以下、図面を参照して開示の技術の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1に、本実施形態に係る基板設計支援装置10の一例を示す。基板設計支援装置10は、複数の層が積層された多層基板に流れる信号の経路から所定距離内の多層基板内の複数のグランドパターンを多層基板の設計情報から抽出する。また、基板設計支援装置10は、複数のグランドパターンが電気的に離間した領域を不連続領域として導出し、導出した不連続領域を表示する。つまり、基板設計支援装置10にはCADシステム等の図形処理システムから複数の層が積層された多層基板の設計情報12、及びグランド空間決定情報13が入力される。基板設計支援装置10は取得部14、演算部16、及び表示部18を備えている。演算部16は、抽出部20及び導出部22を含んでいる。
取得部14は、入力された多層基板の設計情報12、及びグランド空間決定情報13を取得する。設計情報12は、複数の層が積層された多層基板に流れる信号の経路、グランドパターン、及び信号の経路に対してリターン電流が流れる経路の始点と終点との各々を示す情報を含む。グランド空間決定情報は、複数の層が積層された多層基板に流れる信号の経路から所定距離内の多層基板内の複数のグランドパターンを多層基板の設計情報から抽出するための情報である。例えば、グランド空間決定情報は、設計情報に含まれる信号の経路のうちの指定された対象信号の経路に対してリターン電流が流れる経路を許容する多層基板内におけるグランド空間の位置及び形状を定める情報である。
なお、グランドパターンを示す情報は、多層基板内の任意の層に設けられたグランドパターンの平面形状及び配置層を示す。設計情報は、例えば、多層基板内において層間接続するグランド用のビアの位置及び接続層を示す情報を含む。また、グランド空間決定情報は、グランド空間の位置及び形状を示す。グランド空間は、信号の経路に対してリターン電流が流れる経路を許容する多層基板内における空間を示す。例えば、グランド空間は、信号の経路に対してグランドパターンの平面方向に定めた平面範囲が、信号の経路に対して積層方向に定めた層範囲に跨る多層基板内における空間を示す。従って、グランド空間は、信号の経路に対して、多層基板の平面方向の範囲と、多層基板の積層方向の範囲とにより、グランド空間の位置及び形状を定めることができる。
演算部16に含まれる抽出部20は、入力された多層基板の設計情報12、及びグランド空間決定情報13に基づいて、多層基板内のグランドパターンの中から、グランド空間に内包された領域を特定領域として抽出する。演算部16に含まれる導出部22は、複数のグランドパターンが電気的に離間した領域を不連続領域として導出する。つまり、導出部22は、設計情報に基づいて、リターン電流が流れる経路の始点から電気的に連続する特定領域と、リターン電流が流れる経路の終点から電気的に連続する特定領域とが電気的に離間した領域を不連続領域として導出する。
表示部18は、導出部22により導出された不連続領域を表示する。基板設計支援装置10は、リターン電流が流れる経路を許容する特定領域が電気的に離間した不連続領域を表示することによって、電磁界ノイズの発生に起因することが予測される領域を提示できる。設計者は、表示された不連続領域を認知することにより、電磁界ノイズの発生に起因することが予測される多層基板上の位置を確認でき、表示された不連続領域を考慮して、電磁界ノイズが抑制される多層基板を設計することができる。このように、基板設計支援装置10は、リターン電流が流れる経路を許容する特定領域が電気的に離間した不連続領域を表示することによって、多層基板において生じる電磁界ノイズを抑制した多層基板の設計を支援することができる。
なお、基板設計支援装置10は開示の技術における基板設計支援装置の一例であり、取得部14は開示の技術における取得部の一例である。また、抽出部20は開示の技術における抽出部の一例であり、導出部22は開示の技術における導出部の一例であり、表示部18は開示の技術における表示部の一例である。
図2に、基板設計支援装置10をコンピュータ30で実現する一例を示す。コンピュータ30はCPU32、メモリ34、及び不揮発性の記憶部36を備えている。CPU32、メモリ34、及び記憶部36は、バス62を介して互いに接続されている。また、コンピュータ30は、ディスプレイ54、キーボード56、及びマウス58を備え、ディスプレイ54、キーボード56、及びマウス58はバス62を介して互いに接続されている。また、バス62には、記録媒体59が挿入され、挿入された記録媒体59に対して読み書きするための機能を有するインタフェース(IO)60が接続されている。IO60は、コンピュータネットワーク等に接続するための機能を備えることができる。なお、記憶部36はHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等によって実現できる。
記憶部36には、コンピュータ30を基板設計支援装置10として機能させるための基板設計支援プログラムの一例として経路表示プログラム38が記憶されている。経路表示プログラム38は、取得プロセス40、演算プロセス42、及び表示プロセス48を含んでいる。演算プロセス42は、抽出プロセス44及び導出プロセス46を含んでいる。CPU32が経路表示プログラム38を記憶部36から読み出してメモリ34に展開し、経路表示プログラム38に含まれるプロセスを順次実行することで、コンピュータ30は、図1に示す基板設計支援装置10として動作する。また、CPU32が取得プロセス40を実行することで、コンピュータ30は、図1に示す取得部14として動作する。また、CPU32が演算プロセス42に含まれる抽出プロセス44を実行することで、コンピュータ30は図1に示す抽出部20として動作し、導出プロセス46を実行することで、コンピュータ30は図1に示す導出部22として動作する。また、CPU32が表示プロセス48を実行することで、コンピュータ30は、図1に示す表示部18として動作する。
また、記憶部36には、コンピュータ30を、プリント基板等の回路基板を設計する際に使用されるCADシステム等の図形処理システムとして機能させるためのCADプログラム52が記憶される。また、記憶部36には、コンピュータ30を図形処理システムとして機能させて作成された設計情報12としてのCADファイル50が記憶される。
なお、本実施形態では、基板設計支援装置10はコンピュータ30により実現する一例を示すが、基板設計支援装置10はコンピュータ30のみで実現することに限定されない。例えば、基板設計支援装置10としてコンピュータ30をコンピュータネットワークに接続可能とし、CADファイル50及び経路表示プログラム38の少なくとも一方を、外部装置から取得するように構成してもよい。また、記録媒体59に経路表示プログラム38及びCADファイル50の少なくとも一方を格納し、IO60により読み取るようにしてもよい。
図3に、開示の技術が適用可能な多層基板の一例として、信号配線パターン、グランドパターン、及び電源配線パターンの少なくとも1つのパターンが配置される層を、10層積層した多層基板64を示す。本実施形態では、第1層(L1)、第3層(L3)、第7層(L7)、第9層(L9)、及び第10層(L10)の各々が信号配線パターン及びグランドパターンが配置される層である多層基板64を一例として説明する。また、本実施形態では、第2層(L2)、第4層(L4)、第5層(L5)、第6層(L6)、及び第8層(L8)の各々が電源配線パターンが配置される層である多層基板64を一例として説明する。
本実施形態では、多層基板64を示す情報として、積層数及び層毎に配置されるパターン種別を示す情報が設計情報12としてのCADファイル50に含まれる。パターン種別を示す情報は、信号配線パターン、グランドパターン、及び電源配線パターンの少なくとも1つのパターンを示す情報が層毎に対応づけて設計情報12に含まれる。また、CADファイル50は、ドライバ、レシーバ、及び部品を含むデバイスを示す情報、信号を示す情報、信号の経路を示す情報、信号配線パターンを示す情報、及びグランドパターンを示す情報を含む。グランドパターンを示す情報は、グランドの種類を属性情報として付与したグランドパターンの形状を示す情報を含む。なお、本実施形態では、多層基板64の設計時に使用するグランドの種類の一例として、デジタルグランド、アナロググランド、及びフレームグランドの3種類のグランドを含む場合を説明する。
図4に、多層基板64に含まれるグランドパターン66の一例を示す。なお、以下の説明では、第k層のグランドパターン66は、グランドの種類mと番号を示す情報nにより、Lkmnと表記する。グランドの種類は、グランドパターン66の各々に属性情報として付与されており、デジタルグランドをD、アナロググランドをA、及びフレームグランドをFと表記する。例えば、第1層のグランドパターン66のうちデジタルグランドパターンは、L1D1と表記する。
図4に示す例では、第1層のグランドパターン66は、デジタルグランドパターンL1D1、アナロググランドパターンL1A1,L1A2、及びフレームグランドパターンL1F1、L1F2を含む。同様に、第3層のグランドパターン66は、デジタルグランドパターンL3D1、アナロググランドパターンL3A1、及びフレームグランドパターンL3F1、L3F2を含む。第7層のグランドパターン66は、アナロググランドパターンL7A1、及びフレームグランドパターンL7F1、L7F2を含む。第9層のグランドパターン66は、デジタルグランドパターンL9D1、アナロググランドパターンL9A1、及びフレームグランドパターンL9F1を含む。第10層のグランドパターン66は、デジタルグランドパターンL10D1、アナロググランドパターンL10A1、及びフレームグランドパターンL10F1、L10F2を含む。
なお、多層基板64の設計時に使用するグランドの種類は、デジタルグランド、アナロググランド、及びフレームグランドの3種類に限定されない。例えば、オーディオグランド等の他のグランドを含めてもよい。
図5に、信号経路の一例として、ドライバ69からレシーバ70までビア及び部品72,73を介して電流が流れる信号の信号経路68を示す。つまり、信号経路68は、ドライバ69の端子Pin1からビアVia1を経由して部品72の端子Pin2に電流が流れる経路を含む。また、信号経路68は、部品72の端子Pin3からビアVia2,Via3,Via4を経由して部品73の端子Pin4に電流が流れる経路を含む。さらに、信号経路68は、部品73の端子Pin5からビアVia5,Via6を経由してレシーバ70の端子Pin6に電流が流れる経路を含む。
なお、ビアを含む端子間の経路を示す情報は、多層基板64上で通電可能な配線を示すネット情報Netを含む配線情報68H(図13)としてCADファイル50に記録される。つまり、ドライバ69側から順に、ビアを含む配線のみで通電可能な範囲を、1つのネット情報Netとする。例えば、ドライバ69の端子Pin1からビアVia1を経由して部品72の端子Pin2までの経路を示す情報は、通電可能な配線としてネット情報Net1を含む。部品72の端子Pin3からビアVia2,Via3,Via4を経由して部品73の端子Pin4までの経路を示す情報は、ネット情報Net2を含む。部品73の端子Pin5からビアVia5,Via6を経由してレシーバ70の端子Pin6までの経路を示す情報は、ネット情報Net3を含む。また、配線情報68Hは、図13に一例を示すように、例えば、ドライバ69の端子pin1は、ビアVia1に配線され、配線情報として、「pin1−Net1−Via1」の情報が記録される。
図6に、信号経路のその他の一例として、図5に示すドライバ69からレシーバ70へ電流が流れる信号の経路の中途で分岐してレシーバ71へ電流が流れる信号の経路が追加されている信号経路を示す。つまり、図6に示す信号経路68は、図5に示す信号経路68に、ビアVia4から分岐し、ビアVia7を経由して部品74の端子Pin7に電流が流れる経路が追加されている。また、図6に示す信号経路68は、部品74の端子Pin8からビアVia8,Via9を経由してレシーバ71の端子Pin9に電流が流れる経路が追加されている。
なお、本実施形態では、信号配線パターン及びグランドパターンを同一の層に配置する場合を説明するが、開示の技術は、信号配線パターン及びグランドパターンを同一の層に配置することに限定されない。例えば、各層には、電源配線パターン、信号配線パターン、及びグランドパターンの何れかのパターンが配置されてもよい。また、同一の層に配置するパターンの組み合わせは信号配線パターンとグランドパターンとに限定されない。例えば、電源配線パターン、信号配線パターン、及びグランドパターンの少なくとも2つのパターンを組み合わせて同一の層に配置してもよい。また、本実施形態では、絶縁層を省略した多層基板64の一例を説明するが、多層基板64に絶縁層を含めてもよい。
次に、本実施形態の作用を説明する。
ところで、多層基板64を設計する設計者は、CADプログラム52に含まれる解析機能または解析装置による解析、若しくは実験を行うことにより、リターン電流の経路を確認する対象信号を、把握できる。つまり、電磁界ノイズを誘発するリターン電流経路の対象信号は、設計者に事前に把握されている場合がある。また、設計者は、リターン電流が流れる経路について、対象信号の経路から離間する距離が、対象信号の種類に応じて異なることを経験的に把握している場合がある。本実施形態では、対象信号を設計者に指定させ、指定された対象信号の経路に対してリターン電流が流れる経路を許容する空間を入力させる。つまり対象信号から対象信号が流れる方向と交差する方向の距離を入力させることで、電磁界ノイズ発生を抑制するためのリターン電流が流れる経路を許容する空間を定める。また、本実施形態では、定めたグランド空間内で、電磁界ノイズの抑制につながるグランドパターンの不連続領域を表示することで、多層基板の設計を支援する。これにより、設計者は、電磁界ノイズの発生につながる領域を容易に認識でき、また電磁界ノイズの発生を抑制できる多層基板を設計することができる。
図7に、多層基板設計支援処理の流れの一例を示す。図7に示す多層基板設計支援処理は、開示の技術の基板設計支援プログラムの一例として実行される経路表示プログラム38による処理を含んでいる。
CPU32は、多層基板設計支援処理が実行されると、ステップ100において、各層に含まれるグランドパターン66の各々に、グランドの種別を示す属性情報を付与する(図4も参照)。ステップ100の処理では、CPU32は、設計されたグランドパターン66を示す情報に、グランドの種別を示す属性情報を付与する。なお、ステップ100の処理は、CADプログラム52による処理の一部として含めてもよく、属性情報を付与する処理をCPU32が独立して実行するようにしてもよい。
次に、CPU32は、ステップ102〜ステップ108の処理を実行することにより、取得プロセス40を実行する。まず、CPU32は、ステップ102で、CADファイル50を取得し、多層基板64の信号を示す情報の中から、対象信号が指定されたことを示す指定情報を読み取る。次に、CPU32は、対象信号が指定されるまでステップ104で否定判断を繰り返し、ステップ102へ戻る。
図8及び図9に、対象信号が指定されたことを示す指定情報を読み取る場合のディスプレイ54の表示画面の一例を示す。図8は、信号配線パターン76をディスプレイ54に表示する場合を示している。図8に示すように、CPU32は、CADファイル50に基づいて信号配線パターン76をディスプレイ54に表示する。設計者は、表示される多層基板64の信号配線パターン76の中からキーボード56またはマウス58の操作により、対象信号に該当する信号配線を指定する。CPU32は、指定された信号配線に対応する信号を示す情報を、対象信号を示す指定情報として読み取る。
図9は、多層基板64で使用される信号を示す情報を選択可能にディスプレイ54に表示する一部表示領域78を示す。図9に示すように、CPU32は、CADファイル50に基づいて多層基板64で使用される信号の信号名をディスプレイ54に表示する。設計者は、表示される多層基板64の信号名の中からキーボード56またはマウス58の操作により、対象信号に該当する信号名を指定する。CPU32は、指定された信号名に対応する信号を示す情報を、対象信号を示す指定情報として読み取る。なお、図9に示す一例では、表示される多層基板64で使用される信号の信号名の中から選択する場合を説明したが、指定情報として信号名を直接入力してもよい。
一方、CPU32は、ステップ104で肯定判断すると、ステップ106で、キーボード56またはマウス58の操作により入力される入力情報を読み取る。次に、CPU32は、キーボード56またはマウス58の操作により入力情報が入力されるまで、ステップ108で否定判断を繰り返し、ステップ106へ戻る。一方、CPU32は、ステップ108で肯定判断すると、入力情報をグランド空間決定情報13として記憶し、ステップ110の処理へ移行する。
図10に、グランド空間を特定するグランド空間決定情報の一例を示すディスプレイ54の一部表示領域80を示す。グランド空間決定情報13は、対象信号のリターン電流が流れる経路を許容するグランド空間を定める、グランド空間の位置及び形状を定める情報である。図10は、グランド空間決定情報13の一例として、対象信号の信号経路に対するグランドパターンの平面範囲としての有効範囲を示す情報82及び多層基板64内の層範囲としての有効範囲を示す情報84が入力される場合を示している。
図10では、対象信号の信号経路に対するグランドパターンの平面範囲を示す情報82として、対象信号からの距離をキーボード56により直接入力またはマウス58の操作により予め定めた距離間隔(例えば1mm単位)で距離を入力する一例を示す。なお、対象信号の信号経路に対するグランドパターンの平面範囲を示す情報82として、対象信号の信号経路からの距離に限定されない。例えば、対象信号の信号経路に対するグランドパターンの平面範囲として、対象信号の信号経路を含む長方形または台形等の多角形領域を入力してもよい。
また、図10では、多層基板64内の層範囲を示す情報84として、対象信号からの層数をキーボード56により直接入力またはマウス58の操作により予め定めた層間隔(例えば1層単位)で層の範囲を入力する一例を示す。なお、多層基板64内の層範囲を示す情報84として、上層と下層とで同一の層数を入力することに限定されない。例えば、多層基板64内の層範囲を示す情報84として、上層と下層とで相違する層数を入力してもよい。
なお、グランド空間決定情報は、グランドパターンの平面範囲を示す情報82及び層範囲を示す情報84を入力することに限定されない。グランド空間は、対象信号のリターン電流が流れる経路を許容する空間であるので、グランド空間決定情報は多層基板64における対象信号に対する3次元範囲を特定できる入力情報であればよい。
次に、CPU32は、ステップ102〜108による取得プロセス40を実行した後に、図7に示すステップ110〜ステップ114の処理を実行することにより、経路表示プログラム38に含まれる演算プロセス42を実行する。また、CPU32は、演算プロセス42を実行した後に、ステップ116の処理を実行することにより、表示プロセス48を実行する。CPU32が実行する演算プロセス42では、対象信号の経路情報が求められる。演算プロセス42は、抽出プロセス44及び導出プロセス46を含む。抽出プロセス44では、ステップ112において、対象信号の経路情報に基づいてグランドの特定領域が抽出される。導出プロセス46では、ステップ114において不連続領域が導出される。また、ステップ114では、導出された不連続領域に関係する支援情報を導出することができる。表示プロセス48では、ステップ116において導出された不連続領域が表示される。また、表示プロセス48では、ステップ116において導出された不連続領域に関係する支援情報を表示することができる。
まず、CPU32は、ステップ110で、CADファイル50を取得し、CADファイル50に基づいて、対象信号の経路情報を生成する処理を実行する。
図11に、図7に示すステップ110で実行される対象信号の経路情報生成処理の流れの一例を示す。また、図12に、多層基板64上における対象信号の信号経路の一例として、デバイス端子間の接続関係を面に投影した信号経路68、及び各層毎に分類した層別の信号経路68Vを示す。なお、図12に示す信号経路68は、図5に示す信号経路68と同様に、ドライバ69の端子Pin1からデバイスを経由してレシーバ70の端子Pin6に電流が流れる経路を示す。
CPU32は、ステップ120で、対象信号の配線情報68Hを取得する。図13に配線情報68Hの一例を示すように、例えば、ドライバ69の端子pin1は、ビアVia1に配線され、配線情報として、「pin1−Net1−Via1」の情報が登録される。
次に、CPU32は、ステップ122で、対象信号の配線情報68Hにおけるデバイス端子の情報を取得する。具体的には、配線情報68Hに含まれるデバイスの端子を全て抽出する。次に、CPU32は、ステップ124で、対象信号の経路の探索処理を実行する。つまり、対象信号のデバイスを経由した配線に関して、始点から終点までの経路を探索する。図12に示す例では、ドライバ69の端子Pin1からデバイスを経由してレシーバ70の端子Pin6に至る経路を探索する。
次に、CPU32は、ステップ126で、探索処理結果として得られた経路の始点及び終点がデバイス端子以外か否かを判断し、否定判断した場合、ステップ130へ処理を移行する。一方、CPU32がステップ126で肯定判断した場合、ステップ128で、除外処理を実行した後に、ステップ130へ処理を移行する。ステップ128における除外処理では、ステップ124で探索された経路のうち、経路の始点及び終点がデバイス端子以外の経路が、多層基板64の設計で中途の配線である未完成経路として除外される。
次に、CPU32は、ステップ130で、探索処理結果、または探索処理結果及び除外処理結果の経路として複数の経路が得られたか否かを判断する。CPU32は、ステップ130で否定判断した場合、ステップ134で、1つの経路を示す情報を、対象信号の経路情報に設定する。一方、CPU32は、ステップ130で肯定判断した場合、ステップ132で、複数の経路から1つの経路を選択し、選択した1つの経路を示す情報を、対象信号の経路情報に設定する。なお、ステップ132における経路を選択する処理は、経路長が最長の経路を自動的に選択する。また、複数経路から設計者が1つの経路を選択するようにしてもよい。
対象信号の経路情報が生成されると、CPU32は、図7に示すステップ112で、対象信号の経路情報に基づいてグランドパターンから特定領域を抽出する。
図14に、グランドパターンの特定領域を抽出する処理の流れの一例を示す。また、図15に、特定領域を抽出する処理の説明図を示す。
CPU32は、ステップ140で、多層基板64において、グランド空間を特定するグランド空間決定情報13のうち、対象信号の上下層として入力された有効範囲(層)の各層をメッシュ化する。例えば、第1層のグランドパターン66を、図15に、基板領域86Aとして示すように、縦横複数の要素(メッシュ領域)で分割する。次に、CPU32は、ステップ142で、グランドパターンが存在するメッシュ領域を抽出する。つまり、図15に基板領域86Bとして示すように、基板領域86Aから、グランドパターンが存在するメッシュ領域を抽出する。次に、CPU32は、ステップ144で、グランド空間決定情報13のうち、対象信号に対するグランドパターンの平面範囲として入力された有効範囲内、及び層範囲として入力された有効範囲内のメッシュ領域を抽出する。つまり、図15に、基板領域86Cとして示すように、基板領域86Bから、有効範囲88内のメッシュ領域を抽出する。
図15に示す基板領域86Cでは、有効範囲88内のメッシュ領域として、パターンの一部が抽出される場合に、グランドパターンを示す符号に、抽出された順位を示す数の括弧符号を付している。例えば、デジタルグランドパターンL1D1では、有効範囲88内で分断されたデジタルグランドパターンL1D1(1)、L1D1(2)が抽出される。アナロググランドパターンL1A1ではアナロググランドパターンL1A1(1)、アナロググランドパターンL1A2ではアナロググランドパターンL1A2(1)が抽出される。フレームグランドパターンL1F1は有効範囲88内に全て含まれるが、便宜上、フレームグランドパターンL1F1(1)と表記している。また、フレームグランドパターンL1F2では、フレームグランドパターンL1F2(1)が抽出される。同様に、第3層のグランドパターン66、第7層のグランドパターン66、第9層のグランドパターン66、及び第10層のグランドパターン66の各々について、有効範囲88内のメッシュ領域が抽出される。
次に、CPU32は、ステップ146で、対象信号の経路端(ドライバまたはレシーバのグランドピン)に接続されたグランドパターンと同一属性のグランドパターンを特定領域として抽出する。対象信号の経路端は、対象信号の経路に対してリターン電流が流れる経路の始点と終点を示す。本実施形態では、ドライバ69またはレシーバ70のグランドピンに接続されたデジタルグランドパターンと同一属性のデジタルグランドパターンが抽出される。つまり、図15に、第1層の基板領域86Dとして示すように、有効範囲88内に含まれるデジタルグランドパターンL1D1、つまり有効範囲88内で分断されるデジタルグランドパターンL1D1(1),L1D1(2)の各々が特定領域として抽出される。同様に、第3層、第7層、第9層、及び第10層のグランドパターン66の各々から特定領域が抽出される。
従って、入力されたグランド空間決定情報13によりグランド空間が特定され、グランド空間に含まれる対象信号に関するグランドと同一属性のグランドパターンが、特定領域として抽出される。
なお、グランドの特定領域を抽出する処理では、各層をメッシュ化することにより、CADファイル50のデータをそのまま使用することに比べて、データ量を削減することができる。
また、図14に示すグランドの特定領域抽出処理では、グランドパターンが存在するメッシュ領域を抽出する一例を説明したが(ステップ142)、ステップ142の処理は省略してもよい。ステップ142を省略する場合、CPU32は、ステップ144で、グランド空間(XYZ方向の有効範囲)内の各層のメッシュ領域をまとめて抽出してもよい。
CPU32は、特定領域を抽出した後、図7に示すステップ114で、対象信号に対するリターン電流の経路についての不連続領域を導出する。
図16に、不連続領域を導出する処理の流れの一例を示す。また、図17に、不連続領域を導出する処理におけるグランドパターンの一例を示す。さらに、図18に、対象信号の経路とグランドパターンとの関係の一例を示す。さらにまた、図19に、不連続領域に関係する支援情報を導出する処理の説明図を示す。
CPU32は、ステップ150で、図14に示すステップ146で抽出した特定領域、つまりグランド空間に含まれる有効範囲の層内に含まれるグランドパターンの特定領域を合成する。図17にグランド領域90Aとして一例を示すように、ドライバ69またはレシーバ70のグランドピンがデジタルグランドパターンに接続される場合、第1層、第3層、第9層、及び第10層のデジタルグランドパターンが合成される。つまり、デジタルグランドパターンL1D1(1)、L1D1(2)、L3D1(1)、L9D1(1)、L10D1(1)の各々が重ね合わせられる。
次に、CPU32は、ステップ152で、層が相違するグランドパターン同士で重なり合う重複領域を抽出する。つまり、図17にグランド領域90Bとして一例を示すように、デジタルグランドパターンL1D1(1)と、デジタルグランドパターンL10D1(1)との重複領域92Aが抽出される。また、デジタルグランドパターンL10D1(1)と、デジタルグランドパターンL3D1(1)との重複領域92Bが抽出される。同様に、デジタルグランドパターンL1D1(2)と、デジタルグランドパターンL9D1(1)との重複領域92Cが抽出される。次のステップ154では、CPU32は、CADファイル50に基づいて、特定領域内のグランドパターンに設定されたビアを配置する。例えば、図17にグランド領域90Cとして一例を示すように、重複領域92A内にビアVia10,11が配置され、重複領域92C内にビアVia12,13が配置される。
次に、CPU32は、ステップ156で、対象信号の信号経路から所定間隔ごとにグランドパターンの有無を検索する。また、ステップ156では、CPU32は、グランドパターンの重複領域についてビアの有無を検索する。つまり、図18に、グランド領域90Dとして示すように、対象信号の信号経路68上で所定間隔で、信号経路68からのグランドパターンの有無を検索する。図18に、信号経路68からのグランドパターンの有無を検索することを、模式的に矢印94として示す。図18に示す一例では、デジタルグランドパターンL3D1(1)、L1D1(2)が離間しているため、矢印94Xによる信号経路68からのグランドパターン検索で、グランドパターンが無の離間領域92Dを結果として得ることができる。また、グランドパターンの重複領域についてビアの有無を検索する処理では、重複領域92A内にビアが有り、重複領域92C内にビアが有り、重複領域92B内にビアが無いとの検索結果が得られる。
次に、CPU32は、ステップ158で、ステップ156の検索結果に基づいて、グランドパターンが分断されている箇所及び重複領域にビアがない箇所を経路断線箇所と特定し、不連続領域に設定する。
なお、不連続領域に設定する場合、グランドパターンが分断されている箇所の特定領域の外郭間の距離が予め定めた所定値以下の領域を不連続領域に設定することができる。これによって、グランドパターンが分断されている電気的に離間する多数の領域の中から、外郭間距離が所定値以下のリターン電流が流れる経路の候補領域に絞り込むことができ、設計者に対してリターン電流が流れる経路の候補領域を提示することができる。また、不連続領域に設定する場合、重複領域にビアがない箇所の特定領域の外郭間の距離、つまり、層間距離が予め定めた所定値以下の領域を不連続領域に設定することもできる。
次に、CPU32は、ステップ160で、不連続領域を注意領域として明示するための第1支援情報を導出する。第1支援情報は、不連続領域を設計者に明示するための情報であり、第1支援情報の一例には、不連続領域をハイライト表示したり強調表示したりする情報、及び不連続領域を注目させるための情報がある。次に、CPU32は、ステップ162で、不連続領域に関係する特定領域を示す第2支援情報を導出する。第2支援情報のは、不連続領域の要素を設計者に明示するための情報であり、第2支援情報の一例には、不連続領域に至る特定領域の元となるグランドパターンを示す情報がある。また、第2支援情報の他の例には、不連続領域となる要素として、重なり合うグランドパターンの種類を示す情報、隣り合うグランドパターンを示す情報、及びグランドパターンを含む層位置を示す情報がある。次に、CPU32は、ステップ164で、第1支援情報と、第2支援情報とを合成することにより、第1支援情報と第2支援情報とを含む不連続領域に関係する支援情報を導出する。
図19に、支援情報の一例を示す。図19では、第1支援情報の一例として、不連続領域を注意領域として明示する注意領域情報96を示す。具体的には、注意領域情報96は、ビアが設けられていないグランドパターンの重複領域92Bを示す注意領域情報96A、特定領域が離間した離間領域92Dを示す注意領域情報96Bを含む。また、図19では、第1支援情報の他の例として、不連続領域を明示するために不連続領域を含む所定領域を囲むマーク98を示す。マーク98は、重複領域92Bまたは注意領域情報96Aを設計者に注目させるためのマーク98Aと、離間領域92Dまたは注意領域情報96Bを設計者に注目させるためのマーク98Bとを含む。また、図19では、第2支援情報の一例として、メッセージ情報99を示す。メッセージ情報99は、メッセージ情報98C,98Dを含む。メッセージ情報98Cは、不連続領域に至る特定領域の元となるグランドパターンを示す情報として、ビアが設けられていないグランドパターンの重複領域92Bのグランドパターンが配置された層の位置を示す情報を含む。同様に、メッセージ情報98Dは、グランドパターンが離間する離間領域92Dに隣り合うグランドパターンが配置された層の位置を示す情報を含む。
支援情報が導出されると、CPU32は、図7に示すステップ116で、対象信号に対する不連続領域を表示する。本実施形態では、ステップ116で、不連続領域に関係する支援情報も表示する。
図20に、不連続領域に関係する支援情報を表示する処理の流れの一例を示す。
CPU32は、ステップ170で、多層基板64において、対象信号の信号経路68をディスプレイ54に表示する。次に、CPU32は、ステップ172で、不連続領域をディスプレイ54に表示し、ステップ174で、支援情報をディスプレイ54に表示する。このように、不連続領域を表示することによって、電磁界ノイズを抑制した多層基板の設計を支援することができる。また、不連続領域、及び不連続領域に関係する支援情報を表示することによって、電磁界ノイズを抑制した多層基板の設計に寄与可能な情報を提示することができる。つまり、設計者は、電磁界ノイズの発生に起因することが予測される不連続領域を確認でき、不連続領域または、不連続領域を含む支援情報に基づき電磁界ノイズを抑制した多層基板を設計することができる。
図21に、多層基板64の具体的な一例を示す。図21に示す多層基板64は、第1層〜第7層の各々に、グランドパターン66を備えている。なお、図21に示す多層基板64の一例では、信号経路68から所定距離のグランド空間が定められている。また、図21では、説明を簡単にするため、デジタルグランドパターンを対象とし、図21の説明では、単にグランドパターンと称する。
第1層のグランドパターンL1D1と、第2層のグランドパターンL2D1とは、重複領域92Eで重なり合い、ビアVia10により接続されている。また、第3層のグランドパターンL3D1と、第4層のグランドパターンL4D1とは、重複領域92Fで重なり合い、ビアVia11により接続されている。さらに、第5層のグランドパターンL5D1と、第7層のグランドパターンL7D1とは、重複領域92Gで重なり合っている。さらにまた、第6層のグランドパターンL6D1と、第7層のグランドパターンL7D1とは、重複領域92Hで重なり合い、ビアVia12により接続されている。なお、図21では、説明を簡単にするため、グランドパターンを接続するビアの一部を表記する。
図21に示す多層基板64に対して導出される支援情報は、注意領域情報96A、96B、及びマーク98A、98Bを含む第1支援情報を含む。また、図21では、第2支援情報として、メッセージ情報98C,98Dを含んでいる。メッセージ情報98Cは、ビアが設けられていないグランドパターンの重複領域92Gを、設計者に注目させるためのメッセージ情報である。また、メッセージ情報98Dは、信号sig−xのグランドパターンが離間する離間領域92Dを、設計者に注目させるためのメッセージ情報である。
以上説明したように、本実施形態では、CADファイル50に基づいて、対象信号が設計者により指定され、対象信号の経路に対して、リターン電流が流れる経路を許容するグランド空間の位置及び形状を定めるグランド空間決定情報が設計者により入力される。コンピュータ30では、多層基板64のCADファイル50、グランド空間決定情報に基づいて、多層基板内のグランドパターンのうち、グランド空間決定情報で定まるグランド空間に内包される領域が特定領域として抽出される。コンピュータ30は、抽出された特定領域について、リターン電流の経路の始点から電気的に連続する特定領域と、終点から電気的に連続する特定領域とが電気的に離間する領域を不連続領域として導出し、ディスプレイ54に表示する。このように、本実施形態では、不連続領域を表示することによって、設計者は、電磁界ノイズの発生に起因することが予測される不連続領域を確認でき、表示された不連続領域を考慮して、電磁界ノイズを抑制した多層基板を設計することができる。従って、本実施形態では、不連続領域を表示することによって、多層基板において生じる電磁界ノイズを抑制した多層基板の設計を支援することができる。
また、本実施形態では、コンピュータ30は、求めた不連続領域を示す情報に基づいて、不連続領域に関係する支援情報を導出する。導出された支援情報はディスプレイ54に表示される。このように、本実施形態では、不連続領域に関係する支援情報を表示することによって、設計者は、電磁界ノイズの発生に起因することが予測される不連続領域を確認でき、支援情報に基づき電磁界ノイズを抑制した多層基板を設計することができる。
なお、上記では基板設計支援装置10をコンピュータ30により実現する一例を説明した。しかし、これらの構成に限定されるものではなく、上記説明した要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良及び変更を行っても良い。
また、上記ではプログラムが記憶部に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、開示の技術におけるプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記録媒体に記録されている形態で提供することも可能である。
本実施形態では、対象信号の信号経路68に対して多層基板64内の層範囲を定める情報を用いている。これにより、多層基板64における対象信号の信号経路68に対して、設計者の直観的にグランドパターンを、入力させることができる。また、本実施形態では、対象信号の信号経路68に対する多層基板64の平面範囲及び多層基板64内の層範囲を定める情報を、グランド空間決定情報の一例としている。これにより、多層基板64における対象信号の信号経路68に対して、設計者の直観的な形状に沿ったグランド空間の位置及び形状を、容易に入力させることができる。
また、本実施形態では、複数の層が積層された多層基板に流れる信号の経路から所定距離内の多層基板内の複数のグランドパターンを多層基板の設計情報から抽出する。また、所定距離は、距離を示す情報として入力された情報を用いる。従って、距離を示す情報を用いることによって、多層基板の設計情報から多層基板内の複数のグランドパターンを容易に抽出することができる。さらに、本実施形態では、グランド空間決定情報を複数のグランド空間の位置及び形状を定める情報から選択することができる。例えば、信号経路を対象として、一定距離の平面範囲と層範囲とによりグランド空間を定める場合に、平面範囲及び層範囲の少なくとも一方を予め定めた複数の所定値から選択可能にしておく。これにより、設計者は、グランド空間の位置及び形状を定める情報を逐次入力することなく、選択による簡単な作業で入力することができる。
リターン電流が流れる経路の始点から電気的に連続する特定領域を第1特定領域群の外郭と、リターン電流が流れる経路の終点から電気的に連続する特定領域を第2特定領域群の外郭との距離が所定値以下の電気的に離間する領域を不連続領域として導出する。これにより、多層基板64において電気的に離間する多数の領域のなかから、外郭間距離が所定値以下のリターン電流が流れる経路の候補領域に絞り込むことができ、設計者に対してリターン電流が流れる経路の候補領域を提示することができる。
また、本実施形態では、不連続領域として、ビアにより互いに接続されていない多層基板64の積層方向に重なり合う領域を不連続領域として求めて表示している。これにより、設計者は、多層基板64を平面的な透視図として参照した場合であっても、積層方向に重なり合う領域のうち、グランドパターンとして連続していない領域を確認でき、電磁界ノイズを抑制するための作業へ容易に移行することができる。また、本実施形態では、不連続領域として、多層基板の平面方向に離間する領域を不連続領域として求めて表示している。これにより、設計者は、リターン電流が流れる経路を含むグランドパターンが分断される箇所を容易に確認でき、電磁界ノイズを抑制するための作業へ容易に移行することができる。
また、本実施形態では、支援情報として、不連続領域を注意領域として注意領域を示す情報を導出してディスプレイ54に表示する。このように、不連続領域自体を設計者に表示することができるので、設計者は不連続領域自体を簡単に確認することができる。
また、本実施形態では、支援情報として、不連続領域を注意領域として注意領域を示す第1支援情報を導出し、不連続領域に関係する特定領域を示す第2支援情報を導出してディスプレイ54に表示する。これにより、電磁界ノイズの発生に起因することが予測される領域について、注目度を向上して設計者に提供することができる。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
複数の層が積層された多層基板に流れる信号の経路から所定距離内の前記多層基板内の複数のグランドパターンを前記多層基板の設計情報から抽出し、
前記複数のグランドパターンが電気的に離間した領域を不連続領域として導出し、
導出した前記不連続領域を表示する
ことを含む処理をコンピュータに実行させるための基板設計支援プログラム。
(付記2)
前記所定距離は、前記信号の経路からの前記多層基板内の層範囲である
ことを特徴とする付記1記載の基板設計支援プログラム。
(付記3)
前記所定距離は、距離を示す情報として入力された情報である
ことを特徴とする付記1記載の基板設計支援プログラム。
(付記4)
前記リターン電流が流れる経路の始点から電気的に連続する特定領域を第1特定領域群とし、前記リターン電流が流れる経路の終点から電気的に連続する特定領域を第2特定領域群として、前記第1特定領域群と、前記第2特定領域群とが電気的に離間する領域のうち前記第1特定領域群と前記第2特定領域群との外郭間の距離が所定値以下の領域を不連続領域として導出する
付記1〜付記3の何れか1項に記載の基板設計支援プログラム。
(付記5)
前記多層基板の積層方向に重なり合う領域、及び前記多層基板の平面方向に離間する領域の少なくとも一方の領域を前記不連続領域として導出する
付記1〜付記4の何れか1項に記載の基板設計支援プログラム。
(付記6)
導出した前記不連続領域に基づいて、前記不連続領域を注意領域として前記注意領域を特定する情報を、前記不連続領域に関係する支援情報として導出する
付記1〜付記5の何れか1項に記載の基板設計支援プログラム。
(付記7)
導出した前記不連続領域に基づいて、前記不連続領域を注意領域として前記注意領域を示す第1支援情報と、前記不連続領域に関係する特定領域を示す第2支援情報とを含む情報を、前記不連続領域に関係する支援情報として導出する
付記1〜付記6の何れか1項に記載の基板設計支援プログラム。
(付記8)
コンピュータが、
複数の層が積層された多層基板に流れる信号の経路から所定距離内の前記多層基板内の複数のグランドパターンを前記多層基板の設計情報から抽出し、
前記複数のグランドパターンが電気的に離間した領域を不連続領域として導出し、
導出した前記不連続領域を表示する
ことを含む基板設計支援方法。
(付記9)
前記所定距離は、前記信号の経路からの前記多層基板内の層範囲である
ことを特徴とする付記8記載の基板設計支援方法。
(付記10)
前記多層基板の積層方向に重なり合う領域、及び前記多層基板の平面方向に離間する領域の少なくとも一方の領域を前記不連続領域として導出する
付記8または付記9に記載の基板設計支援方法。
(付記11)
導出した前記不連続領域に基づいて、前記不連続領域を注意領域として前記注意領域を示す第1支援情報と、前記不連続領域に関係する特定領域を示す第2支援情報とを含む情報を、前記不連続領域に関係する支援情報として導出する
付記8〜付記10の何れか1項に記載の基板設計支援方法。
(付記12)
複数の層が積層された多層基板に流れる信号の経路から所定距離内の前記多層基板内の複数のグランドパターンを前記多層基板の設計情報から抽出する抽出部と、
前記複数のグランドパターンが電気的に離間した領域を不連続領域として導出する導出部と、
導出した前記不連続領域を表示する表示部と
を備えた基板設計支援装置。
(付記13)
前記所定距離は、前記信号の経路からの前記多層基板内の層範囲である
ことを特徴とする付記12記載の基板設計支援装置。
(付記14)
前記導出部は、前記多層基板の積層方向に重なり合う領域、及び前記多層基板の平面方向に離間する領域の少なくとも一方の領域を前記不連続領域として導出する
付記12または付記13に記載の基板設計支援装置。
(付記15)
前記導出部は、導出した前記不連続領域に基づいて、前記不連続領域を注意領域として前記注意領域を示す第1支援情報と、前記不連続領域に関係する特定領域を示す第2支援情報とを含む情報を、前記不連続領域に関係する支援情報として導出する
付記12〜付記14の何れか1項に記載の基板設計支援装置。