JP5654811B2 - ヘアトリートメント剤 - Google Patents

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本発明は、複数の剤を順次塗布して用いるヘアトリートメント剤に関する。
ヘアトリートメント剤には、例えば、油脂、各種エステル、又はシリコーン油が含有されている。油脂や各種エステルは、例えば毛髪に柔らかさを付与する働きを有する。シリコーン油は、例えば毛髪を指通りの良い状態にする働きを有する。こうしたヘアトリートメント剤としては、複数の成分を含有する単独の剤を塗布するヘアトリートメント剤が主流であるが、複数の剤を順次塗布するヘアトリートメント剤も提案されている(特許文献1〜4参照)。特許文献1のケラチン質繊維処理剤は、金属イオンを含有する第1剤と、金属イオンと反応する成分を含有する第2剤とから構成されている。特許文献2の毛髪処理剤は、アニオン性基を有する多糖類を含有する第1剤と、カチオン性界面活性剤を含有する第2剤とから構成されている。特許文献3には、油類を含有する非水系化粧料と、水系化粧料とから構成される二剤型化粧料が記載されている。特許文献4の毛髪処理剤は、アミノ変性シリコーンを含有する第1剤と、メチル水素ポリシロキサンを含有する第2剤とから構成されている。
特開平06−009347号公報 特開平06−087726号公報 特開平11−228332号公報 特開2001−226236号公報
本発明者は、ヘアトリートメント剤を適用した毛髪であっても、毛髪の弾力感が失われていくことに着目して鋭意研究を行った結果、毛髪が水で膨潤し易い状態になるにしたがって、弾力感の低下が発現しているという知見を得た。こうした知見の下で、本発明は、順次塗布する複数の剤を備えたヘアトリートメント剤において、毛髪の水膨潤性が高まることを抑制し、かつ、毛髪を指通りの良い状態として持続させる構成を見出すことでなされたものである。
本発明の目的は、毛髪の水膨潤性が高まることを抑制するとともに、毛髪を指通りの良い状態として持続させることの容易なヘアトリートメント剤を提供することにある。
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明のヘアトリートメント剤は、第1剤、第2剤、及び第3剤の順に、第1剤の塗布から第3剤の塗布まで、水又は温水による洗浄を行わずに毛髪に重ねて塗布して用いる各剤を備えたヘアトリートメント剤であって、前記第1剤は、シリコーン油を含有してなり、前記第2剤は、植物油、パラフィン類、飽和脂肪酸エステル、及びトリグリセリドから選ばれる少なくとも一種の液状油性成分を含有してなり、前記飽和脂肪酸エステルは、ミリスチン酸イソプロピルを含み、前記第3剤は、カチオン性界面活性剤を含有してなり、前記第2剤中における前記液状油性成分の含有量が50質量%以上であることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のヘアトリートメント剤において、前記シリコーン油が、アミノ変性シリコーン、及び末端水酸基変性ジメチルポリシロキサンの少なくとも一方を含むことを要旨とする。
本発明によれば、毛髪の水膨潤性が高まることを抑制するとともに、毛髪を指通りの良い状態として持続させることの容易なヘアトリートメント剤を提供することができる。
以下、本発明のヘアトリートメント剤を具体化した実施形態について詳細に説明する。
ヘアトリートメント剤は、第1剤、第2剤、及び第3剤から構成され、これらの剤を第1剤、第2剤、及び第3剤の順に毛髪に重ねて塗布して用いる。第1剤には、シリコーン油が含有されている。第2剤には、植物油、パラフィン類、飽和脂肪酸エステル、及びトリグリセリドから選ばれる少なくとも一種の液状油性成分が含有されている。第2剤中における液状油性成分の含有量は、50質量%以上である。第3剤には、カチオン性界面活性剤が含有されている。本実施形態のヘアトリートメント剤は、染色された毛髪に適用される。
第1剤に含有されるシリコーン油は、第2剤及び第3剤とともに用いられることで、毛髪の膨潤性が高まることを抑制するとともに、毛髪を指通りの良い状態に持続させる。
シリコーン油の具体例は、例えば、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650〜10,000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンを含む。
使用されるシリコーン油は一種類のみであってもよいし、二種類以上のシリコーン油を組み合わせて使用してもよい。
シリコーン油としては、毛髪への親和性に優れるという観点から、アミノ変性シリコーン、及び末端水酸基変性ジメチルポリシロキサンの少なくとも一方を含むことが好ましい。
アミノ変性シリコーンは、下記一般式(1)に示される。
Figure 0005654811
(一般式(1)中、Rはメチル基又はヒドロキシル基を表し、Rはメチル基、ヒドロキシル基又はRを表す。RはRZで表されるアミノ基又はアンモニウム基を有する置換基を表し、a及びbはそれぞれ分子量に依存する整数を表し、a+bは50〜20,000である。また、Rは炭素数3〜6の2価の炭化水素基を表す。Zは、−NR 、−N 、−NR(CHNR 、−NR(CH 、及び−NR(CHNRC=O(R)からなる群より選ばれる1価の基を表す。ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基、Rは炭素数1〜4の炭化水素基、Aはハロゲン原子、及びcは2〜6の整数を表す。)
アミノ変性シリコーンの具体例は、例えば、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、及びアミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)を含む。
アミノ変性シリコーンを使用する場合においては、一種類のみであってもよいし、二種類以上のアミノ変性シリコーンを組み合わせて使用してもよい。
末端水酸基変性ジメチルポリシロキサンとしては、片末端が水酸基で変性ジメチルポリシロキサンであってもよいが、両末端が水酸基で変性されたジヒドロキシポリジメチルシロキサン(ジメチコノール)が好ましい。
シリコーン油の動粘度(25℃)は、例えば1〜1,000万mm/sの範囲のシリコーン油を用いることができる。動粘度は、JIS Z 8803(液体の粘度−測定方法)に記載されるように、例えばウベローデ粘度計を用いて測定される。
第1剤中におけるシリコーン油の含有量は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜8質量%、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。シリコーン油の含有量が0.01質量%以上の場合、上記の作用効果が顕著に得られ易くなる。一方、シリコーン油の含有量が10質量%を超える場合、毛髪が重い感触となるおそれがある。
第1剤は、上記の作用効果を高めるという観点から、水を50質量%以上含有する水系の剤として構成することが好ましく、水を60質量%以上含有する水系の剤として構成することがさらに好ましい。
第1剤の剤型は、特に限定されず、例えば、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、泡状(フォーム状)、及びクリーム状のいずれであってもよい。
第2剤は、50質量%以上の液状油性成分を含有し、第1剤及び第3剤とともに用いられることで、毛髪の膨潤性が高まることを抑制するとともに、毛髪を指通りの良い状態に持続させる。液状油性成分は、植物油、パラフィン類、飽和脂肪酸エステル、及びトリグリセリドから選ばれる少なくとも一種である。液状油性成分の液状とは、25℃において液状であること表す。
植物油の具体例は、例えば、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油を含む。
パラフィン類の具体例は、例えば、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、ポリブテン、流動イソパラフィン、及び流動パラフィンが挙げられる。
飽和脂肪酸エステルの具体例は、例えば、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル(カプリル酸セチル)、パルミチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、及び酢酸ラノリンを含む。
トリグリセリドの具体例は、例えば、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、カプリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリステアリン酸グリセリル、及びトリパルミチン酸グリセリルを含む。
第2剤中における液状油性成分の含有量が50質量%未満の場合、指通りの良さの持続性が十分に得られ難くなり、また、毛髪の膨潤性を抑制する効果が極めて得られ難くなる。
第2剤の剤型は、特に限定されず、例えば、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、泡状(フォーム状)、及びクリーム状のいずれであってもよい。
第3剤は、カチオン性界面活性剤を含有し、第1剤及び第2剤とともに用いられることで、毛髪の膨潤性が高まることを抑制するとともに、毛髪を指通りの良い状態に持続させる。
カチオン性界面活性剤の具体例は、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム(セトリモニウムクロリド)、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(ステアルトリモニウムクロリド)、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアルミニウム(ベヘントリモニウムクロリド)、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(ジステアリルジモニウムクロリド)、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、及びクオタニウム−91を含む。
使用されるカチオン性界面活性剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上のカチオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
第3剤中におけるカチオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜15質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。
第3剤には、上記の作用効果を高めることがさらに容易になるという観点から、融点が50〜55℃の植物油脂をさらに含有させることが好ましい。
融点が50〜55℃の植物油脂は、特に限定されないが、具体的には、水添パーム油が好適である。使用される前記植物油脂は一種類のみであってもよいし、二種類以上の前記植物油脂を組み合わせて使用してもよい。
第3剤中における融点が50〜55℃の植物油脂の含有量は、好ましくは0.01〜20質量%、より好ましくは0.05〜15質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。
第3剤の剤型は、特に限定されず、例えば、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、泡状(フォーム状)、及びクリーム状のいずれであってもよい。
第1剤、第2剤、及び第3剤の各剤には、上記成分以外の成分を含有させることもできる。例えば、第1剤には、液状油性成分、及びカチオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種を含有させることもできる。第2剤には、シリコーン油、及びカチオン性界面活性剤から選ばれる少なくとも一種を含有させることもできる。第3剤には、シリコーン油、及び液状油性成分から選ばれる少なくとも一種を含有させることもできる。
第1剤は、シリコーン油の作用効果を十分に発揮させることが容易であるという観点から、液状油性成分が含有されないか、又は液状油性成分が10質量%以下の範囲で含有される構成であることが好ましい。
第2剤は、液状油性成分の作用効果を十分に発揮させることが容易であるという観点から、シリコーン油が含有されないか、又はシリコーン油が10質量%以下の範囲で含有される構成であることが好ましい。
第3剤は、カチオン性界面活性剤の作用効果を十分に発揮させることが容易であるとともに毛髪が重い感触となることを抑制するという観点から、上記の液状油性成分を含有させる場合には40質量%以下の範囲であることが好ましく、30質量%以下の範囲であることがより好ましい。
第1剤、第2剤、及び第3剤は、必要に応じて、例えば、低級アルコール、水溶性高分子化合物、上記液状油性成分以外の油性成分、多価アルコール、上記カチオン性界面活性剤以外の界面活性剤、防腐剤、安定剤、pH調整剤、植物・微生物抽出物、タンパク加水分解物、生薬抽出物、糖類、ビタミン、香料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、及びキレート剤のいずれかをさらに含有してもよい。
低級アルコールの具体例は、例えば、炭素数が7以下のアルコールを含む。水溶性高分子化合物の具体例は、例えば、アニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、非イオン性高分子化合物、及び両性の天然又は合成高分子化合物を含む。カチオン性高分子化合物の具体例は、例えば、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリクオタニウム−10、及びカチオン化グアーガムを含む。
非イオン性の合成高分子化合物の具体例は、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、及びポリエチレングリコールを含む。両性の合成高分子化合物の具体例は、例えば、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、及びポリクオタニウム−47を含む。
油性成分の具体例は、例えば、油脂、ロウ、高級アルコール、炭化水素、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、及び上記飽和脂肪酸エステル以外のエステルを含む。
油脂の具体例は、例えば、ラノリンを含む。ロウの具体例は、例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンを含む。
高級アルコールの具体例は、例えば、セチルアルコール(セタノール)、2−ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2−オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールを含む。
炭化水素の具体例は、例えば、ミネラルオイル、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンを含む。
高級脂肪酸の具体例は、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びラノリン脂肪酸を含む。アルキルグリセリルエーテルの具体例は、例えば、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルを含む。
エステルの具体例は、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、リシノール酸オクチルドデシル、10〜30の炭素数を有する不飽和脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2−エチルヘキサン酸セチルを含む。
多価アルコールの具体例は、例えば、グリコール、及びグリセリンを含む。グリコールの具体例は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3−ブチレングリコールを含む。グリセリンの具体例は、例えば、グリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンを含む。
界面活性剤としては、アニオン性、両性、及びノニオン性のいずれも使用することができるが、界面活性剤を含有させる場合には、ノニオン性界面活性剤を含有させることが好ましい。
アニオン性界面活性剤の具体例は、例えば、アルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、ココイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルを含む。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンのいずれであってもよい。
両性界面活性剤の具体例は、例えば、ココベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、及びラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)を含む。
非イオン性界面活性剤の具体例は、例えば、エーテル型非イオン性界面活性剤、及びエステル型非イオン性界面活性剤を含む。
エーテル型非イオン性界面活性剤の具体例は、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEという。)セチルエーテル(セテス)、POEステアリルエーテル(ステアレス)、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル(オレス)、POEラウリルエーテル(ラウレス)、POEオクチルドデシルエーテル、POEヘキシルデシルエーテル、POEイソステアリルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEオクチルフェニルエーテル、POEセチルステアリルジエーテル、及びPOEラウリン酸モノエタノールアミドを含む。
エステル型非イオン性界面活性剤の具体例は、例えば、モノオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEソルビタン、モノパルミチン酸POEソルビタン、モノラウリン酸POEソルビタン、トリオレイン酸POEソルビタン、モノステアリン酸POEグリセリン、モノミリスチン酸POEグリセリン、テトラオレイン酸POEソルビット、ヘキサステアリン酸POEソルビット、モノラウリン酸POEソルビット、POEソルビットミツロウ、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−10、ポリオキシエチレンモノヤシ油脂肪酸グリセリル(PEG−7グリセリルココエート)、親油型モノオレイン酸グリセリン、親油型モノステアリン酸グリセリン、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ショ糖脂肪酸エステル、モノラウリン酸デカグリセリル(ラウリン酸ポリグリセリル−10)、モノステアリン酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリル、及びモノミリスチン酸デカグリセリルを含む。
防腐剤の具体例は、例えば、安息香酸ナトリウム、メチルパラベン、及びフェノキシエタノールを含む。安定剤の具体例は、例えば、フェナセチン、8−ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸を含む。
pH調整剤の具体例は、例えば、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、安息香酸、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及び塩基性アミノ酸を含む。
植物・微生物抽出物の具体例は、例えば、保湿効果を有する加水分解酵母エキスを含む。タンパク加水分解物の具体例は、例えば、加水分解ケラチン、(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、及びヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コムギタンパクを含む。酸化防止剤の具体例は、例えば、アスコルビン酸、及び亜硫酸塩を含む。キレート剤の具体例は、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩類を含む。
また、ヘアトリートメント剤は、「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されているものから選ばれる少なくとも一種をさらに含有してもよい。
ヘアトリートメント剤は、染毛剤で染色した毛髪に適用されることで、その毛髪の退色を抑制する。本実施形態のヘアトリートメント剤は、染毛剤としての酸化染毛剤で染色した毛髪に適用される。
酸化染毛剤としては、例えば二剤式の酸化染毛剤が挙げられる。酸化染毛剤の第1剤は、酸化染料及びアルカリ剤を含有している。酸化染毛剤の第2剤は、酸化剤を含有している。酸化染料は、少なくとも染料中間体を含有し、必要に応じてカプラーを含有する。
染料中間体の具体例は、例えば、フェニレンジアミン類(但し、メタフェニレンジアミンを除く。)、アミノフェノール類(但し、メタアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノール及びパラメチルアミノフェノールを除く。)、トルイレンジアミン類(但し、トルエン−3,4−ジアミン及びトルエン−2,4−ジアミンを除く。)、ジフェニルアミン類、ジアミノフェニルアミン類、N−フェニルフェニレンジアミン類、ジアミノピリジン類(但し、2,6−ジアミノピリジンを除く。)、及びそれらの塩類を含む。塩類の具体例は、例えば、塩酸塩、硫酸塩、及び酢酸塩を含む。使用される染料中間体は一種類のみであってもよいし、二種類以上の染料中間体を組み合わせて使用してもよい。
カプラーは、染料中間体と結合することにより発色する。カプラーの具体例は、例えば、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、メタアミノフェノール、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、1,2,4−ベンゼントリオール、トルエン−3,4−ジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、ハイドロキノン、α−ナフトール、2,6−ジアミノピリジン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、5−アミノオルトクレゾール、パラメチルアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)−2−メチルフェノール及びそれらの塩を含む。使用されるカプラーは一種類のみであってもよいし、二種類以上のカプラーを組み合わせて使用してもよい。
アルカリ剤の具体例は、例えば、アンモニア、アルカノールアミン、有機アミン類、無機アルカリ、塩基性アミノ酸、及びそれらの塩を含む。有機アミン類の具体例は、例えば、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、及びグアニジンを含む。無機アルカリの具体例は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウムを含む。塩基性アミノ酸の具体例は、例えば、アルギニン、及びリジンが挙げられる。塩としては、例えばアンモニウム塩が挙げられる。使用されるアルカリ剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上のアルカリ剤を組み合わせて使用してもよい。
酸化剤の具体例としては、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、及び、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物が挙げられる。使用される酸化剤は一種類のみであってもよいし、二種類以上の酸化剤を組み合わせて使用してもよい。
酸化染毛剤の各剤は、必要に応じて、水、油性成分、界面活性剤、水溶性高分子化合物、多価アルコール、糖類、防腐剤、キレート剤、安定剤、pH調整剤、植物・微生物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤から選ばれる少なくとも一種をさらに含有してもよい。これらの成分の詳細については、ヘアトリートメント剤に関する説明の中に記載があるので省略する。また、酸化染毛剤の各剤は、「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されているものから選ばれる少なくとも一種をさらに含有してもよい。
酸化染毛剤の各剤の剤型は、特に限定されず、例えば、水溶液状、分散液状、乳化物状、ゲル状、泡状(フォーム状)、及びクリーム状のいずれであってもよい。なお、ここでは、二剤式の酸化染毛剤について説明したが、これに限定されず、例えば、少なくとも一方の剤を複数の剤に分割して構成するとともに、それら複数の剤を使用時に混合するように構成した酸化染毛剤であってもよい。
本実施形態の酸化染毛剤は、用時に酸化染毛剤の第1剤及び酸化染毛剤の第2剤を混合して得られる混合物として毛髪に塗布される。毛髪に塗布された酸化染毛剤が所定時間放置されることで、毛髪は染色される。その後、酸化染毛剤が、例えば温水で毛髪から洗い流されることで、毛髪の染色が完了される。染色された毛髪に対して、上述したヘアトリートメント剤が適用される。
まず、毛髪にヘアトリートメント剤の第1剤が塗布される。その塗布されたヘアトリートメント剤の第1剤に重ねてヘアトリートメント剤の第2剤が塗布される。続いて、その塗布されたヘアトリートメント剤の第2剤に重ねてヘアトリートメント剤の第3剤が塗布される。すなわち、ヘアトリートメント剤の第2剤は、シリコーン油を含有する第1剤に重ねて塗布されるとともに、第1剤に重ねて塗布された後に、さらにカチオン性界面活性剤を含有する第3剤が塗布される態様で用いられる。この態様では、第1剤の塗布から第3剤の塗布まで毛髪は温水等による洗浄は行われない。こうして適用されるヘアトリートメント剤の第2剤には、前記液状油性成分が50質量%以上含有されているため、毛髪の膨潤性が高まることが抑制されるとともに、毛髪を指通りは良い状態に持続される。
ヘアトリートメント剤は、染色した毛髪の退色を抑制し、その効果を持続させるという観点から、染色した直後の濡れた状態の毛髪、すなわち染色した後に乾燥させることなく濡れたままの毛髪に対して適用されることが好ましい。
以上詳述した本実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)ヘアトリートメント剤は、第1剤、第2剤、及び第3剤の順に毛髪に重ねて塗布して用いる各剤を備えている。第1剤は、シリコーン油を含有している。第2剤は、上記の液状油性成分を含有している。第3剤は、カチオン性界面活性剤を含有している。こうした第2剤中における液状油性成分の含有量が50質量%以上であることにより、毛髪の水膨潤性が高まることを抑制するとともに、毛髪を指通りの良い状態を持続させることが容易となる。そして、このように水膨潤性が高まることを抑制することで、毛髪の弾力感が得られ易くなる。
(2)シリコーン油が、アミノ変性シリコーン及び末端水酸基変性ジメチルポリシロキサンの少なくとも一方を含むことで、上記(1)で述べた作用効果を高めることがさらに容易となる。
(3)酸化染毛剤を用いて染色させた毛髪の水膨潤性が高まることで、退色が進行し易くなる。この点、本実施形態のヘアトリートメント剤は、毛髪の水膨潤性が高まることを抑制することができる結果、染色された毛髪の退色を抑制することができる。また、毛髪の退色を抑制する効果が持続されるようになる。
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
・ヘアトリートメント剤は、染色の完了後に乾燥した毛髪、すなわち、酸化染毛剤を毛髪から洗い流した後に乾燥した毛髪に対して適用してもよい。また例えば、酸化染毛剤を塗布し、所定時間放置した毛髪に対して、その毛髪上の酸化染毛剤と混合する態様でヘアトリートメント剤を適用してもよい。
・前記ヘアトリートメント剤は、酸化染毛剤で染色した毛髪に適用されているが、酸性染毛料(ヘアマニキュア)で染色した毛髪に適用されてもよい。この場合であっても、上記(1)及び(3)欄で述べた作用効果を得ることができる。
・ヘアトリートメント剤は、染毛剤で染色されていない毛髪に適用されてもよい。
・ヘアトリートメント剤は、毛髪に適用した後に、例えば温水で洗い流してもよいし、例えば次回の洗髪まで洗い流さずに放置してもよい。
・前記第1剤及び第3剤を共通の剤とし、その共通の剤を第2剤の塗布の前後に用いるように構成してもよい。すなわち、シリコーン油及びカチオン性界面活性剤のいずれも含有する第1剤、上記第2剤、及び、その第1剤と共通の剤である第3剤の順に毛髪に重ねて塗布して用いる各剤を備えたヘアトリートメント剤を構成することもできる。
・ヘアトリートメント剤は、前記実施形態のように第1剤、第2剤、及び第3剤から構成してもよいし、例えばカチオン性界面活性剤を含有する第4剤を備え、その第4剤を第3剤に重ねて塗布するように構成してもよい。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(イ)前記第1剤は、前記液状油性成分が含有されないか、又は前記液状油性成分が10質量%以下の範囲で含有される構成であるヘアトリートメント剤。
(ロ)前記第2剤は、前記シリコーン油が含有されないか、又は前記シリコーン油が10質量%以下の範囲で含有される構成であるヘアトリートメント剤。
(ハ)シリコーン油を含有する第1剤に重ねて塗布されるとともに、前記第1剤に重ねて塗布された後に、さらにカチオン性界面活性剤を含有する第3剤が塗布される態様で用いられるヘアトリートメント剤の第2剤であって、植物油、パラフィン類、飽和脂肪酸エステル、及びトリグリセリドから選ばれる少なくとも一種の液状油性成分を含有し、前記液状油性成分の含有量が50質量%以上であることを特徴とするヘアトリートメント剤の第2剤。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態を具体的に説明する。
(実施例1〜8)
表1に示される成分を混合することにより、各例のヘアトリートメント剤を調製した。以下の表において各成分の含有量を表している数値の単位は質量%である。また、以下の表のヘアトリートメント剤において、第1剤に配合したシリコーン油については(A)、第2剤に配合した液状油性成分については(B)、及び第3剤に配合したカチオン性界面活性剤については(C)を付している。
Figure 0005654811
<試験用の毛束サンプルの作製>
長さ15cmの黒髪毛束を準備し、その黒髪毛束を脱色剤(ホーユー株式会社製、(商品名)プロマスターEX LT)で脱色処理した後、乾燥させた。次に、脱色された毛束を表2に示される酸化染毛剤により染色した。まず、酸化染毛剤の第1剤及び第2剤を1:1の質量比で混合した混合物を前記毛束に塗布した。その毛束を所定時間放置した後に、酸化染毛剤を温水で洗い流すことで毛束の染色を完了した。この染色された毛束を試験用の毛束サンプルとした。この試験用の毛束サンプルは、乾燥させることなく濡れた状態とされている。
Figure 0005654811
<ヘアトリートメント剤の適用>
表1に示される各例のヘアトリートメント剤を試験用の毛束サンプルに適用した。まず、ヘアトリートメント剤の第1剤、第2剤、及び第3剤を順に前記毛束サンプルに重ねて塗布した後、ヘアトリートメント剤を温水で洗い流した。次に、毛束サンプルに市販のシャンプー及び市販のコンディショナーを常法に従って適用した後にドライヤーを用いて乾燥させた。
<指通りの良さ>
各例のヘアトリートメント剤を適用した毛束サンプルの指通りと、比較用の毛束サンプルの指通りとをパネラー20名に比較してもらった。比較用の毛束サンプルは、上記試験用の毛束サンプルにヘアトリートメント剤を適用せずに、市販のシャンプー及び市販のコンディショナーを常法に従って適用した後にドライヤーを用いて乾燥させることで作製したものである。
各例のヘアトリートメント剤を適用した毛束サンプルについて、比較用の毛束サンプルに対して指通りが良いと認められると答えたパネラーの人数が17名以上であった場合には“5”、13〜16名であった場合には“4”、9〜12名であった場合には“3”、5〜8名であった場合には“2”、4名以下であった場合には“1”とする5段階の評価を下した。この評価の結果を表1の“指通りの良さ”欄に示す。
<指通りの良さの持続性>
指通りの良さの持続性の評価に用いる評価用の毛束サンプルを作製した。評価用の毛束サンプルは、上記<ヘアトリートメント剤の適用>と同様にして得られた毛束サンプルをさらに50℃のラウリル硫酸ナトリウム1質量%水溶液に6分間浸漬(シャンプーを繰り返し行う処理についての加速試験に相当)した後に、水洗した。次に、毛束サンプルに市販のシャンプー及び市販のコンディショナーを常法に従って適用した後にドライヤーを用いて乾燥させた。
評価用の毛束サンプル以外に、上記<ヘアトリートメント剤の適用>で得られた毛束サンプルを基準の毛束サンプルとして用意した。
各例について、基準の毛束サンプルの指通りと、評価用の毛束サンプルの指通りとをパネラー20名に比較してもらった。そして、両者の指通りに差がほとんど認められない、すなわち指通りの良さが持続されていると答えたパネラーの人数に基づいて5段階の評価を下した。パネラーの人数と5段階の評価との関係については、上記<指通りの良さ>と同じである。この評価の結果を表1の“指通りの良さの持続性”欄に示す。
<水膨潤性の抑制効果>
上記試験用の毛束サンプルをドライヤーで乾燥させた。この毛束サンプルの光学顕微鏡で観察し、乾燥状態の毛髪の直径(R1)を計測した。次に、直径(R1)を計測した毛髪を水で膨潤させた状態にして光学顕微鏡にて観察し、直径(R2)を計測した。
一方、上記<ヘアトリートメント剤の適用>で得られた毛束サンプルについても同様に、乾燥状態の毛髪の直径(R3)、及び水で膨潤させた毛髪の直径(R4)を計測した。
こうして計測された直径(R1)〜直径(R4)を、下記の式に代入して、水膨潤性の抑制割合を算出した。
水膨潤性の抑制割合(%)=100−100×〔(R4/R3)/(R2/R1)
上記の式に示されるように、水膨潤性の抑制割合は、毛髪の断面が真円状であると仮定し、毛髪を乾燥状態から膨潤状態への断面積の変化に基づいて算出される値である。水膨潤性の抑制割合が高いほど、毛髪は、染色によってダメージを受ける前の状態に近いことになるため、毛髪本来の弾力感が得られ易くなる。
各例について、水膨潤性の抑制割合が15%以上である場合には“5”、11%以上で15%未満である場合には“4”、7%以上で11%未満である場合には“3”、3%以上で7%未満である場合には“2”、3%未満である場合には“1”とする5段階の評価を下した。この評価の結果を表1の“水膨潤性の抑制効果”欄に示す。
<退色抑制効果>
各例のヘアトリートメント剤を適用した毛束サンプルの色調と、比較用の毛束サンプルの色調とをパネラー20名に比較してもらった。比較用の毛束サンプルは、上記試験用の毛束サンプルにヘアトリートメント剤を適用せずに、市販のシャンプー及び市販のトリートメントを常法に従って適用した後にドライヤーを用いて乾燥させることで作製したものである。
各例のヘアトリートメント剤を適用した毛束サンプルについて、比較用の毛束サンプルよりも退色が抑制されていることが認められると答えたパネラーの人数に基づいて5段階の評価を下した。パネラーの人数と5段階の評価との関係については、上記<指通りの良さ>と同じである。この評価の結果を表1の“退色抑制効果”欄に示す。
<退色抑制効果の持続性>
退色抑制効果の持続性の評価に用いる評価用の毛束サンプルを作製した。評価用の毛束サンプルは、指通りの良さの持続性の評価に用いる評価用の毛束サンプルと同じものである。
評価用の毛束サンプル以外に、上記<ヘアトリートメント剤の適用>で得られた毛束サンプルを基準の毛束サンプルとして用意した。
各例について、基準の毛束サンプルの色調と、評価用の毛束サンプルの色調とをパネラー20名に比較してもらった。そして、両者の色調に差がほとんど認められない、すなわち退色抑制効果が十分に持続されていると答えたパネラーの人数に基づいて5段階の評価を下した。パネラーの人数と5段階の評価との関係については、上記<指通りの良さ>と同じである。この評価の結果を表1の“退色抑制効果の持続性”欄に示す。
(比較例1〜8)
比較例1では、実施例1のヘアトリートメント剤において、第2剤及び第3剤を省略して第1剤のみとした。比較例2では、実施例1のヘアトリートメント剤において、第1剤及び第3剤を省略して第2剤のみとした。比較例3では、実施例1のヘアトリートメント剤において、第1剤及び第2剤を省略して第3剤のみとした。比較例1〜3については、指通りの良さの持続性、及び退色抑制効果の持続性の各持続性の評価以外の評価を上記実施例と同様にして評価した。比較例4〜8では、表3に示されるようにヘアトリートメント剤の組成を変更した以外は、上記実施例と同様にして各評価を行った。この評価の結果を表3の各欄に示す。
Figure 0005654811
比較例1〜3では、第1剤、第2剤、及び第3剤のいずれかを省略したため、指通りの良さ、水膨潤性の抑制効果、及び退色抑制効果のいずれの評価結果も、各実施例より劣っていることが分かる。
比較例4では、第1剤にシリコーン油を含有させていない。比較例5では、第2剤の液状油性成分を削減している。比較例6及び比較例7では、第2剤の液状油性成分を削減するとともに、その第2剤にシリコーン油を含有させている。比較例8では、第3剤にカチオン性界面活性剤を含有させていない。こうした比較例4〜8では、各評価の結果が表1に示される各実施例の評価の結果よりも劣っていることが分かる。
(比較例9〜11)
比較例9〜11は、上記<ヘアトリートメント剤の適用>について、次のように変更した以外は、実施例1と同じである。すなわち、比較例9では、第1剤を塗布した毛束サンプルを温水で洗浄した後に、第2剤を塗布した。比較例10では、第2剤を塗布した毛束サンプルを温水で洗浄した後に、第3剤を塗布した。比較例11では、第1剤、第2剤、及び第3剤を混合した混合物を試験用の毛束サンプルに塗布した。上記実施例と同様にして各評価を行った結果を表4の各欄に示す。
Figure 0005654811
比較例9〜11では、ヘアトリートメント剤の適用態様を上記のように変更したことで、各評価の結果が表1に示される実施例1の各評価の結果よりも劣っていることが分かる。

Claims (2)

  1. 第1剤、第2剤、及び第3剤の順に、第1剤の塗布から第3剤の塗布まで、水又は温水による洗浄を行わずに毛髪に重ねて塗布して用いる各剤を備えたヘアトリートメント剤であって、
    前記第1剤は、シリコーン油を含有してなり、
    前記第2剤は、植物油、パラフィン類、飽和脂肪酸エステル、及びトリグリセリドから選ばれる少なくとも一種の液状油性成分を含有してなり、前記飽和脂肪酸エステルは、ミリスチン酸イソプロピルを含み、
    前記第3剤は、カチオン性界面活性剤を含有してなり、
    前記第2剤中における前記液状油性成分の含有量が50質量%以上であることを特徴とするヘアトリートメント剤。
  2. 前記シリコーン油が、アミノ変性シリコーン、及び末端水酸基変性ジメチルポリシロキサンの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載のヘアトリートメント剤。
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