作制御を行うためものである。読取制御部230は、転動制御部232、撮影制御部234、排出制御部236等を備えている。なお、読取制御部230を構成する各部は必ずしも必須のものではなく、薬剤に付された識別情報を読み取るための動作を実現可能であれば一部を省略したり、他の構成を付加したものであっても良い。
転動制御部232は、薬剤転動装置102をなす転動ユニット110の動作制御を行うものである。転動制御部232は、転動部回転体103の回転制御を行うことにより、各転動ユニット110を順次適切な位置に移動させる制御(移動制御)を行う。具体的には、鑑査対象である薬剤を受け入れるのに適切な位置に各転動ユニット110を移動させると共に、薬剤を受け入れた転動ユニット110を順次、薬剤撮影装置104が設けられた位置まで移動させる制御を行う。また、転動制御部232は、薬剤撮影装置104が設けられた位置に到達した転動ユニット110の第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116を作動させ、これらのローラ114,116上において薬剤を転動させる制御(転動制御)を行う。転動制御部232は、後述の撮影制御部234により薬剤の画像を撮影する期間の略全体に亘って薬剤を転動させる。
撮影制御部234は、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の作動に伴い転動する薬剤についての画像を撮影すべく、薬剤撮影装置104の動作制御を行う。これにより得られた画像データは、後述の鑑査処理部240に向けて出力され、鑑査処理を行うために使用される。
排出制御部236は、上述した撮影制御部234の制御の下、画像の撮影が終わった薬剤を転動ユニット110から排出させるべく、開閉機構140の動作制御を行うものでる。排出制御部236は、薬剤を転動ユニット110から排出させる際に、開閉用駆動源140aを作動させ、作動片140cにより転動ユニット110の操作片122cを持ち上げる動作を実行させる。これにより、転動ユニット110において第一回転ローラ114と第二回転ローラ116との間隔を拡張させ、両者の間から薬剤を落下させる。これに伴い、薬剤が分包部150側に排出される。
鑑査処理部240は、撮影制御部234から取得した画像データを用い、薬剤に付されている刻印や印刷などの識別情報を取得する処理を行う。また、鑑査処理部240は、画像データに基づいて取得された識別情報に基づき、サーバ等に記憶されているデータベースから取得した識別情報に該当する薬剤を特定する。これにより、鑑査処理部240は、薬剤の撮影した画像データに基づいて取得された識別情報から、実際に払い出されている薬剤についての薬剤情報を特定する。また、処方データに基づき、分包すべきとされている薬剤についての薬剤情報を特定する。鑑査処理部240は、画像データに基づいて導出された薬剤情報と、処方データに基づいて導出された薬剤情報とを比較する。その結果、両者の薬剤情報が合致している場合には、適正に薬剤が払い出されているとの判定を行い、合致していない場合には薬剤の払い出しが不適正であるとの判定を行う。薬剤の払い出しが適正であると判定された場合には、薬剤の分包をそのまま進めて問題がない。一方、薬剤の払い出しが不適正であると判定された場合には、例えばタッチパネル14aなどの表示装置にその旨を表示したり警報音を発生させたりするなどの警告動作を行うことが望ましい。
なお、上述した画像データに基づく鑑査(画像鑑査)による結果は、不適正であると判定された場合だけでなく、適正な場合にも表示させるようにすることが望ましい。また、画像鑑査の結果を表示する際には、カメラユニット104a,104bにより取得された画像を一枚、あるいは複数枚分、鑑査結果を補足するデータとして出力するようにしてもよい。具体的には、薬剤の識別情報を取得するために利用された薬剤の表面あるいは裏面の画像を鑑査結果を補足するためのデータとして出力しても良い。
タッチパネル14aなどの表示装置への画像鑑査による結果表示の形態は、種々のものとすることができるが、例えば薬剤の画像データを分包部150において包装される包装(服用時期)単位で識別可能に表示するようにしても良い。また、各包装単位で表示した薬剤の画像データは、予め決定した薬剤の種類順に並び替えるようにしても良い。このようにすることで、表示された画像データに基づいて、簡単に鑑査結果を確認できる。鑑査の結果、薬剤の不適切な払い出しが行われていると判定された場合には、タッチパネル14a等に表示される薬剤の画像の色彩を変更したり、点滅状態で表示させたりする等してエラーである旨の表示を行うようにするのが好ましい。
さらに具体的に説明すると、例えば、図22(a)に示すような処方データに則って払い出された薬剤について鑑査を行った場合に、その鑑査結果を図22(b)に示すようにして画面表示しても良い。図22(b)においては、図示の都合上、不適切であると判定されたものについて該当欄に斜線を施した表示としているが、画面上に表示する場合には例えば赤色で表示する等しても良い。図22(a)に示す例に基づいて例示すると、例えば昼の服用分についての処方データは、薬剤A(○)を2錠、薬剤B(△)を1錠、薬剤C(□)を1錠処方すべきというものである。処方データがこのようなものである場合に、上述したように各包装単位で表示した薬剤の画像データを予め決定した薬剤の種類順に並び替える方針に則れば、適正に薬剤が払い出されていれば○○△□の順で表示される。
ここで、図22(b)に示した鑑査結果を示す画面表示例を参照すると、1日目〜5日目までの昼の服用分については、いずれも○○△□の順で表示されている。従って、1日目〜5日目までの昼の服用分については、各薬剤が適正に払い出されていることが分かる。一方、6日目の昼の服用分については、○−△□と表示されており、本来○印で表示されるべきである箇所にエラーであることを示す「−」印が表示されている。また、7日目の昼の服用分については、6日目の昼の服用分として包装されるべき薬剤Aが紛れ込んでおり、○○△□○と表示されている。6日目の服用分についての表示に含まれる「−」印、及び7日目の服用分についての表示に含まれる薬剤Aの余剰分を示す「○」印は、いずれも図中において不適合である旨を示す斜線が付されており、画面上に表示する場合には赤色等で表示される。このようにして表示することにより、鑑査業務における薬剤師の負担をより一層低減し、鑑査ミスを最小限に抑制できる。
なお、図22(b)では、薬剤を○印等の簡略化した図形で表示した例を示したが、実際には薬剤の画像データを表示する等して、より一層鑑査業務を行う者が直感的に把握できる表示形態とすることが望ましい。また、鑑査結果について別欄を設け、適正な場合に「O」印で表示し、不適正な場合に「×」印で表示する等して、鑑査業務に従事する者にとって分かりやすい表示とすることが好ましい。さらに、画面上において薬剤の画像データをクリックする等により拡大画像をポップアップ表示させるようにしてもよい。これにより、薬剤の外観形状や、薬剤の表面に付された刻印等の識別情報の確認をより一層容易かつ確実に行うことが可能となる。
続いて、薬剤分包装置10の動作について説明する。なお、ここでは、主に本発明の特徴部分である、薬剤を包装前に行う薬剤の鑑査処理に重点をおいて説明する。
薬剤準備払出部20から処方データに則って払い出された薬剤は、図23に示すような経路を経て分包前撮影部100に到達する。具体的には、薬剤準備払出部20のうち、手撒部24から払い出された薬剤は、個別供給部60を経て分包前撮影部100に到達する。これに対し、カセット払出部22から払い出された薬剤は、個別供給部60を迂回して分包前撮影部100に直接到達する。
さらに具体的に説明すると、手撒部24から払い出された薬剤は、個別供給部60の受入部72に導入される。個別供給部60においては、回転体68を回転させつつ、空の受入部72に対して手撒部24から払い出された1マス分の薬剤が順次導入される。回転体68の回転に伴い、薬剤が投入された受入部72が排出口74に隣接する位置に到達すると、受渡装置64によって受入部72から排出口74に向けて薬剤を一つずつ個別に受け渡す動作(受渡動作)が実施される。
さらに詳細に説明すると、手撒部24から払い出された薬剤は、個別供給部60の受入部72において回転体68の回転中心側に偏在した領域に投入される。その後、回転体68を回転させ、薬剤が投入された受入部72を排出口74に隣接する位置に到達させる際には、回転体制御部222による制御の下、先ず受入部72が排出口74に隣接する所定位置(排出口隣接位置)を越える位置まで移動するように回転体68を正回転させる。その後、受入部72が排出口隣接位置まで戻るように回転体68を逆回転させる。このような動作を行うことにより、受入部72内において薬剤が受入筒72cの内周面72dから離れる。また、受入部72の断面形状が非円形(本実施形態では略多角形状)とされているため、薬剤は受入部72内において分散された後、間もなく停止する。
上述したようにして排出口隣接位置に受入部72が到来すると、配置導出部224による制御の下、受入部72内における薬剤の配置が割り出される。薬剤の配置の導出方法はいかなるものであっても良いが、本実施形態では照明部96により下方から照明しつつ受入撮影部94により受入部72を撮影した画像データについて陰の部分を割り出す解析処理を行い、陰の位置に基づいて薬剤の配置が導出される。受入部72が排出口隣接位置に戻った時には、上述のように、薬剤が受入筒72cの内周面72dから離れる。そのため、薬剤の影画像が受入筒72cから離れた位置に現れ、薬剤の位置を精度良く特定できる。
上記したようにして排出口隣接位置に到来した受入部72における薬剤の配置が導出されると、この結果に基づいて受渡動作制御部226による制御の下、受渡装置64等により受渡動作が実行される。受渡動作はいかなる方法で実施されても良いが、本実施形態では事前に動作確認制御部228により個別供給部60を構成する各部に動作不良の原因がないかを確認する動作を行ったうえで受渡動作を行う。
具体的には、動作確認制御部228の制御の下、受渡アーム84aを枠体78に設けられた事前吸引位置に移動させ、接触部88bを事前吸着位置に接触させつつ吸引装置90を作動させる。これにより、吸引装置90の動作不良や、枠体78の取付不良が生じていないかを確認する。その後、受渡動作制御部226により受渡アーム84aを作動させ、受入部72内において薬剤が配置されている場所に受渡装置64の保持部86を移動させる。また、吸引装置90を作動させることにより、保持部86に薬剤を吸引保持させる。
その後、薬剤を吸引保持したままの状態で保持部86を枠体78内において排出口74側に移動させる。排出口74に保持部86が到達すると、受渡アーム84aを停止させると共に、吸引保持されている薬剤を保持部86から離反させる。この際、吸引装置90を停止させたり、吸引装置90から保持部86に至る経路に設けた弁を閉じるなどして薬剤に吸引力が作用しない状態とする。これに加えて吐出装置92を作動させ、保持部86に保持されている薬剤に対して吸引力の作用方向とは逆方向に気体を噴出させる等して吐出力を作用させる。これにより、薬剤が確実に保持部86から離反し、排出口74側に排出される。なお、本実施形態では、薬剤を離反させる際に吐出装置92を作動させる例を示したが、吐出装置92を設けず吐出力を作用させない構成としたり、必要と判断された場合にのみ吐出装置92を作動させるようにしても良い。
上述したようにして枠体78内の薬剤を吸引し、排出口74側に移動させた後に離反させる動作を繰り返すことにより、手撒部24側から枠体78内に投入された全ての薬剤を一つずつ、個別に排出口74を介して分包前撮影部100側に供給することができる。排出口74を介して払い出された薬剤は、それぞれ分包前撮影部100の取付体105に設けられた開口105aを介して空の状態である各薬剤転動装置102に一つずつ投入される。
また、カセット払出部22から払い出された薬剤は、図示しない配管等を通じて分包前撮影部100側に送られる。その後、この薬剤は、取付体105に接続されたホッパー105bを介して空の状態である各薬剤転動装置102に一つずつ投入される。
一方、分包前撮影部100側においては、手撒部24やカセット払出部22から薬剤を受け入れるべく、読取制御部230による制御の下、転動ユニット110や、薬剤撮影装置104、開閉機構140の動作制御がなされる。具体的には、分包前撮影部100において薬剤を受け入れ可能とするために、転動制御部232は、転動部回転体112を回動させ、薬剤が投入されていない空の転動ユニット110が排出口74の下方に到来させる。その後、転動部回転体112を順次回転させ、薬剤が投入された転動ユニット110を薬剤撮影装置104が設けられた位置まで移動させる。
上述したようにして薬剤が転動ユニット110に投入された後、この転動ユニット110が薬剤撮影装置104の位置まで到達すると、転動制御部232の制御に基づいて動力付与部120aを作動させ、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116を回転させる制御(転動制御)が実行される。これに伴い、ローラ114,116上に存在する薬剤が回転しつつ、ローラ114,116の軸線方向略中央部に移動してくる。このようにして薬剤を回転させている間に、撮影制御部234により薬剤撮影装置104を作動させる制御が実行され、ローラ114,116上で回転している薬剤の画像データが取得される。
上述したようにして鑑査対象である薬剤の画像データが取得されると、排出制御部236による制御の下、薬剤を転動ユニット110から分包部150に向けて払い出させる動作が実行される。具体的には、排出制御部236は、開閉用駆動源140aをなすモータを所定量だけ作動させ、作動片140cの先端側を上方に向けて傾斜させる。これに伴い、転動ユニット110の正面に設けられた操作片122cの操作部122dに対して作動片140cが下方から当接し、操作片122cが上方に持ち上げられた状態になる。これにより、第二回転ローラ116が第一回転ローラ114から離反する方向に移動し、両者の間隔が拡がり、これらのローラ114,116上に存在していた薬剤が転動ユニット110から払い出される。
上述したようにして薬剤の払い出しが完了すると、排出制御部236は、開閉用駆動源140aをなすモータをさらに回転させる。これにより、上方に向けて傾斜していた作動片140cが略水平な姿勢に戻る。これに伴い、操作片122cの操作部122dについても自重で略水平な姿勢に戻り、第一側方構成体126側にある固定部122eが、第一側方構成体126の正面側に設けられた磁石126aに対して吸着固定された状態になる。これにより、第二回転ローラ116が第一回転ローラ114に対して近接した状態に戻り、両ローラ114,116の上に薬剤を配置可能な状態になる。
上述したようにして鑑査対象である薬剤の画像データが取得されると、鑑査処理部240による制御の下、上述したようにして鑑査処理が実行される。すなわち、画像データから鑑査対象である薬剤について刻印等の識別情報を割り出し、薬剤情報を特定する一方で、処方データから鑑査すべき薬剤についての識別情報を取得する。そして、これらの識別情報を比較し、処方データに即して適正に払い出された薬剤であるか否かの判定が行われる。判定結果は、タッチパネル14a等の表示手段や音声、ランプの点等など適宜の方法を用いて報知される。
以上のようにして鑑査が終了した薬剤は、順次、鑑査ユニット部50と分包部150との間に設けられたホッパー166内に排出されて貯留される。そして、一服用分(一服用単位)の薬剤が貯留され、鑑査の結果に問題がなければ、ホッパー166から分包部150に向けて薬剤が払い出される。分包部150に払い出された薬剤は、印刷ユニット152において該当する服薬情報(薬剤の名称、服用方法等)が印刷された分包紙により、包装ユニット154において一服用分ずつ包装される。包装ユニット154における包装は、自動的に行ってもよいし、一旦、確認のボタンを表示させて、そのボタンが操作されることを条件として行うようにする等、適宜のものとすることができる。これにより、ホッパー166に貯留した状態で、対応する印刷を行った一包に確実に供給して包装することができる。一方、鑑査の結果、問題が発生すれば、例えば、該当する一包にエラーが発生した旨を印刷してもよいし、既に印刷が完了しているのであれば、その印刷をこれに続く分包紙に行うようにしてもよい。
なお、本発明の薬剤分包装置10は、上述のように一服用分(一服用単位)の薬剤をホッパー166内に貯留し、鑑査の結果を待ってホッパー166から分包部150に向けて薬剤が払い出される構成としてもよいし、あるいはホッパー166に一服用分の薬剤を貯留せずに分包部150に向けて薬剤が払い出される構成としてもよい。また、分包部150は、後に詳述する送風部300や分包後情報表記部320を備えたものとすることができる。すなわち、薬剤の鑑査結果を待たずに薬剤を一旦分包してから、分包後において後に詳述する分包後情報表記部320により鑑査結果の情報を分包袋に記すよう構成してもよい。
上述したように、本実施形態の薬剤分包装置10においては、個別供給部60により薬剤準備払出部20側から受入部72に受け入れた薬剤を受渡装置64によって個別に保持し、分包前撮影部100側に供給可能とされている。これにより、個別供給部60を介して供給された薬剤に関する識別情報を分包前撮影部100において精度良く読み取らせ、鑑査性能の向上に資することができる。
本実施形態の薬剤分包装置10は、手撒部24に供給された薬剤が個別供給部60を介して分包前撮影部100に供給されるものとされているため、仮に手撒部24から一度に複数の薬剤が払い出されたとしても、これを一つずつ確実に分包前撮影部100に供給できる。これにより、分包前撮影部100において一つずつ、確実に薬剤の識別情報を読み取ることができる。その一方で、保管されている薬剤を個別に払い出し可能な薬剤カセット32を備えたカセット払出部22から払い出された薬剤については、個別供給部60を迂回する経路で分包前撮影部100に供給し、鑑査することとしている。そのため、本実施形態の薬剤分包装置10においては、薬剤カセット32から払い出された薬剤のように、特に一つずつに分離する必要のないものについては、個別供給部60における処理を省略でき、鑑査処理の効率や速度の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、カセット払出部22から払い出された薬剤については、個別供給部60を迂回する経路で分包前撮影部100に供給することとしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、カセット払出部22から払い出された薬剤についても個別供給部60を経て分包前撮影部100に供給するようにしても良い。また、上述した薬剤分包装置10は、手撒部24から払い出される薬剤の全てについて個別供給部60を経由させ、分包前撮影部100に供給するものとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、手撒部24から複数の薬剤が纏めて払い出される場合に個別供給部60を経て分包前撮影部100に供給するようにし、手撒部24から一つずつ薬剤を払い出すような運用で使用される場合には、個別供給部60を経ず直接分包前撮影部100に供給できるようにしても良い。
上述したように、本実施形態の薬剤分包装置10は、受渡装置64が吸引装置90を備えており、吸引装置90によって薬剤を一つずつ吸引して保持可能なものとされている。そのため、個別供給部60に供給された薬剤を確実に一つずつ、個別に保持して分包前撮影部100側に供給できる。なお、受渡装置64は、上述したように吸引力を用いて薬剤を個別に保持するものである必要はなく、例えば薬剤を一つずつ把持可能なものなどとすることも可能である。
また、本実施形態の薬剤分包装置10では、受渡装置60において、薬剤の吸着に用いる吸着部88として、吸着管88aの先端に接触部88bを設けた例を示したが、接触部88bの形状等については適宜変更可能である。具体的には、上述した接触部88bは、例えば図24(a)に示すようにパッド部88cからなるものとしても良いが、図24(b)に示すようにさらに突出部88dを備えたものとしてもよい。具体的には、図24(a),(b)の例においては、吸気用として設けられた吸気口88eを中心として断面形状がテーパー状となるように形成された椀状のパッド部88cを備えている点において共通している。図24(b)に示す例においては、吸気口88eの外縁に沿ってパッド部88c内に突出するように形成された突出部88dを備えている点において、図24(a)の例と相違している。すなわち、パッド部88cの中に、吸気口88eを取り囲むように形成されたリブ状の突出部88dを設けた点において、図24(b)の接触部88bは特徴を有する。図24(b)のような構成とした場合には、図24(a)のような構成とした場合と同様に、パッド部88cの外径と同等あるいはそれ以上の大きさの薬剤を取り扱う場合に、薬剤に対してパッド部88cを接触させることによりパッド部88cを柔軟に変形させ、薬剤を確実に吸着させることができる。図24(b)のような構成とした場合には、パッド部88cの外径よりも小さくパッド部88cでは吸着しにくい薬剤についても、吸着することができる。具体的には、図24(b)のように突出部88dを設けた場合には、突出部88dにおいて小さな薬剤の表面に接触した状態になり、吸気口88eを介して吸気を行ってもリークが生じず、十分な吸引力を発揮させうる。そのため、図24(b)のような構成とすることにより、小さな薬剤についても確実に吸着できる。
また、本実施形態の薬剤分包装置10は、受渡装置64が、吸引装置90に加えて吐出装置92を備えており、薬剤を放すときに気体を吐出させることとしている。このような構成とすることにより、受渡装置64において保持した薬剤をより一層確実に放すことが可能となる。なお、本実施形態では、受渡装置64が吐出装置92を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、吐出装置92を備えていないものであっても良い。
上述したように、薬剤分包装置10は、受渡装置64が、受渡動作の際に薬剤に接触する接触部88bを備えており、受渡動作の実施前に、薬剤の吸着とは関係のない事前吸着位置形成部78eに接触させて吸引力を作用させる動作(事前吸引動作)を行うようなものとされている。このような動作を行わせることにより、受渡装置64において薬剤を保持するために適切な吸引力が発生しているかを確認するための事前チェックを行うことができる。さらに、枠体78に事前吸着位置74eを設けることにより、事前吸着動作を枠体78の設置状況を確認するためにも活用している。これにより、枠体78の取付状態を確認するためのセンサ等を設ける必要がなくなり、装置構成や動作の簡略化に資することができる。なお、本実施形態では、事前吸引動作を実施する例を示したが、薬剤分包装置10は、事前吸引動作を行わないものであってもよい。また、事前吸着位置形成部78eを枠体78に設けた例を示したが、他の場所を事前吸着位置形成部78eとしても良い。
本実施形態の薬剤分包装置10においては、受入部72及び排出口74を包囲するように設けられた枠体78の上端よりも低い領域内において、薬剤を受入部72側から排出口74側に移動させることとしている。これにより、受渡動作の最中に万が一、受渡装置64から薬剤が落下するようなことがあっても、落下した薬剤が枠体78の内側に留まり、予期せぬ場所に落下する等の不具合を防止できる。なお、本実施形態では、枠体78の高さの範囲内で薬剤を移動させることにより、受渡動作中の薬剤の落下に備える例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、枠体78の高さを超えて薬剤を移動させることとしたり、枠体78自体を設けないこととしても良い。なお、このような構成とする場合についても、受渡動作中に薬剤が落下した場合に備え、何らかの方策を講じておくことが望ましい。
薬剤分包装置10においては、受入部72の底部が透光性を有する透光性素材で形成されている。また、受入部72を下方側から照明部96によって照明しつつ上方側から受入撮影部94により撮影した画像データに基づき、配置導出部224によって受入部72内における薬剤の配置を導出し、受渡装置64を作動させて薬剤を保持可能とされている。このような構成とすることにより、受入部72に供給された薬剤の配置を適確に把握し、受渡装置64による受渡動作を精度良く実施できる。なお、本実施形態では、薬剤の受け渡しのために薬剤の位置を割り出すための手段として前述したようなものを採用した例を示したが、本発明はこれに限定されず、代替可能な他の方法を採用しても良い。
上述したように、薬剤分包装置10は、個別供給部60に一括排出機構73が設けられており、受入部72内の薬剤を一括排出可能とされている。これにより、受入部72に導入された薬剤を回収せねばならない場合や、薬剤を1つずつ分包前撮影部100側に排出している最中に分包を中止する場合などに、受入部72内の薬剤を迅速に排出させることができる。なお、本実施形態では、個別供給部60に一括排出機構73を設けた例を示したが、一括排出機構73を設けない構成としても良い。また、一括排出機構73は、上述した構成に代替可能な他の構成であっても良い。
本実施形態の薬剤分包装置10は、回転体68に受入部72が周方向に複数配されており、回転体68の回転に伴って受渡装置64の作動領域内に配置された受入部72内の薬剤について受渡動作を実施可能とされている。このような構成により、薬剤準備払出部20側から供給された薬剤を複数の受入部72に順次準備しつつ、回転体68を受渡装置64の作動領域内に向けて移動させて受渡動作を実施できる。これにより、個別供給部60において薬剤を一つずつ個別に分包前撮影部100側に供給する動作を効率的に実施できる。
なお、本実施形態では、受入部72を複数設けたものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、受入部72が単一のものであっても良い。また、複数の受入部72を回転体68によって順次受渡装置64の作動領域内に移動させる例を示したが、本発明はこれに限定されず、回転体68以外の移動手段によって各受入部72を受渡装置64の作動領域内に移動させるようにしても良い。また、複数の受入部72を設けると共に、受渡装置64についても複数設け、受入部72を移動させることなく受渡動作を実施可能としたものや、複数の受入部72に対して受渡装置64側を移動可能とするなどして受渡装置64と各受入部72とを相対的に移動させつつ受渡動作を実施可能なものとしてもよい。
本実施形態の薬剤分包装置10では、薬剤準備払出部20側から供給された薬剤を受入部72内であって回転体68の軸心位置側の位置に投入させることとしている。これにより、回転体68の回転に伴って薬剤を受入部72内において個々に拡散させることが可能となり、受渡装置64により薬剤を一つずつ保持して受け渡す動作がスムーズに行えるようになる。なお、受入部72に対する薬剤の投入位置は、上述したものに限定されず、いかなる場所に投入されるものであっても良い。
また、薬剤分包装置10においては、受渡動作に備えて回転体68を回転させる際に、薬剤の受け渡しに際して受入部72が配置されるべき所定位置を越えるまで回転体68を回転させた後、受入部72が所定位置まで戻るように回転体68を逆回転させることとしている。これにより、受入部72が前述した所定位置に到達した時点で、受入部72を構成する壁面から薬剤が離反した状態になりやすい。よって、回転体68をこのように作動させることにより、受渡装置64によって薬剤を一つずつ保持する動作をより一層容易なものとすることができる。なお、薬剤分包装置10は、必ずしも回転体68を前述したように動作させるものである必要はない。
本実施形態の薬剤分包装置10は、受入部72が内周面72dの内側に受入領域72bを有し、受入領域72bの断面形状が非円形(本実施形態では略多角形状)とされている。すなわち、内周面72dに屈曲部が設けられている。これにより、受入領域72b内に投入された薬剤が内周面72dに沿って回転しにくくなる。そのため、受入部72に薬剤を受け入れた後、回転体68を回転させてから薬剤が停止するまでの時間を最小限に抑制できる。なお、薬剤分包装置10は、必ずしも受入領域72bの断面形状を非円形(本実施形態では略多角形状)としたり、内周面72dを屈曲させたりする必要は無く、例えば受入領域72bを円形の断面形状を有するものとしてもよい。
本実施形態の薬剤分包装置10は、分包前撮影部100が、薬剤転動装置102によって薬剤を転動させつつ薬剤撮影装置104において撮影し、その画像データを用いて読取制御部230において薬剤に付された識別情報を取得することができる。すなわち、薬剤分包装置10においては、分包紙等を介することなく撮影した画像に基づいて識別情報を読み取ることができる。また、薬剤分包装置10においては、薬剤転動装置102において薬剤を転動させつつ、薬剤撮影装置104において薬剤を撮影できる。そのため、分包前撮影部100に対して供給された時点における薬剤の姿勢の影響を受けることなく、識別情報を読み取れる。従って、薬剤分包装置10によれば、薬剤の鑑査処理精度を向上させうる。
また、薬剤分包装置10においては、薬剤転動装置102として、並設された第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116を備えており、識別情報の読み取り時に、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116を同一方向に回転させることとしている。これにより、サイズや形状等によらず薬剤を転動させ、識別情報を認識可能な状態の画像を薬剤撮影装置104により撮影できる。なお、本実施形態では、薬剤転動装置102として第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116を用いて薬剤を転動させるものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成により薬剤を転動可能なものであっても良い。
また、薬剤分包装置10においては、薬剤転動装置102において薬剤が投入される導入領域124eの断面形状が非円形(本実施形態では略多角形状)とされている。そのため、薬剤転動装置102において導入領域124e内に供給された薬剤が薬剤転動装置102の内周面に沿って移動し難く、薬剤が薬剤転動装置102の内周面に沿って移動する時間を最小限に抑制できる。これにより、識別情報の読み取り処理等の作業をスムーズに開始できる。なお、本実施形態では、導入領域124eの断面形状を非円形とした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば円形など内周面に屈曲部がないものとすることが可能である。
上述した本実施形態の薬剤分包装置10は、薬剤転動装置102が、導入部124を有し、導入部124の内側に薬剤を供給する導入領域124eが設けられたものである。また、導入部124が、底構成部材124a及び導入部材124bを構成体とし、端面同士を接触させつつこれらを上下に接続した構成とされている。さらに、底構成部材124a及び導入部材124bの端面が暗色とされている。これにより、底構成部材124a及び導入部材124bの接続部分から導入領域内に光が入るのを防止でき、薬剤撮影装置104により得られる画像が不鮮明になるのを回避できる。なお、本実施形態では、底構成部材124a及び導入部材124bの接続部分をなす端面を暗色とすることにより、導入領域124e内への光の流入を防止する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の構成によって同様の効果を得るものであっても良い。
また、薬剤分包装置10においては、薬剤転動装置102において並設された第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116が暗色とされている。これにより、識別情報の読み取りのために薬剤撮影装置104で撮影して得られる画像において、薬剤と第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116とを判然と区別可能となり、鑑査精度の向上に貢献しうる。なお、本実施形態では、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116を暗色とした例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116のいずれか一方又は双方を白色などの明色としも良い。
本実施形態の薬剤分包装置10では、薬剤転動装置102を構成する部材が帯電抑制効果を有するものとされている。そのため、薬剤転動装置102において薬剤を転動させたとしても、薬剤転動装置102自身や薬剤が静電気により帯電する可能性を低減できる。これにより、薬剤転動装置102等に静電気の影響で薬剤が付着することによる悪影響を抑制できる。なお、本実施形態では、薬剤の転動に伴い静電気が発生することを考慮して、薬剤転動装置102の構成部材を帯電抑制効果を有するものとした例を示したが、静電気による悪影響を他の構成で低減できる場合や、静電気の影響を考慮する必要が無い場合には、必ずしも薬剤転動装置102の構成部材を帯電抑制効果を有するものとする必要は無い。
本実施形態の薬剤分包装置10では、薬剤転動装置102を構成する第二回転ローラ116の第二回転軸116aを移動可能に支持する可動部122を有し、開閉機構140を作動させて可動部122を持ち上げることにより、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の間隔を拡張させ、薬剤を払い出すことができる。また、可動部122に作用させた外力を解除することにより、可動部122が自重により降下し、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の上に薬剤を配置可能な状態に戻すことができる。そのため、本実施形態の薬剤分包装置10においては、薬剤の払い出し後、可動部122を元の姿勢に戻すための機構等を必要とせず、その分だけ装置構成を簡略化できる。なお、本実施形態では、薬剤の払い出し後、外力を解除することにより可動部122が自重で元の姿勢に戻るものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばバネ等の付勢部材を用いる等して、可動部122が元の姿勢に戻るようなものとしてもよい。
本実施形態の薬剤分包装置10は、可動部122を降下させた状態で磁力による固定力で可動部122を固定できる。そのため、磁力により発現される固定力を下回る弱い外力が可動部122に作用しただけでは薬剤転動装置102が作動せず、薬剤が漏洩しない。なお、本実施形態では、可動部122を磁力で固定する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の固定装置等を設けて可動部122を固定するようにしても良い。
また、薬剤分包装置10においては、薬剤撮影装置104の下方にトレイ142が設けられている。そのため、薬剤撮影装置104が設けられた位置において識別情報の読み取りのために薬剤を回転させることにより、摩擦力の影響等により薬剤の粉等が発生したとしても、この粉体をトレイ142で受け止めることができる。これにより、薬剤撮影装置104近傍における清掃の手間を最小限に抑制できる。
本実施形態では、薬剤転動装置102の第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の上に薬剤を一つだけ配置し、これを回転させて識別情報を読み取る構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、一度に複数の薬剤を第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の上で転動させつつ薬剤撮影装置104によって撮影する処理(統合処理)を実施し、これにより得られた画像データに基づいて複数の薬剤についての識別情報を取得するようにしても良い。
なお、統合処理を実施可能とするためには、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の上において、薬剤が重なり合うことなく、これらのローラ114,116の軸線方向に並ぶ範囲内で薬剤転動装置102に薬剤が供給されることが望ましい。かかる知見に基づけば、薬剤において長さが最長となる部分を薬剤長xとし、第一回転ローラ114及び第二回転ローラ116の境界線の長さを境界長Xとした場合に、統合処理の候補とされる複数の薬剤の薬剤長xの和が境界長X以下であることを統合処理の実施条件とすることが望ましい。このような実施条件の下で統合書類を実施すれば、複数の薬剤が重なりあうことなく薬剤転動装置102において回転しうる。これにより、薬剤撮影装置104で得られた画像データから複数の薬剤について識別情報を取得可能となり、鑑査に要する作業をより一層効率化できる。
また、上述したように、読取制御部230は、薬剤に付された識別情報を読み取るための動作を実現可能であれば、いかなるものであっても良い。具体的には、図25(a)に示すように、読取制御部230は、文字特定機能部230aと、識別情報テキストマスタ230bと、識別情報取得処理部230cとを備えたものであっても良い。文字特定機能部230aは、例えばいわゆるOCR処理に代表されるように、薬剤に印字された文字を光学的に読み取り、予め規定されているパターンとの照合により文字を特定するものである。識別情報テキストマスタ230bは、薬剤に関する情報が文字情報により規定されたデータベースである。識別情報取得処理部230cは、文字特定機能部230aで認識された文字情報を識別情報テキストマスタ230bと照合することにより、薬剤に付された識別情報を読み取る処理を実行できる。このように、図25(a)に示した読取制御部230は、薬剤を撮影して得られた画像から文字特定機能部230aで文字情報を読み取る読み取り方式を採用したものである。
また、読取制御部230は、図25(b)に示すように、識別情報画像マスタ230xと、識別情報取得処理部230yとを備えたものであっても良い。識別情報画像マスタ20xは、薬剤に関する情報を画像情報により規定されたデータベースである。識別情報取得処理部230yは、薬剤を撮影して得られた画像に写っている識別情報を画像情報のまま取得し、取得された画像情報を識別情報画像マスタ230xと照合することにより識別情報を取得する処理を行う。このように、図25(b)に示した読取制御部230は、薬剤を撮影して得られた画像に含まれている識別情報の画像を文字情報に置換することなく薬剤に付された識別情報を読み取る読み取り形式を採用したものである。
読取制御部230は、上述した図25(a)あるいは図25(b)に示す構成のいずれか一方のみを備えたものであっても良いが、双方の構成を備えたものであっても良い。いずれの読み取り方式を採用したとしても、薬剤に付された識別情報を精度良く読み取れる。また、図25(a),(b)の双方の構成を備えたものとし、いずれの読み取り形式を採用するかを各種条件に応じて適宜選択可能としても良い。さらに、図25(a),(b)の双方の構成を備えたものとし、それぞれの読み取り形式で取得された識別情報を相互に照合するようにして、読み取り精度をさらに向上させても良い。
本実施形態では、分包部150として印刷ユニット152(分包前情報表記部)や包装ユニット154を備えたものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば図26〜図28等に示すように、さらに他の構成を備えたものであっても良い。さらに具体的には、図26等に示した分包部150についても、上述したものと同様に、印刷ユニット152(図26〜図28においては不図示)や、分包紙をシールして薬剤を包装する包装ユニット154(シール部)、薬剤包装用として分包紙を供給するロール156(分包紙供給部)、包装対象である薬剤を分包紙内に導入するホッパー166(薬剤導入部)などを備えている。さらに、図26に示した分包部150は、送風部300や、導入検知部310、分包後情報表記部320等を備えている点において、上述したものと相違している。
送風部300は、包装ユニット154よりも分包紙の搬送経路(図27及び図28において矢印Tで図示)の上流側において分包紙内に送風するためのものである。送風部300は、送風機302と、送風ノズル304とを図示しない配管によって接続したものである。送風機302を作動させると、外気が取り込まれ、送風ノズル304から気流を噴出させることができる。図27及び図28において矢印Wで示すように、送風ノズル304は、包装ユニット154よりも分包紙の搬送方向上流側において、分包紙内に気流を導入可能なように位置決めされている。具体的には、包装ユニット154の上流側には、拡幅部167が設けられている。ロール156側から二つ折りの状態で供給されてきた分包紙を拡幅部167によって広げる(拡幅させる)ことにより、ホッパー166を介して薬剤を分包紙内に導入可能とされている。送風ノズル304は、拡幅部167によって広げられた分包紙の内側をめがけて気流を噴出可能なように位置決めされている。
送風ノズル304により気流が噴出される位置については、適宜の位置とすることができるが、例えば以下のような位置とすることが望ましい。すなわち、送風ノズル304は、包装ユニット154より分包紙の搬送方向上流側であり、且つ、ホッパー166より分包紙の搬送方向下流側に向けて気流を噴出するものであることが望ましい。あるいは、他の具体例として、送風ノズル304は、送風ノズル304により分包紙内に導入される気流の位置を包装ユニット154より分包紙の搬送方向上流側であり、且つ、拡幅部167より分包紙の搬送方向下流側に向けて気流を噴出するものであることが望ましい。
送風ノズル304に設けられた気流噴出用の開口は、いかなる位置に配置されても良いが、2つ折りとされた分包紙の内側に位置するよう配置されることが望ましい。すなわち、送風ノズル304の気流噴出用の開口は、分包紙に挟まれた領域内に配置されることが望ましい。
導入検知部310は、包装ユニット154よりも分包紙の搬送方向上流側においてホッパー166から分包紙内への薬剤の導入を検知するためのものである。導入検知部310は、検知光を出力可能な発光部312と、検知光を受光可能な受光部314とを備えている。導入検知部310は、発光部312における検知光の出力中に受光部における検知光の受光が途絶えること又は受光量が減少することを条件として、薬剤の通過を検出できる。受光部314は、発光部312よりも分包紙の搬送方向上流側に設けられている。本実施形態においては、受光部314は、拡幅部167側に配置されている。また、発光部312は、受光部314に対向する位置に配置されている。本実施形態では、発光部312は、送風部300の送風ノズル304に設けられている。ここで、拡幅部167からヒータローラ164に至る区間において、二つ折りにされた分包紙は、拡幅部167により幅方向の両端が拡幅され、ヒータローラ164に近づくにつれて幅方向の両端の間隔が狭くなる。図27及び図28において矢印Bで示すように、発光部312は、拡幅部167により広げられた分包紙の内側の領域をめがけて発光可能とされている。また、発光部312は、拡幅部167による分包紙の拡幅方向(幅方向)の全域に亘って発光可能とされている。また、受光部314は、分包紙内において分包紙の拡幅方向(幅方向)の全域に亘って受光可能とされている。これにより、導入検知部310の検知範囲が、分包紙内の幅方向全域とされている。
ホッパー166の下端部は、拡幅部167により拡幅された分包紙の内側に位置する。また、導入検知部310は、ホッパー166の下端部よりもさらに下方の領域において薬剤の導入を検知可能なように検知範囲が設定されている。
分包後情報表記部320は、包装ユニット154に対して分包紙の搬送方向下流側において、薬剤を分包した状態の分包紙に対して情報を記すためのものである。印刷ユニット152(分包前情報表記部)が包装ユニット154に対して上流側において、薬剤を分包する前の分包紙に対して情報を記すために設けられているのに対し、分包後情報表記部320は薬剤を分包した後の分包紙に対して情報を記すために設けられている点において相違している。
図29及び図30に示すように、分包後情報表記部320は、背面側接触部322と、表記機構部324とを備えている。分包後情報表記部320は、包装ユニット154に対して分包紙の搬送方向下流側に隣接する位置に設けられている。分包後情報表記部320は、例えば、包装ユニット154に対して分包紙の搬送方向下流側であって、包装ユニット154側から搬送された分包紙の搬送方向を変換させる方向変換部340(図30参照)に至るまでの領域に配置することができる。本実施形態においては、分包後情報表記部320は、包装ユニット154に対して分包紙の搬送方向下流側であって分包紙の面が略鉛直方向に立った姿勢で搬送される部分(分包紙搬送部330)に配置されている。背面側接触部322は、分包紙搬送部330において分包紙の面が略鉛直方向に立った姿勢で搬送される分包紙の搬送経路Tを境界として一方側(本実施形態では背面側)に配されている。背面側接触部322は、例えば金属製の板体など、分包紙に対して接触することにより表記機構部324により情報を記す際に台として機能するものであればいかなるものであっても良い。
表記機構部324は、面が立った姿勢で搬送される分包紙の搬送経路Tを境界として背面側接触部322とは反対側に配されている。表記機構部324は、ホルダ331と、揺動部332と、表面側接触部334とを有する。ホルダ331は、分包紙に情報を表記する表記部材336を保持するためのものである。本実施形態では、表記部材336としてペンが用いられる。そのため、ホルダ331は、ペンを差し込んで保持できるものとされている。
図29及び図30において矢印Sで示すように、揺動部332は、ホルダ331を搬送経路T側(背後側接触部322側)に近接離反する方向に揺動可能なものとされている。揺動部332は、ホルダ331を揺動可能なものであればいかなるものであっても良いが、例えばモータやシリンダなどのアクチュエータを動力源として備えたものとすることが可能である。揺動部332を作動させることにより、ホルダ331に保持されたペンのペン先が分包紙に接触し、点状、あるいは線状などの印を情報として記すことができる。
表面側接触部334は、ホルダ331と一体的に設けられた部材である。そのため、揺動部332を作動させることにより、ホルダ331と共に表面側接触部334も揺動させることができる。表面側接触部334は、弾性を有する金属や樹脂等の弾性素材によって形成されている。表面側接触部334は、ホルダ331よりも搬送経路T側(背後側接触部322側)に張り出した状態となるように設けられている。表面側接触部334は、例えばJ字型やU字に湾曲あるいは屈曲させた板バネなどで構成できる。また、表面側接触部334は、背面側接触部332に対向する位置に設けられている。そのため、ホルダ331を搬送経路T側(背後側接触部322側)に向けて揺動させると、ホルダ331に設置されたペンよりも先に表面側接触部334が分包紙に接触し、表面側接触部334と背後側接触部322との間に分包紙が挟まれて固定された状態になる。この状態でさらにホルダ331を搬送経路T側に向けて揺動させると、表面側接触部334が圧縮されて撓んだ状態になり、やがてペンが分包紙に接触する。これにより、分包紙の表面に点状あるいは線上の印からなる情報を分包紙の表面に記すことができる。
表記部材336(ペン)の先端は、キャップ(図示せず)が装着された状態でホルダ331に保持される。ホルダ331を背面側接触部322に近接する方向に揺動させると、ペンの先端がキャップから外れてペン先が分包紙に接触する。一方、ホルダ331を背面側接触部322側と離反する方向に揺動させると、ホルダ331に保持されたペンの先端が再びキャップされる。
上述のとおり、分包後情報表記部320は分包紙搬送部330に配置され、分包紙搬送部330においては、分包紙は面が立った姿勢で搬送される。これにより、図33(a)に示すとおり、薬剤自体の重みにより薬剤が分包袋内部において下方に位置し、分包袋内部の上方には薬剤が存在しない領域Kが形成される。薬剤分包装置10は、分包紙の領域Kに向けて表面側接触部334及び表記部材336が接触するよう構成されている。
本実施形態においては、分包紙搬送部330を分包紙の面が略鉛直方向に立った姿勢とした例を示したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、分包紙搬送部330は、分包紙の面がある程度の勾配をもって立った姿勢であればよい。
分包紙搬送部330は、本実施形態においては、図30及び図33(a)に示すとおり分包紙が概ね上下方向に搬送される構成とされている。なお、分包紙搬送部330は、図33(b)に示すように分包紙の面が立った姿勢で水平方向に搬送される構成としてもよいし、あるいは、図33(c)に示すとおり、斜め方向に向けて搬送される構成であってもよい。
分包部150を上述したような構成とした場合、制御部200により、後述する昇温抑制制御や、分包後情報表記制御を実施できる。以下、昇温抑制制御、及び分包後情報表記制御について詳細に説明する。
≪昇温抑制制御について≫
上述した昇温抑制制御は、薬剤導入部から分包紙内への薬剤の導入待機中に、シール部よりも分包紙の搬送方向上流側において薬剤の導入待ち状態である分包紙の内側の温度が過剰に高くなるのを防止するために行われる制御である。昇温抑制制御は、包装ユニット154における分包紙のシール動作(分包動作)が停止していることを条件として送風機302を作動させ、分包紙内の温度が所定の温度条件を上回る状態になることを条件として、分包紙を包装ユニット154側に所定量だけ送る動作制御を行うものである。以下、図31に示すフローチャートに則り、昇温抑制制御について詳細に説明する。
(ステップ1−1)
昇温抑制制御においては、先ずステップ1−1において、制御部200により分包動作の停止中であるか否かが確認される。分包動作の停止中である場合(ステップ1−1=YES)には、制御フローがステップ1−2に進められる。分包動作が継続している場合(ステップ1−1=NO)には、一連の制御フローが完了する。
(ステップ1−2)
ステップ1−2においては、制御部200により送風機302がオン状態とされる。これにより、包装ユニット154の上流側においてシール待機中である分包紙の内側に低温の気体(本実施形態では外気)が導入される。その後、制御フローがステップ1−3に進められる。
(ステップ1−3)
ステップ1−3においては、包装ユニット154の上流側においてシール待機中である分包紙の内側の温度が所定の温度条件を上回る状態になっているか否かの確認が行われる。分包紙内の温度については、図示しない温度センサなどによって直接的に計測する方法や、分包動作を停止してからの経過時間、分包紙の外側の温度や薬剤分包装置10の設置雰囲気温度などから間接的に導出する方法など適宜の方法で導出することができる。ステップ1−3において、分包紙の内側の温度が所定の温度条件を上回る状態になっていることが確認された場合(ステップ1−3=YES)には、制御フローがステップ1−4に進められ、分包紙の内側の温度が所定の温度条件以下である状態である場合(ステップ1−3=NO)には、制御フローがステップ1−1に戻される。
(ステップ1−4)
ステップ1−4においては、分包紙を包装ユニット154側に所定量だけ送り、分包紙をシールする動作(強制シール動作)を行う。これにより、分包紙内の空気の出入り(気流)が生じたり、包装ユニット154においてシールに要した熱量だけ熱エネルギーが消費されたりすることとなり、分包紙内が過度に高温になるのを抑制できる。
≪分包後情報表記制御について≫
上述した分包後情報表記制御は、分包後情報表記部320により薬剤を分包した後の分包紙に対して情報を記すための制御である。以下、図32に示すフローチャートに則り、分包後情報表記制御について詳細に説明する。
(ステップ2−1)
ステップ2−1においては、包装ユニット154において薬剤の分包が完了し、分包後情報表記部320に到達した分包袋が、何らかの情報を記すべきものであるか否かが確認される。例えば、上述した鑑査の結果、問題があると判断された薬剤を包装した分包袋について、問題のないものと区別するための印など、何らかの情報を記すべきものであるか否かが確認される。ここで、情報を記すべき分包袋であると判断された場合(ステップ2−1=YES)には、制御フローがステップ2−2に進められ、そうでないと判断された場合(ステップ2−1=NO)には、一連の制御フローが完了する。
(ステップ2−2)
上述したステップ2−1において情報を記すべき分包袋であると判断された場合には、制御部200は、ステップ2−2において、分包紙の搬送を停止させる制御を行う。この際、分包後情報表記部320をなす背面側接触部322と表面側接触部334との間に、情報を記すべき分包袋が到来するように分包紙の搬送停止位置が位置決めされる。
(ステップ2−3)
ステップ2−3において、制御部200は、揺動部332を作動させる。これにより、先ず表面側接触部334が分包紙に接触し、表面側接触部334と背後側接触部322との間に分包紙が挟まれて固定された状態になる。その後、さらにホルダ331を搬送経路T側に向けて揺動させると、ホルダ331に保持されたペンが分包紙に接触する。これにより、分包紙の表面に点状あるいは線上の印からなる情報を分包紙の表面に記すことができる。これにより、一連の制御フローが完了する。
上述したように、分包部150は、送風部300を備えており、包装ユニット154よりも上流側において分包紙内に送風可能とされている。また、ホッパー166から分包紙内への薬剤の導入待機中であることを条件として、送風部300による送風を行えば、包装ユニット154における温度上昇の影響などにより、分包紙内が温度上昇するのを確実に防止できる。従って、送風部300を設ければ、分包に備えて分包紙内に供給された薬剤が、熱による悪影響を受けるのを抑制できる。なお、上述した例においては、送風部300を設ける例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、送風部300を備えていないものであっても良い。
また、上述したように、包装ユニット154よりも分包紙の搬送方向上流側において分包紙内の温度が所定の温度条件を上回る状態になることを条件として、分包紙を包装ユニット154側に所定量だけ送り、強制シール動作を行わせることにより、温度上昇の抑制効果が得られ、薬剤が熱による悪影響を受けるのを抑制できる。なお、本発明は、必ずしも強制シール動作を行うものである必要はない。
上述したように、分包紙内への薬剤の導入を検知するための導入検知部310として、検知範囲が分包紙内に設定されたものを設けることにより、ロール156から供給された薬剤がホッパー166を介して分包紙内に導入されたか否かを正確に検知できる。また、導入検知部310の受光部314を拡幅部167側に配置し、発光部312を受光部314に対向する位置に配置することにより、分包紙内への薬剤の導入を漏れなく検知することができる。さらに、発光部312が送風部300に設けられているため、薬剤から生じた粉などによって発光部312が汚れ、検知精度が低下するのを防止できる。なお、導入検知部310は、本発明において必須の構成ではなく、適宜省略することも可能である。また、導入検知部310は、上述したようなものである必要はなく、他のセンサ類によって代替させることも可能である。
分包部150を上述したような構成とした場合、包装ユニット154に対して分包紙の搬送方向上流側だけでなく、下流側においても分包紙に対して情報を記すことができるという特徴的な構成となる。具体的には、包装ユニット154に対して上流側に配された印刷ユニット152によって薬剤を分包する前に分包紙に情報を記すだけでなく、包装ユニット154に対して下流側に設けられた分包後情報表記部320によっても分包紙に情報を記すこともできる。
また、分包部150を上述の構成とした場合の運用例として、分包前の分包紙に対しては主に文字を表記し、分包後の分包紙に対しては主に記号を表記することができる。分包前に文字により表記するものとしては、例えば処方データの内容、薬剤名称、服用時期、患者名等が挙げられる。分包後に記号で表記するものとしては、例えば薬種の鑑査結果、導入検知部310での検知の結果等とすることができる。
また、薬剤を分包した後に分包紙が上下方向に搬送される(本実施形態では、分包袋が鉛直に立った状態で搬送される)位置においては、分包袋内において薬剤が下方側に偏った状態になる。このような位置に分包後情報表記部320が配置されているため、薬剤が存在せず起伏の少ない分包袋の上方側の位置を狙って、分包後情報表記部320により情報を記すことができる。
また、上述した分包後情報表記部320は、表面側接触部334と背面側接触部322との間に分包紙を挟みこんだ分包紙固定状態とし、分包後情報表記部320の近傍において分包紙を安定させた状態でペンなどを用いて情報を記すことができる。さらに、上述した分包部150においては、分包後情報表記部320が、包装ユニット154に対して分包紙の搬送方向下流側に隣接する位置に設けられている。そのため、薬剤を分包紙で分包して形成される分包袋がいなかなる長さになっても、適切に情報を表記できる。
なお、上述した分包部150の例においては、分包後情報表記部320を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、分包後情報表記部320を備えていないものであっても良い。また、分包後情報表記部320の構成は上述した構成に限定されるものではない。具体的には、表面側接触部334及び背面側接触部322のいずれか一方又は双方を設けない構成としたり、ホルダ331に保持されるものをペンに代えてスタンプなど他のものに代えても良い。また、分包後情報表記部320の配置について、適宜変更することも可能である。また、分包エラーが発生した場合に、エラーの原因となった分包袋にその旨を表記するのではなく、他の方法によって分包エラーが発生した旨を表記することも可能である。具体的には、一連の分包において、分包エラーが一つ以上発生した場合に、一連の分包袋のいずれかにその旨を表記してもよい。この場合、分包エラーが発生したことを表記する分包袋は、いずれであっても良いが、例えば最後の分包袋のようにユーザーが認識しやすいものに表記することが望ましい。これにより、例えば最後の分包袋を見れば、一連の分包紙のうちいずれれかに分包エラーが生じた分包袋があることが分かる。
また、上述した転動ユニット110は、動力付与部120a等からなる接触式の駆動機構を備えたものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、非接触式の駆動機構を設けても良い。具体的には、図34に示すように、マグネットローラ120dを回転軸に取り付けた動力源120eを配置すると共に、上述した動力付与部120aに対応する位置にマグネットローラ120dの磁力を受けて回転可能なローラ120fを配置する。このような構成とすることにより、非接触式の駆動機構により転動ユニット110への動力伝達を実現可能となる。これにより、接触式の駆動機構を採用した場合のような各部材の摩耗や、摩耗粉の発生などの問題を解消できる。
以上、本発明の代表的な実施形態について説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想の範囲内で種々の設計変更が可能であり、それらは全て本発明に含まれるものである。