JP4093437B2 - 薬剤分包機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、錠剤や散薬あるいはカプセル等の薬剤を分包する薬剤分包機に関し、詳しくは、分包サイズを可変する薬剤分包機に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6に例示した分包帯2は、錠剤分包機にて錠剤1を分包したものであるが、熱融着性の長いシートからなり、予め長手方向に二つ折りされている。そして、その折り目を下側にした状態で、長手方向に間欠送りされながら、次々に分包2aが形成されるが、分包2aは、上側の横シール部2bと前後の縦シール部2cとによって密封されるとともに、縦シール部2cやミシン目2dを隣との境界として互いに区分されたものとなる。また、それぞれの分包2aには、その密封前に、処方箋等で指示された患者名や用法等が印字されるとともに、やはり処方箋等で指示された錠数だけ、錠剤1が詰め込まれる。
【0003】
従来、そのような分包を行う薬剤分包機としては、連続する分包2aの大きさを70〜80mm程度の所定幅で同じにするものや(図6における各々の幅70mmを参照)、分包の大きさを一包ごとに可変制御するものがある(特開平9−202301号公報)。この可変制御は、シールの無駄を無くす等のために行われ、具体的には、薬剤の種類ごとの体積情報を記憶手段に記憶させておいて、処方箋情報に加えてその体積情報に基づき、薬剤分包の一包分ごとの薬剤の体積を算出し、その算出値に応じて薬剤分包の大きさを制御するというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の薬剤分包機では、分包サイズを可変するのに、薬剤の体積情報を記憶しておかなければならない。
しかしながら、薬剤の場合、次々と新種が開発されて導入されるばかりか、剤型もしばしば改新される。
このため、上述した方法で分包の大きさを可変にしたのでは、新薬が導入される度に記憶情報の更新作業等を行うことが欠かせないので、材料費は節約できても、作業者の負担は逆に増えてしまうことにもなりかねない。
【0005】
そこで、薬剤の分包サイズを可変しうるようにするに当たって、調剤作業に加えて処方監査や最終監査など種々の作業を担っている薬剤師に対してはその作業負担を増やさないように工夫することが課題となる。
また、分包サイズを可変するに当たっては、分包後の監査作業や患者の服用などに際して、分包された薬剤の状態が見やすいように、さらには取り扱いも楽なように、むしろ分包サイズを増大させるという観点も見落とさないで、工夫を凝らすことが重要である。
【0006】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、薬剤分包機について、分包の大きさを可変にしても、新薬の導入等に際し余分な情報更新作業等が不要で、広範に而も簡単に対処することができるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するためになされた本発明の薬剤分包機について、その構成および作用効果を以下に説明する。
【0008】
本発明の薬剤分包機は(、出願当初の請求項1に記載の如く)、薬剤を分包する薬剤分包機において、処方情報の薬剤量に直接応じて分包の大きさを変える手段を備えたものである。
【0009】
ここで、上記の「薬剤量に直接応じて」とは、分包の大きさを決めるのに用いられる薬剤情報としては、薬剤量が判ればそれで足り、その他の薬剤情報たとえば薬剤の種類ごとの体積情報などが無くても分包の大きさが決まるという意味である。例えば、薬剤量だけを変数とする演算や選択,判別,分別等の処理は、その典型である。薬剤の種類に無関係な定数や変数と、処方情報の薬剤量とに基づく同様の処理も、該当する。
【0010】
このような構成の薬剤分包機にあっては、処方情報が与えられれば、それだけで、あるいはそれと所定の設定値等に基づいて、直ちに分包の大きさが変えられる。
これにより、薬剤ごとに更新される情報としては、処方情報が有れば足り、薬剤の体積などといった薬剤の種類ごとの情報は、不要となる。
したがって、分包の大きさを可変にしても、新薬の導入等に際しても余分な情報更新作業等が不要で、広範に而も簡単に対処することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
このような解決手段で達成された本発明の薬剤分包機について、これを実施するための形態を説明する。
【0012】
本発明の第1の実施形態は、薬剤を包装する包装装置と、処方情報に基づき前記包装装置の分包動作を制御する制御手段とを備えた薬剤分包機において、前記制御手段が、前記処方情報による一包当たりの薬剤量に応じて前記包装装置に分包の大きさを変えさせるものであることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の実施形態は、錠剤や散薬あるいはアンプル等の薬剤を収集する薬剤収集機構と、収集した薬剤を分包帯にて包装する包装装置と、処方箋データ等の処方情報に基づき前記薬剤収集機構および前記包装装置を制御して分包動作を行わせる制御手段とを備えた薬剤分包機において、前記包装装置が、前記分包帯の送り量を可変する等の可変手段を具備して分包の大きさを変えうるものであり、前記制御手段が、前記処方情報に指示量として含まれている又はその指示量だけの加算等にて直接的に算出される一包当たりの薬剤量たとえば錠剤では錠数,散薬では重量,アンプルやバイアル等では本数などと固定値または設定器による設定値等の所定の閾値とを比較するとともにその比較結果に基づいて大中小等の選択を行いそれに対応した前記分包帯の送り量の可変制御等を行って前記包装装置に分包の大きさを段階的に変えさせるものであることを特徴とする。
【0014】
【第1実施例】
本発明の薬剤分包機の第1実施例について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、その制御手段のブロック図および包装装置の簡略斜視図であり、図2は、全体構成を示し、(a)が外観斜視図で、(b)が内部構造模式図である。
【0015】
この薬剤分包機10は(図2参照)、病院や薬局等で用いられる自動調剤機のうち最も代表的な錠剤分包機であり、薬剤1として錠剤を取り扱うために、多数の錠剤フィーダ13と、これらの錠剤フィーダ13から排出された錠剤1を収集するシュート14及び収集ホッパ15と、これらの収集機構13,14,15から受けた錠剤1を包装する包装装置20とを備え、処方に応じて適宜の錠剤フィーダ13から錠剤を排出させ、それをシュート14等で収集して下方の投入ホッパ24へ送り込み、さらに包装装置20で包装することで、薬剤1が分包帯2に分包されるようになっている。
【0016】
すなわち、錠剤分包機10の筐体内には、上の方に薬品庫11が設けられるとともに、下の方に包装装置20が設けられ、さらに、これらの間をシュート14及び収集ホッパ15が連絡しているが、薬品庫11には、個々にスライドしうる複数の錠剤収納庫12が横に並べて配設され、それぞれの錠剤収納庫12には、数個から数十個の着脱可能な錠剤フィーダ13が縦横に並べて格納されている。各錠剤フィーダ13は、多数の錠剤をストックする容器部と指定錠数だけ錠剤を排出する機構とを具えており、これらには薬品の種類ごとに分けて各種の錠剤が収容されている。
【0017】
また、包装装置20は(図1参照)、収集した薬剤1を分包帯2にて包装するために、分包帯2の送り経路に沿って順に、分包帯2のロールを保持するとともに適度なテンションを付与して先端から順に送り出す包装帯送給部21と、分包帯2に印刷を行うプリンタ22と、縦に延びた発熱体を具有し分包帯2の縦シール部2cを加熱して融着させる縦シール部材23と、上下動して分包2a内に先端を挿抜する投入ホッパ24と、横に延びた発熱体を具有し分包帯2の横シール部2bを加熱して融着させる横シール部材25と、分包帯2を引っ張るローラ部26と、分包帯2にミシン目2dを入れたり切断したりするカッター27とが設けられている。
【0018】
これらのうちローラ部26は、その回転角が細かく且つ正確になるよう図示しないパルスモータ等で駆動されているが、それに指示するパルス数等を図示しないモータ制御回路等に再設定することで、何時でも、回転量を変えることが可能なものである。これにより、包装装置20は、分包帯2の送り量を可変する可変手段26を具備して分包2aの幅すなわち大きさを変えうるものとなっている。また、プリンタ22は、ドットインパクト式や熱転写式あるいは感熱式など適宜のものが用いられるが、プリントヘッド部が分包帯2の送り経路に面して固定され、図示しない駆動部や制御回路部は後方等に設置されている。
【0019】
そして(図1,図2参照)、これらの機構等13,20の動作を制御するために、筐体内にコントローラ30が設けられ、筐体面に操作パネル30aが設けられ、筐体外に操作卓40が設けられている。各機構等13,20に対してコントローラ30が接続され、コントローラ30は直接的に制御するようになっているが、操作パネル30a及び操作卓40は、コントローラ30と接続されていて、これを介して間接的に制御を行う。なお、操作パネル30aはメンテナンス等を主眼にしたものなので、以下、処方箋データ等の処方情報に基づく自動分包処理を制御するために協動するコントローラ30及び操作卓40について詳述する。
【0020】
コントローラ30は(図1参照)、機器組み込み用のマイクロプロセッサシステムからなり、そのプログラム用ROMに、フィーダ制御ルーチン33、入力ルーチン34、プリンタ制御ルーチン36、包装制御ルーチン37などがインストールされている。また、RAMには、一包分データ31、共通データ35、送り量データ38、錠数データ39などの領域が割り付けられている。
操作卓40は(図1参照)、いわゆるパソコン等のコンピュータシステムからなり、そのプログラムメモリに、入力ルーチン41、データ展開ルーチン42、データ転送ルーチン43などがインストールされている。また、データメモリあるいはディスクメモリには、処方箋データ44、変換表45、展開済みデータ46などの領域が割り付けられている。
【0021】
入力ルーチン41は(図1参照)、LAN等を介して通信可能に接続されたホストコンピュータ50や、図示しない読み取り装置から、随時、処方箋のデータを入力するとともに処方箋データ44にバッファリングするようになっている。処方箋データ44は、処方箋に記載された事項のうち少なくとも自動調剤に必要な薬剤の情報や調剤済み分包2aに印刷される事項を含んだデータが、複数・多数の処方箋について処理順に並べられ、待ち行列になっている。
【0022】
データ展開ルーチン42は、処方箋の処方情報から分包調剤に適した分包情報を生成するために、逐次、処方箋データ44の先頭のものを抜き取るとともに、それを、一の処方であれば総ての分包2aに共通するデータ(本明細書では共通データと呼ぶ)と、その処方内であっても各分包2a毎に変動する可能性のある一包分ごとのデータ(本明細書では一包分データと呼ぶ)とに分類する。さらに、一包分データについては各分包2aごとに分ける。その際、共通データには、処方箋番号や患者名などのデータが含められ、一包分データには、薬剤の種類や,錠数(薬剤量),服用日時その他の用法などのデータが含められる。データ展開ルーチン42は、このような処理を行って、展開済みデータ46を生成するようになっている。また、一の共通データと一連の一包分データに展開された展開済みデータ46は、一の処方箋データ44に相当する分包情報となっている。
【0023】
また、その展開処理に際し、データ展開ルーチン42は、変換表45を参照して、処方箋データ44で指示された一包当たり薬剤の錠数を所定コードに置き換える等の変換処理・符号化処理も行うようになっている。
変換表45には、閾値として“4”及び“8”あるいは“5”及び“9”が設定されるとともに、大中小それぞれのコードとして“1”,“2”,“3”など僅かなビット数で識別可能なコードが設定されている。
【0024】
これらの閾値は、監査作業や取扱を行い易い分包状態の適切なサイズにそれぞれの分包2aが仕上げられるよう、経験則に基づいて設定されており、現在使用されている各種錠剤の大きさや実際に処方された錠数についてその典型値および最大値を参酌するとともに、現場の監査作業の負担等を勘案して、さらには錠剤が小形化しつつあるという傾向も加味して、決められている。
そして、データ展開ルーチン42は、先ず該当錠数とそれらの閾値とを比較して、錠数が“9”以上であればコード“1”を選択し、錠数が“8”以下で而も“5”以上であればコード“2”を選択し、錠数が“4”以下であればコード“3”を選択して、それを符号とする。これにより、データ展開ルーチン42は、錠数をそのまま閾値と比較するとともにその比較結果に基づいて大中小等の選択を行うものとなっている。
【0025】
データ転送ルーチン43は、RS232C等の規格に則った一般的で安価な接続ケーブルAを介して展開済みデータ46をコントローラ30に転送するものであるが、コントローラ30からのデータ要求があると、展開済みデータ46のうちから、先ず共通データ35を転送し、次のデータ要求で最初の一包分データを転送し、続くデータ要求で2番目の一包分データを転送し、さらに、次々とデータ要求がある度に一包分データ31を転送する。これにより、データ転送ルーチン43は、分包情報を転送する際にその分包情報を一包ごとのデータ(一包分データ)と複数に亘るデータ(共通データ)とに分けて処理するものとなっている。
【0026】
入力ルーチン34は、包装制御ルーチン37又はプリンタ制御ルーチン36がデータ待ちになると、ケーブルA等を介して操作卓40にデータ要求を出すとともに、それに応じたデータ転送ルーチン43によって共通データ35が送られてくるとそれ専用に割り付けられたメモリ領域に保存する。また、一包分データ31が送られてくると、共通データ35を壊さないよう、別の領域に保存する。これにより、入力ルーチン34は、転送された分包情報を一包ごとのデータと複数に亘るデータとに分けて処理するものとなっている。
【0027】
一包分データ31及び共通データ35には、一つ分だけのメモリ領域が割り付けられており、次のデータが入力されると上書きされるようになっている。
選択表32には、変換表45と同じ選択コードすなわち大中小それぞれのコードとして“1”,“2”,“3”などが設定されるとともに、大中小それぞれに対応した送り量すなわち分包帯2における分包2aの幅として“80.0”,“70.0”,“60.0”などが設定されている。これらの値は、0.1mm単位で表され、選択コードより遙かにビット数の多いものとなっている。また、上述した閾値と密接に対応しており、経験則に基づいて閾値と共に決められるものである。
【0028】
プリンタ制御ルーチン36は、プリンタ22を制御して共通データ35及び一包分データ31からなる分包情報を分包帯2に印刷させるものであるが、一包分データ31に符号化された選択コード等が含まれているので、選択表32を参照しながら選択コードを復号する等のことも行って、印字位置その他の印字データを作り上げ、それからプリンタ22に印字指令を出すようになっている。また、プリンタ22と投入ホッパ24との分包帯2に臨む位置が約一包分ずれている等に起因する制御タイミングのずれを吸収するために、送り量データ38及び錠数データ39等を一包分データ31とは別の領域に保存するようにもなっている。
【0029】
フィーダ制御ルーチン33は、錠剤フィーダ13を制御して分包動作に必須の薬剤排出や収集を行わせるために、錠数データ39等を参照しながら、指定の薬剤をストックしている錠剤フィーダ13を選出して、それに指定の錠数だけ排出指令を送出するようになっている。
【0030】
包装制御ルーチン37は、フィーダ制御ルーチン33やプリンタ制御ルーチン36の状態監視も行いながら適宜のタイミングで、縦シール部材23と投入ホッパ24と横シール部材25とローラ部26とカッター27とに動作指令や制御信号を送出する。そして、この制御に従って、包装装置20が、送り量データ38に従った幅の横シール部2bを形成するとともに、その中に錠剤フィーダ13から収集した薬剤1を封入する。これにより、包装制御ルーチン37は、包装装置20を制御して分包動作を行わせる際に、先の大中小等の選択に対応して、分包帯2の送り量を可変制御するものとなっている。
【0031】
この第1実施例の薬剤分包機について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図3は、その薬剤分包機で分包した分包帯の一例であり、従来例の図6に対応している。
【0032】
使用に先だち、電源投入等がなされて、装置が動作を開始すると、図示しない初期化ルーチンの処理によって、各データ領域のクリア等と共に変換表45がディスク等から読み込まれて初期化される。また、選択表32も操作卓40のディスク等から読み込まれてコントローラ30に転送され初期化される。
そして、自動調剤可能な状態になったところで、ホストコンピュータ50から処方箋のデータが送られて来ると、入力ルーチン41によって処方箋データ44が蓄積される。
【0033】
また、データ展開ルーチン42によって、処方箋データ44の一つが変換表45に基づく変換を伴って展開済みデータ46に展開される。
展開された展開済みデータ46は、データ転送ルーチン43及び入力ルーチン34によって、先ず共通データ35が転送され、次いで最初の一包分データ31が転送される。
【0034】
それから、プリンタ制御ルーチン36によって、一包分データ31が、選択表32に基づく復号処理や選択処理を施されて、共通データ35と共にプリンタ22に送出される。送り量データ38や錠数データ39も設定される。
こうして、最初の分包2aに対する印字処理が行われるとともに、そこへの薬剤投入のためのデータが準備される。
【0035】
次に、プリンタ制御ルーチン36そして入力ルーチン34からデータ要求が出される一方、包装制御ルーチン37の制御によって、送り量データ38の分だけ分包帯2がプリンタ22側からローラ部26側に進められる。さらに、フィーダ制御ルーチン33の制御によって錠数データ39の分だけ薬剤1が排出され、包装制御ルーチン37の制御によってその薬剤1が投入ホッパ24から分包2aに投入される。また、その間に、上記のデータ要求に応じて、展開済みデータ46から2番目の一包分データ31が転送される。
【0036】
こうして、印刷済みの最初の分包2aに対する薬剤投入が行われるとともに、それと並行して次の分包情報の転送も行われる。
このデータ転送は、一包分データ31だけでデータ量が少ないうえ、部分的には符号化も施されているので、ケーブルAが特別高速なもので無くても、速やかになされる。
【0037】
そして、包装装置20による最初の分包2aへの薬剤投入が終わらないうちに再び、プリンタ制御ルーチン36によって、2番目の一包分データ31が、選択表32に基づく復号処理や選択処理を施されて、共通データ35と共にプリンタ22に送出される。送り量データ38や錠数データ39も再設定される。
こうして、最初の分包2aに対する薬剤投入と並行して、2番目の分包2aに対する印字処理が行われるとともに、そこへの薬剤投入のためのデータ準備もなされる。
【0038】
繰り返しとなる更なる詳細な説明は割愛するが、展開済みデータ46に展開されたそれぞれの一包分データごとに次々と同様の処理が行われて一の処方箋データに基づく分包が遂行され、さらにそのような処理が処方箋データ44に蓄積されたそれぞれの処方箋データごとに繰り返される。
こうして、自動分包が実行されるが、分包帯2に形成される分包2aは、その大きさが一方当たりの錠数と変換表45の閾値とだけに基づいて選択表32における大中小のいずれかの選択値になるよう段階的に切り替えられる。
【0039】
例えば、或る処方で指示された3包の錠数が、それぞれ6錠,12錠,3錠であれば、それぞれの分包2aの幅は、70mm,80mm,60mmとなる(図3参照)。
これらは、いずれも、その中で薬剤1が窮屈に詰まっていないので、薬剤の個数や状態を目視で確認するのが容易なものとなっている。また、ミシン目2d等を引き裂こうとしたときに千切れてしまうほど縦横がアンバランスになっている訳でもないので、服用時等の取扱も楽である。
【0040】
【第1実施例の変形例】
上述の薬剤分包機は、錠剤分包機だけのものであったが、錠剤フィーダ13を散薬フィーダで置き換えるとともに、シュート14や収集ホッパ15を散薬分割装置で置き換える等のことで容易に、散薬分包機にも適用することができる。この場合、所定の閾値や、選択される送り量は、経験則に基づいて、散薬の重量だけに対応づけられる。
【0041】
また、錠剤分包機の排出収集機構部分と散薬分包機の排出分割機構部分とを併置するとともに、双方から薬剤が合流する下流に包装装置20を置くことで、錠剤と散薬とを混在させて分包することも可能である。図4は、そのような薬剤分包機で分包した分包帯の一例である。
【0042】
【第2実施例】
本発明の薬剤分包機の第2実施例について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図5は、その制御手段のブロック図である。
【0043】
この薬剤分包機が、上述した図1のものと相違するのは、操作卓40がコントローラ30に加えて他のコントローラ60に対してもケーブルBで接続されている点である。コントローラ60を搭載している錠剤分包機本体は、分包2aの大きさを一定にする旧タイプのものである(図6参照)。これにより、この薬剤分包機の操作卓40は、複数台の分包機を纏めて制御する集中コントローラとなっている。
【0044】
そして、操作卓40には、データ転送ルーチン43等に加えて、ケーブルBを介して処方箋データ44を処方箋単位で転送するデータ転送ルーチン47もインストールされている。
また、コントローラ60は、転送されてきた処方箋データ44を入力して一処方分の調剤データ61に変換する入力ルーチン62や、一処方分の調剤データ61から一包分ずつ分包情報を取り出しながら、それぞれの担当処理を遂行するプリンタ制御ルーチン63,包装制御ルーチン64,フィーダ制御ルーチン65などがインストールされている。
【0045】
このように操作卓40には、データ転送ルーチンとして2種類のものが設けられているので、すなわち、分包情報を転送する際にその分包情報を一包ごとのデータと複数に亘るデータとに分けて処理するデータ転送ルーチン43と、分包情報を処方箋単位で一括転送するデータ転送ルーチン47とが設けられているので、分包の大きさが一定している旧タイプの錠剤分包機が既に設置されている病院薬局等に、分包の大きさを一包ごとに可変制御する新タイプの錠剤分包機を追加導入したようなときでも、操作卓40を共通にして新旧混合システムを組み上げることが可能となり、操作卓40を介して作業形態等を統一的に進めることができる。
【0046】
【変形例】
なお、上記実施例では、操作卓40が筐体外に設けられていたが、これは一例であり、操作卓40は、いずれかの分包機本体の筐体に組み込まれていても良い。
また、変換表45や選択表32の設定は、固定に限られるもので無く、操作卓40の汎用入力装置たとえばキーボード等を介して設定変更可能なようにしても良い。あるいは、専用に割り当てられた回転摘みを操作したり、デジスイッチ等をオンオフ操作して、設定変更するようにしても良い。
【0047】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の薬剤分包機にあっては、処方情報に基づいて直ちに分包の大きさが変えられるようにしたことにより、可変制御に要する薬剤の種類ごとの情報は処方情報だけで足りることとなり、その結果、分包の大きさを可変にしても、新薬の導入等に際しても余分な情報更新作業等が不要で、広範に而も簡単に対処することができるようになったという有利な効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の薬剤分包機の第1実施例について、制御手段のブロック図および包装装置の簡略斜視図である。
【図2】 薬剤分包機全体の斜視図および内部模式図である。
【図3】 その薬剤分包機で分包した分包帯の一例である。
【図4】 他の薬剤分包機で分包した分包帯の一例である。
【図5】 本発明の薬剤分包機の第2実施例について、制御手段のブロック図である。
【図6】 一般的な分包状態の一例である。
【符号の説明】
1 薬剤(錠剤、玉剤、カプセル剤、散薬、アンプル等の水薬)
2 分包帯(包装帯、分包紙、二つ折りシート)
10 薬剤分包機(錠剤分包機、散薬分包機、混合分包機)
11 薬品庫(薬品棚部、錠剤収納庫格納部)
12 錠剤収納庫(錠剤フィーダ格納ユニット、薬剤収納庫)
13 錠剤フィーダ(薬剤フィーダ、薬剤供給源、薬剤収集機構)
14 シュート(案内路、上部薬剤収集経路、薬剤収集機構)
15 収集ホッパ(共通路、下部薬剤収集経路、薬剤収集機構)
20 包装装置
21 包装帯送給部(給紙機構、ロールシート)
22 プリンタ(プリントヘッド、印字機構)
23 縦シール部(加熱機構、発熱体、融着手段)
24 投入ホッパ(薬剤投入機構、収集薬剤投入口)
25 横シール部(加熱機構、発熱体、融着手段)
26 ローラ部(引張機構、牽引機構、可変手段)
27 カッター(切断機構、ミシン目形成機構)
30 コントローラ(分散コントローラ、第1制御装置、制御手段)
31 一包分データ(選択コードを含む可変データ部)
32 選択表(復号化テーブル、選択手段)
33 フィーダ制御ルーチン(薬剤収集機構制御手段)
34 入力ルーチン(データ分別処理部)
35 共通データ(複数の分包に亘るデータ)
36 プリンタ制御ルーチン(印刷制御手段、選択手段)
37 包装制御ルーチン(可変制御手段、包装装置制御手段)
38 送り量データ(可変制御手段、包装装置制御手段)
39 錠数データ(薬剤収集機構制御手段)
40 操作卓(メインの集中コントローラ、第2制御装置、制御手段)
41 入力ルーチン
42 データ展開ルーチン(分包情報生成手段、比較手段、分別部)
43 データ転送ルーチン(分包情報転送手段、データ分別処理部)
44 処方箋データ(処方情報)
45 変換表(符号化テーブル、閾値保持部、比較手段)
46 展開済みデータ(共通データ及び一包分データ)
50 ホストコンピュータ(処方オーダリングシステム)

Claims (2)

  1. 薬剤を分包する薬剤分包機において、処方情報に指示量として含まれている又はその指示量だけの加算にて算出される一包当たりの薬剤量は用いるが新薬導入時に更新作業を必要とする薬剤の種類ごとの記憶情報を含むその他の剤種毎情報は用いない処理にて分包の大きさを決めることにより分包の大きさを変える手段を備えたことを特徴とする薬剤分包機。
  2. 前記薬剤量として、錠剤については錠数を用い、散薬については重量を用い、本数指示の薬剤については本数を用いるようになっていることを特徴とする請求項1記載の薬剤分包機。
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