以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態である支持装置1の構成例を示す斜視図である。図2は、支持装置1の第1部材11(又は第2部材12)を拡大して示す図である。図3は、支持装置1を天井吊り下げ物100に取り付けた状態を示す斜視図である。さらに図4は、支持装置1を天井吊り下げ物100に取り付けた状態の側面図及び正面図である。これら各図に示すXYZ座標系は互いに共通する座標系であり、また他の図に示すXYZ座標系もこれと共通する座標系である。
図1に示す支持装置1は、空気調和機や照明器具、ダクト、各種配管などの様々な天井吊り下げ物100を天井スラブなどの天井構造から吊り下げた状態で支持するための装置であり、天井吊り下げ物100を支持した状態における耐震性能を向上させる装置である。尚、本実施形態では、天井吊り下げ物100の一例として、天井設置タイプの隠蔽式空気調和機を例示する。
吊り下げ対象となる天井吊り下げ物100は、例えば直方体などの箱形形状であり、その周囲に、正面100a、背面100d、右側面100b、左側面100cを有している。正面100aと背面100dは互いに平行である。また右側面100bと左側面100cは互いに平行である。この天井吊り下げ物100は、背面100dから空気を吸い込み、正面100aから温度調整された空気を吹き出すように構成される。例えば、天井吊り下げ物100の背面100dには図示を省略する吸気ユニットが装着されていても良いし、また正面側100aには図示を省略する吹出ユニットが装着されていても構わない。
また、天井吊り下げ物100の左右両側面100b,100cのうち少なくとも一方の側面100cには、空気調和機の内部のメンテナンスを行い易くするための取り外し可能な扉104,105が設けられる。尚、扉105には、冷媒配管やドレン配管の接続口が設けられると共に、電源コードなどを挿通するための孔なども設けられる。
さらに、天井吊り下げ物100の左右両側面100b,100cには、横方向に突出するように設けられる取付部101が設けられる。取付部101は、吊りボルト5などのボルトを取り付けるためのものであり、天井吊り下げ物100の側面100b,100cから水平方向に突出するプレート部材に対してボルトを挿通するための孔やスリットが設けられた構成である。例えば右側面100bには2つの取付部101がY方向に所定間隔で設けられると共に、左側面100cにも2つの取付部101がY方向に所定間隔で設けられる。右側面100bに設けられる2つの取付部101と、左側面100cに設けられる2つの取付部101とは、天井吊り下げ物100の中心線(正面100a及び背面100dの中心を結ぶ線)を挟んで互いに対称な位置に設けられる。また、これらの取付部101は、天井吊り下げ物100の左右両側面100b,100cの下部の所定高さ位置(下端近傍位置)に設けられている。
一方、支持装置1は、天井吊り下げ物100の左右両側面100b,100cに設けられている取付部101に連結され、天井吊り下げ物100を支持するように構成される。支持装置1は、左右両側面100b,100cのうちの一方の側面100bにおいて横方向に突出する一対の取付部101に連結される第1部材11と、他方の側面100cにおいて横方向に突出する一対の取付部101に連結される第2部材12と、第1部材11と第2部材12とを相互に連結する連結部材13とを備えている。
第1部材11及び第2部材12はいずれも、概略コ字状(門型)の部材であり、一対の柱部15,15と、一対の柱部15,15の上端部を水平方向に連結する梁部16とを有している。例えば図2に示すように、第1部材11及び第2部材12は、概略L型のアングル鋼材をコ字状に組み付けて構成される。第1部材11及び第2部材12の母材をアングル鋼材とすることにより、第1部材11及び第2部材12の剛性を吊りボルト5よりも高くすることができ、耐震性能を向上させることができる。
柱部15,15は、X方向に平行なプレート15aとY方向に平行なプレート15bとを有し、Z方向に延びる概略断面L型形状の柱部材である。また、柱部15,15は、プレート15aの先端部分をY方向に折り曲げることにより天井吊り下げ物100の側面100b,100cに当接する当接部15cを有している。柱部15,15の下部には、水平なプレート部材17が設けられる。プレート部材17には、ボルト18を挿通するための孔が設けられ、その孔にボルト18が予め取り付けられる。例えばボルト18は、天井吊り下げ物100の取付部101に取り付け可能なサイズのボルトであり、ナット18aによりプレート部材17から落下しないように保持される。したがって、ボルト18は、柱部15,15の下端部から下方に突出した状態に保持される。尚、ボルト18は、柱部15,15の下端部に予め固定されていても構わない。このような柱部15,15は、プレート部材17からの高さHが所定高さとなるように予め形成される。
柱部15,15は、当接部15cが天井吊り下げ物100の側面に当接するように配置され、プレート15bが一定間隔を隔てて天井吊り下げ物100の側面100b,100cと平行な状態となるように配置される。そのため、柱部15,15は、天井吊り下げ物100の側面100b,100cとプレート15bとの間に一定の空間を形成するため、天井吊り下げ物100の側面100b,100cに設けられている扉104,105を開閉可能な状態としている。そのため、天井吊り下げ物100に支持装置1が取り付けられている状態であっても、天井吊り下げ物100のメンテナンス作業を行うことができるという利点がある。
梁部16は、一対の柱部15,15の上端部を相互に連結した状態に設けられる。梁部16は、一対の柱部15,15を、天井吊り下げ物100の側面に設けられる一対の取付部101の間隔と等しい間隔で保持する。梁部16は、水平方向に配置されるプレート16aと、垂直方向に配置されるプレート16bとを有し、それらがY方向に延びる概略断面L型形状の梁部材である。梁部16は、水平方向に配置されるプレート16aの両端近傍位置に、吊りボルト5などのボルトを装着可能な装着部19を有している。装着部19は、例えば梁部16の長手方向(Y方向)に沿って設けられる長孔やスリットなどによって構成される。装着部19を長孔やスリットで構成することにより、装着部19に対して吊りボルト5などのボルトを装着する際の位置をY方向に沿って微調整することができるという利点がある。また梁部16は、垂直方向に配置されるプレート16bの両端近傍位置に、連結部材13を取り付けるための連結部16cが設けられる。連結部16cは、例えば、ボルトを挿通可能な孔として設けられる。
上記のような第1部材11及び第2部材12は、一対の柱部15,15の下端部から一対のボルト18が垂下した状態となる。それら一対のボルト18の間隔は、天井吊り下げ物100の側面100b,100cに設けられている一対の取付部101の間隔と等しい。そのため、図1に示すように、第1部材11及び第2部材12を、天井吊り下げ物100の側面100b,100cに配置すれば、一対の柱部15,15から垂下する一対のボルト18を、各側面100b,100cに設けられている一対の取付部101に取り付けることが可能である。具体的には、取付部101の孔やスリットにボルト18を挿入し、取付部101の下方に突出するボルト18の先端にナット25を締着することにより、第1部材11及び第2部材12の下端部を取付部101に固定することができる。
図3に示すように、第1部材11及び第2部材12が取付部101に固定されたとき、第1部材11及び第2部材12の梁部16の少なくとも一部(特に連結部16cが設けられている部分)は、天井吊り下げ物100の上面よりも更に上側に位置する状態となることが好ましい。そのため、柱部15の高さH(図2参照)は、天井吊り下げ物100の取付部101から上面までの高さよりも高くなるように予め設計される。
そして天井吊り下げ物100の上面よりも上側に位置する梁部16の連結部16cに対し、連結部材13を取り付けることで第1部材11と第2部材12とを相互に連結する。本実施形態における連結部材13は、少なくとも両端部に雄螺子が形成された棒状体21によって構成される。例えば棒状体21は、長手方向の全体に亘って雄螺子が形成されたボルトであっても構わない。そのような連結部材13を第1部材11及び第2部材12の連結部16cに差し込み、両端部にナットを締着することで、第1部材11及び第2部材12を相互に連結する。連結部材13の両端部に装着するナットをきつく締め付けることで、連結部材13は、第1部材11及び第2部材12の梁部16,16を互いに引き寄せた状態で固定することができる。したがって、第1部材11及び第2部材12は、図4(b)に示すように、当接部15cを天井吊り下げ物100の側面100b,100cに密着させた状態に固定される。
上述したように天井吊り下げ物100に支持装置1を組み付ける作業は、施工現場において床面作業として行うことができる。つまり、天井吊り下げ物100を天井構造の近傍位置へ持ち上げる前に、天井吊り下げ物100に対して支持装置1を予め組み付けておくことが可能である。そのため、天井吊り下げ物100に対して支持装置1を簡単に取り付けることができる。そして支持装置1を取り付けた後、支持装置1が取り付けられた天井吊り下げ物100を天井構造の近傍位置へ持ち上げ、梁部16の水平なプレート16aに設けられている装着部19に対して吊りボルト5などのボルトを装着して固定する。
図5は、支持装置1が組み付けられた天井吊り下げ物100を天井構造9に取り付けた例を示す図である。図5に示すように、天井スラブなどの天井構造9には、支持装置1の装着部19に対応する位置に4本の吊りボルト5が予め設けられている。それら4本の吊りボルト5は、支持装置1の梁部16に設けられた装着部19に装着され、支持装置1及び天井吊り下げ物100を所定の高さ位置で吊り下げた状態に支持する。支持装置1の梁部16は、天井吊り下げ物100の上面よりも高い位置にある。そのため、吊りボルト5の先端部(下端部)は、天井吊り下げ物100の上面よりも高い位置で支持装置1に連結される。
また互いに隣接する一対の吊りボルト5の間には、斜め補強材となるブレース6が取り付けられる。すなわち、吊りボルト5の上端近傍位置及び下端近傍位置にブレース6を連結するためのブレース連結金具7が取り付けられ、それらのブレース連結金具7にブレース6の端部が連結される。また2本のブレース6が交差する部分には交差連結金具8が取り付けられ、2本のブレース6の中央部分を相互に固定している。
上記のように一対の吊りボルト5の間にクロス配置されるブレース6は、吊りボルト5を補強する効果を発揮する。具体的には、吊りボルト5の上端近傍位置及び下端近傍位置に配置される2つのブレース連結金具7の間において吊りボルト5が振動することを抑制する。そして本実施形態では、吊りボルト5の下端部が支持装置1に連結されており、その下端部の近傍位置にブレース連結金具7を取り付けて吊りボルト5を補強することが可能である。それ故、支持装置1に連結される吊りボルト5は、上端部及び下端部のほぼ全域に亘ってブレース6による補強効果を得ることができ、従来よりも優れた耐震性能を発揮する。言い換えると、支持装置1は、天井吊り下げ物100の側面に対して固定されており、天井吊り下げ物100の上面よりも高い位置で吊りボルト5に連結することが可能であるため、吊りボルト5の下部においてブレース6による補強効果が得られない部分を無くすことができ、それによって優れた耐震性能を発揮させるのである。
以上のように、本実施形態の支持装置1は、吊りボルト5よりも剛性の高い第1部材11及び第2部材12を天井吊り下げ物100の側面100b,100cに取り付け、その第1部材11及び第2部材12の上端部に吊りボルト5の先端(下端部)を連結することが可能である。そのため、本実施形態の支持装置1は、地震発生時における天井吊り下げ物100の振動を従来よりも効果的に抑制することができるという利点がある。
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態では、第1実施形態で説明した支持装置1の上部に矩形状の枠体2を設けた構成例ついて説明する。
図6は、本実施形態における支持装置1の構成例を示す斜視図である。本実施形態の支持装置1は、第1実施形態で説明した支持装置1の上部に対し、更に矩形状の枠体2を設けた構成である。枠体2は、4つのフレーム材30を矩形状に組み付けることにより構成される。すなわち、枠体2は、Y方向と平行に配置される2つのフレーム材30a,30cと、X方向と平行に配置される2つのフレーム材30b,30dとが互いに直交するように配置されることにより構成される。
図7は、枠体2を構成するフレーム材30の構成例を示す図である。図7(a)に示すように、フレーム材30は、リップ溝形鋼又は軽溝形鋼などの一対の形鋼41,42の平板部を、所定間隔を空けて互いに対向させた状態に連結した構成である。例えば、フレーム材30は、図7(b)に示すように連結される。すなわち、フレーム材30は、図7(b)に示すように、互いに同一長さを有する一対の形鋼41,42の両端部にボルト45を挿通する孔41a,41b,42a,42bを有しており、それらの孔41,41b,42a,42bにボルト45が挿通され、ボルト45の先端にナット46が締着されることにより、一対の形鋼41,42が相互に連結固定される。このとき、一対の形鋼41,42の間においてボルト45の軸部に円筒状のスペーサ44を挿入することで、一対の形鋼41,42の間に所定間隔のスリット31を形成する(図7(a)参照)。このスリット31は、フレーム材30の長手方向の一端側から他端側まで形成される。また、スリット31の間隔(幅)は、吊りボルト5などのボルト部材を挿通可能な間隔である。このようなフレーム材30が略矩形状に組み付けられることにより、枠体2は、図6に示すように、X方向に沿って延びる互いに平行な2本のスリット31と、Y方向に沿って延びる互いに平行な2本のスリット31とを有する。そのため、枠体2は、吊りボルト5などの各種ボルトの連結位置をそれらスリット31に沿ってX方向及びY方向に沿って調整することが可能である。尚、上記のように構成されるフレーム材30は、例えばアルミ製の形鋼41,42を用いて構成される。アルミ製の形鋼41,42は軽量であるため、枠体2を作成する際の作業効率を向上させることができると共に、枠体2を組み付けた支持装置1を天井構造に取り付ける際の作業効率も向上させることができる。
図8は、2つのフレーム材30,30を直交させた状態に連結する直交連結金具32の構成例を示す図である。図8では、一例としてフレーム材30aと30bとの連結する例を示している。直交連結金具32は、2つのフレーム材30a,30bを上下方向に重ね合わせた状態で、それら2つのフレーム材30a,30bを直交させた状態に連結する金具である。この直交連結金具32は、2つのフレーム材30a,30bの間に配置される直交保持金具52と、一方のフレーム材30aの外周面において直交保持金具52の反対側に配置される第1金具51と、他方のフレーム材30bの外周面において直交保持金具52の反対側に配置される第2金具53とを備えている。
直交保持金具52は、矩形状の平板部52aと、平板部52aから直角に折り曲げられた一対の第1係合部52b,52cと、平板部52aから第1係合部52b,52cとは異なる方向に向かって直角に折り曲げられた一対の第2係合部52d,52eとを有する。平板部52aは、2つのフレーム材30a,30bの間に配置される。また平板部52aの中央には、ボルト54を挿通可能な孔52hが設けられる。
第1係合部52b,52cは、平板部52aの互いに対向する一対の辺からフレーム材30aの側面に沿うように立設した状態に設けられる。これら第1係合部52b,52cは、フレーム材30aの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部52aから立設している。そのため、図8に示すように、平板部52aの上面側にフレーム材30aの下面が接触するように配置されると、第1係合部52b、52cは、フレーム材30aの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
また第2係合部52d,52eは、第1係合部52b,52cが設けられた辺とは異なる一対の辺からフレーム材30bの側面に沿うように、第1係合部52b,52cとは反対側に立設した状態に設けられる。これら第2係合部52d,52eは、フレーム材30bの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部52aから立設している。そのため、図8に示すように、平板部52aの下面側にフレーム材30bの上面が接触するように配置されると、第2係合部52d,52eは、フレーム材30bの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。尚、本実施形態では、フレーム材30a,30bの幅寸法が互いに等しいため、平板部52aが正方形となり、第1係合部52b,52cの間隔と、第2係合部52d,52eの間隔は互いに等しい。
第1金具51は、矩形状の平板部51aと、平板部51aから直角に折り曲げられた一対の係合部51b,51cとを有する。平板部51aは、略正方形であり、一方のフレーム材30aの外周面において直交保持金具52が設けられる面とは反対側の面に接触する状態に配置される。また平板部51aの中央には、ボルト54を挿通可能な孔51hが設けられる。
係合部51b,51cは、平板部51aの互いに対向する一対の辺からフレーム材30aの側面に沿うように立設した状態に設けられる。これら係合部51b,51cは、フレーム材30aの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部51aから下方に向かって立設している。そのため、図8に示すように、平板部51aの下面側にフレーム材30aの上面が接触するように配置されると、係合部51b,51cは、フレーム材30aの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
第2金具53も、第1金具51と同様の構成である。具体的に説明すると、第2金具53は、矩形状の平板部53aと、平板部53aから直角に折り曲げられた一対の係合部53b,53cとを有する。平板部53aは、略正方形であり、他方のフレーム材30bの外周面において直交保持金具52が設けられる面とは反対側の面に接触する状態に配置される。また平板部53aの中央には、ボルト54を挿通可能な孔53hが設けられる。
係合部53b,53cは、平板部53aの互いに対向する一対の辺からフレーム材30bの側面に沿うように立設した状態に設けられる。これら係合部53b,53cは、フレーム材30bの幅寸法と同じ、若しくは、それよりも若干大きい間隔で、且つ、互いに平行な状態で平板部53aから上方に向かって立設している。そのため、図8に示すように、平板部53aの上面側にフレーム材30bの下面が接触するように配置されると、係合部53b,53cは、フレーム部材41aの側面(形鋼のフランジ部分)と接合する。
2つのフレーム材30a,30bに対し、上記のように、第1金具51、直交保持金具52及び第2金具53が配置されると、3つの孔51h,52h,53hは同軸上に位置し、しかも各フレーム材30a,30bに設けられたスリット31の位置に合致する。その状態で、ボルト54を、例えば第1金具51に設けられた孔51aから挿入すると、ボルト54の先端が第2金具53に設けられた孔53hから突出した状態となる。その突出したボルト54の先端部分にナット55を取り付けて締着することにより、直交連結金具32は、2本のフレーム材30a,30bを互いに直交させた状態に連結固定する。特にボルト54とナット55とが締着されると、直交保持金具52の第1係合部52b,52cがフレーム材30aの側面と接合し、且つ、第2係合部52d,52eがフレーム材30bの側面と接合した状態に固定されるので、2本のフレーム材30a,30bは、ボルト54を中心に回動しない状態となり、直交状態が良好に維持される。
またボルト54とナット55による締着位置は、フレーム材30aに設けられたスリット31に沿ってX方向へ移動させることが可能であると共に、フレーム材30bに設けられたスリット31に沿ってY方向へ移動させることも可能である。そのため、ボルト54とナット55との締着位置をX方向及びY方向へ移動させることにより、枠体2の平面形状を正方形や長方形に変形させることができると共に、枠体2の矩形サイズを適宜調整することも可能である。したがって、支持装置1が支持する天井吊り下げ物100の形状やサイズに適合する枠体2を施工現場で簡単に作成することが可能である。例えば図6に示すように、Y方向と平行な一対のフレーム材30b,30dが支持装置1の梁部16,16とほぼ同間隔となるように枠体2が形成される。
上記のようにして枠体2が形成されると、枠体2の複数箇所に対して支持ボルト33が取り付けられる。図6の例では、Y方向と平行なフレーム材30b,30dに対して支持ボルト33を2つずつ取り付けた例を示している。例えば支持ボルト33は、図6に示すように、フレーム材30のスリット31に挿通された状態でナットやワッシャー等を用いてスリット31から抜け落ちないように取り付けられる。支持ボルト33は、支持装置1の梁部16に設けられる装着部19に装着され、支持装置1及び天井吊り下げ物100を支持するためのボルトである。支持ボルト33は、フレーム材30b,30dのスリット31に挿通させた状態に取り付けられているため、支持ボルト33をスリット31に沿って移動させれば、支持装置1の装着部19の位置に適合させることができる。そして支持ボルト33の先端を装着部19の孔やスリットに挿入し、支持ボルト33の先端にナットなどを取り付けて締着することにより、枠体2は支持装置1と一体構造物となる。
図9は、梁部16の上面に対して枠体2が取り付けられた状態の支持装置1を示す図である。図9に示すように、天井吊り下げ物100に支持装置1と枠体2とが取り付けられると、枠体2は天井吊り下げ物100の上方に位置する。天井構造から垂下する吊りボルト5の先端(下端)は、枠体2のフレーム材30に取り付けられる。このとき、Y方向と平行な一対のフレーム材30b,30cは支持装置1の梁部16に固定されており、支持装置1に対する位置を変化させることができない。これに対し、X方向と平行な一対のフレーム材30a,30cは、直交連結金具32のボルト54を緩めることにより、Y方向に移動させることができる。そのため、天井構造から垂下する複数の吊りボルト5の位置や間隔に応じて一対のフレーム材30a,30cの位置を微調整することができる。
本実施形態において、天井吊り下げ物100に支持装置1と枠体2とを組み付ける作業は、例えば施工現場において床面作業として行うことができる。つまり、天井吊り下げ物100を天井構造の近傍位置へ持ち上げる前に、天井吊り下げ物100に対して支持装置1と枠体2とを予め組み付けておくことが可能である。そのため、天井吊り下げ物100に対して支持装置1と枠体2とを簡単に取り付けることができる。そして支持装置1と枠体2とを天井吊り下げ物100に取り付けた後、支持装置1及び枠体2が取り付けられた天井吊り下げ物100を天井構造の近傍位置へ持ち上げ、枠体2のフレーム材30a,30cのスリット31に対して吊りボルト5などのボルトを装着して固定する。つまり、本実施形態では、4本の吊りボルト5をフレーム材30a,30cのスリット31に挿入してから吊りボルト5の先端にナットを装着することにより、枠体2、支持装置1及び天井吊り下げ物100を吊りボルト5によって支持された状態に施工することができる。
図10は、支持装置1及び枠体2が組み付けられた天井吊り下げ物100を天井構造9に取り付けた例を示す図である。図10に示すように、天井スラブなどの天井構造9には、4本の吊りボルト5が予め設けられている。それら4本の吊りボルト5は、枠体2のスリット31の任意の位置に装着され、支持装置1、枠体2及び天井吊り下げ物100を所定の高さ位置で吊り下げた状態に支持する。そして本実施形態においても、第1実施形態と同様に、吊りボルト5の先端部(下端部)を、天井吊り下げ物100の上面よりも高い位置に固定することができる。
また本実施形態の枠体2は、X方向と平行なフレーム材30a,30cをY方向と平行なフレーム材30b,30cのスリット31に沿ってスライド移動させることが可能であり、吊りボルト5を連結するときにはX方向と平行なフレーム材30a,30cのスリット31に沿ってX方向の任意の位置に吊りボルト5を連結することができる。そのため、XY平面内における天井吊り下げ物100の吊り下げ位置を簡単に調整することができるという利点がある。つまり、本実施形態の支持装置1は、その上部に矩形状の枠体2を備えており、枠体2を構成するフレーム材30の任意の位置に吊りボルト5などのボルト部材を連結可能であるため、天井吊り下げ物100を吊り下げた状態に設置する際の位置調整を簡単に行うことができるのである。
ところで、本実施形態では、支持装置1の上部に取り付けられる枠体2が第1部材11と第2部材12とを相互に連結する機能を有している。そのため、支持装置1の上部に枠体2を取り付ける場合には、第1実施形態で説明したような棒状体21を別途用いる必要がなくなる。図11は、棒状体21を省略し、枠体2のフレーム材30a,30cを連結部材13として利用する支持装置1の構成例を示す図である。図11に示すように枠体2のフレーム材30a,30cを連結部材13として利用すれば、第1実施形態で説明したように、第1部材11及び第2部材12の梁部16に棒状体21を差し込んで固定する作業を行う必要がなくなる。そのため、この場合は、梁部16に連結部16cを予め設けておく必要もないため、作業コストを安くできるという利点がある。
尚、この第2実施形態において上述した点以外については、第1実施形態で説明したものと同様である。
(変形例)
以上、本発明に関する幾つかの実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態で説明したものに限られない。すなわち、本発明は、上記各実施形態で説明した構成以外にも種々の変形例を適用することが可能である。
例えば上記実施形態では、支持装置1の上部に連結される吊りボルト5に対して斜め補強材となるブレース6が取り付けられる場合を例示した。しかし、これに限られるものでない。すなわち、支持装置1を構成する第1部材11及び第2部材12の柱部15,15のZ方向の長さを長くすれば、その分、天井構造から垂下する吊りボルト5を短くすることができる。そして吊りボルト5の長さを十分に短くすることができるのであれば、吊りボルト5にブレース6を取り付けて補強する必要がなくなる。そこで、図12に示すように、第1部材11及び第2部材12の柱部15,15のZ方向の長さを長くし、天井構造9から垂下する吊りボルト5の長さを短くするようにしても良い。この場合、第1部材15,15の梁部16は、天井構造9と接する位置、或いは、天井構造9の近傍位置となるように設置されることが好ましい。柱部15,15はアングル鋼材を母材としているため、Z方向の長さが長くなったとしても十分な強度を確保することができる。そのため、十分な耐震性能を確保しつつ、ブレース6の取り付け作業を軽減することができるという利点がある。
また上記実施形態では、一例として、天井吊り下げ物100が隠蔽式空気調和機である場合を例示した。しかし、天井吊り下げ物100は、隠蔽式空気調和機に限られるものではなく、天井構造に設置されるものであればどのようなものであっても構わない。