課題を解決するための手段及びその効果
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、被クリーニング体表面に存在する塵埃を静電気力を利用して除去する機構又は粘着力を利用して除去する機構をそれぞれ単独で使用した場合の欠点を補うことのできるクリーニング装置、粘着ローラユニット及び粘着ローラを提供することを目的としている。
上記目的を達成するために本発明に係るクリーニング装置(1)は、所定の電荷を帯電させたクリーニングローラを回転させながら、被クリーニング体の表面に接触させ、前記被クリーニング体の表面に存在する塵埃を静電気力を利用して除去するクリーニングユニットと、粘着ローラを回転させながら、前記被クリーニング体の表面に接触させ、前記被クリーニング体の表面に存在する塵埃を粘着力を利用して除去する粘着ローラユニットとを備え、前記クリーニングユニットが、前記被クリーニング体の搬送方向に対して前記粘着ローラユニットの手前に配置されていることを特徴としている。
上記クリーニング装置(1)によれば、前記クリーニングユニットが、前記被クリーニング体の搬送方向に対して前記粘着ローラユニットの手前に配置されているので、前記被クリーニング体は、前記クリーニングユニットを通過した後に前記粘着ローラユニットを通過することとなる。
すなわち、前記クリーニングユニットにおいて、前記被クリーニング体表面の塵埃が静電気力を利用して除去された後、前記粘着ローラユニットにおいて、前記クリーニングユニットで除去されなかった塵埃が粘着力によって前記被クリーニング体表面から物理的に剥がし取られて除去される。したがって、帯電特性の異なる前記クリーニングユニットを複数配置しなくても、前記クリーニングユニットと前記粘着ローラユニットとを併用することで、様々な種類の塵埃に容易に対応させることが可能となる。
また、前記クリーニングローラでクリーニングされた後に前記粘着ローラユニットでクリーニングされるので、前記粘着ローラだけを使用してクリーニングする場合と比較して前記粘着ローラに付着する塵埃の量を大幅に減らすことができ、連続使用時間を大幅に延ばすことができる。
したがって、前記粘着ローラユニットや前記クリーニングユニットをそれぞれ単独で使用する場合と比較して、種類の異なる塵埃を効率良く除去することができ、また連続使用時間を大幅に延ばすことができ、クリーニング工程の効率を高めることができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(2)は、上記クリーニング装置(1)において、前記粘着ローラユニットが、前記粘着ローラの表面に接触させて回転させながら、該粘着ローラ表面の塵埃を粘着力を利用して受け取る転写ローラを備えていることを特徴としている。
上記クリーニング装置(2)によれば、前記転写ローラによって前記粘着ローラの表面に付着している塵埃が捕捉されるので、前記粘着ローラの表面に塵埃を蓄積させることなく、前記粘着ローラの表面を清浄な状態に保つことができ、前記粘着ローラによる塵埃の除去性能を長期間維持することができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(3)は、上記クリーニング装置(2)において、前記転写ローラと前記粘着ローラとに外径差を設けていることを特徴としている。
上記クリーニング装置(3)によれば、前記転写ローラと前記粘着ローラとに外径差を設けているので、前記粘着ローラと前記転写ローラとが同一点で再接触する頻度を少なくすることができ、前記粘着ローラの汚染された箇所(塵埃の付着箇所)に対して前記転写ローラの汚染されていない箇所が接触する確率を高めることができ、前記粘着ローラから前記転写ローラへの塵埃の転写性能を向上させることができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(4)は、上記クリーニング装置(2)又は(3)において、前記転写ローラの粘着力が、前記粘着ローラの粘着力よりも大きいことを特徴としている。
上記クリーニング装置(4)によれば、前記粘着ローラに付着している塵埃を前記転写ローラで確実に捕捉することができ、前記転写ローラによる塵埃の転写性能を向上させることができ、前記粘着ローラによる塵埃の除去性能を長期間維持することができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(5)は、上記クリーニング装置(1)〜(4)のいずれかにおいて、前記クリーニングローラの外層部と前記粘着ローラの粘着層とが、ポリウレタンを含む樹脂で形成されていることを特徴としている。
上記クリーニング装置(5)によれば、前記クリーニングローラの外層部と前記粘着ローラの粘着層とが、ポリウレタンを含む樹脂で形成されているので、これら各ローラに必要な機能を、前記ポリウレタンを含む樹脂により発揮させることができる。例えば、前記クリーニングローラの外層部が熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂で形成されている場合、シリコーン樹脂やブチルゴムなどで形成されている場合と比べて耐摩耗性に優れ、可塑剤や低分子量物による汚染を減らすことができるという効果を得ることができる。また、前記粘着ローラの粘着層が、熱硬化性ポリウレタンを含む樹脂で形成されている場合、上記効果に加え、ブチルゴムと比較して圧縮永久歪が小さいので、形状(真円)安定性に優れ、また、可塑剤を含まないので、硬度の経時変化が少なく、長期間安定した粘着力を発揮させることができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(6)は、上記クリーニング装置(1)〜(5)のいずれかにおいて、前記クリーニングユニットと前記粘着ローラユニットとを互いに入れ替えて設置可能な複数のガイド部が形成されたフレーム体を備えていることを特徴としている。
上記クリーニング装置(6)によれば、前記フレーム体には前記複数のガイド部が形成されているので、前記クリーニングユニットや前記粘着ローラユニットを簡単に多連配置することが可能となり、また、装置構成の自由度を高めることができ、前記被クリーニング体の種類や前記塵埃の種類に応じた最適なシステムを構築することができる。例えば、前記ガイド部に設置する前記クリーニングユニットの数を増やして、前記粘着ローラユニットによる塵埃の回収量をさらに減らすことにより連続使用時間をさらに延ばす構成、又は前記粘着ローラユニットの数を増やして、仕上げ精度をさらに向上させる構成などが採用され得る。また、前記被クリーニング体の搬送方向を変えた場合に、前記クリーニングユニットと前記粘着ローラユニットとを入れ替えるだけで対応可能となり、作業工程での利便性を高めることができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(7)は、上記クリーニング装置(1)〜(6)のいずれかにおいて、前記粘着ローラの周速が、前記クリーニングローラの周速より大きく、且つ所定の周速以下となるように構成されていることを特徴としている。
前記被クリーニング体の先端部が前記クリーニングローラを通過して前記粘着ローラに搬入されるまでの間に、前記被クリーニング体の先端部が前記クリーニングローラと前記粘着ローラとの隙間に落ち込む経路をとった場合や前記被クリーニング体の先端部に反りが生じた場合には、前記被クリーニング体の先端部分にたわみが発生する虞がある。当該たわみは、搬送中における前記被クリーニング体の折れや皺を誘発する虞があり、また、前記被クリーニング体が積層物であるときは、該積層物の剥離につながる虞がある。
上記クリーニング装置(7)によれば、前記粘着ローラの周速が、前記クリーニングローラの周速より大きくなるように構成されているので、前記被クリーニング体の先端部分にたわみが生じた場合であっても搬送中に前記たわみを除々に解消することができる。また、前記粘着ローラの周速が前記所定の周速以下となるように構成されているので、前記被クリーニング体に過度な張力が加わらないように構成することができ、前記被クリーニング体の伸びや裂けといった変形を防止することができ、前記被クリーニング体に損傷を与えることなく良好なクリーニングを行うことができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(8)は、上記クリーニング装置(1)〜(6)のいずれかにおいて、前記クリーニングローラ及び前記粘着ローラを同一の動力源から得た動力で駆動させ、かつ前記クリーニングローラ及び前記粘着ローラの周速を同期させる、又は前記クリーニングローラの周速より前記粘着ローラの周速が大きくなるように駆動させる駆動機構を備えていることを特徴としている。
上記クリーニング装置(8)によれば、前記駆動機構によって、前記クリーニングローラ及び前記粘着ローラが同一の動力源から動力を得て駆動されるので、コンパクトな装置構造にすることができる。また、前記駆動機構によって前記クリーニングローラ及び前記粘着ローラの周速を同期させるように駆動されるので、前記被クリーニング体がフィルムやシートなどの薄物であったとしても、これらフィルムやシートにたわみや皺を生じさせることなく搬送しながら塵埃を除去することができる。または、前記駆動機構によって前記クリーニングローラの周速より前記粘着ローラの周速が大きくなるように駆動されるので、前記被クリーニング体の先端部分でたわみが生じた場合であっても搬送中に前記たわみを除々に解消することができ、前記被クリーニング体の搬送性を向上させることができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(9)は、上記クリーニング装置(1)〜(6)のいずれか2つの装置を用い、前記被クリーニング体表面に接触して塵埃を除去する前記クリーニングユニットと前記粘着ローラユニットとが、前記被クリーニング体上面側及び前記被クリーニング体下面側の上下両面側に配置されていることを特徴としている。
上記クリーニング装置(9)によれば、前記被クリーニング体の上下両表面に存在する塵埃を一度の操作で同時に除去することができ、かつ上記クリーニング装置(1)で得られる効果を得ることができる極めて効率の高いクリーニング装置を提供することができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(10)は、上記クリーニング装置(9)において、前記被クリーニング体下面側に配置された前記クリーニングユニットの前記クリーニングローラの前後、及び/又は前記被クリーニング体下面側に配置された前記粘着ローラユニットの前記粘着ローラの前後に搬送ローラが近設されていることを特徴としている。
上記クリーニング装置(10)によれば、前記被クリーニング体下面側に配置された前記クリーニングユニットの前記クリーニングローラの前後、及び/又は前記被クリーニング体下面側に配置された前記粘着ローラユニットの前記粘着ローラの前後に搬送ローラが近設されているので、前記クリーニングローラの前後、及び/又は前記粘着ローラの前後に生じる空間(隙間)が前記搬送ローラによって狭められる。そのため、前記クリーニングローラの前後、及び/又は前記粘着ローラの前後に生じていた空間に前記被クリーニング体が落ち込んで、前記被クリーニング体にたわみや皺が生じることを防止することができ、前記被クリーニング体の搬入及び搬出を精度良く行うことができ、搬送性を向上させることができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(11)は、上記クリーニング装置(9)又は(10)において、前記被クリーニング体下面側に配置された前記クリーニングユニットの前記クリーニングローラ及び前記被クリーニング体下面側に配置された前記粘着ローラユニットの前記粘着ローラを同一の動力源から得た動力で駆動させ、かつ前記クリーニングローラ及び前記粘着ローラの周速を同期させる、又は前記クリーニングローラの周速より前記粘着ローラの周速が大きくなるように駆動させる駆動機構を備えていることを特徴としている。
上記クリーニング装置(11)によれば、前記駆動機構によって、前記被クリーニング体下面側に配置された前記クリーニングローラ及び前記粘着ローラが同一の動力源から動力を得て駆動されるので、コンパクトな装置構造にすることができる。また、前記駆動機構によって前記クリーニングローラ及び前記粘着ローラの周速が同期されるように駆動されるので、前記被クリーニング体がフィルムやシートなどの薄物であったとしても、これらにたわみや皺を生じさせることなく搬送しながら塵埃を除去することができる。または、前記駆動機構によって前記クリーニングローラの周速より前記粘着ローラの周速が大きくなるように駆動されるので、前記被クリーニング体の先端部分でたわみが生じた場合であっても搬送中に前記たわみを除々に解消することができ、前記被クリーニング体の搬送性を向上させることができる。
また、本発明に係るクリーニング装置(12)は、上記クリーニング装置(11)において、前記駆動機構が、前記被クリーニング体下面側に配置された前記クリーニングユニットの前記クリーニングローラと、前記被クリーニング体上面側に配置された前記クリーニングユニットの前記クリーニングローラとを前記同一の動力源から得た動力で駆動させるように構成されていることを特徴としている。
上記クリーニング装置(12)によれば、前記駆動機構によって、前記被クリーニング体下面側に配置された前記クリーニングユニットの前記クリーニングローラと、前記被クリーニング体上面側に配置された前記クリーニングユニットの前記クリーニングローラとが前記同一の動力源から動力を得て駆動されるので、コンパクトな装置構造にすることができる。
また、本発明に係る粘着ローラユニット(1)は、被クリーニング体の表面に接触させて回転させながら、前記被クリーニング体の表面に存在する塵埃を粘着力を利用して除去する粘着ローラを備え、所定の電荷を帯電させたクリーニングローラを回転させながら、前記被クリーニング体の表面に接触させ、前記被クリーニング体の表面に存在する塵埃を静電気力を利用して除去するクリーニングユニットと併用されることを特徴としている。
上記粘着ローラユニット(1)によれば、前記クリーニングユニットと併用されるので、静電気力を利用して塵埃を除去するだけでなく、前記粘着ローラの粘着力によって前記被クリーニング体表面に付着している塵埃を物理的に除去することができ、帯電特性の異なる前記クリーニングユニットを複数配置しなくても、様々な種類の塵埃に容易に対応させることが可能となる。したがって、前記クリーニングユニットだけを使用する場合と比較して、種類の異なる塵埃を効率良く除去することができ、塵埃の除去精度(仕上げ精度)を容易に高めることができるクリーニング装置を構築することができる。
また、本発明に係る粘着ローラユニット(2)は、上記粘着ローラユニット(1)において、前記粘着ローラが、前記被クリーニング体の搬送方向に対して前記クリーニングローラの後方に配設され、前記粘着ローラの周速が、前記クリーニングローラの周速より大きく、且つ所定の周速以下となるように構成されていることを特徴としている。
上記粘着ローラユニット(2)によれば、前記粘着ローラが前記クリーニングローラの後方に配置されるので、前記クリーニングローラで除去しきれなかった塵埃を前記粘着ローラの粘着力によって前記被クリーニング体表面から物理的に除去することができ、帯電特性の異なる前記クリーニングユニットを複数配置しなくても、様々な種類の塵埃に容易に対応させることができ、塵埃の除去精度(仕上げ精度)を容易に高めることができる。また、前記粘着ローラが前記クリーニングローラの後方に配置されるので、前記粘着ローラに付着する塵埃の量を大幅に減らすことができ、前記粘着ローラだけを使用してクリーニングする場合と比較して連続使用時間を大幅に延ばすことができ、クリーニング工程の効率を高めることができる。
また、前記粘着ローラの周速が、前記クリーニングローラの周速より大きくなるように構成されているので、前記被クリーニング体の先端部分にたわみが生じた場合であっても搬送中に前記たわみを除々に解消することができる。また、前記粘着ローラの周速が前記所定の周速以下となるように構成されているので、前記被クリーニング体に過度な張力が加わらないように構成することができ、前記被クリーニング体の伸びや裂けといった変形を防止することができ、前記被クリーニング体に損傷を与えることなく良好なクリーニングを行うことができる。
また、本発明に係る粘着ローラユニット(3)は、上記粘着ローラユニット(1)又は(2)において、前記粘着ローラの表面に接触させて回転させながら、該粘着ローラ表面の塵埃を粘着力を利用して受け取る転写ローラを備えていることを特徴としている。
上記粘着ローラユニット(3)によれば、前記転写ローラによって前記粘着ローラ表面の塵埃が捕捉されるので、前記粘着ローラの表面を清浄な状態に保つことができ、前記粘着ローラのクリーニング性能を長期間維持することができる。
また、本発明に係る粘着ローラユニット(4)は、上記粘着ローラユニット(3)において、前記転写ローラと前記粘着ローラとに外径差を設けていることを特徴としている。
上記粘着ローラユニット(4)によれば、前記転写ローラと前記粘着ローラとに外径差を設けているので、前記粘着ローラと前記転写ローラとが同一点で接触する頻度を少なくすることができ、粘着ローラの汚染された箇所(塵埃が付着した箇所)に対して転写ローラの汚染されていない個所が接触する確率を高めることができ、前記粘着ローラから前記転写ローラへの塵埃の転写性能を向上させることができる。
また、本発明に係る粘着ローラユニット(5)は、上記粘着ローラユニット(3)又は(4)において、前記転写ローラの粘着力が、前記粘着ローラの粘着力よりも大きいことを特徴としている。
上記粘着ローラユニット(5)によれば、前記粘着ローラに付着した塵埃を前記転写ローラで確実に捕捉することができ、前記粘着ローラの表面を清浄な状態に保つことができる。
また、本発明に係る粘着ローラは、被クリーニング体の表面に接触させて回転させながら、前記被クリーニング体の表面に存在する塵埃を粘着力を利用して除去する粘着ローラであって、前記被クリーニング体の表面に接触させて回転させながら、前記被クリーニング体の表面に存在する塵埃を静電気力を利用して除去するクリーニングローラと併用されることを特徴としている。
上記粘着ローラによれば、前記クリーニングローラと併用されるので、静電気力を利用して塵埃を除去するだけでなく、前記粘着ローラの粘着力によって前記被クリーニング体表面に付着している塵埃を除去することができ、帯電特性の異なる前記クリーニングユローラを複数配置しなくても、様々な種類の塵埃に容易に対応させることが可能となる。したがって、前記クリーニングローラだけを使用する場合と比較して、種類の異なる塵埃を効率良く除去することができ、塵埃の除去精度(仕上げ精度)を容易に高めることができるクリーニングシステムを構築することができる。
以下、本発明に係るクリーニング装置、粘着ローラユニット及び粘着ローラの実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、実施の形態(1)に係るクリーニング装置を構成するクリーニングユニット及び粘着ローラユニットを正面上方から見た斜視図であり、図2は、背面上方から見た斜視図である。図3は、図1におけるIII−III線断面図である。図4は、実施の形態(1)に係るクリーニング装置の駆動機構を示した右側面図である。また、図5は、実施の形態(1)に係るクリーニング装置を構成するフレーム体を正面上方から見た斜視図である。なお、図3については、図を見易いものとするため、断面部分のハッチングを省略している。
クリーニング装置1は、被クリーニング体の表面に存在する塵埃を静電気力を利用して除去するクリーニングユニット10と、被クリーニング体の表面に存在する塵埃を粘着力を利用して除去する粘着ローラユニット30とを含んで構成され、クリーニングユニット10が被クリーニング体の搬送方向(矢印α)に対して粘着ローラユニット30の手前に(前方に隣接して)配置されるように、クリーニングユニット10と粘着ローラユニット30とが図5に示すフレーム体40に設置される構成となっている。
クリーニングユニット10は、図3に示すように、クリーニングローラ11を回転させながら、被クリーニング体Sの表面(上面)S1に接触させ、被クリーニング体Sの上面S1上に付着している塵埃(例えば、導体あるいは誘電体などの微小な塵埃)を、クリーニングローラ11に付与された静電気力を利用して取り除くものである。
クリーニングユニット10は、被クリーニング体Sの上面S1に接触させるクリーニングローラ11と、このクリーニングローラ11に接触してクリーニングローラ11表面の塵埃を除去するブラシローラ12と、ブラシローラ12に接触しながら回転してブラシローラ12から塵埃を受取る金属ローラ13と、金属ローラ13に付着した塵埃を除去するブレード14と、ブレード14によって金属ローラ13から掻き取られた塵埃を回収する塵埃受け部15とを備え、一体構造としてユニット化されている。クリーニングユニット10は、クリーニングローラ11にブラシローラ12を接触させ、ブラシローラ12に金属ローラ13を接触させて塵埃を除去する構成となっているので、塵埃の搬送経路が短いコンパクトなユニット構造となっている。
クリーニングローラ11は、被クリーニング体Sの上面S1上に付着している塵埃を静電気力を利用して吸着させる電荷(プラス又はマイナスの電荷)を表面に帯電し得るものであり、クリーニングローラ11表面の帯電性を利用して塵埃を静電気力により吸着するものである。
クリーニングローラ11は、芯金(芯棒)11aと、芯金11aを覆う円筒状の内層部11bと、内層部11bを覆う薄膜円筒状の外層部11cとを含んで構成されている。内層部11bには、導電性を有する弾性部材(例えば、カーボン(導電材)を含むポリエステル系ウレタン等)が用いられている。外層部11cを構成する材料としては、ポリウレタン樹脂、例えば、アクリル混合ウレタンあるいはフッ素混合ウレタンなどが挙げられ、被クリーニング体S表面に付着する塵埃を静電気により吸着する電荷を帯電し得るようになっている。前記アクリル混合ウレタンとは、ポリエステルポリウレタンまたはポリエーテルポリウレタンを主成分とし、(i)熱可塑性ウレタン樹脂とシリコン・アクリル共重合樹脂の混合物、(ii)アクリル樹脂(例えば、メタクリル酸−メタクリル酸メチル共重合体からなる主鎖にアミノエチル基がグラフトされてなるグラフト化合物)と熱可塑性ウレタン樹脂からなる混合物、(iii)アクリル樹脂・ウレタン樹脂・フッ素系表面コーティング剤からなる混合物を意味する。前記アクリル混合ウレタンを用いることにより、マイナスに帯電しやすい塵埃が被クリーニング体Sから除去されやすくなる。
また、前記フッ素混合ウレタンとは、ポリウレタンを主成分とするもので、熱可塑性ウレタン樹脂にウレタン・フッ素共重合体を混合したものを意味する。前記フッ素混合ウレタンを用いることにより、プラスに帯電しやすい塵埃が被クリーニング体Sから除去されやすくなる。外層部11cの厚さは、帯電特性などの観点から2μm〜500μm程度が好ましく、より好ましくは、5μm〜50μm程度である。
クリーニングローラ11の斜め上方には、クリーニングローラ11の表面に接触させつつ相互に逆方向に回転させながら、クリーニングローラ11の表面の塵埃を除去するブラシローラ12が設けられている。
ブラシローラ12は、クリーニングローラ11との間に電位差を生じるように、クリーニング時にクリーニングローラ11の表面に帯電させる電荷と同符号の電位が印加される構成となっている。ブラシローラ12は、芯金12aに合成樹脂製のブラシ部(毛部)12bを有するものである。なお、ブラシ部12bの毛部断面形状や外形は、特に限定されるものではなく、例えば、円形状、楕円形状、多角形形状や波曲線形状、曲線と直線とが組み合わされて構成された形状のものなどが採用され得る。
ブラシローラ12の斜め上方には、ブラシローラ12に対し連れ回り方向に接触しながら回転する金属ローラ13が配設されている。この金属ローラ13も、クリーニングローラ11との間で所定の電位差が生じるように、クリーニング時にクリーニングローラ11の表面に帯電させる電荷と同符号の電位が印加される構成となっている。金属ローラ13は、静電気を利用してブラシローラ12から塵埃を受け取る機能を有している。
また、金属ローラ13の近傍には、金属ローラ13の表面上に付着する塵埃を先端掻き取り部にて掻き取るブレード14が、金属ローラ13外周面に接触させた状態で配設され、ブレード14の先端部によって金属ローラ13の表面上に付着する塵埃が掻き取られるようになっている。ブレード14は、例えば、合成樹脂製(例えば、熱硬化性ウレタン樹脂)の弾性体などで形成されている。
クリーニングローラ11、ブラシローラ12及び金属ローラ13は、図1、図2に示した左右の側板部16、17にそれぞれ回転可能に軸支され、側板部16、17は上部連結板18で連結されている。
側板部16、17は、絶縁性(例えば、ポリアセタ―ルなどの樹脂製)の材質で構成され、側板部16、17の両側には、図5に示すフレーム体40の左右のガイドレール47A、47Bに係合させるための係合片16a、17aが形成されている。また、側板部16、17の対向面には、クリーニングローラ11、ブラシローラ12及び金属ローラ13の各回転軸を取り付けるための取付孔(いずれも図示せず)が所定の位置にそれぞれ形成されている。
これら各取付孔には、クリーニングローラ11、ブラシローラ12及び金属ローラ13の回転軸が挿着される軸受(図示せず)がそれぞれ組み込まれ、図示しないこれら各軸受の外輪部に図示しない電極部が電気的に接触して通電可能な状態で組み込まれている。これら電極に通電するための通電コネクタ19が上部連結板18上に配設されている。
図示しない前記電極部から前記軸受を介して、クリーニングローラ11、ブラシローラ12及び金属ローラ13に対し、それぞれ所定の電荷を与えることが可能になっている。これら各貫通孔に組み込まれた前記軸受及び電極部を含んで電荷付与機構が構成されている。
次にクリーニングユニット10の駆動機構について説明する。側板部16に挿着されたクリーニングローラ11の回転軸の端部には、絶縁体で形成されたローラ駆動用歯車21Aとアイドル歯車22とが装着され、ローラ駆動用歯車21Aには、図示しない駆動用モータの回転力が伝達される歯車48(図5参照)が歯合される機構になっている。
また、側板部16に挿着された金属ローラ13の回転軸の端部には、絶縁体で形成された金属ローラ用歯車23Aが装着されている。金属ローラ用歯車23Aは、アイドル歯車22と歯合されており、金属ローラ13は、クリーニングローラ11の回転駆動により回転駆動されるようになっている。
また、側板部17に挿着されたクリーニングローラ11の回転軸の端部には、絶縁体で形成されたローラ駆動用歯車21Bが装着され、ローラ駆動用歯車21Bには、図示しないクリーニングローラ駆動用モータの回転力が伝達される歯車49(図4参照)が歯合される機構になっている。
また、側板部17に挿着された金属ローラ13の回転軸の端部には、絶縁体で形成された金属ローラ用歯車23Bが装着され、ブラシローラ12の回転軸の端部には、金属で形成されたブラシローラ用歯車24が装着されている。ブラシローラ用歯車24は、金属ローラ用歯車23Bと歯合されており、ブラシローラ12は、金属ローラ13の回転駆動により連れ回り方向に回転駆動されるようになっている。
粘着ローラユニット30は、図3に示すように、粘着ローラ31を回転させながら、被クリーニング体Sの上面S1に接触させ、被クリーニング体Sの上面S1上に付着している塵埃を、粘着ローラ31の粘着力を利用して取り除くものである。
粘着ローラユニット30は、被クリーニング体Sの上面S1に接触させる粘着ローラ31と、粘着ローラ31表面に接触させて回転させながら、粘着ローラ31表面の塵埃を粘着力を利用して受け取る転写ローラ32とを備え、一体構造としてユニット化されている。
粘着ローラ31は、被クリーニング体Sの上面S1に付着している塵埃を粘着力を利用して剥ぎ取るものであり、芯棒31aと、芯棒31aを覆う厚膜円筒状の粘着層31bとを含んで構成されている。粘着層31bには、ポリウレタン樹脂、より好ましくは熱硬化性ポリウレタン樹脂を含む材料が用いられ、種類の異なる塵埃を吸着するための所定の粘着力が得られるように形成されている。
転写ローラ32は、粘着ローラ31に対し連れ回り方向に接触しながら回転するように粘着ローラ31の斜め上方に配設されている。転写ローラ32も、芯棒32aと、芯棒32aを覆う厚膜円筒状の粘着層32bとを含んで構成されている。粘着層32bは、ポリウレタン樹脂、より好ましくは熱硬化性ポリウレタン樹脂を含む材料で構成されている。粘着ローラ31に付着した塵埃を確実に捕捉(転写)するために、転写ローラ32の粘着力が粘着ローラ31の粘着力よりも大きくなるように構成されている。
粘着ローラ31及び転写ローラ32は、図1、図2に示した左右の側板部33、34にそれぞれ回転可能に軸支され、側板部33、34は上部連結板35で連結されている。側板部33、34は、絶縁性(例えば、ポリアセタ―ルなどの樹脂製)の材質で構成され、側板部33、34の両側には、図5に示すフレーム体40の左右のガイドレール47A、47Bに係合させるための係合片33a、34aが形成されている。また、側板部33、34の対向面には、粘着ローラ31及び転写ローラ32の各回転軸を取り付けるための取付孔が所定の位置にそれぞれ形成されている。
なお、粘着ローラ31及び転写ローラ32の外径は、同径にする必要はなく、粘着ローラ31から転写ローラ32への塵埃の転写(移行)性を向上させるために、外径差を設けることが好ましい。粘着ローラ31の外径を転写ローラ32の外径よりも大きくする構成、又は転写ローラ32の外径を粘着ローラ31の外径よりも大きくする構成が採用され得る。
次に粘着ローラユニット30の駆動機構について説明する。図2に示すように、側板部33に挿着された粘着ローラ31の回転軸の端部には、絶縁体で形成されたローラ駆動用歯車36Aが装着され、ローラ駆動用歯車36Aには、図示しない駆動用モータの回転力が伝達される歯車48(図5参照)が歯合される機構になっている。
また、図1〜3に示すように、側板部34に挿着された粘着ローラ31の回転軸の端部には、絶縁体で形成されたローラ駆動用歯車36Bが装着され、ローラ駆動用歯車36Bには、図示しない駆動用モータの回転力が伝達される歯車49(図4参照)が歯合される機構になっている。なお、転写ローラ32は、粘着ローラ31の回転駆動により連れ回り回転するようになっている。
上記したクリーニングユニット10及び粘着ローラユニット30は、図5に示したフレーム体40に設置される構成となっている。フレーム体40には、クリーニングユニット10と粘着ローラユニット30とを互いに入れ替えて設置可能な左右2対のガイド部41A、41B、42A、42Bが形成されている。ガイド部41A、41Bに、クリーニングユニット10の側板部16、17をそれぞれ係合させ、ガイド部42A、42Bに、粘着ローラユニット30の側板部33、34をそれぞれ係合させて、上下方向にスライド可能な態様で設置されるようになっている。
一方側のガイド部41Aとガイド部42Aは、台座部43Aと、台座部43A上に配設された底板44Aと、底板44Aの一辺に立設された背板45Aと、背板45Aの上部内面の3箇所(両側部及び中央部)に立設された側枠板46aと、底板の上面3箇所(両側部及び中央部)に立設された側枠板46bと、上部の各側枠板46aと下部の各側枠板46bの端面に取り付けられた細板状のガイドレール部材47Aとにより、一体的に構成されている。
各側枠板46a、46bと各ガイドレール部材47Aとの連結によって平面視略L字状の係合部47aが形成されている。これら係合部47aにクリーニングユニット10の側板部16の係合片16aと粘着ローラユニット30の側板部33の係合片33aとが係合されるようになっている。
また、他方側のガイド部41Bとガイド部42Bは、上記同様に台座部43Bと、台座部43B上に配設された底板44Bと、底板44Bの一辺に立設された背板45Bと、背板45B上部内面の3箇所(両側部及び中央部)に立設された側枠板46cと、底板44Bの上面3箇所(両側部及び中央部)に立設された側枠板46dと、上部の各側枠板46cと下部の各側枠板46dの端面に取り付けられた細板状のガイドレール部材47Bとにより、一体的に構成されている。各側枠板46c、46dと各ガイドレール部材47Bとの連結によって平面視略L字状の係合部47bが形成されている。
これら係合部47bにクリーニングユニット10の側板部17の係合片17aと粘着ローラユニット30の側板部34の係合片34aとが係合されるようになっている。フレーム体40は、一方側のガイド部41A及びガイド部42Aと、他方側のガイド部41B及びガイド部42Bとが、左右の連結板50により連結された構成となっている。
上記実施の形態(1)に係るクリーニング装置1によれば、被クリーニング体Sの上面S1に存在する塵埃を静電気力を利用して除去するクリーニングユニット10と、被クリーニング体Sの上面S1に存在する塵埃を粘着力を利用して除去する粘着ローラユニットと30を備え、クリーニングユニット10が、被クリーニング体Sの搬送方向に対して粘着ローラユニット30の手前に配置されているので、被クリーニング体Sは、クリーニングユニット10を通過した後に粘着ローラユニット30を通過することとなる。
すなわち、クリーニングユニット10において、被クリーニング体上面S1の塵埃が静電気力を利用して除去された後、粘着ローラユニット30において、クリーニングユニット10で除去されなかった塵埃が粘着力によって被クリーニング体表面S1から物理的に剥がし取られて除去される。クリーニングユニット10の後方に粘着ローラユニット30が隣接して配設されているので、帯電特性の異なる複数のクリーニングユニット10を配置しなくても、様々な種類の塵埃に容易に対応させることが可能となる。
また、粘着ローラユニット30でクリーニングされる前にクリーニングローラ10でクリーニングされるので、粘着ローラ31だけを使用する場合と比較して、粘着ローラ31に付着する塵埃の量を大幅に減らすことができ、連続使用時間を大幅に延ばすことができる。
また、粘着ローラユニット30では、粘着ローラ31の表面に付着している塵埃が転写ローラ32によって捕捉されるので、粘着ローラ31の表面に塵埃を蓄積させることなく、粘着ローラ31の表面を清浄な状態に保つことができ、粘着ローラ31による塵埃の除去性能を維持することができる。また、粘着ローラ31のメンテナンス作業の頻度を大幅に減らすことができる。
したがって、粘着ローラユニット30やクリーニングユニット10をそれぞれ単独で使用する場合と比較して、種類の異なる塵埃を効率良く除去することができ、また連続使用時間を大幅に延ばすことができ、クリーニング工程の効率を高めることができる。
また、上記クリーニング装置1は、クリーニングユニット10と粘着ローラユニット30とを互いに入れ替えて設置可能な複数のガイド部41A、41B、42A、42Bが形成されたフレーム体40を備えているので、帯電特性の異なるクリーニングユニットや粘着力の異なる粘着ローラユニット等への交換が容易に行え、装置構成の自由度を高めることができ、被クリーニング体Sの種類や塵埃の種類に応じて最適な構成に設定することができる。また、被クリーニング体Sの搬送方向を変えた場合に、クリーニングユニット10と粘着ローラユニット30とを入れ替えるだけで対応可能となり、作業工程での利便性を高めることができる。
また、上記クリーニング装置1は、クリーニングローラ11の回転軸の一端側に装着されたローラ駆動用歯車21Bと、粘着ローラ31の回転軸の一端側に装着されたローラ駆動用歯車36Bとが、同一の駆動源となるローラ駆動用モータ(図示せず)の回転力が伝達される歯車49(図4参照)に歯合され、また、クリーニングローラ11の回転軸の他端側に装着されたローラ駆動用歯車21Aと、粘着ローラ31の回転軸の他端側に装着されたローラ駆動用歯車36Aとが、同一の駆動源となるローラ駆動用モータ(図示せず)の回転力が伝達される歯車48(図5参照)に歯合された駆動機構を備えている。
したがって、当該駆動機構によって、クリーニングローラ11及び粘着ローラ31が同一の動力源から動力を得て駆動され、かつクリーニングローラ11及び粘着ローラ31の周速を同期させているので、クリーニングローラ11又は粘着ローラ31の周速を変更しても、これらローラの周速を常に同期させることができ、被クリーニング体Sがフィルムやシートなどの薄物であったとしても、搬送中にたわみや皺を発生させることなく塵埃を除去することができる。
また、上記クリーニング装置1によれば、クリーニングローラ11の外層部11cが熱可塑性ポリウレタンを含む樹脂で形成されているので、シリコーン樹脂やブチルゴムなどで形成されている場合と比べて耐摩耗性に優れ、可塑剤や低分子量物による汚染が少ないという効果を得ることができる。
また、粘着ローラ31の弾性層31bが、熱硬化性ポリウレタンを含む樹脂で形成されているので、上記効果に加え、ブチルゴムと比較して圧縮永久歪が小さく、形状(真円)安定性に優れ、また、可塑剤を含まないので、硬度の経時変化が少なく、長期間安定した粘着力を発揮することができる。
なお、上記実施の形態(1)では、前記駆動機構によって、クリーニングローラ11及び粘着ローラ31の周速を同期させている場合について説明したが、別の実施の形態では、前記駆動機構を構成する各歯車のモジュール、歯数、ギア比を調整することによって、クリーニングローラ11の周速より粘着ローラ31の周速が大きくなるように駆動させる構成にすることもできる。
また、クリーニングローラ11と粘着ローラ31とは、外径が略同一であるが、さらに別の実施の形態では、クリーニングローラ11の内層部11bの肉厚を大きくして、接地しているときのローラのたわみ量を増やす一方、粘着ローラ31の粘着層31bには歪みが小さい樹脂を用いて真円安定性を高める(各ローラの弾性変形量を調整する)ことによって、クリーニング時における粘着ローラ31の見かけ上の外周が、クリーニングローラ11の見かけ上の外周よりも大きくなるように外周差を生じる設計を行う。この外周差によって所定の周速差を生じるように、すなわち、粘着ローラ31の周速がクリーニングローラ11の周速より大きくなるように調整する構成が採用され得る。
周速差は、クリーニングローラ11と粘着ローラ31との軸間距離、粘着ローラ31の外径、被クリーニング体Sの長さ等を考慮して、クリーニングローラ11と粘着ローラ31との間で生じ得る被クリーニング体Sの最大たわみ量が、被クリーニング体Sの搬送終了時(被クリーニング体Sの後端部分がクリーニングローラ11を通過する時)に解消できるように調整することが好ましい。
図6は、実施の形態(2)に係るクリーニング装置を構成する要部のレイアウトを示した断面図である。図7は、実施の形態(2)に係るクリーニング装置を構成する下面側のクリーニングユニットを正面上方から見た斜視図である。図8は、実施の形態(2)に係るクリーニング装置を構成する上下面の粘着ローラユニットを正面上方から見た斜視図である。図9は、実施の形態(2)に係るクリーニング装置の駆動機構を示した右側面図である。図10は、実施の形態(2)に係るクリーニング装置を構成するフレーム体を正面上方から見た斜視図である。なお、図6については、図を見易いものとするため、断面部分のハッチングを省略している。
実施の形態(2)に係るクリーニング装置1Aは、クリーニングユニット10と粘着ローラユニット30とが上側に配設され、その下側にクリーニングユニット10Aと粘着ローラユニット30Aとが配設されており、これら上下のユニットの間に被クリーニング体Sを通過させることで、被クリーニング体Sの上面S1と下面S2とを同時にクリーニング可能な構成となっている。なお、図1〜5に示したクリーニング装置1と同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、ここではその説明を省略する。
上側に配置されるクリーニングユニット10及び粘着ローラユニット30は、後述する駆動機構を除いて、実施の形態(1)に係るクリーニング装置1のクリーニングユニット10及び粘着ローラユニット30と略同様な構成となっている。
クリーニングユニット10の下側に配置されたクリーニングユニット10Aは、図6に示すように、被クリーニング体Sの下面S2に接触させるクリーニングローラ11と、クリーニングローラ11の前後に近設された搬送ローラ51A、51Bと、クリーニングローラ11に接触してクリーニングローラ11表面の塵埃を除去するブラシローラ12と、ブラシローラ12に接触しながら回転してブラシローラ12から塵埃を受取る金属ローラ13と、金属ローラ13に付着した塵埃を除去するブレード14とを含んで構成されている。
クリーニングローラ11は、被クリーニング体Sの下面S2に付着している塵埃を静電気力を利用して吸着させる電荷(プラス又はマイナスの電荷)を表面に帯電し得るものであり、クリーニングローラ11表面の帯電性を利用して塵埃を静電気力により吸着するものである。
クリーニングローラ11の斜め下方には、クリーニングローラ11の表面に接触しながら相互に逆方向に回転し、クリーニングローラ11の表面の塵埃を除去するブラシローラ12が設けられている。
ブラシローラ12の斜め下方には、ブラシローラ12に対し連れ回り方向に接触しながら回転する金属ローラ13が配設されている。金属ローラ13の近傍には、金属ローラ13の表面上に付着する塵埃を先端掻き取り部にて掻き取るブレード14が配設され、ブレード14の先端部によって金属ローラ14の表面上に付着する塵埃が掻き取られ、下方に設置された図示しない塵埃受け部に回収されるようになっている。
クリーニングローラ11、ブラシローラ12及び金属ローラ13は、図7に示した左右の側板部16A、17Aにそれぞれ回転可能に軸支されている。これら側板部16A、17Aの対向面には、クリーニングローラ11、ブラシローラ12及び金属ローラ13の回転軸が挿着される軸受(図示せず)がそれぞれ組み込まれ、図示しないこれら各軸受の外輪部に図示しない電極部が電気的に接触して通電可能な状態で組み込まれている。側板部16Aには、これら電極に通電するための通電コネクタ19Aが配設されている。
図示しない前記電極部から前記軸受を介して、クリーニングローラ11、ブラシローラ12及び金属ローラ13に対し、それぞれ所定の電荷を与えることが可能になっている。これら各貫通孔に組み込まれた前記軸受及び電極部を含んで電荷付与機構が構成されている。
搬送ローラ51A、51Bは、被クリーニング体Sを搬送するための金属製のローラであり、側板部16A、17Aの上部に取り付けられた取付板56、57にそれぞれ回転可能に支持されている。搬送ローラ51A、51Bの外径は、クリーニングローラ11との間の隙間を少なくするために、クリーニングローラ11の外径よりも小さく設定(クリーニングローラ11の半径以下に設定)されている。また、搬送ローラ51A、51Bの周面上部とクリーニングローラ11の周面上部とが同一平面上に位置するように、搬送ローラ51A、51B及びクリーニングローラ11が配設されている。
クリーニングローラ11の両端の回転軸には、ピッチ円直径がクリーニングローラ11の外径と一致するプーリー52A、52Bが配設されている。また、搬送ローラ51A両端の回転軸には、ピッチ円直径が搬送ローラ51Aの外径と一致するプーリー53A、53Bが配設され、搬送ローラ51B両端の回転軸にも、ピッチ円直径が搬送ローラ51Bの外径と一致するプーリー54A、54Bが配設されている。
クリーニングローラ11及び搬送ローラ51A、51Bの一端側のプーリー52A、53A、54Aには丸ベルト55Aが巻き掛けられ、他端側のプーリー52B、53B、54Bにも同様に丸ベルト55Bが巻き掛けられている。この構成によって、搬送ローラ51A、51Bがクリーニングローラ11の回転駆動に追従して回転駆動される。すなわち、搬送ローラ51A、51Bがクリーニングローラ11と同じ周速度で、同一方向に回転駆動されるようになっている。
次に上下のクリーニングユニット10、10Aの駆動機構について説明する。下側のクリーニングユニット10Aの側板部16Aに挿着されたクリーニングローラ11の回転軸の端部には、絶縁体で形成されたローラ駆動用歯車21Cとアイドル歯車22Aとが装着され、ローラ駆動用歯車21Cには、図示しない駆動用モータの回転力が伝達される歯車48A(図10参照)が歯合される機構になっている。
また、下側のクリーニングユニット10Aの側板部16Aに挿着された金属ローラ13の回転軸の端部には、絶縁体で形成された金属ローラ用歯車23Cが装着されている。金属ローラ用歯車23Cは、アイドル歯車22Aと歯合されており、金属ローラ13は、クリーニングローラ11の回転駆動により駆動されるようになっている。
また、上側のクリーニングユニット10のローラ駆動用歯車21A及びアイドル歯車22(図1参照)は、下側のクリーニングユニット10Aのローラ駆動用歯車21C及びアイドル歯車22A(図7参照)と歯合されており、上側のクリーニングローラ11は、下側のクリーニングローラ11の回転駆動により駆動されるようになっている。
また、下側のクリーニングユニット10Aの側板部17Aに挿着されたクリーニングローラ11の回転軸の端部には、絶縁体で形成されたローラ駆動用歯車21Dが装着され、ローラ駆動用歯車21Dには、図示しないクリーニングローラ駆動用モータの回転力が伝達される歯車49A(図9参照)が歯合される機構になっている。
また、下側のクリーニングユニット10Aの側板部17Aに挿着された金属ローラ13の回転軸の端部には、絶縁体で形成された金属ローラ用歯車23Dが装着され、ブラシローラ12の回転軸の端部には、金属で形成されたブラシローラ用歯車24Aが装着されている。ブラシローラ用歯車24Aは、金属ローラ用歯車23Dと歯合されており、ブラシローラ12は、金属ローラ13の回転駆動により連れ回り方向に回転駆動されるようになっている。
また、図9に示すように、上側のクリーニングユニット10のローラ駆動用歯車21Bは、下側のクリーニングユニット10Aのローラ駆動用歯車21Dと歯合されており、上側のクリーニングローラ11は、下側のクリーニングローラ11の回転駆動により駆動されるようになっている。
粘着ローラユニット30の下側に配置された粘着ローラユニット30Aは、粘着ローラ31を回転させながら、被クリーニング体Sの下面S2に接触させ、被クリーニング体Sの下面S2に付着している塵埃を、粘着ローラ31の粘着力を利用して取り除くものである。
粘着ローラユニット30Aは、図6に示すように、被クリーニング体Sの下面S2に接触させる粘着ローラ31と、粘着ローラ31の前後に近設された搬送ローラ61A、61Bと、粘着ローラ31に接触して粘着ローラ31表面の塵埃を粘着力により受け取る転写ローラ32とを備え、一体構造としてユニット化されている。
粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31は、被クリーニング体Sの下面S2に付着している塵埃を粘着力を利用して剥ぎ取るものである。転写ローラ32は、粘着ローラ31に対し連れ回り方向に接触しながら回転するように粘着ローラ31の斜め下方に配設されている。粘着ローラ31に付着した塵埃を確実に捕捉(転写)するために、転写ローラ32の粘着力が、粘着ローラ31の粘着力よりも大きくなるように構成されている。
粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31及び転写ローラ32は、図8に示した左右の側板部33A、34Aにそれぞれ回転可能に軸支されている。側板部33A、34Aは、絶縁性(例えば、ポリアセタ―ルなどの樹脂製)の材質で構成されている。側板部33A、34Aには、粘着ローラ31及び転写ローラ32の各回転軸を取り付けるための取付孔が所定の位置にそれぞれ形成されている。
なお、粘着ローラ31及び転写ローラ32の外径は、同径にする必要はなく、粘着ローラ31から転写ローラ32への塵埃の移行(転写)性を向上させるために、外径差を設けることが好ましい。粘着ローラ31の外径を転写ローラ32の外径よりも大きくする構成、又は転写ローラ32の外径を粘着ローラ31の外径よりも大きくする構成が採用され得る。
搬送ローラ61A、61Bは、被クリーニング体Sを搬送するための金属製のローラであり、側板部33A、34Aの上部に取り付けられた左右の取付板66、67にそれぞれ回転可能に支持されている。搬送ローラ61A、61Bの外径は、粘着ローラ31との間の隙間を少なくするために、粘着ローラ31の外径よりも小さく設定(粘着ローラ31の半径以下に設定)されている。また、搬送ローラ61A、61Bの周面上部と粘着ローラ31の周面上部とが同一平面上に位置するように、搬送ローラ61A、61B及び粘着ローラ31が配設されている。
また、粘着ローラ31の両端の回転軸には、ピッチ円直径が粘着ローラ31の外径と一致するプーリー62A、62Bが配設されている。また、搬送ローラ61A両端の回転軸には、ピッチ円直径が搬送ローラ61Aの外径と一致するプーリー63A、63Bが配設され、搬送ローラ61B両端の回転軸にも、ピッチ円直径が搬送ローラ61Bの外径と一致するプーリー64A、64Bが配設されている。
粘着ローラ31及び搬送ローラ61A、61Bの一端側のプーリー62A、63A、64Aには丸ベルト65Aが巻き掛けられ、他端側のプーリー62B、63B、64Bにも同様に丸ベルト65Bが巻き掛けられている。この構成によって、搬送ローラ61A、61Bが粘着ローラ31の回転駆動に追従して回転駆動される。すなわち、搬送ローラ61A、61Bが粘着ローラ31と同じ周速度で、同一方向に回転駆動されるようになっている。
次に粘着ローラユニット30、30Aの駆動機構について説明する。図8に示すように、側板部33Aに挿着された粘着ローラ31の回転軸の端部には、絶縁体で形成されたローラ駆動用歯車36Cが装着され、ローラ駆動用歯車36Cには、図示しない駆動用モータの回転力が伝達される歯車48A(図10参照)が歯合される構成になっている。また、図8、9に示すように、側板部34Aに挿着された粘着ローラ31の回転軸の端部には、絶縁体で形成されたローラ駆動用歯車36Dが装着され、ローラ駆動用歯車36Dには、図示しない駆動用モータの回転力が伝達される歯車49A(図9参照)が歯合される機構になっている。なお、上側の粘着ローラユニット30の粘着ローラ31は、下側の粘着ローラ31の回転駆動により連れ回り回転するようになっている。
上記した上下のクリーニングユニット10、10A及び粘着ローラユニット30、30Aは、図10に示したフレーム体40Aに設置される構成となっている。フレーム体40Aには、上下のクリーニングユニット10、10Aと粘着ローラユニット30、30Aとを互いに入れ替えて設置可能な左右2対のガイド部41C、41D、42C、42Dが形成されている。ガイド部41C、41Dに、クリーニングユニット10、10Aの側板部16、16A、17、17Aをそれぞれ係合させ、ガイド部42C、42Dに、粘着ローラユニット30、30Aの側板部33、33A、34、34Aをそれぞれ係合させて、上下方向にスライド可能な態様で設置されるようになっている。
一方側のガイド部41Cとガイド部42Aは、台座部43Cと、台座部43Cの一端側上面に配設された底板44Cと、底板44Cの一辺に立設された背板45Cと、背板45Cの上部内面の3箇所(両側部及び中央部)に立設された側枠板46aと、背板45Cの中間部内面の3箇所(両側部及び中央部)に立設された側枠板46eと、底板44Cの上面3箇所(両側部及び中央部)に立設された側枠板46bと、上部の各側枠板46a、中間部の各側枠板46e、及び下部の各側枠板46bの端面に取り付けられた細板状のガイドレール部材47Cとにより、一体的に構成されている。
各側枠板46a、46e、46bと各ガイドレール部材47Cとの連結によって平面視略L字状の係合部47cが形成されている。これら係合部47cにクリーニングユニット10、10Aの側板部16、16Aの係合片16aと粘着ローラユニット30、30Aの側板部33、33Aの係合片33aとが係合されるようになっている。
また、他方側のガイド部41Dとガイド部42Dは、台座部43Cと、台座部43Cの他端側上面に配設された底板44Dと、底板44Dの一辺に立設された背板45Dと、背板45D上部内面の3箇所(両側部及び中央部)に立設された側枠板46cと、背板45Dの中間部内面の3箇所(両側部及び中央部)に立設された側枠板46fと、底板44Dの上面3箇所(両側部及び中央部)に立設された側枠板46dと、上部の各側枠板46c、中間部の各側枠板46f、及び下部の各側枠板46dの端面に取り付けられた細板状のガイドレール部材47Dとにより一体的に構成されている。
各側枠板46c、46f、46dと各ガイドレール部材47Dとの連結によって平面視略L字状の係合部47dが形成されている。これら係合部47dにクリーニングユニット10、10Aの側板部17、17Aの係合片17aと粘着ローラユニット30、30Aの側板部34、34Aの係合片34aとが係合されるようになっている。
フレーム体40Aは、一方側のガイド部41C及びガイド部42Cと、他方側のガイド部41D及びガイド部42Dとが、台座部43Cにより連結された構成となっている。また、台座部43Cには、上面が開口された矩形箱形状をした塵埃受け部43dが配設されている。
上記した実施の形態(2)に係るクリーニング装置1Aによれば、被クリーニング体Sの上下両表面に存在する塵埃を一度の操作で同時に除去することができ、かつ上記した実施の形態(1)に係るクリーニング装置1で得られる効果と同様の効果を得ることができる極めて効率の高いクリーニング装置を提供することができる。
また、クリーニング装置1Aによれば、被クリーニング体下面S2側に配置されたクリーニングユニット10Aのクリーニングローラ11の前後に搬送ローラ51A、51Bが近設され、また、被クリーニング体下面S2側に配置された粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31の前後に搬送ローラ61A、61Bが近設されている。
したがって、クリーニングローラ11及び粘着ローラ31の前後に生じる空間がこれら搬送ローラ51A、51B、61A、61Bによって狭められる。そのため、クリーニングローラ11や粘着ローラ31の前後に生じていた空間に被クリーニング体Sが落ち込んで、被クリーニング体Sにたわみや皺が生じることを防止することができ、被クリーニング体Sの搬入及び搬出を精度良く行うことができ、搬送性を向上させることができる。
また、クリーニング装置1Aは、クリーニングユニット10Aのクリーニングローラ11の回転軸の一端側に装着されたローラ駆動用歯車21Cと、粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31の回転軸の一端側に装着されたローラ駆動用歯車36Cとが、同一の駆動源となるローラ駆動用モータの回転力が伝達される歯車48A(図10参照)に歯合された駆動機構を備え、また、クリーニングローラ11の回転軸の他端側に装着されたローラ駆動用歯車21Dと、粘着ローラ31の回転軸の他端側に装着されたローラ駆動用歯車36Dとが、同一の駆動源となるローラ駆動用モータの回転力が伝達される歯車49A(図9参照)に歯合された駆動機構を備えている。
したがって、当該駆動機構によって、クリーニングローラ11及び粘着ローラ31が同一の動力源から動力を得て駆動され、かつクリーニングローラ11及び粘着ローラ31の周速を同期させているので、クリーニングローラ11又は粘着ローラ31の周速を変更しても、これらローラの周速を常に同期させることができ、被クリーニング体Sがフィルムやシートなどの薄物であったとしても、搬送中にたわみや皺を発生させることなく塵埃を除去することができる。
また、クリーニング装置1Aは、被クリーニング体下面S2側に配置されたクリーニングユニット10Aのクリーニングローラ11の回転軸の両端部に装着されたローラ駆動用歯車21C、21Dと、被クリーニング体上面S1側に配置されたクリーニングユニット10のクリーニングローラ11の回転軸の両端部に装着されたローラ駆動用歯車21A、21Bとがそれぞれ歯合され、また、ローラ駆動用歯車21C、21Dには、ローラ駆動用モータの回転力が伝達される歯車48A、49A(図9、10参照)が歯合されているので、被クリーニング体下面S2側に配置されたクリーニングユニット10Aのクリーニングローラ11と、被クリーニング体上面S1側に配置されたクリーニングユニット10のクリーニングローラ11とが同一の動力源から動力を得て駆動されることとなり、コンパクトな装置構造とすることができる。
なお、上記した実施の形態に係るクリーニング装置1Aでは、クリーニングローラ11と搬送ローラ51A、51Bとの周速度を同期させる手段として、プーリー52A、52B、プーリー53A、53B、プーリー54A、54Bを使用し、粘着ローラ31と搬送ローラ61A、61Bとの周速度を同期させる手段として、プーリー62A、62B、プーリー63A、63B、プーリー64A、64Bを使用したが、別の実施の形態に係るクリーニング装置では、上記したこれらプーリーに代えて、ギア(歯車)やローラを適用することができる。
また、上記実施の形態(2)では、前記駆動機構によって、クリーニングユニット10Aのクリーニングローラ11及び粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31の周速を同期させている場合について説明したが、別の実施の形態では、前記駆動機構を構成する各歯車のモジュール、歯数、ギア比等を調整することによって、クリーニングユニット10Aのクリーニングローラ11の周速より粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31の周速が大きくなるように駆動させる構成にすることもできる。
また、クリーニングローラ11と粘着ローラ31とは、外径が略同一であるが、さらに別の実施の形態では、クリーニングローラ11の内層部の肉厚を大きくして、クリーニングユニット10のクリーニングローラ11が接地しているときのローラのたわみ量を増やす一方、粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31の粘着層には歪みが小さい樹脂を用いて真円安定性を高める(各ローラの弾性変形量を調整する)ことにより、クリーニング時における粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31の見かけ上の外周が、クリーニングユニット10Aのクリーニングローラ11の見かけ上の外周よりも大きくなるように外周差を生じる設計を行う。この外周差によって所定の周速差を生じるように、すなわち、粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31の周速がクリーニングユニット10Aのクリーニングローラ11の周速より大きくなるように調整する構成が採用され得る。
周速差は、クリーニングユニット10Aのクリーニングローラ11と粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31との軸間距離、粘着ローラ31の外径、被クリーニング体Sの長さ等を考慮して、クリーニングユニット10Aのクリーニングローラ11と粘着ローラユニット30Aの粘着ローラ31との間で生じ得る被クリーニング体Sの最大たわみ量が、被クリーニング体Sの搬送終了時(被クリーニング体Sの後端部分がクリーニングローラ11を通過する時)に解消できるように調整することが好ましい。
図11は、実施の形態(3)に係るクリーニング装置を構成する要部のレイアウトを模式的に示した断面図である。図12は、実施の形態(3)に係るクリーニング装置の駆動機構を示した右側面図である。なお、図11については、図を見易いものとするため、断面部分のハッチングを省略している。また、図6〜図10に示したクリーニング装置1Aと同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、その説明を省略することとする。
実施の形態(2)に係るクリーニング装置1Aでは、上下1組のクリーニングユニット10、10Aと、上下1組の粘着ローラユニット30、30Aとが配設された上下2連形式となっていたが、実施の形態(3)に係るクリーニング装置1Bでは、上下2組のクリーニングユニット10、10A及びクリーニングユニット10B、10Cと、上下1組の粘着ローラユニット30、30Aとが配設された上下3連形式となっている。なお、図示しないフレーム体には、上下3連形式に合わせて、3連式のガイド部を備えたフレーム体が採用されている。
また、クリーニング装置1Bを構成する上下1組のクリーニングユニット10、10Aとクリーニングユニット10B、10Cとでは、クリーニングユニット10、10Aのクリーニングローラ11の外周面に帯電される電荷の符号と、クリーニングユニット10B、10Cクリーニングローラ11Aの外周面に帯電される電荷とが逆となるように帯電制御が行われるようになっている。
実施の形態(3)に係るクリーニング装置1Bによれば、被クリーニング体Sの上面S1及び下面S2に付着するプラス帯電性の塵埃をマイナスに帯電させた一方の上下のクリーニングローラ11で除去する一方、マイナス帯電性の塵埃をプラスに帯電させた他方の上下のクリーニングローラ11Aで除去することができ、クリーニングユニットを増設して除去できる塵埃の範囲を広げることにより、粘着ローラユニット30、30Aによる塵埃の回収量を一層減らすことにより連続使用時間をさらに延ばすことができる。
図13は、実施の形態(4)に係るクリーニング装置を構成する要部のレイアウトを模式的に示した断面図である。図14は、実施の形態(4)に係るクリーニング装置の駆動機構を示した右側面図である。なお、図13については、図を見易いものとするため、断面部分のハッチングを省略している。また、図6〜図10に示したクリーニング装置1Aと同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、その説明を省略することとする。
実施の形態(2)に係るクリーニング装置1Aでは、上下1組のクリーニングユニット10、10Aと、上下1組の粘着ローラユニット30、30Aとが配設された上下2連形式となっていたが、実施の形態(4)に係るクリーニング装置1Cでは、上下1組のクリーニングユニット10、10Aと、上下2組の粘着ローラユニット30、30A及び粘着ローラユニット30B、30Cとが配設された上下3連形式となっている。粘着ローラユニット30、30Aの粘着ローラ31の粘着力と、粘着ローラユニット30B、30Cの粘着ローラ31Aの粘着力とは、同じ粘着力である必要はなく、一方を他方よりも強い粘着力のものにすることができる。なお、図示しないフレーム体には、上下3連形式に合わせて、3連式のガイド部を備えたフレーム体が採用されている。
実施の形態(4)に係るクリーニング装置1Cによれば、被クリーニング体Sの上面S1及び下面S2に付着する帯電性の塵埃をクリーニングユニット10、10Aで除去し、その後さらに、上下2組の粘着ローラユニット30、30A及び粘着ローラユニット30B、30Cによって、被クリーニング体Sの上下面に残った塵埃を粘着力で物理的に剥ぎ取り除去する操作を2回連続して行うことができ、粘着ローラユニットの増設によって仕上げ精度をさらに向上させることができる。
図15は、実施の形態(5)に係るクリーニング装置を構成する要部のレイアウトを模式的に示した断面図である。図16は、実施の形態(5)に係るクリーニング装置の駆動機構を示した左側面図である。図17は、実施の形態(5)に係るクリーニング装置の粘着ローラユニットの一部切欠背面図である。なお、図15については、図を見易いものとするため断面部分のハッチングを省略している。また、図1〜図4に示したクリーニング装置1と同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、ここではその説明を省略する。
実施の形態(1)に係るクリーニング装置1では、粘着ローラユニット30が1本の粘着ローラ31と1本の転写ローラ32とを含んで構成されているが、実施の形態(5)に係るクリーニング装置1Dでは、粘着ローラユニット30Dが、並列に配置された2本の粘着ローラ31B、31Cと、1本の転写ローラ32Bとを含んで構成されている点が大きく相違している。被クリーニング体Sを図中のα方向に搬送しながら、被クリーニング体Sの上面S1のクリーニングを行う場合の各ローラの回転方向及び各歯車の回転方向を図中に矢印で示している。
クリーニングユニット10Dは、クリーニングローラ11と、ブラシローラ12と、金属ローラ13と、ブレード14と、塵埃受け部15A、15Bとを備え、一体構造としてユニット化され、被クリーニング体Sの上面S1に付着している塵埃をクリーニングローラ11に付与された静電気力を利用して取り除くものである。
クリーニングユニット10Dは、実施の形態(1)で示したクリーニングユニット10と同様のクリーニング機能を備えており、クリーニングユニット10と同様に、クリーニングローラ11、ブラシローラ12、及び金属ローラ13にそれぞれ所定の電荷を与える電荷付与機構が装備されている。また、塵埃受け部15A、15Bは、ブラシローラ12や金属ローラ13から掻き落とされた塵埃を受ける上段受け部15aと、クリーニングローラ11の下部近傍位置に設けられ、クリーニングローラ11から落下した塵埃を受ける下段受け部15bとを有する2段構成となっている。
クリーニングユニット10Dの駆動機構は、図1、2、4に示したクリーニングユニット10の駆動機構と略同様に構成されているので、同一機能を有する構成部品に同一符号を付し、ここではその説明を省略する。なお、クリーニングユニット10Dでは、左側面側(側板部16B側)にローラ駆動用歯車21B、ブラシローラ用歯車24、金属ローラ用歯車23Bが配設され、図示しない右側面側の側板部にローラ駆動用歯車21A、アイドル歯車22、金属ローラ用歯車23A(図2参照)が配設されている。
図示しない駆動モータからの駆動力が、左側面側(側板部16B側)の歯車48Bを介してローラ駆動用歯車21Bに伝達されるとともに、図示しない右側面側の歯車(モータ駆動力伝達歯車)を介して、図示しない右側面側のローラ駆動用歯車21A、アイドル歯車22、金属ローラ用歯車23A(図2参照)に伝達されるようになっている。
粘着ローラユニット30Dは、被クリーニング体Sの上面S1に接触させる2本の粘着ローラ31B、31Cと、粘着ローラ31B、31Cの表面にそれぞれ接触させて回転させながら粘着ローラ31B、31C表面の塵埃を粘着力を利用して受け取る転写ローラ32Bとを備え、一体構造としてユニット化されている。
転写ローラ32Bよりも曲率半径の小さな粘着ローラ31B、31Cは、図17に示すように、所定間隔を設けて左右の側板部33B、34Bにそれぞれ回転可能に軸支され、側板部33B、34Bは上部連結板35Aで連結されている。
転写ローラ32Bは、側板部33B、34Bの内側に配設された取付部材37に回転可能に軸支され、粘着ローラ31B、31Cに対して連れ回り回転するように粘着ローラ31B、31Cに接触させた状態で、粘着ローラ31B、31C上に配設されている。また、上部連結板35Aと取付部材37との間には圧縮バネ38が介装されており、圧縮バネ38の弾性力によって転写ローラ32Bが粘着ローラ31B、31Cを適度に押圧するように構成されている。
また、粘着ローラ31B、31Cと転写ローラ32Bとには外径差が設けられ、転写ローラ32Bの外径が粘着ローラ31B、31Cの外径よりも大きくなるように構成されている。転写ローラ32Bと粘着ローラ31B、31Cとを同じ外径にした場合、同一点での接触が続くこととなり、粘着ローラ31B、31Cから転写ローラ32Bへの塵埃の転写が十分に行えない虞がある。そのため、同一点での接触頻度を減らすとともに、転写面積を増やすために、転写ローラ32Bの外径が粘着ローラ31B、31Cの外径よりも大きい構成になっている。
なお、同一点での接触頻度を減らすために、粘着ローラ31B、31Cと転写ローラ32Bとの外径の比が整数比とならないように、外径サイズを設定することが好ましい。また、対象とする被クリーニング体Sの長さ以上の走行で初めて同一点で接触するように設計することが好ましい。例えば、外径が20.2mmの粘着ローラ、外径が39mmの転写ローラを使用した場合、各ローラの円周の最小公倍数の関係から理論上、約12.4mの走行で初めて同一点で接触することとなり、同一点での接触頻度を大幅に減らすことが可能となる。
粘着ローラ31B、31Cの軸間距離は、粘着ローラユニット30Dの幅に基づいて最大限に離すことができる距離(幅)に設定されている。この設定により、転写ローラ32Bの重心位置が粘着ローラ31B、31C側に近づくため、転写ローラ32B及び粘着ローラ31B、31Cの安定した回転が可能となる。
また、転写ローラ32Bの粘着力が、粘着ローラ31B、31Cの粘着力よりも大きくなるように構成されている。例えば、転写ローラ32Bには、ローラタック力評価方法による粘着力が0.8mN/mmの粘着特性を有するもの、粘着ローラ31B、31Cには、ローラタック力評価方法による粘着力が0.04mN/mmの粘着特性を有するものが好適に採用され得る。
上記ローラタック力評価方法による粘着力は、試験装置及び器具として、PICMA TACK TESTER II(東洋精機製)、スライドガラス1202(水縁磨)、(アズワン製)を使用し、試験条件は、下降速度:30cm/min、上昇速度:100cm/minに設定し、相手材はスライドガラス、保持時間は10sec、荷重は500gの条件で測定した結果である。
測定及び評価の手順は、(1)評価対象のローラおよび相手材のスライドガラスをエタノールで洗浄し、表面の異物や油分を除去する。(2)相手材となるスライドガラスをセットした治具をタックテスター本体に取り付ける。(3)ローラ表面が測定の頂点となるようにローラを配置する。(4)タックメーターをゼロ調整する。(5)装置のスタートボタンを押し、測定を開始する。(6)測定値をmNに換算後、スライドガラスの幅の除算し、mN/mmとした。
なお、転写ローラ32B、及び粘着ローラ31B、31Cは、上記した粘着力を有するものに限定されるものではなく、転写ローラ32Bの粘着力が、粘着ローラ31B、31Cの粘着力よりも大きくなるように構成されていればよく、転写ローラ32B及び粘着ローラ31B、31Cの粘着力の大きさや、転写ローラ32Bと粘着ローラ31B、31Cとの粘着力の差は、被クリーニング体Sの材質や厚みなどの特性や付着する塵埃の種類などを考慮して適宜調整することが可能となっている。
また、粘着ローラ31B、31Cには、同じ粘着力のものを使用する必要はなく、塵埃の種類や被クリーニング体Sの種類等に応じて一方を他方よりも強い粘着力のものにするなどの設定が可能である。
次に粘着ローラユニット30Dの駆動機構について説明する。図16、図17に示すように、側板部33Bの外側には、回転軸39A、39Bが軸支され、下側の一方の回転軸39Aに内側歯車36Eと外側歯車36Fとが装着され、上側の他方の回転軸39Bに内側歯車36Gと外側歯車36Hが装着され、粘着ローラ31Cの回転軸に粘着ローラ用歯車36Iが装着されている。
駆動用モータ(図示せず)の回転力が伝達される歯車48Bが一方の回転軸39Aの内側歯車36Eに歯合され、回転軸39Aの外側歯車36Fが他方の回転軸39Bの外側歯車36Hに歯合され、回転軸39Bの内側歯車36Gが粘着ローラ用歯車36Iに歯合されている。この連結形態により、図示しない駆動用モータの駆動力が、歯車48B、内側歯車36E、外側歯車36F、外側歯車36H、内側歯車36G、及び粘着ローラ用歯車36Iを介して粘着ローラ31Cに伝達され、粘着ローラ31Cが回転駆動される。
粘着ローラ31Cの回転に伴って、転写ローラ32Bが連れ回り方向に回転し、この転写ローラ32Bの回転に伴って、粘着ローラ31Bが連れ回り方向に回転するようになっている。また、粘着ローラ31B、31Cの周速がクリーニングローラ11の周速より大きくなるように、前記駆動機構を構成する歯車36E〜36Iのモジュール、歯数、及びギア比等が調整されている。
粘着ローラ31B、31Cとクリーニングローラ11と周速差は、クリーニングローラ11と粘着ローラ31B、31Cとの軸間距離、粘着ローラ31B、31Cの外径、被クリーニング体Sの長さ等を考慮して、クリーニングローラ11と粘着ローラ31B、31Cとの間で生じ得る被クリーニング体Sの最大たわみ(反りも含む)量が、被クリーニング体Sの搬送終了時(被クリーニング体Sの後端部分がクリーニングローラ11を通過する時)に解消できるように調整されている。
また、クリーニングユニット10Dと、粘着ローラユニット30Dとを装着するフレーム体(図示せず)には、2連形式に合わせて、図5に示したものと略同様の2連式のガイド部を備えたフレーム体が採用される。
実施の形態(5)に係るクリーニング装置1Dによれば、実施の形態(1)に係るクリーニング装置1と同様の効果を得ることができる他、粘着ローラユニット30D内に、曲率半径の小さな2本の粘着ローラ31B、31Cが並列配設された構成となっているので、ユニット幅を変更(大きく)することなく、被クリーニング体Sに接触させる粘着ローラの本数を2本に増やすことができ、コンパクトな構造で塵埃を除去する精度を向上させることができる。また、曲率半径が小さい粘着ローラ31B、31Cが採用されているので、被クリーニング体Sがフィルムやシートなどの薄物である場合であっても、このような被クリーニング体Sが、粘着力によって粘着ローラ31B、31Cに巻き取られる現象を防止することができる。
また、粘着ローラ31B、31Cの上に載置された転写ローラ32Bによって、粘着ローラ31B、31Cの水平レベルが精度良く維持されるため、粘着ローラ31B、31Cと被クリーニング体Sとの点接触を防いで、線での接触に優れることとなり、圧力分布を生じさせないようにして粘着ローラ31B、31Cによる塵埃の除去精度を高めることができる。
また、転写ローラ32Bと粘着ローラ31B、31Cとに外径差を設けているので、粘着ローラ31B、31Cと転写ローラ32Bとが同一点で再接触する頻度を少なくすることができ、粘着ローラ31B、31Cの汚染された箇所(塵埃の付着箇所)に対して転写ローラ32Bの汚染されていない箇所が接触する確率を高めることができ、粘着ローラ31B、31Cから転写ローラ32Bへの塵埃の転写性能を向上させることができる。
また、転写ローラ32Bの粘着力が、粘着ローラ31B、31Cの粘着力よりも大きいので、粘着ローラ31B、31Cに付着している塵埃を転写ローラ32Bで確実に捕捉することができ、転写ローラ32Bによる塵埃の転写性能を向上させることができ、粘着ローラ31B、31Cによる塵埃の除去性能を長期間維持することができる。
また、粘着ローラ31B、31Cの周速が、クリーニングローラ11の周速より大きくなるように構成されているので、被クリーニング体Sの先端部分にたわみや反りが生じた場合であっても搬送中に前記たるみ等を除々に解消することができる。また、粘着ローラ31B、31Cの周速が所定の周速以下、すなわち、被クリーニング体Sに過度な張力が加わらない周速以下となっているので、被クリーニング体Sの伸びや裂けといった変形を防止することができ、被クリーニング体Sに損傷を与えることのない良好なクリーニングを行うことができる。
図18は、実施の形態(6)に係るクリーニング装置を構成する要部のレイアウトを模式的に示した断面図である。図19は、実施の形態(6)に係るクリーニング装置を構成する粘着ローラユニットの底面図である。なお、図18については、図を見易いものとするため、断面部分のハッチングを省略し、図15に示したクリーニング装置1Dと同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、その説明を省略することとする。
実施の形態(6)に係るクリーニング装置1Eが、実施の形態(5)に係るクリーニング装置1Dと相違する点は、粘着ローラユニット30Eの構造にある。実施の形態(6)に係るクリーニング装置1Eでは、粘着ローラユニット30Eの粘着ローラ31D、31Eの前後に補助ベルト軸71A、71B、71Cが設けられ、これら補助ベルト軸71A、71B、71Cと粘着ローラ31D、31Eとに、補助ベルト72a、72b、72c、72dが、それぞれ軸方向に所定間隔毎に巻き掛けられている。なお、粘着ローラ31D、31Eには、軸方向に所定間隔を設けて補助ベルト巻き掛け部31d、31eがそれぞれ互い違いに形成されている。
上記実施の形態(6)に係るクリーニング装置1Eによれば、上記実施の形態(5)に係るクリーニング装置1Dと略同様の効果が得られる他、粘着ローラユニット30Eを構成する粘着ローラ31D、31Eと補助ベルト軸71A、71B、71Cとにそれぞれ補助ベルト72a、72b、72c、72dが一定の狭い間隔で互い違いに巻き掛けられているので、被クリーニング体Sが粘着ローラユニット30Eを通過するときに、被クリーニング体Sの反りや粘着ローラ31D、31Eへの巻き込み等を確実に防止することができ、被クリーニング体Sが特に薄物である場合の搬送性を向上させることができる。
図20は、実施の形態(7)に係るクリーニング装置を構成する要部のレイアウトを模式的に示した断面図である。図21は、実施の形態(7)に係るクリーニング装置を構成する粘着ローラユニットの背面図である。図22は、実施の形態(7)に係るクリーニング装置の駆動機構を示した左側面図である。なお、図20については、図を見易いものとするため断面部分のハッチングを省略している。また、図6〜図10、図15に示したクリーニング装置1A、1Dと同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、ここではその説明を省略する。
実施の形態(7)に係るクリーニング装置1Fは、クリーニングユニット10Eと粘着ローラユニット30Fとが上側に配設され、その下側にクリーニングユニット10Fと粘着ローラユニット30Gとが配設されており、これら上下のユニットの間に被クリーニング体Sを通過させることで、被クリーニング体Sの上面S1と下面S2とを同時にクリーニング可能な構成となっている。被クリーニング体Sを図中のα方向に搬送しながら、被クリーニング体Sの上面S1及び下面S2のクリーニングを行う場合の各ローラの回転方向及び各歯車の回転方向を図中に矢印で示している。
上側に配置されるクリーニングユニット10E及び粘着ローラユニット30Fは、後述する駆動機構を除いて、実施の形態(5)に係るクリーニング装置1Dのクリーニングユニット10D及び粘着ローラユニット30Dと略同様な構成となっている。
下側のクリーニングユニット10Fのクリーニングローラ11の右側面側の回転軸には、図7に示したローラ駆動用歯車21C(図示せず)が装着され、一方、上側のクリーニングユニット10Eのクリーニングローラ11の右側面側の回転軸には、図1、2に示したローラ駆動用歯車21A、アイドル歯車22(図示せず)が装着されている。
右側面側では、ローラ駆動用歯車21Cとローラ駆動用歯車21Aとが歯合され、上側のクリーニングユニット10Eのクリーニングローラ11は、下側のクリーニングユニット10Fのクリーニングローラ11の回転に伴って連れ回り方向に回転駆動されるように構成されている。
また、上側のクリーニングユニット10Eの右側面側では、アイドル歯車22が金属ローラ用歯車23A(図示せず)と歯合され、クリーニングローラ11の連れ回りにより金属ローラ13も回転するようになっている。
また、図21に示すように、上側の粘着ローラユニット30Fの側板部34Bに挿着された粘着ローラ31Cの回転軸には、歯車36Kが装着されている。歯車36Kは、下側の粘着ローラユニット30Gの側板部34Cに挿着された粘着ローラ31Cの回転軸に装着された歯車36Jと歯合されている。下側の粘着ローラユニット30Gの粘着ローラ31Cの回転に伴って、上側の粘着ローラユニット30Fの粘着ローラ31Cが連れ回り方向に回転駆動するように構成されている。そして、上側の粘着ローラユニット30Fの粘着ローラ31Cの回転に伴って、転写ローラ32Bが連れ回り方向に回転し、この転写ローラ32Bの回転に伴って、粘着ローラ31Bが連れ回り方向に回転するようになっている。
クリーニングユニット10Eの下側に配置されたクリーニングユニット10Fは、実施の形態(2)に係るクリーニング装置1Aのクリーニングユニット10Aと略同様の構成部品を含んで構成されており、図20に示すように、被クリーニング体Sの下面S2に接触させるクリーニングローラ11と、クリーニングローラ11の前後に近設された搬送ローラ51A、51Bと、クリーニングローラ11に接触してクリーニングローラ11表面の塵埃を除去するブラシローラ12と、ブラシローラ12に接触しながら回転してブラシローラ12から塵埃を受取る金属ローラ13と、金属ローラ13に付着した塵埃を除去するブレード14とを含んで構成されている。
また、図22に示した下側のクリーニングユニット10Fの駆動機構は、図9に示したクリーニングユニット10Aの駆動機構と略同様に構成されており、同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、ここではその説明を省略する。
粘着ローラユニット30Fの下側に配置された粘着ローラユニット30Gは、粘着ローラ31B、31Cを回転させながら、被クリーニング体Sの下面S2に接触させ、被クリーニング体Sの下面S2に付着している塵埃を、粘着ローラ31B、31Cの粘着力を利用して取り除くものである。
粘着ローラユニット30Gは、図20に示すように、被クリーニング体Sの下面S2に接触させる2本の粘着ローラ31B、31Cと、粘着ローラ31B、31Cの表面に接触させて回転させながら、粘着ローラ31B、31C表面の塵埃を粘着力を利用して受け取る転写ローラ32Bとを含んで構成され、一体構造としてユニット化されている。
転写ローラ32Bよりも曲率半径の小さな粘着ローラ31B、31Cは、所定間隔を設けて左右の側板部33C、34Cにそれぞれ回転可能に軸支され、側板部33C、34Cは下部連結板35Bで連結されている。
転写ローラ32Bは、側板部33C、34Cの内側に配設された取付部材37Aに回転可能に軸支され、粘着ローラ31B、31Cに対して連れ回り回転するように粘着ローラ31B、31Cに接触させた状態で配設されている。また、下部連結板35Bと取付部材37Aとの間に介装された圧縮バネ38の弾性力によって転写ローラ32Bが粘着ローラ31B、31Cを適度に押圧し、互いを密着させるようになっている。
また、粘着ローラ31B、31Cと転写ローラ32Bとには外径差が設けられ、転写ローラ32Bの外径が粘着ローラ31B、31Cの外径よりも大きくなるように構成されている。なお、粘着ローラ31B、31Cと転写ローラ32Bとの外径の比は、同一点での接触頻度を減らすため、整数比とならないように外径サイズを設定することが好ましい。例えば、外径が20.2mmの粘着ローラ、外径が39mmの転写ローラを使用することができる。粘着ローラ31B、31Cの軸間距離は、粘着ローラユニット30Dの幅に基づいて最大限に離すことができる距離(幅)に設定されている。
また、転写ローラ32Bの粘着力が、粘着ローラ31B、31Cの粘着力よりも大きくなるように構成されている。例えば、転写ローラ32Bには、ローラタック力評価方法による粘着力が0.8mN/mmの粘着特性を有するもの、粘着ローラ31B、31Cには、ローラタック力評価方法による粘着力が0.04mN/mmの粘着特性を有するものが好適に採用され得る。なお、粘着ローラユニット30F、30Gの粘着ローラ31Bの粘着力と、粘着ローラ31Cの粘着力とは、同じ粘着力である必要はなく、塵埃の種類や被クリーニング体Sの種類等に応じて一方を他方よりも強い粘着力のものにするなどの設定を行うことができる。
次に粘着ローラユニット30Gの駆動機構について説明する。図21、図22に示すように、側板部33Cの外側には、回転軸39C、39Dが軸支され、上側の一方の回転軸39Cには、内側歯車36Eと外側歯車36Fが装着され、下側の他方の回転軸39Dには、内側歯車36Gと外側歯車36Hが装着され、粘着ローラ31Cの回転軸には、粘着ローラ用歯車36Iが装着されている。
駆動用モータ(図示せず)の回転力が伝達される歯車48Cが、一方の回転軸39Cの内側歯車36Eに歯合され、回転軸39Cの外側歯車36Fが、他方の回転軸39Dの外側歯車36Hに歯合され、回転軸39Dの内側歯車36Gが粘着ローラ用歯車36Iに歯合されている。この連結形態により、駆動用モータの駆動力が、歯車48C、内側歯車36E、外側歯車36F、外側歯車36H、内側歯車36G、及び粘着ローラ用歯車36Iを介して粘着ローラ31Cに伝達され、粘着ローラ31Cが回転駆動される。粘着ローラ31Cの回転に伴って、転写ローラ32Bが連れ回り回転し、この転写ローラ32Bの回転に伴って、粘着ローラ31Bが連れ回り回転するようになっている。
また、粘着ローラユニット30Gの粘着ローラ31B、31Cの周速が、クリーニングユニット10Fのクリーニングローラ11の周速より大きく、且つ所定の周速以下となるように、前記駆動機構を構成する歯車36E〜36Iのモジュール、歯数、及びギア比等が調整されている。
このような周速差を設ける理由は、被クリーニング体Sの先端部をクリーニングローラ11から粘着ローラ31Bまで搬送する間に生じるたわみを搬送中に解消するためである。
図23を用いてより具体的に説明する。図23では、説明を容易にするため、外径φ1のクリーニングローラ11と外径φ2(φ1>φ2)の粘着ローラ31Bとが、所定の軸間距離LABを設けて並列に配設され、被クリーニング体Sがクリーニングローラ11から粘着ローラ31Bに搬送される場合について説明する。
搬送対象物である被クリーニング体Sが、フィルムやシート等の剛性が小さい(たわみやすい)薄物である場合、被クリーニング体Sの先端部が、クリーニングローラ11から粘着ローラ31Bを通過する際に、最大で線ACBで示した太線の経路を通る。
搬送方向の長さ(軸間距離)LABに対して、線ACBの経路長はLAC+LCBとなり(LAC=(LAB 2+φ22)1/2 、LCB=π×φ2÷2)、実際の搬送経路の長さと搬送方向の長さとには、最大で(LAC+LCB)−LABの経路差が生じ、該経路差によって被クリーニング体S先端部にたわみが生じる。例えば、φ1=39mm、φ2=20.2mm、LAB=60mmとした場合、線ACBの経路長(LAC+LCB)は95mmとなり、最大で95mm−60mm=35mmの経路差が生じることになる。
この経路差に起因するたわみを被クリーニング体Sの搬送中に解消するために、粘着ローラ31B、31Cとクリーニングローラ11とに所定の周速差が設けられている。設定する周速差は、搬送対象の被クリーニング体Sの長さによって変えることができ、例えば、上記の例で、長さ1000mmの被クリーニング体Sを搬送する場合、粘着ローラ31B、31Cの周速がクリーニングローラ11の周速の1.035倍になるように構成すれば、被クリーニング体Sの後端部がクリーニングローラ11を通過するまでに、前記経路差に起因するたわみを解消することができる。
すなわち、長さXmmの被クリーニング体Sを搬送する場合、粘着ローラ31Bの周速がクリーニングローラ11の周速の[1+{(LAC+LCB)−LAB}/X]倍となるように構成することが好ましい。粘着ローラ31Bの周速の上限値は、クリーニングローラ11の周速の[1+{(LAC+LCB)−LAB}/X]倍よりも大きくてもよいが、搬送中の被クリーニング体Sに過剰な張力がかからない値(被クリーニング体Sに延びや裂け等の変形・破損が生じない値)に設定される。
また、上下1組のクリーニングユニット10E、10Fと、上下1組の粘着ローラユニット30F、30Gとを装着するフレーム体(図示せず)には、上下2連形式に合わせて、図10に示したものと略同様の2連式のガイド部を備えたフレーム体が採用される。
実施の形態(7)に係るクリーニング装置1Fによれば、被クリーニング体Sの上下両表面に存在する塵埃を一度の操作で同時に除去することができ、かつ上記した実施の形態(2)に係るクリーニング装置1A及び実施の形態(5)に係るクリーニング装置1Dで得られる効果と同様の効果を得ることができる極めて効率の高いクリーニング装置を提供することができる。
図24は、実施の形態(8)に係るクリーニング装置を構成する要部のレイアウトを模式的に示した断面図である。なお、図24については、図を見易いものとするため、断面部分のハッチングを省略し、図18、図20に示したクリーニング装置1E、1Fと同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、その説明を省略することとする。
実施の形態(8)に係るクリーニング装置1Gが、実施の形態(7)に係るクリーニング装置1Fと相違する構成は、上下の粘着ローラユニット30H、30Iの構造にある。実施の形態(8)に係るクリーニング装置1Gでは、上下の粘着ローラユニット30H、30Iの粘着ローラ31D、31Eの前後に補助ベルト軸71A、71B、71Cが設けられ、補助ベルト72aが補助ベルト軸71Aと粘着ローラ31Dとに所定間隔毎に巻き掛けられ、補助ベルト72bが、補助ベルト軸71Bと粘着ローラ31Dとに所定間隔毎に巻き掛けられ、補助ベルト72cが、補助ベルト軸71Bと粘着ローラ31Eとに所定間隔毎に巻き掛けられ、補助ベルト72dが、補助ベルト軸71Cと粘着ローラ31Eとに所定間隔毎に巻き掛けられている。
上下のクリーニングユニット10E、10Fと上下の粘着ローラユニット30H、30Iの駆動機構は、図22に示したクリーニング装置1Fの駆動機構と同様に構成されているのでここではその説明を省略する。
上記実施の形態(8)に係るクリーニング装置1Gによれば、上記実施の形態(7)に係るクリーニング装置1Fと略同様の効果が得られる他、上下の粘着ローラユニット30H、30Iを構成する粘着ローラ31D、31Eと補助ベルト軸71A、71B、71Cとにそれぞれ補助ベルト72a、72b、72c、72dが一定の狭い間隔で互い違いに巻き掛けられているので、被クリーニング体Sが粘着ローラユニット30H、30I間を通過するときに、被クリーニング体Sの反りや下側の粘着ローラ31D、31Eへの巻き込み等を確実に防止することができ、被クリーニング体Sが特に薄物である場合の搬送性を向上させることができる。
図25は、実施の形態(9)に係るクリーニング装置を構成する要部のレイアウトを模式的に示した断面図である。なお、図25については、図を見易いものとするため、断面部分のハッチングを省略している。また、図20に示したクリーニング装置1Fと同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、その説明を省略することとする。
被クリーニング体Sを図中のα方向に搬送しながら、被クリーニング体Sの上面S1及び下面S2のクリーニングを行う場合の各ローラの回転方向は図中に矢印で示したとおりとなっている。
実施の形態(9)に係るクリーニング装置1Hが実施の形態(7)に係るクリーニング装置1Fと相違する主な点は、粘着ローラユニット30J、30Kの構成にある。実施の形態(9)に係るクリーニング装置1Hでは、下側の粘着ローラユニット30Kの粘着ローラ31Bの前に搬送ローラ61Aが近設され、粘着ローラ31Cの後に搬送ローラ61Bが近設されている。
下側の粘着ローラ31Bの両端の回転軸には、ピッチ円直径が粘着ローラ31Bの外径と一致する図示しないプーリーが配設され、搬送ローラ61A両端の回転軸には、ピッチ円直径が搬送ローラ61Aの外径と一致する図示しないプーリーが配設され、搬送ローラ61B両端の回転軸にも、ピッチ円直径が搬送ローラ61Bの外径と一致する図示しないプーリーが配設されている。そして、下側の粘着ローラ31B及び搬送ローラ61A、61Bの一端側のプーリーには丸ベルト65Aが巻き掛けられ、他端側のプーリーにも同様に図示しない丸ベルトが巻き掛けられている。この構成によって、搬送ローラ61A、61Bが粘着ローラ31Bの回転駆動に追従して回転駆動される。すなわち、搬送ローラ61A、61Bが粘着ローラ31Bと同じ周速度で、同一方向に回転駆動されるようになっている。
また、上側の粘着ローラユニット30Jの粘着ローラ31B、31Cは、下側の粘着ローラ31B、31Cに接して(又は被クリーニング体Sを挟んだ状態で)連れ回り回転し、上側の転写ローラ32Bは、上側の粘着ローラ31B、31Cに接して連れ回り回転するようになっている。
なお、粘着ローラユニット30J、30Kの粘着ローラ31B、31Cの粘着力は、同じ粘着力でなくてもよく、塵埃の種類や被クリーニング体Sの種類等に応じて一方を他方よりも強い粘着力のものにするなどの設定を行うことができる。
上下1組のクリーニングユニット10E、10Fの駆動機構は、図22に示した上下1組のクリーニングユニット10E、10Fの駆動機構と略同様に構成されている。また、上下1組の粘着ローラユニット30J、30Kの駆動機構には、図22に示した上下1組の粘着ローラユニット30F、30Gの駆動機構と略同様の形態のものが採用され得るが、この形態に限定されるものではなく、例えば、次のような機構も採用され得る。
すなわち、下側の粘着ローラユニット30Kを構成する粘着ローラ31Bの回転軸の両端に、図示しないローラ駆動用歯車が装着され、該ローラ駆動用歯車は、図22に示した歯車48Cに相当する歯車(駆動源からの動力伝達用歯車)に歯合され、当該歯車の駆動により、下側のクリーニングローラ11と下側の粘着ローラ31Bとが同一の動力源からの動力を得て駆動する構成にすることができる。そして、下側の転写ローラ32Bは、下側の粘着ローラ31Bに接して連れ回り回転し、下側の粘着ローラ31Cは、下側の転写ローラ32Bに接して連れ回り回転する構成にすることができる。
また、上下1組のクリーニングユニット10E、10Fと、上下1組の粘着ローラユニット30J、30Kとを装着するフレーム体(図示せず)には、上下2連形式に合わせて、図10に示したものと略同様の2連式のガイド部を備えたフレーム体が採用される。
実施の形態(9)に係るクリーニング装置1Hによれば、上記実施の形態(7)に係るクリーニング装置1Fと略同様の効果を得ることができ、さらに、粘着ローラ31B、31Cの前後に搬送ローラ61A、61Bが配設されているので、搬送ローラ61Aと粘着ローラ31Bとのローラ間ピッチ、粘着ローラ31B、31Cのローラ間ピッチ、及び粘着ローラ31Cと搬送ローラ62Bとのローラ間ピッチを狭くすることができる。そのため、被クリーニング体Sが薄物のフィルムやシートであったとしても、このような被クリーニング体Sがこれらローラの間に落ち込んで、被クリーニング体Sに皺などの破損が生じたりすることを防止することができ、被クリーニング体Sの搬送性を向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。