JP6356275B2 - シラノールのアルカリ塩からシロキサンを製造するための方法 - Google Patents

シラノールのアルカリ塩からシロキサンを製造するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、ハロシランを用いて、アルカリ金属カチオンのケイ素に対するモル比が<1である有機シラノールのアルカリ金属塩(以降、シリコネートとも呼ぶ)からシロキサンを調製するための方法に関する。
規定された一般式(1)
[RSi(OSiR)O] (1)
の環式シロキサンには、例えば光学用途、電子用途および高温用途向けの反応性の高い架橋剤として工業的に大きな関心が寄せられており、例えば、熱安定な溶媒、錯化剤、化粧品用途向けの流体および潜在的なシロキサン樹脂の構成要素として工業的に大きな関心が寄せられている。現在に至るまで、上記環式シロキサンは、製造に多額のコストがかかる不都合なものであり、したがって、上記環式シロキサンの製造は非経済的で工業規模には適合しないとされてきた。
US2567110(Corning Glass,1947)では、有機シラノールのアルカリ金属塩とクロロシランとの反応によって有機シロキサンを調製するための方法が非常に概括的に記述されている。US2567110では、有機シラノールの塩(RSiOOアルカリ)の環式構造が実際に記述されているが、この有機シラノールの塩から誘導できる構造(RSiOSiR’O)の環式シロキサンについては記述されていない。
モノオルガノシラノールの塩において、アルカリのSiに対する比は、いずれの場合においても1、2または3である。モノオルガノシラノール塩(例1:ナトリウムメチルシリコネート、例2ナトリウムフェニルシリコネート)を用いる例に限れば、溶媒混合物中でのモノオルガノシラノール塩とトリメチルクロロシランとの反応により、いずれの場合においても高分子質量ポリシロキサンがもたらされる。
JP2013−241497(Nat.Univ.Corp.Gunma Univ.,2012)では、ある溶媒に溶かしたC−Cトリアルコキシシランと水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムとの溶液から出発する、ナトリウムシリコネートまたはカリウムシリコネートの調製が記述されている。ろ過およびろ滓の乾燥によって固体生成物を得る。ここで、アルカリ:Si比は、1:1である。続いて、溶媒およびピリジンの存在下で、上記ナトリウムシリコネートまたはカリウムシリコネートをクロロシラン(例えば、HM2−シラン)と反応させると、対応するシクロシロキサン(例えば、[MeSi(OSiMeH)O])が生成する。
Shchegolikhina,O.I.et al.,European Journal of Inorganic Chemistry,2004,1253−1261によれば、環式ナトリウムフェニルシロキサノレートおよび環式カリウムフェニルシロキサノレートが、場合によりアルコールおよび無極性有機溶媒も存在する状況下で、水性ナトリウム溶液または水酸化カリウム溶液を用いてフェニルトリエトキシシランから調製される。アルカリ/Si比はいずれの場合においても、1:1である。反応生成物が、ピリジンの存在下でトリメチルクロロシランと反応すると、対応する環式誘導体(cis−[PhSi(OSiMe)O]または)が生成する。
Shchegolikhina,O.I.et al.,Russian Chemical Bulletin,International Edition,Vol.56,No.1,pp.83−90,Jan.2007では、目的化合物の出発物質として1:1のアルカリ:Si比を有するシリコネート塩が記述されている。上記シリコネート塩は、高度希釈法により溶媒としてのヘキサンに溶かした塩基としてのピリジンの存在下で、大過剰な(シリコネートに対して8当量超の)トリメチルクロロシランを用いて、対応する環式シロキサンに転化される。結晶中に拘束されたアルコール、およびシリコネートの調製から出た何らかのさらなる水が、クロロシランの一部を消費してしまい、この結果、操業の経済性も低下する。
Laine,R.M et al.,Comptes Rendus Chimie 13、270−281、2010によれば、例えば、ブタノールに溶かした過剰なNaOHを使用してオクタフェニルシルセスキオキサンを開裂すると、対応する環式ナトリウムシロキサノレートが24時間から48時間以内に生成する。メタノール中でシロキサノレートをメチルトリクロロシランと反応させて、ジメトキシシリル誘導体を生成するが、このジメトキシシリル誘導体を加水分解/縮合すると、非対称シルセスキオキサン(「ヤヌスキューブ型シルセスキオキサン」)を形成することができる。
DE602004010461T2(Samsung Electronics Co.,2004)の記述には、例えば[MeSiO(SiMeCl)O]および[MeSiO(SiMe−OMe)O]等の多官能性環式シロキサン化合物が含まれている。
上記先行技術によれば、一般式(1)
[RSi(OSiR)O] (1)
の環式生成物は、一般式(2a)
RSi(OH)OM (2a)
(式中、Mが、アルカリ金属であり、Rが、有機基であり、nが、3、4、5、6、7または8である。)の対応するアルカリ金属シリコネートまたはこのアルカリ金属シリコネートの縮合生成物から一般式(3)
Si−Hal (3)
(式中、Halが、ハロゲン基であり、R、RおよびRが互いに独立に、場合により酸素を介して結合していることもある水素基、ハロゲン基または有機基である。)のハロシランとの反応により、入手することができる。
ここで、一般式(2a)中のアルカリ:ケイ素比(M:Si)は常に、1:1である。
上記アルカリ金属シリコネートは、1モル当量の一般式(4)
RSi(OR’) (4)
のアルコキシシランまたはこのアルコキシシラン加水分解物と、1モル当量の水性アルカリ金属水酸化物との反応によって得られる。Rは、上記規定を有し、式(4)中のR’は、低級アルキル基である。
米国特許第2567110号明細書 特開2013−241497号公報 独国特許出願公開第602004010461T2号明細書
Shchegolikhina,O.I.et al.,European Journal of Inorganic Chemistry,2004,1253−1261 Shchegolikhina,O.I.et al.,Russian Chemical Bulletin,International Edition,Vol.56,No.1,pp.83−90,Jan.2007 Laine,R.M et al.,Comptes Rendus Chimie 13、270−281、2010
上記アルカリ金属シリコネートのアルカリ金属含量が高い結果、一般式(1)の目的生成物への完全な転化により、シリコネート1モル当量当たり1モル当量のアルカリ金属塩が生成するが、このアルカリ金属塩は、費用のかかるリサイクルまたは処分を行わなければならない。高いアルカリ金属含量が原因となるさらなる欠点は、アルカリ金属含量の上昇に伴って増大する塩の吸湿性であるが、塩の吸湿性がこのように増大するということは、先行技術によって使用されるシリコネートが、結晶中に拘束されているまたは結晶中に付着しているアルコールまたは水和水を含まないようにするのは、困難であることを意味する(Shchegolikhina、O.I.et al.,European Journal of Inorganic Chemistry,2004、1253−1261を参照されたい。)。しかしながら、経済的な理由のため、一般式(3)のハロシランとの反応には、水もアルコールも含まないシリコネートを利用することが必要であり、理由として、シリコネートが水およびアルコールを含む場合は、ハロシランの一部がOH官能性副成分との反応に消費され、シリコネートとの所望の反応に利用できなくなるという点がある。乾燥が完全に実施されない場合、水もアルコールも含むシリコネートを一般式(1)の目的生成物に最大限転化するためには、一般式(3)のハロシランの過剰な使用が必要であるが、こうした一般式(3)のハロシランの使用は、処分が必要になる望ましくない副産物をもたらすため、非経済的である。別の態様は、シリコネートの分解しやすさであるが、やはりアルカリ金属含量の上昇に伴って、シリコネートの分解温度が低下していくため、乾燥時間も長期化する(WO2012/022544を参照されたい。)。一般式(2a)の乾燥済みシリコネートと一般式(3)のハロシランとの反応により、本発明による一般式(1)のシロキサンを調製するための、現在に至るまでに技術文献において記述された方法では常に、溶媒が使用される。しかしながら、反応後にはこの溶媒を、コストがかかる不都合な手順によって一般式(1)の目的生成物から再度除去しなければならない。
したがって、本発明の一目的は、先行技術に関して記述された欠点を有さない一般式(1)の化合物を調製するための方法を見出すことだった。
本発明の主題は
カチオンMのケイ素に対するモル比が<1である、一般式(2)
R−Si(OH)3−m(OM) (2)
の単位からなるシラノールのアルカリ金属塩(アルカリ金属シリコネートとして公知)、それらの加水分解/縮合生成物、またはそれらの縮合物一緒にした一般式(2)のシラノールのアルカリ金属塩と、一般式(3)
Si−Hal (3)
のハロシランとの反応によって、
一般式(1)
[RSi(OSiR)O] (1)
の環式シロキサンを調製するための方法である
(式中、
mが、0、1、2または3であり、平均で0.1から<1までの数であり、
nが、3、4、5、6、7または8であり、
Rが、炭素を介して結合した有機基であり、
Mが、アルカリ金属カチオンであり、
Halが、ハロゲン基であり、
、RおよびRが互いに独立に、水素基、ハロゲン基、または炭素もしくは酸素を介して結合している有機基である。)。
驚くべきことに、アルカリ金属:ケイ素比が<1である一般式(2)のアルカリ金属シリコネートまたはこのアルカリ金属シリコネートの縮合生成物は一般式(3)のハロシランとの反応において、アルカリ金属:ケイ素比が等モルの比である一般式(2)のアルカリ金属シリコネートまたはこのアルカリ金属シリコネートの縮合生成物と同等の収率の一般式(1)の環式シロキサンを生成することが見出された。WO2012/022544によって製造されたアルカリ金属シリコネートの場合で、アルカリ金属のケイ素に対する比が<1であるとき、形成された一般式(1)の環式シロキサン構造の割合が、等モルの場合に比べて実際に高いことも見出された(実施例1を参照されたい。)。
本発明の方法の利点は、一般式(2)のシリコネート中のアルカリ金属含量低下の結果として生じる。アルカリ金属が低減された上記のシリコネートは、より容易でより信頼性のある乾燥を行うことができる。さらに、アルカリ金属が低減された上記のシリコネートは、拘束する水およびアルコールも少なくなり、したがって、一般式(3)のハロシランの消費量が増えることもない。
本方法において使用される一般式(2)の単位からなるシラノールのアルカリ金属塩およびこのアルカリ金属塩の縮合生成物は以降、ひとまとめにしてシリコネートAと呼ぶ。
ここで、基Rは好ましくは、無置換であるまたはハロゲン原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基もしくはシリル基によって置換されている1個から30個までの炭素原子を有するSi−Cに結合した一価の炭化水素基であり、この一価の炭化水素基中にある1個の−CH−単位または互いに隣接していない複数の−CH−単位が、−O−基または−S−基によって置きかえられていてもよい。基Rは、直鎖状であってもよく、分岐していてもよく、環式であってもよく、芳香族化合物であってもよく、飽和していてもよく、または不飽和であってもよい。
好ましくは、Rは、無置換であるまたはハロゲン原子、アルコキシ基もしくはシリル基によって置換されている1個から18個までの炭素原子を有する一価の炭化水素基である。特に好ましいのは、無置換のアルキル基、シクロアルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基およびフェニル基である。炭化水素基Rは好ましくは、1個から6個までの炭素原子を有する。特に好ましいのは、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ビニル、n−ヘキシルおよびフェニル基であり、非常に好ましくはメチル基およびビニル基であり、より特定するとメチル基である。
基Rのさらなる例は、n−プロピル、2−プロピル、クロロメチル、メトキシメチル、3−クロロプロピル、2−(トリメチルシリル)エチル、n−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル、tert−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、10−ウンデセニル、n−ドデシル、イソトリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、ビニル、アリル、ベンジル、p−クロロフェニル、o−(フェニル)フェニル、m−(フェニル)フェニル、p−(フェニル)フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル基である。Rのさらなる例は、−(CHO)−R基、−(CHCHO)−R基およびCHCH(CH)O)−R10基(式中、o、pおよびqが、1から10までの値、より特定すると1、2、3の値を有する。)である。好ましくは、R、RおよびR10は、無置換であるまたはハロゲン原子によって置換されている1個から6個までの炭素原子を有するアルキル基である。基R、RおよびR10の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、アリル基およびブチル基であり、メチル基が特に好ましい。
Mは、リチウム、ナトリウム、カリウムまたはセシウムに関する規定を有し、ナトリウムおよびカリウムが好ましく、カリウムが特に好ましい。
mの平均値によって表される一般式(2)中のモル比M:Siは、好ましくは少なくとも0.1であり、より好ましくは少なくとも0.4であり、より特定すると少なくとも0.5であり、最大0.95であり、好ましくは最大0.85であり、より特定すると最大0.75である。
Mがナトリウムおよびカリウムに関する規定を有する場合、使用されるシリコネートA中のK:Naのモル比は、好ましくは0.8:0.2から0.4:0.6までであり、より特定すると0.7:0.3から0.5:0.5までである。
好ましくは、nは、4、5または6の値を有する。
本発明のシリコネートは好ましくは、WO2013/041385、WO2012/022544およびWO2013/075969で記述された方法によって調製される。
一般式(3)のハロシラン中の基R、RおよびRは好ましくは、水素基またはハロゲンであり、C1−10アルコキシまたはC1−20アリールオキシ基であり、または、無置換であるかまたはハロゲン原子、アルコキシ基もしくはシリル基によって置換されている1個から18個までの炭素原子を有する一価の炭化水素基である。特に好ましいのは、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、C1−6アルコキシ、C1−10アリールオキシならびに無置換のC1−10アルキル基、C1−10シクロアルキル基、C1−20アルキルアリール基、C1−20アリールアルキル基およびフェニル基である。特に好ましいのは、水素、メチル、エチル、プロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ビニル、n−ヘキシルおよびフェニル基であり、特にメチル基およびビニル基であり、より特定するとメチル基である。
基R、RおよびRのさらなる例は、次のとおりである:n−プロピル、2−プロピル、クロロメチル、メトキシメチル、3−クロロプロピル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(トリメトキシシリル)エチル、2−(トリエトキシシリル)エチル、2−(ジメトキシメチルシリル)エチル、2−(ジエトキシメチルシリル)エチル、n−ブチル、2−ブチル、2−メチルプロピル、tert−ブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、10−ウンデセニル、n−ドデシル、イソトリデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、エチニル、アリル、ベンジル、p−クロロフェニル、o−(フェニル)フェニル、m−(フェニル)フェニル、p−(フェニル)フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル基。
一般式(3)のハロシランは、好ましくはクロロシランである。
一般式(3)のクロロシランの例は、SiCl、HSiCl、MeSiCl、ViSiCl、アリル−SiCl、PhSiCl、HSiMeCl、HSiCl、MeSiCl、ViSiMeCl、PhSiMeCl、HSiCl、MeSiCl、HSiMeCl、ViSiMeCl、PhSiMeCl、アリル−SiMeCl、FC−CHCH−SiMeCl、(EtO)SiCl、(MeO)SiCl、(EtO)SiMeCl、(MeO)SiMeCl、EtOSiMeCl、MeOSiMeCl、Cl−CH−SiMeCl、Cl−CH−SiMeCl、Cl−CH−SiClである。
特に好ましいのは、MeSiCl、HSiMeCl、ViSiMeCl、PhSiMeCl、Cl−CH−SiMeClおよびアリル−SiMeClであり、より特定するとMeSiCl、HSiMeClおよびViSiMeClである。
ハロシランは、Muller−Rochow法に従ったメチルクロロシラン合成によって調製され、または公知の方法(例えば、ヒドロシリル化、求核置換、ラジカル置換)に従った化学反応の後に生じる生成物として調製してもよいが、通常は市販されてもいる。
一般式(1)の化合物は、本発明の方法によれば、シリコネートAと、一般式(3)のハロシランとの反応によって得られる。こうしたシリコネートAと一般式(3)のハロシランとの反応は、ハロシランへのシリコネートAの添加によって実施することもできるし、または逆にして、シリコネートAへのハロシランの添加によって実施することもできる。ここで、有利には、少なくとも1種の成分が、例えば懸濁液または溶液等の液体状の形態である。大気圧下の室温において、ハロシランの大部分は液体であり、シリコネートAは固体である。したがって、入念な混合によって非常に迅速な反応を確実に行うためには、不活性溶媒にシリコネートAを溶解または懸濁させることと、純粋な形態の液体状ハロシランまたは不活性溶媒に溶かして溶液にした液体状ハロシランを計量することとが適切であるとされている。利用される溶媒は好ましくは、非プロトン性の極性有機溶媒および非プロトン性の無極性有機溶媒であり、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソヘキサン、イソオクタン、シクロヘキサン等の直鎖アルカン、分岐アルカンまたは環式アルカン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等の芳香族化合物、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、フェニルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラヒドロピラン、4−メチルテトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル、またはヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、メチルトリストリメチルシロキシシラン等のシロキサン、または相異なる溶媒の混合物である。
反応中に形成されたハロゲン化水素を捕捉するために、補助的な塩基を添加することもできる。使用され得る補助的な塩基は、アミン、尿素、イミン、グアニジンおよび/またはアミド等の塩基性塩または窒素含有化合物である。塩基性塩の例は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウムおよび酸化マグネシウムである。窒素含有化合物の例は、アンモニア、エチルアミン、ブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、尿素、テトラメチル尿素、グアニジン、テトラメチルグアニジン、N−メチルイミダゾール、N−エチルイミダゾール、ピペリジン、ピリジンおよびピコリンである。利用されるのが好ましい窒素化合物は、窒素原子に水素が付いていない窒素化合物である。
補助的な塩基は好ましくは、シリコネートAに対して少なくとも等モルの比率で使用される。シリコネートA中のケイ素1モル当量ごとに、少なくとも0.5塩基当量、より好ましくは少なくとも1.0塩基当量、より特定すると少なくとも2.0塩基当量の補助的な塩基を使用することが好ましい。補助的な塩基の添加量を増やして使用することもできるが、こうした増量は一般に、いかなる利点ももたらすことはなく、代わりに、空間/時間収率を低下させ、この結果、方法の採算性も低下する。補助的な塩基を、好ましくは初回装入分のシリコネートAに組み入れておき、一般式(3)のハロシランを量り入れる。代替的には、反応物質であるシリコネートAと一般式(3)のハロシランの両方を、上記の初回装入分のシリコネートAに組み入れることになる補助的な塩基と同時進行で量り入れることもできる。相異なる補助的な塩基の混合物も、同様に使用することができる。
本発明の方法の好ましい一実施形態において、シリコネートAは、補助的な塩基も溶媒もなくても一般式(3)のハロシランと直接反応する。この場合、アルカリ金属の割合が比較的低いため、シリコネートAが、一般式(3)のハロシランの反応中に気体状ハロゲン化水素を発生させる遊離SiOH基を含有するという、本発明の方法のさらなる利点が明らかになる。このハロゲン化水素は、例えば、組み合わせた塩化水素系中での製造操作に容易に戻すことができ、したがって、安価にリサイクルすることができる。補助的な塩基が存在しない場合、シリコネートAは好ましくは、ハロシラン中に量り入れる。シリコネートAとハロゲン化水素との望ましくない二次反応を阻止するためには好ましくは、上記のシリコネートAとハロシランとが直接反応する工程中に形成されたハロゲン化水素ガスを、形成後直ちに反応混合物から不活性ガス流によって運び出し、または減圧によって除去する。
好ましくは、一般式(3)のハロシランは、シリコネートAに対して少なくとも等モルの比率で使用される。シリコネートケイ素1モル当量ごとに、好ましくは少なくとも0.5モル当量、より好ましくは少なくとも1.0モル当量、より特定すると少なくとも1.5モル当量の一般式(3)のハロシランが使用される。
シリコネートA1モル当量当たり30モル当量以下、より好ましくは10モル当量以下、より特定すると6モル当量以下のハロシランを使用することが好ましい。架橋構造を無秩序にもたらす可能性がある分子間縮合反応および分子内縮合反応を阻止するためには、一般式(3)のシラン中のケイ素に結合したハロゲンの比率をより高く、一般式(3)のハロシランの過剰をより多くのものに選択する。
相異なる一般式(3)のハロシランとシリコネートAとの混合物も、使用することができる。補助的な塩基を使用した場合は特に、シリコネートAは、最初に半化学量論的比率の一般式(3)のハロシランと反応させた後、引き続いて第2の一般式(3)のハロシランと反応させることもできる。この経路により、相異なる単位SiRを有する一般式(1)のシロキサンを入手することもできる。
シリコネートAと一般式(3)のハロシランとの反応は、好ましくは少なくとも−20℃の温度、より好ましくは少なくとも0℃の温度、より特定すると少なくとも10℃の温度で実施される。到達できる最大温度は、沸点が最も低い成分の沸点により、さらに生み出せる。
シリコネートAの分解を阻止するために、反応温度は、好ましくは200℃を超過せず、より好ましくは、反応温度は、120℃以下であり、より特定すると70℃以下である。
この文脈において、反応混合物は、冷却と加熱の両方を行うことができるし、個別の成分は、例えば反応熱の利用を可能にするために、特定の温度に到達させた後で互いに接触させてもよい。
本方法は、例えば撹拌機構の中でバッチ式に実施することもできるし、または、例えばループ型反応器もしくは管型反応器の中または流動層反応器もしくはパドル型乾燥機の中で連続式に実施することもできる。シリコネートAが固体または懸濁液として計量される場合、この計量は、固形物仕切り機構(solids lock)(例えば、コンベヤスクリュー型仕切り機構またはスターホイール型仕切り機構)を用いて実施することができる。
シリコネートAと一般式(3)のハロシランとの反応は通例、環のサイズ(添え字n)および/または立体配置が異なり得る相異なる一般式(1)のシロキサンの混合物を生成する。場合により、環式構造ではなく、分岐も含む線形構造(linearly branched structure)を有するシロキサン副産物も、わずかだがさらに形成されることもある。多くの場合、塩が形成され、存在するあらゆる溶媒または他の補助剤が除去された後ならば、上記の一般式(1)のシロキサンの混合物を直接使用することもできる。しかしながら、反応混合物中の特定の種の単離または蓄積を所望する場合、こうした単離または蓄積は好ましくは、分別蒸留または結晶化を行った後、反応混合物から得られた塩を除去することによって実施される。
反応においてアルカリ金属シリコネートから形成されたハロゲン化物状の塩、および場合により使用されることもある補助的な塩基から形成されたハロゲン化物状の塩は、蒸留または結晶化の前後に、ろ過によって除去することもできるし、または水に溶解させ、水溶液の形態で除去することもできる。水系後処理(aqueous workup)のために、極めて低い水溶性、より特定すると25℃において5wt%以下の水溶性を有する溶媒をさらに添加することもできる。存在するあらゆる過剰な一般式(3)のハロシランは好ましくは、水系後処理前に蒸留によって除去する。しかしながら、一般式(1)のシロキサンが例えばハロゲン基またはアルコキシ基等の水分に特に鋭敏な基を有し、または高い水溶性を有する場合、本発明の一般式(1)のシロキサンの除去前の水系後処理は好ましくない。この場合、ろ過の後に蒸留または結晶化を行うことによってアルカリ金属塩を除去することが好ましい。ろ液の純度が、本発明の一般式(1)のシロキサンを使用するのに十分である場合、または副産物が反応混合物の使用に悪影響しない場合、精製の実施が不要なこともある。
場合によりろ過されていることもある反応混合物から目的生成物を蒸留すること、または非水性相から目的生成物を蒸留し、場合により水系後処理の抽出物からも目的生成物を蒸留することが、短工程にして反応容器から直接実施するのが好ましい場合もあるし、または、例えばバブルトレー、固定式バルブトレーまたは不規則充填物もしくは規則充填物を装着した精留塔の中または流下液膜式蒸発器もしくは薄膜蒸発器の中、および短工程蒸留器の中等、慣例的な蒸留装置の中でバッチ式にまたは(半)連続式に実施するのが好ましい場合もある。相異なる蒸留装置を連続的に利用することもでき、例えば、過剰なハロシランまたは溶媒等の大量の低沸点物質を蒸留によって反応容器から除去することもできるし、この後、残留物を蒸留装置内で分別精製してもよい。本発明の一般式(1)のシロキサンを結晶化し、または場合により昇華も行うことは、可能性のある別の単離または精製の代表である。
ハロシランの加水分解のしやすさを考慮に入れるならば、シリコネートAと一般式(3)のハロシランとの反応は、水分が存在しない状況下、すなわち、乾燥雰囲気下または減圧下で実施されるのが好ましく、窒素、CO、アルゴンまたは希薄空気(lean air)等の不活性気体下で、好ましくは900hPaから1100hPaまでにおいて実施されるのがより好ましい。
好ましくは、次の一般式(1)のシロキサンが、本発明の方法によって調製される:[Vi−Si(OSiMe)O]、[Me−Si(OSiMe)O]、[Ph−Si(OSiMe)O]、[Ph−Si(OSiMePh)O]、[Ph−Si(OSiMe)O]、[Ph−Si(OSiMePh)O]、[Vi−Si(OSiMeH)O]、[Me−Si(OSiMeH)O]、[Ph−Si(OSiMeH)O]、[Ph−Si(OSiMeH)O]、[Vi−Si(OSiMeVi)O]、[Me−Si(OSiMeVi)O]、[Ph−Si(OSiMeVi)O]、[Ph−Si(OSiMeVi)O]、[Vi−Si(OSiMeCl)O]、[Me−Si(OSiMeCl)O]、[Ph−Si(OSiMeCl)O]
上記式中の上記記号のすべては、いずれの場合においても互いに独立に、これらの記号に関する規定を有する。すべての式中において、ケイ素原子は、四価である
下記にある本発明の例および比較例においては、そうではないと明記されていない限り、いずれの場合においても、量に関する数値および百分率に関する数値はすべて、重量によるものであり、すべての反応は、1000hPa(abs)の圧力で実施される。
固形分はいずれの場合においても、Mettler Toledo製のHR73 Halogen Moisture Analyzerを160℃で使用して測定される。
[実施例1]:シリコネートA中のアルカリ金属/Si比と、形成された(目的生成物が単離されていない)環式シロキサンの比率との関係を示している
a)シリコネート粉末の調製
最初に、WO2012/022544(PCT/EP2011/061766)の調製例1に従って、メチルトリメトキシシラン、相異なる比率のKOHおよび/またはNaOHならびに水からシリコネート粉末を調製する。固形分はいずれの場合においても、少なくとも99.5%だった。
b)クロロシランとの反応
10mlのIsopar E(113℃から143℃までの沸点範囲を有するイソパラフィン系炭化水素混合物、ExxonMobilから市販)を20℃において、4g(0.04mol)のトリエチルアミン(Aldrich)と混合した後、いずれの場合においても、細かく粉砕した1gのシリコネート粉末(K/Na含量に応じて0.008molから0.0096molまで)を慎重に添加する。10分にわたって、撹拌しながら4g(0.036mol)のトリメチルクロロシランを量り入れる。混合物の温度が上昇すると、白色沈殿物が形成される。20℃で6時間撹拌し、7g(0.388mol)の水を添加し、30分激しく撹拌し続ける。塩化アンモニウム沈殿物を溶解させ、溶解しなかった成分は、ろ過によって除去し、秤量しておき、透き通った二相混合物の有機上相の組成を29Si−NMRによって決定する。この29Si−NMRの結果を表1にまとめている。
Figure 0006356275
これにより、反応混合物中の環式目的生成物の比率がアルカリ金属含量の低下に伴って上昇することと、規定されたナトリウムの割合により選択性が向上することとが分かる。
[実施例2]:[MeSi(OSiMeVi)O]
パドル型撹拌器と、温度計と、固形物仕切り機構と、カラム型アタッチメント(凝縮器)が頂部に付いた20cm Vigreuxカラムとを装着しており、窒素を使用して不活性化済みの5つ口0.5lフラスコに、181g(1.5mol)のビニルジメチルクロロシラン(WACKER CHEMIE AG)を装入する。固形物仕切り機構を用いて、撹拌しながら56.5g(0.5mol、0.325molのカリウム)のSILRES BS Powder S(WACKER CHEMIE AG、0.65のK:Siモル比を有するカリウムメチルシリコネート粉末)を、反応混合物の温度が25℃を超過しないような速度で量り入れる(約3:45時間)。続いて、反応混合物を、気体の発生がもはや測定できなくなるまで(約1時間)加熱還流する。撹拌しながら、160gの完全脱塩水を添加する。下相を抜き出し、上相を減圧下で分別蒸留する。目的生成物は、120℃から128℃の沸点範囲および2hPaにおいて受器に入り込む。
単離された生成物は、31.2gの透き通った無色液体(=理論に対して40%)であり、この透き通った無色液体は、H−NMRおよび29Si−NMRならびにGC−MSによれば98.5%の純度を有するシクロシロキサン[MeSi(OSiMeVi)O]の異性体混合物である。
[実施例3]:[MeSi(OSiMeH)O]
パドル型撹拌器と、温度計と、固形物仕切り機構と、カラム型アタッチメント(凝縮器)が頂部に付いた20cm Vigreuxカラムとを装着しており、窒素を使用して不活性化済みの5つ口0.5lフラスコに、113.1g(1.19mol)のジメチルクロロシラン(WACKER CHEMIE AG)を装入する。固形物仕切り機構を用いて、撹拌しながら45g(0.4mol、0.26molのカリウム)のSILRES BS Powder S(WACKER CHEMIE AG、0.65のK:Siモル比を有するカリウムメチルシリコネート粉末)を、反応混合物の温度が25℃を超過しないような速度で量り入れる(約2時間)。続いて、反応混合物を、気体の発生がもはや測定できなくなるまで(約1時間)加熱還流する。撹拌しながら、68gの完全脱塩水を添加する。下相を抜き出し、上相を減圧下で分別蒸留する。目的生成物は、100℃から105℃までの沸点範囲および2hPaにおいて受器に入り込む。
単離された生成物は、34.1gの透き通った無色液体(=理論に対して64%)であり、この透き通った無色液体は、H−NMRおよび29Si−NMRならびにGC−MSによれば98%の純度を有するシクロシロキサン[MeSi(OSiMeH)O]の異性体混合物である。
[実施例4]:[ViSi(OSiMeH)O]
a)カリウムビニルシリコネート(K:S=0.65)の調製
パドル型撹拌器と、温度計と、2個の滴下漏斗と、カラム型アタッチメント(凝縮器)が頂部に付いた水分離器とを装着しており、窒素を用いて不活性化済みの4つ口2lフラスコに、2個の滴下漏斗から並行して出てくる422g(2.83mol)のビニルトリメトキシシラン(WACKER CHEMIE AG製のGeniosil(R)XL10)および282gの濃度36.6%の水酸化カリウム溶液(1.84molのKOH)を撹拌しながら10分にわたって装入するが、このとき、装置は、22℃に調整しておく。放出された反応熱により、混合物の温度が上昇する。透き通った反応混合物を30分(約72℃)加熱還流した後、142.9gの蒸留物を取り出す。次いで、800gのIsopar E(113℃から143℃までの沸点範囲を有するイソパラフィン系炭化水素混合物、ExxonMobilから市販)を添加する。混合物を水分離器上で加熱還流する。蒸留物は、水分離器内で下相として分離してくる。118℃の沸点に至ったら、228.8gの透き通った無色蒸留物を収集し、第1の蒸留物と一緒にする。合わせた蒸留物をガスクロマトグラフィーによって分析すると、73.2%のメタノール含量、26.6%の水含量および0.2%のIsopar E含量が提示される。したがって、ビニルトリメトキシシラン中のメトキシ基の加水分解は、定量的なものである。蒸留中、ペースト状の白色固体が反応混合物中で分離し、次々に砕けて微粒子になっていくと、懸濁液が形成される。共沸乾燥後、溶媒を120℃における蒸留によって除去し、固体残留物を120℃、10hPaで1時間乾燥させる。この乾燥により、99.5%の固形分(Mettler Toledo製のHR73 Halogen Moisture Analyzerを160℃で使用して測定した。)を有する自由に流動する326.5gの白色微粉が得られる。これから、カリウムビニルシリコネートの平均モル質量が115g/molであると算定できる。
b)シロキサン[ViSi(OSiMeH)O]の調製
パドル型撹拌器と、温度計と、固形物仕切り機構と、カラム型アタッチメント(凝縮器)が頂部に付いた20cm Vigreuxカラムとを装着しており、窒素を使用して不活性化済みの5つ口0.5lフラスコに、−15℃で114.6g(1.2mol)のジメチルクロロシラン(WACKER CHEMIE AG)を装入する。固形物仕切り機構を用いて、撹拌しながらa)の50g(0.43mol、0.28molのカリウム)のカリウムビニルシリコネートを、反応混合物の温度が25℃を超過しないような速度で量り入れる(45分)。続いて、反応混合物を、気体の発生がもはや測定できなくなるまで(約1時間)加熱還流する。撹拌しながら、112.5gの完全脱塩水に溶かした37.5gのエタノールの溶液を添加する。下相を抜き出し、上相を減圧下で分別蒸留する。目的生成物は、135℃から137℃までの沸点範囲および4hPaにおいて受器に入り込む。
単離された生成物は、21.6gの透き通った無色液体(=理論に対して34%)であり、この透き通った無色液体は、H−NMRおよび29Si−NMRによれば94%の純度を有するシクロシロキサン[ビニルSi(OSiMeH)O]の異性体混合物である。
[実施例5]:[ViSi(OSiMeVi)O]
パドル型撹拌器と、温度計と、固形物仕切り機構と、カラム型アタッチメント(凝縮器)が頂部に付いた20cm Vigreuxカラムとを装着しており、窒素を使用して不活性化済みの5つ口0.5lフラスコに、20℃で147.6g(1.2mol)のビニルジメチルクロロシラン(WACKER CHEMIE AG)を装入する。固形物仕切り機構を用いて、撹拌しながら実施例4a)からの50g(0.43mol、0.28molのカリウム)のカリウムビニルシリコネートを、反応混合物の温度が25℃を超過しないような速度で量り入れる(85分)。続いて、反応混合物を、気体の発生がもはや測定できなくなるまで(約1時間)加熱還流する。撹拌しながら、150gの完全脱塩水に溶かした20gのエタノールの溶液を添加する。下相を抜き出し、上相を減圧下で分別蒸留する。目的生成物は、120℃から166℃までの沸点範囲および4hPaにおいて受器に入り込む。
単離された生成物は、20.3gの透き通った無色液体(=理論に対して28%)であり、この透き通った無色液体は、H−NMRおよび29Si−NMRによれば93%の純度を有するシクロシロキサン[ビニルSi(OSiMeビニル)O]の異性体混合物である。
[実施例6]:[ViSi(OSiMe)O]
パドル型撹拌器と、温度計と、固形物仕切り機構と、カラム型アタッチメント(凝縮器)が頂部に付いた20cm Vigreuxカラムを装着しており、窒素を使用して不活性化済みの5つ口0.5lフラスコに、21℃で132.9g(1.2mol)のトリメチルクロロシラン(WACKER CHEMIE AG)を装入する。固形物仕切り機構を用いて、撹拌しながら実施例4a)kらの50g(0.43mol、0.28molのカリウム)のカリウムビニルシリコネートを、反応混合物の温度が25℃を超過しないような速度で量り入れる(120分)。続いて、反応混合物を、気体の発生がもはや測定できなくなるまで(約1時間)加熱還流する。撹拌しながら、150gの完全脱塩水に溶かした50gのエタノールの溶液を添加する。下相を抜き出し、上相を減圧下で分別蒸留する。目的生成物は、120℃から130℃までの沸点範囲および5hPaにおいて受器に入り込む。
単離された生成物は、24.8gの透き通った無色液体(=理論に対して37%)であり、この透き通った無色液体は、H−NMRおよび29Si−NMRによれば97%の純度を有するシクロシロキサン[ビニルSi(OSiMe)O]の異性体混合物である。
[比較例C1]:
a)カリウムビニルシリコネート(K:Si=1)の調製
実施例4a)の手順と同様の手順により、300g(2mol)のビニルトリメトキシシラン(WACKER CHEMIE AG製のGeniosil(R)XL10)を、251.4gの濃度45%の水酸化カリウム溶液(2molのKOH)と反応させる。続いて、透き通った反応混合物を、1200gのIsopar E(113℃から143℃までの沸点範囲を有するイソパラフィン系炭化水素混合物、ExxonMobilから市販)によって共沸乾燥させる。この共沸乾燥により、98.5%の固形分(Mettler Toledo製のHR73 Halogen Moisture Analyzerを160℃で使用して測定した。)を有する自由に流動する260gの白色微粉が得られる。これから、カリウムビニルシリコネートの平均モル質量が128g/molであると算定できる。
b)カリウムビニルシリコネート6a)とトリメチルクロロシランとの反応
パドル型撹拌器と、温度計と、固形物仕切り機構と、カラム型アタッチメント(凝縮器)が頂部に付いた20cm Vigreuxカラムとを装着しており、窒素を使用して不活性化済みの5つ口0.5lフラスコに、22℃で156.4g(1.44mol)のトリメチルクロロシラン(WACKER CHEMIE AG)を装入した。固形物仕切り機構を用いて、撹拌しながら比較例C1a)からの50g(0.39mol、0.39molのカリウム)のカリウムビニルシリコネートを、反応混合物の温度が25℃を超過しないような速度で量り入れる(120分)。続いて、反応混合物を、気体の発生がもはや測定できなくなるまで(約1時間)加熱還流する。撹拌しながら、125gの完全脱塩水に溶かした125gのエタノールの溶液を添加する。相分離を改良するために、13.3gの塩化ナトリウムを添加する。水性下相を抜き出す。減圧下での有機上相の蒸留を試みると、>300℃の融点を有する蒸留できない固体残留物が形成される。

Claims (6)

  1. カチオンMのケイ素に対するモル比が<1である、一般式(2)
    R−Si(OH)3−m(OM) (2)
    の単位からなるシラノールのアルカリ金属塩(アルカリ金属シリコネートとして公知)、それらの加水分解/縮合生成物、またはそれらの縮合生成物と一緒にした一般式(2)のシラノールのアルカリ金属塩と、
    一般式(3)
    Si−Hal (3)
    のハロシランとの反応によって、
    一般式(1)
    [RSi(OSiR)O] (1)
    の環式シロキサンを調製するための方法
    (式中、
    mが、0、1、2または3であり、平均で0.1から<1までの数であり、
    nが、3、4、5、6、7または8であり、
    Rが、無置換である、またはハロゲン原子、C 1−6 アルキル基、C 1−6 アルコキシ基もしくはシリル基によって置換されている1個から30個までの炭素原子を有する一価の炭化水素基であり、この一価の炭化水素基中にある1個の−CH −単位または互いに隣接していない複数の−CH −単位が−O−基または−S−基によって置きかえられていてもよく、この一価の炭化水素基は、該基中の炭素を介してSiに結合しており
    Mが、アルカリ金属カチオンであり、
    Halが、ハロゲン基であり、
    、RおよびRが、水素、C1−10アルコキシ基、C1−20アリールオキシ基、または、無置換であるもしくはハロゲン原子あるいはアルコキシ基によって置換されている1個から18個までの炭素原子を有する一価の炭化水素基から選択される。)
  2. Mが、ナトリウムおよびカリウムから選択される、請求項に記載の方法。
  3. 一般式(2)中のカチオンMのケイ素に対するモル比が、0.4から0.85である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 一般式(3)のハロシランが、クロロシランである、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  5. 反応が、0℃から120℃において、実施される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
  6. 反応が、補助的な塩基なしで実施される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
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