JP2019031839A - 支持層到達判定方法及び判定支援システム - Google Patents
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以下、図1〜図8を用いて、支持層到達判定方法及び判定支援システムを具体化した第1の実施形態を説明する。本実施形態では、杭孔の掘削時の地盤の固さに関する値(固さ情報)として、削孔速度についての速度指標値及び振動の周波数分析値を用いる。更に、削孔速度についての速度指標値として、経過時間に応じた削孔速度(1分間の平均掘削深さ)を用いる。本実施形態では、掘削中に計測器から取得した削孔速度及び振動の判断指標値と、判定基準を作成するための先行掘削において取得した判断指標値(判定基準値)とを用いて、掘削中の削孔の支持層への到達を判定する。
流量計測器22は、掘削水供給装置から供給した掘削水の注入流量を計測する。
電流計測器23は、オーガマシン16の駆動モータの負荷電流を計測する。
振動計測器24は、振動計測部として機能し、取付場所における振動を測定する。本実施形態では、振動計測器24は、操作室13内、操作室13の屋根や操作室13内の操作レバーに取り付けられる。この振動計測器24は、上下方向の振動と水平方向の振動を計測する。
表示部26は、操作室13内に配置されるディスプレイ等を備え、各種データを表示する。
測定値管理部312は、記録部として機能し、各計測器(21〜24)から取得した計測値をメモリに蓄積し、所定時間毎の計測値を評価して、評価結果を特定する。具体的には、測定値管理部312は、実際に掘り進んだ時間帯(削孔時間帯)における速度指標値、電流値及び振動特性値を特定する。掘削ヘッド18は、固い地層等においては、掘り下げる直前に一旦、引き揚げられることがある。このため、掘削ヘッド18の実際の削孔深度は、図4(a)に示すように、経過時間に従って削孔深度が単調に増加するとは限らない。そこで、測定値管理部312は、掘削ヘッド18の引き揚げや停止の期間(図4(b)の網掛けの時間帯)を全体の作業時間から削除し、削孔のために実質的に用いられた削孔時間帯の計測値を特定する。測定値管理部312は、特定した削孔時間帯における計測値を連結して、図4(c)に示すグラフを生成する。
なお、本実施形態では、振動の判断指標値として、第1区間Δd及び第2区間ΔDにおける全周波数の振動の大きさを用いて算出する。
出力管理部315は、出力部として機能し、掘削時における各計測値や、算出した深度に応じた計測値を記載したグラフ等を、表示部26に表示する。
ここでは、図6(a)及び図7(a)に示す柱状図351及び深度−N値グラフ352が記録される。
図6(c)に示すように、深度−削孔速度グラフ362は、削孔深度を縦軸に、削孔速度を横軸にしたグラフである。この深度−削孔速度グラフ362は、一定掘削範囲(例えば、深さ30cm毎)を、この一定掘削範囲の削孔に要した時間で除算することにより算出される。
図7(c)に示すように、深度−振動解析グラフ366は、削孔深度に応じた振動特性値に関するグラフである。この深度−振動解析グラフ366は、削孔深度を縦軸に、周波数を横軸に用い、各周波数の振動の大きさに応じた濃度で表される。本実施形態では、水平方向の振動の大きさ及び上下方向の振動の大きさの平均値を濃度で示す。
図7(d)に示すように、振動の判断指標値グラフ376は、削孔深度(深さ)を縦軸に、振動の判断指標値を横軸にしたグラフである。
次に、図8を用いて、第2区間ΔDの長さの決定方法について説明する。ここでは、支持層や地層境界に到達したかの判定に用いる判断指標値が、支持層や地層境界に対応する深さにおいて、他の部分に比べて顕在化した値となるように第2区間ΔDの長さを決定する。
図中において、白三角形で示した深さは、柱状図351及び深度−N値グラフ352に対応して地層境界と判定された深さ(位置)であり、黒三角形で示した深さは、柱状図351及び深度−N値グラフ352に対応して支持層に到達したと判定された深さ(位置)である。
次に、図3〜図7に従って、以上のように構成された掘削機10を用いて、杭孔を掘削する処理について説明する。ここでは、工事現場の敷地において、複数の杭孔を掘削する場合を想定する。
まず、図3に示すように、掘削を行なう前に、ボーリング調査工程を実行する。このボーリング調査工程においては、公知のように、工事現場の敷地において、地質調査を行なう。この地質調査の際に取得した深度に応じた土試料の種類に応じて柱状図を生成する。また、予め定めた所定深度毎のN値を取得し、深度−N値グラフを生成する。
その後、各杭孔の掘削工程を行なう。この場合、判定基準グラフ355を生成する先行掘削工程と、生成した判定基準グラフ355を用いて支持層到達を判定する後続掘削工程とがある。先行掘削工程においては、ボーリング調査を行なった地点の近傍の杭孔を掘削する。以下では、まず、先行掘削工程について説明し、その後に、後続掘削工程について説明する。
この先行掘削処理において、削孔管理システム20のコンピュータ端末30は、オーガマシン16の駆動モータの回転を開始し、掘削ヘッド18を地中に挿入させて削孔を開始する。
ここで、掘削ヘッド18の引き抜きに応じた上昇を検知した場合、コンピュータ端末30の制御部31は、判定基準グラフの登録処理を実行する(ステップS2−6)。具体的には、制御部31の基準登録部311は、掘削状況情報記憶部36に登録した各グラフ(361〜376)を、判定基準グラフ355の各グラフ(R1〜R16)として、判定基準情報記憶部35に記録する。
次に、判定基準グラフ355を用いて支持層到達を判定する後続掘削工程について説明する。
次に、図4(d)を用いて、上述した計測値の評価処理(ステップS2−3)の詳細について説明する。
次に、図5(b)を用いて、判断指標値算出処理について説明する。
まず、コンピュータ端末30の制御部31は、長時間平均の算出処理を実行する(ステップS5−1)。具体的には、制御部31の判断指標値算出部314は、計算対象深さdの第2区間ΔDにおける削孔速度を算出する。
図6(a)及び図7(a)は、同じ図であり、柱状図と深度に応じたN値を示している。図6(b)及び図7(b)は、同じ図であり、深度−積分電流値グラフを示している。図6(c)は、深度−削孔速度グラフ、図6(d)は削孔速度の判断指標値グラフを示している。図7(c)は、深度−振動解析グラフ、図7(d)は、振動の判断指標値グラフを示している。
図6(c)に示すように、深度約11m過ぎにおいて、削孔速度が小さくなっている。固い層支持層を掘削する場合には、削孔速度が小さくなることがある。このため、この深度あたりで、固い層に到達したと判定することが可能である。
なお、この削孔速度の判断指標値を用いることにより、約9.5mあたり(図中に白三角形で示した深さ)の地層の変化も、柱状図351に対応して判定することができる。従って、図中に白三角形で示した深さが地層境界の位置である。
(1−1)本実施形態では、コンピュータ端末30の制御部31は、算出した削孔速度の判断指標値を、削孔速度の判断指標値グラフ372に含めて表示する。これにより、削孔速度の判断指標値を用いて、削孔速度の変化を効率的に把握することができる。従って、支持層到達を的確に判断することができる。
次に、図1〜図4、図9〜図12を用いて、支持層到達判定方法及び判定支援システムを具体化した第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、判断指標値を、第1統計値を第2統計値で除算して算出したが、本実施形態においては、t検定の確率を用いて算出する。このため、本実施形態において、上記第1実施形態と同様な部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図9(b)、図9(c)及び図9(d)においては、深さ11m過ぎに、大きな値における変曲点がある。そして、図9(e)に示す値(第1統計値と第2統計値との大小関係に応じた正負を付したt検定の逆数の対数の値)を、本実施形態では、判断指標値として用いる。
この処理において、まず、コンピュータ端末30の制御部31は、ステップS5−1,S5−2と同様に、長時間平均の算出処理(ステップS6−1)、短時間平均の算出処理(ステップS6−2)を実行する。
図11(a)及び図12(a)は、図6(a)と同じ図であり、柱状図と深度に応じたN値を示している。図11(b)は、深度−削孔速度グラフを示しており、図6(c)と同じ図である。図11(c)は、本実施形態における削孔速度の判断指標値グラフを示している。なお、比較のために、図11(d)に、第1実施形態において算出した削孔速度の判断指標値グラフ(図6(d))を示している。
(2−1)本実施形態では、コンピュータ端末30の制御部31は、t検定を用いて算出した短時間平均と長時間平均とが同じである確率pを用いた値を、判断指標値として用いる。この確率pが低い場合には、短時間平均が長時間平均と異なっていることにより、削孔速度や振動が急変したことを判定することができる。従って、掘削対象の層の性質が変化したことを効率的に把握することができる。
・上記各実施形態において、制御部31の判断指標値算出部314は、削孔速度の判断指標値を算出した。削孔速度についての速度指標値に関する判断指標値は、これに限られない。例えば、水量変化について同様に判断指標値を算出して表示してもよい。また、上記実施形態では、削孔速度として、1分間の平均掘削深さを用いたが、削孔速度はこれに限定されず、数分間の平均掘削深さでもよいし、数十秒の平均掘削深さでもよい。
また、杭孔の掘削時の地盤の固さに関する値(固さ情報)であれば、削孔速度等の速度指標値や振動の周波数分析値に限られず、それ以外の値を用いてもよい。
・上記実施形態では、支持層が固い泥岩であるため、振動が急に小さくなった深さ(位置)、すなわち判断指標値が大きなマイナス値における変曲点に対応する深さを支持層と判定した。判断指標値を用いて支持層に到達したか否かの判定は、マイナス値に限られない。例えば、支持層が砂や礫を含む層の場合は、振動が急激に大きくなると考えられる。従って、このような支持層の場合には、振動の判断指標値が、大きなプラス値における変曲点に対応する深さにおいて支持層に到達したと判定する。
・上記実施形態では、削孔の掘削中に判断指標値を算出して表示して、削孔が支持層に到達したか否かを判断した。判断指標値の算出は、掘削中ではなく、掘削終了後に行なってもよい。この場合には、他の速度指標値等によって削孔が支持層に到達したことを、更に確認することができる。
(a)杭孔において杭の支持層への到達を判定する支持層到達判定方法であって、
前記杭孔の掘削時の掘削速度についての速度指標値を取得し、
前記速度指標値を、前記掘削時の前記杭孔の深さと関連付け、
前記速度指標値において、計算対象深さの第1区間における第1統計値と、前記第1区間に隣接又は前記第1区間を包含し、前記第1区間と異なる前記第1区間の長さ以上の第2区間における第2統計値とを算出し、
前記第1統計値と前記第2統計値との比較に基づいて判断指標値を算出し、
前記判断指標値に基づいて、前記支持層への到達を判定することを特徴とする支持層到達判定方法。
従って、この(a)に記載の発明によれば、杭孔の支持層到達を、効率的に判断することができる。
杭孔の掘削装置に取り付けた振動計測器において、掘削時の振動を計測し、
前記振動の周波数分析を行なった周波数分析結果を、掘削時の前記杭孔の深さと関連付け、
前記周波数分析結果において、計算対象深さの第1区間における第1統計値と、前記第1区間に隣接又は前記第1区間を包含し、前記第1区間と異なる前記第1区間の長さ以上の第2区間における第2統計値とを算出し、
前記第1統計値と前記第2統計値との比較に基づいて判断指標値を算出し、
前記判断指標値に基づいて、前記支持層への到達を判定することを特徴とする支持層到達判定方法。
従って、この(b)に記載の発明によれば、杭孔の支持層到達を、効率的に判断することができる。
Claims (5)
- 杭孔において杭の支持層への到達を判定する支持層到達判定方法であって、
前記杭孔の掘削時の地盤の固さに関する値を取得し、
前記固さに関する値を、前記掘削時の前記杭孔の深さと関連付け、
前記固さに関する値において、計算対象深さの第1区間における第1統計値と、前記第1区間に隣接又は前記第1区間を包含し、前記第1区間と異なる前記第1区間の長さ以上の第2区間における第2統計値とを算出し、
前記第1統計値と前記第2統計値との比較に基づいて判断指標値を算出し、
前記判断指標値に基づいて、前記支持層への到達を判定することを特徴とする支持層到達判定方法。 - 前記第1区間は、前記計算対象深さ以上の深い範囲であり、
前記第2区間は、前記計算対象深さ以下の浅い範囲であることを特徴とする請求項1に記載の支持層到達判定方法。 - 前記第1統計値を前記第2統計値で除算した値を、前記判断指標値として算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の支持層到達判定方法。
- 前記第1統計値と前記第2統計値とが同じである仮定が成り立つ確率を用いた値を、前記判断指標値として算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の支持層到達判定方法。
- 杭孔について杭の支持層への到達の判定を支援するための判定支援システムであって、
前記杭孔の掘削時の地盤の固さに関する値を計測する計測部と、
前記固さに関する値を、前記掘削時の前記杭孔の深さと関連付けて計測情報記憶部に記録する記録部と、
前記固さに関する値において、計算対象深さの第1区間における第1統計値と、前記第1区間に隣接又は前記第1区間を包含し、前記第1区間と異なる前記第1区間の長さ以上の第2区間における第2統計値とを算出し、前記第1統計値と前記第2統計値との比較に基づいて判断指標値を算出する制御部と、
前記制御部が算出した判断指標値を出力する出力部とを備えることを特徴とする判定支援システム。
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