JP6342821B2 - スクリュー流体機械 - Google Patents

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Description

本発明は、スライド弁を備えるスクリュー流体機械に関し、特に、HFC系やHFO系の冷媒や、空気、二酸化炭素、アンモニア等の自然系の冷媒、或いはその他の圧縮性ガスを扱うスクリュー流体機械に好適なものである。
スクリュー流体機械は、冷凍空調用の圧縮機や空気圧縮機として広く普及している。また、冷凍空調用の圧縮機としてのスクリュー流体機械は、空気調和機、チラー、冷凍機などの冷凍サイクル装置の主要構成機器であり、省エネ化を図ることが社会的要求として極めて強く求められており、エネルギー効率が高く、高能力であることが重要になっている。
また、スクリュー流体機械では、一般に内部容積比(吸込完了容積に対する吐出開始容積の比)を調整したり、或いは容量を調整するために、スライド弁を設けることが知られている。この種の従来技術としては、特開2011−80385号公報(特許文献1)に記載されたものなどがある。
上記特許文献1のものには、雄雌ロータを有するいわゆるツインスクリュー圧縮機において、前記雄雌ロータとの間で歯溝空間を形成すると共に吐出口が形成されたケーシングと、両ロータに対し移動することにより前記歯溝空間の容積比を変更する容積比弁(スライド弁)とを備え、この容積比弁を、スクリュー圧縮機の停止直前に、吸込側へ移動させて、スクリュー圧縮機の容積比を低い状態にすることが記載されている。この構成により、スクリュー圧縮機の強制停止後の再起動時に、歯溝空間内が異常に高圧になってスクリュー圧縮機にダメージを与えるのを防止するようにしている。
特開2011−80385号公報
上記特許文献1のものには、上述したように、スクリュー圧縮機において、スクリュー圧縮機の停止直前に、容積比弁を容積比が低い状態になるように移動することで、スクリュー圧縮機の強制停止後の再起動時に、歯溝空間内が異常に高圧になってスクリュー圧縮機にダメージを与えるのを防ぐことが記載されている。
しかし、特許文献1のものには、雄雌ロータを有するスクリュー流体機械(スクリュー圧縮機)における各ロータと、これらのロータを収容するボア(各ロータの径方向に相対するケーシングの壁面)との間の隙間や、前記各ロータとスライド弁との間の隙間に対する配慮がなされていない。
即ち、前記各ロータと前記ボア或いはスライド弁との隙間を大きくとり、それらが異常接触しないように構成しているため、スクリュー流体機械の性能向上を図ることはできなかった。
本発明の目的は、ロータと吐出側のボア或いはスライド弁との異常接触を抑制しつつ、性能向上を図れるスクリュー流体機械を得ることにある。
上記目的を達成するため、本発明は、互いに噛合いながら回転する雄ロータ及び雌ロータを有するスクリューロータと、前記雄ロータ及び前記雌ロータを収納するためのボアを有するケーシングと、前記ケーシングの内面に設けられ前記雄ロータ及び前記雌ロータの外周面に沿って往復移動して内部容積比を調整するスライド弁とを備えるスクリュー流体機械において、前記雄ロータ及び雌ロータを収納する前記ケーシングの前記ボアの内径中心を、前記雄ロータ及び前記雌ロータの回転軸中心に対して、前記スライド弁とは反対側にオフセットした構成とし、且つ前記スクリュー流体機械の運転を停止する際に、前記スライド弁を最小の内部容積比となる位置に移動させるように制御することを特徴とする。
本発明の他の特徴は、互いに噛合いながら回転する雄ロータ及び雌ロータを有するスクリューロータと、前記雄ロータ及び前記雌ロータを収納するためのボアを有するケーシングと、前記ケーシングの内面に設けられ前記雄ロータ及び前記雌ロータの外周面に沿って往復移動して容量調整するスライド弁とを備えるスクリュー流体機械において、前記雄ロータ及び雌ロータを収納する前記ケーシングの前記ボアの内径中心を、前記雄ロータ及び前記雌ロータの回転軸中心に対して、前記スライド弁とは反対側にオフセットした構成とし、且つ前記スクリュー流体機械の運転を停止する際に、前記スライド弁を最小の吸込容量となる位置に移動するように制御することにある。
本発明によれば、ロータと吐出側のボア或いはスライド弁との異常接触を抑制しつつ、性能向上を図れるスクリュー流体機械を得ることができる効果が得られる。
本発明のスクリュー流体機械の実施例1を示す水平断面図。 図1のA方向から雌ロータ付近を見た縦断面図。 図2のG−G線矢視断面図。 図2のF−F線矢視断面図であって、スクリューロータとそのボア及びスライド弁との配置関係を説明する模式図。 実施例1のスクリュー流体機械におけるスライド弁の制御を説明する図。 本発明のスクリュー流体機械の実施例2を説明する図で、図2に相当する図。 実施例2のスクリュー流体機械におけるスライド弁の制御を説明する図。
以下、本発明のスクリュー流体機械の具体的実施例を図面に基づいて説明する。なお、各図において、同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示している。
本発明のスクリュー流体機械の実施例1を図1〜図5を用いて説明する。
まず、本実施例1のスクリュー流体機械の全体構成を、図1及び図2を用いて説明する。図1は本発明のスクリュー流体機械の実施例1を示す水平断面図、図2は図1のA方向から雌ロータ付近を見た縦断面図である。
図1において、1はスクリュー流体機械で、本実施例1では、前記スクリュー流体機械1が、冷凍空調用の圧縮機で、冷凍サイクルを流れる冷媒を圧縮するスクリュー圧縮機である場合について説明する。
前記スクリュー流体機械1は、圧縮部2とその駆動部3とを、ケーシング4内に収納して構成されている。前記ケーシング4は、雄ロータ5及び雌ロータ6からなるスクリューロータなどを収容するメインケーシング4a、該メインケーシング4aの吐出側に設けられた吐出ケーシング4b、前記メインケーシング4aの吸込側に設けられ、モータ14などを収容するモータケーシング4c、該モータケーシング4cの吸込側に設けられた吸込カバー4d、前記吐出ケーシング4bの開口部を塞ぐ吐出カバー4eにより構成されている。
前記モータケーシング4cの吸込側を塞ぐ前記吸込カバー4dには吸込口15が設けられており、この吸込口15からスクリュー流体機械1内に冷凍サイクルからのガス冷媒が吸い込まれ、このガス冷媒は前記モータケーシング4c内に設置されているモータ14を通過した後、前記メインケーシング4aに形成されている吸込室10(図2参照)から、前記雄ロータ5及び雌ロータ6と前記メインケーシング4aなどにより形成される作動室37へと吸い込まれる。
前記作動室37に取り込まれたガス冷媒は、前記スクリューロータの回転により圧縮された後、前記吐出ケーシング4bやスライド弁17(図2参照)に形成されている吐出口(吐出ポート)から吐出室11(図2参照)に吐出されて、その後サイクロン式などの油分離器16で油を分離された後、該油分離器16に設けた吐出部(図示せず)からスクリュー流体機械1の外部(冷凍サイクルの冷媒配管)へと吐出される。
前記圧縮部2は、前記駆動部3の前記モータ14により駆動され、互いに噛合いながら回転する前記雄ロータ5及び雌ロータ6、これら雄ロータ5及び雌ロータ6を収納するメインケーシング4、前記雄ロータ5を回転自在に支持する軸受(軸支手段)12a,12b、及び前記雌ロータ6を回転自在に軸支する軸受(軸支手段)13a,13bなどを備えている。
前記軸受12aは前記雄ロータ5のロータ軸5bの吸込側を支持する2つのころ軸受で構成され、前記軸受12bは前記雄ロータ5のロータ軸5bの吐出側を支持するころ軸受と玉軸受で構成されている。前記軸受13aは前記雌ロータ6のロータ軸6bの吸込側を支持するころ軸受で構成され、前記軸受13bは前記雌ロータ6のロータ軸6bの吐出側を支持するころ軸受と玉軸受で構成されている。
前記作動室37は、前記雄ロータ5及び雌ロータ6の歯溝5a,6a、前記メインケーシング4aに形成されて前記各ロータを収容するボア(各ロータの径方向に相対する壁面)7、メインケーシング4aの吸込側端面8、前記吐出ケーシング4bの吐出側端面9及び前記スライド弁17等により複数形成されている。
なお、図1に示した例では、前記ケーシング4を、メインケーシング4a、吐出ケーシング4b、モータケーシング4c、吸込カバー4d及び吐出カバー4eの5つに分割している例を示したが、ケーシング4はこのような5分割には限られるものではなく、分割数を任意に増減しても良い。例えば、吸込側の前記軸受12a,13aを設けている前記メインケーシング4aの部分を分離して吸込ケーシングとしても良い。
次に、このスクリュー流体機械1における圧縮行程について説明する。
モータ14により雄ロータ5を回転させると、これと噛み合う前記雌ロータ6も回転する。この回転動作により、前記スクリューロータ(雄ロータ5及び前記雌ロータ6)などにより形成される前記作動室37は、該スクリューロータの吸込側端部で生成される。その後、前記作動室37は、軸方向吐出側に移動しながら内容積を拡大した後、縮小に転じてロータの吐出側端部で消滅する。
前記作動室37は、その内容積を拡大中に、前記メインケーシング4aに形成された前記吸込室10と連通してガス冷媒を吸込み、該作動室容積がほぼ最大の時に、前記吸込室10の輪郭から外れて該吸込室10を閉口し、吸込みが完了する。その後、この作動室37の容積縮小により、該作動室内部に閉じ込められたガス冷媒の圧縮が開始されて、作動室37の内圧が上昇し、更にこの作動室が軸方向に移動して圧縮が進むと、該作動室37は、前記吐出口を介して吐出室11に開口し、圧縮を終了して吐出を開始する。
次に、前記スライド弁17の部分の基本構成と動作を説明する。
図2は、図1のA方向から雌ロータ付近を見た図で、スライド弁が右端位置にある状態を示す図である。この図2に示すように、前記雄ロータ5と前記雌ロータ6との噛み合い部において、前記メインケーシング4a内の前記雄ロータ5と前記雌ロータ6との間の上部には、前記スライド弁17を収容するための凹部4aaが形成されており、この凹部4aa内に前記スライド弁17が軸方向に往復動自在に収容されている。また、このスライド弁17には、ロッド18を介して前記スライド弁17を駆動するためのピストン19が連結されており、該ピストン19を収容しているシリンダ内のピストン背面空間19aの圧力を調整することにより、前記スライド弁17を軸方向に往復移動させることができるように構成されている。
図2は、前記スライド弁17が内部容積比調整弁(以下、単に容積比調整弁ともいう)としている場合の例であり、スライド弁17の軸方向移動により、前記作動室37の内部容積比(吸込完了容積に対する吐出開始容積の比)を調整することができるように構成されている。なお、図2に示す前記スライド弁17の状態は、内部容積比が最も大きくなる状態を示している。
次に、前記スライド弁17の支持部の構成について、図3も用いて説明する。
図3は、図2のG−G線矢視断面図である。図2に示すように、前記スライド弁17を支持するために、前記メインケーシング4aの吸込側端面8部近傍には、吸込端面側のスライド弁支持部21aが形成されており、更に図2、図3に示すように、前記吐出ケーシング4bの吐出側端面9部近傍にも、吐出端面側のスライド弁支持部21bが形成されている。これらスライド弁支持部21a,21bは、前記スライド弁17が前記ボア7の内壁面よりも内側へ移動するのを防止するために設けられている。
次に、前記スクリューロータ(雄ロータ5及び雌ロータ6)と、前記ボア7と、前記スライド弁17との配置関係を、図4を用いて説明する。
図4は、図2のF−F線矢視断面図であり、説明を分かり易くするために、この図4においては、スクリューロータ(雄ロータ5及び雌ロータ6)とボア7との間の隙間を実際の製品よりも大きく図示している。
図4において、17aはスライド弁17の雄ロータ側内径部分、17bは同じく雌ロータ側内径部分である。31,32は、図1に示すケーシング4のボア7に対応するもので、31は前記雄ロータ5が収容される雄ロータ側ボア、32は同じく前記雌ロータ6が収容される雌ロータ側ボアである。
本実施例においては、この図4に示すように、前記雄ロータ側ボア31は、雄ロータ5の回転軸中心33からスライド弁17の反対側にオフセットされており、この雄ロータ側ボア31の内径中心35は前記回転軸中心33から反スライド弁側に位置している。前記雌ロータ側ボア32についても同様に、雌ロータ6の回転軸中心34からスライド弁17の反対側にオフセットされており、この雌ロータ側ボア32の内径中心36は前記回転軸中心34から反スライド弁側に位置している。
なお、前記スライド弁17の雄ロータ側内径部分17aと雌ロータ側内径部分17bは、前記ボア31,32の一部を形成するように構成されている。
また、図4において、31aは、前記スライド弁17の前記雄ロータ側内径部分17aに相当する部分の前記雄ロータ側ボア31の仮想部分を示している。同様に、32aは前記スライド弁17の前記雌ロータ側内径部分17bに相当する部分の前記雌ロータ側ボア32の仮想部分を示している。
図4に点線で示す31bは、前記雄ロータ側ボア31のボア中心35が前記雄ロータ5の回転軸中心33と一致するように形成した場合の想定線、32bは、前記雌ロータ側ボア32のボア中心36が前記雌ロータ6の回転軸中心34と一致するように形成した場合の想定線を示している。
なお、前記スライド弁17の内径部分17a,17bは、前記ボア31,32の前記仮想部分31a,32aよりも、前記ロータ回転軸中心33,34側に位置することがないように構成されている。この構成は、図2、図3に示す前記スライド弁支持部21a,21bを設けることにより実現している。
なお、図4に示す例では、前記スライド弁17が雄雌ロータ5,6側へ移動した際、前記スライド弁17の内径部分17a,17bが、前記ボア31,32の前記仮想部分31a,32aと一致するように構成している例を示したが、本発明は、前記スライド弁の内径部分が前記ボア仮想部分に一致するものには限られず、前記スライド弁17の内径部分17a,17bがその一部でも、前記ボアの仮想部分31a,32aを超えてロータ回転軸中心33,34側に位置しないように構成すれば良い。
上記のように、本実施例では、前記ボア31,32が、前記雄雌ロータ5,6などで形成される前記作動室37であって、作動室37の圧力が特に高圧となる空間37a側、即ち前記スライド弁17が設けられている側(或いは吐出口が設けられている側)の概略反対側に、オフセットされるように形成されている。これにより、前記ボア31,32と前記雄雌ロータ5,6との隙間は、前記スライド弁17側で小さくなり、反スライド弁17側では大きくなる。このように構成することにより、圧縮機の通常運転中には、前記高圧となる空間37aの圧力により前記スクリューロータが変形し、前記ボア31,32と前記雄雌ロータ5,6との間の前記スライド弁17側の隙間は拡がる方向となる。このため、スライド弁17側の前記ボア31,32と前記雄雌ロータ5,6と間の隙間を極力小さく構成することで、漏れによるエネルギー損失を低減して性能向上を図ることができる。
しかし、このように前記ボア31,32を、前記雄雌ロータ5,6の回転軸中心33,34から、スライド弁17の反対側にオフセットした場合、運転中のスクリュー流体機械を停止すると、高圧のガスが吐出側から作動室内を通過して吸込側へ逆流する。このためスクリューロータが逆回転し、逆回転したスクリューロータはその慣性力で暫くの間回り続け、これによりスクリュー流体機械の吸込側の圧力が吐出側の圧力よりも高くなるという逆差圧現象が発生することがわかった。
スクリュー流体機械の通常運転中では、吐出側圧力が吸込側よりも高くなるため、雄雌ロータ5,6は吐出側(スライド弁側;本実施例では上側)から吸込側(反スライド弁側;本実施例では下側)へ押されて変形(移動)する。しかし、スクリュー流体機械を停止する際に前述した逆差圧現象が発生すると、スクリューロータの吸込側の圧力が吐出側の圧力よりも高くなるため、前記スクリューロータは吸込側(下側)から吐出側(上側;スライド弁側)へ押されて変形(移動)し、スクリューロータとスライド弁側のボア(吐出側ボア)31,32との間の隙間が小さくなり、スクリューロータが前記吐出側ボア31,32に接触する危険性が増大することがわかった。
即ち、雄雌ロータ5,6とボア31,32との隙間を大きくしている場合には、スクリューロータがボアに接触する危険性を回避できるが、性能向上のため、前記ロータと前記ボアとの隙間を小さくしようとすると、前記ロータがボアに接触する危険性が増大する。特に、本実施例のように、スクリューロータを収納する前記ボア31,32を、ロータの回転軸中心33,34に対して、前記スライド弁17とは反対側、即ち吸込側(下側)にオフセット(ボアオフセット)した構成としているものでは、ロータと吐出側ボア(スライド弁側)との間の隙間が相対的に小さくなっているので、逆差圧現象が発生した場合には前記ロータ5,6と、前記ボア31,32や前記スライド弁17との接触の危険性が増大する。このため、ボアオフセットによる隙間縮小化を十分に実現することができず、前記ロータと前記ボアとの隙間を十分に小さくすることはできない。このため、漏れによるエネルギー損失を低減してスクリュー流体機械の性能向上を図ることは難しいという課題があることが明らかになった。
この課題を解決するため、本実施例1では、スクリュー流体機械の運転停止する際、即ち、運転停止前や運転停止時に、前記スライド弁17を最小の内部容積比位置に移動させるように制御する構成としている。本実施例において、前記スライド弁17を最小の内部容積比位置に移動させるとは、図2に示すスライド弁17が最も左端位置側になるように移動させることである。図2に示すスライド弁17の状態は、最も右端位置になっており、内部容積比が最大となっている状態であり、運転を停止する際には、図2に示す状態からスライド弁17を反対側、即ち最も左端位置になるように移動させて、前記スライド弁17を最小の内部容積比位置に移動させる。
このように、スクリュー流体機械を停止させる際に、内部容積比が最小となる位置にスライド弁17を移動させることにより、圧縮比が小さくなるから、吐出側と吸込側との差圧が小さくなり、スクリューロータは逆回転し難くなる。従って、前述した逆差圧現象が生じるのを抑制できるから、スクリューロータを収納する前記ボア31,32を、ロータの回転軸中心33,34に対して、前記スライド弁17とは反対側にオフセットした構成としても、逆差圧現象によりロータが吐出側ボア(スライド弁)側への変形(移動)を抑制でき、前記ロータ5,6と、前記ボア31,32や前記スライド弁17との接触の危険性を低減することができる。
この本実施例1の効果について、図4を用いて更に詳しく説明する。従来のスクリュー流体機械のように、運転停止の際に、スライド弁を内部容積比が最小となる位置に移動させる制御をしないものでは、運転停止後に、図4に示す高圧となる空間37aの高圧ガスが吐出側から作動室37内を通過して吸込側へ逆流し、ロータが逆回転する。このロータの逆回転による膨張作用のため、前述したように、前記空間37aの圧力が吸込室10の空間よりも低圧になる逆差圧現象が発生する。この逆差圧現象により生じた差圧により、ロータ5,6は前記スライド弁17側へ移動する。
また、前記スライド弁17とメインケーシング4aとの間の圧力は、前記空間37aより高くなるので、前記スライド弁17はロータ5,6側へ移動する。従って、特に前述のボアオフセットしている場合には、前記ロータ5,6と前記吐出側ボアや前記スライド弁17との接触の危険性が増大する。
これに対し本実施例1によれば、スクリュー流体機械の停止の際(停止前或いは停止時)に、前記スライド弁17を内部容積比が最小となる位置に移動させるように制御するので、差圧が小さくなって前記ロータの逆回転を抑制でき、上述した逆差圧現象で発生する差圧を小さくすることができる。従って、前記ロータ5,6が前記スライド弁17側へ移動するのを抑制できるから、ボアオフセットにより吐出側ボアと前記ロータ5,6との隙間を小さく構成している場合でも、前記ロータ5,6とボア31,32との接触の危険性を回避することができる。
また、本実施例では、前記スライド弁支持部21a,21bを設けているので、逆差圧現象が発生しても、前記スライド弁17がロータ5,6側へ移動して該ロータと接触する危険性を確実に防止することができる。
次に、上述した本実施例1のスクリュー流体機械におけるスライド弁の制御について図5により説明する。
図5は、図2におけるスライド弁17の部分と、該スライド弁17の駆動系(スライド弁駆動部)を示している図であり、この図5に示すように、前記スライド弁17は、ロッド18を介してピストン19と連結されており、前記ピストン19は吐出ケーシング4bに形成されたシリンダ19b内を往復動するように構成され、該ピストンの駆動には油圧を用いている。
更に詳しく説明すると、図1に示すスクリュー流体機械内の油分離器16底部の油溜り(図示せず)などからの高圧油を、給油管路40aを介して導き、また該給油管路40aにはピストン19の動作を調整するための給油バルブ40bを設けている。前記高圧油は、前記給油バルブ40を開くことで、管路40dを介して前記シリンダ19b内のピストン背面空間19aに供給される。なお、前記給油バルブ40b下流側の前記給油管路40aは管路40cへも分岐されており、この管路40cは更に排油管路41aに接続されている。この排油管路41aは、ピストン19の動作調整のための排油バルブ41bを介して排油管路41cに接続され、更に、排油管路43へと接続されて、スクリュー流体機械の吸込側の空間に排出される。
一方、前記シリンダ19bの軸方向中央部付近には排油管路42aに接続される開口が設けられており、前記排油管路42aには前記ピストン19の動作調整のための排油バルブ42bを設け、更にこの排油バルブ42bの下流には排油管路42cを介して前記排油管路43が接続されて、前記吸込側の空間へ接続されている。
図5に示す例では、前記ピストン19を、シリンダ19bの最右端側、最左端側、及びシリンダ19bの前記排油管路42aとの接続位置付近の3個所に位置させるように制御(3段階制御)でき、これにより3段階のスライド弁の位置調整ができるように構成されている。図5に示す状態は、前記ピストン19を最右端位置に移動させて、前記スライド弁17を最右端に位置している状態を示している。
なお、図5に示す例では、前記排油管路42aを1本のみ前記シリンダ19b内に開口するように構成した例を示したが、前記排油バルブ42bを有する排油管路42aを複数本とし、各排油管路42aに接続される開口を前記シリンダ19b内面の軸方向に所定間隔ずらして複数個配置するように構成しても良い。このように構成することにより、前記ピストン19を前記開口の数に応じて任意の位置に多段階に位置させることができるので、前記スライド弁の位置調整を3段階よりも多い多段階に位置調整(多段階制御)できるようにすることが可能である。また、図5に示す例では、ピストン背面空間19a内にバネ44を配置しており、このバネ44によりピストン19を左端側に押圧している。なお、図示していないが、前記シリンダ19b内の左端部と前記吐出室11とを連通する穴を、前記吐出室11と前記シリンダ19bを仕切っている壁面に形成することで、前記ピストン19の前面空間19cに吐出側の圧力を作用させている。この穴を形成する代わりに、スクリュー流体機械1の高圧部と前記シリンダ19b内のピストン前面空間19cとを連通させて、前記ピストン前面空間19cに高圧を付与させるようにしても良い。
次に、前記ピストン19の位置を制御するための前記給油バルブ40b及び前記排油バルブ41b,42bの動作について説明する。
スクリュー流体機械1の起動時においては、通常、起動負荷を軽減するため、前記スライド弁17により内部容積比を最小(スライド弁17を最左端に位置させた状態)にして起動することが多い。この場合、前記給油バルブ40bは開、前記排油バルブ41b及び42bは閉にして起動する。これにより、昇圧されて吐出圧に近い高圧の油が、前記給油管路40a,40dからシリンダ19b内の前記ピストン背面空間19aに供給され、前記ピストン背面空間19aの圧力は高くなる。従って、このピストン背面空間19aの圧力は、吐出圧或いは吐出圧に近い高圧空間(例えば前記吐出室11)と連通している前記ピストン前面空間19cとほぼ均圧になる。
また、前記スライド弁17、前記ロッド18及び前記ピストン19の全体の圧力バランスを考えると、前記スライド弁17の吸込空間側の端面17cには低圧(吸込圧)が作用し、前記スライド弁17の吐出空間側の端面17dには高圧(吐出圧)が作用する。また、前記ピストン19の前面空間19cと背面空間19aの圧力はほぼ均圧であることから、全体として、前記スライド弁17には、左側への力が作用し、該スライド弁17は最左端位置(最小の内部容積比位置)に移動するから、スクリュー流体機械1は最小の内部容積比で運転を行う。
上述した最小の内部容積比の状態から、内部容積比が前記3段階制御の中段とする場合について説明する。この場合には、前記給油バルブ40bは開のまま、前記排油バルブ41bは閉のままとし、前記排油バルブ42bを開にする。この排油バルブ42bの開により、前記ピストン前面空間19cの圧力は高圧のままで、前記ピストン背面空間19aの圧力が減少するから、前記ピストン19は右側に移動する。このピストン19がシリンダ19b内の前記排油管路42aの開口位置を超えると、前記ピストン背面空間19aが高圧となり、更に前記ピストン前面空間19cが、前記排油管路42aと連通すると圧力が低下するため、前記ピストン19は左側へ戻ろうとする。これらの動作を繰り返して、圧力バランスを保つことができる前記排油管路42aの開口位置付近で、前記ピストン19は停止し、前記スライド弁17は内部容積比が中段となる位置に変更される。
この内部容積比が中段の位置から、内部容積比を最も高くする場合は、前記給油バルブ40bは開のまま、前記排油バルブ41bを開とし、前記排油バルブ42bは閉にする。このようにすると、前記ピストンの背面空間19aは減圧された状態となり、前記ピストン前面空間19cは、前記排油バルブ42bが閉じられることにより高圧となるから、前記ピストン19は、図5に示すように、最右端位置に移動し、内部容積比は最も高くなる。
スクリュー流体機械1を通常運転時から停止動作に移行する場合には、前記スライド弁17を最小の内部容積比(スライド弁が最左端位置にある状態)になるよう移動させる。即ち、前記スクリュー流体機械1を停止させる際に、前述した起動時と同様に、前記給油バルブ40bを開、排油バルブ41b,42bを閉とすればよい。
このように、スクリュー流体機械1の運転停止の際(運転停止前或いは運転停止時)に、内部容積比が最小となるようにスライド弁17を移動させることにより、吐出側の圧力と吸込側の圧力との差が小さくなるので、前記スクリュー流体機械を停止させても、吐出側の高圧ガスが作動室内を通って吸込側へ逆流する現象を抑制することができる。従って、スクリューロータの逆回転を抑制できるから、その逆回転によって吸込側の圧力が吐出側の圧力よりも高くなるという逆差圧現象の発生を抑制でき、この逆差圧発生時に、ロータの上下面(吐出側と吸込側)に逆差圧が作用して、前記ロータが通常運転時とは反対側(吐出側)に移動するのを防止できる。
これにより、性能向上のためボアオフセットして、前記ロータと前記吐出側ボア間の隙間を小さくしても、前記ロータと前記吐出側ボアや前記スライド弁17が異常接触する危険性を回避でき、信頼性を確保することが可能となる。
以上のことから、本実施例によれば、ボアオフセットによる隙間縮小効果を最大化して隙間漏れに起因するエネルギー損失を低減できるスクリュー流体機械を得ることができる。
なお、停電による停止時には、前記バルブ40b,41b,42bの全てが閉となるように構成することにより、前記ピストン背面空間19aの圧力低下を抑制し、前記スライド弁17の吸込空間側端面17cと吐出空間側端面17dとの圧力差により、スライド弁17を、内部容積比が小さくなる位置へ移動させることが可能となる。また、本実施例では、前記ピストン背面空間19a内にバネ44も配置しているため、このバネの作用によっても、スライド弁17を内部容積比が小さくなる位置に移動させることが可能である。
停電以外の緊急停止時には、給油バルブ40b、排油バルブ41b,42bの全てを閉に制御しても、或いは前記給油バルブ40b及び排油バルブ41b,42bのバルブ動作、前記バネ44などを組合せて、スライド弁17を、内部容積比が小さくなる位置へ移動させるようにしても良い。
なお、停電によるスクリュー流体機械の停止時或いは緊急停止時などに、全ての前記バルブ40b,41b,42bを全閉とする場合には、前記ピストン背面空間19aの圧力低下を抑制するため、前記排油バルブ41b,42bが閉止した後、前記給油バルブ40bが閉止するように構成すると良い。
本発明のスクリュー流体機械の実施例2を、図6及び図7を用いて説明する。図6は本発明のスクリュー流体機械の実施例2を説明する図で、図2に相当する図(スライド弁が最左端位置にある状態を示す図)、図7は実施例2のスクリュー流体機械におけるスライド弁の制御を説明する図(図5に相当する図)である。これら図6及び図7において、上述した図1〜図5と同一符号を付した部分は同一或いは相当する部分を示しており、本実施例2の説明では、上記実施例1と同一部分については説明を省略し、上記実施例1と異なる部分を中心に説明する。
本実施例2においても、スクリュー流体機械の全般構成については、図1と同様である。上記実施例1では、スライド弁を内部容積比調整弁としている例について説明したが、本実施例2では、スライド弁50を容量調整弁とした場合の例である。この容量調整弁としてのスライド弁50は、その軸方向移動により吸込容量を変更することができる弁である。
図6では、前記スライド弁50が最左端位置(吸込側)に移動している状態を示しており、スライド弁50の左端側に設けている切欠き部50aがスライド弁支持部21aにより閉じられて、作動室37が前記スライド弁50の切欠き部50aを介して吸込室10に連通していない状態を示している。この図6に示すスライド弁50の位置は、スクリュー流体機械1の吸込容量が最大となっている状態である。
本実施例2でも、上記実施例1と同様に、吸込側端面8側の前記スライド弁支持部21aと、吐出側端面9側のスライド弁支持部21bが設けられている。また、前記スライド弁50の前記切欠き部50aを挟んでその両側の内面側部分には、この図6に示すように、吸込側の軸方向に延長して足部50cが設けられており、前記スライド弁50が右方向(吐出側)に移動する場合には、前記足部50cが前記スライド弁支持部21aによって支持されるように構成されている。
即ち、前記スライド弁50の軸方向移動範囲全体に亘って、該スライド弁50は、前記足部50cを介して常に前記スライド弁支持部21aで支持されるように構成されている。また、前記スライド弁50の吐出側(吐出空間側端面50b側)は、前記スライド弁支持部21bにより、前記実施例1と同様に支持されている。従って、前記スライド弁50は、前記スライド弁支持部21a,21bにより、スクリューロータ(雄雌ロータ5,6)に接触しないように支持されている。
なお、上記実施例1のように、スライド弁が内部容積比調整弁の場合と異なり、本実施例2では、スライド弁が容量調整弁であるため、スクリュー流体機械1を運転停止させる際(運転停止前或いは運転停止時)に、前記スライド弁50を、最小の吸込容量(スライド弁が最右端位置にある状態)になるように移動させる。スクリュー流体機械の運転停止の際に、最小の吸込容量になるようにスライド弁50を調節することにより、スクリュー流体機械を運転停止させても、吐出側の高圧ガスが作動室37内を通って吸込側に逆流する流量が少なくなるから、スクリューロータが逆回転する膨張行程を短縮することが可能となる。また、スライド弁50を最小の吸込容量となる位置に移動させることにより、内部容積比も低めに設定することが可能になり、この点からもスクリューロータが逆回転する膨張行程を短縮できる。
従って、本実施例2においても、スクリューロータの逆回転を抑制できるから、その逆回転によって吸込側の圧力が吐出側の圧力よりも高くなるという逆差圧現象の発生を抑制でき、この逆差圧発生時に、ロータの上下面(吐出側と吸込側)に逆差圧が作用して、前記ロータが通常運転時とは反対側(吐出側)に移動するのを防止できる。これにより、性能向上のためボアオフセットして、前記ロータと前記吐出側ボア間の隙間を小さくしても、前記ロータと前記吐出側ボアやスライド弁50が異常接触する危険性を回避でき、信頼性を確保することが可能となる。
以上のことから、本実施例2のように、スライド弁50が容量調整弁である場合でも、上記実施例1と同様に、ボアオフセットによる隙間縮小効果を最大化して隙間漏れに起因するエネルギー損失を低減できるスクリュー流体機械を得ることができる。
次に、上述した本実施例2のスクリュー流体機械におけるスライド弁50の制御について図7により説明する。
図7は、図6におけるスライド弁50の部分と、該スライド弁50の駆動系を示している図であり、この図7に示すように、前記スライド弁50は、ロッド51を介してピストン52と連結されており、前記ピストン52は吐出ケーシング4bに形成されたシリンダ52b内を往復動するように構成され、該ピストンの駆動には油圧を用いている。
更に詳しく説明すると、図1に示すスクリュー流体機械内の油分離器16底部の油溜りなどからの高圧油を、給油管路60aを介して導き、また該管路60aにはピストン52の動作を調整するための給油バルブ60bを設けている。前記高圧油は、前記給油バルブ60bを開くことで、給排油管路60cを介して前記シリンダ52b内のピストン前面空間52cに供給される。なお、前記給油バルブ60b下流側の前記管路60aは排油管路61aへも分岐されており、この排油管路61aには、前記ピストン52の動作調整のための排油バルブ61bが設けられ、この排油バルブ61bの下流側は排油管路61cへ接続され、更にこの排油管路61cは、スクリュー流体機械の吸込側の空間に接続されている。
前記給排油管路60cは、前記ピストン52が往復動する前記シリンダ52b内の前記スライド弁50側壁面近くに開口している。また、前記ピストン52の背面空間52aは、連通管62を介して、スクリュー流体機械の吸込側の空間に接続されている。
図7は、スライド弁50を任意の位置に移動できる構成を示しており、この図7に示すスライド弁50の位置は、最左端にある状態であって、吸込容積が最大となる位置にスライド弁50が位置している場合を示している。また、前記ピストン前面空間52c内にはバネ52dが配置されている。
次に、前記ピストン52の位置を制御するための前記給油バルブ60b及び前記排油バルブ61bの動作について説明する。
スクリュー流体機械1の起動時においては、通常、起動負荷を軽減するため、前記スライド弁50により吸込容量を最小(スライド弁50を最右端に位置させた状態)にして起動することが多い。この場合、前記給油バルブ60bは開、前記排油バルブ61bは閉にして起動する。これにより、昇圧されて吐出圧に近い高圧の油が、前記給油管路60a、給油バルブ60b及び給排油管路60cを介して、シリンダ52b内の前記ピストン前面空間52cに供給され、前記ピストン前面空間52cの圧力は高くなる。一方、前記ピストン背面空間52aは吸込側の空間に連通しているので、低圧(吸込圧)となっているから、前記ピストン52には、圧力差により、右側への移動力が発生する。
また、前記スライド弁50の吸込空間側の端面(切欠き部50aのある側の端面)には低圧(吸込圧)が作用し、前記スライド弁17の吐出空間側端面50bには高圧(吐出圧)が作用するから、前記スライド弁50には、圧力差により、左側への移動力が発生する。
従って、前記スライド弁50に発生する左側への移動力(反移動力)よりも前記ピストン52に発生する右側への移動力の方が大きくなるように設定しておくことで、結果として、前記スライド弁50は右側へ移動し、前記給油バルブ60bを開、前記排油バルブ61bを閉とした状態を維持すれば、最終的に前記スライド弁50は最右端の位置まで移動する。これにより、スクリュー流体機械を最小の吸込容積で運転することができる。
吸込容積を最も大きくする場合(スライド弁が最左端に位置させる場合)には、前記給油バルブ60bを閉とし、前記排油バルブ61bを開にする。これにより、前記ピストン前面空間52cは、吸込空間の圧力(吸込圧)付近まで減圧された状態となり、また前記ピストン背面空間52aも吸込側空間に連通して低圧(吸込圧)となっているから、ピストン52の前面側と背面側で圧力がバランスする。一方、前記スライド弁50には、前述したように、その両端面側に発生する圧力差により左側への移動力が発生しているから、前記スライド弁50は左側へ移動し、前記給油バルブ60bを閉、前記排油バルブ61bを開とした状態を維持すれば、最終的に前記スライド弁50は最左端位置まで移動する。これにより、スクリュー流体機械を最大の吸込容積で運転することができる。
吸込容積が中間となる位置に前記スライド弁50を保持する場合は、所望のスライド弁位置になった時に、前記給油バルブ60b及び前記排油バルブ61bの両方が閉となるように制御することにより、スライド弁50をその所望の位置に保持することができる。
本実施例2の効果について説明する。スクリュー流体機械1を通常運転時から停止動作に移行する場合、前記スライド弁50を最小の吸込容積(スライド弁が最右端位置にある状態)になるよう移動させる。即ち、前記スクリュー流体機械1を停止させる際に、前記給油バルブ60bを開、排油バルブ61bを閉とすればよい。
このように、スクリュー流体機械1の運転停止の際(運転停止前或いは運転停止時)に、吸込容量が最小となるようにスライド弁17を移動させることにより、前記スクリュー流体機械を停止させても、吐出側の高圧ガスが作動室内を通って吸込側へ逆流する現象を抑制することができる。従って、スクリューロータの逆回転を抑制できるから、その逆回転によって吸込側の圧力が吐出側の圧力よりも高くなるという逆差圧現象の発生を抑制でき、この逆差圧発生時に、ロータの上下面(吐出側と吸込側)に逆差圧が作用して、前記ロータが通常運転時とは反対側(吐出側)に移動するのを防止できる。これにより、性能向上のためボアオフセットして、前記ロータと前記吐出側ボア間の隙間を小さくしても、前記ロータと前記吐出側ボアや前記スライド弁17が異常接触する危険性を回避でき、信頼性を確保することが可能となる。
以上のように、本実施例2においても、上記実施例1と同様に、ボアオフセットによる隙間縮小効果を最大化して隙間漏れに起因するエネルギー損失を低減できるスクリュー流体機械を得ることができる。
なお、停電や異常による緊急停止時の場合は、前記排油バルブ61bを閉とし、前記給油バルブ60bについては、閉の状態(吸込容積が中間となる位置に保持されている状態)であれば一旦開にしてスライド弁50を最右端位置側に移動させた後、前記給油バルブ60bを閉として、ピストン前面空間52cの圧力低下を抑制する。これにより前記スライド弁50を最右端側へ移動させるようにして吸込容積が小さくなる状態にしてスクリュー流体機械を緊急停止させることができる。
なお、前記ピストン前面空間52c内には前記バネ52dが配置されているので、このバネによってもスライド弁50を吸込容積が小さくなる位置に移動させることが可能である。また、前記バルブ60b,61bの動作と前記バネ52dの組合せにより吸込容積が小さくなる位置に前記スライド弁50を移動させるようにしても良い。
更に、前記バルブ60b,61bの両方を閉とする場合には、ピストン52の前面空間52cの圧力低下抑制のため、前記排油バルブ61bを閉止した後、前記給油バルブ60bを閉にするように制御すると良い。
前記給油バルブ60b、前記排油バルブ61bは、緊急停止時には閉じる必要があるので、停電などで電源が遮断された場合には自動的に弁が閉じるものを採用すると、より安全なスクリュー流体機械を構成することが可能になる。また、電源が遮断された場合には自動的に弁が閉じるものを採用する場合でも、前記給油バルブ60bの閉動作が前記排油バルブ61bの閉動作よりも遅くなるように構成すると良い。
以上説明したように、本発明の上記各実施例によれば、雄雌ロータを有するスクリュー流体機械において、運転停止する際に、スライド弁の制御により内部容積比或いは吸込容量が最小になるよう構成しているので、吐出側の高圧ガスが作動室内を通って吸込側へ逆流する現象を抑制することができ、これにより逆差圧現象の発生を抑制できる。従って、スクリューロータが通常運転時とは反対側(吐出側)に移動するのを防止でき、性能向上のためボアオフセットして、前記ロータと前記吐出側ボア間の隙間を小さくしても、前記ロータと前記吐出側ボアや前記スライド弁が異常接触する危険性を回避でき、信頼性を確保することが可能となる。
また、本発明の各実施例によれば、ボアオフセットによる隙間縮小効果を最大化して隙間漏れに起因するエネルギー損失を低減することもできるから、前記ロータと吐出側のボア或いはスライド弁との異常接触を抑制しつつ、性能向上を図れるスクリュー流体機械を得ることができる。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。
更に、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
1:スクリュー流体機械、2:圧縮部、3:駆動部、4:ケーシング、
4a:メインケーシング、4aa:凹部、
4b:吐出ケーシング、4c:モータケーシング、
4d:吸込カバー、4e:吐出カバー、
5:雄ロータ、6:雌ロータ、5a,6a:歯溝、5b,6b:ロータ軸、
7:ボア、8:吸込側端面、9:吐出側端面、10:吸込室、11:吐出室、
12a,12b:雄ロータの軸支手段、13a,13b:雌ロータの軸支手段、
14:モータ、15:吸込口、16:油分離器、
17:スライド弁(内部容積比調整弁)、17a:スライド弁の雄ロータ側内径部分、
17b:スライド弁の雌ロータ側内径部分、
17c:吸込空間側端面、17d:吐出空間側端面、
18:ロッド、19:ピストン、19a:ピストン背面空間、
19b:シリンダ、19c:ピストンの前面空間、
21a,21b:スライド弁支持部、
31:雄ロータ側ボア、31a:雄ロータ側ボアの仮想部分、
32:雌ロータ側ボア、32a:雌ロータ側ボアの仮想部分、
33:雄ロータ回転軸中心、34:雌ロータ回転軸中心、
35:雄ロータ側ボア中心、36:雌ロータ側ボア中心、
37:作動室、37a:高圧となる空間、
40a:給油管路、40b:給油バルブ、40c,40d:管路、
41a,41c,42a,42c,43:排油管路、
41b,42b:排油バルブ、44:バネ、
50:スライド弁(容量制御弁)、50a:切欠き部、50b:吐出空間側端面、
50c:足部、51:ロッド、
52:ピストン、52a:ピストン背面空間、52b:シリンダ、
52c:ピストン前面空間、52d:バネ、
60a:給油管路、60b:給油バルブ、60c:給排油管路、
61a,61c:排油管路、61b:排油バルブ、
62:連通管。

Claims (12)

  1. 互いに噛合いながら回転する雄ロータ及び雌ロータを有するスクリューロータと、前記雄ロータ及び前記雌ロータを収納するためのボアを有するケーシングと、前記ケーシングの内面に設けられ前記雄ロータ及び前記雌ロータの外周面に沿って往復移動して内部容積比を調整するスライド弁とを備えるスクリュー流体機械において、
    前記雄ロータ及び雌ロータを収納する前記ケーシングの前記ボアの内径中心を、前記雄ロータ及び前記雌ロータの回転軸中心に対して、前記スライド弁とは反対側にオフセットした構成とし、且つ
    前記スクリュー流体機械の運転を停止する際に、前記スライド弁を最小の内部容積比となる位置に移動させるように制御することを特徴とするスクリュー流体機械。
  2. 請求項1に記載のスクリュー流体機械において、前記スクリューロータの吸込側端面に対向する前記ケーシングの吸込側端面の部分、及び前記スクリューロータの吐出側端面に対向する前記ケーシングの吐出側端面の部分に設けられ、前記スライド弁が前記スクリューロータに接触しないように支持するスライド弁支持部を備えることを特徴とするスクリュー流体機械。
  3. 請求項1に記載のスクリュー流体機械において、前記スライド弁はロッドを介してピストンと連結され、前記ピストンは吐出ケーシングに形成されたシリンダ内を往復動するように構成され、前記ピストンの背面空間及び前面空間の圧力を調整することで、前記スライド弁の位置を制御するように構成していることを特徴とするスクリュー流体機械。
  4. 請求項3に記載のスクリュー流体機械において、前記ピストンの背面空間には給油バルブを介して吐出側の高圧油を導き、前記ピストンの前面空間には吐出室側の圧力を付与し、更に前記シリンダの軸方向中央部付近には排油バルブを介して吸込空間側に連通する開口が設けられていることを特徴とするスクリュー流体機械。
  5. 請求項4に記載のスクリュー流体機械において、スクリュー流体機械の運転を停止する際には、給油バルブを開、前記排油バルブを閉として、前記ピストンの背面空間に高圧油を導くことにより、前記スライド弁を最小の内部容積比位置となるように移動させることを特徴とするスクリュー流体機械。
  6. 請求項4に記載のスクリュー流体機械において、前記排油バルブを介して吸込空間側に連通する開口は、前記シリンダ内面の軸方向に所定間隔ずらして複数個配置して設けることにより前記スライド弁を前記開口の数に応じて多段階に位置させることができるように構成していることを特徴とするスクリュー流体機械。
  7. 請求項4に記載のスクリュー流体機械において、停電によるスクリュー流体機械の停止時或いは緊急停止時には、前記排油バルブが閉止した後、前記給油バルブが閉止するように構成していることを特徴とするスクリュー流体機械。
  8. 請求項3に記載のスクリュー流体機械において、前記ピストンの背面空間に前記スライド弁を最小の内部容積比となる側へ移動させるように作用するバネを設けていることを特徴とするスクリュー流体機械。
  9. 互いに噛合いながら回転する雄ロータ及び雌ロータを有するスクリューロータと、前記雄ロータ及び前記雌ロータを収納するためのボアを有するケーシングと、前記ケーシングの内面に設けられ前記雄ロータ及び前記雌ロータの外周面に沿って往復移動して容量調整するスライド弁とを備えるスクリュー流体機械において、
    前記雄ロータ及び雌ロータを収納する前記ケーシングの前記ボアの内径中心を、前記雄ロータ及び前記雌ロータの回転軸中心に対して、前記スライド弁とは反対側にオフセットした構成とし、且つ
    前記スクリュー流体機械の運転を停止する際に、前記スライド弁を最小の吸込容量となる位置に移動させるように制御することを特徴とするスクリュー流体機械。
  10. 請求項9に記載のスクリュー流体機械において、前記スライド弁はロッドを介してピストンと連結され、前記ピストンは吐出ケーシングに形成されたシリンダ内を往復動するように構成され、前記ピストンの背面空間及び前面空間の圧力を調整することで、前記スライド弁の位置を制御するように構成し、前記ピストンの前面空間には給油バルブ及び給排油管路を介して吐出側の高圧油を導き、前記ピストンの背面空間は吸込空間側に連通させ、更に前記給油バルブと前記ピストン前面空間を接続する前記給排油管路から分岐する排油管路を設けると共に、この排油管路には排油バルブを設けていることを特徴とするスクリュー流体機械。
  11. 請求項10に記載のスクリュー流体機械において、スクリュー流体機械の運転を停止する際には、前記排油バルブを閉にすると共に、前記給油バルブについては、開状態であった場合には閉に、閉状態であった場合には一旦開にした後に閉にするように制御することを特徴とするスクリュー流体機械。
  12. 請求項10に記載のスクリュー流体機械において、前記ピストン前面空間には、前記スライド弁を最小容量位置側へ移動させるように作用するバネを設けていることを特徴とするスクリュー流体機械。
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