以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。
図1において、600は画像形成装置、602は画像形成装置本体(以下、装置本体という)、650は装置本体602の上部に設けられた原稿読み取り部(イメージリーダ)、651は複数の原稿を自動的に読み取るための原稿搬送装置である。
装置本体602は、画像形成するための通常のシートPを積載する給紙カセット909a,909b、電子写真プロセスを用いてシート上にトナー画像を形成する画像形成部603、シートに形成されたトナー画像を定着させる定着部904等を備えている。また、装置本体602の上面にはユーザが装置本体602に対して各種入力/設定を行うため操作部601が、また装置本体602の側方には、シート処理装置であるフィニッシャ500が接続されている。なお、960は装置本体602及びフィニッシャ500の制御を司る制御部であるCPU回路部である。
そして、このような画像形成装置600において、不図示の原稿の画像をシートに形成する際には、まず原稿搬送装置651により搬送された原稿の画像を、原稿読み取り部650に設けられたイメージセンサ650aにより読み取る。この後、読み取られたデジタルデータを露光手段604に入力し、露光手段604は、このデジタルデータに応じた光を画像形成部603に設けられた感光体ドラム914(914a〜914d)に照射する。このように光が照射されると、感光体ドラム表面に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像することにより、感光体ドラム表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー画像が形成される。
次に、この4色のトナー画像を給紙カセット909a,909bから給送されたシート上に転写し、この後、シート上に転写されたトナー像を、定着部904により永久定着する。なお、このようにトナー画像を定着した後、シートの片面に画像を形成するモードであれば、そのまま、シートを排出ローラ対907からフィニッシャ500に排出する。
また、シートの両面に画像を形成するモードであれば、シートを定着部904から反転ローラ905に受け渡しし、この後、所定のタイミングで反転ローラ905を反転させ、シートを両面搬送ローラ906a〜906fの方向へ搬送する。そして、この後、再度、シートを画像形成部603に搬送し、裏面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を転写する。なお、このように裏面に4色のトナー像が転写されたシートは、再度定着部904に搬送されてトナー画像が定着され、この後、排出ローラ対907から排出され、装置本体602の側部に接続されたフィニッシャ500に搬送される。
フィニッシャ500は、装置本体602から排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、取り込んだシートの後端付近に孔をあけるパンチ処理を行うようになっている。また、フィニッシャ500は、シート束の後端側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、製本処理等の処理を行うようになっており、シートをステイプルするステイプル部700及びシート束を二つ折りにして製本する中綴じ製本装置800を備えている。
そして、フィニッシャ500は、図2に示すように、シートを装置内部に取り込むための入口ローラ対502を備えており、装置本体602から排紙されたシートは、入口ローラ対502に受け渡される。なお、この時、入口センサ501によりシートの受渡しタイミングも同時に検知される。
この後、入口ローラ対502により搬送されたシートは搬送パス503を通過しながら、シートの端部位置を横レジ検知センサ504により検知され、フィニッシャ500のセンター(中央)位置に対してどの程度、幅方向のずれが生じているかが検知される。また、このように幅方向のずれ(以下、横レジ誤差という)が検知された後、シートはシフトローラ対505,506に搬送されている途中でシフトユニット508が手前方向、或は奥方向に所定量移動することにより、シートのシフト動作が実施される。
次に、シートは搬送ローラ510及び離間ローラ511により搬送され、バッファローラ対515に達する。この後、上トレイ536に排紙される場合は、上パス切換部材5118が不図示のソレノイド等の駆動手段により、図中破線の状態になる。これにより、シートは上パス搬送路517に導かれ、上排紙ローラ520により上トレイ536に排出される。
上トレイ536に排出されない場合は、バッファローラ対515により搬送されたシートは、実線に示す状態の上パス切換部材518により束搬送パス521に導かれる。この後、搬送ローラ522、束搬送ローラ対524により順次搬送パス内を通過していく。次に、搬送されてきたシートを下方の積載トレイ537に排出する場合は、実線に示す状態のサドルパス切換部材525により下パス526に搬送される。この後、下排紙ローラ対528により中間処理トレイ538に排出される。そして、排出されたシートは、パドル531やベルトローラ558等の戻し手段により、シートを順次積載しながら整合し、整合積載されたシート束に対して処理を施すためのシート積載部としての中間処理トレイ上で所定枚数整合処理される。
次に、このように中間処理トレイ上で整合処理されたシート束は、必要に応じて綴じ部を構成するステイプラ532により綴じ処理が施され、この後、束排出ローラ対530により下方の積載トレイ537に排紙される。なお、このステイプラ532は、シート排出方向と直交する方向(以下、奥行き方向という)に移動自在であり、シート束の後端部の複数箇所を綴じ処理することができる。
一方、シートをサドル(中綴じ)処理する場合には、不図示のソレノイド等の駆動手段によりサドルパス切換部材525を破線で示す位置に移動させる。これにより、シートがサドルパス533に搬送され、サドル入口ローラ対801により中綴じ製本装置800に導かれる。
次に、中綴じ製本装置800に送られたシートは、サドル入口ローラ対801に受け渡され、サイズに応じてソレノイドにより動作する切換部材802により搬入口を選択されて、シート積載手段としての収納ガイド803内に搬入される。搬入されたシートは、ローラ表面に滑り性を有する滑りローラ804により搬送が継続される。
サドル入口ローラ対801と滑りローラ804は入口ローラモータM1により駆動され、入口センサS1によって制御される。収納ガイド803に搬送されてきたシートは、シートサイズ(シートの搬送方向の長さ)に応じて、予め所定の位置に移動されている端部ストッパ805に端部(搬送方向下流端)が当接するまで搬送される。端部ストッパ805は、端部ストッパ移動センサS2によって制御され、収納ガイド803のシートガイド面に沿ってシート搬送方向に移動可能であり、端部ストッパ移動モータM2の駆動を受けてシートの搬送方向に移動することができる。また、端部ストッパ805は、収納ガイド803から突出した規制面805aを持ち、この規制面805aで収納ガイド803に搬送されてきたシートの搬送方向下流側の端部を受け止めて保持する。
収納ガイド803の途中位置には、収納ガイド803を挟んで対向配置され、収納ガイド803に収納された複数枚のシートからなる束の搬送方向中央部を綴じる綴じ手段であるステイプラ820が設けられている。このステイプラ820は、針を突き出すドライバ820aと、突き出された針を折り曲げるアンビル820bとに分割されていて、シートの収納が完了すると、そのシートからなる束の搬送方向中央部を針綴じする。
ステイプラ820の下流側には、収納ガイド803に収納されたシート束を搬送方向中央部で2つ折りする折り手段を構成する折りローラ対810a,810bと、突き出し部材830が、収納ガイド803を挟んで対向するように設けられている。この突き出し部材830は、突きモータM3の駆動により収納ガイド803に収納されたシート束の搬送方向中央部に向けて突出するものである。
そして、ステイプラ820で綴じられたシート束を折り畳む場合は、ステイプル処理終了後に、シート束のステイプル位置(搬送方向中央部)が折りローラ対810のニップ位置となるように、ステイプル位置にあるシート束を移動させる。この後、突き出し部材830を突出することにより、シート束を折りローラ対810a,810bのニップに押し込みながら、シート束を中央部で2つ折りに折り畳むことができる。なお、綴じ処理を行わずにシート束を折り畳む場合は、収納ガイド803に収納されたシート束の搬送方向中央部が折りローラ対810a,810bのニップ位置となるように、シート束を移動させた後、突き出し部材830を突出する。
なお、シート収納位置(各受け取り位置)からステイプル位置まで、またステイプル位置から折り位置までのシート束の移動は、端部ストッパ移動モータM2により端部ストッパ805が下降又は上昇することでなされる。また、折りローラ対810a,810bの位置には、折りローラ対810a,810bの外周面を周りながら収納ガイド803に突出した面を持つ整合板対825が設けられている。整合板対825は、整合板移動HPセンサS5で位置検出しながら、整合板移動モータM5の駆動を受けて、シートの搬送方向と直交する幅方向に移動することで、収納ガイド803に収納されたシートの幅方向の整合(位置決め)を行う。
次に、折りローラ対810a,810bにより2つ折りされたシート束は、第1折搬送ローラ対811a,811b、第2折搬送ローラ対812a,812bにより、シート束の折り曲げ端部を潰し処理する潰し部であるプレスユニット860に搬送される。そして、シート搬送方向下流端(先端)がプレスユニット860まで搬送された後、搬送ローラ対である第1折搬送ローラ対811a,811b、第2折搬送ローラ対812a,812bを停止させてシート束を停止させる。
なお、突き出し部材830によるシート束突き出し動作が完了し、シート束の先端が第1折搬送ローラ対811a,811bに到達した後、後述するローラ離間機構により、折りローラ対810a,810bを圧接状態から離間状態とする。この後、突き出し部材830を、ホームポジションに戻す。なお、この突き出し部材830のホームポジションは、収納ガイド803から退避した位置であり、このホームポジションは突きセンサS3により制御される。また、このような突き出し部材830の戻り時、折りローラ対810a,810bを圧接状態から離間状態とすることにより、突き出し部材830が戻る際の、折りローラ対810a,810bのニップ圧による、負荷抵抗を小さくすることができる。
この後、プレスユニット860のプレスローラ対861によって搬送停止中のシート束(冊子)の背折り部を加圧しながら、プレスローラ対861をシート束の折り曲げ端部に沿って移動させることで、折り曲げ端部に対して再折り処理が施される。次に、このようにプレスユニット860によって再折り処理が施された後、シート束は、再び下流方向へ搬送され、折束排出トレイ842に排出される。
なお、折束排出トレイ842は折束排出トレイモータM8によって、トレイ面上のコンベアを回転移動させ、折束排出トレイセンサS9によって制御しながら排出されたシート束を順次下流方向へ移動させ、シート束を積載していく。なお、折りローラ対810、第1折搬送ローラ対811、第2折搬送ローラ対812は、折搬送センサS4の検知に基づき、同一の折搬送モータM4により等速回転するように制御される。
図3は画像形成装置600及び中綴じ製本装置800を制御する制御ブロック図である。図3に示すように、CPU回路部960は、CPU629、ROM631、RAM655を有している。CPU回路部960は、原稿給送装置制御部632、イメージリーダ制御部633、画像信号制御部634、プリンタ制御部635、中綴じ製本装置制御部636、外部インターフェイス637を制御している。なお、CPU回路部960は、ROM631に格納されているプログラム及び操作部601の設定に従って制御する。
原稿給送装置制御部632は、原稿搬送装置651を制御するものであり、イメージリーダ制御部633はイメージリーダを制御する。プリンタ制御部635は装置本体602を制御する。中綴じ製本装置制御部636はフィニッシャ500に搭載された不図示のフィニッシャ制御部に設けられ中綴じ製本装置800を制御する。本実施の形態において、フィニッシャ制御部(中綴じ製本装置制御部636)を中綴じ製本装置800に搭載した構成について説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、フィニッシャ制御部(中綴じ製本装置制御部636)をCPU回路部960と一体的に装置本体602に設け、装置本体602側から中綴じ製本装置800を制御するようにしてもよい。
RAM655は、制御データを一時的に保持する領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられる。外部インターフェイス637は、コンピュータ(PC)620からのインターフェイスであり、プリントデータを画像に展開して画像信号制御部634へ出力する。イメージリーダ制御部633から画像信号制御部634へは、イメージセンサで読み取られた画像が出力され、画像信号制御部634からプリンタ制御部635へ出力された画像は露光制御部へ入力される。
なお、本実施の形態において、中綴じ製本装置制御部636は、CPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ500の駆動制御を行う。また、中綴じ製本装置制御部636をCPU回路部630と一体的に装置本体側に配設し、装置本体側から直接、フィニッシャ500を制御するようにしてもよい。
図4は本実施の形態に係る中綴じ製本装置800の制御ブロック図である。図4に示すように、中綴じ製本装置制御部636は、CPU(マイコン)701、RAM702、ROM703、入出力部(I/O)705、通信インターフェイス706、ネットワークインターフェイス704を有している。なお、I/O705の入力ポートには、各種センサ信号が入力され、I/O705の出力ポートには、不図示の制御ブロックや、不図示の各種ドライバを介して接続された各駆動系に接続されている。
そして、CPU701は、搬送制御部708を介して入口センサS1による入口ローラモータM1の駆動制御、端部ストッパ移動センサS2による端部ストッパ移動モータM2の駆動制御、突きセンサS3による、突きモータM3の駆動制御を実行する。また、CPU701は、搬送制御部708を介して折搬送センサS4による折搬送モータM4の駆動制御、整合板移動HPセンサS5による整合板移動モータM5の駆動制御を実行する。また、CPU701は、搬送制御部708を介してローラ離間HPセンサS6と折束検出センサS7による、ローラ離間駆動モータM6の駆動制御、折束排出トレイセンサS9による、折束排出トレイモータM8の駆動制御が実行する。さらにCPU701は、搬送制御部708を介してプレス前折り束検知センサS8による、プレス駆動モータM7の駆動制御を実行する。
図5は、シート搬送回転体対である折りローラ対810a,810bを離間させる離間機構であるローラ離間機構800Aの斜視図である。図5に示すように、折りローラ対810a,810bは、上ローラアーム板(前)813、上ローラアーム板(奥)814、下ローラアーム板(前)815、下ローラアーム板(奥)816により軸受部材824a〜824dを介して支持されている。
なお、本実施の形態において、折りローラ対810a,810bを構成する接離可能な第1回転体である折りローラ810aは、対向して設けられた第1揺動部材である上ローラアーム板813,814に回転可能に支持される。また、第2回転体である折りローラ810bは、対向して設けられた第2揺動部材である下ローラアーム板815,816に回転可能に支持される。
この上ローラアーム板813,814と、下ローラアーム板815,816は、それぞれ加圧バネ817a,817bにより、折りローラ対810a,810bが圧接するように付勢されている。また、この上ローラアーム板813,814と下ローラアーム板815,816は、一方の揺動端部(一端部)に折りローラ対810a,810bを回転自在に支持している。さらに、中綴じ製本装置800の不図示の側板に軸823a,823b及び軸823c,823dを介して揺動自在に支持されている。
また、上ローラアーム板813,814と下ローラアーム板815,816の他方の揺動端部(他端部)には、それぞれ扇ギア818a〜818dが一体に取付けられている。また、ローラ離間機構800Aには、扇ギア818a,818bと噛合して上ローラアーム板813と下ローラアーム板815を揺動させるように、駆動伝達歯車816a,817が設けられている。また、扇ギア818c,818dと噛合して上ローラアーム板814と下ローラアーム板816を揺動させるように、駆動伝達歯車821,822が設けられている。
そして、駆動伝達歯車816a,817は、駆動伝達歯車815aを介して伝達されるローラ離間駆動モータM6からの駆動により回転する。さらに、このように駆動伝達歯車816a,817が回転すると、上ローラアーム板813の扇ギア818a及び下ローラアーム板815の扇ギア818bが回転し、これに伴い上ローラアーム板813と下ローラアーム板815が揺動する。
また、駆動伝達歯車815aが固着された駆動伝達軸819には駆動伝達歯車820が同軸上に配置されており、駆動伝達歯車821,822は、駆動伝達歯車820を介して伝達されるローラ離間駆動モータM6からの駆動により回転する。さらに、このように駆動伝達歯車821,822が回転すると、上ローラアーム板814の扇ギア818c及び下ローラアーム板816の扇ギア818dが回転し、これに伴い上ローラアーム板814と下ローラアーム板816が揺動する。そして、このようにローラ離間駆動モータM6を駆動することにより、上ローラアーム板813,814と下ローラアーム板815,816を同期して揺動させることができ、これにより折りローラ対810a,810bの離間も同期して行うことができる。
ここで、ローラ離間機構800Aは、2つ折りされたシート束の折り曲げ端部先端(頂部)が、第1折搬送ローラ対811a,811bに到達し、先端通過を折束検出センサS7が検知すると、折りローラ対810a,810bを圧接状態から離間状態に開放する。なお、このように離間状態となったとき、折りローラ対810a,810bの離間量(幅)は、シート束の最大枚数の厚さよりも大きくなるように設定されている。これにより、シート束の折り曲げ端部先端が第1折搬送ローラ対811a,811bに到達した後、折りローラ対810a,810bを、シート束から離間させることができる。この後、シート束は、第1折搬送ローラ対811a,811bにより搬送され、先端部がプレス前検出センサS8を通過する。さらに、第2折搬送ローラ対812a,812bによりプレスユニット860まで搬送された後、停止する。
図6は、プレスユニット860の斜視図であり、図7はプレスユニット860の内部説明図である。ここで、プレスユニット860は、図6に示すように、主要部を組み込んだベース板金863と、プレスローラ対861及びプレスローラ対861にシート束を案内するシートガイド871等を備えたプレスホルダ862を有している。
このプレスホルダ862は、シート束の排出方向と直交する幅方向に延び、プレスユニット860の不図示の側板に固定された2本の平行なスライドシャフト864,865に、スライド軸受874,875を介してスライド自在に支持されている。さらに、プレスホルダ862は、プレス駆動モータM7により回転駆動されるタイミングベルト868に固着されており、プレス駆動モータM7が回転してタイミングベルト868が移動すると、スライドシャフト864,865に支持されながら移動する。
なお、図7において、873a、873bは、フレーム839に固定された揺動軸874a,874bに軸受を介して揺動可能に支持されているプレスアームである。このプレスアーム873a,873bの一端に、それぞれプレスローラ対861a,861bが、ローラ軸872a,872bを介して回転自在に取り付けられている。また、プレスアーム873a,873bの他端部とフレーム839には、引張バネ875a,875bが掛けられており、この引張バネ875a,875bにより、プレスローラ対861a,861bは圧接するようになっている。なお、プレスローラ対861a,861bにシート束が挿入されると、プレスアーム873a,873bは引張バネ875a,875bに抗しながら揺動軸874a、874bを支点に回転し、ローラ間が離間される。
また、図6において、883はプレスホルダ862に設けられ、プレスローラ対861a,861bを回転させるギアであり、このギア883は、ベース板金863に設けられ、スライドシャフト864,865と平行に伸びたラックギア851と噛合っている。そして、プレス駆動モータM7によりプレスホルダ862がスライドシャフト864,865に支持されながら移動すると、このギア883はラックギア851と噛合いながら回転する。なお、このギア883とプレスローラ対861a,861bとは、不図示のギア列で連結されており、このようにギア883が回転すると、プレスローラ対861a,861bも回転する。なお、プレスホルダ862の移動速度と、2つのプレスローラ対861a,861bの周速度は等速になるように、各ギア列は設定されている。
ここで、2つ折りされたシート束は、プレスローラ対861にて潰し処理される際には、第1及び第2折搬送ローラ対811a,811b,812a,812bで保持されるようになる。これにより、潰し処理される際、シート束がプレスローラ対861の移動によってずれてしまうことはない。なお、潰し処理する際のシート束の先端停止位置(プレス先端位置)は、サイズに関わらずプレスローラ対861との相対関係が一定になるように、図3に示す搬送ガイド814aに設けられたプレス前折り束検出センサS8からの検知信号に基づいて制御される。
一方、潰し処理する際のシート束後端位置(プレス後端位置)は、後端(シート搬送方向上流端)が収納ガイド803等で規制され、後端が開いてしまわないように、各部の配置が決定されている。なお、シートサイズが、プレス後端位置が収納ガイド803の領域外となるシート束の場合、プレスローラ対861で折り曲げ端部強化処理されている間も、後続シート束を形成するシートの収納ガイド803への収納、整合動作を行うようにしている。これにより、装置の生産性が向上する。
次に、既述したように構成されたローラ離間機構800A及びプレスユニット860を備えた中綴じ製本装置800の中綴じ製本動作について図8に示すフローチャートを用いて説明する。
ユーザにより、中綴じ製本モードが設定されると、画像形成されたシートが図9の(a)に示すように、シートPのサイズに応じた切換部材802によりガイドされながら収納ガイド803に排出される。また、シートPは、滑りローラ804の搬送力も受けながら、予めシートサイズに適合した位置で停止している端部ストッパ805に突き当てられて、搬送方向の位置決めがされる。
次に、このように収納ガイド803に収納されたシートPに対し、以下のようなシートの収納後の整合、ステイプル処理が行われる(S102)。即ち、シート排出時には支障のない位置で待機していた整合板対825による挟み込み整合がなされて、シートPの幅方向の位置決めが行われる。なお、このシート収容、整合動作は、シートPが排出されるごとに行われる。そして、シート束としての最終シートの整合が終了すると、ステイプラ820がシート束の搬送方向中央部を針綴じする。
次に、このようにステイプラ820により、針綴じされたシート束は、図9の(b)に示すように、端部ストッパ805の移動に伴って、下方(矢印D方向)に移動する。端部ストッパ805は、シート束PAの中央部、すなわち針綴じ部が、折りローラ対810のニップに相当する位置で停止する。
次に、シート束PAに対する突き出し部材830及び折りローラ対810a,810bによる突き折り処理が行われる(S103)。即ち、待機位置に位置している突き出し部材830が折りローラ対810a,810bのニップへと動き出す(矢印E方向)。これにより、図10の(a)に示すように、シート束PAは、その中央部が折りローラ対810a,810bを押し広げながら移動し、折りローラ対810a,810bのニップに挿入されて折り畳まれる。
なお、この突き折り処理の際、折りローラ対810a,810bは第1折搬送ローラ対811a,811bと第2折搬送ローラ対812a,812bと共に、折搬送モータM4の駆動を受けて折りシート束Pを、折り曲げ端部を先頭にして搬送する。これにより、シート束PAは搬送ガイド813a,814aに案内されながら第1折搬送ローラ対811a,811b、第2折搬送ローラ対812a,812bを経てプレスユニット860に搬送される。
この際、シート束先端を検出する検出部である折束検出センサS7が、シート束先端を検出すると(S104のY)、図10の(b)に示すようにローラ離間機構800Aによる折りローラ対810a,810bの離間動作が開始される(S105)。これにより、折りローラ対810a,810bの各折りローラ810a,810bは、図10の(b)に示すように矢印f及び矢印g方向に移動する。
この後、シート束PAが第2折搬送ローラ対812a,812bを通過し、プレス前折り束検出センサS8がシート束先端を検出する(S106のY)。そして、このプレス前折り束検出センサS8のシート束先端検出に基づき、この後、シート束PAを、先端部がプレスローラ対861にニップされる位置まで搬送する。
ここで、このようにシート束PAを、先端部が、潰し処理が行われる処理位置であるプレスローラ対861にニップされる位置まで搬送するまでに、ローラ離間機構800Aによる折りローラ対810a,810bの離間動作を完了させる(S107)。なお、この離間動作が、シート束PAがプレス位置で停止する前に完了するように、ローラ離間速度及びシート束搬送速度が設定されている。そして、シート束PAを、先端部がプレスローラ対861にニップされる位置まで搬送すると、折搬送モータM4を停止させ、シート束PAをプレス位置で停止させる(S108)。
このとき、図11の(a)に示すように、シート束PAは先端付近を第2折搬送ローラ対812a,812bで、中央付近を第1折搬送ローラ対811a,812bで保持されている。また、折りローラ対810a,810bは離間した状態であるのでシート束後端付近はニップ圧のかからない状態に保たれている。なお、突き出し部材830は、突き出しが終了すると、再び退避位置へ移動する。
次に、プレスユニット860によるプレス処理を行う(S109)。ここで、このプレス処理、すなわち潰し処理を行う場合、シート束PAの搬送に先立ち、プレスホルダ862は、図12の(a)に示すように、シート束PAのサイズ(幅方向)に応じた待機位置(奥側)にて待機している。そして、シート束PAが停止し、シート束PAの折り曲げ端部がシートガイド871に挿入されると、プレスユニット860はプレス駆動モータM7の駆動を受け、プレスローラ対861を回転させながら、手前側(矢印J方向)への移動を開始する。
この後、プレスローラ対861は停止保持されているシート束PAの折り曲げ端部付近の側面に当接するが、プレスローラ対861自体が両側駆動で回転しているため、図12の(b)に示すように、スムーズに側面を駆け上って端部をニップすることができる。これにより、プレスホルダ862の移動に同期して応答遅れなしでシート束PAをプレスローラ対861でニップすることができるようになるため、折りシート束PAに対してシワや破れ、ローラ跡等のダメージを与えない。この効果は、シート束PAの厚みが増えても変わることはない。
次に、プレスローラ対861の移動が完了してシート束PAのプレス処理が完了すると(S110のY)、プレスユニット860はホームポジションに移動し、シート束PAの搬送方向の経路を開放する。この後、図11の(b)に示すように、折りローラ対810a,810bをローラ離間機構により離間状態から圧接状態(当接状態)へと戻される圧接動作が開始されると共に、シート束PAは折り束トレイ840へと排出される(S111)。なお、このローラ離間機構による圧接動作は次のシート束が突き出し部材830により突き折り動作が始まるまでに完了すればよい。
ところで、本実施の形態において、既述したように、折りローラ対810a、810bを通過したシート束の先端部がプレスユニット860まで搬送された後、シート束を停止させるようにしている。この場合、厚手の中折りシート束の現象として、通常、シート束の最も内側のシートである最内シートと、シート束の最も外側のシートである最外シートの間で小口断面の傾斜面が生じる。
また、このようにシート束を停止させた時、シート束の折り曲げ端部と反対側の小口端部が、サイズによっては、折りローラ対810a,810bのニップ位置に合致する場合がある。この場合、既述した図13に示すように、傾斜面に折りローラ対810a,810bのニップ圧が付与され、これに伴ってシート束PAを下流方向に移動させる力が発生するようになる。ここで、折りローラ対810a,810bのニップ圧は、第1折搬送ローラ対811a,811b、第2折搬送ローラ対812a,812bのニップ圧よりも大きい。このため、折りローラ対810a,810bによりシート束PAを下流方向に移動させる力が発生すると、シート束PAが移動するようになり、シート束PAの停止位置精度が安定しなくなる。
しかし、本実施の形態では、既述したようにシート束の折り曲げ端部先端(頂部)が、第1折搬送ローラ対811a,811bに到達した後、折りローラ対810a,810bを圧接した状態から離間した状態としている。このため、シート束の小口端部の傾斜面に折りローラ対810a,810bのニップ圧が付与されることはなく、プレスユニット860まで搬送された後のシート束停止精度が安定する。
さらに、このように構成することにより、プレスローラ対861の幅(シート束搬送方向)を停止位置のずれ量を考慮して大きくする必要がなくなるため、装置の小型化を図かることができる。また、シートが定型サイズの場合でも、不定形サイズの場合でも、折りローラ810a,810bを離間させることにより、シート束の小口端部の傾斜面にニップ圧が付与されることがなくなるので、ローラ配置の自由度が上がり、装置全体の小型化も図れる。
また、折りローラ対810a,810bでシートが滞留ジャムを発生した場合においても、折りローラ対810a,810bを離間させることにより、シート束の取り出し性を向上させることができる。さらにまた、折りローラ対810a,810bだけでなく、第1折搬送ローラ対811a,811bも離間動作させることにより、シート束の取り出し性を向上させることができる。
以上説明したように、折りローラ対810a,810bを、シート束が潰し処理が行われる位置に達して停止するまでに離間した状態とすることにより、シート束の折り曲げ潰し処理停止位置の精度を向上させることができる。これにより、シートサイズによらずシート束の折り曲げ端部の潰し処理を確実に行うことができる。
なお、これまではシートサイズによらずに全てのサイズのシート束において折りローラ対810a,810bを離間動作させるようにしたが、本発明はこれに限らない。例えば、シート束のシート搬送方向長さが、シート束の先端がプレスユニット860により潰し処理が行われる位置に停止した際、シート束の後端が折りローラ対810a,810bのニップ領域よりもシート搬送方向下流に位置するような長さの場合がある。このような場合には、折りローラ対810a,810bの離間動作を行わないようにしても良く、またシート束の構成枚数が少なくシート束が厚くない場合、例えば1枚折りや2枚折りの場合も、ローラ離間機構による離間動作を行わないようにしても良い。
また、本実施の形態では、折り曲げられたシート束を第1折搬送ローラ対811a,811b、第2折搬送ローラ対812a,812bによりプレスユニット860により潰し処理が行われる位置まで搬送しているが、本発明は、これに限らない。例えば、第1折搬送ローラ対811a,811bを無くし、第2折搬送ローラ対812a,812bのみでプレスユニット860にシートを搬送するようにしても良い。このように構成することにより、装置の小型化及び部品数削減による低コスト化を図ることができる。
また、第1折搬送ローラ対811a,811b、第2折搬送ローラ対812a,812bの代わりに折りシート束を把持できる搬送ベルト、もしくはその他のシート束把持手段を用いても、同様の効果を得ることができる。さらに、これまでの説明において、プレスユニット860は、シート束の折り曲げ端部の潰し処理を行うものとしたが、折り曲げ端部の潰し処理と共にシート束の折り曲げ端部である折り頂部を側方から押圧して折り頂部の平坦化処理を行うものとしても良い。