本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
図1〜図5は本発明の第1実施例を示すものであり、本実施例では、図3に示すように、少なくとも四隅に柱100を配置し、この柱100間に設置された壁101によって四方を囲まれた建物室内の天井において、上階床スラブとしてのコンクリートスラブ1から垂設された吊りボルト2にハンガー3を介して取り付けられた断面略C形状の形鋼からなる野縁受部材4と、野縁受部材4の下部に取付金具(図示せず)を介して取り付けられた断面略C形状の形鋼からなる野縁部材5と、野縁部材5の下部に取り付けられた石膏ボード、コンパネ等の天井パネルからなる天井ボード6A、6B、6Cとを備えている。図中、6Aは壁101に固定された固定側の天井ボード、6Bは固定側の天井ボード6Aと隙間Sを有して設置された島側の天井ボード、7は照明や空調等の設備機器、6Cは設備機器7の周囲に島側の天井ボード6Bと隙間Sを有して設置された天井ボードである。また、J1,J2は、目隠し板8を直線状に連結した連結部分であり、J3,J4は目隠し板8を直角に連結したコーナー側の連結部分である。
本実施例の目隠し板8は、金属、樹脂又はアルミなどの非鉄金属からなり、一方を壁101側に固定された固定側の天井ボード6Aを保持する天井下地材である野縁受部材4に固定可能に形成された取付部9と、他方を隙間Sを下方から被覆可能に形成されるとともに島側の天井ボード6Bの下面Bの下部を所定の間隔を有して被覆可能に備えた被覆部10とを備えている。
目隠し板8の取付部9の上部にボルト取付用の溝部11を備えるとともに、取付部9側と被覆部10側にそれぞれ、連結部材取付用の溝部12、13をそれぞれ備えている。また、溝部11の両側にも連結部材取付用の溝部14、15を備えている。16A,16Bは、天井ボード6A,6Bの下面A,Bに備えたボード状の天井仕上げ材である。
また、取付部9の外側にも、壁101側に固定された固定側の天井ボード6Aである壁側天井の下面Aの下部を被覆可能に形成された取付部側被覆部17を備えている。
さらに取付部9と取付部側被覆部17との境界部分には、段差部18が形成されている。
段差部18に固定側の天井仕上げ材16Aの縁を当接させることで、取付部9を固定側の天井仕上げ材16Aに位置決めすることが可能となる。ここで、取付部9の下面と被覆部10の下面Cは面一に形成されている。
尚、被覆部10の上面には、モルトプレーン等の断熱部材が貼り付けられたり、断熱塗装による断熱層が形成された断熱部19や、静電植毛等による植毛部(図示せず)を備えている。
固定側の野縁受部材4は、隙間Sを室内側から見て露出可能なまで水平方向に延設されている。そして、この固定側の野縁受部材4において隙間Sから露出した露出部分20には、取付部9を野縁受部材4に取り付けるための取付金具21が取り付けられる。
取付金具21は、上面部22と、上面部22の両端を下方へ折り曲げ上下方向と略平行に形成された一対の側面部23と、側面部23の下端を折り返して水平方向と略平行に形成された一対の取付部24とを備え、ステンレス鋼、アルミニウム等の金属板を略ハット型に折り曲げ形成されたものである。
取付部24には、取付金具21と目隠し板8の溝部11とを固定するボルト25を挿通可能な貫通部26が形成されている。
取付金具21は、上面部22と一対の側面部23によって形成される略コ型状の係止部27を野縁受部材4に係止して、側面部23と野縁受部材4をビス等によって固定するものである。
本実施例では、溝部11の両側の開口縁部分11Aの内側面に係止可能な溝部用金具28を溝部11内に設置して、ボルト25を取付金具21の貫通部26に挿通した状態で溝部用金具28に螺着している。
そして、溝部用金具28は、左右一対の側面部29と、側面部29の上部を連結して形成された上面部30とを備えた断面コ型の形鋼からなる。溝部用金具28の上面部30の中央部分には、ボルト25が螺着可能な螺子孔31を有している。溝部用金具28の上面部30の幅寸法M1は、溝部11の開口幅M2より大きく(M1>M2)、かつ溝部11内部の幅M3より僅かに小さく形成されているため(M1≦M3)、上面部30と溝部11の開口縁部分11Aの内側面との接触面積が大きくなるように形成されている。
また、溝部用金具28の開口縁部分11Aと平行する方向の寸法M4を、溝部11の幅M3より大きく形成されているため(M4>M3)、溝部11内の溝部用金具28を回動不能としている。
以上の構成の目隠し板8の取り付け方法について説明する。最初に取付金具21の係止部27を野縁受部材4の露出部分20に係止してビス等により固定する。
次に、目隠し板8の段差部18を固定側の天井仕上げ材16Aの縁に当接させて、目隠し板8を固定側の天井仕上げ材16Aに位置決めする。
続いて、取付金具21の取付部24の貫通部26に挿通されたボルト25を、固定側の天井ボード6Aに位置決めされた目隠し板8の取付部9の溝部11内に設置された溝部用金具28の螺子孔31に螺着して、目隠し板8を取付金具21を介して野縁受部材4の露出部分20に固定する。
一方、野縁受部材4に固定された目隠し板8の被覆部10によって、天井ボード6B及び天井仕上げ材16Bと目隠し板8の上面Dとの間に間隔Kを設けた状態で隙間Sは覆われており、天井ボード6Bの下面B及び天井仕上げ材16Bの目隠し板8との干渉を抑え、不燃な防火区画を構成することができる。尚、目隠し板8の取り付け方法については上述の順序に限られたものではない。
また、目隠し板8の連結部分J1では、各目隠し板8、8の溝部12、13、14、15に金属製の棒状の部材からなる連結部材32を挿通して、連結部材32を介して各目隠し板8、8同士を連結することで、各目隠し板8、8同士は下面Cを面一に揃えた状態で水平に連結される。
また、隙間Sから露出している野縁受部材4の露出部分20に取付金具21を介して目隠し板8を取り付けるため、野縁部材5と野縁受部材4とが交差しているような天井裏の繁雑な箇所を避けて目隠し板8の取り付け作業を行うことができるので、目隠し板8の取り付けに係る作業性が向上する。
本実施例の目隠し板8は、地震による天井の落下や破損を防ぐため、天井面に設けた隙間Sの片方の天井ボード6Aに目隠し板8を固定し、隙間Sのもう片方の天井ボード6Bとの間に間隔Kを設けることにより、両方の天井ボード6A、6Bの縁を切ることにより、地震時の揺れによる天井ボード6Aと天井ボード6B同士が干渉して、天井が落下や破損することを防ぐことができるとともに、隙間Sを目隠しするとともに、隙間Sによる熱、音、風の行き来を少なくし、区画を形成することが可能となる。
天井に隙間Sを設けたことにより、地震時の天井の各天井ボード6A、6B、6C、壁101、設備機器7の動きが異なってもお互いに干渉しないため、天井ボード6A、6B、6Cや壁101や設備機器7との干渉による天井の脱落や破損を防ぐことができる。
以上のように本実施例では、天井面である天井ボード6Aと天井面である天井ボード6Bとの間、天井ボード6Aと壁101との間、又は天井面である天井ボード6Aと照明や空調機などの設備機器7との間に設けた隙間Sを覆う目隠し板8であって、前記目隠し板8は、天井裏側に固定される取付部9と、前記隙間Sを覆う被覆部10とを備え、前記取付部9を前記隙間Sから露出した天井裏構造物である野縁受部材4の露出部分20に固定している。
この場合、隙間Sを隠すとともに、地震による天井の脱落や破損を防ぎ、特に、一方の天井面である天井ボード6Aと他方の天井面である天井ボード6B、天井面である天井ボード6Aと壁101、又は天井面である天井ボード6Aと照明や空調機などの設備機器7の揺れ方の違いによる天井の脱落や破損を防ぐことができる。また、隙間Sから露出している天井裏構造物である野縁受部材4の露出部分20に目隠し板8を取り付けるため、天井裏の繁雑な箇所を避けて目隠し板8の取り付け作業を行うことができるので、目隠し板8の取り付けに係る作業性が向上する。
また、前記天井構造物を天井下地材である野縁受部材4とすることにより、隙間Sから露出している野縁受部材4の露出部分20に目隠し板8を取り付けるため、目隠し板8の取り付け作業を容易に行うことができる。
また、被覆部10の天井ボード6Aと天井ボード6Bのいずれか他方と対向する部分に断熱部19及び/又は遮音部を備えたことにより、隙間S及び間隔Kによる熱や音の伝導や風の行き来を防ぐことができる。
さらに、前記隙間Sは、壁101に固定された天井ボード6Aと、前記壁101と非固定状態の天井ボード6Bとの間に形成されたものとすることにより、目隠し板8を、壁101ではなく、壁101から離れた天井ボード6Aに取り付けるので、室内の柱をよけるなどによる曲がりが少なく施工に手間もかからず、部屋の中心部分に多くある照明や、空調機などの設備機器7の周りにも容易に取り付けが可能となる。
また、図6に示すように、取付部側被覆部17を固定側の天井ボード6Aに位置決めした後、その取付部側被覆部17をビス等の固定手段10Aにより天井ボード6A又は天井下地材等に固定してもよい。
この場合、取付部側被覆部17を天井ボード6Aに固定することにより、非固定側である被覆部10が目隠し板8の自重により下方へ撓んでしまい、目隠し板8が変形してしまうことを防止することができる。これにより、非固定側の被覆部10と天井ボード6Bとの間隔Kが必要以上に広がってしまい、室内側と天井裏との熱、音、風の行き来が増加してしまうのを防止することができる。
尚、図7に示すように、取付金具28に代えて、ナット25Aを溝部11内部に配置して、そのナット25Aにボルト25を螺着してもよいものとする。ここで、ナット25Aの外径M1は溝部11の開口部分の寸法M2よりも大径なものとする。
図1〜図7では、野縁受部材4が配置されている箇所への目隠し板8の設置について説明したが、図8に示すように野縁部材5が配置されている箇所への目隠し板8への設置について説明する。目隠し板8が取り付けられる固定側の野縁部材5は、隙間Sを室内側から見て露出可能なまで水平方向に延設されている。そして、この固定側の野縁部材5において隙間Sから露出した露出部分5Aには、取付部9を野縁部材5に取り付けるための取付金具21が取り付けられる。これにより、隙間Sから露出している野縁部材5の露出部分5Aに目隠し板8を取り付けるため、目隠し板8の取り付け作業を容易に行うことができる。
続いて図9〜図11は、本発明の第2実施例を示すものである。同図において、図1〜図8と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例の目隠し板8は、取付部9の両側に被覆部10を備えている。
以上の構成の目隠し板8の取り付け方法について説明する。最初に、取付金具21の係止部27を野縁受部材4の露出部分20に係止してビス等により固定する。
次に、取付金具21の取付部24の貫通部26に挿通されたボルト25を、目隠し板8の取付部9の溝部11内に設置された溝部用金具28の螺子孔31に螺着して、目隠し板8を取付金具21を介して野縁受部材4の露出部分20に固定する。
一方、野縁受部材4に固定された目隠し板8の各被覆部10によって、天井ボード6A及び天井仕上げ材16Aと目隠し板8の上面Dとの間や天井ボード6B及び天井仕上げ材16Bと目隠し板8の上面Dとの間にそれぞれ間隔Kを設けた状態で隙間Sは覆われており、天井ボード6A及び天井仕上げ材16Aや天井ボード6Bの下面B及び天井仕上げ材16Bによる目隠し板8への干渉を抑え、不燃な防火区画を構成することができる。
以上のように本実施例では、被覆部10を取付部9の両側に備えたことにより、取付部9と天井裏との取り付け状態にかかわらず、被覆部10で隙間Sを被覆することが可能となり、目隠し板8の取り付けに係る作業性が向上する。
また、図12に示すように、一方の被覆部10を固定側の天井ボード6Aに位置決めした後、その一方の被覆部10をビス等の固定手段10Aにより天井ボード6A又は天井下地材等に固定してもよい。
この場合、一方の被覆部10を天井ボード6Aに固定することにより、非固定側である他方の被覆部が目隠し板8の自重により下方へ撓んでしまい、目隠し板8が変形してしまうことを防止することができる。これにより、非固定側の被覆部10と天井ボード6Bとの間隔Kが必要以上に広がってしまい、室内側と天井裏との熱、音、風の行き来が増加してしまうのを防止することができる。
尚、図13に示すように、取付金具28に代えて、ナット25Aを溝部11内部に配置して、そのナット25Aにボルト25を螺着してもよいものとする。ここで、ナット25Aの外径M1は溝部11の開口部分の寸法M2よりも大径なものとする。
図9〜図13では、野縁受部材4が配置されている箇所への目隠し板8の設置について説明したが、図14に示すように野縁部材5が配置されている箇所への目隠し板8への設置について説明する。目隠し板8が取り付けられる固定側の野縁部材5は、隙間Sを室内側から見て露出可能なまで水平方向に延設されている。そして、この固定側の野縁部材5において隙間Sから露出した露出部分5Aには、取付部9を野縁部材5に取り付けるための取付金具21が取り付けられる。これにより、隙間Sから露出している野縁部材5の露出部分5Aに目隠し板8を取り付けるため、目隠し板8の取り付け作業を容易に行うことができる。
続いて図15は、本発明の第3実施例を示すものである。同図において、図1〜図14と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では第2実施例に記載の目隠し板8を吊りボルト2に取り付けている。
以上の構成の目隠し板8の取り付け方法について説明する。最初に、吊りボルト2を、目隠し板8の取付部9の溝部11内に設置された溝部用金具28の螺子孔31に螺着して、目隠し板8を吊りボルト2に固定する。
一方、野縁受部材4に固定された目隠し板8の各被覆部10によって、天井ボード6A及び天井仕上げ材16Aと目隠し板8の上面Dとの間や天井ボード6B及び天井仕上げ材16Bと目隠し板8の上面Dとの間にそれぞれ間隔Kを設けた状態で隙間Sは覆われており、天井ボード6A及び天井仕上げ材16Aや天井ボード6Bの下面B及び天井仕上げ材16Bによる目隠し板8への干渉を抑え、不燃な防火区画を構成することができる。
目隠し板8を吊りボルト2に取り付けることにより、天井裏の野縁部材5や野縁受部材4等の天井下地材について考慮することなく目隠し板8を設置することが可能となり、目隠し板8の取り付けに係る作業性が向上する。
続いて図16〜図21は、本発明の第4実施例を示すものである。同図において、図1〜図15と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、第3実施例における吊りボルト2を、落下防止装置33を介してコンクリートスラブ1に取り付けている。
本実施例の落下防止装置33では、基端部34は金属製の棒状部材からなり、一方にアンカー部材2Aに螺着可能な雄螺子部35と、他方に揺動用凸部36とを備えている。また、被吊り下げ側取付部37は金属製の筒状部材からなり、一方に基端部34の揺動用凸部36を揺動自在に収容可能な揺動用凹部38と、他方に全螺子部材から成る吊りボルト2が螺着可能な雌螺子部39とを備えている。
前記揺動用凸部36は、先端部分を切断した略球状に形成されており、またその先端部分にはマイナスドライバーが嵌合可能な溝部40が形成されている。
前記揺動用凹部38は、基端部34の雄螺子部35、揺動用凸部36、及び雄螺子部35と揺動用凸部36との中間部分に形成された首部41のそれぞれの外径D1、D2、D3(D3<D1<D2)より大径な内径D4に形成された前記被吊り下げ側取付部37の一方を、揺動用凸部36より小径な径D5(D3<D1<D5<D2)にすり鉢状に縮径して形成されたテーパ状の縮径部42を備えている。
以上の落下防止装置33の使用方法について説明すると、まず落下防止装置33の組み立て方法として、基端部34の雄螺子部35を被吊り下げ側取付部37の他方の雌螺子部39側から挿入して、雄螺子部35を被吊り下げ側取付部37の一方の揺動用凹部38側から外部に露出させて、揺動用凸部36を揺動用凹部38内部に縮径部42によって抜け止めされた状態で収容して、揺動用凸部36が揺動用凹部38内部で揺動自在に設けられる落下防止装置33のジョイント部43を構成し、落下防止装置33の組み立てが完了する。
そして、前述のように組み立てられた落下防止装置33を用いて、コンクリートスラブ1に打設されたアンカー部材2Aの螺子溝2Bに基端部34の雄螺子部35を螺合して、コンクリートスラブ1に基端部34を固定する。また、被吊り下げ側取付部37の雌螺子部39に吊りボルト2を螺合して、吊りボルト2を被吊り下げ側取付部37に固定する。
次に、目隠し板8の取り付け方法について説明する。最初に、吊りボルト2を、目隠し板8の取付部9の溝部11内に設置された溝部用金具28の螺子孔31に螺着して、目隠し板8を吊りボルト2に固定する。
一方、野縁受部材4に固定された目隠し板8の各被覆部10によって、天井ボード6A及び天井仕上げ材16Aと目隠し板8の上面Dとの間や天井ボード6B及び天井仕上げ材16Bと目隠し板8の上面Dとの間にそれぞれ間隔Kを設けた状態で隙間Sは覆われており、天井ボード6A及び天井仕上げ材16Aや天井ボード6Bの下面B及び天井仕上げ材16Bによる目隠し板8への干渉を抑え、不燃な防火区画を構成することができる。
また、吊りボルト2に目隠し板8を揺動自在に保持する落下防止手段33を備えたことにより、吊りボルト2を落下防止装置33を介してコンクリートスラブ1に取り付けているため、地震等によって天井ボード6A、6Bが揺れて、揺れた天井ボード6A、6Bが目隠し板8に接触して目隠し板8が揺れた場合でも、目隠し板8の揺れは落下防止装置33で遮断され、吊りボルト2をコンクリートスラブ1に固定しているアンカー部材2Aまで揺れが伝達することを防ぎ、アンカー部材2Aが地震等の揺れで破損することを防止して、目隠し板8の落下を防止することができる。
続いて図22〜図25は、本発明の第5実施例を示すものである。同図において、図1〜図21と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、落下防止装置の別の実施形態について説明する。本実施例の落下防止装置50は、天井裏側のコンクリートスラブ1側に固定される基端部51と、天井裏から吊り下げ保持される目隠し板8や天井下地材や天井ボード6A、6B等からなる天井構造や設備機器等の被吊り下げ保持体側に固定される被吊り下げ側取付部52とを備え、前記被吊り下げ側取付部52は基端部51に揺動自在に連結されている。
基端部51は、円盤状に形成され、中央部分に第1の貫通部53が形成されたものである。被吊り下げ側取付部52も、円盤状に形成され、中央部分に第2の貫通部54が形成されたものである。そして、基端部51と被吊り下げ側取付部52を複数のワイヤー部材55を介して連結し、被吊り下げ側取付部52を基端部51に揺動自在に連結している。
前記ワイヤー部材55は、基端部51の第1の貫通部53の周囲に等間隔をあけて形成された複数の第1の連結孔56と被吊り下げ側取付部52の第2の貫通部54の周囲とを等間隔をあけて形成された複数の第2の連結孔57を連結している。
前記ワイヤー部材55の両端には、それぞれ抜け止め部材58を備えている。前記抜け止め部材58は、ワイヤー部材55の両端に基端側が接続され、第1の連結孔56及び第2の連結孔57の直径より小径に形成された円筒状の接続部59と、この接続部59の先端側に形成され、第1の連結孔56及び第2の連結孔57の直径より十分大きな径に形成された円盤状の抜け止め部60を備えている。
以上の落下防止装置50の使用方法について説明すると、基端部51の第1の貫通部53に吊りボルト2をナット61で固定して、コンクリートスラブ1側に基端部51を固定する。また、被吊り下げ側取付部12の第2の貫通部14に挿通した雄螺子部材62を、ナット63、64で被吊り下げ側取付部52に固定する。
このように、上記構成の落下防止装置50を介して目隠し板8をコンクリートスラブ1に吊り下げ保持することで、天井裏から吊り下げ保持される目隠し板8が地震等により水平方向(図3参照)、水平方向(図4参照)、又はこれらを組み合わせた方向に揺れても、ワイヤー部材55が揺れの方向に追従して撓むことで、その揺れはワイヤー部材55までで遮断され、基端部51からアンカー部材2Aまで揺れが伝達することはなく、アンカー部材2Aが地震等の揺れで破損することを防ぐことができる。
以上のように本実施例では、コンクリートスラブ1から吊下げ保持される目隠し板8の落下防止装置50であって、前記コンクリートスラブ1側に取り付けられる基端部51と、前記天井構造である目隠し板8側に取り付けられる被吊り下げ側取付部52とを備え、前記被吊り下げ側取付部52を前記基端部51に揺動自在に備えている。
この場合、落下防止装置50を介して目隠し板8をコンクリートスラブ1に吊下げ保持することで、目隠し板8の揺れを落下防止装置50で遮断して、コンクリートスラブ1における目隠し板8との連結構造であるアンカー部材2Aまで揺れが伝達することを防止して、アンカー部材2Aが地震等の揺れで破損することを防ぎ、目隠し板8の落下を防止することができる。また、本実施例の落下防止装置50は、コンクリートスラブ1と目隠し板8との連結部分に配置することで、天井裏の構造を煩雑にすることなくコンパクトな落下防止構造を構築することができる。
また、前記被吊り下げ側取付部52は、ワイヤー部材55を介して前記基端部51に揺動自在に備えている。
この場合、ワイヤー部材55の可撓性を利用して被吊り下げ側取付部52を前記基端部51に揺動自在に連結することで、被吊り下げ側取付部52の上下方向および水平方向の動きに対して、ワイヤー部材55が撓むことで、被吊り下げ側取付部52の動きが前記基端部51まで伝達することを防止する。
また、接続部59が第1の連結孔56及び第2の連結孔57に遊挿されていることで、抜け止め部材58は基端部51及び被吊り下げ側取付部52に対して相対的に動作可能に設けられており、このためワイヤー部材55の基端部51及び被吊り下げ側取付部52に対する動作に余裕が生じ、落下防止装置50の破損を防止することができる。
続いて図26は、本発明の第6実施例を示すものである。同図において、図1〜図25と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、吊りボルト2に揺れ止め装置70を備えている。
揺れ止め装置70は、吊りボルト2に取り付けられるボルト側固定金具71と、コンクリートスラブ1に取り付けされる天井側固定金具72と、ボルト側固定金具71と天井側固定金具72とを連結する金属製の線状部材、板状部材、筒状部材等の連結部材73とを備えている。また、ボルト側固定金具としては、例えば中央部分に吊りボルト2が挿通可能な貫通部(図示せず)を備えた金属製の板状部材からなり、この貫通部に吊りボルト2を挿通させた状態で、ナット74によって吊りボルト2に固定されるものである。
以上のように、吊りボルト2における落下防止装置50の上部に揺れ止め装置70を備えることにより、吊りボルト2の振動を抑え、アンカー部材2Aが地震等の揺れで破損することを防ぐことができる。
続いて図27及び図28は、本発明の第7実施例を示すものである。同図において、図1〜図26と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、吊りボルト2はレール部材80を介してコンクリートスラブ1に吊下げ保持されている。ここで、このレール部材80には、下部に長手方向に沿って連続して形成された溝部81を備えている。
そして、レール部材80をコンクリートスラブ1に取り付けるとともに、溝部81内に溝部81の開口寸法より大径なナット82を収容し、そのナット82に吊りボルト2を螺着して、このレール部材を介して吊りボルト2はコンクリートスラブ1に吊下げ保持される。
そして、吊りボルト2は、溝部81に沿ってスライド自在に吊下げ保持されているため、吊りボルト2を溝部81に沿ってスライドさせることで、この吊りボルト2に取り付けられている目隠し板8の位置を容易に移動させることができる。その後、好ましい位置まで移動させた目隠し板8に対して、吊りボルト2に揺れ止め装置70を装着して、吊りボルト2をコンクリートスラブ1にスライド不能に固定することで、目隠し板8の位置決めを容易に行うことができる。
本発明の第8実施例を示すものである。同図において、図1〜図26と同一部分には同一符号を付し、その共通する部分の詳細な説明は省略する。本実施例では、野縁受部材4と野縁部材5とを固定する構成について説明する。
ここで、野縁受部材4と野縁部材5とを連結する取付金具80は周知の連結するクリップ金具であり、クリップ金具80には、鉤状に形成され野縁受部材4の上面部と側面部に当接し野縁受部材4に係止可能な野縁受側係止部81と、野縁受側係止部81の下部を碇型に形成され、碇型部分の両側のフック状の箇所によって野縁部材5の野縁側溝部5Bに係止可能な野縁側係止部82とを備えている。
83は、クリップ金具80による野縁部材5と野縁受部材4との連結が解除されることを防止する連結金具である。
連結金具83は、金属製の板部材を折り曲げたものであり、上面部84と、上面部84の対向する一対の片より下方に延設された前面部85と後面部86とを備えた下方を開放したコ型の被覆部87と、前面部85の下端を前方へ延設した一方の延設部88に設けた第1の連結金具側係止部89と、後面部86の下端を後方へ延設した他方の延設部90に設けた第2の連結金具側係止部91とを備えている。
被覆部87の上面部84には、連結金具側雌螺子部92を設けるとともに、前面部85及び後面部86にはそれぞれビス留め用の貫通部87を備えている。
尚、連結金具側雌螺子部92は、バーリング加工により円筒状のフランジ部92Aを形成し、フランジ部92Aの内面に螺子溝を設けたものであり、フランジ部92Aは上向きに突設していても、下向きに突設していてもよいものとする。
第1の連結金具側係止部89は、野縁部材5の野縁側溝部5Bに挿入可能な一対の第1の連結金具側立ち上げ部93に対して、各第1の連結金具側立ち上げ部93の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて断面略J型に形成し、野縁側縁部94の内面に長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、野縁部材5を野縁側溝部5Bに沿ってスライド自在に保持可能に設けられている。
第2の連結金具側係止部91は、野縁部材5の野縁側溝部5Bに挿入可能な一対の第2の連結金具側立ち上げ部95に対して、各第2の連結金具側立ち上げ部95の先端を互いの距離が離れるよう外側に折り曲げて断面略J型に形成し、野縁側縁部94の内面に長手方向(図中、X方向)に沿って係合可能に設けられ、野縁部材5を野縁側溝部5Bに沿ってスライド自在に保持可能に設けられている。
尚、第1の連結金具側係止部89と第2の連結金具側係止部91はともに、被覆部87から所定間隔Lを空けて一方の延設部88と他方の延設部90に設けられたものである。
尚、第1の連結金具側係止部89及び第2の連結金具側係止部91については、被覆部87から直接一方の延設部88と他方の延設部90を設けたものでもよいものとする。
また、連結金具83としては、異なる幅寸法の野縁部材5にそれぞれに係止可能なように、被覆部87、一方の延設部88及び他方の延設部90の幅寸法を野縁側溝部5Bに対応させて幅狭に形成した幅狭型と、被覆部87、一方の延設部88及び他方の延設部90の幅寸法を野縁側溝部5Bに対応させて幅広に形成した幅広型とをそれぞれ用意している。
連結金具83の使用方法としては、野縁部材5と野縁受部材4とを連結しているクリップ金具80に対して、連結金具83を上方から被覆していき、被覆部87で野縁受側係止部81を被覆するとともに、第1の連結金具側係止部89と第2の連結金具側係止部91を野縁側縁部94に係合させる。
続いて、ボルトBを連結金具83の連結金具側雌螺子部92に螺合し、ボルトBの軸部分の先端が野縁受側係止部81の上部に当接した状態から、さらにボルトBを取付方向に回転させて、連結金具83をクリップ金具80に対して相対的に上昇させると、第1の連結金具側係止部89及び第2の連結金具側係止部91と野縁側縁部94との係合状態が強固なものとなる。その後、ビス留め用の貫通部87を介して、ピアスビス(図示せず)を連結金具83に打ち込んで、連結金具83をクリップ金具80及び野縁受部材4に固定する。このように連結部材83を用いることで、従来周知のクリップ金具80を用いた野縁部材5と野縁受部材4との接続箇所においても、野縁部材5と野縁受部材5との接続を強固なものとして、野縁部材5が野縁受部材4から離脱することを防止することができる。
ここで、第1の連結金具側係止部89と第2の連結金具側係止部91がともに、被覆部87から所定間隔Lを空けて一方の延設部88と他方の延設部90に設けられたことにより、クリップ金具80の野縁側係止部82と野縁側縁部94とが係合しているために、野縁側溝部5Bが弾性的に広がり難い被覆部87付近をさけて、第1の連結金具側係止部89と第2の連結金具側係止部91を野縁側縁部94を係合させるため、連結金具83を野縁部材5に容易に取り付けることを可能としている。
尚、本実施例の連結金具83は、クリップ金具80を用いずに連結金具83単独で野縁部材5と野縁受部材4とを連結することも可能であり、新設の天井構造などにおいては施工コストの軽減を図ることができる。
本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、目隠し板が取り付けられる天井裏構造物は、天井下地材や吊りボルトに限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、天井下地材の一例として野縁部材や野縁受部材を挙げたが、これ以外の天井下地材であってもよいものとする。さらに、取付金具21、溝部用金具28、落下防止装置33、50、揺れ止め装置70、連結金具83についても適宜変更可能である。また、上記各実施例では、天井面と天井面との間の隙間について説明したが、前記天井面と壁との間に設けた隙間や、前記天井面と照明や空調機などの設備機器との間に設けた隙間についても適用可能である。また、実施例3及び4に実施例1記載の目隠し板8を用いてもよい。