JP6376766B2 - 酸化染毛剤組成物及び染毛方法 - Google Patents

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本発明は、毛髪を染毛するための酸化染毛剤組成物及びそれを用いた染毛方法に関する。更に詳しくは、本発明は、アスコルビン酸類を含有し、地肌汚れの少ない酸化染毛剤組成物及びそれを用いた染毛方法に関するものである。
従来より、毛髪を染毛するための染毛剤として、酸化染料を含む酸化染毛剤が知られている。酸化染毛剤は、一度染まると色持ちが数ヶ月間にわたって長期的に持続することができるため、永久染毛剤として広く利用されている。
酸化染毛剤は、酸化染料とアルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤で構成されており、その使用方法は、第1剤と第2剤を使用直前に混合して毛髪に塗布するものである。染毛のメカニズムは、アルカリ条件下により毛髪を膨潤させ、毛小皮を開いて種々の酸化染料を毛皮質(コルテックス)内部に浸透させる。そして、コルテックス内部で酸化剤により酸化染料を酸化重合して発色させるというものである。
酸化染毛剤は、頭皮や皮膚等の地肌に染着しやすいという問題があり、アスコルビン酸類を0.5〜10質量%配合させることにより地肌への染着を防止できることが知られている。(特許文献1)。また、アスコルビン酸類を0.5質量%以上配合すると保存時に組成物の色が変色するという問題があり、これを解決すべく、さらにシステイン類等を配合する酸化染毛剤組成物も知られている(特許文献2)。なお、本願明細書において、これらの酸化染毛剤のように、アスコルビン酸類を多量に(0.5質量%以上)配合したものを「アスコルビン酸染毛剤」という。
特許文献2には、酸化染毛剤中におけるアスコルビン酸類の作用として、酸化剤染毛剤組成物のpHをコントロールすることが記載されており、具体的には、第1剤と第2剤の混合調製時のpHは9〜11であり、毛髪に塗布された後、徐々にpHが低下し、30分後にはpH4〜6に低下することが開示されている。
一方、酸化染毛剤による毛髪の染毛処理方法では、ブリーチ剤や酸化染毛剤を用いて脱色処理又は染毛処理を行った部分(既染毛)に再度酸化染毛剤処理を行うと、毛髪に過剰なダメージが与えられることが知られている。そして、過剰なダメージを与えられた毛髪は、コルテックス内部に酸化染料が浸透しやすくなり、既染毛が過剰に染毛されるという現象、いわゆる過剰染毛が生じていた。この現象により、先の染毛処理後に新たに生えた毛髪(新生毛)より、既染毛の方が過剰に染まってしまい、新生毛と既染毛との間で色調に差異が生じるという問題があった。
既染毛に対して過剰なダメージを与えないように、新生毛と既染毛に異なる酸化染毛剤組成物を塗布する染毛方法が知られている(特許文献3)。特許文献3は、染料の退色により新生毛と既染毛で明度に差異が生じないよう、毛髪中のメラニンの残存量を同程度に調整するという技術思想に基づくものである。この技術を応用すれば、前記過剰染毛の課題を解決することも可能であるが、この染毛方法では、新生毛と既染毛の境目を見極め、それぞれを塗り分ける必要があり、技術的に容易なものではなかった。
特開2002−29946号公報 特開2005−41820号公報 特開2002−241248号公報
前述したアスコルビン酸染毛剤は、地肌への染着は抑制するものの、過剰染毛が生じていた。そのため、既染毛部と新生毛部を一度に染毛すると、既染毛部と新生毛部で色調が異なるという課題があった。
そこで、過剰染毛が生じないように染毛力を抑制しようとすれば、新生毛に対して十分な染毛効果が得られないという課題を生じていた。
すなわち本発明は、アスコルビン酸染毛剤の地肌への染着を抑制するという効果を保ちながら、新生毛に対する染毛力を維持しつつ既染毛の過剰染毛を抑制することを技術的課題とし、既染毛部と新生毛部を一度に染毛しても色調に差異が生じにくい酸化染毛剤を提供するものである。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、アスコルビン酸染毛剤にヒドロキシ酸を添加し、さらに第1剤と第2剤の混合物調製後のpHを6〜9とすることにより、地肌への染着を防止し、かつ、毛髪に対する染毛力を高く維持したまま既染毛の過剰染毛を抑制するという効果を見いだし、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の酸化染毛剤組成物及び染毛方法を提供するものである。
(本願第1発明)
上記課題を解決するための本願第1発明は、酸化染料及びアルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を混合して用いる酸化染毛剤組成物であって、混合物中に、
(A)アスコルビン酸類を0.1〜10質量%
(B)ヒドロキシ酸を0.01〜2.5質量%
を含有し、混合後のpHを6〜9とすることを特徴とする酸化染毛剤組成物である。
(本願第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明は、前記(A)アスコルビン酸類を0.2〜10質量%含有することを特徴とする本願第1発明に記載の酸化染毛剤組成物である。
(本願第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明は、前記混合後のpHを7〜9とすることを特徴とする本願第1又2発明に記載の酸化染毛剤組成物である。
(本願第4発明)
上記課題を解決するための本願第4発明は、前記混合後のpHと、染毛処理30分後のpHの低下値が、0.5〜2.5であることを特徴とする本願第1〜3発明のいずれかに記載の酸化染毛剤組成物である。
(本願第5発明)
上記課題を解決するための本願第5発明は、前記(B)ヒドロキシ酸を0.2〜2.5質量%含有することを特徴とする本願第1〜4発明のいずれかに記載の酸化染毛剤組成物である。
(本願第6発明)
上記課題を解決するための本願第6発明は、前記(B)ヒドロキシ酸は、α−ヒドロキシ酸であることを特徴とする本願第1〜5発明のいずれかに記載の酸化染毛剤組成物である。
(本願第7発明)
上記課題を解決するための本願第7発明は、毛髪を1種の酸化染毛剤組成物により染毛する方法において、本願第1〜6発明のいずれかに記載の酸化染毛剤組成物を用いることを特徴とする染毛方法である。
(本願第8発明)
上記課題を解決するための本願第8発明は、前記酸化染毛剤組成物を塗布後、pHが0.5〜2.5低下する放置時間を染毛処理時間とすることを特徴とする本願第7発明に記載の染毛方法である。
前記第1、2発明によれば、頭皮や皮膚等の地肌への染着が防止され、かつ、新生毛に対する染毛力を高く維持したまま既染毛の過剰染毛を抑制することができる酸化染毛剤組成物を提供することができる。
前記第3〜6発明によれば、前記第1、2発明の効果を一層顕著なものとする酸化染毛剤組成物を提供することができる。
前記第7、8発明によれば、新生毛と既染毛を有する毛髪を1種の酸化染毛剤組成物で処理しても、新生毛と既染毛の色調に差異がなく、均一な染毛が可能となる。
また、新生毛と既染毛で異なる酸化染毛剤組成物を塗り分ける必要がないため、技術的に容易な染毛方法を提供することができる。
以下、本発明の酸化染毛剤組成物について詳細に説明する。なお、本願明細書において、成分の含有量を規定する数値は、特に断りがない限り、第1剤と第2剤の混合物である酸化染毛剤組成物中の含有量である。
〔酸化染毛剤組成物〕
本実施形態の酸化染毛剤組成物は、酸化染料及びアルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を混合して用いる酸化染毛剤組成物であって、(A)アスコルビン酸類を0.1〜10質量%、(B)ヒドロキシ酸を0.01〜2.5質量%を含有し、混合後のpHを6〜9とすることを特徴とする。
〔アスコルビン酸類〕
(A)アスコルビン酸類は、混合物調製時に酸化剤による酸化染料の酸化重合反応を促進させるとともに、地肌汚れを抑制するために配合される。
また、アスコルビン酸類は、混合物のpHをコントロールする。第1剤と第2剤を混合した酸化染毛剤組成物は、アスコルビン酸類の働きにより染毛処理時間の経過とともにpHが徐々に低下する。アスコルビン酸類の配合量を多いと、酸化染毛剤組成物のpHの低下値は大きくなり、アスコルビン酸類の配合量が少ないと、pHの低下値が小さくなる。よって、アスコルビン酸類の配合量を調節することにより、染毛処理後のpHを調整することができる。
本発明で用いられるアスコルビン酸類としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、これらの塩又はエステルなどが挙げられる。具体例としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸アンモニウム、アスコルビン酸モノエタノールアミン、アスコルビン酸ジエタノールアミン、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、ラウリン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル、プロピオン酸アスコルビル、酒石酸アスコルビル、クエン酸アスコルビル、コハク酸アスコルビル、安息香酸アスコルビル、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウム、アスコルビルエチル、アスコルビン酸アラントイン、アスコルビン酸キトサン、アスコルビン酸メチルシラノール、テトラデシルヘキシルアスコルビル、アミノプロピルアスコルビルフォスフェート、アスコルビン酸ポリペプタイド、アスコルビルグルコシド、アスコルビルメチルシラノールペクチネート等が挙げられる。
これらの中でも、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸アンモニウム、アスコルビン酸モノエタノールアミン、アスコルビン酸ジエタノールアミン、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコルビル、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウム、アスコルビルエチル、アスコルビン酸アラントイン、アスコルビン酸キトサン、アスコルビン酸メチルシラノール、テトラデシルヘキシルアスコルビル、アミノプロピルアスコルビルフォスフェート、アスコルビン酸ポリペプタイド、アスコルビルグルコシド、アスコルビルメチルシラノールペクチネートが好ましい。更に好ましくは、アスコルビン酸である。
本発明ではこれらの中から1種又は2種以上を用いることができる。その配合量は0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.3〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜2.5質量%である。0.1質量%未満では十分な地肌汚れ防止効果が得られず、10質量%を超えると染毛力が低下して、染毛されにくくなるため好ましくない。
また、(A)アスコルビン酸類は、安全性の観点から第1剤に配合することが好ましい。
〔ヒドロキシ酸〕
(B)ヒドロキシ酸は、(A)アスコルビン酸類と共に作用し、アスコルビン酸染毛剤の既染部の過剰染毛を抑制するために配合される。また、本発明において、(B)ヒドロキシ酸は、アスコルビン酸類による地肌汚れを防止するという効果と、染毛力を向上させる効果を補うという作用が認められ、(B)ヒドロキシ酸を配合すれば、アスコルビン酸類の配合量を0.1質量%まで低下してもアスコルビン酸染毛剤と同様に地肌の染着を防止し、さらに染毛力を向上させることができる。
本発明で用いられるヒドロキシ酸としては、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、乳酸、リンゴ酸、グリコール酸、タルトロン酸、グリセリン酸、2−ヒドロキシ酪酸、シトラマル酸、ロイシン酸、パントイン酸、キナ酸等のα−ヒドロキシ酸、3−ヒドロキシ酪酸、メバロン酸、シキミ酸等のβ−ヒドロキシ酸、4−ヒドロキシ酪酸等のγ−ヒドロキシ酸等の脂肪族ヒドロキシ酸、サリチル酸等の芳香族ヒドロキシ酸が挙げられる。
これらの中でも、安定性の観点から、α−ヒドロキシ酸が好ましい。さらに好ましくは、酒石酸、クエン酸、乳酸である。
本発明ではこれらの中から1種又は2種以上を用いることができる。その配合量は0.01〜2.5質量%、好ましくは0.2〜2.0質量%、さらに好ましくは0.4〜1.5質量%である。0.01質量%未満では十分な染毛力及び既染部過剰染毛抑制効果を得られない。一方、2.5質量%を超える範囲においても染毛力及び既染部過剰染毛抑制効果を得ることができるが、多く配合するとpHが低くなるため、好適な範囲としては2.5質量%までである。
〔酸化染毛剤組成物のpH〕
本発明の酸化染毛剤組成物は、第1剤及び第2剤を混合した直後においてpH6〜9である。この範囲とすることにより、(A)アスコルビン酸及び(B)ヒドロキシ酸は、地肌汚れ防止、染毛力、既染部過剰染毛抑制の効果を発揮することができる。さらに好ましい範囲は、pH7〜8.5である。pHを7以上とすると、特に既染部過剰染毛抑制効果をより一層高めることができる。
なお、混合直後のpHは、酸及びアルカリ剤の配合量により調整する。例えば、(A)アスコルビン酸類、(B)ヒドロキシ酸、又は、その他の酸等のpH調整剤の配合量を増加することにより混合直後のpHは低下し、アルカリ剤の配合量を増やすと混合直後のpHは増大する。
また、本発明の酸化染毛剤組成物のpHは、染毛処理後、(A)アスコルビン酸の働きにより徐々に低下し、染毛処理30分後に0.5〜2.5の範囲で低下することが好ましい。さらに好ましくは、0.8〜2.0である。pHの低下値が0.5〜2.5の場合、地肌汚れ防止、染毛力、既染部過剰染毛抑制のいずれにおいても優れた効果が認められる。
染毛処理30分後のpHについては、4〜8であることが好ましく、さらに好ましくは、6〜8である。染毛処理30分後のpHが6〜8の場合、特に染毛力において優れた効果が認められる。
なお、染毛処理後のpH及び低下値は、混合後のpHの設定と、(A)アスコルビン酸類の配合量により調整することができる。(A)アスコルビン酸類の配合量を増加することにより、pHの低下量を増大させることができ、アスコルビン酸類の配合量を低下することにより、pHの低下量を減少させることができる。
〔酸化染毛剤組成物のpH測定方法〕
ここで、酸化染毛剤組成物のpH測定方法を示す。本発明の酸化染毛剤組成物のpHは時間とともに変化しているため、pH測定器は、検出器を測定サンプルに浸漬したままリアルタイムで測定することができるものを使用する。例えば、株式会社 堀場エステック社製「ガラス電極式水素イオン濃度指示計(型承:SS056号、型式:F−52)」を用いて測定する。
(混合直後のpH)本発明の「混合直後のpH」とは、第1剤と第2剤の混合開始より、2分間後のpHとする。具体的には、第1剤と第2剤を素早く混合し、当該混合物を計量器に移し、検出器を浸漬して、混合開始から2分間後のpHを測定する。混合操作は、第1剤と第2剤の剤型に応じて適宜選択することができ、例えば、液体の第1剤と第2剤の場合には、マグネティックスターラを用いて混合し、クリーム状の剤型の場合には、ハケ等を用いて混合する。
(染毛処理後のpH)本発明の「染毛処理後のpH」とは、前記混合物を毛束サンプルに塗布して、所定の放置時間を経過後のpHである。具体的には、前述した「混合直後のpH」を測定後、直ちに塗布操作の準備を行い、「混合直後のpH」測定1分後に塗布操作を開始する(時点A)。塗布操作は、ハケを用いて行い、酸化染毛剤組成物20gを皿状で毛束サンプル1gに塗布する。なお、この塗布操作は、時点Aより2分間以内に終了する。毛束サンプルから混合物をハケで計量器に移し、pH検出器を浸漬させて測定する(時点B)。このpHを「染毛処理後のpH」とする。ここで、放置時間とは、塗布を開始した時点(時点A)を開始時間とし、「染毛処理後のpH」を測定した時点(時点B)までを放置時間とする。なお、前記毛束サンプルから混合物をハケで計量器に移す操作は、時点Bの3分前より開始し、時点BまでにpH測定の準備を行うものとする。
例えば、本発明の「染毛処理30分後のpH」とは、前記放置時間が30分の場合のpHを示す。
〔酸化染料〕
本発明の第1剤に配合される酸化染料は、通常、主要中間体とカプラーとに分けられる。主要中間体としては、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、ジアミノピリジン類等およびそれらの塩類の1種又は2種以上が挙げられる。塩類としては塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。これらの中でもp−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、p−アミノフェノール、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、N−(β−ヒドロキシエチル)−N−エチル−p−フェニレンジアミン、2−(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン及びそれらの塩類が、効果の点から好ましい。さらには0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%以上配合することにより、より優れた染毛効果が得られる。
また、カプラーとしては、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、m−アミノフェノール、m−フェニレンジアミン、o−アミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノ−o−クレゾール、ジフェニルアミン、p−メチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール等およびそれらの塩を配合することができる。この配合量の好適な範囲としては10質量%以下である。また、本発明ではカプラーを配合しない場合でも優れた染毛力を得ることができるため、経済性に優れる。
〔アルカリ剤〕
アルカリ剤は、第1剤中に配合されており、第2剤と混合されると、第2剤中に含有される酸化剤の作用を促進して毛髪に明度を付与するとともに、酸化染毛剤組成物のpHを調製する。
アルカリ剤の具体例としては、アンモニア、アルカノールアミン、アンモニウム塩、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。アンモニウム塩の具体例としては、ハロゲン化アンモニウム、無機系アンモニウム塩、有機系アンモニウム塩等が挙げられる。ハロゲン化アンモニウムとしては塩化アンモニウム等、無機系アンモニウム塩としては炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等、有機系アンモニウム塩としては乳酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、グリコール酸アンモニウム等が挙げられる。
これらのアルカリ剤は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらのアルカリ剤の中でも均染性に優れる点から、第1剤中には少なくともアンモニアを含有させることが好ましい。
第1剤中におけるアルカリ剤の配合量は、酸化染毛剤組成物のpHを調整するために適切に設定される。好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%である。
〔酸化剤〕
第2剤には酸化剤が含有される。酸化剤は、酸化染料を酸化重合させて発色させるとともに、毛髪に含まれるメラニンを脱色させるために配合される。酸化剤の具体例としては、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物等が挙げられる。これらの酸化剤は単独で配合してもよく、二種以上を組み合わせて配合してもよい。これらの酸化剤の中でも、酸化染料を酸化重合させて発色させるのに優れることから、好ましくは過酸化水素である。
第2剤中における酸化剤の含有量は、0.1〜20質量%、好ましくは0.3〜10質量%である。
〔その他成分〕
本発明の酸化染毛剤組成物は、その他の成分として、水、pH調整剤((A)アスコルビン酸類、(B)ヒドロキシ酸を除く)、界面活性剤、油性成分、キレート剤等を適宜に選択して含有させることができる。
〔pH調整剤〕
pH調整剤としては、例えば、リン酸、酢酸、塩酸、硫酸、硝酸、コハク酸、レブリン酸が挙げられる。
pH調整剤は、第1剤に含まれるアルカリ剤と共に酸化染毛剤組成物のpHを調整するために配合される。
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPという)アルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。POEアルキルエーテル類の具体例としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン等が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N'−カルボキシエチル−N'−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N'−カルボキシエトキシエチル−N'−カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、パーム油脂肪酸アシル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタインなどが挙げられる。
界面活性剤は必要に応じて第1剤及び第2剤に配合される。その配合量は、特に限定されるものではないが、第1剤及び第2剤それぞれに対して0.01〜20質量%の範囲で配合される。
〔油性成分〕
油性成分としては、例えば高級アルコール、油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーン、多価アルコールが挙げられる。
高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。
ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸が挙げられる。
アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
シリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10,000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
油性成分は、毛髪の状態をしなやかにする目的で配合される。また、第1剤及び第2剤を所望の剤型とするために配合される。例えば、クリーム状の剤型とする場合、第1剤及び第2剤中に配合する油性成分の配合量は、3〜50質量%の範囲とすることが好ましい。
〔キレート剤〕
キレート剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩類が挙げられる。
本発明の酸化染毛剤組成物には、その他にも、酸化防止剤((A)アスコルビン酸類を除く)として、例えば無水亜硫酸ナトリウム等、防腐剤として、例えばフェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム等、直接染料として、例えば塩基性染料、ニトロ染料、天然染料、分散染料等、有機溶剤として、例えばエタノール等、糖類として、例えばソルビトール、マルトース等、水溶性高分子として、例えばノニオン性高分子、アニオン性高分子、カチオン性高分子、両性高分子等、安定剤として、例えばフェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸等、無機塩として、例えば塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム等、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を含有させてもよい。これらの成分は、必要に応じて第1剤及び第2剤に配合される。
〔剤型〕
酸化染毛剤組成物における第1剤及び第2剤の剤型としては、特に限定しないが、例えば水溶液状、分散液状、乳化液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。
〔酸化染毛剤組成物の使用方法〕
本発明の酸化染毛剤組成物の使用方法は、従来の酸化染毛剤組成物と同様、第1剤と第2剤を混合後すみやかに毛髪に塗布し、その後所定の時間を放置して、毛髪を染毛する方法である。
第1剤と第2剤の混合方法は、剤型に応じて適切な混合方法を選択することができる。クリーム状であれば、皿上でハケ等の混合器を用いて混合してもよい。また、第1剤及び第2剤をそれぞれコーム(櫛)の上に供給し、そのまま毛髪に適用後、コームを使用して毛髪上で混合してもよい。
水溶液状、乳化液状であれば、第1剤及び第2剤を容器内に投入し、軽く振とうさせて混合してもよい。ノンエアゾールフォーマー容器に投入して、混合後、フォーム状としてもよい。
毛髪には、ブリーチ剤や酸化染毛剤等を用いた脱色処理又は染毛処理により処理されていない「新生毛」、脱色処理又は染毛処理により処理された「既染毛」があり、さらに「既染毛」は、脱色処理又は染毛処理による処理回数により、処理回数の少ない「低ダメージ毛」と処理回数の多い「高ダメージ毛」とに分けられる。
本発明の酸化染毛剤組成物は、「新生毛」と「既染毛」を有する毛髪、「低ダメージ毛」と「高ダメージ毛」を有する毛髪など、ダメージの程度の異なる複数の毛髪を有するものに好適に使用される。また、本発明の酸化染毛剤組成物は、頭皮等への染着も少なく、染色力も高いことから、「新生毛」のみからなる毛髪、「低ダメージ毛」のみからなる毛髪など、ダメージの程度が同じ毛髪に使用してもよい。
〔染毛方法〕
本発明の染毛方法は、本発明の酸化染毛剤組成物を用いて、毛髪を1種の酸化染毛剤組成物により染毛する方法である。
また、本発明の酸化染毛剤を塗布後、pHが0.5〜2.5低下する放置時間を染毛処理時間とすることを特徴とする染毛方法である。
本発明の染毛方法により、頭皮や皮膚等の地肌への染着が防止され、かつ、新生毛に対する染毛力を高く維持したまま既染毛の過剰染毛を抑制することができる。
また、新生毛と既染毛を備えた毛髪を1種の酸化染毛剤組成物で処理しても、新生毛と既染毛の色調に差異がなく、均一な染毛が可能となる。さらには、新生毛と既染毛で異なる酸化染毛剤組成物を塗り分ける必要がないため、技術的に容易な染毛方法を提供することができる。
また、塗布後のpHを4〜8となるまで放置することが好ましく、さらに好ましくは、pH6〜8となるまで放置する染毛方法である。塗布後のpHが6〜8の場合、地肌汚れ防止、染毛力、既染部過剰染毛抑制のいずれにおいても優れた効果が認められる。
ここで、塗布後のpHとは、頭髪に塗布した酸化染毛剤組成物を実測するのではなく、前述した「染毛処理後のpH」の測定方法に基づいて算出される。すなわち、所定の配合の酸化染毛剤組成物について、毛束サンプルを用いてあらかじめ放置時間と「染毛処理後のpH」の関係を求め、この関係より所望のpHとなる放置時間を算出する。そして、実際の頭髪に染毛処理を施す際には、この算出された放置時間で処理することにより「染毛処理後のpH」が所望のpHまで低下したものとみなす。
なお、染毛方法における放置時間の開始点は、塗布を開始した時点であり、終点は、水及び洗浄剤で洗い流す直前となる。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
各例では、表1に示される各成分を混合することにより第1剤及び第2剤を調製した。次に、第1剤と第2剤を1:3の割合で混合し、クリーム状の酸化染毛剤組成物を調製した。なお、表1及び以降の表において各成分の配合量を示す数値の単位は質量%である。
各例について、「地肌汚れ」、「染毛力」及び「既染部過剰染毛」について評価し、その結果を表1に示した。各評価項目についての評価方法は、以下のとおりである。
<地肌汚れの評価方法>
第1剤と第2剤を1:3の割合で混合し、混合物を腕の内側に直径1cmの円状範囲に塗り、30分間放置後、温水で洗い流した。さらに「プロマスターカラーケアLX スタイリッシュライン」(ホーユー株式会社製)のシャンプーを使用して1分間指で軽くこすり、温水で洗い流した後、皮膚への染着の度合いを目視にて評価した。
○:皮膚に色残りがない又はわずかに染着したものの目立つことなく良好
△:皮膚に染着し、色残りがやや目立つ
×:皮膚に染着し、色残りが目立ち不良
<ダメージ毛髪サンプルの調製>
白毛束サンプル(同一人毛、毛径60〜100μm)に対して、「レセ パウダーブリーチ EX」(ホーユー株式会社製、ブリーチ剤)を用いて30℃で60分間脱色処理した後、「プロマスターカラーケアLX スタイリッシュライン」(ホーユー株式会社製)を用いて2度シャンプーを行い、トリートメントを塗布した後、水洗いし、ドライヤーで乾燥した。そして、処理した白毛束のうち、明度、手触り及び指通りの感触が同等の脱色処理毛髪を選択し、ダメージ毛髪サンプルとした。
<染毛力及び既染部過剰染毛性の評価方法>
白毛束サンプル(同一人毛、毛径60〜100μm)1gとダメージ毛髪サンプル1gの各サンプルに、第1剤と第2剤を1:3の割合で混合した混合物を6gずつ同時に塗布した。30分間放置後、水洗し、毛髪洗浄剤(「プロマスターカラーケアLX スタイリッシュライン」(ホーユー株式会社製))で洗浄した後、再度水洗し、ドライヤーにて乾燥し、染毛力及び既染部過剰染毛性について評価した。
<染毛力>
上記染毛処理した白毛束サンプルについて目視観察を行い、それらの染毛力について以下の基準で評価した。ここで、染毛力とは、染毛処理前後における白毛束サンプルの明度の低下(黒くなる)の度合いを示したものであり、染毛力が強いほど、染毛前と染毛後の白毛束サンプルに明度の低下の度合いが大きいことを示す。
○:染毛力が強い
△:染毛力がやや強い
×:染毛力が弱い
<既染部過剰染毛>
上記染毛処理した白毛束サンプル(新生毛の毛束)及びダメージ毛髪サンプル(既染毛の毛束)について目視観察を行い、各サンプル間における明度の程度を以下の基準で評価した。
○:全く差がない
△:やや明度に差が認められる
×:明度の差が大きい
Figure 0006376766
実施例1〜3、比較例1について評価結果を考察すると、(A)アスコルビン酸のみを配合した場合(比較例1)には、「染毛力」及び「既染部過剰染毛抑制」効果が認められないのに対して、(B)酒石酸を配合すると(実施例3)、「染毛力」及び「既染部過剰染毛抑制」効果が発揮されることがわかる。
また、従来技術でも理解されるように、(B)酒石酸を含まず、(A)アスコルビン酸の配合量が0.5質量%より低い場合には(比較例2)、pHの低下効果が認められず、さらに地肌への染着を抑制することができない。
さらに(B)酒石酸の働きについて確認するに、(A)アスコルビン酸を含まない比較例3では、pHの低下効果がやや認められるものの、アスコルビン酸の有する「地肌汚れ」に対する防止効果や、本願発明における「染毛力」、「既染部過剰染毛抑制」効果は認められなかった。よって、本願発明の効果は(A)アスコルビン酸と(B)酒石酸の相乗効果により発揮されるものであるといえる。
実施例1、2では、実施例3に対して(A)アスコルビン酸の配合量を低下させることにより、pH低下値が減少していくことが認められる。また、実施例1、2では、混合後のpHを7〜8.5に維持するため、(B)酒石酸の配合量を増やした。その結果、酒石酸を0.2質量%以上配合すると、「地肌汚れ」防止効果を維持しつつ、「染毛力」及び「既染部過剰染毛抑制」に対してより顕著な効果が認められた。
(実施例1、4〜6、比較例4)
実施例1〜3と同様に、表2に示される各成分を混合して酸化染毛剤組成物を調製し、「地肌汚れ」、「染毛力」及び「既染部過剰染毛」を評価した。
Figure 0006376766
実施例4〜6、比較例4では、酒石酸以外の酸について検討した。その結果、クエン酸、乳酸、サリチル酸をそれぞれ配合した実施例4〜6では、酒石酸と同等の効果を奏するのに対して、リン酸を配合した比較例4では、(A)アスコルビン酸のpH低下作用が阻害され、さらに「地肌汚れ」防止効果も認められなかった。よって、本願発明の効果は、(B)ヒドロキシ酸においてのみ、その効果が発揮されるといえる。
(実施例4、比較例5〜6)
実施例1〜3と同様に、表3に示される各成分を混合して酸化染毛剤組成物を調製し、「地肌汚れ」、「染毛力」及び「既染部過剰染毛」を評価した。
Figure 0006376766
さらに比較例5、6では、(B)ヒドロキシ酸の塩について、本願発明の効果が発揮されるかどうかを検討した。その結果、クエン酸三ナトリウムでは、「地肌汚れ防止」効果は維持されるものの、「染毛力」及び「既染部過剰染毛抑制」効果のいずれにも優れるという結果を得ることができなかった。よって、本願発明の効果は、(B)ヒドロキシ酸の塩では認められなかった。
(実施例4〜9、比較例7〜8)
実施例1〜3と同様に、表4に示される各成分を混合して酸化染毛剤組成物を調製し、「地肌汚れ」、「染毛力」及び「既染部過剰染毛」を評価した。
Figure 0006376766
実施例4、5、7〜9、比較例7、8では、(A)アスコルビン酸と(B)ヒドロキシ酸を配合した処方において、(A)アスコルビン酸の配合量及び酸化染毛剤組成物のpHの影響について検討した。その結果、混合後のpHが4.8である比較例7では、「染毛力」及び「既染部過剰染毛抑制」効果に優れるという結果を得ることができなかったが、混合後のpHが6.2、6.7である実施例7、8では、これらの効果についていずれも優れるという結果を得ることができた。よって、本願発明の効果は、混合後のpHが6以上において発揮されることがわかる。
実施例9では、(A)アスコルビン酸の配合量を0.125質量%まで低下しているが、(B)ヒドロキシ酸を配合することにより、アスコルビン酸の「地肌汚れ」防止効果を維持しつつ、さらに「染毛力」及び「既染部過剰染毛抑制」において優れた効果が認められる。
一方、(A)アスコルビン酸の配合量を0.125質量%とし、pHを9.2とした場合(比較例8)では、「地肌汚れ」防止効果及び「染毛力」において、良い結果が得られなかった。
よって、本願発明の効果は、(A)アスコルビン酸の配合量0.1質量%以上であってpH9以下の場合に認められるといえる。
また、「地肌汚れ」、「染毛力」、「既染部過剰染毛抑制」のいずれの評価項目においても極めて優れた結果が得られた実施例1、4〜6、10について、pHの変化について詳細に検討すると、混合後のpHは、染毛処理30分後には0.5〜2.5の範囲で低下していた。よって、第1剤及び第2剤を混合後、染毛処理30分後までにpHの低下値が0.5〜2.5である酸化染毛剤組成物については、本発明の効果が一層顕著に表れるといえる。
なお、実施例1、4〜6、10において、本発明の効果は極めて優れるものの、本発明は、染毛処理30分後のpHの低下値が0.5〜2.5である酸化染毛剤組成物に限定されない。すなわち、染毛処理30分後のpHの低下値がこの範囲に含まれなくても、染毛方法において、pHの低下値を当該範囲となるように処理時間を調整してもよい。例えば、pHの低下速度が速い場合には、染毛処理時間を短縮して染毛処理後のpHの低下値が0.5〜2.5となるように染毛処理を終了すればよい。
(実施例1、10)
実施例1〜3と同様に、表5に示される各成分を混合して酸化染毛剤組成物を調製し、「地肌汚れ」、「染毛力」及び「既染部過剰染毛」を評価した。
Figure 0006376766
実施例10は、(B)ヒドロキシ酸を第2剤に配合した場合の実施例である。その結果を見ると、(B)ヒドロキシ酸は第1剤及び第2剤のいずれに配合してもよいことがわかる。
本発明によって、地肌汚れが生じず、さらに、染毛力に優れかつ既染部に対して過剰な染毛が生じない酸化染毛剤組成物が提供されるため、ダメージの程度の異なる毛髪に対して、均一な色調となるように染毛することができる。
定期的に生えてくるような白髪に対する「白髪染め」や、低ダメージ毛と高ダメージ毛を有する毛髪等に対する「リカラー」等として利用することができる。
また、本発明の酸化染毛剤組成物を用いることによって、ダメージの程度の異なる複数の毛髪を同時に染毛しても色調に差異が生じにくい染毛方法が提供される。

Claims (7)

  1. 酸化染料及びアルカリ剤を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤を混合して用いる酸化染毛剤組成物であって、混合物中に、
    (A)アスコルビン酸類を0.1〜10質量%
    (B)ヒドロキシ酸を0.01〜2.5質量%
    を含有し、混合後のpHを6〜9とし、
    前記混合後のpHと、染毛処理30分後のpHの低下値が、0.5〜2.5であることを特徴とする酸化染毛剤組成物。
  2. 前記(A)アスコルビン酸類を0.2〜10質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の酸化染毛剤組成物。
  3. 前記混合後のpHを7〜9とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化染毛剤組成物。
  4. 前記(B)ヒドロキシ酸を0.2〜2.5質量%含有することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の酸化染毛剤組成物。
  5. 前記(B)ヒドロキシ酸は、α−ヒドロキシ酸であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の酸化染毛剤組成物。
  6. 毛髪を1種の酸化染毛剤組成物により染毛する方法において、請求項1〜のいずれかに記載の酸化染毛剤組成物を用いることを特徴とする染毛方法。
  7. 前記酸化染毛剤組成物を塗布後、pHが0.5〜2.5低下する放置時間を染毛処理時間とすることを特徴とする請求項に記載の染毛方法。
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