JP6561014B2 - 空隙充填材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、土木工事における狭小断面の充填に対応可能な非分離性の空隙充填材に関し、特に、例えば小径鞘管推進工法のように、小径の鞘管(推進管)の内部に本管(ガス管)を敷設する工法の場合に、本管と鞘管との間の空隙部を充填するのに用いられて好適な空隙充填材およびその製造方法に関するものである。
例えば、小径鞘管推進工法における本管と鞘管との間の空隙部に対し、セメント系を主材とする空隙充填材を注入することが行われている。本管と鞘管との間の空隙部が狭い場合に、空隙充填材を長距離に亘って注入しようとすると、流動性に富んだ空隙充填材を用いても、セメントの凝結開始時間に支配され、完全充填できる前に硬化して不完全な充填となることがある。また、パイプを何本か敷設して、スパンを分けて充填注入する場合もあるが、空隙部が狭いとパイプの敷設が困難で充填ができないこともある。
空隙充填材が長時間流動性を保つことができれば、より具体的には空隙充填材の可使時間(流動性確保時間)を少なくとも6時間程度確保することができれば、一方の注入口から連続して注入を行い、完全充填が可能である。しかし、従来の空隙充填材では、流動性確保の時間(可使時間)がせいぜい2〜3時間程度である。セメント系を主材とする空隙充填材は、遅延剤等を用いることによって長可使時間の確保が可能であっても、セメントの硬化を遅らせることによって非分離硬化現象が損なわれてブリーディングを生じさせてしまうことになり、均一な充填ができない。
空隙充填材の非分離性を確保するため、微小な気泡を混入したり、膨潤性を有するベントナイトを用いたりすることは周知の事実であるが(例えば、特許文献1参照)、これらを用いてもセメントの凝結開始時間を極端に延ばすとブリーディングが生じてしまう。つまり、間隙が狭く長距離の空隙充填を行う場合、従来の空隙充填材で完全充填させることは困難である。
特開平11−35361号公報
ところで、水よりも比重が軽いエアモルタルやセメントエアミルクは、浮力等の偏圧が生じないため空隙充填材として非常に有効な材料である。しかしながら、長時間硬化を遅延させると、微細な気泡は互いに融着して大きな泡となり、分離が促進され、空気、水、セメントベントナイト分の層に材料分離するという問題点がある。
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、非分離性を保ったまま、少なくとも6時間程度の可使時間を確保することができ、これによって間隙が狭く長距離の空隙充填であっても良好に行うことができる空隙充填材およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、流動性を高めるためにリグニンスルフォン酸塩を主体に構成される流動化剤を比較的多く配合する一方で、非分離性に寄与するベントナイトとして、経時6時間までの範囲でファンネル粘性の経時変化が20〜28秒の範囲にあるものを特定の範囲の配合量で配合するとともに、流動性を損なわない範囲で気泡中の空気量を比較的高い比率で混入することにより、非分離性(ノンブリーディング)を保ったまま、長可使時間を確保できることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
要するに、前記目的を達成するために、第1発明による空隙充填材は、
セメントを主体に構成される硬化材、膨潤性を有するベントナイト、リグニンスルフォン酸塩を主体に構成される流動化剤、水、起泡剤および空気が混合されてなる空隙充填材において、
前記硬化材の配合量を170〜240kg/mとし、
前記ベントナイトとして、水100リットルに5kg添加混練したときのファンネル粘性の経時変化が経時6時間までの範囲で20〜28秒の範囲にあるものを用いて、当該ベントナイトの配合量を20〜28kg/mとし、
前記流動化剤の配合量を前記硬化材と前記ベントナイトとの合計質量に対し0.5〜3%とし、
前記空気量を30〜50体積%として、
フロー試験の6時間経過後におけるフロー値が150mm以上であるとともに、24時間経過後のブリーディング率が0.5%以下の特性を持つように形成されたことを特徴とするものである。
本発明において、前記起泡剤として、ノニオン系界面活性剤を用いるのが好ましい(第2発明)。
本発明において、ノニオン系のセルロースファイバーを、前記硬化材と前記ベントナイトとの合計質量に対し0.0001〜0.01%添加するのが好ましい(第3発明)。
次に、第4発明による空隙充填材の製造方法は、
第1発明に係る空隙充填材の製造方法であって、
前記水は混練水と希釈水とを含むものであり、前記ベントナイトを前記混練水の一部を用いて混練・溶解し十分に膨潤させて助材溶液を作製し、(a)作製した前記助材溶液と前記混練水の残部とを練り混ぜながら前記硬化材を加えて得られる硬化材ベントナイト溶液と、(b)前記流動化剤と、(c)前記起泡剤を前記希釈水で希釈した起泡剤希釈液と前記空気とを混合して生じさせた微小な気泡と、の三者を混合することを特徴とするものである。
本発明の空隙充填材によれば、フロー試験の6時間経過後におけるフロー値が150mm以上であるとともに、24時間経過後のブリーディング率が0.5%以下の特性を持つように形成されているので、非分離性を保ったまま、少なくとも6時間程度の可使時間を確保することができ、これによって間隙が狭く長距離の空隙充填であっても良好に行うことができる。
この場合、前記起泡剤として、ノニオン系界面活性剤を用いることにより、独立した気泡群が安定した状態で存在するため、アニオン系起泡剤の使用時と比べて、透気性を格段(10倍以上)に向上させることができる。
さらに、ノニオン系のセルロースファイバーを、前記硬化材と前記ベントナイトとの合計質量に対し0.0001〜0.01%添加することにより、セルロースファイバーそれ自体の絡み合いによって空気の層が形成されるとともに、セルロースファイバー中に自然に存在する空気泡が散在されることになり、透気性をより向上させることができる。
また、本発明の空隙充填材の製造方法によれば、(a)ベントナイトの先練りにより予め作製された助材溶液と混練水の残部とを練り混ぜながら硬化材を加えて得られる硬化材ベントナイト溶液と、(b)流動化剤と、(c)起泡剤を希釈水で希釈した起泡剤希釈液と空気とを混合して生じさせた微小な気泡と、の三者((a),(b)および(c))が混合されるので、気泡を消泡させることなく空隙充填材を製造することができる。
本発明の一実施形態に係る空隙充填材に配合されるベントナイトに関するファンネル粘性の経時変化を示すグラフである。 同空隙充填材の製造方法を示すフロー図で、(a)はプラント混合方式、(b)は先端混合方式である。
次に、本発明による空隙充填材およびその製造方法の具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
<空隙充填材の概略構成の説明>
本発明の空隙充填材は、主として、硬化材、ベントナイト、流動化剤、混練水、希釈水、起泡剤および空気を必須成分とし、これらが混合されてなるものである。
<硬化材の説明>
本発明において用いられる硬化材は、セメントを主体に構成されている。セメントとしては、例えばポルトランドセメントが挙げられるが、ポルトランドセメントと、高炉スラグやフライアッシュ等との混合物からなる混合セメントから選ぶことができる。
長可使時間を達成するためには、ポルトランドセメントに高炉スラグ微粉末を所定量混合して製造される高炉セメントを用いるのが望ましい。
セメントの配合量は、150〜240kg/mの範囲(より好ましくは170〜240kg/m)で設定すると、硬化後の一軸圧縮強度が、0.5N/mm程度以下となる。
<ベントナイトの説明>
本発明において用いられるベントナイトは、モンモリロナイトを主成分とした高膨潤度のベントナイトである。予め水に溶解させることによって、保水能力を最大限に発揮して非分離性に寄与する。
使用されるベントナイトとしては、水100リットルに5kg添加混練したときのファンネル粘性の経時変化が経時6時間までの範囲で20〜28秒の範囲にあるものが望ましく、例えば、LAVIOSA社製のベントナイト(製品名:BENTSUND)や、(株)ホージュン社製のベントナイト(製品名:スーパークレイ)を挙げることができる。
LAVIOSA社製のベントナイトは、図1中ラインLで示されるようにファンネル粘性が経時変化し、一方、(株)ホージュン社製のベントナイトは、図1中ラインLで示されるようにファンネル粘性が経時変化し、いずれのものも、低濃度で高粘性を有しながら低ゲル性を保持するものであり、また、どちらも増粘剤を併用していないので、経時の変化が小さいのが特徴である。
ベントナイトの配合量は、20〜28kg/mの範囲で設定する。
<流動化剤の説明>
本発明において用いられる流動化剤は、分散性に特に優れた表面活性剤リグニンスルフォン酸塩(リグニンスルフォン酸カルシウム)粉末を主成分とし、発泡剤として金属アルミニウム粉末を加え、その他流動化剤およびこれらの成分の効果を安定させるため数種類の薬品をモルタル強度等に悪影響のないように配合してなるものである。
流動化剤の配合量は、硬化材とベントナイトとの合計質量に対し0.5〜3%に設定する。詳細成分として、硬化材とベントナイトとの合計質量に対し、リグニンスルフォン酸塩を0.01〜0.3%に、アルミニウム粉末を0.005〜0.02%にそれぞれ設定する。リグニンスルフォン酸塩とアルミニウム粉末がモルタルの長可使時間と非分離性に寄与する。
<混練水、希釈水の説明>
本発明において用いられる混練水および希釈水としては、(株)坂本技研製(特開2015−150548号公報)の微細気泡発生装置を用いて生成したファインバブル水が好適である。本微細気泡発生装置は、プラント内水配管上に簡単に設置可能なインライン型であり、ファインバブル水は0.1μm前後の微細な気泡を内包する。なお、混練水および希釈水として、通常の水を用いることも可能である。
<起泡剤の説明>
本発明において用いられる起泡剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を挙げることができる。
例えばアミンオキサイド型ノニオン系界面活性剤では、使用量1kg当たり500L(リットル)の気泡を作製することができる。本起泡剤は、電荷を持っていないため、セメント水和反応によって生じる水酸化カルシウムと結合することがない。この結果、独立した気泡群が安定した状態で存在し、一般アニオン系起泡剤使用時と比べて、透気性を10倍以上向上させることができる。
<空隙充填材中の空気量の説明>
本発明の空隙充填材中に混入される空気の量は、30〜50体積%であり、好ましくは40体積%程度である
<透気用補助剤の説明>
上記の必須成分(硬化材、ベントナイト、流動化剤、混練水、希釈水、起泡剤および空気)以外に、透気性向上に寄与する透気用補助剤として、ノニオン系のセルロースファイバーを添加することができ、その添加量は、硬化材とベントナイトとの合計質量に対し0.0001〜0.01%に設定する。セルロースファイバーは、材料自体の絡み合いが空気の層を形成するとともに、材料中にも自然の空気泡が存在しており、透気性を向上させる。
<空隙充填材の凝結・硬化時の温度上昇についての説明>
本発明の空隙充填材は、例えば、小径鞘管推進工法における本管と鞘管との間の空隙部を充填するのに用いられて好適である。本管には不適正な温度上昇を嫌うものが多く、その上限温度は60℃程度といわれているが、通常の充填材は比較的セメント量が多く、発熱量が大きいため、しばしばこの温度に近いものとなっている。
本発明の空隙充填材は、セメント量が少なく、凝結・硬化が弛緩したものであるため、発熱量が小さく、最高温度も40℃以下である。
<空隙充填材の透気性についての説明>
例えば、小径鞘管推進工法における本管としてガス管などが用いられる場合、空隙充填材に透気性の確保が要求される。透気性を確保できる空隙充填材としては、例えば、ベースモルタル内部に気泡群が混入されてなるエアモルタルが挙げられる。透気性の確保という場合、透気試験により10−1cm/secオーダー以上のものを求められることがある。その場合、気泡含有率が60%以上でないと難しいと言われていた。60%以上の気泡含有率を有するエアモルタルは、独立気泡の粘着力によって、後述するフロー値がモルタル混練り直後から小さく、可使時間も短い。
上記の硬化材、ベントナイト、流動化剤、混練水、希釈水、一般アニオン系起泡剤および空気を主成分として、空気量40体積%程度で調製し、これを硬化させて得られる空隙充填材(以下、「硬化体」と称する。)では、その透気係数として10−3cm/secオーダーを確保することができる。上記主成分中の一般アニオン系起泡剤に代えて、前述したノニオン系起泡剤を採用することで、硬化体の透気係数は10−2cm/secオーダーまで向上する。さらに、ノニオン系メチルセルロースファイバーを添加すると、硬化体の透気係数は10−1cm/secオーダーまで向上する。このように、40体積%程度の気泡含有率であっても10−1cm/secオーダー以上の透気性を確保することができ、ガス漏洩検知に有効な空隙充填材として使用することができる。
<空隙充填材の製造方法の説明>
本発明の空隙充填材の製造方法としては、例えば、図2(a)に示されるようなプラント混合方式と、図2(b)に示されるような先端混合方式とがある。
図2(a)に示されるプラント混合方式においては、ベントナイトを混練水の一部を用いて混練・溶解し十分に膨潤させて助材溶液を予め作製しておく。次いで、作製した助材溶液と混練水の残部とをミキサ1に投入し、ミキサ1で両者を練り混ぜながら更に硬化材をミキサ1に加え混合して硬化材ベントナイト溶液を作製する。一方、起泡剤を希釈水で希釈した起泡剤希釈液とコンプレッサ2からの圧縮空気とを強制混合することでシェービングクリームのようなきめ細かな気泡を生成する。そして、作製された硬化材ベントナイト溶液と、流動化剤、必要であればその他の添加剤(例えば、透気用補助剤等)とをアジテータ3に投入するとともに、生成した気泡を発泡ガン4を介してアジテータ3へと送り込み、アジテータ3で三者を攪拌することにより、目的とする空隙充填材(エアモルタル)を得ることができる。なお、得られた空隙充填材は、注入ポンプ5によって打設箇所、例えば小径鞘管推進工法における本管と鞘管との間の空隙部に向けて圧送され、該空隙部に空隙充填材が充填される。
図2(b)に示される先端混合方式においては、硬化材ベントナイト溶液と、流動化剤、必要であればその他の添加剤(例えば、透気用補助剤等)とをアジテータ3に投入するところまでと、気泡を生成するところまでとは、図2(a)に示されるプラント混合方式と同じである。異なるところは、以下の通りである。すなわち、硬化材ベントナイト溶液と流動化剤等とをアジテータ3で攪拌した後、この攪拌・混合液を注入ポンプ5によってラインミキサ6へと圧送するとともに、生成した気泡を発泡ガン4を介してラインミキサ6へと送り込み、注入ポンプ5からの前記攪拌・混合液と発泡ガン4からの前記気泡とをラインミキサ6で混合・攪拌する。こうすることによっても、目的とする空隙充填材(エアモルタル)を得ることができる。なお、得られた空隙充填材は、ラインミキサ6から打設箇所へと圧送される。
<本発明の空隙充填材を小径鞘管推進工法に適用した場合の効果の説明>
ところで、小径鞘管推進工法において高進捗・低コストの施工技術として、掘削断面の最小化および長距離化を実現する必要がある。
本発明の空隙充填材は、離隔幅が50mm未満の狭小断面で長距離の空隙を確実に充填するために、注入中は非分離性(ノンブリーディング)を保ったまま常時流動性を確保できるようにしたものである。例えば、500mスパンを片側から充填する場合、1日6時間程度の注入時間中は常時フレッシュな流動性とノンブリーディングを確保することができる。この結果、本発明の空隙充填材は、狭小な隙間で長距離スパンであっても完全充填を可能とする。
次に、本発明による空隙充填材およびその製造方法の具体的な実施例について以下に説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
まず、以下の実施例および比較例で用いた評価方法、すなわちフロー値、ブリーディング率、圧縮強度および透気係数について説明する。
<フロー値の説明>
調整した空隙充填材の流動性確認方法としては、フロー試験によるフロー値(mm)を求めることが一般的である。
フロー試験によるフロー値は、直径80mm、高さ80mmの円筒状の容器に、調製した空隙充填材を満たし、ゆっくりと容器を持ち上げた時に拡がる空隙充填材の直径の大きさを測ることによって求められ、通常150mm×150mmの拡がりがあれば十分な流動性があると言われている。
以下の実施例および比較例では、フロー試験の6時間経過後におけるフロー値150mm程度を合格ライン(評価:△)として、それを超えれば「良」の評価(○)とし、それ未満であれば「不良」の評価(×)とする。
<ブリーディング率の説明>
調整した空隙充填材のブリーディング率(%)は、空隙充填材のブリーディング水量を空隙充填材に用いた全充填量で除することで求められる。
以下の実施例および比較例では、24時間経過後のブリーディング率0.5%を合格ライン(評価:△)として、それ未満であれば「良」の評価(○)とし、それを超えれば「不良」の評価(×)とする。
<圧縮強度の説明>
JIS A 1216「土の一軸圧縮試験」に従った。
以下の実施例および比較例では、一軸圧縮強度が0.5N/mm以下であれば「良」の評価(○)とし、それを超えれば「不良」の評価(×)とする。
<透気係数の説明>
直径50mm、高さ100mmの供試体側面にエポキシ系樹脂剤を側面塗布して、側面の通気を遮断し上下方向のみ透気するようにする。供試体内の背圧を任意に数段階程度変化させて流量センサーにより流量を測定する。透気試験から得られる空気流量(流速)と動気勾配との関係により、ダルシー則を適用して透気係数を求める。
以下の実施例および比較例では、透気係数が10−1cm/secオーダーであれば「良」の評価(○)とし、透気係数が10−2cm/secオーダーおよび10−3cm/secオーダーであれば「不良」の評価(×)とする。
<製造方法の説明>
以下に述べる実施例および比較例において空隙充填材は以下のようにして製造される。すなわち、ベントナイトを混練水の一部を用いて混練・溶解し十分に膨潤させて助材溶液を作製し、作製した助材溶液と混練水の残部と硬化材とを練り混ぜて得られる硬化材ベントナイト溶液に、流動化剤、必要であればその他の添加剤(例えば、透気用補助剤等)を加え混合し、圧縮空気と起泡剤希釈液とを強制混合して生じさせた微小な気泡を混合する。このような製造方法によれば、気泡を消泡させることなく空隙充填材を製造することができる。
なお、硬化材ベントナイト溶液に対する気泡の混合方式としては、例えば、前述したプラント混合方式(図2(a)参照)と、先端混合方式(図2(b)参照)とがあるが、いずれの方式でも生成物の性状は同等となる。
<構成材料の製品名等の説明>
主要な構成材料の製品名とメーカは以下の通りである。
硬化材:高炉セメント(住友大阪セメント(株)製)
ベントナイト:BENTSUND(LAVIOSA社製)
流動化剤:フロータックエイド((株)タック製)
起泡剤(アニオン系): TACフォームY(第一化成(株)製)
起泡剤(ノニオン系):TACフォームLG(第一化成(株)製)
透気用補助剤:ノニオン系メチルセルロース(テクニカ合同(株)製)
<実施例1>
表1に示される配合割合で上記製造方法により配合例No.1〜No.3の3種類の空隙充填材を調製し、これを実施例1とした。調製した空隙充填材の評価結果を表2に示す。なお、表1中の単位記号「L」はリットルを示す(表3,5,7,9,11,13,15においても同様)。
Figure 0006561014

Figure 0006561014
実施例1においては、空気量が29.5体積%、39体積%、47.5体積%と異なる3種類の配合例No.1〜No.3によって、ベースモルタルと気泡の混合率を変えて性状を確認した。表2から明らかなように、フロー値、ブリーディング率および圧縮強度のいずれも良い評価が得られた。一方、透気係数は10−3cm/secオーダーとなり、10−1cm/secオーダーを達成することができなかった。
実施例1のものでは、例えば小径鞘管推進工法における本管としてガス管が用いられる場合などのように空隙充填材に対する透気性の要求水準が高い用途での使用は不可であるが、空隙充填材に対する透気性の要求水準がそれほど高くない(透気係数:10−3cm/secオーダー)用途での使用は可能である。
<実施例2、比較例1>
表3における配合例No.4およびNo.5に示される配合割合で上記製造方法により2種類の空隙充填材を調製し、これを実施例2とした。また、表3における配合例No.6〜No.8に示される配合割合で上記製造方法により3種類の空隙充填材を調製し、これを比較例1とした。調製した空隙充填材の評価結果を表4に示す。
Figure 0006561014

Figure 0006561014
実施例2および比較例1においては、基本的に配合例No.2を基準として(一部例外:配合例No.5およびNo.8)、空気量を39体積%程度に固定(一部例外:配合例No.8)する一方で、起泡剤としてノニオン系のものに変更した。
起泡剤の変更に伴い、流動性が増すと考え、流動化剤の添加量を、硬化材とベントナイトとの合計質量に対し0%(配合例No.6)、0.1%(配合例No.7)に変更した。この結果、表4から明らかなように、フロー値の評価が「不良」となった。
流動化剤の添加量を、硬化材とベントナイトとの合計質量に対し2%程度に戻し(配合例No.4)、フロー値と透気係数とを確認した。フロー値は評価が「良」となり、透気係数は10−3cm/secオーダーから10−2cm/secオーダーへと10倍大きくできたものの、10−1cm/secオーダーまでには至らなかった。
膨潤したベントナイトが透気性を阻害しているかを確認するために、ベントナイトに替えて過去の実施例であるミクロサンドを使用したが(配合例No.8)、フロー値および透気係数の評価が「不良」であった。
不透水層形成に有利なベントナイトが透気性を阻害していると考え、テーブルテスト上でブリーディング率が許される上限(0.5%)までベントナイトの配合量を下げたが(配合例No.5)、透気係数は10−1cm/secオーダーを達成することができなかった。
<比較例2>
表5における配合例No.9〜No.14に示される配合割合で上記製造方法により6種類の空隙充填材を調製し、これを比較例2とした。調製した空隙充填材の評価結果を表6に示す。
Figure 0006561014

Figure 0006561014
比較例2においては、基本的に配合例No.5を基準とし、配合例No.2と比べてベントナイトの配合量を減少させた分、透気用の補助剤(セルロースファイバー)でブリーディングを抑えようにしている。
配合例No.9およびNo.10では、セルロースファイバーの増量に伴い、フロー値が小さくなるが、フロー値減少のピーク(配合例No.11)を超えると、材料自体の沈降(硬化阻害)によって、逆にブリーディングが増えた。
セルロースファイバーを少量添加すると、透気係数が10−1cm/secオーダーに到達し、透気性を向上させることが分かった。
<実施例3>
表7に示される配合割合で上記製造方法により配合例No.15およびNo.16の2種類の空隙充填材を調製し、これを実施例3とした。調製した空隙充填材の評価結果を表8に示す。
Figure 0006561014

Figure 0006561014
実施例3においては、前述した比較例2で一旦下げたベントナイトの配合量を配合例No.4におけるそれと同じ配合量に戻して、基本的に配合例No.4を基準とし、セルロースファイバーの添加量をパラメータ(技術的変数)としてフロー値とブリーディング率とを確認した。
テーブルテストでブリーディングしないセルロースファイバーの添加量は単位水量の0.002%であることが分かった。
<比較例3>
表9に示される配合割合で上記製造方法により配合例No.17およびNo.18の2種類の空隙充填材を調製し、これを比較例3とした。調製した空隙充填材の評価結果を表10に示す。
Figure 0006561014

Figure 0006561014
比較例3においては、基本的に配合例No.15を基準として、透気性を満足するために空気量の比率を増加させたが、表10から明らかなように、流動性が満足できないことを確認した。
なお、空気量の比率の増加に伴い、表9において示されるベースモルタルを構成する各種成分は相対的に配合量が減少(特にセルロースファイバーは無視できるほどに微量)する一方で、同表において示される気泡の構成成分は相対的に増えることになる。
<実施例4>
表11に示される配合割合で上記製造方法により配合例No.15−2およびNo.15−3の2種類の空隙充填材を調製し、これを実施例4とした。調製した空隙充填材の評価結果を表12に示す。
Figure 0006561014

Figure 0006561014
実施例4は、配合例No.15のものをテーブルテストから実機プラントで混練して調製したものであって、表12から明らかなように、テーブルテストと同様に、フロー値、ブリーディング率、圧縮強度および透気係数(混練直後および7時間経過後試料)の全てが良い評価となった。
<実施例5>
表13に示される配合割合で上記製造方法により配合例No.15−4の1種類の空隙充填材を調製し、これを実施例5とした。調製した空隙充填材の評価結果を表14に示す。
Figure 0006561014

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実施例5は、配合例No.15における流動化剤とセルロースとを450:1でプレミックスして調製したものであって、実質的に配合例No.15と同様のものであり、表14から明らかなように、流動化剤とセルロースとをプレミックスしても同等の性能となった。
<実施例6、比較例4>
表15に示される配合割合で上記製造方法により配合例No.2−1,No.3−1,No.6−3の3種類の空隙充填材を調製し、これを実施例6とした。また、表15における配合例No.17−1に示される配合割合で上記製造方法により1種類の空隙充填材を調製し、これを比較例4とした。調製した空隙充填材の評価結果を表16に示す。
Figure 0006561014

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表16から明らかなように、起泡剤の種類の違いによって経時の流動性が異なることを再確認した。ただし、空気量39体積%では大きな差はない。一方、空気量47.5体積%では、経時の差が大きい。アニオン系起泡剤は、モルタル液が電気的にプラスに帯電しており、マイナス電荷のアニオン系起泡剤と結合しやすく、セメント粒子同士の結合を遅らせる、すなわちモルタルの硬化を遅らせる効果が得られたと考えられる。
本発明の空隙充填材およびその製造方法は、非分離性を保ったまま、少なくとも6時間程度の可使時間を確保することができ、これによって間隙が狭く長距離の空隙充填であっても良好に行うことができるという特性を有していることから、土木工事における狭小断面の充填の用途に好適に用いることができ、産業上の利用可能性が大である。
1 ミキサ
2 コンプレッサ
3 アジテータ
4 発泡ガン
5 注入ポンプ
6 ラインミキサ

Claims (4)

  1. セメントを主体に構成される硬化材、膨潤性を有するベントナイト、リグニンスルフォン酸塩を主体に構成される流動化剤、水、起泡剤および空気が混合されてなる空隙充填材において、
    前記硬化材の配合量を170〜240kg/mとし、
    前記ベントナイトとして、水100リットルに5kg添加混練したときのファンネル粘性の経時変化が経時6時間までの範囲で20〜28秒の範囲にあるものを用いて、当該ベントナイトの配合量を20〜28kg/mとし、
    前記流動化剤の配合量を前記硬化材と前記ベントナイトとの合計質量に対し0.5〜3%とし、
    前記空気量を30〜50体積%として、
    フロー試験の6時間経過後におけるフロー値が150mm以上であるとともに、24時間経過後のブリーディング率が0.5%以下の特性を持つように形成されたことを特徴とする空隙充填材。
  2. 前記起泡剤として、ノニオン系界面活性剤を用いることを特徴とする請求項1に記載の空隙充填材。
  3. ノニオン系のセルロースファイバーを、前記硬化材と前記ベントナイトとの合計質量に対し0.0001〜0.01%添加することを特徴とする請求項2に記載の空隙充填材。
  4. 請求項1に記載の空隙充填材の製造方法であって、
    前記水は混練水と希釈水とを含むものであり、前記ベントナイトを前記混練水の一部を用いて混練・溶解し十分に膨潤させて助材溶液を作製し、(a)作製した前記助材溶液と前記混練水の残部とを練り混ぜながら前記硬化材を加えて得られる硬化材ベントナイト溶液と、(b)前記流動化剤と、(c)前記起泡剤を前記希釈水で希釈した起泡剤希釈液と前記空気とを混合して生じさせた微小な気泡と、の三者を混合することを特徴とする空隙充填材の製造方法。

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