JP6365603B2 - サーミスタ素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ヒートサイクル試験等においても抵抗値の変化が少なく信頼性の高いサーミスタ素子及びその製造方法に関する。
一般に、自動車関連技術、情報機器、通信機器、医療用機器、住宅設備機器等の温度センサとして、サーミスタ温度センサが採用されている。このサーミスタ温度センサに用いられるサーミスタ素子は、特に温度が繰り返し大きく変化する厳しい環境で使用される場合も多い。
また、このようなサーミスタ素子では、従来、サーミスタ素体上にAu等の貴金属ペーストを用いて電極を形成しているものが採用されている。
例えば、特許文献1では、電極がサーミスタ素体上の素子電極と該素子電極上のカバー電極との2層構造を有し、素子電極がガラスフリットとRuO(二酸化ルテニウム)とを含んだ膜であり、カバー電極が貴金属とガラスフリットとを含むペーストで形成された膜であるサーミスタが記載されている。このサーミスタでは、ガラスフリットとRuOとを含んだペーストをサーミスタ素体の表面に塗布し、これを焼き付け処理することで、膜状に素子電極を形成している。この素子電極によって電極面積を確保してサーミスタの電気的特性を維持させ、ハンダ付けによる配線と素子電極との電気的接続を貴金属ペーストのカバー電極により確保している。
特許第3661160号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、上記従来のサーミスタでは、ガラスフリットとRuO粒とを含んだペーストをサーミスタ素体の表面に塗布し、これを焼き付け処理することで、電極の中間層を形成しているため、RuO粒同士の間にガラスフリットが入り込み、RuO粒同士の電気的導通を阻害している部分が多く発生することで、中間層の抵抗値が増加してしまう不都合があった。このように抵抗値の高い中間層であるために、長時間使用によるヒートサイクルによって電極の剥離が進行することで、抵抗値が顕著に増大してしまう問題があった。さらに、RuO粒を含んだ粘度の高いペーストをサーミスタ素体の表面に塗布するため、厚膜の中間層しか形成できず、希少金属のRuを含むRuO粒の使用量が多くなってしまう問題もあった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、RuOを含んだ導電性中間層の低抵抗化及び薄膜化が可能であると共に、電極の剥離に伴う抵抗値の増大を抑制することができるサーミスタ素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るサーミスタ素子では、サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体と、前記サーミスタ素体上に形成された導電性中間層と、前記導電性中間層上に形成された電極層とを備え、前記導電性中間層が、電気的に互いに接触したRuO粒による凝集構造を有し、前記凝集構造の隙間にSiOが介在しており、厚さが100〜1000nmであることを特徴とする。
このサーミスタ素子では、導電性中間層が、電気的に互いに接触したRuO粒による凝集構造を有し、凝集構造の隙間にSiOが介在しており、厚さが100〜1000nmであるので、互いに接触したRuO粒の凝集構造により十分な導電性が確保されていると共に、ポーラスな構造中の隙間に介在したSiOが凝集構造のバインダーとして機能している。したがって、薄い導電性中間層でも低抵抗が得られ、ヒートサイクル試験等において導電性中間層と電極層と間の剥離が進行しても、抵抗値の増大を抑制可能である。
第2の発明に係るサーミスタ素子は、第1の発明において、−55℃で30minと、200℃で30minとを1サイクルとし、これを50サイクル繰り返したヒートサイクル試験前後で、25℃での抵抗値の変化率が2.5%未満であることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ素子では、上記ヒートサイクル試験前後で、25℃での抵抗値の変化率が2.5%未満であるので、温度変化の大きい環境でも安定した温度測定が可能であり、高い信頼性を有している。
第3の発明に係るサーミスタ素子の製造方法では、サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体上に導電性中間層を形成する中間層形成工程と、前記導電性中間層上に電極層を形成する電極形成工程とを有し、前記中間層形成工程が、RuO粒と有機溶媒とを含有したRuO分散液を前記サーミスタ素体上に塗布し、乾燥させてRuO層を形成する工程と、前記RuO層上にSiOと有機溶媒と水と酸とを含有したシリカゾルゲル液を塗布し、前記RuO層中に前記シリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ前記導電性中間層を形成する工程とを有していることを特徴とする。
このサーミスタ素子の製造方法では、中間層形成工程において、RuO粒と有機溶媒とを含有したRuO分散液をサーミスタ素体上に塗布し、乾燥させてRuO層を形成するので、この時点で多くのRuO粒同士が互いに密着した状態のRuO層が形成される。さらに、RuO層上にSiOと有機溶媒と水と酸とを含有したシリカゾルゲル液を塗布し、RuO層中にシリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ導電性中間層を形成するので、互いに密着したRuO粒同士による凝集構造を有し、その隙間にシリカゾルゲル液が浸入し、乾燥後に前記隙間にSiOが介在する状態となる。シリカゾルゲル液は乾燥させることで純度の高いSiOとなって硬化し、導電性中間層の強度を担保するとともに、サーミスタ素体と導電性中間層とを強固に密着させる働きをする。したがって、ガラスフリットを含むRuOペーストで形成した従来の中間層では、ガラスフリットが邪魔してRuO粒同士が十分に密着できないのに対し、本願発明では、ガラスフリットを含まないRuO分散液で予めRuO粒同士が互いに密着したRuO層を形成した後に、バインダーとしてSiOをRuO粒の隙間に介在させることで、RuO粒同士の接触面積を多く確保し、かつ、融けたガラスフリットがRuO粒同士の接触面に入り込んで接触を阻害して高抵抗化することがないので、導電性中間層の低抵抗化を図ることができる。また、ペーストよりも粘度が低いRuO分散液を塗布するため、ペーストで形成するよりも薄い導電性中間層を形成することができる。さらに、サーミスタ素体に直接多くのRuO粒が密着したRuO層を予め形成するので、低抵抗の導電性中間層が得られ、ヒートサイクル試験において電極の剥離が進行しても、抵抗値の増大を抑制可能である。
第4の発明に係るサーミスタ素子の製造方法は、第3の発明において、前記電極形成工程が、貴金属を含む貴金属ペーストを前記導電性中間層に塗布する工程と、塗布した前記貴金属ペーストを加熱して焼き付けて前記貴金属の前記電極層を形成する工程とを有していることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ素子の製造方法では、貴金属を含む貴金属ペーストを導電性中間層に塗布する工程と、塗布した貴金属ペーストを加熱して焼き付けて貴金属の電極層を形成する工程とを有しているので、貴金属ペーストを焼き付ける際に、RuO粒同士の密着がより強くなる。また、シリカゾルゲル液で埋めきれなかったRuO粒同士の隙間にガラスフリットが溶けて浸透することで、バインダーとしてより強固にRuO粒同士を固定し、安定した導電性中間層を得ることができる。なお、RuO粒同士はシリカゾルゲル液由来のSiOによって強固に密着しているため、貴金属ペースト中のガラスフリットが融けてRuO粒間隙に浸透しても、RuO粒同士の接触が阻害されることはない。
第5の発明に係るサーミスタ素子の製造方法は、第3又は第4の発明において、前記RuO層の厚さを、100〜1000nmとすることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ素子の製造方法では、RuO層の厚さを、100〜1000nmとするので、薄膜で十分な抵抗値の導電性中間層が得られる。なお、RuO層の厚さが100nm未満であると、サーミスタ素体との密着性や抵抗値が不十分になる場合がある。また、RuO層の厚さは1000nmまでで十分な低抵抗と密着性が得られ、それを超える厚さを得るには必要以上にRuO粒を使用することになり、高コストになってしまう。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサーミスタ素子によれば、導電性中間層が、電気的に互いに接触したRuO粒による凝集構造を有し、凝集構造の隙間にSiOが介在しており、厚さが100〜1000nmであるので、薄い導電性中間層でも低抵抗が得られ、ヒートサイクル試験等において電極の剥離が進行しても、抵抗値の増大を抑制可能である。
また、本発明に係るサーミスタ素子の製造方法によれば、RuO粒と有機溶媒とを含有したRuO分散液をサーミスタ素体上に塗布し、乾燥させてRuO層を形成し、さらにRuO層上にSiOと有機溶媒と水と酸とを含有したシリカゾルゲル液を塗布し、RuO層中にシリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ導電性中間層を形成するので、RuO分散液で予めRuO粒同士が密着したRuO層が形成されると共に、シリカゾルゲル液のSiOがRuO粒の隙間に介在することで、導電性中間層の低抵抗化を図ることができる。
したがって、ガラスフリットを含むペーストで形成するよりも薄く低抵抗な導電性中間層を形成することができ、低コスト化が可能であると共に、ヒートサイクル試験等において電極の剥離が進行しても、抵抗値の増大を抑制可能な高い信頼性を有した素子が得られる。
本発明に係るサーミスタ素子及びその製造方法の一実施形態において、工程順に示す断面図である。 本実施形態において、サーミスタ素子を示す断面図である。 本実施形態において、サーミスタ素子を示す模式的な拡大断面図である。 本発明に係るサーミスタ素子及びその製造方法の実施例において、サーミスタ素子の断面を示すSEM写真である。 本発明に係る実施例において、電極層形成前の断面状態を示すSEM写真である。 本発明に係る実施例において、電極層形成前の表面状態を示す導電性中間層のSEM写真である。 本発明に係る実施例において、ヒートサイクル試験結果を示すヒートサイクル数に対する抵抗値変化(△R25)を示すグラフである。
以下、本発明に係るサーミスタ素子及びその製造方法の一実施形態を、図1から図3を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために必要に応じて縮尺を適宜変更している。
本実施形態のサーミスタ素子1は、図1から図3に示すように、サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体2と、サーミスタ素体2上に形成された導電性中間層4、導電性中間層4上に形成された電極層5とを備えている。
上記導電性中間層4は、電気的に互いに接触したRuO粒3aによる凝集構造を有し、凝集構造の隙間にSiOが介在しており、厚さが100〜1000nmである。すなわち、上記凝集構造は、互いに接触して電気的に導通したRuO粒で構成され、凝集構造中に部分的に生じている隙間にSiOが入り込んでいる。
このサーミスタ素子1は、−55℃で30minと、200℃で30minとを1サイクルとし、これを50サイクル繰り返したヒートサイクル試験前後で、25℃での抵抗値の変化率が2.5%未満である。
本実施形態のサーミスタ素子1の製造方法は、図1に示すように、サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体2上に導電性中間層4を形成する中間層形成工程と、導電性中間層4上に電極層5を形成する電極形成工程とを有している。
上記中間層形成工程は、図1の(a)に示すように、RuO粒3aと有機溶媒とを含有したRuO分散液をサーミスタ素体2上に塗布し、乾燥させてRuO層3を形成する工程と、図1の(b)に示すように、RuO層3上にSiOと有機溶媒と水と酸とを含有したシリカゾルゲル液を塗布し、RuO層3中にシリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ導電性中間層4を形成する工程とを有している。
上記電極形成工程では、貴金属を含む貴金属ペーストを導電性中間層4に塗布する工程と、図1の(c)に示すように、塗布した貴金属ペーストを加熱して焼き付けて貴金属の電極層5を形成する工程とを有している。
なお、上記RuO層3の厚さは、100〜1000nmとされる。
上記サーミスタ素体2としては、例えばMn−Co−Fe,Mn−Co−Fe−Al,Mn−Co−Fe−Cu等が採用可能である。このサーミスタ素体2の厚さは、例えば200μmである。
上記RuO分散液は、例えばRuO粒3aと、有機溶媒としてアセチルアセトンとエタノールとを混合したRuOインクである。
上記RuO粒3aは、その平均粒径が10〜100nmのものが使用されるが、特に50nm程度のものが好ましい。
有機溶媒には分散剤を含んでもよく、分散剤としては吸着基を複数持つポリマー型のものが好ましい。
上記シリカゾルゲル液は、例えばSiOとエタノールと水と硝酸との混合液である。なお、このシリカゾルゲル液に用いる有機溶媒としては、上記エタノール以外の他の有機溶媒を採用しても構わない。また、シリカゾルゲル液に用いる酸は、加水分解反応を促進する触媒として機能し、上記硝酸以外の酸を採用しても構わない。
上記貴金属ペーストは、例えばガラスフリットを含有したAuペーストである。
上記中間層形成工程では、RuO粒3aと有機溶媒とを含有したRuO分散液をサーミスタ素体2上に塗布し、乾燥させてRuO層3を形成するので、この時点で多くのRuO粒3a同士が互いに密着した状態のRuO層3が形成される。
具体的には、RuO粒3aを含有したRuO分散液をサーミスタ素体2上にスピンコート等で塗布し、例えば150℃,10minで乾燥させると、RuO分散液中のアセチルアセトンとエタノールとは蒸発してRuO粒3a同士が互いに接触した状態のRuO層3が形成される。このとき、RuO粒3a同士の接触部分以外には、微細な隙間が生じている。
次に、RuO層3上にSiOと有機溶媒と水と酸とを含有したシリカゾルゲル液を塗布し、RuO層3中にシリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ導電性中間層4を形成すると、互いに密着したRuO粒3a同士による凝集構造を有し、その隙間にシリカゾルゲル液が浸入し、乾燥後に前記隙間にSiOが介在する状態となる。シリカゾルゲル液は乾燥させることで純度の高いSiOとなって硬化し、導電性中間層4の強度を担保するとともに、サーミスタ素体2と導電性中間層4とを強固に密着させる働きをする。
具体的には、RuO層3上にシリカゾルゲル液をスピンコート等で塗布すると、RuO層3中にシリカゾルゲル液がRuO粒3a間の微細な隙間に浸透し、例えば150℃,10minで乾燥させることでエタノールと水と硝酸とが蒸発し、隙間内にSiOだけが残存する。このとき、SiOがRuO粒3aのバインダーとして機能する。このように、互いに接触しているRuO粒3a間の微細な隙間にSiOが介在した導電性中間層4が形成される。
この後、導電性中間層4上に貴金属ペーストを塗布し、例えば850℃,10minで焼き付け処理を行うと、加熱によって接触しているRuO粒3a同士の密着性が高くなる。また、シリカゾルゲル液で埋めきれなかったRuO粒3a同士の隙間にもガラスフリットが溶けて浸透する。
このようにして、図2及び図4に示すように、Auの電極層5が導電性中間層4上に形成されたサーミスタ素子1が作製される。
このように本実施形態のサーミスタ素子1では、導電性中間層4が、電気的に互いに接触したRuO粒3aによる凝集構造を有し、凝集構造の隙間にSiOが介在しており、厚さが100〜1000nmであるので、互いに接触したRuO粒3aの凝集構造により十分な導電性が確保されていると共に、ポーラスな構造中の隙間に介在したSiOが凝集構造のバインダーとして機能している。したがって、薄い導電性中間層4でも低抵抗が得られ、ヒートサイクル試験等において導電性中間層4と電極層5と間の剥離が進行しても、抵抗値の増大を抑制可能である。
さらに、本実施形態のサーミスタ素子1は、上記ヒートサイクル試験前後で、25℃での抵抗値の変化率が2.5%未満であるので、温度変化の大きい環境でも安定した温度測定が可能であり、高い信頼性を有している。
また、本実施形態のサーミスタ素子の製造方法では、ガラスフリットを含まないRuO分散液で予めRuO粒3a同士が互いに密着したRuO層3を形成した後に、バインダーとしてSiOをRuO粒3aの隙間に介在させることで、RuO粒3a同士の接触面積を多く確保し、かつ、融けたガラスフリットがRuO粒3a同士の接触面に入り込んで接触を阻害して高抵抗化することがないので、導電性中間層4の低抵抗化を図ることができる。なお、ガラスフリットを含むRuOペーストで形成した従来の中間層では、ガラスフリットが邪魔してRuO粒3a同士が十分に密着できない。
また、本実施形態のサーミスタ素子の製造方法では、ペーストよりも粘度が低いRuO分散液を塗布するため、ペーストで形成するよりも薄い導電性中間層4を形成することができる。さらに、サーミスタ素体2に直接多くのRuO粒3aが密着したRuO層3を予め形成するので、低抵抗の導電性中間層4が得られ、ヒートサイクル試験等において電極の剥離が進行しても、抵抗値の増大を抑制可能である。
また、貴金属を含む貴金属ペーストを導電性中間層4に塗布する工程と、塗布した貴金属ペーストを加熱して焼き付けて貴金属の電極層5を形成する工程とを有しているので、貴金属ペーストを焼き付ける際に、RuO粒3a同士の密着がより強くなる。また、シリカゾルゲル液で埋めきれなかったRuO粒3a同士の隙間にSiOが溶けて浸透することで、バインダーとしてより強固にRuO粒3a同士を固定し、安定した導電性中間層4を得ることができる。
さらに、RuO層3の厚さを、100〜1000nmとするので、薄膜で十分な抵抗値の導電性中間層4が得られる。なお、RuO層3の厚さが100nm未満であると、サーミスタ素体2との密着性が不十分になる場合がある。また、RuO層3の厚さは1000nmまでで十分な低抵抗と密着性が得られ、それを超える厚さを得るには必要以上にRuO粒3aを使用することになり、高コストになってしまう。
上記実施形態に基づいて作製したサーミスタ素子1について、断面のSEM写真を図4に示すと共に、電極層形成前の断面状態及び導電性中間層の表面状態を示すSEM写真を図5及び図6に示す。
これらの写真からわかるように、RuO粒同士が接触及び密着した状態で導電性中間層を形成している。
また、作製したサーミスタ素子1の実施例は、寸法を1.0×1.0×0.2mmとしたチップ状、すなわち全体のサイズが、平面視で1.0×1.0mmであると共に、厚さが0.2mmのチップサーミスタとした。
このサーミスタ素子1について、金メタライズされたAlN基板に箔状のAu−Snはんだを用いてNフロー中、325℃の条件で実装した。このサーミスタ素子を実装したAlN基板を配線がなされたプリント基板上に接着剤で固定し、Auワイヤーボンディングによって評価回路を形成し、評価用のサンプルとした。
ヒートサイクル試験は、−55℃で30minと、200℃で30minとを1サイクルとし、これを25サイクル及び50サイクル繰り返したヒートサイクル試験前後で測定した、25℃における抵抗値の変化率の結果を、表1及び図7に示す。このヒートサイクル試験では、−55℃で30minと200℃で30minとの間に、常温(25℃)で3minを挟んで行っている。
なお、比較例として、本発明の導電性中間層を採用せず、サーミスタ素体上にAuペーストを直接塗布し、焼き付け処理したものを同様に、試験を行った結果も、表1及び図7に示す。なお、実施例、比較例のいずれも素子20個について測定し、その平均値である。
これらのヒートサイクル試験の結果からわかるように、比較例では、いずれも抵抗値が著しく増大しているのに対し、上記製法による導電性中間層を採用した本発明の実施例では、いずれも抵抗率の変化が僅かであった。これはヒートサイクル試験によって電極の剥離が拡がって電極の剥離率が高くなるのに伴って、比較例では、抵抗値が高い中間層を有しているために、抵抗値が顕著に増大しているのに対し、本発明の実施例では、電極の剥離が生じても、導電性中間層が低抵抗であるために抵抗値の増大が抑制されているものと考えられる。これらの試験結果は、電極の剥離率の変化に伴う抵抗率変化のシミュレーション結果とも合致している。
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態および上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
1…サーミスタ素子、2…サーミスタ素体、3…RuO層、3a…RuO粒、4…導電性中間層、5…電極層

Claims (5)

  1. サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体と、
    前記サーミスタ素体上に形成された導電性中間層と、
    前記導電性中間層上に形成された電極層とを備え、
    前記導電性中間層が、電気的に互いに接触したRuO粒による凝集構造を有し、前記凝集構造の隙間にSiOが介在しており、厚さが100〜1000nmであることを特徴とするサーミスタ素子。
  2. 請求項1に記載のサーミスタ素子において、
    −55℃で30minと、200℃で30minとを1サイクルとし、これを50サイクル繰り返したヒートサイクル試験前後で、25℃での抵抗値の変化率が2.5%未満であることを特徴とするサーミスタ素子。
  3. サーミスタ材料で形成されたサーミスタ素体上に導電性中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記導電性中間層上に電極層を形成する電極形成工程とを有し、
    前記中間層形成工程が、RuO粒と有機溶媒とを含有したRuO分散液を前記サーミスタ素体上に塗布し、乾燥させてRuO層を形成する工程と、
    前記RuO層上にSiOと有機溶媒と水と酸とを含有したシリカゾルゲル液を塗布し、前記RuO層中に前記シリカゾルゲル液を浸透させた状態で乾燥させ前記導電性中間層を形成する工程とを有していることを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。
  4. 請求項3に記載のサーミスタ素子の製造方法において、
    前記電極形成工程が、貴金属を含む貴金属ペーストを前記導電性中間層に塗布する工程と、
    塗布した前記貴金属ペーストを加熱して焼き付けて前記貴金属の前記電極層を形成する工程とを有していることを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。
  5. 請求項3又は4に記載のサーミスタ素子の製造方法において、
    前記RuO層の厚さを、100〜1000nmとすることを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。
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