<1.画像読取装置1の概略構成>
本発明を具現化した実施形態について、図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、画像読取装置1は、筐体10、給紙トレイ16、及び、排紙トレイ18を備えている。図2においては、筐体10のうち後述する第二筐体12が省略されている。以下の説明においては、図1の上側、下側、左方斜め上側、右斜め下側、左斜め下側、及び右斜め上側を、夫々、画像読取装置1の上側、下側、左側、右側、前側、及び、後側とする。
図1に示すように、筐体10は、第一筐体11及び第二筐体12を有する。第一筐体11及び第二筐体12の夫々の形状は、略箱状である。図2に示すように、第一筐体11は上面11Aを有する。上面11Aは、後側から前側に向かうに従って下側に傾斜する。第一筐体11は支持部材11Bを有する。支持部材11Bは、上面11Aのうち左右方向の中央且つ後側の一部を形成する。支持部材11Bは、後述する給紙ローラ41及びセットガイド86の周囲に配置されている。第一筐体11は、上面11Aの下端部の左右方向の両端部で、第二筐体12の下端部を回転可能に支持する。第二筐体12は、下端部に沿って左右方向に延びる仮想的な直線を中心として回転可能である。
以下の説明においては、上面11Aの左右方向の中心を通り、且つ、上面11Aに沿って延びる仮想的な直線を、中心線11Cという。特段の限定がない限り、時計回り及び反時計回りは、右側から見た場合における回転方向を示す。
図1に示すように、第二筐体12は、筐体10の上側の面を形成する上側面12Bを有する。上側面12Bには、ディスプレイ121及び操作部122が設けられている。操作部122は、画像読取装置1に対して指示を入力することが可能な、複数の押ボタンである。ディスプレイ121及び操作部122は、制御部131と電気的に接続する。制御部131は、例えば、第二筐体12のうち上側面12Bの裏側に配置されている。制御部131は、画像読取装置1を制御するCPU、及びCPUが画像読取装置1を制御するためのプログラムを記憶する記憶部等を含む。
第二筐体12の上端と図2に示す上面11Aとは、夫々によって挟まれた部分に給紙口10Aを形成する。第二筐体12の下端と図2に示す上面11Aとは、夫々によって挟まれた部分に排紙口10Bを形成する。第二筐体12と上面11Aとは、夫々によって挟まれた部分に図2及び図4に示す搬送経路20を形成する。搬送経路20は、給紙口10A及び排紙口10Bによって筐体10の外側と繋がる。
図1及び図2に示すように、給紙トレイ16は、給紙部161、162、163を有する。給紙部161〜163の形状は、略板状である。給紙部161は、第一筐体11のうち給紙口10Aの後側から、後方斜め上側に向けて延びる。給紙部161の上側の面を、トレイ面171という。給紙部161のトレイ面171の左部及び右部には、ガイド165が設けられている。ガイド165は、トレイ面171に沿って左右方向に移動可能である。ガイド165は、給紙部161に載置されたシートの左右方向の位置を、左右方向の中心に揃える。給紙部162は、給紙部161の上側の端部から、後方斜め上側に向けて延びる。給紙部163は、給紙部162の上側の端部から、後方斜め上側に向けて延びる。給紙部162,163は、後斜め上側と前斜め下側とに移動可能である。
図1に示すように、排紙トレイ18は、排紙部181、182、183を有する。排紙部181〜183の形状は、略板状である。排紙部181は、第一筐体11のうち排紙口10Bの下側から、前側に向けて延びる。排紙部182は、排紙部181の前側の端部から、前側に向けて延びる。排紙部183は、排紙部182の前側の端部から、前側に向けて延びる。排紙部181〜183は、前後方向に移動可能である。
図2に示すように、第一筐体11には、給紙ローラ411、412、搬送ローラ911、912、及び、搬送ローラ921、922が設けられている。以下の説明においては、給紙ローラ411,412を総称して給紙ローラ41という場合がある。搬送ローラ911,912を総称して搬送ローラ91という場合がある。搬送ローラ921,922を総称して搬送ローラ92という場合がある。給紙ローラ41、搬送ローラ91、及び、搬送ローラ92は、上面11Aに沿って後方斜め上側から前方斜め下側に順番に並ぶ。給紙ローラ411、搬送ローラ911、921は、中心線11Cよりも左側に配置されている。給紙ローラ412、搬送ローラ912、922は、中心線11Cよりも右側に配置されている。
画像読取部93は、周知の接触型イメージセンサである。画像読取部93は、第一筐体11の上面11Aのうち、搬送ローラ91と搬送ローラ92との間に設けられている。画像読取部93は、図1に示す制御部131と電気的に接続する。画像読取部93は、給紙方向に向けて搬送されるシートの第一方向側の画像を読み取る。画像読取部93は、読み取った画像のデータを、制御部131に出力する。
給紙ローラ41について説明する。図3に示すように、給紙ローラ411,412の軸方向は、左右方向を向く。給紙ローラ411、412は略同一形状を有する。図3及び図4に示すように、給紙ローラ41における右側から見て中央部には、給紙ローラ41の回転軸である軸部材42が挿通されている。より詳細には、図4に示すように、給紙ローラ41における右側から見て中央部には、左右方向に給紙ローラ41を貫通する孔を定義する孔部413が設けられている。
孔部413の一部には、左右方向に亘って径方向外側に開口する開口部415が設けられている。軸部材42は、左右方向を向き、給紙ローラ41の孔部413に挿通されている。軸部材42には、径方向外側に突出するピン421が設けられている。ピン421は、開口部415の時計回りの長さよりも短い径を有しており、開口部415に挿通されている。軸部材42は、図2に示す第一筐体11に回転可能に支持されている。軸部材42は、図5に示す後述する伝達機構71Aに含まれ、図5に示す後述する第一モータ71の駆動軸の回転に応じて回転する。軸部材42が回転すると、ピン421が開口部415の反時計回り側の壁部416に当接しつつ開口部415を押すことで、給紙ローラ41に駆動力が伝達される。壁部416はピン421に対して、反時計回り側に位置する。
図3に示すように、軸部材42の中心に沿って左右方向に延びる仮想的な直線を仮想線42Pという。給紙ローラ41は、軸部材42の回転に応じて、仮想線42Pを回転軸心として給紙方向に回転する。図4に示すように、給紙ローラ41の一部は、第一筐体11の上面11Aより上側に突出する。
搬送ローラ91、92について説明する。図2に示すように、搬送ローラ91、92の軸方向は、左右方向を向く。搬送ローラ911、912、921、922は略同一形状を有する。搬送ローラ91における右側から見て中央部には、搬送ローラ91の回転軸である図5に示す軸部材91Aが挿通されている。搬送ローラ92における右側から見て中央部には、図5に示す搬送ローラ92の回転軸である軸部材92Aが挿通されている。搬送ローラ91,92は、図5に示す後述する第二モータ72の駆動軸725の回転に応じて回転する。搬送ローラ91、92の一部は、第一筐体11の上面11Aから、上面11Aより上側に突出する。以下の説明においては、上面11Aに直交する方向において、第二筐体12から第一筐体11に向かう方向を第一方向といい、第一筐体11から第二筐体12に向かう方向を第二方向という。
図3に示すように、給紙ローラ411,412に対して第二方向側に、リバースローラ461,462が配置されている。リバースローラ461,462は、互いに略同一形状を有する。リバースローラ46の軸方向は左右方向を向く。以下の説明においては、リバースローラ461、462を総称して「リバースローラ46」という場合がある。図4に示すように、リバースローラ46の半径rは、給紙ローラ41の半径Rよりも小さい。
図3及び図4に示すように、リバースローラ46における右側から見て中央部には、リバースローラ46の回転軸である軸部材47が配置されている。軸部材47は、図1に示す第二筐体12に回転可能に支持されている。図3に示すように、リバースローラ46は、トルクリミッタ482を介して軸部材47に接続されている。軸部材47の右側の端部に、ギヤ481が接続されている。軸部材47は、図5に示す後述する第二モータ72の駆動軸725の回転に応じて回転する。
リバースローラ46の一部は、第二筐体12の底面から突出する。図3及び図4に示すように、リバースローラ461,462は、夫々、給紙ローラ411,412に接触する。リバースローラ461,462は、図示しない付勢部材によって付勢され、給紙ローラ411,412に押し付けられている。
以下の説明においては、軸部材47の中心に沿って左右方向に延びる図3に示す仮想的な直線を、「仮想線47P」という。リバースローラ46は、軸部材47の回転に応じて、仮想線47Pを回転軸心として回転する。リバースローラ46は、図5に示す後述する第一モータ71の駆動力によって給紙方向及び反給紙方向に回転可能である。
図3に示すように、リバースローラ46に対して反給紙方向側且つ第二方向側には、押圧機構50が配置されている。押圧機構50は、図1に示す第二筐体12内において、支持部材123によって支持されている。押圧機構50は、押圧部材51、第一バネ54、及び、付勢部材55を備えている。押圧部材51は、第二筐体12内において給紙ローラ41側に向けて延びる。以下の説明において、押圧部材51が給紙ローラ41側に延びる方向を第三方向という。第三方向の反対方向を第四方向側という。また、支持部材123は、押圧部材51を第三方向及び第四方向に移動可能に支持する。押圧部材51は、搬送経路20を挟んで給紙ローラ41と対向する。
押圧部材51の第三方向側の端部には、夫々、回転可能な押圧ローラ521D,522Dが設けられている。押圧ローラ521D,522Dの軸方向は、左右方向を向く。押圧ローラ521D,522Dの左右方向の中心は、夫々、給紙ローラ411,412の左右方向の中心と、左右方向において略一致する。以下の説明においては、押圧ローラ521D、522Dを総称して、「押圧ローラ52D」という場合がある。押圧部材51の第四方向側の端部には、左右方向と平行な板状部5211,5221が設けられている。板状部5211,5221は、夫々、押圧部材51の左部及び右部に設けられている。
第一バネ54及び付勢部材55は、押圧部材51の第四方向側に設けられている。第一バネ54は、押圧部材51の左右方向中央部を、第三方向側に付勢する。付勢部材55は、中間部材56、及び、第二バネ571、572を有する。以下の説明においては、第二バネ571、572を総称して、第二バネ57という場合がある。
中間部材56は、左右方向に延びる板状部561Aを有する。板状部561Aの左右方向中央部には、第三方向に貫通する図示しない穴が形成されている。第一バネ54は、この穴に挿通されている。第二バネ571,572の第三方向側の端部は、夫々、中間部材56の板状部561Aの左部及び右部に配置されている。第二バネ57は、中間部材56を第三方向に付勢する。中間部材56は、第二バネ57の付勢力によって、押圧部材51を第三方向側に付勢する。すなわち、第一バネ54と第二バネ57の付勢力によって押圧部材51が第三方向に付勢される。
押圧機構50の反給紙方向側には、カム部材60が設けられている。図5に示すように、カム部材60は、軸部材61、カム621、622、及び、バネ63を有する。カム部材60は、図1に示す第二筐体12に回転可能に支持されている。軸部材61は、左右方向に延びる。軸部材61は、図3に示す押圧機構50の反給紙方向側に配置されている。軸部材61は、後述する第二モータ72の駆動軸725の回転に応じて回転する。
カム621、622は、軸部材61に設けられている。カム621、622は同一形状を有する。以下の説明においては、カム621、622を総称して、カム62という場合がある。カム62は、押圧機構50の反給紙方向側に配置されている。カム62は板カムであり、軸部材61から給紙方向側に突出する。
バネ63は、軸部材61のうちカム621よりも右側に巻回されている。バネ63はコイルバネである。バネ63は、軸部材61を反時計回りに回転させる向きに付勢する。押圧部材51は、カム部材60、図3に示す付勢部材55、及び図3に示す第一バネ54によって押圧位置と退避位置との間で移動する。押圧位置は、押圧ローラ52Dが第二筐体12の底面より第一方向側に突出する場合の押圧部材51の位置である。退避位置は、押圧ローラ52Dが第二筐体12の内側に位置する場合の押圧部材51の位置である。押圧部材51の移動態様については後述する。
図3に示すように、押圧機構50の給紙方向側には、シャッタ機構80が設けられている。図6及び図7に示すように、シャッタ機構80は、シャッタ81、駆動部材85、及びセットガイド86を有する。図6に示すように、シャッタ81は、支持部材82、延設部材83、及び、バネ84を有する。支持部材82は、第一部分821、及び、第二部分822、823を有する。第一部分821、及び、第二部分822、823は、第二筐体12内に配置されている。第一部分821は、左右方向に延びる棒状の部材である。第二部分822は、第一部分821の左側の端部から、給紙方向に向けて延びる。第二部分823は、第一部分821の右側の端部から、給紙方向に向けて延びる。
第二部分822,823の給紙方向の端部には、夫々、左右方向外側に突出する軸部824が設けられている。なお、図6〜図8においては、右側の軸部824のみを図示している。軸部824は、第二筐体12内に回転可能に支持されている。軸部824に沿って左右方向に延びる仮想的な直線を仮想線82Pという。シャッタ81は、仮想線82Pを回転軸心として回転する。
第二部分823側の軸部824には、バネ84が巻回されている。バネ84はコイルバネである。バネ84の一端側は、第二部分823に固定されている。バネ84の他端側は、第二筐体12に固定されている。バネ84は、支持部材82を反時計回りに回転させる向きに付勢する。第二部分823の反給紙方向側には、右方に突出する突出部823Cが設けられている。突出部823Cは、第二部分823の第一方向側の端部に沿って延びる板状の部材である。
延設部材83は、延設部83A、83B、83Cを有する。延設部83A、83B、83Cは、支持部材82から、第一方向側に延びる。延設部83Bは、左右方向において、給紙ローラ411、412の間に配置されている。延設部83Aは、左右方向において、給紙ローラ411よりも左側に配置されている。延設部83Cは、左右方向において、給紙ローラ412よりも右側に配置されている。
駆動部材85について説明する。駆動部材85は、軸部材851、バネ852、及びカム853を有する。軸部材851は、支持部材82の第二部分823の右側に配置されている。軸部材851は左右方向に延びる。軸部材851は、第二筐体12に回転可能に支持されている。軸部材851は、図5に示す後述する第二モータ72の回転に応じて回転する。
カム853は、軸部材851の左側の端部に設けられている。カム853は、半円形を有する板カムである。カム853は、軸部材851の回転に応じて回転する。軸部材851のうちカム853の右側に、バネ852が巻回されている。バネ852はコイルバネである。バネ852の一端側は、カム853に固定されている。バネ852の他端側は、第二筐体12に固定されている。バネ852は、駆動部材85を反時計回りに回転させる向きに付勢する。
カム853の左側の面に、突出部853Aが設けられている。図7に示すように、突出部853Aの形状は、中心角が略60度の略扇形である。突出部853Aは、突出部823Cの第二方向側の面に接触する。突出部853Aは、カム853の回転に応じて回転する。シャッタ81は、カム853とバネ852とによって図7に示す許可位置と図8に示す禁止位置との間で移動する。禁止位置は、延設部材83が第二方向側から第一方向側に向けて搬送経路20を横切る位置である。許可位置は、延設部材83が搬送経路20から離れる位置である。シャッタ81の移動態様については後述する。
セットガイド86について説明する。図6に示すように、給紙ローラ41の周囲に支持部材11Bが配置されている。支持部材11Bの第一方向側の面111は、図2に示す上面11Aの一部を形成する。支持部材11Bの面111に、開口部111A、111B、111Cが形成されている。開口部111Aは、中心線11Cよりも左側に形成されている。開口部111Cは、中心線11Cよりも右側に形成されている。開口部111Bは、中心線11Cに沿って形成されている。支持部材11Bは、面111よりも第一方向側でセットガイド86を支持する。
セットガイド86は、セットガイド86A、86Bを有する。セットガイド86Aは、給紙ローラ411の左側に配置されている。セットガイド86Bは、給紙ローラ412の右側に配置されている。セットガイド86A、86Bの形状は、左右対称である。このため、セットガイド86Bについて詳細に説明し、セットガイド86Aについての説明は簡略化する。
図7に示すように、セットガイド86Bは、第一部材87B及び第二部材88Bを有する。第一部材87B、第二部材88Bは、給紙方向に沿って延びる。第一部材87Bは、左右方向において第二部材88Bの右側に配置されている。第一部材87Bの搬送方向の中央部に、左右方向に延びる軸部871が設けられている。軸部871は、第一筐体11内に回転可能に支持されている。第一部材87Bは、軸部871を中心として回転可能である。第一部材87Bの反給紙方向の端部872は、左側に延び、第二部材88Bの下側に進入する。端部872の上側の面に、突出部872Aが設けられている。突出部872Aは上側に突出し、第二部材88Bの下側の面に接触する。
第二部材88Bの反給紙方向の端部に、左右方向に延びる軸部881が設けられている。軸部881は、第一部材87Bの反給紙方向に配置されている。軸部881は、第一筐体11内に回転可能に支持されている。第二部材88Bは、軸部881を中心として回転可能である。第二部材88Bは、第一部材87Bの突出部872Aによって下側から支持されている。図6に示すように、第一部材87B、及び、第二部材88Bの夫々の一部は、開口部111Cから露出する。
図6に示すように、セットガイド86Aは、第一部材87A及び第二部材88Aを有する。第一部材87A及び第二部材88Aは、セットガイド86Bの第一部材87B及び第二部材88Bに対応する。第一部材87A及び第二部材88Aの夫々の一部は、開口部111Aから露出する。シャッタ81が禁止位置に移動すると、セットガイド86は図8に示す第一ガイド位置に移動し、シャッタ81が許可位置に移動すると、セットガイド86は図7に示す第二ガイド位置に移動する。セットガイド86の移動態様については後述する。
<2.駆動機構70の構造>
図5に示すように、駆動機構70は、第一モータ71、第二モータ72、伝達機構71A、72A、73、74、75を備えている。第一モータ71、第二モータ72、及び、伝達機構71A、72A、73は、第一筐体11内に設けられている。伝達機構74、75は、第二筐体12内に設けられている。
第一モータ71は、第一筐体11内の右部に設けられている。第一モータ71の駆動軸は右側に延びる。伝達機構71Aは、ギヤ711、712、713等、図示しないベルト、及び軸部材42を有する。ギヤ711〜713、及び、ベルトは、第一モータ71の右側に配置され、第一モータ71の駆動軸が回転することに応じて回転する。ギヤ713は、軸部材42の右側の端部に接続されている。第一モータ71の駆動力は、伝達機構71Aを介して給紙ローラ41に伝達される。すなわち、伝達機構71Aは、給紙ローラ41に給紙方向に回転する駆動力を伝達可能である。
第二モータ72は、第一筐体11の左部に設けられている。第二モータ72の駆動軸725は左側に延びる。後述するが、駆動軸725が正転方向に回転すると、搬送ローラ91が反給紙方向に回転し、リバースローラ46が給紙方向に回転する。一方、駆動軸725が逆転方向に回転すると、搬送ローラ91、92が給紙方向に回転し、リバースローラ46が反給紙方向に回転する。
伝達機構72Aは、第二モータ72の左側に設けられている。伝達機構72Aは、ギヤ721、722等、及び、ベルト723を備えている。ベルト723は、ギヤ721、722間に架け渡されている。ギヤ721、722等、及び、ベルト723は、第二モータ72の駆動軸725が回転することに応じて回転する。
ギヤ721は、搬送ローラ91の軸部材91Aの左側の端部に接続されている。ギヤ722は、搬送ローラ92の軸部材92Aの左側の端部に接続されている。第二モータ72の駆動力は、伝達機構72Aを介して軸部材91A、92Aに伝達される。従って、搬送ローラ91,92は、第二モータ72の回転に応じて回転する。
ギヤ722には、ワンウェイクラッチが内蔵されている。ギヤ722のワンウェイクラッチは、第二モータ72が逆転方向に回転するとき、第二モータ72の駆動力を軸部材92Aに伝達し、搬送ローラ92を反時計回り、すなわち給紙方向に回転させる。一方、ギヤ722のワンウェイクラッチは、第二モータ72が正転方向に回転するとき、ギヤ722に対して軸部材92Aを空転させる。この場合、第二モータ72の駆動力は、搬送ローラ92に伝達されない。ギヤ721にワンウェイクラッチは内蔵されない。このため、第二モータ72が逆転方向に回転するとき、ギヤ721は、第二モータ72の駆動力を軸部材91Aに伝達し、搬送ローラ91を反時計回り、すなわち給紙方向に回転させる。また、第二モータ72が正転方向に回転するとき、ギヤ721は、第二モータ72の駆動力を軸部材91Aに伝達し、搬送ローラ91を時計回り、すなわち反給紙方向に回転させる。
伝達機構73は、ギヤ73A、73B、73C、73Dを有する。ギヤ73A及びギヤ73B、ギヤ73B及びギヤ73C、ギヤ73C及びギヤ73Dは、夫々互いに噛み合う。ギヤ73Aは、搬送ローラ91の軸部材91Aの右側の端部に接続されている。ギヤ73A〜73Dは、軸部材91Aが回転することに応じて回転する。
伝達機構74は、ギヤ74A、74B、74C、74D、74E、471,472,481、及び、トルクリミッタ482を有する。ギヤ74Aは、第二筐体12が図1に示す閉位置に配置された状態で、伝達機構73のギヤ73Dに噛み合う。ギヤ74Aは、第二筐体12が図示しない開位置に配置された状態で、伝達機構73のギヤ73Dに対して離れる。以下の説明においては、第二筐体12が閉位置に配置されていることを前提とする。ギヤ74A及びギヤ74B、ギヤ74B及びギヤ74C、ギヤ74C及びギヤ74D、ギヤ74D及びギヤ74Eは、夫々互いに噛み合う。図3に示すギヤ471及び472、472及び481は、夫々互いに噛み合う。ギヤ471の回転軸470は、右方に延び、伝達機構74に含まれる図示しないギヤに接続されている。
ギヤ74Bは、伝達機構74に含まれる図示しないギヤ、ギヤ471.ギヤ472、ギヤ481、及び、トルクリミッタ482を介して、リバースローラ46の図3に示す軸部材47に接続する。第二モータ72の駆動力は、伝達機構72A、軸部材91A、伝達機構73、ギヤ74A、74B、481、及び、トルクリミッタ482を介して、リバースローラ46に伝達される。
第二モータ72の駆動軸725が逆転方向に回転すると、第二モータ72の駆動力が図3に示す軸部材47に伝達され、リバースローラ46が反時計回り、すなわち反給紙方向に回転する。第二モータ72の駆動軸725が正転方向に回転すると、第二モータ72の駆動力が図3に示す軸部材47に伝達され、リバースローラ46が時計回り、すなわち給紙方向に回転する。
トルクリミッタ482は、リバースローラ46に対して所定の閾値未満の回転トルクが作用している状態で、軸部材47とリバースローラ46とを接続する。一方、トルクリミッタ482は、リバースローラ46に対して所定の閾値以上の回転トルクが作用している状態で、軸部材47とリバースローラ46とを切断する。
ギヤ74Eは、図6に示す駆動部材85の軸部材851に接続されている。第二モータ72の駆動力は、伝達機構72A、軸部材91A、伝達機構73、74を介して、駆動部材85に伝達される。ギヤ74Eは、ワンウェイクラッチを内蔵する。ギヤ74Eのワンワイクラッチは、第二モータ72が正転方向に回転するとき、第二モータ72の駆動力を軸部材851に伝達し、カム853を時計回りに回転させる。一方、ギヤ74Eのワンウェイクラッチは、第二モータ72が逆転方向に回転するとき、ギヤ74Eに対して軸部材851を空転させる。この場合、第二モータ72の駆動力は、カム853に伝達されない。
伝達機構75は、ギヤ75A、75B、75C、75Dを有する。伝達機構74のギヤ74E及びギヤ75A、ギヤ75A及びギヤ75B、ギヤ75B及びギヤ75C、ギヤ75C及びギヤ75Dは、夫々互いに噛み合う。
ギヤ75Dは、カム部材60の軸部材61に接続する。第二モータ72の駆動力は、伝達機構72A、軸部材91A、伝達機構73、74、75を介して、カム部材60に伝達される。ギヤ75Dは、ワンウェイクラッチを内蔵する。ギヤ75Dのワンワイクラッチは、第二モータ72の駆動軸725が正転方向に回転するとき、第二モータ72の駆動力を軸部材61に伝達し、カム62を時計回りに回転させる。一方、ギヤ75Dのワンウェイクラッチは、第二モータ72の駆動軸725が逆転方向に回転するとき、ギヤ75Dに対して軸部材61を空転させる。この場合、第二モータ72の駆動力は、カム62に伝達されない。
<3.画像読取装置1の動作>
画像読取装置1の動作の一例を説明する。画像読取装置1の電源が投入されると、図1に示す制御部131のCPUは、ROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、RAMに展開する。制御部131のCPUが、制御プログラムに基づいて処理を実行することで、制御部131が画像読取装置1を制御する。
制御部131は、画像読取装置1を制御して予備動作を行う。予備動作においては、制御部131は、第二モータ72の駆動軸725を正転方向に回転させ、シャッタ81を禁止位置に配置し、セットガイド86を第一ガイド位置に配置し、押圧部材51を退避位置に配置する。第二モータ72の駆動軸725が正転方向に回転すると、リバースローラ46が給紙方向に回転する。このとき、制御部131は、第一モータ71の駆動軸を回転させ、給紙ローラ41を給紙方向に回転させ、給紙ローラ41をリバースローラ46と同じ方向に回転させる。以下、詳述する。
図5に示すように、図1に示す制御部131は、第二モータ72を正転方向に回転させる。第二モータ72の駆動力は、伝達機構72A、軸部材91A、伝達機構73、及び、伝達機構74のギヤ74A〜74Dを介して、ギヤ74Eに伝達される。ギヤ74Eのワンウェイクラッチは、第二モータ72の駆動軸725が正転方向に回転したとき、第二モータ72の駆動力を、図7に示す駆動部材85の軸部材851に伝達させる。このため、駆動部材85のカム853は、バネ852の付勢力に逆らって時計回りに回転する。
図7に示すように、カム853が時計回りに回転した場合、カム853の突出部853Aは、シャッタ81の支持部材82を、バネ84の付勢力に逆らって矢印961に示す時計回りに回転させる。図8に示すように、シャッタ81は禁止位置に配置される。禁止位置においては、延設部材83は、第二方向側から第一方向側に向けて搬送経路20を横切る。図6に示す延設部83A、83Cは、セットガイド86A、86Bの第一部材87A、87Bの給紙方向側の端部873を下側に押し下げる。これによって、第二部材88A、88Bは押し上げられる。第二部材88A、88Bの第二方向側の面882の給紙方向の部分は、給紙ローラ41よりも第二方向側に配置される。すなわち、セットガイド86は第一ガイド位置に配置される。
図5に示すように、第二モータ72の駆動力は、伝達機構72A、軸部材91A、伝達機構73、74、及び、伝達機構75のギヤ75A〜74Cを介して、ギヤ75Dに伝達される。ギヤ75Dのワンウェイクラッチは、第二モータ72が正転方向に回転したとき、第二モータ72の駆動力を、カム部材60の軸部材61に伝達させる。このため、軸部材61及びカム62は、バネ63の付勢力に逆らって時計回りに回転する。
カム62が時計回りに回転した場合、カム621,622は、夫々押圧部材51の板状部5211,5221に下側から接触する。カム62の回転に応じ、押圧部材51には、図3に示す第四方向側に向かう方向の力が作用する。押圧部材51は、第一バネ54及び付勢部材55の付勢力に逆らって、図4の矢印972に示す第四方向に移動することで、退避位置に移動する。退避位置においては、押圧部材51は、第二筐体12の底面に対して第四方向側に配置される。押圧ローラ52Dは、第二筐体12の底面から搬送経路20に突出しない。
図5に示すように、伝達機構72Aのギヤ722のワンウェイクラッチは、第二モータ72が正転方向に回転したときに軸部材92Aを空転させる。このため、第二モータ72の駆動力は軸部材92Aに伝達されず、図2に示す搬送ローラ92は回転しない。一方、伝達機構72Aのギヤ721は、第二モータ72が正転方向に回転したときに、軸部材91Aを時計回りに回転させる。このため、第二モータ72の駆動力は軸部材91Aに伝達され、図2に示す搬送ローラ91は反給紙方向に回転する。
第二モータ72の駆動力は、伝達機構72A、軸部材91A、伝達機構73、伝達機構74のギヤ74A、74B、ギヤ481、及び軸部材47に伝達される。このため、第二モータ72の駆動力がリバースローラ46に伝達され、リバースローラ46が図4の矢印951に示す給紙方向に回転する。
また、制御部131は、第二モータ72の駆動軸725を正転方向に駆動する場合に、第一モータ71の駆動軸を回転させる。第一モータ71の駆動力は、伝達機構71Aによって給紙ローラ41に伝達される。すなわち、第二モータ72の駆動軸725が給紙方向に回転してリバースローラ46が給紙方向に回転し、シャッタ81と押圧部材51とが駆動する場合に、給紙ローラ41は、伝達機構71Aによって図4の矢印981に示す給紙方向に回転する第一動作を行う。このとき、図4に示すように、ピン421が開口部415の給紙方向側の壁部416に当接し、給紙ローラ41に駆動力が伝達される。
給紙ローラ41は、第一動作を行う場合に、以下の式(1)に示す条件となるように、伝達機構71Aによって回転する。
A>C×r/R ・・・(1)
Aは、第一動作時における給紙ローラ41の回転軸である軸部材42の単位時間当たりの回転数である。Cは、第一動作時におけるリバースローラ46の回転軸である軸部材47の単位時間当たりの回転数である。rは、リバースローラ46の半径である。Rは、給紙ローラ41の半径である。式(1)を満たすことによって、給紙ローラ41の回転速度が、リバースローラ46の回転速度より速くなる。よって、給紙ローラ41はリバースローラ46に連れ回りし難く、軸部材42のピン421が、開口部415の壁部416に当接できる。
なお、本実施形態においては、制御部131は、第二モータ72の駆動軸725の正転方向への回転と同時に、給紙ローラ41に第一動作を行わせる第一動作処理を開始する。また、制御部131は、第二モータ72の駆動軸725の正転方向への回転を停止してリバースローラ46を停止した後、第二モータ72の駆動を停止して、伝達機構71Aによる給紙ローラ41の回転を停止させる。すなわち、給紙ローラ41は、駆動軸725の正転方向への回転が停止した後、伝達機構71Aによる給紙方向への回転を停止して、第一動作を終了するように構成されている。図4に示すように、第一動作が終了された時点では、ピン421が開口部415の給紙方向側の壁部416に当接した状態である。
以上のように、予備動作が実行される。次いで、使用者によって複数のシートが給紙トレイ16に載置される。複数のシートの給紙方向側の端部は、図1に示す給紙口10A内に進入する。複数のシートが給紙トレイ16に配置されると、図示しないセンサが、シートを検出し、制御部131に検出信号を送信する。これによって、制御部131は、給紙トレイ16にシートが配置されたことを検出する。
押圧部材51は退避位置に配置されている。このため、搬送経路20に進入した複数のシートは、押圧部材51の押圧ローラ52Dに接触しない。図8に示すように、セットガイド86の第二部材88A、88Bの第二方向側の面882の給紙方向の部分は、搬送経路20よりも第二方向側に配置される。このため、複数のシートは、第二部材88A、88Bの第二方向側の面882に接触し、給紙ローラ41に接触しない。シャッタ81は禁止位置に配置される。延設部材83は、搬送経路20のうち給紙ローラ41とリバースローラ46との接触点よりも反給紙方向で、搬送経路20を横切る。このため、複数のシートの給紙方向への移動は、延設部材83によって規制される。複数のシートは、給紙ローラ41とリバースローラ46との接触点に到達しない。
使用者によって図1に示す操作部122が操作され、または図示しないPCなどの処理装置からのシートの読み取りを開始する指示が入力され、制御部131に検出された場合について説明する。読み取りを開始する指示を検出した制御部131は、画像読取装置1を制御して読取動作を行う。読取動作においては、制御部131は、第二モータ72の駆動軸725を逆転方向に回転させ、シャッタ81を図7に示す許可位置に配置し、セットガイド86を図7に示す第二ガイド位置に配置し、押圧部材51を押圧位置に配置する。第二モータ72の駆動軸が逆転方向に回転すると、リバースローラ46が反給紙方向に回転し、搬送ローラ91,92が給紙方向に回転する。制御部131は、第一モータ71の駆動軸を回転させ、給紙ローラ41を給紙方向に回転させる。これによって、分離機能が作動し、シートの読み取りが行われる。以下、詳述する。
図5に示すように、制御部131は、第二モータ72の駆動軸725を逆転方向に回転させる。第二モータ72の駆動力は、伝達機構72A、軸部材91A、伝達機構73、及び、伝達機構74のギヤ74A〜74Dを介して、ギヤ74Eに伝達される。ギヤ74Eのワンウェイクラッチは、第二モータ72が逆転方向に回転したとき、駆動部材85の軸部材851を空転させる。このため、図8に示す駆動部材85のカム853は、バネ852の付勢力によって反時計回りに回転する。
カム853が反時計回りに回転した場合、シャッタ81は、バネ84の付勢力によって図8の矢印962に示す反時計回りに回転する。図7に示すように、シャッタ81は許可位置に配置される。延設部83A、83Cは、セットガイド86A、86Bの第一部材87A、87Bから離隔する。第一部材87A、87Bは、端部872に作用する自重によって、時計回りに回転する。第二部材88A、88Bの面882は、支持部材11Bの面111よりも第一方向側に移動する。すなわち、セットガイド86は第二ガイド位置に配置される。
図5に示すように、第二モータ72の駆動力は、伝達機構72A、軸部材91A、伝達機構73、74、及び伝達機構75のギヤ75A〜75Cを介して、ギヤ75Dに伝達される。ギヤ75Dのワンウェイクラッチは、第二モータ72が逆転方向に回転したとき、カム部材60の軸部材61を空転させる。このため、軸部材61及びカム62は、バネ63の付勢力によって反時計回りに回転する。カム62が反時計回りに回転した場合、カム621,622は、夫々、押圧部材51の板状部5211,5221から離れる。押圧部材51は、第一バネ54及び付勢部材55からの付勢力によって、図4の矢印971に示す第三方向側に移動する。押圧部材51の押圧ローラ52Dは、第二筐体12の底面より第一方向側に突出し、押圧位置に移動する。押圧位置に移動すると、押圧ローラ52Dが給紙トレイ16に配置されたシートを給紙ローラ41側に押圧する。この結果、押圧ローラ52Dによってシートが押圧されない場合に比べて、給紙ローラ41とリバースローラ46とによって、良好な分離搬送が実現される。
伝達機構72Aのギヤ722のワンウェイクラッチは、第二モータ72の駆動軸725が逆転方向に回転したときに、第二モータ72の駆動力を、軸部材92Aに伝達させる。このため、搬送ローラ91は反時計回り、すなわち給紙方向に回転する。また、伝達機構72Aのギヤ721は、第二モータ72の駆動軸725が逆転方向に回転したときに、軸部材91Aを反時計回りに回転させる。このため、第二モータ72の駆動力は軸部材91Aに伝達され、搬送ローラ91は給紙方向に回転する。
第二モータ72の駆動力は、伝達機構72A、軸部材91A、伝達機構73、及び伝達機構74のギヤ74A、74B、ギヤ481を介して軸部材47に伝達される。リバースローラ46は図4の矢印952に示す反給紙方向に回転する。ここで、軸部材42のピン421が、開口部415の給紙方向側の壁部416に当接した状態であるので、給紙ローラ41がリバースローラ46に連れ回りしない。よって、給紙ローラ41が当接するシートが反給紙方向に移動せず、良好な分離搬送が実現される。
制御部131は、第一モータ71の駆動軸を回転させる。伝達機構71Aは、第一モータ71の駆動力を、軸部材42に伝達する。これによって、給紙ローラ41は図4の矢印981に示す給紙方向に回転する。このように、給紙ローラ41が第一動作を行った後、第二モータ72の駆動軸が逆転方向に回転してリバースローラ46が反給紙方向に回転する場合に、給紙ローラ41は、伝達機構71Aによって給紙方向に回転する第二動作を行う。なお、制御部131は、第二モータ72の駆動軸725の駆動を開始し、所定時間が経過した後に、第一モータ71の駆動軸を回転させるのが望ましい。所定時間は、シャッタ81が退避位置へ移動するまでの時間以上に設定されているのが望ましい。すなわち、制御部131は、シャッタ81が退避位置へ移動した後に第一モータ71の駆動を開始し、給紙ローラ41に第二動作を行わせるのが望ましい。第二動作を行わせる制御部131の処理を第二動作処理という。
シャッタ81が許可位置に移動したことに応じ、複数のシートは、搬送経路20に沿って給紙方向に移動可能となる。第二ガイド位置にあるセットガイド86の第二部材88A、88Bの第二方向側の面882は、搬送経路20よりも第一方向側に配置されている。このため、搬送経路20に沿って給紙方向に移動する複数のシートのうち最下位のシートに、給紙ローラ41が第一方向側から接触する。押圧ローラ52Dは、複数のシートに第二方向側から押圧し、給紙ローラ41に押し付ける。給紙ローラ41及びリバースローラ46の回転によって、複数のシートから最下位のシートが1枚分離され、給紙方向側に移動する。
搬送ローラ91は、給紙方向に移動するシートに下側から接触し、シートを給紙方向に更に搬送する。搬送ローラ91の給紙方向に配置された画像読取部93(図2参照)は、シートの下側の画像を読み取る。画像読取部93の出力信号は、制御部131に伝達され、データ化される。搬送ローラ92は、画像読取部93を通過したシートに下側から接触し、シートを給紙方向に更に搬送する。シートは、図1に示す排紙口10Bから筐体10の外部に排出され、排紙トレイ18に載置される。
<4.本実施形態の主たる作用、効果>
以上のように、本実施形態における画像読取装置1の動作が行われる。仮に、第一動作が実行されないとする。この場合、図9に示すように、リバースローラ46が矢印951に示す給紙方向に回転した場合に、給紙ローラ41が矢印981に示す給紙方向に連れ回りする。このとき、第一モータ71が駆動しておらず、軸部材42には第一モータ71からの駆動力が伝達されないので、開口部415の反給紙方向側の壁部417にピン421に当接しつつ、給紙ローラ41と軸部材42が給紙方向に回転される。このため、リバースローラ46の回転が停止された後には、開口部415の給紙方向側の壁部416と軸部材42のピン421との間に、給紙ローラ41側に対して反給紙方向の隙間418が生じる。隙間418の影響によって、分離機能を作動させるために第二動作が実行される場合において、リバースローラ46が矢印952に示す反給紙方向に回転した場合に、給紙ローラ41が矢印982に示す反給紙方向に回転する場合がある。よって、シートの搬送に不具合が生じる可能性がある。不具合の一例としては、給紙トレイ16に載置された複数のシートのうち、下部のシートが、反給紙方向に回転した給紙ローラ41によって反給紙方向側に移動し、上部のシートが下部のシートより給紙方向側に位置する逆楔形状になる例がある。この場合、上部のシートが、下部のシートより先に給紙方向に搬送されてしまう場合がある。また、逆楔形状になり、上部のシートが搬送される場合に、シートにダメージが発生する場合がある。
本実施形態では、リバースローラ46が給紙方向に回転し、シャッタ81及び押圧部材51が駆動する場合に、第一動作が行われ、給紙ローラ41が給紙方向に回転する。すなわち、給紙ローラ41は、軸部材42から伝達される駆動力によってリバースローラ46と同じ方向に回転する。このため、軸部材42から給紙ローラ41に駆動力が伝達されない場合に比べて、給紙ローラ41と軸部材42との間に、図9に示す給紙ローラ41に対して反給紙方向の隙間418が生じる可能性を低減できる。よって、第一動作後に第二動作が実行され、分離機能が作動する場合において、リバースローラ46が反給紙方向に回転した場合に、給紙ローラ41が反給紙方向に回転する可能性を低減できる。よって、シートの搬送に不具合が生じる可能性を低減できる。
また、給紙ローラ41は、第二モータ72の駆動軸725の正転方向への回転が停止した後、伝達機構71Aによる給紙方向への回転を停止して第一動作を終了するように構成されている。このため、駆動軸725の正転方向への回転の停止と同時又は回転の停止より前に給紙ローラ41の回転が停止する場合に比べて、給紙ローラ41と軸部材42との間に、給紙ローラ41に対して反給紙方向の隙間418が生じる可能性をより確実に低減できる。よって、シートの搬送に不具合が生じる可能性をさらに低減できる。
また、給紙ローラ41は、第一動作を行う場合に、上記式(1)を満たすように、伝達機構71Aによって回転する。このため、給紙ローラ41の回転速度が、リバースローラ46の回転速度より速くなる。このため、給紙ローラ41の回転速度が、リバースローラ46の回転速度以下である場合に比べて、給紙ローラ41と軸部材42との間に、給紙ローラ41に対して反給紙方向の隙間418が生じる可能性をより確実に低減できる。よって、シートの搬送に不具合が生じる可能性をさらに低減できる。
上記実施形態において、画像読取装置1は本発明の給紙装置の一例である。軸部材42は本発明の給紙ローラ軸の一例である。伝達機構71Aは本発明の伝達機構の一例である。シャッタ81と押圧部材51は本発明の駆動部材の一例である。制御部131が第一動作を実行する処理が本発明の第一動作処理の一例である。制御部131が第二動作を実行する処理が本発明の第二動作処理の一例である。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、伝達機構71Aは、給紙ローラ41に給紙方向に回転する駆動力を伝達可能であればよく、伝達する駆動力は、第一モータ71の駆動力に限定されない。例えば、伝達されるのは、第二モータ72の駆動力でもよいし、図示しない他のモータの駆動力でもよい。また、シャッタ81と押圧部材51のいずれか一方が設けられなくてもよい。また、本発明の駆動部材は、駆動軸925が正転方向に回転することによって第二モータ72の駆動力が伝達されて駆動する部材であればよく、シャッタ81と押圧部材51に限定されない。
また、第一動作時においては、上記式(1)を満たし、給紙ローラ41の回転速度が、リバースローラ46の回転速度より速いが、給紙ローラ41の回転速度が、リバースローラ46の回転速度以下でもよい。この場合においても、給紙ローラ41が第一動作を行わない場合に比べて、給紙ローラ41と軸部材42との間に、給紙ローラ41に対して反給紙方向の隙間418が生じる可能性を低減できる。よって、シートの搬送に不具合が生じる可能性を低減できる。
また、シャッタ81が退避位置に移動した後に第一モータ71の駆動が開始され、給紙ローラ41が第二動作を行っていたが、シャッタ81が退避位置に移動する前に第一モータ71の駆動が開始され、給紙ローラ41が第二動作を行ってもよい。また、第一動作時における給紙ローラ41の回転速度と、第二動作時における給紙ローラ41の回転速度とは、同じあってもよいし、異なっていてもよい。なお、第一動作時における給紙ローラ41の回転速度と、第二動作時における給紙ローラ41の回転速度とが同じである場合、給紙ローラ41は、以下の式(2)に示す条件となるように伝達機構71Aによって回転する。なお、Bは、第二動作時における給紙ローラ41の回転軸である軸部材42の単位時間当たりの回転数である。
B=A>C×r/R ・・・(2)
また、給紙ローラ41は、駆動軸725の正転方向への回転が停止した後、伝達機構71Aによる給紙方向への回転を停止して第一動作を終了するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、給紙ローラ41は、駆動軸725の正転方向への回転が停止すると同時又は停止するより前に、伝達機構71Aによる給紙方向への回転を停止して第一動作を終了するように構成されてもよい。この場合においても、第一動作が実行されない場合に比べて、給紙ローラ41と軸部材42との間に、給紙ローラ41に対して反給紙方向の隙間418が生じる可能性が低減される。シートの搬送に不具合が生じる可能性を低減できる。
また、給紙ローラ41は、駆動軸725の正転方向への回転と同時に、伝達機構71Aによる給紙方向への回転を開始して第一動作を開始するように構成されている。しかし、給紙ローラ41は、駆動軸725の正転方向への回転が開始された後に、伝達機構71Aによる給紙方向への回転を開始して第一動作を開始するように構成されていてもよい。給紙ローラ41は、駆動軸725の正転方向への回転が停止する前に、伝達機構71Aによる給紙方向への回転を開始して第一動作を開始するように構成されていればよい。この場合、駆動軸725の正転方向への回転の停止と同時又は回転の停止より後に給紙ローラ41の回転が開始される場合に比べて、給紙ローラ41と軸部材42との間に、給紙ローラ41に対して反給紙方向の隙間418が生じる可能性をより確実に低減できる。よって、シートの搬送に不具合が生じる可能性をさらに低減できる。
また、給紙ローラ41は、駆動軸725の正転方向への回転が停止された後に、伝達機構71Aによる給紙方向への回転を開始して第一動作を開始し、その後第一動作が停止されるように構成されていてもよい。
また、図9に示すように、隙間418は、開口部415の壁部416とピン421との間の隙間であったが、ワンウェイクラッチ、ギヤなど、給紙ローラ41に駆動力を伝達する機構のバックラッシュであってもよい。また、隙間の概念は、ねじれであってもよい。例えば、軸部材42にピン421が設けられておらず、給紙ローラ41と軸部材42との間にワンウェイクラッチが設けられてもよい。この場合、第一動作が行われず、リバースローラ46が矢印951に示す反給紙方向に回転すると、ワンウェイクラッチと軸部材42との間に、図9に示す隙間418に対応するねじれが生じる。しかし、本実施形態においては、リバースローラ46が矢印951に示す反給紙方向に回転すると、第一動作が実行されるので、ねじれが生じる可能性を低減できる。よって、シートの搬送に不具合が生じる可能性をさらに低減できる。