JP6342557B1 - 地盤改良工法における安定処理土の品質評価方法および地盤改良装置 - Google Patents

地盤改良工法における安定処理土の品質評価方法および地盤改良装置 Download PDF

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Abstract

【課題】混合撹拌装置による安定処理土の混合状態をリアルタイムで評価しつつ、深度方向での混合状態の評価精度や評価結果のさらなる信頼性の向上を図る。【解決手段】混合撹拌ヘッドのうち深度方向の異なる位置に取り付けた複数の導電率センサにより安定処理土の混合状態を所定のサンプリング周期で個別に計測する(ステップS1)。各導電率センサでの計測結果を統計処理して前記安定処理土の混合状態の深度方向での統計的ばらつきとして変動係数を求める(ステップS2〜S4)。求めた変動係数と予め設定した目標値とを比較して、安定処理土の混合状態の適否判定を行う(ステップS5)。求めた変動係数および目標値と共に、適否判定結果をモニターに可視表示する(ステップS6)。【選択図】図6

Description

本発明は、地盤改良工法における安定処理土の品質評価方法とその品質評価方法に用いる地盤改良装置に関する。
この種の技術として、例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。
この特許文献1に記載された技術では、いわゆるロータリー式またはトレンチャー式の混合撹拌装置の深度方向の複数箇所に比抵抗計測器を取り付けて、その比抵抗計測器による比抵抗実測値を監視することにより、混合撹拌装置での築造中のソイルセメント体(地盤土壌と改良材または固化材との混合体)の混合撹拌状態をリアルタイムで把握することができるとされている。特に、地盤土壌と固化材とが均質に混合撹拌された状態の電気比抵抗を基準電気比抵抗として設定しておき、上記の各比抵抗実測値が基準電気比抵抗を下回ったことを確認することで、対象地盤の深度方向全域に基準電気比抵抗を満足する均質なソイルセメント体を築造することが可能となるとされている。
特開2017−89159号公報
しかしながら、特許文献にて電気的パラメータとして使用している築造中のソイルセメント体の比抵抗実測値は、原地盤の含水比、粒度分布、比重、物理特性等の土質性状によって異なる値を示す。特に、異なる土質性状を示す原土にて構成される互層地盤をトレンチャー式の混合撹拌翼による混合撹拌装置にて鉛直に混合撹拌するようなケースにおいては、原土のみを均質に混合撹拌した原土での比抵抗実測値は、混合撹拌装置が僅かに移動しただけで異なる結果を示す。
例えば図13に示す表は、1日の施工量として約50m2程度(深度6m程度)のエリアにおいて採取したいくつかの試料土の性状及び導電率の結果を示したものであり、試料土1〜4までの導電率は大きく違う値を示した。なお、導電率は比抵抗の逆数である。
よって、混合撹拌装置の移動と共に対象地盤(原土)が異なる数値を示す中で、築造されたソイルセメント体の比抵抗実測値を対象地盤の深度方向全域に基準電気比抵抗を満足させるように混合撹拌作業をした場合、未だ混合撹拌状態(地盤土壌と改良材または固化材との混ざり具合)が不十分であったり、十分過ぎる品質となっている可能性がある。なお、十分過ぎる混合撹拌は無駄で不経済な作業にほかならない。
また、地盤改良前の比抵抗実測値が大きく異なる場合、改良材の添加量により比抵抗の変化量(変化率)も異なるため、必然的に改良材を添加した後の比抵抗実測値の値も大きく異なってくる可能性が高い。図14は図13の示した試料土1〜4に定量の改良材を添加した場合の導電率の変化を示している。この図14においても上記の傾向が顕著に表れている。
したがって、上記特許文献1に開示された技術では、予め定めた基準比抵抗とソイルセメント体の深度方向での各比抵抗実測値との個別比較による絶対評価とも言うべき評価であって、上述したように少し土質が違うだけで、改良材を添加する前の比抵抗実測値や改良材を添加した場合の変化率が異なるため、特に深度方向での評価精度や評価結果の信頼性の面でなおも改善の余地を残している。
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、混合撹拌装置による混合状態をリアルタイムで監視しつつ、深度方向での混合状態の評価精度や評価結果のさらなる信頼性の向上を図った地盤改良工法における安定処理土の品質評価方法および地盤改良装置を提供するものである。
本発明は、上下方向に周回移動するトレンチャー式の混合撹拌翼を備えた混合撹拌ヘッドを地中に所定深度まで貫入したうえで、固化材の吐出のほか前記混合撹拌翼による原位置土の掘削およびその原位置土と固化材との混合撹拌を行い、地盤改良のための流動化した安定処理土を造成する過程にて、その安定処理土の混合状態を計測してリアルタイムで評価する方法である。
その上で、前記混合撹拌ヘッドのうち深度方向の異なる複数箇所に取り付けた混合状態計測手段により前記安定処理土の混合状態を特定の電気的パラメータとして所定のサンプリング周期で個別に計測するとともに、その計測結果を蓄積し、前記計測と並行して、前記蓄積した所定時間分前記計測結果を統計処理して前記安定処理土の混合状態の深度方向でのばらつきを前記特定の電気的パラメータの統計的ばらつきとして求め、この求めた統計的ばらつきと予め定めておいた前記統計的ばらつきの目標値とを比較して、前記安定処理土の混合状態の適否判定を行うことを特徴とするものである。
すなわち、本発明では、上記のように、複数の混合状態計測手段により計測された計測結果を統計処理して、安定処理土の混合状態の深度方向での統計的ばらつき(例えば変動係数や標準偏差)に置き換えて、安定処理土の混合状態の評価指標としている。
より望ましい態様としては、統計的ばらつきは変動係数とする。
また、安定処理土の混合状態は、混合撹拌ヘッドを操作するオペレータに依存することになるので、望ましい態様としては、安定処理土の混合状態の適否判定結果を、混合撹拌ヘッドを操作するオペレータに告知するものとする。
より望ましい態様としては、安定処理土の混合状態の適否判定結果は適または不適であって、適否判定結果が不適であるにもかかわらず、なおも混合撹拌ヘッドを掘進移動させようとした場合に、混合撹拌ヘッドを操作するオペレータに警告を発するものとする。
また、各混合状態計測手段による計測結果の向上を図る上で望ましい態様としては、前記安定処理土の混合撹拌直後の流動値をテーブルフロー値にて115mm以上とする。
上記の安定処理土の品質評価方法に用いる好ましい地盤改良装置としては、前記混合撹拌ヘッドと、前記各混合状態計測手段と、に加えて、前記各混合状態計測手段の計測結果を蓄積した上で統計処理を行って、前記安定処理土の混合状態の深度方向でのばらつきを前記特定の電気的パラメータの統計的ばらつきとして求める一方、この求めた統計的ばらつきと予め定めておいた前記統計的ばらつきの目標値とを比較して、前記安定処理土の混合状態の適否判定を行う品質管理装置をさらに備えているものとする
より望ましくは、前記品質管理装置に加えて、少なくとも前記統計処理で求めた前記統計的ばらつきと前記目標値とを表示する表示手段をさらに備えているものとする。
同様に、望ましくは、表示手段は、統計処理で求めた統計的ばらつきと予め定めた目標値とに加えて、安定処理土の混合状態の適否判定結果を表示するようになっているものとする。
さらに望ましくは、安定処理土の混合状態の適否判定結果は適または不適であって、品質管理装置は、適否判定結果が不適であるにもかかわらず、なおも前記混合撹拌ヘッドを掘進移動させようとした場合に、混合撹拌ヘッドのオペレータに警告を発するものとする。
同様に、安定処理土の混合状態をより正確に計測する上での望ましい態様としては、混合撹拌ヘッドの主体となるポストの上下両端部に駆動輪と従動輪とが設けられていると共に、それらの駆動輪と従動輪との間に混合撹拌翼が巻き掛けられていて、各混合状態計測手段は、混合撹拌ヘッドの平面視において、張り側となる混合撹拌翼と緩み側となる混合撹拌翼とで挟まれた領域であって且つポストの側面に取り付けられているものとする。
本発明によれば、深度方向での取付位置が異なる複数の混合状態計測手段により造成中の安定処理土の混合状態をリアルタイムで計測し、それらの複数の混合状態計測手段の計測結果を統計処理して統計的ばらつきを求め、この統計的ばらつきを評価指標として造成中の安定処理土の混合状態を評価するようにしたため、従来の方式に比べて、安定処理土の深度方向での混合状態の評価精度が向上すると共に、その評価結果の信頼性も向上する。
本発明に係る安定処理土の品質評価方法に用いられる地盤改良装置の概略構造の一例を示す側面説明図。 図1に示した混合撹拌ヘッド5の右側面図。 図2のa−a線に沿った拡大断面説明図。 品質管路装置の機能ブロック図。 図3に示した混合状態計測器の拡大図。 図4に示した品質管理装置での処理手順の一例を示すフローチャート。 図1,4に示したモニターでの表示例を示す説明図。 図7に示したモニターでの表示例をグラフ化した説明図。 深度方向で異なる位置での一軸圧縮強度と導電率との関係を示す図。 図9の一軸圧縮強度と導電率をグラフ化した説明図。 図9の最下段の変動係数をグラフ化した説明図。 2極式の導電率(比抵抗)センサの原理を示す説明図。 いくつかの試料土の土質性状及び導電率の値を示す図。 図13の示した試料土1〜4に定量の改良材を添加した場合の導電率の変化を示すグラフ。
図1以下の図面は本発明に係る安定処理土の品質評価方法を実施するためのより具体的な形態を示し、特に図1は上記安定処理土の品質評価方法に用いられる地盤改良装置の概略構造の一例を示している。また、図2は図1に示した混合撹拌ヘッド5の右側面説明図を、図3は図2のa−a線に沿った拡大断面説明図をそれぞれ示している。
図1に示す地盤改良装置は、汎用型の建設機械の一つである無限軌道(履帯)式またはクローラ式のショベル系掘削機械、例えば履帯1aを有する油圧ショベルもしくはバックホウ等をベースマシン(母機)1としている。ベースマシン1の旋回ベース2には揺動式(起伏式または起倒式)のブーム3が搭載されており、そのブーム3の先端には同じく揺動式のアーム4が連結されている。そして、アーム4の先端には、アタッチメントとして地盤改良の対象となる原位置土の掘削と固化材(地盤改良材または添加材)との混合撹拌のための混合撹拌ヘッド5が着脱可能に装着されている。
図1のほか図2,3に示すように、混合撹拌ヘッド5は、剛性の高いフレーム6を母体としていて、このフレーム6は、幅広で且つ略二股状のヨーク部6aと、ヨーク部6aの下部に連結された真直で略角柱状のポスト6bとから構成されている。ヨーク部6aの上端のブラケット部6cはアーム4の先端に着脱可能に連結される。
そして、フレーム6の上部に設けた例えば油圧モータ7駆動のチェーンスプロケットタイプの駆動輪8と、同じくフレーム6の下部に設けた従動輪9との間に、エンドレス(無端状)のドライブチェーン10(図3参照。)を巻き掛けてある。また、ドライブチェーン10には当該ドライブチェーン10の長手方向とほぼ直交するように図3に示す複数の比較的幅広の混合撹拌翼11を略等ピッチで装着してあり、これらの複数の混合撹拌翼11がいわゆるトレンチャータイプのものとしてドライブチェーン10と共に上下方向に周回駆動されることになる。なお、混合撹拌翼11にはその長手方向に沿って複数の掘削刃であるカッタービット11aを設けてある。
さらに、フレーム6の先端部(下端部)には吐出ノズル12を設けてあり、この吐出ノズル12には例えば水と固化材としての粉体状のセメントとを予め混ぜ合わせたスラリ状の固化材が圧送されるようになっている。これにより、吐出ノズル12から地中に向けてスラリ状の固化材を吐出・噴射することが可能となっている。
なお、ドライブチェーン10は、フレーム6に設けた複数のガイドローラ13により所定の張力が付与された状態で案内・支持されている。なお、かかる構造の混合撹拌ヘッド5は、例えば特開2005−307675号公報等において公知の構造のものである。
このような構造の混合撹拌ヘッド5を用いて地盤改良のための安定処理土の造成を行う場合、一般的には、ドライブチェーン10とともに複数の混合撹拌翼11を上下方向に周回駆動させる一方で、図1に示すように混合撹拌ヘッド5全体を例えばブーム3やアーム4の揺動力(揺動動作方向の力)を利用して直立姿勢にて地中に貫入する。そして、吐出ノズル12からスラリ状の固化材を吐出しながら、いわゆる横行移動させるべく改良壁体の構築方向、すなわち図3に符号bで示す掘進方向に徐々に掘進させることになる。これにより、複数の混合撹拌翼11により掘削された原位置土が同じく複数の混合撹拌翼11によりスラリ状の固化材と混合撹拌されて、混合撹拌ヘッド5の掘進方向後方側に連続した安定処理土による改良壁体が構築されることになる。
この場合において、図3に示した混合撹拌ヘッド5におけるドライブチェーン10の張り側と緩み側に相当する部位であって複数の混合撹拌翼11による掘削と混合撹拌にあずかる部位、すなわち混合撹拌翼11の上下方向での周回移動面(改良壁体の構築方向前方側に面する周回移動面と構築方向後方側に面する周回移動面)は改良壁体の構築方向と直交したものとなる。そして、改良壁体の構築方向前方側に面する周回移動面を上向きとするか下向きとするかは、地盤の硬さや土質性状に応じて決定する。
ここで、地盤改良のための造成中の安定処理土の混合撹拌状態(原土と添加された固化材との混ざり具合のことで、以下、単に混合状態と言う。)、特に深度方向での混合状態が可及的に均質なものとなるように管理することが重要である。そのために、混合撹拌ヘッド5におけるフレーム6のポスト6bには、地中貫入状態において深度が異なる複数箇所、図1,2の例ではポスト6bの上部、中間部および下部の三箇所に、それぞれ混合状態計測手段としての混合状態計測器14A,14B,14Cが設けられている。なお、これらの混合状態計測器14A〜14Cは、深度が異なる少なくとも二箇所に設置されていれば良いが、深度方向での混合撹拌状態が可及的に均質なものとなるように管理する上では、深度方向の三箇所以上に設置されていることが望ましい。
さらに、図1に示したベースマシン1の旋回ベース2には施工管理装置を兼ねた品質管理装置15が搭載されていると共に、オペレータの操作による品質管理のために必要な情報を可視表示するための表示装置(表示手段)としてモニター16がキャビンに設置されている。そして、混合撹拌ヘッド5による安定処理土の造成中において、混合撹拌ヘッド5側の各混合状態計測器14A〜14Cの計測出力がリアルタイムで品質管理装置15に取り込まれるようになっている。
品質管理装置15は汎用のパーソナルコンピュータをもって構成されているものであり、例えば図4に示すように、制御機能部17と出力制御部18を備えている。制御機能部17は、データ蓄積部19、統計処理部20、目標値設定部21、比較判定部22、警報制御部23等を備えている。そして、制御機能部17には、後述する統計処理部20での各種統計処理等に必要なソフトウエアが予めインストールされていると共に、出力制御部18がモニター16での表示制御を司っている。なお、品質管理装置15はモニター16と一体化されたタイプのものであっても良く、その場合にはモニター16と一体化された品質管理装置15がキャビンに設置される。
各混合状態計測器14A〜14Cはいずれも同じ構造のものであり、図5は図3に示した混合状態計測器14Bを上から見た拡大図を示している。各混合状態計測器14A〜14Cは、図5に示すように、略偏平角錐台形状の台座24の二面に導電率センサ25,26を装着したものであり、各導電率センサ25,26は絶縁性を有するホルダー27を介して二つで一組(一対)の電極28a,28bが露出するように埋設されているものである。そして、各混合状態計測器14A〜14Cは、各導電率センサ25,26の電極28a,28bの露出面が図3に示す掘進方向bを指向するように混合撹拌ヘッド5におけるフレーム6のポスト6bの側面に固定される。故に、各混合状態計測器14A〜14Cは、いわゆる二極式の導電率センサを二組備えたものと理解することができ、二つの導電率センサ25,26は図3に示した混合撹拌ヘッド5の掘進方向に応じて選択的に使い分けられる。
地盤改良のための造成中の安定処理土は、所定の抵抗値を有する電気抵抗体とみなすことができ、各導電率センサ25,26では、実際には一対の電極28a,28b間の比抵抗を検出している。より具体的には、図5に示した導電率センサ25,26では、後述するように、安定処理土の中に臨ませた一対の電極28a,28b間に電流を流した時のその経路の電圧(電位差)を計測して抵抗値を求め、電流が流れた経路の長さや断面積を考慮した比抵抗ρ(Ω m)を電気的パラメータとして検出している。
そして、本実施の形態では、比抵抗実測値をそのまま使用することなく、比抵抗の逆数が導電率であることから、各導電率センサ25,26によって検出された実測値は、図示を省略した変換器を経由することで、比抵抗実測値の逆数である導電率に変換された上で品質管理装置15に取り込まれる。なお、比抵抗実測値の逆数である導電率への変換は品質管理装置15側で行うことも可能である。
また、図3に示すように、混合撹拌ヘッド5におけるフレーム6のポスト6bの両側面に、そのポスト6bをはさんで対向するように二つの混合状態計測器14Bを取り付けておき、これらを選択的に使用するようにしても良い。さらに、必要に応じて、各混合状態計測器14A〜14Cを構成している二極式の導電率センサ25,26に代えて、三極式または四極式の導電率センサのほか、導電率計あるいは導電率センサ(例えば、電磁誘導式の導電率センサ)として一般に市販されており、導電率実測値をそのまま出力できるタイプのものを使用することも可能である。この導電率実測値をそのまま出力できるタイプの市販品の導電率計あるいは導電率センサを使用する場合には、上記の変換器は不要である。
各混合状態計測器14A〜14Bの取付態様としては、造成中の安定処理土の混合状態の計測に際して、混合撹拌中の流動化状態となっている安定処理土と各導電率センサ25,26の電極28a,28bとの間に空隙が生じることなく、完全に密着させることが求められる。よって、各混合状態計測器14A〜14Cの取り付け位置は、図3に示すように、混合撹拌ヘッド5の平面視において、張り側となるトレンチャー式の混合撹拌翼11と緩み側となるトレンチャー式の混合撹拌翼11とで挟まれた領域であって、且つ混合撹拌ヘッド5の掘進方向と平行となるポスト6bの側面に取り付けることが望ましい。
さらに、上記のように、混合撹拌中の流動化状態となっている安定処理土と各導電率センサ25,26の電極28a,28bとの間に空隙が生じることなく、完全に密着させることが必要であることから、各混合状態計測器14A〜14Cの母体となる台座24は略偏平角錐台形状のものとし、その傾斜面に導電率センサ25,26の電極28a,28bが露出するように配置している。そして、例えば混合撹拌ヘッド5が図3の左方向に移動する場合には、一方の導電率センサ25が使用され、他方、混合撹拌ヘッド5が図3の右方向に移動する場合には、他方の導電率センサ26が使用される。この場合に、必要に応じて双方の導電率センサ25,26を同時使用することも可能である。
一方、導電率センサ25,26と安定処理土の密着には、安定処理土の流動値を流動化させることが望ましく、その基準としては安定処理土の混合撹拌直後の流動値をテーブルフロー値にて115mm以上とすることが望ましい。導電率センサ25,26と安定処理土の密着性のみを考慮するならば、テーブルフロー値は高い方が望ましいが、セメントミルク等の固化材にて原位置土の強度増加を図るような地盤改良工事においては、同一添加量における安定処理土の発現強度と混合撹拌時のテーブルフロー値(流動値)とは反比例することが知られている。そこで、上記テーブルフロー値の115mmは、安定処理土の液性限界値をテーブルフロー値の下限値の目安としたものである。
先に述べた各混合状態計測器14A〜14Cの取り付け位置の具体例として、例えば深度10m、厚さ1mの土留め壁を造成する地盤改良に際して、長さ11m、幅1mの混合撹拌ヘッド5を使用するケースを想定してみる。この場合、上端部の混合状態計測器14Aは、混合撹拌ヘッド5の下端部より9.0m付近(GL−1.0m付近)の上層部相当位置に取り付ける。また、中間部の混合状態計測器14Bは、混合撹拌ヘッド5の下端部より5.0m付近(GL−5.0m付近)の中層部相当位置に取り付ける。同様に、下端部の混合状態計測器14Cは、混合撹拌ヘッド5の下端部より1.0m付近(GL−9.0m付近)の下層部相当位置に取り付ける。
図4に示したように、混合撹拌ヘッド5による安定処理土の造成中において、各混合状態計測器14A〜14C導電率センサ25,26での計測出力である実測値が導電率に変換された上で品質管理装置15にリアルタイムで取り込まれて蓄積されることになる。この品質管理装置15では、当該品質管理装置15にリアルタイムで入力される導電率データを所定の周期でサンプリングして蓄積した上で必要な統計処理を行って、安定処理土の混合状態の品質評価の指標である統計的ばらつきを算出する。そして、算出した統計的ばらつきと目標値とを比較することで、その時点での安定処理土の品質評価として、混合状態の適否判定を行うものとする。
ここで、上記土留め壁を1時間当たり施工土量40m3として造成する場合の、1分間あたりにおける混合撹拌ヘッド5の掘進距離を以下にて求めてみる。
掘進距離={時間あたり施工土量÷(土留め壁深度×厚さ)}÷(1時間)
={40÷(10×1)}÷60≒0.066m/分
造成中の安定処理土の混合状態の評価判定頻度は小さければ小さいほど好ましい。その一方、土留め壁の造成をしつつその安定処理土の混合状態の計測をリアルタイムで行い、その結果をもって当該安定処理土の混合状態を評価判定しつつ、その評価判定に従いながら混合撹拌ヘッド5の掘進操作を行うことを考慮すると、その評価判定頻度は1分〜5分に1回程度の頻度にて行われれば良い。少なくとも、1回/5分間の頻度にて評価判定されたとしても、概ね33cmに1回の割合(頻度)にて、混合撹拌中の安定処理土の混合状態を確認しつつ土留め壁の造成を行うこととなり、土留め壁としての品質は十分に確保されるものと推測される。
本実施の形態では、先に述べた三箇所の混合状態計測器14A〜14Cにおける導電率センサ25,26の実測値に基づく導電率データのサンプリングを1秒ごとに行うものとし、図4に示した品質管理装置15ではサンプリングした1分間ごとの導電率データを蓄積した上で、その都度、図6に示すような手順で統計処理を行って統計的ばらつきである変動係数を求めた上で、目標値と比較することで、混合状態の適否判定までも行うものとする。なお、導電率データのサンプリング周期は任意に設定可能である。
図6のステップS1では、各混合状態計測器14A〜14Cごとに、導電率センサ25,26の計測出力を1秒ごとにサンプリングして、1分間分の60個のサンプリングデータである導電率データを蓄積・記憶する。
次のステップS2では、各混合状態計測器14A〜14Cごとに、1分間分の60個のサンプリングデータである導電率データを母集団として、その1分間の平均値を各混合状態計測器14A〜14Cごとに求める。
ステップS3では、三つの混合状態計測器14A〜14C全体としての1分間分の180個(60個×3)のサンプリングデータである導電率データを母集団として、その1分間の平均値と標準偏差を求める。
ステップS4では、先のステップS3で求めた平均値と標準偏差とに基づいて、三つの混合状態計測器14A〜14C全体としての総合的な統計的ばらつきである変動係数(%)を求める。なお、変動係数は、標準偏差を平均値で除した値である。
ここで、上記変動計数に関して、その目標値(しきい値または設定基準値)を、実験的且つ経験的に予め求めて、品質管理装置15の目標値設定部21に記憶・設定しておくものとする。
その上で、図6のステップS5では、先に求めた変動計数と上記目標値とを比較して、造成中の安定処理土における混合状態の適否判定を行う。この適否判定は、適(OK)または不適(NG)をもって行う。
そして、次のステップS6では、先に求めた各混合状態計測器14A〜14Cごとの導電率データの平均値と、先に統計的ばらつきとして求めた変動係数、および上記目標値と共に、上記の適否判定結果を図1,4に示したモニター16に可視表示して、オペレータの操作による混合撹拌ヘッド5の掘進操作に供するものとする。
図7の(A),(B)は上記モニター16での画面表示の一例を示している。同図(A)は、安定処理土の混合状態の評価指標である変動係数の目標値が例えば15%である場合に、各混合状態計測器14A〜14Cにおける導電率センサ25,26の導電率データに基づいて実際に求めた変動係数が45%である場合であって、その時点での混合状態の適否判定結果は不適(NO)と表示される。同図から明らかなように、深度位置が異なる三つの混合状態計測器14A〜14Cにおける導電率センサ25,26の導電率データの平均値が大きくばらついているために、それらの導電率データから総合的に求めた変動係数が目標値を大きく逸脱しているものと理解される。
そこで、オペレータは、図1,4のモニター16での画面表示を確認しながら、変動係数が目標値を充足するまで、混合撹拌ヘッド5を掘進させることなく定位置にて混合撹拌処理を継続する。
その一方、同図(B)は、安定処理土の混合状態の評価指標である変動係数の目標値が例えば15%である場合に、各混合状態計測器14A〜14Cにおける導電率センサ25,26の導電率データに基づいて実際に求めた変動係数が15%となった場合であって、その時点での混合状態の適否判定結果は適(OK)と表示される。同図から明らかなように、深度位置が異なる三つの混合状態計測器14A〜14Cにおける導電率センサ25,26の導電率データの平均値のばらつきが同図(A)に比べて小さくなっているために、それらの導電率データから総合的に求めた変動係数が目標値と一致しているものと理解される。
こうして、造成中の安定処理土の混合状態の指標である変動係数の適否判定結果が適(OK)となったならば、オペレータは混合撹拌ヘッド5を所定量だけ横行させるように掘進移動させて、同様の作業を行うことになる。
ここで、付加機能として、図4に示したモニター16の近くに、例えば赤色灯等の警報装置16aを設置してある。
そして、例えば図7の(A)に示したように、混合状態の適否判定結果が不適(NG)であるにもかかわらず、オペレータが混合撹拌ヘッド5を掘進移動させようとした場合には、図6のステップS7に示すように、警告音と共に警報装置16aを点灯させて警告を発し、従前の位置での混合撹拌作業を継続して行うようにオペレータに促すものとする。なお、警告音と共に警報装置16aを点灯させて警告を発するか否かは、図1,4に示したように、ベースマシン1側の可動部位置情報、例えばベースマシン1の旋回ベース2やブーム3あるいはアーム4等の可動部の位置情報や、オペレータが操作するキャビン内の操作レバーの位置情報と、上記の適否判定結果を図4の警報制御部23で照合することで決定する。
図8の(A)は、図7の(A)の画面表示での数値をグラフ化したものを示していて、同様に、図8の(B)は、図7の(B)の画面表示での数値をグラフ化したものを示している。これらの図8の(A),(B)から明らかなように、同図(A)に比べて同図(B)の方が導電率のばらつきが収束化する傾向にあることが容易に理解できる。
ここで、図7の(A),(B)での画面表示における三つの混合状態計測器14A〜14Cの導電率データの平均値の数値そのものはそれほど大きな意味を有していない。その理由は、造成中の安定処理土の品質(混合状態)としては、特に深度方向での差が少なく均質化さていることが重要であり、図7の(A),(B)での画面表示における三つの混合状態計測器14A〜14Cの導電率データの平均値が互いに一致しないまでも、それらの平均値が互いに近似したものとなるならば所期の目的を達成できるからである。そのために、本実施の形態では、造成中の安定処理土の混合状態の評価指標である統計的ばらつきとして、三つの混合状態計測器14A〜14Cでの導電率データの平均値同士の相対比較が考慮された変動係数を用いている。
なお、図7の(A),(B)共に、深度方向の最下層での混合状態計測器14Cの導電率データの平均値が最も大きく表示されるのは、混合撹拌ヘッド5の下部の吐出ノズル12(図1,2参照)から固化材を連続的に吐出している故に、下層ほど固化材の浸透が促進されやすいためで、この傾向は工法上、不可避とされる。
混合撹拌中の安定処理土の混合状態(混ざり具合)の良し悪しは、一般的には、安定処理地盤の全層(下層部、中層部、上層部)における一軸圧縮強さのばらつき(深度方向での強度差)にて評価判定する。その評価判定を、一軸圧縮強さのばらつきに代えて、上記導電率の統計的ばらつきである変動係数にて行うにあたり、三つの施工箇所(A、B、C)にて、原位置土(原土)とスラリ状の固化材とを混合撹拌して、その混合撹拌中の安定処理土の電気的パラメータである導電率と所定の養生後のコアーボーリングによる供試体での一軸圧縮強さとの比較調査を行ってみた。
それぞれの施工箇所(A、B、C)における固化材添加量(kg/m3)と時間あたり施工量(m3/h)を以下に示す。
・A:添加量100kg/m3、単位時間あたり施工量60m3/h
・B:添加量150kg/m3、単位時間あたり施工量50m3/h
・C:添加量200kg/m3、単位時間あたり施工量40m3/h
この場合において、上記条件下における混合撹拌中の安定処理土の導電率の計測結果とその深度に相当する位置(深度)での安定処理土の一軸圧縮強さの結果を図9の表に示す。なお、導電率の計測結果は、先に述べた三つの混合状態計測器14A〜14Cにおける各導電率センサ25,26にて計測したものである。
それぞれの施工箇所における導電率と一軸圧縮強さの平均値は、施工箇所Aの導電率は392.4mS/m、一軸圧縮強さは355.0kg/m2、施工箇所Bの導電率は434.7mS/m、一軸圧縮強さは538.7kg/m2、施工箇所Cの導電率は521.9mS/m、一軸圧縮強さは761.9kg/m2、との結果となった。
これらの計測結果をグラフ化したものを図10に示す。また、計測結果の比較から把握できる相関の傾向を以下に示す。
・固化材添加量の変化:A<B<C
・単位時間あたり施工量の変化:A>B>C
・平均導電率の変化:A<B<C
・平均一軸圧縮強さの変化:A<B<C
・導電率の深度方向のばらつき(変動係数):A>B>C
・一軸圧縮強さの深度方向のばらつき(変動係数):A>B>C
すなわち、上記計測結果の比較より得られた特徴は以下の通りとなる。
・固化材の添加量と平均導電率および一軸圧縮強さは正比例する。
・単位時間あたり施工量と平均導電率および一軸圧縮強さは反比例する。
・単位時間あたり施工量と導電率の深度方向のばらつきは正比例する。
・単位時間あたり施工量と一軸圧縮強さの深度方向のばらつきは正比例する。
・導電率の深度方向のばらつきと一軸圧縮強さの深度方向のばらつきは正比例する。
図9の表の最下段には、三つの混合状態計測器14A〜14Cの各導電率センサ25,26における計測結果より求めた変動係数(深度方向でのばらつき)が記されている。その変動係数を、グラフ化したものが図11である。このグラフからも、深度方向のばらつきを示す導電率(ec)と一軸圧縮強さ(qu)の変動係数は概ね正比例を示している。
つまり、先の実施の形態のように、安定処理土の電気的パラメータである導電率を計測して、その統計的ばらつきである変動係数により、混合撹拌中の安定処理土の品質である混ざり具合(混合状態)を評価判定することはきわめて有効であることが理解できる。
次に、先の実施の形態における統計的ばらつきである変動係数の目標値について検討してみる。
上記のような導電率の統計的ばらつきである変動係数に関して、その目標値を予め定めた上で、統計処理により実際に求めた変動係数を予め定めた目標値と比較してその適否判定を行うならば、上記のように混合撹拌中の安定処理土の混合状態の評価を定量的に且つがスムーズに行うことが可能となる。
この目標値の設定には、経験的な数値を目標値として決定する方法と、地盤改良工事の着手前に試験施工を行って目標値を決定する方法がある。前者の方法は、通常の地盤改良工事における品質のばらつき(先に例示した一軸圧縮強さのばらつき)は、変動係数にて20%〜40%程度の範囲内に収まれば、良好であると言われている。混合撹拌中の安定処理土の導電率の統計的ばらつきである変動係数と、安定処理土の発現強度のばらつきの変動係数(一軸圧縮強さの変動係数)との間には概ね相関(正比例している)があることは先に述べた通りである。これらの経験的なバロメータより、当該安定処理土の変動係数の目標値として、一軸圧縮強さの変動係数を下回る20%以下とするならば、十分に良好な品質が得られることとなる。
後者による方法は、次の(1)〜(3)の通りとする。
(1)当該現場での代表的な地層と思われる地盤(原位置)にて、当該地盤における混合撹拌中の流動化状態となっている安定処理土の電気的パラメータとして導電率を計測する。
(2)試験施工では、事前試験にて決定したスラリ状の固化材(水/固化材比、添加量等)と原位置土との混合撹拌を行う。
(3)試験施工にて得られた導電率を、実際の混合撹拌時における導電率の目標値(しきい値または設定基準値)とする。なお、試験施工にて得られた深度方向に異なる導電率のばらつき(例えば変動係数)を目標値としても良い。
さらに、上記以外の方法として、当該地盤改良工事の目的(品質レベル)に応じて変動係数の目標値を予め定めておく方法もある。例えば、要求品質レベルに応じた安定処理土の発現強度(一軸圧縮強さ)の変動係数として、品質ランク1(トップレベルの品質)の変動係数は20%以下、品質ランク2(中位程度の品質)の変動係数は30%以下、品質ランク3(必要な性能の最低限を確保する品質)の変動係数は40%以下、と定めることがある。
この場合において、先にも述べたように、上記安定処理土の発現強度(一軸圧縮強さ)の変動係数と導電率の変動係数との間には相関があることから、上記品質ランクに対して、安定処理土の発現強度(一軸圧縮強さ)の変動係数に応じて導電率の変動係数の目標値を定めるものとする。ただし、導電率の変動係数は当該原土の土質性状によっても敏感に変動するものであることを考慮して、導電率の変動係数の目標値としては、上記発現強度(一軸圧縮強さ)の変動係数を下回る値とすることが望ましい。例えば、品質ランク1の場合の導電率の変動係数の目標値は15%以下、品質ランク2の場合の導電率の変動係数の目標値は25%以下、品質ランク3の場合の導電率の変動係数の目標値は35%以下、の如くである。
このように本実施の形態によれば、造成中の安定処理土の品質である混合状態の評価指標として、深度方向で異なる位置に設けた三つの混合状態計測器14A〜14Cの導電率センサ25,26で収集した導電率データの変動係数を求めて、この求めた変動係数と目標値とを比較することで、混合状態の適否判定を行うようにしている。そのため、造成中の安定処理土の品質である混合状態の評価結果、ひいては適否判定結果の精度および信頼性が従来に比べて高いものとなり、混合状態の過不足の発生を抑制することができる。その結果として、コスト的にも有利な施工を行えることになる。
ここで、図7に示したモニター16での画面表示項目の全ては必ずしも必須ではなく、少なくとも適否判定結果である不適(NG)または適(NO)の表示だけでも所期の目的を達成することができるほか、適否判定結果の表示も、色の切り替え表示やランプの点灯・不点灯、あるいはブザーやアラームによる音での告知であっても良い。
また、本実施の形態では、各混合状態計測器14A〜14Cにおける2極式の各導電率センサ25,26は、実際には図5に示した一対の電極28a,28b間の比抵抗を検出していて、その比抵抗実測値を比抵抗の逆数である導電率に変換した上で品質管理装置15に取り込んでいることは先に述べた。
本実施の形態で計測対象としている造成中の安定処理土は、図12にも示すように、電気抵抗Rの電気抵抗体とみなすことができ、この電気抵抗の計測は、安定処理土の中に臨ませた一対の電極28a,28b間に電流を流し、その電流が流れた経路の電圧(電位差)を計測して抵抗Rを求めることになる。この抵抗Rは、電流が流れた経路の長さや断面積によって変わるので、断面積1m2、長さ1mの単位寸法にそろえたとき、その物体の抵抗を比抵抗ρ(Ω m)として検出している。そして、この比抵抗ρをその逆数である導電率(mS/m)に変換した上で先の統計的ばらつきの算出に必要な電気的パラメータとして使用している。
その一方で、図7の(A),(B)での画面表示における三つの混合状態計測器14A〜14Cにおいて、それらの個々の導電率センサ25,26の導電率データの平均値の数値そのものはそれほど大きな意味を有しておらず、造成中の安定処理土の品質(混合状態)としては、特に深度方向での差が少なく均質化さていることが重要であり、図7の(A),(B)での画面表示における三つの混合状態計測器14A〜14Cの導電率データの平均値が互いに一致しないまでも、それらの平均値が互いに近似したものとなれば良いこともまた先に述べた。
要するに、図7の(A),(B)での画面表示における三つの混合状態計測器14A〜14Cの電気的パラメータの平均値同士を相対的に比較して、それらの差が可及的に小さいものとなれば所期の目的は達成できることになる。
言い換えるならば、先に述べた導電率や比抵抗といった電気的パラメータに代えて、例えば先に述べた比抵抗を求める前の一対の電極28a,28b間の抵抗値や、定電流下での一対の電極28a,28b間の電圧、あるいは定電圧印加時の一対の電極28a,28b間の電流の大きさを電気的パラメータとしても所期の目的を達成することが可能である。つまり、先の実施の形態における混合状態計測器14A〜14Cとして、導電率センサ25,26に代えて、抵抗、電流、電圧等の他の電気的パラメータを計測する手段を用いることも可能である。
また、本実施の形態では、導電率に代表される電気的パラメータの統計的ばらつきとして変動係数を用いているが、他の統計的ばらつきとして、標準偏差や、範囲、平均差、平均絶対偏差等を用いることももちろん可能である。
さらに、本実施の形態では、地盤改良工法における安定処理土の造成を例にとって説明したが、必要に応じて、本発明は、例えば重金属や油等による汚染土壌と還元剤や浄化剤を混合撹拌して、汚染土壌の浄化を図る工法にも適用することができる。
1…ベースマシン
5…混合撹拌ヘッド
6…フレーム
6b…ボスト
10…ドライブチェーン
11…混合撹拌翼
14A〜14C…混合状態計測器
15…品質管理装置
16…モニター(表示手段)
16a…警報装置
25,26…導電率センサ
28a,28b…電極

Claims (10)

  1. 上下方向に周回移動するトレンチャー式の混合撹拌翼を備えた混合撹拌ヘッドを地中に所定深度まで貫入したうえで、固化材の吐出のほか前記混合撹拌翼による原位置土の掘削およびその原位置土と固化材との混合撹拌を行い、地盤改良のための流動化した安定処理土を造成する過程にて、前記安定処理土の混合状態を計測してリアルタイムで評価する方法であって、
    前記混合撹拌ヘッドのうち深度方向の異なる複数箇所に取り付けた混合状態計測手段により前記安定処理土の混合状態を特定の電気的パラメータとして所定のサンプリング周期で個別に計測するとともに、その計測結果を蓄積し、
    前記計測と並行して、前記蓄積した所定時間分前記計測結果を統計処理して前記安定処理土の混合状態の深度方向でのばらつきを前記特定の電気的パラメータの統計的ばらつきとして求め、
    この求めた統計的ばらつきと予め定めておいた前記統計的ばらつきの目標値とを比較して、前記安定処理土の混合状態の適否判定を行うことを特徴とする地盤改良工法における安定処理土の品質評価方法。
  2. 前記統計的ばらつきが変動係数であることを特徴とする請求項1に記載の地盤改良工法における安定処理土の品質評価方法。
  3. 前記安定処理土の混合状態の適否判定結果を、前記混合撹拌ヘッドを操作するオペレータに告知することを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良工法における安定処理土の品質評価方法。
  4. 前記安定処理土の混合状態の適否判定結果は適または不適であって、
    前記適否判定結果が不適であるにもかかわらず、なおも前記混合撹拌ヘッドを掘進移動させようとした場合に、前記混合撹拌ヘッドを操作するオペレータに警告を発することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の地盤改良工法における安定処理土の品質評価方法。
  5. 前記安定処理土の混合撹拌直後の流動値をテーブルフロー値にて115mm以上とすることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の地盤改良工法における安定処理土の品質評価方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の地盤改良工法における安定処理土の品質評価方法に用いる地盤改良装置であって、
    前記混合撹拌ヘッドと、前記各混合状態計測手段と、に加えて、
    前記各混合状態計測手段の計測結果を蓄積した上で統計処理を行って、前記安定処理土の混合状態の深度方向でのばらつきを前記特定の電気的パラメータの統計的ばらつきとして求める一方、この求めた統計的ばらつきと予め定めておいた前記統計的ばらつきの目標値とを比較して、前記安定処理土の混合状態の適否判定を行う品質管理装置をさらに備えていることを特徴とする地盤改良装置
  7. 前記品質管理装置に加えて、少なくとも前記統計処理で求めた前記計的ばらつきと前記目標値とを表示する表示手段をさらに備えていることを特徴とする請求項6に記載の地盤改良装置。
  8. 前記表示手段は、前記統計処理で求めた前記統計的ばらつきと前記目標値とに加えて、前記安定処理土の混合状態の適否判定結果を表示するようになっていることを特徴とする請求項7に記載の地盤改良装置。
  9. 前記安定処理土の混合状態の適否判定結果は適または不適であって、
    前記品質管理装置は、前記適否判定結果が不適であるにもかかわらず、なおも前記混合撹拌ヘッドを掘進移動させようとした場合に、前記混合撹拌ヘッドのオペレータに警告を発する機能を有していることを特徴とする請求項8に記載の地盤改良装置。
  10. 前記混合撹拌ヘッドの主体となるポストの上下両端部に駆動輪と従動輪とが設けられていると共に、
    それらの駆動輪と従動輪との間に前記混合撹拌翼が巻き掛けられていて
    前記各混合状態計測手段は、前記混合撹拌ヘッドの平面視において、張り側となる前記混合撹拌翼と緩み側となる前記混合撹拌翼とで挟まれた領域であって且つ前記ポストの側面に取り付けられていることを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の地盤改良装置。
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