以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態である支持装置1の構成例を示す斜視図である。図2は、支持装置1が天井吊り下げ物100に組み付けられた状態を示す斜視図である。これらの図面に示すXYZ三次元座標系は互いに共通する座標系であり、他の図面においても同様である。支持装置1は、空気調和機や照明器具、ダクト、各種配管などの様々な天井吊り下げ物100を天井スラブなどの天井構造から吊り下げた状態で支持する装置である。この支持装置1は、床面作業で組み立てることが可能であり、しかも、後述するように防振ハンガーを内蔵する支持装置である。尚、本実施形態では、天井吊り下げ物100の一例として、天井設置タイプの空気調和機を例示する。
図1及び図2に示すように、支持装置1は、複数のフレーム部材11が矩形状に組み付けられることによって構成される支持枠体10と、支持枠体10の複数箇所に取り付けられ、天井吊り下げ物100を支持する支持部材30と、支持枠体10の複数箇所に取り付けられ、フレーム部材11と支持ボルト14とを連結する連結部材13と、支持ボルト14の上端部に設けられ、天井構造に取り付けられる取付部20と、を備える構成である。
例えば、支持枠体10は、4つのフレーム部材11a,11b,11c,11dによって構成される。このうち2つのフレーム部材11a,11bは互いにほぼ同一の長さであり、X方向に沿って平行に配置され、且つ、互いに所定間隔を隔てて配置される。また、別の2つのフレーム部材11c,11dは、互いにほぼ同一の長さであり、Y方向に沿って平行に配置され、且つ、互いに所定間隔を隔てて配置される。これら4つのフレーム部材11a,11b,11c,11dが矩形状に配置され、交差部が直交連結金具12によって連結されることにより、支持枠体10が構成される。例えば、X方向に沿って配置される2つのフレーム部材11a,11bは、Y方向に沿って配置される2つのフレーム部材11c,11dの上部に連結される。尚、図例では、支持枠体10が4つのフレーム部材11a,11b,11c,11dによって矩形状に構成される場合を示しているが、さらに別のフレーム部材がこれに組み付けられるものであっても構わない。
このような支持枠体10は、天井吊り下げ物100を支持するための部材である。例えば、フレーム部材11c,11dには、天井吊り下げ物100を支持する支持部材30が取り付けられる。この支持部材30は、支持枠体10から垂下する複数の連結ボルト31によって構成される。連結ボルト31は、例えば天井吊り下げ物100の四隅を支持可能なように支持枠体10に対して鉛直方向下向きに取り付けられる。一方、天井吊り下げ物100の四隅の側面には、連結ボルト31を取り付けるためのフランジ部101が設けられている。連結ボルト31は、そのフランジ部101の位置に合致するように支持枠体10から垂下しており、下端近傍位置がフランジ部101に取り付けられることにより、天井吊り下げ物100の側面を支持する。
尚、本実施形態では、支持部材30が支持枠体10の下方において天井吊り下げ物100を支持する場合を例示しているが、これに限られるものではない。例えば、支持部材30は、支持枠体10の上方において天井吊り下げ物100を支持する構成であっても構わない。この場合、連結ボルト31はフレーム部材11c,11dから上向きに設置されるため、フレーム部材11c,11dの上部に設置される2つのフレーム部材11a,11bはいずれも連結ボルト31が立設する位置よりも外側の位置でフレーム部材11c,11dに連結しておけば良い。
連結部材13は、フレーム部材11a,11bに取り付けられ、フレーム部材11a,11bと支持ボルト14とを連結し、支持ボルト14をフレーム部材11a,11bから鉛直方向上向きに立設させた状態に保持する。支持ボルト14は、支持枠体10を天井構造に対して連結するためのボルトである。この支持ボルト14の上端部には、天井構造に予め設けられるボルト部材に取り付けるための取付部20が設けられる。したがって、支持ボルト14は、取付部20がボルト部材に取り付けられることにより、天井構造に固定される。
このような連結部材13の内側には、後述するように防振ハンガーが組み込まれる。すなわち、連結部材13は、フレーム部材11a,11bの内側に配置される防振ハンガーを備える構成である。そのため、連結部材13が取り付けられるフレーム部材11a,11bは、他のフレーム部材11c,11dよりも幅方向の寸法が大きくなるように予め形成される。
図3は、フレーム部材11c,11dの構成例を示す図である。図3(a)に示すように、フレーム部材11c,11dは、リップ溝形鋼又は軽溝形鋼などの一対の形鋼42,42の平板部を、所定間隔を空けて互いに対向させた状態に連結した構成である。例えば、フレーム部材11c,11dは、図3(b)に示すように連結される。すなわち、フレーム部材11c,11dは、図3(b)に示すように、互いに同一長さを有する一対の形鋼42,42の両端部にボルト45を挿通する孔42a,42bを有しており、その孔42a,42bにボルト45が挿通され、ボルト45の先端にナット46が締着されることにより、一対の形鋼42,42が相互に連結固定される。このとき、一対の形鋼42,42の間においてボルト45の軸部に円筒状のスペーサ44を挿入することで、一対の形鋼42,42の間に所定間隔W1のスリット43を形成する(図3(a)参照)。つまり、スリット43の間隔W1は、スペーサ44の軸方向長さによって規定される。このようなスリット43は、フレーム部材11c、11dの長手方向の一端側から他端側まで形成される。また、スリット43の間隔W1は、支持ボルト14や連結ボルト31などのボルト部材を挿通可能な間隔である。
次に図4は、フレーム部材11a,11bの構成例を示す図である。図4に示すように、フレーム部材11a,11bは、フレーム部材11c,11dと同様に、リップ溝形鋼又は軽溝形鋼などの一対の形鋼42,42の平板部を、所定間隔を空けて互いに対向させた状態に連結した構成である。ただし、フレーム部材11a,11bを構成するスペーサ44は、フレーム部材11c,11dを構成するスペーサ44よりも軸方向長さが大きくなっている。そのため、フレーム部材11a,11bでは、一対の形鋼42,42の間に形成されるスリット43の間隔W2がフレーム部材11c,11dに形成されるスリット43の間隔W1よりも大きくなる。このスリット43の間隔W2は、一対の形鋼42,42の間のスペースに後述する防振ハンガーを収容することが可能な間隔として予め設計される。
上記のようなフレーム部材11a,11b,11c,11dが略矩形状に組み付けられることにより、支持枠体10は、図1に示すように、X方向に沿って延びる互いに平行な2本のスリット43と、Y方向に沿って延びる互いに平行な2本のスリット43とを有する。そのため、支持枠体10は、支持ボルト14が立設する位置や連結ボルト31が垂下する位置をそれらスリット43に沿って調整することが可能である。尚、上記のように構成されるフレーム部材11a,11b,11c,11dは、例えばアルミ製の形鋼42,42を用いて構成される。アルミ製の形鋼42,42は軽量であるため、支持枠体10を作成する際の作業効率を向上させることができると共に、支持装置1を天井構造に取り付ける際の作業効率も向上させることができる。
図5は、幅方向の寸法が異なる2つのフレーム部材11a,11cを互いに直交させた状態で連結する直交連結金具12の構成例を示す図である。図5では、一例としてフレーム部材11aと11cとの連結例を示しているが、他の交差部の連結態様もこれと同様である。直交連結金具12は、2つのフレーム部材11a,11cを上下方向に重ね合わせた状態で、それら2つのフレーム部材11a,11cを直交させた状態に連結する金具である。この直交連結金具12は、2つのフレーム部材11a,11cの間に配置される直交保持金具52と、上側のフレーム部材11aの外周面において直交保持金具52の反対側(フレーム部材11aの上側)に配置される第1金具51と、下側のフレーム部材11cの外周面において直交保持金具52の反対側(フレーム部材11cの下側)に配置される第2金具53とを備えている。
直交保持金具52は、矩形状の平板部52aと、平板部52aから直角に折り曲げられた一対の第1係合部52b,52cと、平板部52aから第1係合部52b,52cとは異なる方向に向かって直角に折り曲げられた一対の第2係合部52d,52eとを有する。平板部52aは、2つのフレーム部材11a,11cの間に配置される。また平板部52aの中央には、ボルト54を挿通可能な孔52hが設けられる。
第1係合部52b,52cは、平板部52aの互いに対向する一対の辺からフレーム部材11aの側面に沿うように立設した状態に設けられる。これら第1係合部52b,52cは、フレーム部材11aの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部52aから立設している。そのため、平板部52aの上面側にフレーム部材11aの下面が接触するように配置されると、第1係合部52b、52cは、フレーム部材11aの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
また第2係合部52d,52eは、第1係合部52b,52cが設けられた辺とは異なる一対の辺からフレーム部材11cの側面に沿うように、第1係合部52b,52cとは反対側に立設した状態に設けられる。これら第2係合部52d,52eは、フレーム部材11cの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部52aから立設している。そのため、平板部52aの下面側にフレーム部材11cの上面が接触するように配置されると、第2係合部52d,52eは、フレーム部材11cの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。尚、本実施形態では、フレーム部材11a,11cの幅寸法が互いに異なるため、平板部52aが長方形となり、第1係合部52b,52cの間隔は、第2係合部52d,52eの間隔よりも大きくなる。
第1金具51は、矩形状の平板部51aと、平板部51aから直角に折り曲げられた一対の係合部51b,51cとを有する。平板部51aは、略長方形であり、一方のフレーム部材11aの外周面において直交保持金具52が設けられる面とは反対側の面(フレーム部材11aの上面)に接触する状態に配置される。また平板部51aの中央には、ボルト54を挿通可能な孔51hが設けられる。
係合部51b,51cは、平板部51aの互いに対向する一対の辺からフレーム部材11aの側面に沿うように立設した状態に設けられる。これら係合部51b,51cは、フレーム部材11aの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部51aから下方に向かって立設している。そのため、平板部51aの下面側にフレーム部材11aの上面が接触するように配置されると、係合部51b,51cは、フレーム部材11aの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
第2金具53も、第1金具51と同様の構成である。具体的に説明すると、第2金具53は、矩形状の平板部53aと、平板部53aから直角に折り曲げられた一対の係合部53b,53cとを有する。平板部53aは、略正方形であり、フレーム部材11cの外周面において直交保持金具52が設けられる面とは反対側の面(フレーム部材11cの下面)に接触する状態に配置される。また平板部53aの中央には、ボルト54を挿通可能な孔53hが設けられる。
係合部53b,53cは、平板部53aの互いに対向する一対の辺からフレーム部材11cの側面に沿うように立設した状態に設けられる。これら係合部53b,53cは、フレーム部材11cの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部53aから上方に向かって立設している。そのため、平板部53aの上面側にフレーム部材11cの下面が接触するように配置されると、係合部53b,53cは、フレーム部材11cの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
2つのフレーム部材11a,11cに対し、上記のように、第1金具51、直交保持金具52及び第2金具53が配置されると、3つの孔51h,52h,53hは、同軸上に位置し、しかも各フレーム部材11a,11cに設けられたスリット43の位置に合致する。その状態で、ボルト54を、例えば第1金具51に設けられた孔51aから挿入すると、ボルト54の先端が第2金具53に設けられた孔53hから突出した状態となる。その突出したボルト54の先端部分にナット55を取り付けて締着することにより、直交連結金具12は、2本のフレーム部材11a,11cを互いに直交させた状態に連結固定する。特にボルト54とナット55とが締着されると、直交保持金具52の第1係合部52b,52cがフレーム部材11aの側面と接合し、且つ、第2係合部52d,52eがフレーム部材11cの側面と接合した状態に固定されるので、2本のフレーム部材11a,11cは、ボルト54を中心に回動しない状態となり、互いの直交する状態が良好に維持される。
また、ボルト54とナット55による締着位置は、フレーム部材11aに設けられたスリット43に沿ってX方向へ移動させることが可能であると共に、フレーム部材11cに設けられたスリット43に沿ってY方向へ移動させることも可能である。そのため、ボルト54とナット55との締着位置をX方向及びY方向へ移動させることにより、支持枠体10の平面形状を正方形や長方形に変形させることができると共に、支持枠体10の矩形サイズを適宜調整することも可能である。したがって、支持装置1が支持する天井吊り下げ物100の形状やサイズに適合する支持枠体10を施工現場で簡単に作成することができる。
図6は、フレーム部材11a,11bに対して支持ボルト14を連結する連結部材13の構成例を示す図である。連結部材13は、支持ボルト14の下端部分に防振ハンガー63を取り付け、その防振ハンガー63を介して支持ボルト14とフレーム部材11a,11bとを相互に連結する金具である。この連結部材13は、フレーム部材11aの上面側に配置される第1部材61と、フレーム部材11aの下面側に配置される第2部材62と、第1部材61及び第2部材62の間の空間に設置される防振ハンガー63とを備えて構成される。
第1部材61は、矩形状の平板部61aと、平板部61aの四辺が下方に折り曲げられて形成される4つの係合部61b,61c,61d,61eとを有する。また、平板部61aには、フレーム部材11aの長手方向に沿うようにほぼ等間隔で配置される3つの孔61f,61g,61hが設けられる。これら3つの孔61f,61g,61eは、例えば支持ボルト14やボルト67を挿通可能な同サイズの孔として形成される。
係合部61b,61cは、平板部61aの互いに対向する一対の辺からフレーム部材11aの側面に沿うように下方に向かって立設した状態に設けられる。これら一対の係合部61b,61cは、フレーム部材11aの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部61aから立設している。そのため、平板部61aの下面側にフレーム部材11aの上面が接触するように配置されると、係合部61b,61cは、フレーム部材11aの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
また、係合部61d,61eは、係合部61b,61cが設けられた辺とは異なる一対の辺からフレーム部材11aの側面に沿うように下方に向かって立設した状態に設けられる。これら係合部61d,61eは、平板部61aの中央部分のみに設けられ、両端部には設けられていない。そして係合部61d,61eのY方向の長さは、フレーム部材11aにおける一対の形鋼42の平板部の間隔(スリット43の間隔W2)にほぼ等しい。そのため、平板部61aの下面側にフレーム部材11aの上面が接触するように配置されると、係合部61d,61eは、フレーム部材11aにおける一対の形鋼42の平板部と接合する。したがって、係合部61d,61eは、フレーム部材11aのスリット43の間隔W2を規定する機能も有している。
第2部材62は、第1部材61と共に、フレーム部材11aを挟み込む部材である。この第2部材62は、矩形状の平板部62aと、平板部62aの四辺が上方に折り曲げられて形成される4つの係合部62b,62c,62d,62eとを有する。また、平板部62aには、フレーム部材11aの長手方向に沿うようにほぼ等間隔で配置される3つの孔62f,62g,62hが設けられる。これら3つの孔62f,62g,62eのうち、両端に位置する2つの孔62f,62eは、例えば支持ボルト14やボルト67を挿通可能な同サイズの孔として形成される。これに対し、平板部62aの中央に位置する孔62gは、2つの孔62f,62eよりも大径の孔として形成され、後述するリング部材65の直径よりも大きい孔である。
係合部62b,62cは、平板部62aの互いに対向する一対の辺からフレーム部材11aの側面に沿うように上方に向かって立設した状態に設けられる。これら一対の係合部62b,62cは、フレーム部材11aの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部62aから立設している。そのため、平板部62aの上面側にフレーム部材11aの上面が接触するように配置されると、係合部62b,62cは、フレーム部材11aの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
また、係合部62d,62eは、係合部62b,62cが設けられた辺とは異なる一対の辺からフレーム部材11aの側面に沿うように上方に向かって立設した状態に設けられる。これら係合部62d,62eは、平板部62aの中央部分のみに設けられ、両端部には設けられていない。そして係合部62d,62eのY方向の長さは、フレーム部材11aにおける一対の形鋼42の平板部の間隔(スリット43の間隔W2)にほぼ等しい。そのため、平板部62aの上面側にフレーム部材11aの下面が接触するように配置されると、係合部62d,62eは、フレーム部材11aにおける一対の形鋼42の平板部と接合する。したがって、係合部62d,62eは、第1部材61の係合部61d,61eと同様に、フレーム部材11aのスリット43の間隔W2を規定する機能を有している。
第1部材61の中央の孔61gには、支持ボルト14が取り付けられる。例えば、支持ボルト14は、第1部材61の上方から孔61gに差し込まれる。そして第1部材61の下面側において、支持ボルト14に防振ハンガー63が取り付けられる。防振ハンガー63は、弾性部材であるコイルスプリング64と、コイルスプリング64よりも大径でありコイルスプリング64の下面を支持するリング部材65と、支持ボルト14の先端に装着されるナット66とを有している。
コイルスプリング64の内径は、支持ボルト14の外径よりも大きい。そのため、コイルスプリング64の内側に支持ボルト14を挿通することができる。またコイルスプリング64の外径は、孔61gよりも大きい。そのため、コイルスプリング64の上端部は平板部61aの下面側において孔61gの周縁部に当接する。
リング部材65の内径は、支持ボルト14の外径よりも大きい。そのため、リング部材65の内側に支持ボルト14を挿通することができる。またリング部材65の外径は、コイルスプリング64の外径よりも大きい。そのため、コイルスプリング64の下端部はリング部材65によって支持される。
支持ボルト14の先端には、上記のようなコイルスプリング64とリング部材65とが装着された後、ナット66が取り付けられる。ナット66は、リング部材65の下面と接触し、支持ボルト14に装着されたコイルスプリング64とリング部材65とを支持する。
また、2つのボルト67は、第1部材61の2つの孔61f,61hに挿通され、さらに第2部材62の2つの孔62f,62hにも挿通される。そして第2部材62の下面から突出した状態となる2つのボルト67の先端には、それぞれナット68が装着される。このナット68が締め付けられることにより、第1部材61及び第2部材62がフレーム部材11aを挟み込んだ状態に固定される。このとき、フレーム部材11aにおいて幅広のスリット43が設けられた空間には、防振ハンガー63が設置された状態となる。
図7は、フレーム部材11aに取り付けられた連結部材13の内部構造を示す第1の断面図である。また、図8は、フレーム部材11aに取り付けられた連結部材13の内部構造を示す第2の断面図である。図7及び図8に示すように、連結部材13は、フレーム部材11aの構成要素である一対の形鋼42の内側において防振ハンガー63を配置し、その防振ハンガー63を介して支持ボルト14をフレーム部材11aに連結している。つまり、コイルスプリング64の上端が第1部材61の下面側に接触した状態となるため、支持ボルト14は、コイルスプリング64を介してフレーム部材11aを支持するようになる。このような支持構造は、天井吊り下げ物100の振動をコイルスプリング64が吸収するため、支持ボルト14には振動が伝播しない構造となり、良好な防振性能が発揮される。また、このような支持構造によれば、フレーム部材11aの上部に防振ハンガーを別途配置する必要がなくなるため、フレーム部材11aの上部空間を有効活用できるようになる。また、本実施形態の支持構造によれば、防振ハンガー63を外観上目立たないように隠蔽できるという利点もある。
次に天井構造に取り付けられる取付部20について説明する。図9は、取付部20の構成例を示す拡大図である。図9に示すように、取付部20は、支持ボルト14の上端部に装着される部材として、概略コ字状の天井設置金具21と、天井設置金具21の下側に装着されるナット部材22と、天井設置金具21の上側に装着されるナット23との3つの部材を備えている。
天井設置金具21は、平板部70と、平板部70の両側において互いに平行な状態で立設する一対の側板部71とを有する。例えば、平板部70は長方形状に形成される。また、平板部70には、円形状の第1の孔73と、その第1の孔73に隣接し、平板部70の長手方向に沿って形成される長孔状の第2の孔74とが形成される。第1の孔73は、例えば支持ボルト14を挿通する孔であり、支持ボルト14の外径よりも大きい内径の孔である。第2の孔74は、天井構造に取り付けられるアンカーのボルトやインサートに装着されるボルトなどのボルト部材を挿通するための取付孔であり、それらボルト部材の直径よりも大きい内幅の長孔である。
尚、上記とは反対に、第1の孔73に対して天井構造に取り付けられるアンカーのボルトやインサートに装着されるボルトなどを挿通し、第2の孔74に対して支持ボルト14を挿通するようにしても良い。また、第1の孔73と第2の孔74は、必ずしも区分けした状態に形成する必要はないため、第1の孔73と第2の孔74とを連通させた長孔状の1つの取付孔を形成し、その1つの取付孔に対し、天井構造に取り付けられるボルト部材と共に、支持ボルト14を挿通するようにしても良い。
一対の側板部71は、平板部70の長手方向において中央部よりも両端部の高さが高くなっており、この両端部が天井スラブなどの天井構造に対して当接する接合部72として形成される。側板部71の長手方向中央部が両端部の接合部72よりも低くなることにより、接合部72が天井構造に当接した状態であっても高さの低い中央部を窓として天井設置金具21の内側の状態を目視で確認することが可能であるという利点がある。
また、一対の側板部71に設けられる接合部72の高さHは、少なくともナット23の高さ寸法以上であれば良い。ただし、天井設置金具21がインサートに装着されるボルトに取り付けられることを想定すれば、接合部72の高さHは、天井構造から下方に突出した状態となるインサートの高さ寸法よりも高くなるように予め設計しておくことが好ましい。
ナット部材22は、軸方向に所定長さを有するロングナットとして構成され、支持ボルト14の雄螺子と螺合する雌螺子を有している。天井設置金具21は、ナット部材22が支持ボルト14に取り付けられた状態で支持ボルト14の先端部(上端部)に装着される。支持ボルト14が挿通される孔73は支持ボルト14よりも大きいため、天井設置金具21は、孔73に対して支持ボルト14が挿通された状態になると、支持ボルト14の軸回りに回動可能な状態となる。そして天井設置金具21が支持ボルト14から抜け落ちることを防止するため、支持ボルト14の先端(先端)にはナット23が取り付けられる。尚、ナット23は、支持ボルト14の先端から抜け落ちないようにするための緩み止め機能や抜け止め機能を有するものを用いることが好ましい。
上記のように取付部20は、支持ボルト14の先端部(上端部)に設けられ、ナット部材22とナット23とで天井設置金具21を挟み込むように支持ボルト14に装着される。ナット部材22が天井設置金具21の下面に対してきつく締着されていない状態のとき、上述したように天井設置金具21は、支持ボルト14の軸回りに回動可能である。これに対し、ナット部材22が天井設置金具21の下面に対して締着された状態になると、天井設置金具21はナット部材22とナット23とに挟まれた状態で固定されるため、支持ボルト14の軸回りに回転しない固定状態となる。
次に上記のように構成される支持装置1を用いて天井吊り下げ物100を天井構造に取り付けるための施工方法について説明する。支持装置1を用いて天井吊り下げ物100を天井構造に取り付ける場合、まず施工現場において支持装置1を作成する支持装置作成工程が行われる。この支持装置作成工程では、作業者は、複数のフレーム部材11a,11b,11c,11dを組み付けて支持枠体10を作成し、その支持枠体10のフレーム部材11a,11bの複数箇所に連結部材13を設置し、フレーム部材11a,11bから複数の支持ボルト14を立設させた状態に取り付ける。このとき、フレーム部材11a,11bの内側に防振ハンガー63を設置し、支持ボルト14の先端を防振ハンガー63に連結する。作業者は、このような支持装置作成工程の作業を床面作業として行うことができるため、効率的に支持装置1を組み立てることができる。
支持装置1の作成が完了すると、次に支持装置1の連結ボルト31に対して天井吊り下げ物100を取り付ける天井吊り下げ物取付工程が行われる。例えば、作業者は、上記のようにして作成される支持装置1の連結ボルト31に対し、天井吊り下げ物100を取り付けることにより、支持装置1に対して天井吊り下げ物100を固定する。作業者は、このような作業も床面作業として行うことができる。そのため、効率的に支持装置1と天井吊り下げ物100とを組み付けることができる。その結果、図2に示すように、支持装置1と天井吊り下げ物100とが床面作業によって一体的に組み付けられた状態となる。尚、上述した支持装置作成工程と天井吊り下げ物取付工程とを別々の工程として行うのではなく、1つの工程として同時に行うようにしても良い。
支持装置1と天井吊り下げ物100とが一体的に組み付けられると、次に天井吊り下げ物100と支持装置1とを天井構造の近傍位置まで同時に持ち上げる持ち上げ工程が行われる。例えば、作業者は、天井構造に対する設置対象位置の真下に昇降機を設置し、その昇降機の昇降台に、天井吊り下げ物100が取り付けられた支持装置1を載置する。そして作業者は、昇降機を作動させることにより、支持装置1を天井構造の近傍位置まで持ち上げる。天井構造の設置対象位置には、アンカーやインサートが予め設けられている。そのため、持ち上げ工程では、支持装置1の上部に設けられた取付部20が天井構造に設けられているアンカーやインサートの位置に適合するように位置調整を行いながら支持装置1を持ち上げていく。このような持ち上げ工程では、作業者は途中から昇降台に乗った状態で高所作業を開始することとなる。
支持装置1が天井構造の近傍位置まで持ち上がると、次に支持装置1を天井構造に固定する天井構造固定工程が行われる。すなわち、作業者は、支持装置1の上部に設けられた取付部20を天井構造に設けられたアンカーやインサートに固定するのである。天井構造に設けられるボルト部材は、通常、支持ボルト14の位置に合致しない。特に天井吊り下げ物100を支持する支持装置1には複数の支持ボルト14が設けられるため、それらの複数の支持ボルト14の各位置が、天井構造に予め設けられるボルト部材4の位置に合致するとは限らない。一方、支持ボルト14の上端部には天井設置金具21が取り付けられており、天井設置金具21は支持ボルト14の軸回りに回動可能である。そのため、支持ボルト14の位置がアンカーやインサートの位置から多少離れていたとしても、天井設置金具21を支持ボルト14の軸回りに回動させることにより、天井設置金具21に設けられた第2の孔74(取付孔)の位置をボルト部材の位置に合わせることができる。そのため、作業者は、天井設置金具21を支持ボルト14の軸回りに回動させることによって第2の孔74(取付孔)の位置をアンカーのボルト部材4の位置に適合させ、その第2の孔74(取付孔)にボルト部材し、ボルト部材の先端にナットを締着して支持装置1を天井構造に固定する。このとき、作業者は、ナット部材22を締め付けて天井設置金具21と支持ボルト14とを固定する。作業者は、このような作業を複数の支持ボルト14のそれぞれについて行うことにより、複数の支持ボルト14の上端部を天井構造に固定することができる。
つまり、支持装置1を天井構造に固定する際には、天井構造に設けられたボルト部材と支持ボルト14とが位置ずれしている場合であっても、支持ボルト14の上端に設けられた天井設置金具21が支持ボルト14とは異なる位置でボルト部材を連結することが可能である。そのため、ボルト部材と支持ボルト14との間に多少の位置ずれがあっても支持ボルト14をボルト部材に固定することができる。したがって、作業者は、床面作業で支持装置1を作成するときには、複数の支持ボルト14の位置を、天井構造におけるボルト部材4の位置に対して完全に一致させる必要がないため、効率良く支持装置1を作成することができる。尚、このような天井構造固定工程は、高所作業として行われることは勿論である。
図10は、天井吊り下げ物100を支持する支持装置1が天井構造3に設置された状態を示す図である。上述した天井構造固定工程が終了すると、支持装置1は、図10に示す状態となる。すなわち、支持装置1は、天井設置金具21を介して天井構造3に固定された状態となる。このような天井構造固定工程では、吊りボルトに対して防振ハンガーを取り付ける作業を行う必要がない。また、支持枠体10と天井構造3との間の高さ寸法Hが小さい場合であっても、そのような狭い空間に防振ハンガーを設置する必要がないため、作業効率が向上する。
また図10に示すように支持装置1が天井構造3に固定されると、作業者は、必要に応じて、天井吊り下げ物100の位置を微調整する。すなわち、天井構造3に固定された複数の支持ボルト14部は、連結部材13によってフレーム部材11a,11bに連結されている。そのため、連結部材13を緩めてフレーム部材11a,11bをX方向に移動させれば、天井吊り下げ物100の設置位置をX方向に移動させることができる。また、天井吊り下げ物100を支持する連結ボルト31の上端部は、支持枠体10のY方向に延びるフレーム部材11c,11dに連結されているため、連結ボルト31の設置位置をY方向に移動させれば、天井吊り下げ物100の設置位置をY方向に移動させることができる。この他にも直交連結金具12の位置を微調整することも可能である。したがって、作業者は、XY平面内における天井吊り下げ物100の位置を簡単に微調整することができる。
尚、上述した施工方法では、支持装置1に対して天井吊り下げ物100を床面作業で予め組み付けて一体化し、天井構造の近傍位置まで持ち上げる際に支持装置1と天井吊り下げ物100とを一体的に持ち上げる場合を例示した。しかし、これに限られるものではなく、例えば支持装置1を先に天井構造に固定し、その後、支持装置1とは別に天井吊り下げ物100を持ち上げて支持装置1の連結ボルト31に対して天井吊り下げ物100を取り付けるようにしても良い。そのような施工方法では、連結ボルト31に天井吊り下げ物100が連結されていない状態で連結ボルト31の位置調整を行うことができるため、比較的簡単に位置調整を行うことができるという利点がある。
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態で説明したものに限られない。すなわち、本発明は、上記実施形態で説明した構成以外にも種々の変形例を適用することが可能である。
例えば上記実施形態では、複数のフレーム部材11が矩形状の支持枠体10を構成し、その支持枠体10が天井吊り下げ物100を支持する構成例について説明した。しかし、支持装置1は、必ずしも矩形状の支持枠体10を備えるものに限られない。例えば、天井吊り下げ物100がフレーム部材11に取り付けられ、そのフレーム部材11から支持ボルト14が立設するように配置される場合には、支持ボルト14とフレーム部材11との連結部分に、上述した連結部材13を配置することでフレーム部材11の内側に防振ハンガー63を設けることができる。したがって、本発明は、少なくともフレーム部材11の内側に配置される防振ハンガー63を備えるものであれば良い。
また上記実施形態では、フレーム部材11の一構成例として、リップ溝形鋼又は軽溝形鋼などの一対の形鋼42,42の平板部を、所定間隔を空けて互いに対向させた状態に連結した構成である場合を例示した。しかし、フレーム部材11は、そのような構成に限定されるものではない。例えば、フレーム部材11は、角柱状の鋼材を利用し、互い対向する2つの面に対して貫通するスリット43を形成したものであっても構わない。また、その他の構造のフレーム部材11を利用しても良い。
また上記実施形態では、防振ハンガー63にコイルスプリング64が用いられる場合を例示した。しかし、防振ハンガー63に用いる部材は、コイルスプリング64に限られず、他の弾性部材を用いても構わない。