JP7337475B2 - 酸化染毛用第1剤、酸化染毛剤、及び染毛処理方法 - Google Patents

酸化染毛用第1剤、酸化染毛剤、及び染毛処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化染毛用第1剤、この第1剤を備える酸化染毛剤、及びこの酸化染毛剤を用いる染毛処理方法に関するものである。
毛髪を染色するために用いられる酸化染毛剤として、酸化染料を配合した酸化染毛用第1剤と、酸化剤を配合した酸化染毛用第2剤と、を混合したものが知られている。この酸化染毛剤による染毛原理は、毛髪内に浸透した酸化染料を、酸化重合させて染着させるものである。
酸化染毛剤を構成する酸化染毛用第1剤の代表例として、アンモニアなどのアルカリ剤を配合してpH9.0~11程度に調整したものがある。このようにpHをアルカリ性に調整した場合、毛髪の膨潤が生じやすくなって、酸化染料の毛髪内への浸透が促進するといわれている。しかし、その促進は、均染性(毛髪における濃淡が均一な染色)を低下させることがある。すなわち、毛髪の損傷は、染毛処理の繰り返し及びブラッシングによって毛先に近づくほど大きくなり、毛髪の損傷が大きくなった場合には、上記膨潤に加えた毛髪内への酸化染料の浸透を促進する。その結果、毛髪内への酸化染料の浸透が、毛髪全体で不均一となって、均染性の低下をもたらすと考えられている。
上記均染性を向上させる開示として、例えば特許文献1には、損傷の大きな毛先及びその付近に対して、染毛処理前に所定の組成物を塗布することが挙げられている。また、特許文献2には、染毛剤に、分岐型ポリグリセリン変性シリコーン、及び海洋性コラーゲンの加水分解物又はその誘導体を含有させて、優れた均染性を実現する開示がある。その他、酸化染毛用第1剤のpHを9.0以下にして毛髪の膨潤を抑えれば、均染性の向上を期待できるが、その膨潤抑制以上に均染性が高まる提案は、当然に望まれる。
特開2003-286143号公報 特開2006-69893号公報
本発明は、上記事情に鑑み、毛髪の均染性を良好にするための、pH9.0以下の酸化染毛用第1剤、当該第1剤が混合された酸化染毛剤、及び染毛処理方法の提供を目的とする。
本発明者等が鋭意検討を行った結果、pHを9.0以下に設定した酸化染毛用第1剤において、タンパク質加水分解物及び/又はその誘導体と共に、所定のポリフェノールを配合すれば、均染性が高まるとの知見を得、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係る酸化染毛用第1剤は、下記(A)、(B)及び(C)が配合され、pHが9.0以下であることを特徴とする。
(A)酸化染料
(B)タンパク質加水分解物及び/又はその誘導体
(C)前記(B)と結合して複合体となる性質を有するポリフェノール
本発明に係る酸化染毛用第1剤における前記pHは、7.0以上8.5以下が良い。pHが7.0以上であると、(A)酸化染料の重合に好ましく、pHが8.5以下であると、毛髪の損傷抑制に好ましい。
本発明に係る酸化染毛用第1剤には、前記(B)として、加水分解ケラチン、加水分解ケラチン誘導体、加水分解シルク、加水分解シルク誘導体、加水分解コラーゲン、又は加水分解ダイズタンパクが配合されると良い。
本発明に係る酸化染毛剤用第1剤には、前記(C)として、タンニン、フラノボイド、スチルベノイド、リグナン、クルクミン、又はクマリンが配合されると良い。
本発明に係る酸化染毛用第1剤は、アルカリ剤の配合量が1.0質量%以下、又は、無配合であることが好適である。この配合量又は無配合により、毛髪の膨潤が抑えられる。
また、本発明に係る酸化染毛用第1剤は、化学的処理履歴がある毛髪を染毛処理するために用いられると良い。化学的処理履歴がある毛髪は、毛先と根本の損傷差が特に大きいのが通常であるところ、このような毛髪に対しても、上記第1剤によれば、均染性が高くなる。
本発明に係る酸化染毛剤は、本発明に係る酸化染毛用第1剤と、酸化剤が配合された酸化染毛用第2剤と、が混合されたものである。
本発明に係る酸化染毛剤のpHは、6.0以上8.0以下が好ましい。pHが6.0以上であると、(A)酸化染料の重合に好ましく、pHが8.0以下であると、毛髪の損傷抑制に好ましい。
本発明に係る染毛処理方法は、本発明に係る酸化染毛剤を使用するものである。
本発明によれば、pH9.0以下である酸化染毛用第1剤において、タンパク質加水分解物及び/又はその誘導体、並びに所定のポリフェノールが配合されるので、毛髪の均染性が高くなる。
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
(酸化染毛用第1剤)
本実施形態の酸化染毛用第1剤(以下、「酸化染毛用第1剤」を「第1剤」と称することがある。)は、下記(A)、(B)、(C)及び水が配合され、所定のpHに設定されたものである(水の配合量は、例えば70質量%以上)。また、実使用上許容されるのであれば、公知の第1剤に配合されている原料を、任意に配合しても良い。
(A)酸化染料
(B)タンパク質加水分解物及び/又はその誘導体
(C)所定のポリフェノール
本実施形態の第1剤に配合される(A)酸化染料として、酸化反応により単独で発色する公知の染料中間体、および染料中間体との重合により色調を呈する公知のカップラーから選択された一種または二種以上を採用できる。
上記染料中間体としては、パラフェニレンジアミン、パラメチルアミノフェノール、トルエン-2,5-ジアミン、トルエン-3,4-ジアミンなどのフェニレンジアミン誘導体;オルトアミノフェノールなどのフェノール誘導体;などが挙げられる。
上記カップラーとしては、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、メタフェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン誘導体;5-アミノオルトクレゾール、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール、メタアミノフェノールなどのアミノフェノール誘導体;レゾルシン;などが挙げられる。
本実施形態の第1剤における(A)酸化染料の配合量は、例えば0.05質量%以上2.5質量%以下である。
本実施形態の第1剤には、配合する原料(B)として、タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物の誘導体、又は、タンパク質加水分解物及びタンパク質加水分解物の誘導体が配合される。このタンパク質加水分解物及びタンパク質加水分解物の誘導体は、毛髪に適用する組成物に配合される公知のタンパク質加水分解物及びタンパク質加水分解物の誘導体から選ばれる。
上記タンパク質加水分解物としては、例えば、加水分解ケラチン、加水分解シルク、加水分解コラーゲン、加水分解ダイズタンパクが挙げられる。本実施形態の第1剤にタンパク質加水分解物を配合する場合には、その一種又は二種以上を配合すると良い。
また、上記タンパク質加水分解物の誘導体としては、例えば、加水分解ケラチン誘導体(カルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチンなど)、加水分解シルク誘導体が挙げられる。本実施形態の第1剤にタンパク質加水分解物誘導体を配合する場合には、その一種又は二種以上を配合すると良い。
本実施形態の第1剤における(B)タンパク質加水分解物及びその誘導体の配合量は、例えば0.005質量%以上0.03質量%以下である。
本実施形態の第1剤には、配合する原料(C)として、前記(B)と複合体となる性質を有するポリフェノールが配合される。その複合体となる性質は公知であり、特開2002-68991号公報などに開示されている。
上記複合体となる性質は、次の(1)~(3)の手順により確認できる。(1)上記(B)から選んだタンパク質加水分解物又はその誘導体の1質量%水溶液と、ポリフェノール10mM水溶液とを、容量比1:1で混合し、(2)分光光度計(例えばThermo Fisher Scientific社製「NanoDrop 2000c Spectrophotometer」)により、吸収波長650nmの条件で濁度測定を行い、(3)ポリフェノールの混合により濁度の値が高くなっていれば、上記複合体となる性質が確認されたことになる。
本実施形態の第1剤に配合されるポリフェノールは、例えば、タンニン、フラノボイド(例えば、カテキンなどのフラバノール、アピゲニンなどのフラボン、アントシアニン)、スチルベノイド(例えば、レスベラトロール)、リグナン、クルクミン、又はクマリンを配合する。但し、上記の通り、配合する上記(B)と結合して複合体となる性質を有する一種又は二種以上のポリフェノールを、本実施形態の第1剤に配合する。なお、上記(C)の配合を、当該(C)を含有する植物エキスの配合により行える。
上記(C)に該当する所定のポリフェノールを例示すれば、以下の通りである。上記(B)として加水分解ケラチンを配合する場合、タンニン、レスベラトロール、カテキンが挙げられる。上記(B)として加水分解シルクを配合する場合、アピゲニン、カテキンが挙げられる。上記(B)としてカルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチンを配合する場合、タンニン、アピゲニンが挙げられる。上記(B)として加水分解コラーゲンを配合する場合、アピゲニンが挙げられる。
本実施形態の第1剤において、(B)タンパク質加水分解物及びその誘導体の配合量に対する(C)所定のポリフェノールの配合量の比(C)/(B)は、例えば0.0005以上0.002以下である。
本実施形態の第1剤には、上記の通り、公知の原料を任意に配合しても良い。この任意原料としては、例えば、アルカリ剤、高級アルコール、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、多価アルコール、炭化水素、油脂、酸化防止剤、キレート剤、直接染料である。
上記アルカリ剤は、(A)酸化染料の毛髪内への浸透性を向上させ、これに伴って染色性が高まる。当該アルカリ剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの金属水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸塩;リン酸ナトリウムなどの金属リン酸塩;アンモニア;炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなどのアンモニウム塩;モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン;などが挙げられる。
本実施形態の第1剤におけるアルカリ剤の配合量は、毛髪損傷の要因となる酸化抑制に着目すれば、1.0質量%以下が良く、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下が好ましい。最も好ましくは、本実施形態の第1剤において、アルカリ剤を無配合とする。
上記第1剤用原料としての高級アルコールは、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の高級アルコールを第1剤に配合すると良く、高級アルコールの配合濃度は、例えば5質量%以上10質量%以下である。
上記第1剤用原料としてのノニオン界面活性剤は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。一種又は二種以上のノニオン界面活性剤を第1剤に配合すると良く、ノニオン界面活性剤の配合濃度は、例えば1質量%以上5質量%以下である。
上記第1剤用原料としてのカチオン界面活性剤は、例えば、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、トリ長鎖アルキルモノメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩が挙げられる。一種又は二種以上のカチオン界面活性剤を第1剤に配合すると良く、カチオン界面活性剤の配合濃度は、例えば1質量%以上3質量%以下である。
本実施形態の第1剤のpHは、9.0以下であり、7.0以上8.5以下が良く、7.5以上8.3以下が好ましい。pHが9.0以下であると、均染性向上と、毛髪の膨潤及び損傷の抑制に適し、pHが7.0以上であると、(A)酸化染料の重合に適する。
本実施形態の第1剤の剤型は、クリーム状であれば、毛髪への塗布が容易である。当該クリーム状の剤型の粘度は、B型粘度計を使用して25℃、12rpmで計測した60秒後の値が例えば4000mPa・s以上50000mPa・s以下であり、20000mPa・s以上40000mPa・s以下が良い。
(酸化染毛用第2剤)
本実施形態の酸化染毛用第2剤(以下、「酸化染毛用第2剤」を「第2剤」と称することがある。)は、酸化剤が配合されたものである(本実施形態の第2剤として典型的なものは、水の配合量が70質量%以上のものである。)。また、公知の第2剤原料を任意原料として本実施形態に係る第2剤に配合しても良い。
第2剤に配合される上記酸化剤としては、例えば、過酸化水素、臭素酸塩、過炭酸塩、過ホウ酸塩が挙げられる。第2剤における酸化剤の配合濃度は、例えば0.3質量%以上7質量%以下である。
本実施形態の第2剤に任意配合する公知の第2剤原料としては、高級アルコール(配合濃度は、例えば2質量%以上15質量%以下)、ノニオン界面活性剤(配合濃度は、例えば0.5質量%以上6質量%以下)、カチオン界面活性剤(配合濃度は、例えば0.1質量%以上3質量%以下)、多価アルコール、エステル油、酸化防止剤、キレート剤などである。
上記第2剤の剤型は、例えばクリーム状が挙げられる。
(酸化染毛剤)
本実施形態の酸化染毛剤は、本実施形態の第1剤と第2剤が混合されたものである。当該第1剤と第2剤とを混合するときの質量比は、例えば、第1剤:第2剤=1:0.5以上2以下である。
本実施形態の酸化染毛剤の剤型は、刷毛を使用して毛髪に塗布する場合には、クリーム状であると良い。このクリーム状の場合の粘度は、例えば、B型粘度計を使用して25℃、12rpmで計測した60秒後の値が4000mPa・s以上50000mPa・s以下であり、20000mPa・s以上40000mPa・s以下が良い。
上記酸化染毛剤のpHは、6.0以上8.0以下が良く、6.5以上7.5以下が好ましい。pHが6.0以上であると、(A)酸化染料の重合に適し、pHが8.0以下であると、毛髪の損傷抑制に好ましい。
本実施形態の酸化染毛剤を毛髪に塗布後、一定時間放置してから、毛髪を水洗することで、染毛処理が行われる。この場合の処理での対象毛髪は、パーマネントウェーブ処理、ブリーチ剤によるブリーチ処理、酸化染毛剤による染毛処理などの化学的処理履歴がある毛髪でも良く、その履歴がない毛髪であっても良い。化学的処理履歴がある毛髪を対象とする場合、本実施形態の酸化染毛剤を使用することで、均染性の高い染色を実現できる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(第1剤)
タンパク質加水分解物又はその誘導体を0.008質量%又は無配合、ポリフェノール又はポリフェノールを含有する植物エキスを0.00001質量%、硫酸トルエン-2,5-ジアミンを0.02質量%、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノールを0.02質量%配合した水溶液を、実施例及び比較例の第1剤として製造した。配合したポリフェノール、ポリフェノールを含有する植物エキス、タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物誘導体は、下記表1~4の通りである。
(第2剤)
クエン酸でpH7に調整した4.5質量%過酸化水素水を、実施例及び比較例の第2剤とした。
(酸化染毛剤)
上記の第1剤と第2剤の等量を混合し、実施例及び比較例の液状酸化染毛剤を製造した。
(酸化染毛処理)
低損傷毛束と高損傷毛束(この両毛束の詳細については後述)を、実施例及び比較例の各酸化染毛剤に20分間浸漬してから、この浸漬後の毛束を水洗、温風乾燥させることで、酸化染毛処理を行った。
上記酸化染毛処理で使用した低損傷毛束と高損傷毛束は、次の通り準備したものである。水洗、乾燥させた市販の白色毛束(ビューラックス社製ヤク毛束「BM-YK-A」)にブリーチ剤(ミルボン社製「パウダーブリーチ」1質量部とミルボン社製「オルディーブ OXIDANT 6%」3質量部の混合液)を塗布後30分間放置し、次に、水洗、乾燥させた。このブリーチ剤の塗布から乾燥までを1回行った毛束を、低損傷毛束として準備し、3回行った毛束を、高損傷毛束として準備した。なお、低損傷毛束と高損傷毛束の損傷差は、同一毛髪内における疑似的な損傷差を意味する。
(均染性)
先ず、同一の酸化染毛剤で染毛処理した後の低損傷毛束と高損傷毛束の色調差を目視確認し、他の酸化染毛剤を使用した場合の色調差を目視確認し、夫々の色調差を比較した。その比較結果は下記表1~4の通りであり、表1においては比較例1aを基準とし、表2においては比較例2を基準とし、表3においては比較例3を基準とし、表4においては比較例4aを基準とした。また、比較における評価は、次の通り行った。
○ :基準とした毛束間よりも、色調差が小さい。
― :基準とした毛束間と色調差が同等。
× :基準とした毛束間よりも、色調差が大きい。
下記表1~4に、実施例及び比較例の第1剤に配合したタンパク質加水分解物又はその誘導体と、ポリフェノールと共に、均染性の評価結果を示す。
表1におけるカテキンは、加水分解シルクと結合して複合体となる性質を有するポリフェノールである。表1において、カテキン及び加水分解シルクの配合が、高い均染性の結果が得られたことを確認できる。
表2におけるレスベラトロールは、加水分解ケラチンと結合して複合体となる性質を有するポリフェノールである。表2において、レスベラトロール及び加水分解ケラチンの配合が、高い均染性の結果が得られたことを確認できる。
表3におけるタンニンは、カルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチンと結合して複合体となる性質を有するポリフェノールである。表3において、タンニン及びカルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチンの配合が、高い均染性の結果が得られたことを確認できる。なお、ここで使用したカルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチンは、特開2015-137260号公報の段落0052~0055における変性ペプチドの製法と同様にして製造可能である。
表4におけるカテキンは、加水分解コラーゲンと結合して複合体となる性質を有さないポリフェノールである。表4において、カテキン及び加水分解コラーゲンを配合した場合であっても、高い均染性の結果が得られなかったことを確認できる。
上記の実施例及び比較例とは別に、加水分解シルクによる前処理の有無による染色性への影響を、比較例5a~5bとして確認した。この確認において使用した酸化染毛剤は、第1剤(硫酸トルエン-2,5-ジアミンを0.02質量%、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノールを0.02質量%配合した水溶液)と、第2剤(クエン酸でpH7に調整した4.5質量%過酸化水素水)とを、等量混合して製造した。酸化染毛処理は、実施例と同様に高損傷毛束に対して行った。また、酸化染毛処理の前の前処理は、高損傷毛束を0.008質量%加水分解シルク水溶液に1分間浸漬し、水洗、温風乾燥させることにより行った。
前処理を行った比較例5aの毛束と、前処理を行わなかった比較例5bの毛束について、酸化染毛処理後の色調を目視にて比較した。その結果、色調に差がなく、前処理による染色への影響は、認められなかった。

Claims (9)

  1. 酸化染毛用第1剤と、酸化剤が配合された酸化染毛用第2剤と、が混合されたクリーム状の酸化染毛剤で用いられる酸化染毛用第1剤であって、
    下記(A)、(B)及び(C)が配合され、pHが9.0以下であることを特徴とする酸化染毛用第1剤。
    (A)酸化染料
    (B)タンパク質加水分解物及び/又はその誘導体
    (C)前記(B)と結合して複合体となる性質を有するポリフェノール
  2. 前記pHが7.0以上8.5以下である請求項1に記載の酸化染毛用第1剤。
  3. 前記(B)として、加水分解ケラチン、加水分解ケラチン誘導体、加水分解シルク、加水分解シルク誘導体、加水分解コラーゲン、又は加水分解ダイズタンパクが配合された請求項1又は2に記載の酸化染毛用第1剤。
  4. 前記(C)として、タンニン、フラノボイド、スチルベノイド、リグナン、クルクミン、又はクマリンが配合された請求項1~3のいずれか1項に記載の酸化染毛用第1剤。
  5. アルカリ剤の配合量が1.0質量%以下、又は、アルカリ剤が無配合である請求項1~4のいずれか1項に記載の酸化染毛用第1剤。
  6. 化学的処理履歴がある毛髪を染毛処理するために用いられ
    前記化学的処理履歴がある毛髪が、パーマネントウェーブ処理の履歴がある毛髪、ブリーチ剤によるブリーチ処理の履歴がある毛髪、又は、酸化染毛剤による染毛処理の履歴がある毛髪である請求項1~5のいずれか1項に記載の酸化染毛用第1剤。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の酸化染毛用第1剤と、酸化剤が配合された酸化染毛用第2剤と、が混合されたクリーム状の酸化染毛剤。
  8. pHが6.0以上8.0以下である請求項7に記載の酸化染毛剤。
  9. 請求項7又は8に記載の酸化染毛剤を使用する染毛処理方法。
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