JP2003252735A - 酸化型染毛剤1剤およびその製造方法 - Google Patents

酸化型染毛剤1剤およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 毛髪に塗布するのに適した粘性を有し、かつ
操作性が良好なクリーム状で中性タイプの酸化型染毛剤
1剤を提供する。 【解決手段】 少なくとも酸化染料、酸化防止剤、キレ
ート剤、防腐剤およびアルキル基の炭素数が12〜18
でエチレンオキシドの付加モル数が50〜150のポリ
オキシエチレンアルキルエーテルを水中に含有する水相
と、少なくとも油分、高級アルコールおよびアルキル基
の炭素数が12〜18のハロゲン化アルキルトリメチル
アンモニウムを含有する油相とを混合して乳化すること
によって、クリーム状で中性タイプの酸化型染毛剤1剤
を製造する。上記酸化型染毛剤1剤の製造は、水相を加
熱して水相中の成分を水中に可溶化しておき、また、油
相を加熱して油相成分を溶解しておき、それらを加熱下
で混合して乳化させることが好ましく、それらの加熱温
度としては75〜95℃が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クリーム状で中性
タイプの酸化型染毛剤1剤およびその製造方法に関し、
さらに詳しくは、毛髪に塗布するのに適した粘性を有
し、操作性が良好な酸化型染毛剤1剤およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】染毛剤としては、酸化染料(酸化染料前
駆体)を含有する1剤と過酸化水素を酸化剤として含有
する2剤とからなる酸化型染毛剤が広く使用されてい
る。この酸化型染毛剤による染毛処理は、まず、上記1
剤と2剤を混合し、その混合物を毛髪に塗布して、低分
子の酸化染料を毛髪中に浸透させ、過酸化水素が分解し
て発生する酸素により毛髪中で酸化染料の酸化重合を行
わせて色素を生成させることにより、毛髪を染毛するも
のである。
【0003】そして、上記酸化型染毛剤1剤において
は、通常、毛髪を膨潤させて酸化染料の毛髪中への浸透
性を高めるため、アルカリ側に調整されているが、アル
カリ側に調整した場合には、アルカリによって毛髪が損
傷するという問題があり、そのため、最近では、中性タ
イプの酸化型染毛剤1剤が要望されるようになってき
た。
【0004】また、酸化型染毛剤1剤の剤型としては、
液状、クリーム状、ゲル状、ぺースト状、エアゾールフ
ォームなどの種々のタイプのものが上市されているが、
最近では、毛髪への塗布時の操作性が良いことから、ク
リーム状のものが好まれている。
【0005】上記のようなクリーム状で中性タイプの酸
化型染毛剤1剤を得るには、乳化剤で乳化した乳化物中
に酸化染料を含有させることが必要であるが、酸化染料
を含有させることにより乳化物の粘度が低下して、クリ
ーム状が破壊されて操作性が悪くなってしまう。
【0006】そのため、増粘剤を添加して粘度を高める
ことが必要になり、その増粘剤としてグリセリンやソル
ビトールなどの低分子化合物を配合することが提案され
ているが、グリセリンやソルビトールを多量に配合する
と、それら自身が親水性であるため、乳化剤の水和力を
低下させ、乳化物自体の安定性を悪くする。また、カチ
オン化セルロースやガム質などの高分子化合物を配合す
ることによって増粘させることも行われているが、それ
らの高分子化合物の構造中に酸化染料が吸着して凝集す
るため、色味がくすんだ状態になり、鮮やかな色味を出
そうとすると多量の酸化染料を必要とし、そのため、粘
度の低下を起こしたり、また製剤の酸化に対する安定性
が低下するという問題があった。さらに、増粘剤として
添加した高分子化合物が毛髪の表面に残存することによ
って、毛髪がギシギシとした感触になるという問題もあ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の問題点を解決し、毛髪に与える不快な感触
を最小限に抑制しつつ、粘度を高めて、毛髪に塗布する
のに適した粘性を有し、かつ操作性が良好なクリーム状
で中性タイプの酸化型染毛剤1剤を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、少なくとも酸
化染料、酸化防止剤、キレート剤、防腐剤およびアルキ
ル基の炭素数が12〜18でエチレンオキシドの付加モ
ル数が50〜150のポリオキシエチレンアルキルエー
テルを水中に含有する水相と、少なくとも油分、高級ア
ルコールおよびアルキル基の炭素数が12〜18のハロ
ゲン化アルキルトリメチルアンモニウムを含有する油相
とを混合して乳化することによって、毛髪に塗布するの
に適した粘性を有し、かつ操作性が良好なクリーム状で
中性タイプの酸化型染毛剤1剤を製造し、上記課題を解
決したものである。
【0009】上記酸化型染毛剤1剤の製造にあたって
は、水相を加熱して上記ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルで酸化染料、酸化防止剤、キレート剤および防腐
剤を水中に可溶化しておき、また、少なくとも油分、高
級アルコールおよび上記ハロゲン化アルキルトリメチル
アンモニウムを含有する油相を加熱して油相成分を溶解
しておき、その加熱により可溶化させた水相と加熱によ
り溶解させた油相とを加熱下で混合して乳化させる。そ
の際、前記アルキル基の炭素数が12〜18でエチレン
オキシドの付加モル数が50〜150のポリオキシエチ
レンアルキルエーテルは、酸化染料、酸化防止剤、キレ
ート剤、防腐剤などを水中に可溶化させ、油相との混合
によっても、酸化型染毛剤1剤に好適な粘性を付与し、
クリーム状で中性タイプで毛髪に塗布するのに適した粘
性を有し、操作性が良好な酸化型染毛剤1剤を実現させ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においては、前記水相の成
分としてアルキル基の炭素数が12〜18でエチレンオ
キシドの付加モル数が50〜150のポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルが用いられるが、このポリオキシエ
チレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシ
エチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリス
チルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポ
リオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチ
レンオレイルエーテルなどでエチレンオキシドの付加モ
ル数が50〜150のものが挙げられるが、特にアルキ
ル鎖に二重結合を有するポリオキシエチレンオレイルエ
ーテルでエチレンオキシドの付加モル数が50〜150
のものが好適に用いられる。そして、このアルキル基の
炭素数が12〜18でエチレンオキシドの付加モル数が
50〜150のポリオキシエチレンアルキルエーテルの
酸化型染毛剤1剤中の含有量としては、特に限定される
ことはないが、特に0.3〜3質量%が好ましく、特に
0.5〜2質量%が好ましい。すなわち、上記ポリオキ
シエチレンアルキルエーテルの含有量を0.3質量%以
上にすることによって、酸化型染毛剤(1剤と2剤との
混合物)を毛髪に塗布するのに適した粘性を有し、操作
性の良いものにすることができ、上記ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテルの含有量を3質量%以下にすること
によって、粘性が高くなり過ぎるのを抑制し、適切な粘
性に保つことができる。
【0011】本発明において、酸化染料(酸化染料前駆
体)としては、特に限定されることはないが、例えば、
パラフェニレンジアミン、ニトロパラフェニレンジアミ
ン、N−フェニル−パラフェニレンジアミン、硫酸パラ
ニトロフェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン
類、トルエン−2,5−ジアミン、トルエン−3,4−
ジアミン、硫酸トルエン−2,5−ジアミンなどのトル
エンジアミン類、パラアミノフェノール、パラメチルア
ミノフェノール、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)
−2−メチルフェノールなどのアミノフェノール類、オ
ルトアミノ−メタニトロフェノールなどのアミノニトロ
フェノール類、硫酸4,4−ジアミノジフェニルアミン
などのジフェニルアミン類、2,6−ジアミノピリジン
などのジアミノピリジン類などやそれらの塩の1種また
は2種以上を用いることができる。この酸化染料の酸化
型染毛剤1剤中における含有量は、特に限定されること
はないが、0.01〜5重量%、特に0.5〜3重量%
が好ましい。酸化染料の含有量が上記より少ない場合
は、毛髪を充分に染色することができなくなるおそれが
あり、また酸化染料の含有量が上記より多い場合には、
過剰の酸化染料が毛髪表面に多く付着して、日常生活で
色落ちが多くなったり、衣服などを汚染させるおそれが
ある。
【0012】また、本発明の酸化型染毛剤1剤には、必
要に応じて、カップラーを含有させることができる。そ
のカップラーとしては、例えば、メタフェニレンジアミ
ン、トルエン−2,4−ジアミン、メタアミノフェノー
ル、レゾルシン、ピロガロール、カテコールなどが用い
られる。
【0013】本発明の酸化型染毛剤1剤を製造するにあ
たっては、水相中に酸化防止剤を含有させておくが、こ
れは酸化染料が2剤との混合前に酸化されて所望の色味
を出せなくなるのを防止するためであり、この酸化防止
剤としては、特に限定されることはないが、例えば、L
−アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、硝酸水素ナトリ
ウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チ
オグリコール酸、L−システインなどが挙げられる。そ
して、この酸化防止剤の酸化型染毛剤1剤中の含有量
は、特に限定されることはないが、0.1〜1質量%程
度が好ましい。
【0014】また、本発明においては、水相中にキレー
ト剤を含有させておくが、これはキレート剤によって金
属イオンを捕捉することにより金属イオンが酸化染料に
悪影響を及ぼすのを防止するためであり、このキレート
剤としては、特に限定されることはないが、例えば、ヒ
ドロキシエタンジホスホン酸、エチレンジアミン四酢酸
二ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウ
ム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸、酒石酸などが挙
げられる。そして、このキレート剤の酸化型染毛剤1剤
中の含有量は、特に限定されることはないが、0.01
〜1質量%程度が好ましい。
【0015】さらに、本発明においては、水相中に防腐
剤を含有させておくが、これは本発明の酸化型染毛剤1
剤を中性タイプのものにしたことによって、保存中に腐
敗が生じるのを防止するためであり、この防腐剤として
は、特に限定されることはないが、例えば、パラオキシ
安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオ
キシ安息香酸ブチル、フェノキシエタノール、サリチル
酸、安息香酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸などが挙げら
れる。そして、この防腐剤の酸化型染毛剤1剤中の含有
量は、特に限定されることはないが、0.05〜2質量
%程度が好ましい。
【0016】つぎに、油相の成分について説明する。こ
の油相では、油分、高級アルコールおよびアルキル基の
炭素数が12〜18のハロゲン化アルキルトリメチルア
ンモニウムを必須成分とするが、この油分は、酸化型染
毛剤1剤をクリーム状にするのに役立たせるためと毛髪
にしっとりした感触を与えるためのものであり、この油
分としては、特に限定されることはないが、例えば、ア
ボガド油、ラノリン、スクワラン、流動パラフィン、オ
リーブ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、流動イ
ソパラフィン、セレシン、植物性スクワラン、ポリブデ
ン、マイクロクリスタリンワックスなどが挙げられる。
そして、この油分の酸化型染毛剤1剤中の含有量として
は、特に限定されることはないが、1〜15質量%程度
が好ましい。
【0017】高級アルコールは、毛髪の感触を向上させ
るとともに、粘度を高める作用を有するが、この高級ア
ルコールとしては、特に限定されることはないが、例え
ば、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアル
コール、ベヘニルアルコール、セトステアリルアルコー
ル、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、ミリス
チルアルコールなどが挙げられる。そして、この高級ア
ルコールの酸化型染毛剤1剤中の含有量としては、特に
限定されることはないが、3〜10質量%程度が好まし
い。
【0018】アルキル基の炭素数が12〜18のハロゲ
ン化アルキルトリメチルアンモニウムは、カチオン性界
面活性剤として毛髪に吸着して毛髪を柔軟にさせる作用
を有しており、このハロゲン化アルキルトリメチルアン
モニウムとしては、特に限定されることはないが、例え
ば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウ
リルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルア
ンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化
ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリ
メチルアンモニウムなどが挙げられるが、特に塩化ステ
アリルトリメチルアンモニウムが好ましい。そして、こ
のハロゲン化アルキルトリメチルアンモニウムの酸化型
染毛剤1剤中の含有量としては、特に限定されることは
ないが、1〜10質量%が好ましい。
【0019】本発明の酸化型染毛剤1剤を製造するにあ
たっては、水相を例えば75〜95℃に加熱して、酸化
染料、酸化防止剤、キレート剤および防腐剤を前記ポリ
オキシオレイルエーテルで水中に可溶化させる。また、
油相を例えば75〜95℃に加熱して油相成分を均一に
溶解させ、その成分を可溶化させた水相とその成分を溶
解させた油相とを例えば75〜95℃の加熱下で混合し
て乳化する。ただし、上記水相の加熱温度、油相の加熱
温度、水相と油相の混合時の加熱温度のいずれも、95
℃より高くてもよく、通常、120℃程度まで可能であ
るが、熱による成分への影響や経済効率を考慮すると、
前記のように75〜95℃が好ましく、また、実施例で
示すように、75〜80℃程度の温度でも実施可能であ
る。
【0020】本発明の酸化型染毛剤1剤は、クリーム状
で中性タイプのものであるが、その中性とはpH域が
5.5〜7.5の範囲内のものをいう。
【0021】そして、本発明の酸化型染毛剤1剤には、
上記の必須成分以外にも、例えば、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプ
ロピルグリコール、ポリプロピレングリコール、グリセ
リン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレ
ングリコール、イソプレングリコールなどの多価アルコ
ール類、ソルビトール、マンニトール、D−グルコー
ル、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルト
ース、マルチトール、トレハロースなどの糖類、アロエ
エキス、ウコンエキス、オウゴンエキス、海藻エキス、
カキタンニン、カンゾウエキス、ゲンチアナエキス、コ
メヌカエキスなどの動植物抽出エキスや、加水分解ケラ
チン、加水分解コラーゲン、加水分解シルクなどのポリ
ペプタイドなど、各種の成分を含有させることができ
る。
【0022】本発明の酸化型染毛剤1剤も、その使用に
あたっては、過酸化水素などの酸化剤を含有する酸化型
染毛剤2剤と混合して使用される。上記酸化型染毛剤2
剤の剤型はいずれの剤型であってもよいが、本発明の酸
化型染毛剤1剤がクリーム状であることから、2剤もク
リーム状であることが好ましい。そして、1剤と2剤と
の混合にあたっては、通常、質量比で1:1に混合され
るので、本発明の酸化型染毛剤1剤もそのような混合比
を前提として製造されており、酸化型染毛剤2剤と混合
した酸化型染毛剤として毛髪への塗布時に適した粘性を
持たせ、操作性を良好なものにするために、本発明の酸
化型染毛剤1剤は、通常、25℃でのB型粘度計による
粘度測定で10,000〜60,000mPa.sに粘
度調整が行われる。
【0023】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例な
どにおいて、溶液や分散液などの濃度を示す%は、特に
その基準を付記しないかぎり、いずれも質量%である。
【0024】実施例1 表1に示す組成のベース配合にエチレンオキシドの付加
モル数が100のポリオキシエチレンオレイルエーテル
(以下、エチレンオキシドの付加モル数100を「E.
O.100」で示す)を酸化型染毛剤1剤中で0.3〜
3%(すなわち、0.3%、0.5%、0.8%、1.
0%、1.3%、1.5%、2.0%、3.0%)にな
るように配合し水相を調製した。なお、各成分の配合量
(含有量)は、水相中への配合量ではなく、油相と混合
して製造した酸化型染毛剤1剤中での含有量である。ま
た、酸化染料の組成は表1の後に示す。
【0025】
【表1】 ※1 酸化染料の組成 硫酸トルエン−2,5−ジアミン 0.1% 5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール 0.1% ニトロパラフェニレンジアミン 0.1% 硫酸パラニトロメタフェニレンジアミン 0.1% ※2 酸化防止剤 ※3 キレート剤 ※4 防腐剤
【0026】また、次の表2に示す組成で油相を調製し
た。この表2に示す各成分の配合量(含有量)は、油相
中への配合量でなく、水相と混合して製造した酸化型染
毛剤1剤での含有量である。
【0027】
【表2】
【0028】そして、酸化型染毛剤1剤の製造は以下に
示すように行った。すなわち、L−アスコルビン酸、ヒ
ドロキシエタンジホスホン酸、パラオキシ安息香酸メチ
ル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(E.O.1
00)、酸化染料および精製水を含む水相成分を75〜
80℃に加熱して精製水中にポリオキシエチレンオレイ
ルエーテル(E.O.100)で他の成分を可溶化さ
せ、セタノールとアボガト油と塩化ステアリルトリメチ
ルアンモニウムを含む油相成分を75〜80℃に加熱し
て、均一に溶解しておき、その水相と油相を75〜80
℃で混合して乳化することによって、pH約6.5の酸
化型染毛剤1剤を製造した。
【0029】得られた酸化型染毛剤1剤を室温まで冷却
後、25℃のウォーターバスに1時間浸漬し、B型粘度
計で粘度を測定した。測定結果は後記の表4に示すが、
このときの測定条件は4号ローターを使用し、12回
転、60秒であった。
【0030】また、上記酸化型染毛剤1剤の操作性を次
の表3に示す組成の酸化型染毛剤2剤と質量比1:1で
混合した酸化型染毛剤で評価した。
【0031】
【表3】
【0032】この表3に示す酸化型染毛剤2剤はクリー
ム状であって25℃でB型粘度計で測定した粘度が42
00mPa・sであった。操作性の評価は「固さ」と
「櫛通り性」で評価するが、その評価方法は次の通りで
ある。固さ:
【0033】上記実施例1の酸化型染毛剤1剤のそれぞ
れを表3に示す組成の酸化型染毛剤2剤と質量比1:1
で混合して得た酸化型染毛剤を毛髪に塗布し、その塗布
時に、酸化型染毛剤がハケや塗布した毛髪からの垂れ落
ちの有無を観察することによって評価した。その結果を
次の基準により記号化して後記の表4に示す。
【0034】固さの評価基準: ◎:ハケや毛髪から垂れ落ちることなく、塗布しやす
い。 ○:ハケや毛髪から垂れ落ちないが、粘度が少し高すぎ
たり、少し低すぎて塗布性が少し劣る。 △:ハケや塗布から垂れ落ちる場合がある。 ×:ハケや毛髪から垂れ落ちる。
【0035】櫛通り性:上記固さの評価の場合と同様
に、実施例1の酸化型染毛剤1剤のそれぞれを表3に示
す組成の酸化型染毛剤2剤と質量比で1:1で混合して
得た酸化型染毛剤を毛髪に塗布し、その塗布後の毛髪に
櫛を通して全体に伸ばすときのスムーズさで評価した。
その結果を次の基準により記号化して表4に示す。
【0036】櫛通り性の評価基準: ◎:塗布後に非常にスムーズに伸びる。 ○:塗布後にスムーズに伸びる。 △:塗布後に伸ばす際に力が必要である。 ×:塗布後にスムーズに伸びない。
【0037】
【表4】
【0038】表4に示すように、ポリオキシエチレンオ
レイルエーテル(E.O.100)を0.3〜3%の範
囲で含有させた場合は、実施例1の酸化型染毛剤1剤
は、いずれも酸化型染毛剤2剤と混合した酸化型染毛剤
を毛髪に塗布する際に、ハケや塗布した毛髪から垂れ落
ちることがない適度な「固さ」を有し、塗布後の毛髪に
櫛を通して全体に伸ばすときにスムーズに伸びる櫛通り
の良さを有していた。
【0039】比較例1 ポリオキシエチレンオレイルエーテル(E.O.10
0)を水相に含有させなかった以外は、実施例1と同様
に酸化型染毛剤1剤を製造し、かつ、その粘度および操
作性を調べた。
【0040】その結果、粘度は6700mPa・sであ
ってポリオキシエチレンオレイルエーテル(E.O.1
00)を0.3%含有させた場合の約半分程度であり、
この比較例1の酸化型染毛剤1剤は、酸化型染毛剤2剤
と混合した酸化型染毛剤を毛髪に塗布する際にハケや塗
布した毛髪から垂れ落ち、また、塗布後の毛髪に櫛を通
して全体に伸ばすときにスムーズに伸ばすことができな
かった。
【0041】比較例2 水相にポリオキシエチレンオレイルエーテル(E.O.
100)を含有させず、油相にポリオキシエチレンオレ
イルエーテル(E.O.100)を酸化型染毛剤1剤中
で1.0%になるように含有させた以外は、実施例1と
同様に酸化型染毛剤1剤を製造し、かつ、その粘度およ
び操作性を調べた。
【0042】その結果、粘度は9400mPa・sであ
って、水相にポリオキシエチレンオレイルエーテル
(E.O.100)を1.0%(ただし、酸化型染毛剤
1剤全体での含有量)含有させた場合の粘度(2078
0mPa・s)の半分以下であり、水相にポリオキシエ
チレンオレイルエーテル(E.O.100)を0.3%
(ただし、酸化型染毛剤1剤全体での含有量)含有させ
た場合の粘度(12000mPa・s)より低かった。
この比較例2の酸化型染毛剤1剤は、酸化型染毛剤2剤
と混合した酸化型染毛剤を毛髪に塗布する際にハケや塗
布した毛髪から垂れ落ち、また、塗布後の毛髪に櫛を通
して全体に伸ばすときにスムーズに伸ばすことができな
かった。
【0043】比較例3 ポリオキシエチレンオレイルエーテル(E.O.10
0)に代えてカチオン化セルロース〔ヒドロキシエチル
セルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム
クロリドエーテル〕を水相に酸化型染毛剤1剤中で1.
0%になるように含有させた以外は、実施例1と同様に
酸化型染毛剤1剤を製造した。
【0044】この比較例3の酸化型染毛剤1剤と実施例
1の酸化型染毛剤1剤〔ただし、ポリオキシエチレンオ
レイルエーテル(E.O.100)を水相に酸化型染毛
剤1剤中で1.0%になるように含有させて製造したも
の〕について、以下に示すように染着力および感触の比
較試験を行った。まず、毛髪に対する染着力の比較試験
から説明するが、その染毛処理にあたって、上記酸化型
染毛剤1剤と組み合わせて使用する酸化型染毛剤2剤
は、実施例1の酸化型染毛剤1剤、比較例3の酸化型染
毛剤1剤に対しても共通で、前記表3に示す組成のもの
である。
【0045】染着力:実施例1の酸化型染毛剤1剤およ
び比較例3の酸化型染毛剤1剤のそれぞれ5gと、その
それぞれに対して表3に示す組成の酸化型染毛剤2剤を
それぞれ5gずつカップに入れ、ハケで混合後、それら
の混合物を重さ1gの100%白髪毛束にそれぞれ別々
に塗布し、30℃で30分間放置して染毛した後、水洗
し、さらに市販のシャンプーを用いて2回洗浄し、さら
に市販のヘアトリートメントを塗布し、すすぎ後、乾燥
した。
【0046】上記染毛処理後の毛束のL値(明度値)を
色差計(ミノルタ社製彩色差計CR−200)で測定し
た。その結果を表5に示す。この色差測定では、L値が
小さいほど色が鮮明で濃く染まっていることを示す。
【0047】
【表5】
【0048】表5に示すように、実施例1は、比較例3
に比べて、L値が小さく、実施例1の酸化型染毛剤1剤
に含有させたポリオキシエチレンオレイルエーテル
(E.O.100)は、比較例3の酸化型染毛剤1剤に
含有させたカチオン化セルロースのように、くすんだ色
味にせず、鮮明な色味にできることが明らかであった。
【0049】つぎに、感触の評価を毛束とモニターの頭
髪での染毛処理により評価する。
【0050】毛束での感触評価:まず、次の(1)〜
(6)に示す工程により毛束に染毛処理を行った。 (1)実施例1の酸化型染毛剤1剤および比較例3の酸
化型染毛剤1剤のそれぞれ15gと、そのそれぞれに対
して前記酸化型染毛剤2剤をそれぞれ15gずつカップ
に入れ、ハケで混合し、それらの混合物を重さ20gの
人毛黒髪毛束にそれぞれ別々に塗布する。 (2)30℃で30分間放置する。 (3)その後、水洗する。 (4)市販のシャンプーで2回洗浄後、すすぐ。 (5)市販のトリートメントを塗布し、すすぐ。 (6)ドライヤーで乾燥する。
【0051】感触の評価は、5人のパネラーにより上記
染毛処理の(6)の工程終了後の毛束を手で触り、その
感触によって評価した。その結果、5人のパネラー全員
が実施例1の酸化染毛剤1剤を用いて染毛処理した毛束
の方が、比較例3の酸化型染毛剤1剤を用いて染毛処理
した毛束より、「指通り性が良い」と評価した。
【0052】モニターの頭髪での感触評価:まず、次の
(1)〜(6)に示す工程により頭髪に染毛処理を行っ
た。 (1)モニターの頭髪を中央で半分に分け、その一方に
実施例1の酸化型染毛剤1剤30gと前記酸化型染毛剤
2剤30gとの混合物を塗布し、他方に比較例3の酸化
型染毛剤1剤30gと前記酸化型染毛剤2剤30gとの
混合物を塗布する。 (2)30分間室温で放置する。 (3)その後、お湯ですすぐ (4)市販のシャンプーで2回洗浄後、すすぐ。 (5)市販のトリートメントを塗布し、すすぐ。 (6)ドライヤーにて乾燥する。
【0053】感触の評価は、5人のパネラーにより上記
染毛処理の(6)の工程終了後のモニターの頭髪を手で
触り、その感触によって評価した。その結果、5人のパ
ネラー全員が実施例1の酸化型染毛剤1剤を用いて染毛
処理した頭髪の方が、比較例3の酸化型染毛剤1剤を用
いて染毛処理した頭髪より、「指通り性が良い」と評価
した。
【0054】上記のように、毛束での感触評価において
も、またモニターの頭髪での感触評価においても、ポリ
オキシエチレンオレイルエーテル(E.O.100)を
含有させた実施例1の酸化型染毛剤1剤を用いて染毛処
理した場合の方が、カチオン化セルロースを含有させた
比較例3の酸化型染毛剤1剤を用いて染毛処理した場合
より、「指通り性が良い」ということは、本発明の酸化
型染毛剤1剤を用いて染毛処理した場合には毛髪をギシ
ギシさせることが少ないことを示しているものと判断で
きる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、毛髪
に塗布するのに適した粘性を有し、かつ操作性が良好な
クリーム状で中性タイプの酸化型染毛剤1剤を提供する
ことができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏原 光喜 大阪市旭区赤川2丁目17番2号 株式会社 ミルボン内 (72)発明者 藤井 一樹 大阪市旭区赤川2丁目17番2号 株式会社 ミルボン内 (72)発明者 金山 勝美 大阪市旭区赤川2丁目17番2号 株式会社 ミルボン内 Fターム(参考) 4C083 AA122 AB412 AC022 AC071 AC072 AC181 AC182 AC482 AC54 AC552 AC691 AC692 AC732 AC892 AD642 BB21 BB45 BB47 BB48 CC36 DD31 EE26

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも酸化染料、酸化防止剤、キレ
    ート剤、防腐剤およびアルキル基の炭素数が12〜18
    でエチレンオキシドの付加モル数が50〜150のポリ
    オキシエチレンアルキルエーテルを水中に含有する水相
    と、少なくとも油分、高級アルコールおよびアルキル基
    の炭素数が12〜18のハロゲン化アルキルトリメチル
    アンモニウムを含有する油相とを混合して乳化したこと
    を特徴とするクリーム状で中性タイプの酸化型染毛剤1
    剤。
  2. 【請求項2】 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテ
    ルがポリオキシエチレンオレイルエーテルである請求項
    1記載の酸化型染毛剤1剤。
  3. 【請求項3】 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテ
    ルの含有量が0.3〜3質量%である請求項1または2
    記載の酸化型染毛剤1剤。
  4. 【請求項4】 少なくとも酸化染料、酸化防止剤、キレ
    ート剤、防腐剤およびアルキル基の炭素数が12〜18
    でエチレンオキシドの付加モル数が50〜150のポリ
    オキシエチレンアルキルエーテルを加熱して水中に可溶
    化してなる水相と、少なくとも油分、高級アルコールお
    よびアルキル基の炭素数が12〜18のハロゲン化アル
    キルトリメチルアンモニウムを加熱して溶解してなる油
    相とを混合して乳化することを特徴とするクリーム状で
    中性タイプの酸化型染毛剤1剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 加熱温度が75〜95℃である請求項4
    記載の酸化型染毛剤1剤の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテ
    ルがポリオキシエチレンオレイルエーテルである請求項
    4または5記載の酸化型染毛剤1剤の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ポリオキシエチレンアルキルエーテ
    ルの含有量が0.3〜3質量%である請求項4〜6のい
    ずれかに記載の酸化型染毛剤1剤の製造方法。
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