JP6364875B2 - 柱梁接合構造 - Google Patents
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Description
梁端仕口部から前記梁の長手方向に沿った所定範囲に、前記フランジの幅を拡幅したフランジ拡幅部を備え、
前記フランジ拡幅部は、前記梁端仕口部の端と、当該端とは反対側の反対側端との間に内部塑性点を有し、
前記梁に外力が入力された場合に、前記梁は、
前記長手方向において、
前記フランジ拡幅部の前記反対側端の位置にて降伏した後、且つ、前記フランジ拡幅部の前記端の位置にて降伏するよりも前に、
前記フランジ拡幅部の前記内部塑性点の位置にて降伏するように構成されており、
前記所定範囲において、前記フランジには孔が形成されていないことを特徴とする。
このような柱梁接合構造によれば、大地震時には前記フランジ拡幅部の前記反対側端と、前記内部塑性点の2か所で降伏することとなり、塑性化する領域を従来のハンチ先端部分よりも拡大させることができる。その結果、ひずみの集中を緩和することができ、梁の変形能力の向上を図ることが可能である。
このような柱梁接合構造によれば、想定した曲げ耐力を確実に発揮することができる。
このような柱梁接合構造によれば、内部塑性点におけるひずみを緩和することができる。これにより、内部塑性点における破壊を抑制することができる。
このような柱梁接合構造によれば、ひずみの集中を緩和することができる。
≪参考例の柱梁接合構造≫
図1A及び図1Bは、参考例の柱梁接合構造の斜視図である。
図2は、本実施形態の柱梁接合構造の斜視図である。図3は、柱梁接合部分を拡大して示す上面図である。図4A及び図4Bは本実施形態の柱梁接合構造の上面図及び側面図である。なお、前述の参考例(図1A、図1B)と同一構成の部分には同一符号を付し説明を省略する。また、図4A、図4Bの反曲点とは、モーメントがゼロとなる点である。この反曲点から離れるほどモーメントが大きくなる。例えば、基端P2におけるモーメントは、先端P1におけるモーメントよりも大きくなる。
以下、水平ハンチ30の形状の決定方法について説明する。
Mp=B×tf×(H-tf)×σyf+tw×(H-2×tf)2/4×σyw ・・・(1)
ここで、
H:梁せい、B:梁幅、tf:フランジ厚、tw:ウェブ厚、
σyf、σyw:フランジ24、ウェブ22の降伏点(または耐力)
Mph=Mp+2×Bh×th×(Hh−th)×σyh ・・・・(2)
ここで
Hh:ハンチせい、Bh:内部塑性点におけるハンチ片側の幅、th:ハンチ厚、
σyh:ハンチの降伏点(または耐力)
M=α×Mp×(L2/L1) ・・・・(3)
ここで、
L1:反曲点から水平ハンチ30の先端P1までの距離、
L2:反曲点から水平ハンチ30の内部塑性点P3までの距離、
α:梁の耐力上昇率
M≧Mph ・・・・(4)
式(1)〜式(3)より式(4)の関係を満たすようにする。このように各値を設定し、水平ハンチ30の形状を決定する。
水平ハンチ30の先端P1の位置における破断により耐力が決定する試験体の最大耐力は、参考文献1(杉本浩一,高橋泰彦:改良梁端仕口形式を用いた角形鋼管柱−H形梁接合部の静的載荷実験―その3 水平ハンチ改良型梁端仕口部の実験―,日本建築学会大会学術講演梗概集C-1,pp.595-596,1999.9)や、参考文献2(杉本浩一,高橋泰彦,後閑章吉:改良梁端仕口形式を用いた角形鋼管柱−H形梁接合部の静的載荷実験―その5 ウェブをスチフナで補強した水平ハンチ付仕口形式の実験―,日本建築学会大会学術講演梗概集C-1, pp.787-788,2001.9)より、全塑性耐力に対して1.2倍以上が期待できる。αを1.2倍より大きな値とすると、内部塑性点P3が全塑性耐力に達する前にハンチ先端P1にて破断する恐れがある。また、α=1では、先端P1と内部塑性点P3が同時に降伏することになる。この場合、反曲点の位置が若干ずれると内部塑性点P3が危険断面となり、想定した曲げ耐力を発揮できないおそれがある。したがってαは1より大きいことが望ましい。
そのため、αの適正値は1<α≦1.2となる。この場合、想定した曲げ耐力を発揮することができる。
これにより、参考例の場合よりもひずみの集中を緩和することができ、梁20の変形能力の向上を図ることができる。また、梁端仕口部(基端P2)の損傷の防止を図ることができる。
図5は、柱梁接合構造の変形例を示す上面図である。
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
前述の実施形態では、柱10として角型鋼管を用いていたがこれには限られない。例えば丸型の鋼管やH形鋼、その他の断面形状のものであってもよい。
前述の実施形態では、柱10と梁20とを現場で溶接する現場溶接形式であったが、柱10と梁20を予め工場にて溶接してもよい。この場合、梁20のウェブ22は、工場において溶接により柱10と接合される。よって、ガセットプレート14やボルト16は用いなくてよい。
水平ハンチ30の形状は前述した実施形態のものには限られない。たとえは、基端P2から円弧部分の端までの長手方向に平行な部位や、先端P1の梁幅方向に平行な部位がなくてもよい。また、前述した実施形態では水平ハンチ30は円弧形状を有していたがこれには限られない。例えば楕円などの曲線形状であってもよい。
12 ダイアフラム
14 ガセットプレート
16 ボルト
20 梁
22 ウェブ
24 フランジ
26 スカラップ
30 水平ハンチ
30´ 水平ハンチ
100 水平ハンチ
P1 先端
P2 基端
P3 内部塑性点
Claims (5)
- H形鋼で構成された梁のフランジの端面を鋼製の柱に溶接接合した柱梁接合構造であって、
梁端仕口部から前記梁の長手方向に沿った所定範囲に、前記フランジの幅を拡幅したフランジ拡幅部を備え、
前記フランジ拡幅部は、前記梁端仕口部の端と、当該端とは反対側の反対側端との間に内部塑性点を有し、
前記梁に外力が入力された場合に、前記梁は、
前記長手方向において、
前記フランジ拡幅部の前記反対側端の位置にて降伏した後、且つ、前記フランジ拡幅部の前記端の位置にて降伏するよりも前に、
前記フランジ拡幅部の前記内部塑性点の位置にて降伏するように構成されており、
前記所定範囲において、前記フランジには孔が形成されていないことを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項1に記載の柱梁接合構造であって、
前記梁の耐力上昇率をαとし、前記反対側端の全塑性モーメントをMpとし、前記内部塑性点に生じるモーメントをMとし、反曲点から前記反対側端までの距離をL1とし、前記反曲点から前記内部塑性点までの距離をL2とした場合に、
M=α×Mp×(L2/L1)において
1.0<α≦1.2
であることを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項1又は請求項2に記載の柱梁接合構造であって、
前記フランジ拡幅部は、前記反対側端の側から前記端の側に向かうにつれて曲線的に幅が増加する曲線形状を有し、
前記内部塑性点は前記曲線形状のうちの一部である
ことを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の柱梁接合構造であって、
前記フランジ拡幅部の前記内部塑性点の位置における幅は、前記反対側端の位置における幅と同じであり、且つ、前記端の位置における幅よりも小さい
ことを特徴とする柱梁接合構造。 - 請求項1乃至請求項3の何れかに記載の柱梁接合構造であって、
前記フランジ拡幅部の前記内部塑性点の位置における幅は、前記反対側端の位置における幅よりも大きく、且つ、前記端の位置における幅よりも小さい
ことを特徴とする柱梁接合構造。
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