JP6354982B2 - 非水電解液二次電池およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、電極体への非水電解液の含浸を損ねることなく、その流出が抑制されている、非水電解液二次電池を提供することである。
かかる構成によると、ハイレートでの充放電により電極体から非水電解液が排出された場合であっても、かかる電解液は袋状フィルムの外部への流出が阻害されて、袋状フィルムの内部に留まり得る。これにより、ハイレート充放電により電極体から排出された電解液の再含浸をより一層促進することができる。
かかる構成により製造されるヒス電解液二次電池は、ハイレートでの充放電を行った後の電極体内の電解液量の減少が防止されて、ハイレート充放電後の反応抵抗の上昇が抑制される。また、電池ケースの内部をかかる適度な加圧状態とすることにより、ハイレート充放電により電極体から排出された電解液が再び電極体内に含浸するのが促進される。
かかる構成によると、ハイレートでの充放電時等に、電極体から非水電解液が排出され難くなる。これにより、電解液の流出による抵抗増加が抑制された非水電解質二次電池を製造することができる。
図1は、リチウムイオン二次電池100の一構成例を示す断面模式図である。リチウムイオン二次電池100は、電極体20と、非水電解液(図示せず)と、電池ケース80と、袋状フィルム10とを備えている。この図の例では、電極体20は、長尺の正極30および負極40の対向が積層された積層構造が、捲回の軸たる捲回軸の周りに断面扁平長円形に捲回されてなる、いわゆる扁平捲回型電極体20により構成されている。
(1)正極30および負極40の対向が積層された積層構造を有する電極体20を絶縁性の袋状フィルム10に収容すること。
(2)袋状フィルム10に収容された電極体20と非水電解液とを、電池ケース80に収容すること。
(3)電池ケース80の内圧を0.14MPa以上0.23MPa以下とすること。
[電極体]
電極体20は、典型的には、正極30と負極40とを備えている。正極30と負極40は、典型的には、セパレータ50を間に介することで、互いに絶縁されている。正負の電極30,40は、集電体32,42の表面(片面または両面)に活物質層34,44を備えている。これら正負の電極30,40においては、集電体32,42の長手方向に沿った端部の少なくとも一方に、帯状の集電部36,46が設定されている。そして、活物質層34,44は、集電体32,42に設定された集電部36,46を除いた、集電体32,42の片面もしくは両面に配設されている。ここで、「集電部36,46」は、集電体32,42に活物質層34,44が形成されない部分であり得る。
正極(正極シート)30は、正極集電体32と正極活物質層34とを備えている。正極集電体32には、例えば、正極30に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電体32には、例えば、所定の幅を有し、厚さがおよそ15μmの帯状のアルミニウム箔を用いることができる。正極集電体32には、上述のように、幅方向の一方の端部に沿って、正極集電部36が設定されている。そして、正極活物質層34は、正極集電体32に設定された正極集電部36を除いて、正極集電体32の片面もしくは両面に配設されている。
負極(負極シート)40は、負極集電体42と負極活物質層44とを備えている。負極集電体42には、例えば、負極40に適する金属箔が好適に使用され得る。負極集電体42には、例えば、所定の幅を有し、厚さがおよそ10μmの帯状の銅箔を用いることができる。負極集電体42には、上述のように、幅方向の一方の端部に沿って負極集電部46が設定されている。そして、負極活物質層44は、負極集電体42に設定された負極集電部46を除いて、負極集電体42の片面もしくは両面に配設されている。
バインダは、活物質層34,44に含まれる電極活物質や導電材等の各粒子を接合したり、これらの粒子と正負の集電体32,42とを接合したりする材料である。そして本発明においては、上記の第一複合粒子1および第二複合粒子2を構築するための必須の成分となっている。かかるバインダは、正極30や負極40の製造方法や用途等に応じて、上記の機能を果たし得るものであれば、特に制限なく用いることができる。代表的には、各種の樹脂材料を用いることができる。
例えば、下記で説明する複合粒子の形成に好適なバインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニルアルコール(PVA)、酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、アクリル重合体等が好ましい例として示される。
セパレータ50は、図1に示されるように、正極30と負極40との絶縁を確保しつつ、これらの部材間の電荷担体の移動を可能とする部材である。この例では、セパレータ50は、微小な孔を多数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ50には、樹脂製の微多孔質膜、例えば、ポリオレフィン系樹脂で構成された微多孔質フィルムを用いることができる。かかるセパレータ50は、単層構造であっても良いし、積層構造であってもよい。この例では、負極活物質層44の幅は、正極活物質層34の幅よりも少し広い。さらにセパレータ50の幅は、負極活物質層44の幅よりも少し広い。
なお、図示は省略するが、セパレータ50は、その表面に耐熱層(Heat Resistance Layer;HRL)を備えていても良い。耐熱層は、耐熱性を有する材料からなる耐熱性粒子とバインダとからなる。耐熱性粒子としては、特に制限されないが、アルミナ、シリカ、ムライト等の無機酸化物を好適に用いることができる。
そして、正負の集電部36,46が取り付けられた捲回型電極体20は、内部端子62,72ごと、袋状フィルム10により覆われている。この袋状フィルム10により、発電要素である捲回型電極体20(および内部端子62,72)と電池ケース80との直接的な接触が回避され、電極体20と電池ケース80の内壁との絶縁を確保することができる。
この実施形態では、袋状フィルム10は、電池ケース上方側が開口した有底の袋状に形成されている。袋状フィルム10は、後で詳しく説明するが、図2に示されるような、電極体20に対応した展開形状を有する1枚のシート状の絶縁フィルム10が折り合されて接合されることで構成されている。すなわち、絶縁フィルム10は、袋底部12を真ん中に一対の幅広側面部14a,14bが折り上げられ、この幅広側面部14a,14bから電池ケース横方向(電極体横方向でもある。)に延設された二対の狭側面部16a,16bが折り合されて接合されている。電極体20を袋状フィルム10へ収容する際には、このような1枚のシート状の絶縁フィルム10の上に、電極体20を載置し、かかる絶縁フィルム10を折りたたむ。これにより、袋状フィルム10の内部に電極体20を収容することができる。
次いで、袋状フィルム10に収容された電極体20と非水電解液とを、電池ケース80に収容する。
[電池ケース]
図1に示されるように、電池ケース80は、典型的には、ケース本体82と、封口板84とを備えている。ケース本体82は、一面に開口部を有した中空形状であり得る。この例におけるケース本体82は、扁平な直方体形状であり、リチウムイオン二次電池100の通常の使用状態における上方に相当する一面が開口している。ケース本体82には矩形の開口が形成されている。そして封口板84は、ケース本体82の当該開口を塞ぐ部材である。封口板84はおよそ開口に対応した形状の板状部材であり得る。かかる封口板84がケース本体82の開口周縁に溶接等により接合されることによって、電池ケース80の内部と外部とが遮断(密閉)される構成となっている。
非水電解液としては、適切な非水系溶媒に電解質を含有させた構成の物を用いることができる。電解質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる各種の電解質あるいはこの同等物を特に限定なく使用することができる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の有機溶媒を用いることができる。非水溶媒は、これらの有機溶媒の1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、電解質(支持塩ともいう)としては、例えば、LiPF6,LiBF4,LiAsF6,LiCF3SO3,LiC4F9SO3,LiN(CF3SO2)2,LiC(CF3SO2)3等のリチウム塩を用いることができる。一例として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)にLiPF6を約1mol/Lの濃度で含有させた非水電解液が挙げられる。なお、電解質としては、上記非水電解質に代えて、高いイオン伝導性を示すゲルないしは固体状の固体電解質を用いるようにしても良い。かかる非水電解液には、目的に応じて、ビニレンカーボネート(VC),フルオロエチレンカーボネート(FEC)等の皮膜形成剤、ビフェニル(BP),シクロヘキシルベンゼン(CHB)等の過充電添加剤等の各種の添加剤を適宜添加することもできる。
ここに開示される非水電解二次電池100においては、電池ケースの内圧が適度に加圧されるように調整されている。かかる電池ケースの内圧の調整は、上記の非水電解液の注入後であれば、電池ケース80の封止時に行っても良いし、電池ケース80の封止後の初期充電を利用して行っても良い。例えば、典型的には、内圧の調整は、(1)電池ケース80内に適切な気体を加圧封入することで行っても良いし、(2)電池ケース80の封止後にケース内で適切な気体を発生させること等で実現しても良いし、その両方であっても良い。なお、この加圧状態を実現する気体は、非水電解液に対する溶解性の低いものであることが好ましい。例えば、汎用の非水電解液に対しては、一酸化炭素(CO)を難溶解性ガスとして好ましく用いることができる。
(2)電池ケース80の封止後にケース内で適切な気体を発生させる場合は、以下の手順で好適に行うことができる。すなわち、予め電池ケース80内にガス発生剤を導入しておく。そして電池ケース80の封止後に電池100の初期充放(コンディショニングであり得る。)を行い、かかるガス発生剤を還元分解させる。これにより、ケース内で所望のガスを発生させることができる。ガス発生剤は、単独でケース内に導入しても良いし、非水電解液に含有させたり、正極30、負極40あるいはセパレータ50等の他の構成部材の一部としたりして電池ケース80内に導入しても良い。ガス発生剤をより適正な分量で分解させるには、非水電解液または正極30に含ませて導入するのが好ましい。
また、このようにして構築された電池100に対しハイレートでの充放電を行うと、捲回型電極体20が発熱する事態が生じ得る。電極体20が発熱すると、内部に含浸された非水電解液もが加熱されて膨張し、非水電解液が電極体から外部へと流出してしまい得る。ここに開示される電池100は、電池ケースの内圧が適度に加圧されているため、かかる電極体20が発熱時には電極体からの非水電解液の流出を抑制し得る。さらに、ハイレートでの充放電後、電極体20の温度が低下すると非水電解液も元の体積に戻る。ここに開示される電池100は、電池ケースの内圧が適度に加圧されているため、ハイレートでの充放電後、電極体20から一旦流出した電解液が再び電極体20内部に含浸するのも促進することができる。これにより、ハイレート充放電時およびハイレート充放電後の抵抗上昇を低く抑えることができ、電池性能を長期に亘って高く維持することができる。
なお、上記の袋状フィルム10の形態(構造)は、上記の非水電解液の浸透促進効果およびハイレート充放電に伴う抵抗増加の抑制効果に大きな影響を与え得る。以下に、これらの効果と袋状フィルム10の形態とについて説明する。
図2は、一実施形態に係る袋状フィルム10が袋状に折りたたまれる前の、1枚のシート状に展開された状態(絶縁フィルム10)を示している。袋状フィルム10は、展開状態では、大略的に以下の部分により構成されている。すなわち、収容する扁平捲回型電極体20の一対の幅広面に対応する一対の幅広側面部14a,14bと、該一対の幅広側面部14a,14bの間に存在する袋底部12と、該一対の幅広側面部14a,14bから各々の横方向に延設された二対の狭側面部16a(16a1,16a2),16b(16b1,16b2)である。袋底部12は、折りたたまれたときに袋状フィルム10の底部に相当するとともに、折りたたまれるときに捲回型電極体20の電池ケース下方に位置する捲回曲部が当接される部位である。狭側面部16a1,16a2は、一の幅広側面部14aの両脇(横方向)に延設され、狭側面部16b1,16b2は、他の一の幅広側面部14bの両脇(横方向)に延設される。これら狭側面部16a1〜16b2は、折りたたまれたときに袋状フィルム10の狭側面を形成するとともに、折りたたまれるときに捲回型電極体20の捲回断面を覆う部位である。
移動阻害機構は、袋状フィルム10の内部と外部との電解液の移動を阻害し得る構成であれば制限されない。
移動阻害機構は、例えば、図3Bに示されるように、袋底部12から横方向(即ち捲回軸方向)に延設された延設部18により構成することができる。かかる延設部18を、接合された一対の狭側面部16a,16bに重なるように折り上げることで、上記の隙間Gを外方から緩く遮蔽し、袋状フィルム10の内部と外部との電解液の移動を阻害することができる。なお、かかる延設部18は、狭側面部16a,16bの下端側に延設することも可能であるが、袋底部12からの延設とすることがより好ましい。かかる構成とすることで、図5に示すように、(a)折り上げ前は捲回型電極体20から横方向に突出している延設部18を、(b)ケース本体82に収容する際に容易に折り上げることができる。これにより、延設部18を含む袋状フィルム10のシワや捩れ(よじれ)の発生を防いて、捲回型電極体20をケース本体82に収容することができる。
なお、このような延設部18は、例えば、延設方向(横方向)にスリット(図示せず)が設けられていても良い。スリットを設けることで、袋底部12を湾曲させたときに延設部18へのシワの発生等を防いで追随して折り上げることができ、例えば、袋状フィルム10の袋底部12の形状を捲回型電極体20の底部側の捲回曲部により密着させることができる。
なお、扁平捲回型電極体20への非水電解液の含浸性は、上記のとおり、電池ケース80の内圧を適切に高めることで向上されるが、扁平捲回型電極体20の形態を制御することでもより好適に高めることができる。
すなわち、捲回型電極体においては、捲回軸方向に沿って非水電解液の含浸が進行する。したがって、非水電解液の含浸口ともいえる捲回軸方向に直交する縦方向の寸法が、横方向(捲回軸方向)の寸法に対して大きい方が、非水電解液の含浸が促進され得る。しかしながら、かかる含浸口は、非水電解液の膨潤時には排出口ともなり得る。したがって、非水電解液の膨潤時の非水電解液の排出を抑制するには、捲回型電極体20の横方向の寸法に対する縦方向の寸法、すなわち縦横比(縦/横)が、0.5以下であるのが好ましい。かかる縦横比は、0.48以下であるのが好ましく、例えば0.45以下とすることができる。しかしながら、縦横比が小さすぎると電池構築時の非水電解液の含浸に時間を要し、製造効率が悪化する。また、電池構築後に捲回型電極体20から非水電解液が排出された場合に、再含浸がしづらくなる。そのため、縦横比の下限は0.2以上とするのが好ましく、0.23以上とするのがより好ましく、例えば0.25以上とすることができる。
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(平均粒径10μm)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、質量比が90:8:2となるように秤量し、これら材料をNMPに分散させることで正極ペーストを調製した。このペーストを厚さ15μmの長尺シート状の正極集電体(アルミニウム箔)の両面に、目付量が20mg/cm2(固形分基準)となるように供給して乾燥させることにより正極シートを作製した。なお、正極シートは、圧延処理により厚み130μm、活物質層密度2.8g/cm3に調整した。
(コンディショニング)
25℃の温度環境下で、下記の充放電操作(1),(2)を3サイクル繰り返して、コンディショニング処理とした。
(1)4.2Vとなるまで1/3Cのレートで定電流(CC)充電した後、10分休止する。
(2)3.0Vとなるまで1/3CのレートでCC放電した後、10分休止する。
25℃の温度条件下、SOCが20%の状態までCC充電を行った。SOC20%に調整した電池に対し、10Cの放電レートで3VまでCC放電を行い、放電から10秒間の電圧降下量を測定した。測定された電圧降下量を、対応する電流値で除してIV抵抗を算出し、初期抵抗とした。
25℃の温度環境下で、初期抵抗測定後の電池をSOC100%の状態に調整した後、以下の充放電操作(1),(2)を1200サイクル繰り返すハイレートサイクル試験を行い、電解液を膨潤させて電極体から排出することを促した。
(1)75Aの定電流で40秒間CC放電した後、5秒間休止する。
(2)10Aの定電流でSOC100%までCC充電した後、5秒間休止する。
ハイレートサイクル試験後、上記初期抵抗と同様にしてIV抵抗を測定した。そして、下式に基づき、反応抵抗増加率を算出した。これにより求めた反応抵抗増加率と初期抵抗の電池内圧に対する関係を図6に示した。
反応抵抗増加率(%)=(ハイレートサイクル試験後抵抗)÷(初期抵抗)×100
1:電極体への電解液の浸透を促進させる
2:一旦電極体に含浸された電解液が電極体から排出されるのを抑制する
3:電極体から排出された電荷液の電極体への再浸透を促進させる
以上から、初期抵抗は、内圧が約0.12〜0.25MPaの範囲で確実に抑制されていることが確認できた。また、ハイレートサイクル後の抵抗上昇率は、内圧が約0.12MPa以上の全ての範囲で抑制される傾向にあることが確認できた。なお、これらの効果が共により好適に発現されるのは、電池内圧が約0.14MPa〜0.23MPa程度であることがわかった。
本試験例では、扁平捲回型電極体の形状と、絶縁性の袋状フィルムの形態とを変化させ、非水電解液に0.04mol/Lの濃度でLiPF2(C2O4)2を添加し、その他の条件は上記試験例1と同様にして、計28通りの形態の非水電解質二次電池を用意した。
すなわち、捲回型電極体は、捲回軸方向を横方向とし、断面長円の長径方向を縦方向としたときの、縦横比(縦/横)が0.3〜0.8の間の7通りとなるように、捲回軸の幅を調整して作製した。
用意した28通りの電池に対し、試験例1と同様の条件で、コンディショニング処理を施した。コンディショニング処理後の電池の内圧を、内圧測定ゲージにより測定したところ、いずれの電池も約0.18MPaであった。これは、電池内に含まれるLPFOがコンディショニング(初期充電)により分解されて、電池ケース内にCOガスを発生したことに因るものと考えられる。
その後、これらの電池の初期抵抗を測定し、ハイレートサイクル試験に供した後、抵抗増加率を測定した。この結果を、扁平捲回型電極体の縦横比と、反応抵抗増加率との関係として、図7に示した。また、縦横比が同じで袋状フィルムの形態が異なる4つの電池(A)〜(D)についての抵抗増加率の測定結果を抽出し、図8に示した。
また、上述したように、本発明は非水電解液二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池)の性能向上に寄与し得る。本発明は、ハイブリッド車や、電気自動車等の車両の駆動用電源等としてのリチウムイオン二次電池に好適である。車両駆動用電源は、複数の二次電池を組み合わせた組電池としてもよい。
12 袋底部
14a,14b 幅広側面部
16a,16b 狭側面部
18 延設部
20 電極体
30 正極(正極シート)
32 正極集電体
34 正極活物質層
36 正極集電部
40 負極(負極シート)
42 負極集電体
44 負極活物質層
46 負極集電部
50 セパレータ
60 正極外部接続端子
70 負極外部接続端子
62,72 内部端子
64,74 先端部
80 電池ケース
82 ケース本体
84 封口板
86 安全弁
88 注液口
100 リチウムイオン二次電池
200 治具
h 扁平捲回型電極体の厚み
Claims (12)
- 正極および負極が対向して積層された積層構造を有する電極体と、
非水電解液と、
前記電極体および前記非水電解液を収容する電池ケースと、
前記電極体を覆い、前記電極体と前記電池ケースの内壁とを絶縁する袋状フィルムと、
を備え、
前記電池ケースの内圧は、0.14MPa以上0.23MPa以下に調整されている、非水電解液二次電池。 - 前記電池ケースの内部空間は一酸化炭素を含む、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記電池ケースは扁平角型であって、
前記電極体は、
長尺の前記正極と長尺の前記負極とをセパレータを介して重ね合わせ、扁平形状に捲回されてなる扁平捲回型電極体であって、
前記捲回の軸たる捲回軸方向が前記電池ケースの幅広面横方向となる向きで配置されており、
前記電極体の前記横方向の寸法に対する縦方向の寸法が0.5以下である、
請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。 - 前記袋状フィルムは、
前記電池ケースの上方側に開口部が位置する袋状であって、
1枚のシート状の絶縁フィルムが袋底部を真ん中に一対の幅広側面部が折り上げられ、前記一対の幅広側面部から横方向に延設された二対の狭側面部が折り合されて接合されることで構成されており、
前記袋底部と前記狭側面部との間には、前記袋状フィルムの内部と外部との電解液の移動を阻害する移動阻害機構が備えられている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。 - 前記移動阻害機構は、
前記袋底部から前記横方向に延設された延設部を有し、
前記延設部は折り上げられて前記狭側面部の下端と重ねられている、
請求項4に記載の非水電解液二次電池。 - 前記移動阻害機構は、
前記延設部と前記狭側面部とが接合されることで構成される、
請求項5に記載の非水電解液二次電池。 - 前記非水電解液は、一酸化炭素発生剤として、リンおよびホウ素の少なくとも一方を構成元素として含むオキサラト錯体化合物を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
- 前記負極の表面には、リンおよびホウ素の少なくとも一方を含む被膜を備える、請求項1〜7のいずれか1項に記載の非水電解液二次電池。
- 正極および負極が対向して積層された積層構造を有する電極体を絶縁性の袋状フィルムに収容すること、
前記袋状フィルムに収容された前記電極体と非水電解液とを、電池ケースに収容すること、および、
前記電池ケースの内圧を0.14MPa以上0.23MPa以下とすること、
を含む、非水電解液二次電池の製造方法。 - 前記電池ケースは扁平角型であって、
前記電極体は、
長尺の前記正極と長尺の前記負極とをセパレータを介して重ね合わせ、扁平形状に捲回されてなる捲回型電極体であって、
前記電極体の前記横方向の寸法に対する縦方向の寸法が0.5以下であり、
前記捲回の軸たる捲回軸方向が前記電池ケースの幅広面横方向となる向きに配置する、
請求項9に記載の製造方法。 - 前記袋状フィルムは、
前記電池ケースの上方側に開口部が位置する袋状であって、
1枚のシート状の絶縁フィルムが袋底部を真ん中に一対の幅広側面部が折り上げられ、前記一対の幅広側面部から横方向に延設された二対の狭側面部が折り合されて接合されることで構成されており、
前記袋底部と前記狭側面部との間には移動阻害機構が備えられ、該移動阻害機構により前記袋状フィルムの内部と外部との電解液の移動が阻害されている、
請求項9または10に記載の製造方法。 - 前記電池ケース内に、オキサラトフォスフェートおよびオキサラトボレートの少なくとも一方を含む一酸化炭素発生剤を導入すること、
を包含し、
前記非水電解液二次電池の充電により前記一酸化炭素発生剤を分解させて一酸化炭素を発生させることにより前記電池ケースの内圧を調整する、
請求項9〜11のいずれか1項に記載の製造方法。
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