JP2016011353A - 地盤改良用組成物、地盤改良体、地盤改良方法及び地盤修復方法 - Google Patents

地盤改良用組成物、地盤改良体、地盤改良方法及び地盤修復方法 Download PDF

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Abstract

【課題】地盤改良体の流動性が良好で、地盤に注入したときに一軸圧縮強度の変動が小さい地盤改良体を形成しうる地盤改良用組成物、その製造方法、地盤改良体、地盤修復方法を提供する。【解決手段】水と、セメントと、尿素とを含み、水/セメント含有比率が質量比で45%以上60%以下であり、尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55%以上70%以下であり、且つ、尿素の含有量が組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である、土壌に混合して用いられる地盤改良用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、地盤改良体組成物、地盤改良体、地盤改良方法及び地盤修復方法に関する。
従来、セメントを用いた地盤改良方法としては、深層混合処理工法(以下、DCM工法と称することがある)が知られている。DCM工法では、セメントを含有するセメントミルクを現地地盤に注入し、機械撹拌し、注入されたセメントの硬化により強化され、所望により遮水性をも有する地盤改良体が形成される。
DCM工法においてセメントミルクが注入された土壌とセメントミルクとの混合物は、未硬化状態での流動性が低いために、DMC工法による地盤改良体の一軸圧縮強度の変動係数は砂質土で25%、粘性土で30%程度の値とされている。このように、流動性の低いセメントミルクを用いた場合、一軸圧縮強度の変動が小さい地盤改良体が得難いため、公知のDCM工法では、一軸圧縮強度の変動係数を考慮して、地盤改良体の強度よりも設計基準強度を小さく設定している。
一般的な地盤改良体の形成に使用されるセメントミルクは、ポンプにて土壌中に注入するために、流動性が重要となる。
一般に、土壌に注入するセメントミルクなどの地盤改良用組成物としては、ポンプ圧送して施工できる目安として、以下に詳述するPロート流下時間を、施工可能な限界値の目安である14秒以下に維持することが必要となる。
流動性を向上させ、Pロート流下時間を低下させるために、セメントミルクの水/セメント質量比を上げることが試みられている。しかしながら、セメントミルク中の水含有量を多くすると、注入されるセメント量が相対的に少なくなるために、得られる地盤改良体の強度が低下したり、セメントの硬化性が低下したりする懸念がある。
通常、建造物などの硬化体を形成するコンクリート組成物では、ひび割れを自己修復するため及びひび割れの発生を抑止するために尿素を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1、参照)。特許文献1では、セメントの水和に必要な理論水量未満の水を混合することで自己修復を実現している。非特許文献1では尿素の吸熱反応を利用して、コンクリートの温度を下げることによりひび割れの発生を抑止している。
また、地盤改良体を形成するための材料としては、尿素と分子内に水酸基を有する水溶性高分子とを含有する2液式の土質安定化剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2012−153577号公報 特開昭50−48709号公報
尿素を用いたひび割れ低減コンクリート 清水建設株式会社 DOBOKU 技師会 東京 p26−28
しかしながら、特許文献1に記載される自己修復性コンクリート組成物では、セメントと水とを含む造粒物、尿素、及び繊維を含有するコンクリート混和剤が提案されており、粒径30μm〜50μmの造粒物を製造するため気中で3日間養生することが開示されている。このように、混和剤の製造に工数と時間が掛かり、結果として特許文献1に記載されるコンクリート混和剤は高価なものとなり、地盤改良等の使用に適するものとは言い難い。
また、特許文献2に記載の組成物では、経時で尿素と水溶性高分子が反応して組成物の粘度が上昇するため、施工中に流動性が低下して、均一な強度の地盤改良体が得られないという問題がある。
非特許文献1に記載されるコンクリート組成物は、尿素をセメント組成物に添加することで吸熱反応を起こさせ、硬化反応時の雰囲気温度を低下させることにより、急激なコンクリート組成物の硬化反応に起因する硬化時のクラックの発生抑制を目的として設計されたコンクリート組成物である。このようなコンクリート組成物を地盤改良体の形成にそのまま適用すると、硬化反応の抑制に起因する地盤改良体の強度低下が懸念される。
本発明は、上記事実に鑑み、流動性に優れ、土壌への注入性、撹拌性が良好であり、一軸圧縮強度の変動が小さい地盤改良体を形成しうる地盤改良用組成物、その製造方法、前記地盤改良用組成物を用いた一軸圧縮強度の変動が小さい地盤改良体、及び前記地盤改良体の修復方法を提供することを目的とする。
本発明は鋭意検討の結果、地盤改良用組成物において、セメントミルクに所定量の尿素を含有させることで、水/セメント比を低下させることなく流動性が向上することを見出し、本発明を完成した。
本発明の構成は以下に示すとおりである。
<1> 水と、セメントと、尿素とを含み、水/セメント含有比率が質量比で45%以上60%以下であり、尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55%以上70%以下であり、且つ、尿素の含有量が組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である、土壌に混合して用いられる地盤改良用組成物である。
本実施形態によれば、水の含有量を増加させることなく、注入に適する流動性を有する地盤改良用組成物が提供され、このため、土壌への注入、土壌との撹拌が十分に行なわれ、得られた地盤改良体は局所的な一軸圧縮強度の変動が小さい。即ち、変動係数の小さい均一な強度を有する地盤改良体となる。
<2> 濃度1質量%以上10質量%以下の尿素水溶液と、水とを含む<1>に記載の地盤改良用組成物である。
本実施形態によれば、予め尿素と水とを含有する尿素水溶液を含むことで、均一な地盤改良用組成物の調製がより簡易に行なわれる。
<3> さらに、ウレアーゼ生成微生物を含む<1>又は<2>に記載の地盤改良用組成物である。
本実施形態では、地盤改良用組成物がさらにウレアーゼ生成微生物を含有することで、地盤改良用組成物と土壌とを混合する際に、ウレアーゼ生成微生物が尿素に作用して尿素の分解を促進させ、その結果生成される炭酸イオンとセメント中のカルシウムイオンとが反応して地盤改良体中に硬質の炭酸カルシウムが析出し、得られる地盤改良体の強度がより向上する。
なお、セメント存在下の高pH領域において、ウレアーゼ生成微生物がアルカリの影響を受けずに尿素分解機能を効果的に発現することは、本発明者らが見出した新たな知見である。
<4> <1>〜<3>のいずれか1項に記載の地盤改良用組成物を土壌に注入し、撹拌して得られた地盤改良体である。
本実施形態では、地盤改良体の形成に用いられる地盤改良用組成物が十分なセメントを含有しつつ、流動性に優れるので、得られた地盤改良体は、局所的な一軸圧縮強度の変動が小さい地盤改良体となる。
<5> 水と、尿素とを含む尿素水溶液を調製すること、尿素水溶液とセメントとを、下記(1)〜(3)に記載の条件を満たす比率で混合して地盤改良用組成物を得ること、及び、土壌中に、得られた地盤改良用組成物を注入し撹拌すること、を含む地盤改良体の製造方法である。
(1)水/セメント含有比率が質量比で45%以上60%以下である
(2)尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55%以上70%以下である
(3)尿素の含有量が地盤改良用組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である。
本実施形態の製造方法によれば、用いられる地盤改良用組成物の流動性が良好であるため、一軸圧縮強度の局所的な変動が小さい地盤改良体が製造される。
<6> 前記地盤改良用組成物がウレアーゼ生成微生物を含む、<5>に記載の地盤改良体の製造方法である。
本実施形態の製造方法によれば、用いられる地盤改良用組成物がウレアーゼ生成微生物を含むことで尿素の分解が生じ、その結果生成される炭酸イオンとセメント中のカルシウムイオンとが反応して地盤改良体中に硬質の炭酸カルシウムが析出し、得られる地盤改良体の強度がより向上する。
<7> 土壌中に、セメントと、水と、尿素とを含み、水/セメント含有比率が質量比で45以上60以下であり、尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55%以上70%以下であり、且つ、尿素の含有量が組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である地盤改良用組成物を注入し、撹拌して地盤改良体を形成すること、及び、硬化した地盤改良体の外周からウレアーゼ生成微生物を供給すること、を含む地盤改良体の修復方法である。
本実施形態によれば、地盤改良体が経時により、或いは外力を受けてクラックが生じた場合、地盤改良体の外周からウレアーゼ生成微生物を供給することで、地盤改良体中に存在する尿素がウレアーゼ生成微生物により分解され、炭酸イオンが生成する。生成された炭酸イオンと地盤改良体中のカルシウムイオンとが反応して炭酸カルシウムがクラック中に生成される。このため、クラックが析出した炭酸カルシウムにより充填され、地盤改良体が修復される。
<8> 土壌中に、セメントと、水と、尿素と、ウレアーゼ生成微生物とを含み、水/セメント含有比率が質量比で45%以上60%以下であり、尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55%以上70%以下であり、且つ、尿素の含有量が組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である地盤改良用組成物を注入し、撹拌して地盤改良体を形成すること、及び、硬化した地盤改良体の外周からウレアーゼ生成微生物を供給すること、を含む地盤改良体の修復方法である。
本実施形態によれば、析出した炭酸カルシウムの機能で強度が向上した地盤改良体においても、クラックが生じた場合には、ウレアーゼ生成微生物を外周から供給することで、地盤改良体中に残存する未反応の尿素がウレアーゼ生成微生物により分解されて炭酸イオンが新たに析出し、析出した炭酸イオンと地盤改良体中のカルシウムイオンとが反応して炭酸カルシウムがクラック中に析出することで、クラックが析出した炭酸カルシウムにより充填され、地盤改良体が修復される。
ここで析出する炭酸カルシウムは結晶であってもよく、非晶質であってもよい。析出する炭酸カルシウムが結晶の場合には、地盤改良体の一軸圧縮強度がより向上する。析出する炭酸カルシウムが非晶質の場合には、クラックの内部形状によく追従してクラックの内面に密着し、より効果的にクラックが充填される。
本発明によれば、流動性に優れ、土壌への注入性、撹拌性が良好であり、一軸圧縮強度の変動が小さい地盤改良体を形成しうる地盤改良用組成物、その製造方法、前記地盤改良用組成物を用いた一軸圧縮強度の変動が小さい地盤改良体、及び前記地盤改良体の修復方法を提供することができる。
水/セメント比60質量%における尿素/セメント質量比とモルタルフロー値の関係を示すグラフである。 (A)は尿素/セメント質量比と、Pロート流下時間との関係を示すグラフであり、(B)は尿素水溶液/セメント質量比と、Pロート流下時間との関係を示すグラフである。 尿素/セメント質量比と、得られた地盤改良体の4週一軸圧縮強度との関連を示すグラフである。 実施例1の地盤改良体と、比較例1の地盤改良体における深度と地盤改良体の一軸圧縮強度との関係を示すグラフである。 (A)は地盤改良体と、ウレアーゼ生成微生物供給用の注入井戸と、ウレアーゼ生成微生物回収用の揚水井戸との位置関係を示す平面図であり、(B)は地盤改良体と、ウレアーゼ生成微生物供給用の注入井戸と、ウレアーゼ生成微生物回収用の揚水井戸との位置関係を示す概略断面図である。
<地盤改良用組成物>
本発明の地盤改良用組成物は、水と、セメントと、尿素とを含み、水/セメント含有比率が質量比で45%以上60%以下であり、尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55%以上70%以下であり、且つ、尿素の含有量が組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である。このような地盤改良用組成物を土壌中にポンプで圧送して、機械混合し、土壌と地盤改良用組成物とを均一に混合する。
経時により地盤改良用組成物中に含まれるセメントが硬化して、強度が改良された地盤改良体が形成される。
本発明における地盤改良用組成物は、既述の深層混合処理工法(DCM工法)に使用される。DCM工法は、土壌にセメント等を含む安定剤としての地盤改良用組成物を注入し、混合撹拌する地盤改良工法の1つであり、土壌と混合された地盤改良用組成物が所定の強度に硬化して地盤改良体が形成される。
地盤改良体は、地盤改良用組成物を混合する前の土壌に比較して強度が向上する。
また、地盤改良体は地盤の強度を向上させる機能のみならず、例えば、地盤改良体の下部を、現場土壌の下方の不透水性層(例えば粘土層)に根入れすることにより、遮水壁として機能させることもできる。不透水性層に根入れして地盤改良体を形成することで、地盤改良体が形成された領域において水の移動を抑制させることもできる。従って、連続的に複数の地盤改良体を隣接して設けることで、当該領域に地盤改良体による遮水壁を形成することもできる。
本発明の作用は明確ではないが、以下のように考えている。
尿素は水への溶解性に優れ、且つ、水溶液中においてイオンに分解することなく均一に溶解して存在する。
このため、水とセメントとの混合物に尿素を含有させることで、セメントに対する液状成分としての容積が向上する。このため、水とセメントとの混合物に比較して、尿素を加えることで、液状成分の見かけ上の含有量が増加し、水の含有量を増加させることなく、組成物の流動性がより向上する。このため、硬化性に影響を与えることなく、土壌との混合がより効果的に行えるものと推定される。
(水/セメント含有比)
本発明の地盤改良用組成物では、水/セメント含有比率は、質量比で、45%以上60%以下であり、好ましくは、50%以上55%以下である。
水/セメント含有比率が45%未満であると流動性が不十分となり、均一な地盤改良体が得難く、60%を超えると、セメント含有量が相対的に低下するため、得られる地盤改良体の強度が低下する懸念があり、いずれも好ましくない。
本発明の地盤改良用組成物はセメントを含有する。
地盤改良用組成物に用いうるセメントには特に制限はなく、一般的に地盤改良用のセメントミルクに含有することができるセメントであればいずれも使用することができる。
セメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、高炉B種セメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメントなどが挙げられ、これら公知のセメントはいずれも好適に使用しうる。なかでも、入手容易性、及び、高炉スラグの有効利用が可能という観点から、高炉B種セメントなどが好ましい。
(尿素)
本発明の地盤改良用組成物は尿素を含有する。
尿素としては、一般に入手可能な農業用肥料、試薬などを用いることができる。
本発明の地盤改良用組成物に含まれる尿素の含有量は、組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下であり、2質量%以上6質量%以下であることが好ましい。尿素の含有量が1質量%未満であると流動性向上効果が見られず、10質量%を超えて含有させるとコストメリットが大きく損なわれる。
図1は、水/セメント比60質量%のセメント混合物に尿素を混合してセメントスラリーである地盤改良用組成物を調製する際の、尿素混合量によるモルタルフロー値の変化を求めた結果を示すグラフである。図1に明らかなように、尿素を適量混合することにより、モルタルフロー値は上昇する。このことから、尿素を水とセメントとの混合物に含有させることで未硬化状態の地盤改良用組成物、ひいては、未硬化の地盤改良体の流動性が向上することがわかる。
また、尿素と水との総含有量/セメントの含有比率は55%以上70%以下であり、尿素と水との総含有量/セメントの含有比率は60%以上65%以下であることが好ましい。
なお、尿素を水に混合すると吸熱反応が生じ温度が低下するため、混合後、温度が常温近傍に回復した後に、地盤改良用組成物の調製に使用することが好ましい。
図2は、得られた地盤改良用組成物のPロート流下試験の結果を示すグラフであり、図2(A)では、組成物の水/セメント質量比が45%の条件における尿素の影響を検討した。図2(A)に明らかなように、尿素を混合しない場合には水/セメント質量比が45%の混合物のPロート流下時間は54秒であり、ポンプ圧送して施工できる限界値である14秒を大きく超えている。この混合物に尿素を含有させることにより、Pロート流下時間は小さくなることがわかる。水/セメント質量比が本発明の最低基準である45%の場合では、尿素の組成物に対する含有量が9質量%で施工可能なPロート流下時間14秒以下の値を示すことがわかる。
Pロートを用いた流下試験は、コンクリート標準仕方書基準編に記載の土木学会基準JSCE−F521を参照して行なうことができる。
図2(B)は同じデータを、横軸を尿素+水/セメント質量比としたグラフであり、尿素+水/セメント質量比が60%以上であれば、確実に施工可能な、Pロート流下時間14秒以下の値が得られることが図2(B)のグラフより明らかとなった。
本発明の地盤改良用組成物を土壌と混合し、硬化させて得られた地盤改良体の4週間経過後の一軸圧縮強度を図3に示す。
地盤改良体の一軸圧縮強度は、JIS A 1216(2009年)に記載の方法に準拠して測定することができる。
尿素を添加した場合の地盤改良体の一軸圧縮強度の変化は小さく、尿素を混合しても得られる地盤改良体の一軸圧縮強度に大きな差は見られないことがわかる。即ち、地盤改良用組成物に尿素を含有させることで、得られる地盤改良体の強度を低下させることなく、流動性のみを上げることができることが、これらの検討から明らかとなった。
地盤改良体の設計基準強度Fcと現場強度qufとの関係を下記式(1)に示す。
Fc=(1 − 1.3×Vquf)×quf 式(1)
式(1)におけるVqufは変動係数である。
地盤が、例えば砂質地盤の場合、尿素を混合しない条件での一般的な変動係数は25%であるから、Fc=0.675qufとなる。一方で、尿素を混合することで変動係数が1/2の12.5%に低下したとすると、Fc=0.838qufとなる。一軸圧縮強度(現場強度)が同じでも、設計基準強度は0.838/0.675=1.24倍大きく設定できることがわかる。
(地盤改良用組成物の調製方法)
地盤改良用組成物の調製方法としては、得られた地盤改良用組成物の均一性がより向上するという観点から、まず、尿素を水に溶解した尿素水溶液を調製し、予め調製された尿素水溶液を、セメントと混合することが好ましい。
尿素水溶液としては、濃度1質量%以上10質量%以下の尿素水溶液であることが好ましく、濃度2質量%以上6質量%以下であることがより好ましい。
尿素水溶液の濃度を上記範囲とすることで、均一な地盤改良用組成物の調製を容易に行なうことができる。
また、尿素水溶液の調製時に吸熱反応により得られる尿素水溶液の温度が低下することがあるが、その場合には、常温近傍の温度となるまで放置した後、セメントと混合して地盤改良用組成物を調製することが、地盤改良体の硬化性をより向上させるという観点から好ましい。
まず、既述の好ましい濃度範囲の尿素水溶液を調製した後に、セメントと混合し、最終的に、地盤改良用組成物における尿素の含有量を1質量%以上10質量%以下とするように、尿素水溶液及び水を含有させ、十分に撹拌混合することで地盤改良用組成物を調製することができる。
地盤改良用組成物の調製は、常温で行なうことができる。なお、地盤改良用組成物の調製時に、尿素と水との吸熱反応により組成物の温度が低下した場合には、組成物を加熱して常温に戻してもよい。なお、加熱する場合においても常温以上に加熱する必要はない。
本発明の地盤改良用組成物の物性としては、既述のPロートを用いた流下試験においてPロート流下時間が14秒以下であることが、施工適性の観点から好ましい。
本発明の地盤改良用組成物には、水、尿素、セメントに加え、本発明の効果を損なわない限りにおいて、目的に応じてその他の成分を含有することができる。
その他の成分としては、流動化剤、結合材、遅延剤などが挙げられる。
本発明の地盤改良用組成物には、さらに、尿素を分解するウレアーゼ(尿素分解酵素)を産生可能なウレアーゼ生成微生物を含有することができる。
ウレアーゼ生成微生物とは、ウレアーゼを生成し、生成されたウレアーゼの触媒作用により尿素を分解して炭酸イオンを生成させる微生物を指す。
ウレアーゼ生成微生物としては、バチルス、スポロサルシナ、スポロラクトバチルス、クロストリジウム、デスルホトマキュルムを含む属の一覧から選択される細菌等が挙げられる。本発明におけるウレアーゼ生成微生物は、これらの例に限定されず、多くのウレアーゼを生成し得る微生物を使用することができる。
本発明の地盤改良用組成物にウレアーゼ生成微生物を含有することで、地盤改良用組成物を土壌に注入し、撹拌混合する際に、ウレアーゼ生成微生物由来のウレアーゼ(尿素分解酵素)により尿素が分解され、炭酸イオンが生成される。生成された炭酸イオンは、セメントに含まれるカルシウムイオンと反応し、下記式に記載のような反応により、炭酸カルシウムが地盤改良体中に析出する。炭酸カルシウムはセメントと親和性を有する硬質の成分であり、このため、セメントの水和反応の強度に、さらに、炭酸カルシウムの強度を加えることができ、地盤改良体の強度がより向上し、変動係数をより減少させることができ、さらに設計基準強度を増加させ得る。
CO(NH+2HO → 2NH +CO 2−
CaCl → Ca2++2Cl
Ca2++CO 2− → CaCO
本発明の地盤改良用組成物におけるウレアーゼ生成微生物の含有量は、1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、2質量%以上6質量%以下であることがより好ましい。
地盤改良用組成物におけるウレアーゼ生成微生物の含有量が上記範囲であることで、地盤改良体の強度向上効果が得られ、後述する修復方法において、さらにウレアーゼ生成微生物を添加する際における地盤改良体の修復効果低下が抑制される。
地盤改良用組成物に含有させるウレアーゼ生成微生物は、市販の微生物を用いてもよく、地盤改良を行う地盤からあらかじめ採取したウレアーゼ生成微生物を培養し、得られた培養液を用いてもよい。
地盤改良用組成物中にウレアーゼ生成微生物を含有させる場合、土壌に注入する直前に含有させることが、地盤改良用組成物の注入時における流動性の低下抑制の観点から好ましい。
<地盤改良体>
本発明の地盤改良体は、既述の本発明の地盤改良用組成物を土壌に注入し、撹拌して得られた地盤改良体である。
本発明の地盤改良体は、その形成に用いられる地盤改良用組成物が十分なセメントを含有しつつ、流動性に優れるので、得られた地盤改良体は、土壌と地盤改良用組成物とが均一に混合される。このため、経時により地盤改良用組成物に含まれたセメントが硬化して得られた本発明の地盤改良体は、局所的な一軸圧縮強度の変動が小さいものとなる。
<地盤改良体の製造方法>
本発明の地盤改良体の製造方法は、水と、尿素とを含む尿素水溶液を調製すること、尿素水溶液とセメントとを、下記(1)〜(3)に記載の条件を満たす比率で混合して地盤改良用組成物を得ること、及び、土壌中に、得られた地盤改良用組成物を注入し撹拌すること、を含む。
(1)水/セメント含有比率が質量比で45%以上60%以下である
(2)尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55%以上70%以下である
(3)尿素の含有量が地盤改良用組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である。
本発明の地盤改良体の製造方法では、用いられる地盤改良用組成物は、水/セメント含有比が質量比で60%以下の状態においても良好な流動性を示す。このため、得られた地盤改良用組成物を土壌中に注入して撹拌する際に、土壌中に均一に地盤改良用組成物が行き渡り、その後、地盤改良用組成物が硬化して得られた地盤改良体は一軸圧縮強度の変動が小さい。さらに、本発明の好ましい態様では、地盤改良用組成物に、さらにウレアーゼ生成微生物を含有させることで、地盤改良体の一軸圧縮強度がより向上する。
本発明の地盤改良用組成物の適用対象には、特に制限はなく、補強が必要な土壌に対して適用し、地盤改良体を形成することができる。
より具体的には、適用対象として、地盤の液状化防止が必要な領域、止水が必要な領域、強度増加が必要な軟弱な地盤領域などが挙げられる。
本発明の製造方法によれば、一般に用いられる装置、工法に、本発明の地盤改良用組成物を用いるのみで、従来の方法に比較して、簡易に均一な強度を有する地盤改良体を形成することができる。
本発明の地盤改良用組成物の土壌への注入及び撹拌は、従来公知の地盤への注入、撹拌技術を適用すればよく、適用方法には特に限定はない。
形成された地盤改良体が、本発明の地盤改良用組成物を用いて形成された地盤改良体であることは、以下に記載する方法により地盤改良体中に尿素が含まれることを確認することで、推定することができる。
土壌中の硬化した地盤改良体を一定量採取する。採取した地盤改良体を粉砕したものを、過剰のイオン交換水に入れ、十分に撹拌した後、静置する。目視にて粉末が沈殿したことを確認した後、地盤改良体を浸漬した上澄み液中のアンモニアイオン量を計測機にて測定する。
その後、地盤改良体の粉砕物を浸漬したイオン交換水に、ウレアーゼ(尿素分解酵素)を添加し、一定時間静置する。静置後の上澄み液のアンモニアイオンを、ウレアーゼ添加前の上澄み液の測定と同様にして測定し、ウレアーゼ添加後のアンモニアイオン量を算出する。
ウレアーゼを添加した場合のアンモニアイオン量と、添加しない場合のアンモニウムイオン量との差から、以下の化学式を用いて尿素の量を特定することで、地盤改良体に尿素が含まれていることを確認することができる。
CO(NH+2HO →(ウレアーゼ)→ 2NH +CO 2−
地盤改良体の製造位置は必要に応じて決定することができる。例えば、地盤改良体を現地地盤の土壌に、本発明の地盤改良用組成物を混合撹拌して図示しない多軸掘削機を用いて土壌に供給し、撹拌混合して、土壌の深さ方向に柱状に形成すればよい。
また、地盤改良体により遮水壁を構成する場合には、図5(A)、(B)に示すように、多軸掘削機により、同じ寸法(例えば、直径約1000mm)に形成し、セミラップ接続方法(例えば、最大ラップ幅約200mm)で端部同士が接続されるように形成することができる。
図5(A)に示すように、地盤改良体をセミラップ接続方法により連続的に形成する場合、一日に計画した数の地盤改良体を形成できないことがある。地盤改良体が経時により硬化した後に隣接した位置に地盤改良体を形成する場合、既に硬化した地盤改良体にセミラップ接続方式を適用することが困難となる。
その場合には、作業終了前の時点で接合用地盤改良体を形成することができる。接合用地盤改良体形成用の地盤改良用組成物には、水、セメント、尿素に加え、セメントの凝結を遅らせる遅延剤を含有させればよい。遅延剤は、接合用地盤改良体形成用の組成物のみに混入してもよいし、全ての地盤改良用組成物に含有させてもよい。
接合用地盤改良用組成物に遅延剤を含有させることで、先に形成した接合用地盤改良体の硬化が抑制され、凝結開始が翌日又は翌日以降まで遅延される。
これにより、図5(A)の平面図に示すように、翌日等の経時後に最初に形成する地盤改良体と、接合用地盤改良体とをセミラップ接続方式により形成することができる。
接合用地盤改良体形成用の地盤改良用組成物に遅延剤を含有させることで、経時により完全に硬化してしまい、接合用地盤改良体がうまく削れず、接合用地盤改良体と引き続き形成される地盤改良体とがラップできない事態を避けることができる。
地盤改良用組成物に用いうる遅延剤としては、公知の遅延剤を制限なく用いることができる。遅延剤としては、グルコン酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等のオキシカルボン酸塩を主成分とする遅延剤が挙げられる。地盤改良用組成物における遅延剤の含有量としては、セメントに対する質量比で0.5%以上2%以下であることが好ましい。
遅延剤の含有量が上記範囲にあることで、遅延剤含有効果が十分に得られると共に、最終的な地盤改良体の硬化性を損なう懸念がない。接合用地盤改良用組成物における遅延剤の含有量を、上記範囲において調整することで地盤改良用組成物に含まれるセメントの凝結時間を調整することができる。
<地盤改良体の修復方法>
本発明の地盤改良体の修復方法は、土壌中に、セメントと、水と、尿素とを含み、水/セメント含有比率が質量比で45%以上60%以下であり、尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55%以上70%以下であり、且つ、尿素の含有量が組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である地盤改良用組成物を注入し、撹拌して地盤改良体を形成すること、及び、硬化した地盤改良体の外周からウレアーゼ生成微生物を供給すること、を含む。
上記本発明の地盤改良用組成物を用いて地盤改良体を製造した後、地盤改良体にクラックが生じたり、地盤改良体をより高強度とする必要が生じたり、より緻密な遮水性が必要となったりした場合、地盤改良体を修復することができる。
例えば、経時により、或いは、地震、土木工事、建築工事などによる外力が地盤改良体に加わったとき等、地盤改良体にクラックが発生することがある。
また、形成された地盤改良体の強度をより向上させる必要が生じることがある。
そのような場合には、地盤改良体の外周からウレアーゼ生成微生物を供給することで、地盤改良体中に存在する尿素が、ウレアーゼ生成微生物が生成するウレアーゼにより分解され、炭酸イオンが生成する。生成された炭酸イオンと地盤改良体中のカルシウムイオンとが反応して炭酸カルシウムが析出する。地盤改良体中において炭酸カルシウムが析出すると地盤改良体の強度がより向上する。また、地盤改良体がクラックを有する場合には、クラックが析出した炭酸カルシウムにより充填されることで、地盤改良体が修復される。
本発明の地盤改良用組成物として、セメント、水、及び尿素に加え、ウレアーゼ生成微生物を含有する組成物を用いた場合においても、同様に、硬化した地盤改良体の外周からウレアーゼ生成微生物を供給することにより、地盤改良体の強度を向上させたり、地盤改良体に発生したクラックを修復したりすることができる。
地盤改良用組成物を土壌に供給する段階で、ウレアーゼ生成微生物が含まれている場合においても、地盤改良用組成物に含まれる尿素が、ウレアーゼ生成微生物が生成するウレアーゼにより全て分解されることはなく、地盤改良体中には硬化後も尿素が残存している。このため、必要に応じてウレアーゼ生成微生物を地盤改良体の外周より供給することで、地盤改良体中に残存する尿素から生成される炭酸イオンと、土壌中のセメントに含まれるカルシウムイオンとの反応により炭酸カルシウムが析出する。
本発明の地盤改良体の修復方法は、地盤改良体に生じたクラックの修復のみならず、地盤改良体の緻密化、強度向上、遮水性向上などの必要が生じた場合、必要に応じて適宜行なうことができる。
地盤改良体の修復方法に使用されるウレアーゼ生成微生物は、既述の微生物を同様に使用することができる。
地盤改良体へのウレアーゼ生成微生物の供給方法には特に制限はなく、公知の方法をいずれも使用することができる。
例えば、地盤改良体に原位置においてウレアーゼ生成微生物を供給する方法としては、図5(A)、図5(B)に示すように、地盤改良体近傍に、ウレアーゼ生成微生物を含有する水を注入する注入井戸、及び地下水を汲み上げる揚水井戸を設置し、地盤改良体を両井戸で挟むことによって動水勾配を生じさせ、ウレアーゼ生成微生物を地盤改良体に到達させる方法が挙げられる。
この方法によれば、ウレアーゼ生成微生物を、地盤改良体の外周から効率よくウレアーゼ生成微生物を地盤改良体に供給することができる。また、地盤改良体を作製する領域の地下水中にウレアーゼ生成微生物が存在する場合には、注入井戸と揚水井戸の水位差を設けるのみでウレアーゼ生成微生物を地盤改良体に供給することができる。
以下、具体例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明配下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、以下「%」は「質量%」を意味する。
〔実施例1、比較例1〕
下記表1に示す処方で実施例1の地盤改良用組成物を調整した。
まず、尿素を水に溶解させて濃度5質量%の尿素水溶液を調整し、1時間保存した後、セメント300kg/mと水とを混合して、水/セメント質量比60%とし、且つ、組成物全量に対する尿素の含有量を5質量%とした混合物を十分に撹拌混合して実施例1の地盤改良用組成物を得た。
得られた実施例1の地盤改良用組成物を、実際に原位置施工にて、土壌中に2軸地盤改良機を用いて注入し、撹拌混合した。このようにして、地表より深さ6m〜9mの範囲に、実施例1の地盤改良用組成物を供給して、地盤改良体を製造した。
得られた地盤改良体の4週強度を測定した。即ち、地盤改良体の製造後、4週間経時した後、それぞれの深さにおいて地盤改良体の供試体(サイズ:直径66mm、高さ132mm)をサンプリングし、JIS A 1216(2009年)に記載の方法に準拠して一軸圧縮強度を測定した。深度毎の一軸圧縮強度の測定結果を図4に示す。
図4に明らかなように、施工を行なった土壌の6m以深において、形成された地盤改良体の強度は安定しており、所望の配合条件にて地盤改良体が形成できたものと考えられる。図4によれば、尿素を含有する実施例1の地盤改良用組成物を用いた場合、比較例1の地盤改良用組成物を用いた場合に比べて、得られた地盤改良体の一軸圧縮強度の変動がより小さく、強度が均一で、ばらつきが抑制されていることがわかる。
6m以深の一軸圧縮強度のデータを元に変動係数を計算した結果、尿素を混合しない比較例1では16%であったのに対して、尿素を含有する実施例1では、変動係数が7%となり、本発明の地盤改良用組成物を用いることで、流動性が改善され、変動係数が小さくなることがわかった。
実施例1の組成物を用いて得た地盤改良体について、一軸圧縮試験を実施した後、圧縮により破壊され、クラックが生じた供試体を、ウレアーゼ生成微生物を含有する水中にて温度条件20℃で5か月保管した。5ヶ月後に取り出して供試体の外観を目視にて確認したところ、地盤改良体の供試体に一軸圧縮試験により発生したクラックがふさがっていることが確認された。このことから、ウレアーゼ生成微生物由来のウレアーゼが尿素と反応して生成された炭酸イオンとセメント中のカルシウムイオンとの反応により析出した炭酸カルシウムによりクラックが修復されることが確認された。
〔実施例2〜3、比較例2〕
下記表2に示す処方にて実施例2及び実施例3の地盤改良用組成物を調製した。ウレアーゼ生成微生物は、原位置から採取した微生物を培養した液を用いた。
土壌としては、表2に示す砂質土を用いた。表2に示す砂質土と実施例2〜3の地盤改良用組成物を十分に撹拌混合して供試体である地盤改良体を得た。また、比較例2として尿素、及びウレアーゼ生成微生物を含有しないセメントミルクを用いて同様に地盤改良体を製造した。
それぞれの地盤改良体を28日養生後に、上記と同様の方法により一軸圧縮試験を行った結果を表2に示す。
実施例2では、6.6MPaの一軸圧縮強度が得られた。さらにウレアーゼ生成微生物を含有する実施例3では、7.2MPaの一軸圧縮強度が得られた。いずれも、尿素を含有しない対照例の地盤改良体に比較して、高い一軸圧縮強度を示すことがわかる。
さらに、実施例2及び実施例3との対比より、実施例3では、実施例2よりも0.6MPa圧縮強度が増加した。これは、ウレアーゼ生成微生物の共存により、地盤改良体内において炭酸カルシウムが析出し、強度が増加したためと考えられる。
これまで、セメントを含有する改良土中のような高アルカリ環境においては、ウレアーゼ生成微生物が活動することは知れていなかったが、本評価により、ウレアーゼ生成微生物を含有する地盤改良用組成物を用いることで、地盤改良体の強度がより増加することが確認された。一般にセメントミルクのpHは12.5程度の高アルカリ条件であるが、このような条件においてもウレアーゼ生成微生物が活動しうることが本発明者らの検討により明らかとなった。
設計基準強度Fcと現場強度qufとの関係は、既述のように下記式(1)で表すことができる。
Fc=(1 − 1.3×Vquf)×quf (1)
ここで、Vqufは変動係数である。
上記比較例2及び実施例2〜実施例3は、室内試験の結果であるが、尿素を含有することで、地盤改良用組成物の流動性が向上することが確認されていること、実施例1における原位置での評価結果を総合すると、尿素、また、さらにウレアーゼ生成微生物を含有させることにより、強度増加及び変動係数の減少の傾向は、原位置においても成り立つものと考えられる。
比較例2に示されるように、尿素を混合しない水とセメントのみの地盤改良用組成物を用いた場合の変動係数は7%程度であり、尿素を含有する実施例2の地盤改良用組成物を用いた場合の変動係数は3%程度であり、さらにウレアーゼ生成微生物を含有する実施例3の地盤改良用組成物の変動係数は0.6%程度であることから、本発明の地盤改良用組成物によれば、下記式に示すように、9%程度設計基準強度を大きく設定できる。
(1−1.3×0.006)/(1−1.3×0.07)=1.09 (A)
また、表2に示したように実施例2の地盤改良用組成物を用いた場合の地盤改良体の変動係数は3%であるから、設計基準強度を求めると、以下のようになる。
Fc=(1−1.3×0.03)×6.6=6.34 (B)
また、ウレアーゼ生成微生物を含有する実施例3の地盤改良用組成物によれば、地盤改良体の一軸圧縮強度は7.2MPaになり、変動係数は0.6%に低下するので、設計基準強度は、以下に示すようになる。
Fc=(1−1.3×0.006)×7.2=7.14 (C)
すなわち、本発明の地盤改良用組成物に、さらにウレアーゼ生成微生物を含有させることで、式(B)と式(C))の値の比は以下のようになる。
7.14/6.34=1.13
即ち、尿素に加え、さらにウレアーゼ生成微生物を含有させることで、設計基準強度を13%程度大きく設定できる。
今回の計算は室内強度試験のデータによるものであるが、原位置強度でも設計基準強度を大きく設定できるということは定性的に成り立つものと考えられ、原位置における地盤改良体の強度のより一層の向上が期待される。
10 地盤改良体
12 ウレアーゼ生成微生物供給用注入井戸
14 ウレアーゼ生成微生物回収用揚水井戸

Claims (8)

  1. 水と、セメントと、尿素とを含み、
    水/セメント含有比率が質量比で45%以上60%以下であり、
    尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55%以上70%以下であり、
    且つ、尿素の含有量が組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である、
    土壌に混合して用いられる地盤改良用組成物。
  2. 濃度1質量%以上10質量%以下の尿素水溶液と、水とを含む請求項1に記載の地盤改良用組成物。
  3. ウレアーゼ生成微生物を含む請求項1又は請求項2に記載の地盤改良用組成物。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の地盤改良用組成物を土壌に注入し、撹拌して得られた地盤改良体。
  5. 水と、尿素とを含む尿素水溶液を調製すること、
    尿素水溶液とセメントとを、下記(1)〜(3)に記載の条件を満たす比率で混合して地盤改良用組成物を得ること、及び、
    土壌中に、得られた地盤改良用組成物を注入し撹拌すること、
    を含む地盤改良方法。
    (1)水/セメント含有比率が質量比で45以上60以下である
    (2)尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55以上70以下である
    (3)尿素の含有量が地盤改良用組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である。
  6. 前記地盤改良用組成物がウレアーゼ生成微生物を含む、請求項5に記載の地盤改良方法。
  7. 土壌中に、セメントと、水と、尿素とを含み、水/セメント含有比率が質量比で45以上60以下であり、尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55以上70以下であり、且つ、尿素の含有量が組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である地盤改良用組成物を注入し、撹拌して地盤改良体を形成すること、及び、
    硬化した地盤改良体の外周からウレアーゼ生成微生物を供給すること、
    を含む地盤改良体の修復方法。
  8. 土壌中に、セメントと、水と、尿素とウレアーゼ生成微生物とを含み、水/セメント含有比率が質量比で45以上60以下であり、尿素と水との総含有量/セメントの含有比率が55以上70以下であり、且つ、尿素の含有量が組成物全量に対して1質量%以上10質量%以下である地盤改良用組成物を注入し、撹拌して地盤改良体を形成すること、及び、
    硬化した地盤改良体の外周からウレアーゼ生成微生物を供給すること、
    を含む地盤改良体の修復方法。
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