JP2004161923A - 低強度充填用組成物およびその製造方法および充填物 - Google Patents
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Abstract
【課題】軟弱地盤、地中の空洞部、構造物中の空洞部に充填する充填材として好適な低強度充填用組成物を提供する。
【解決手段】セメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水を必須成分として含む組成物であって、該組成物の固形分濃度が10質量%〜40質量%であることと、前記組成物を24時間静置した後のブリージング率が2質量%未満である事を特徴としている。
【選択図】 なし
【解決手段】セメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水を必須成分として含む組成物であって、該組成物の固形分濃度が10質量%〜40質量%であることと、前記組成物を24時間静置した後のブリージング率が2質量%未満である事を特徴としている。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低強度充填用組成物およびその製造方法および充填物に関するものである。さらに詳しくは土木・建築用低強度充填用組成物およびその製造方法および充填物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軟弱地盤、地中の空洞部、構造物中の空洞部は、放置しておくと地震等の天災によって沈下、崩落、破壊等が起こる可能性が指摘されている。その対策として、軟弱地盤や前記空洞に補強材を充填もしくは注入する措置が講じられている。
【0003】
従来より行われている典型的な充填・注入工法で使用される充填・注入材としては、例えば、セメントミルク、モルタル、コンクリート、エアモルタル、TOP−2モルタル等が挙げられる。(特許文献1および特許文献2参照)
また従来より、充填材・グラウト材に繊維を使用する検討も行われている。(特許文献3および特許文献4参照)
【特許文献1】
特開昭55−109255号公報
【特許文献2】
特開昭52−100727号公報
【特許文献3】
特開2001−253738号公報
【特許文献4】
特開平9−241065号公報
しかし、これらの充填・注入材にはそれぞれ後述するような問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
セメントミルク、モルタル、コンクリート等を充填・注入材として使用する場合は、材料コストが高価になるばかりでなく、該充填・注入材のポンプ圧送性が悪い、比重が大きいために注入箇所への負荷がかかりすぎる等の問題がある。
【0005】
また、エアモルタル、TOP−2モルタル等を充填・注入材として使用する場合には、ポンプによる各種空洞部分への圧送中に気泡が抜けてしまう、充填箇所に注入されてから硬化するまでの間にブリージング水が多量に発生する、地下水と接触したときに材料が希釈されてしまい設計強度が出ない、等の問題がある。
【0006】
また、繊維を使用した充填材・グラウト材については、該材が硬化した後の硬化体の強度をアップすることに主眼がおかれブリージング水の発生を抑制するという検討はなされていない。
【0007】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その主な技術的課題とするところは、軟弱地盤や各種空洞部の任意の領域を限定的に充填・注入することができ、かつ低コストで、ブリージング水の発が抑制された低強度充填・注入用組成物およびその製造方法および充填物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を解決するため、本発明は、以下の構成を提供する。
【0009】
(1)本発明にかかる低強度充填用組成物はセメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水を必須成分として含み、該組成物中の固形分濃度が10質量%〜50質量%である組成物であることを特徴としている。
【0010】
(2)本発明にかかる低強度充填用組成物の製造方法はベントナイト、パルプ繊維および水を混合した後にセメントを混合することを特徴としている。
【0011】
(3)本発明にかかる充填物は、低強度充填用組成物を硬化することによって得られることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず本発明の低強度充填・注入用組成物について説明する。本発明の低強度充填・注入用組成物は、セメント、ベントナイト、パルプ繊維、水を必須成分とするものである。
【0013】
(充填の定義)
本発明の組成物を充填すべき箇所に充填する方法はどのような方法でも施用可能である。
例えば、充填箇所に本発明の組成物を▲1▼ポンプ圧送して注入する方法、▲2▼容器に受けて流し込む方法等が挙げられる。
【0014】
(固形分濃度)
本発明にかかる低強度充填用組成物はセメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水を必須成分として含み、該組成物中の固形分濃度が10質量%〜50質量%である組成物であることが必須である。
【0015】
該固形分濃度が10質量%未満では、硬化後の充填物の強度が不足するため好ましくない。
また該固形分濃度が50質量%を超えると、▲1▼該充填用組成物の比重が大きくなり過ぎる、▲2▼ポンプ圧送性が低下する、等が起こる場合があり好ましくない。
該固形分濃度の下限値としては、15質量%以上が好ましく、さらに20質量%以上が好ましい。
また上限値としては、45質量%以下が好ましく、さらに40質量%以下が好ましい。
【0016】
(セメント)
セメントとしては従来公知のものが使用できる。例えば、ポルトランドセメント、白色セメント、アルミナセメント、高炉セメント、早強セメント等が挙げられ、それぞれ単独もしくは2種以上を使用することができる。
【0017】
(ベントナイト)
本発明に用いられるベントナイトは、シリカとアルミナとを主成分とするモンモリロナイトを主とした粘土であり、その平均粒子径は10〜100μmである。例えば、米国ワイオミング州産、栃木産等が挙げられるが特に限定されるものではない。中でも平均粒子径が30〜50μmのものが吸水・膨潤性に富んでいるため好ましい。
【0018】
(パルプ繊維)
パルプ繊維としては、木材から得られるメカニカルパルプやケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ、廃パルプ、リサイクルパルプ等が挙げられるが特に限定されるものではない。またこれらを単独でもしくは2種以上を混合して用いることもできる。
【0019】
(各種材料の配合割合)
各種配合物(セメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水)の配合割合は、水を100とするときの質量比で、セメント:パルプ繊維:ベントナイトが10〜60:0.3〜3.0:2.0〜10.0であることが好ましい。さらに好ましくは20〜40:0.4〜0.8:3.0〜5.5である。
【0020】
セメントの配合割合が10未満の場合、該充填・注入用組成物の硬化後の強度が不足するため好ましくない。また60を超える量のセメントを用いた場合、低強度充填・注入材として用いるときの設計強度を超えてしまうため好ましくない。
【0021】
パルプ繊維の配合割合が0.3未満の場合、ブリージング水の発生を抑制できなくなる恐れがある。また3.0を超える量のパルプ繊維を用いてもこれ以上の効果は期待できないばかりでなく、ポンプ圧送性が低下するため好ましくない。
【0022】
ベントナイトの配合割合が2.0未満の場合、ブリージング水の発生を抑制できなくなる恐れがある。また10.0を超える量のベントナイトを用いた場合、必要以上に比重が大きくなる恐れがあり、ポンプ圧送性が低下する恐れもあるため好ましくない。
【0023】
(パルプ繊維の長さ)
本発明で用いるパルプ繊維の平均繊維長は、0.5〜5mmであることが好ましい。平均繊維長が0.5mm未満の場合、ブリージング水の抑制効果が低下するため好ましくない。また、用いるパルプ繊維の平均繊維長が5mmを超えると、組成物混合時に混合機に負荷がかかり過ぎる恐れがあるばかりでなく、混合機に繊維が絡み付く場合があり好ましくない。更にポンプ圧送性も低下する恐れがある。
【0024】
(充填・注入用組成物の製造方法)
本発明にかかる低強度充填・注入用組成物の製造方法は、パルプ繊維およびベントナイトを水に混合した後、セメントを混合して得られるものであることが好ましい。
セメント、パルプ繊維、ベントナイトを粉体混合した後、水を混合した場合には、ブリージング水の発生量が多くなり好ましくない。また、セメント、ベントナイト及び水を混合した後パルプ繊維を混合する場合、パルプ繊維を均一に混合・分散させることが難しい(パルプ繊維がダマになる)ため好ましくない。
【0025】
(その他の添加剤)
本発明にかかる低強度充填・注入用組成物には、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、骨材、硬化促進剤、急結剤、減水剤、増粘剤、収縮低減剤等が挙げられ、性能を阻害しない範囲で使用することができる。
【0026】
(充填物)
本発明の充填物は、セメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水を必須成分として含む組成物であって、該組成物の固形分濃度が10質量%〜50質量%である組成物を硬化することによって得られるものである。
【0027】
硬化方法は充填箇所、充填形態等によって適宜選択すれば良いが、例えば、該組成物を充填箇所に注入した後静置する、該組成物に必要により硬化促進剤、急結剤等を添加した後、充填箇所に注入し静置する、等が挙げられる。
【0028】
(ブリージング率の定義)
ブリージング率とは、充填用組成物を調製して所定時間静置した後に浮き出してきた遊離水量/組成物全質量×100で表される値である。遊離水はピペットで採取して、量を計る。
【0029】
該ブリージング率が高いと充填箇所内に水の層ができるか、該遊離水が逸脱した後に空隙ができる場合があり、ブリージング率は出来る限り少なくする必要がある。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
(a)ブリージング率の測定方法
250mlパックエース(内径6cm×高さ9cmの円筒型ポリプロピレン製容器/株式会社テラオカ製)に配合物(セメント、ベントナイト、パルプ繊維、水を混練して得られたスラリー状物)を所定量(W1g)入れて蓋をし、水が蒸発しないようにする。
次に25℃で24時間静置した後、蓋を開けてブリージング水をピペットで採取する(W2g)。
【0032】
以下の計算式に従ってブリージング率を算出する。
【0033】
ブリージング率(質量%)=W2(g)/W1(g)×100
【0034】
【実施例1】
250ccパックエース(内径6cm×高さ9cmの円筒型ポリプロピレン製容器/株式会社テラオカ製)に水道水180gを入れて攪拌を開始した。次にBSベントナイトW(ベントナイト産業株式会社製)8gと粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gを入れて均一混合した。次にポルトランドセメント48gを加えて均一に混練して本発明の低強度充填用組成物(1)を得た。
【0035】
得られた低強度充填用組成物(1)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ1.1質量%であった。また、静置後に得られた本発明の充填物(1)は適度な強度を有し、容器から取り出してもその形状が崩れることはなかった。
【比較例1】
粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gを添加しない以外は実施例1と同様にして、比較低強度充填用組成物(1)を得た。
【0036】
得られた比較低強度充填材(1)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ3.6質量%であった。
【比較例2】
粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gの代わりにBSベントナイトW1gを添加した以外は実施例1と同様にして、比較低強度充填用組成物(2)を得た。
【0037】
得られた比較低強度充填材(2)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ3.3質量%であった。
【0038】
【実施例2】
粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gの代わりに、目開き355μmの篩を通過した粉砕パルプ(平均繊維長=約0.2mm)1gを添加した以外は実施例1と同様にして、比較低強度充填用組成物(3)を得た。
【0039】
得られた比較低強度充填材(3)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ2.0質量%であった。また、静置後に得られた本発明の充填物(2)は適度な強度を有し、容器から取り出してもその形状が崩れることはなかった。
【0040】
【実施例3】
粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gの代わりに、目開き75μmの篩を通過した粉砕パルプ(平均繊維長=約0.04mm)1gを添加した以外は実施例1と同様にして、比較低強度充填用組成物(4)を得た。
【0041】
得られた比較低強度充填材(4)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ2.2質量%であった。また、静置後に得られた本発明の充填物(3)は適度な強度を有し、容器から取り出してもその形状が崩れることはなかった。
【0042】
【実施例4】
250ccパックエース(内径6cm×高さ9cmの円筒型ポリプロピレン製容器/株式会社テラオカ製)に、BSベントナイトW(ベントナイト産業株式会社製)8g、粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gおよびポルトランドセメント48gを加えて入れて粉体混合した。次に水道水180gを入れて攪拌し均一に混練して、本発明の低強度充填用組成物(2)を得た。
【0043】
得られた低強度充填用組成物(2)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ34.7質量%であった。また、静置後に得られた本発明の充填物(4)は適度な強度を有し、容器から取り出してもその形状が崩れることはなかった。
表1に実施例、比較例の結果をまとめた。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
上述したとおり、本発明の低強度充填用組成物はブリージング率が極めて低くなり、充填性に優れている。よって本発明の低強度充填用組成物を充填箇所に充填することにより均一で安定した充填状態にできるという効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、低強度充填用組成物およびその製造方法および充填物に関するものである。さらに詳しくは土木・建築用低強度充填用組成物およびその製造方法および充填物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軟弱地盤、地中の空洞部、構造物中の空洞部は、放置しておくと地震等の天災によって沈下、崩落、破壊等が起こる可能性が指摘されている。その対策として、軟弱地盤や前記空洞に補強材を充填もしくは注入する措置が講じられている。
【0003】
従来より行われている典型的な充填・注入工法で使用される充填・注入材としては、例えば、セメントミルク、モルタル、コンクリート、エアモルタル、TOP−2モルタル等が挙げられる。(特許文献1および特許文献2参照)
また従来より、充填材・グラウト材に繊維を使用する検討も行われている。(特許文献3および特許文献4参照)
【特許文献1】
特開昭55−109255号公報
【特許文献2】
特開昭52−100727号公報
【特許文献3】
特開2001−253738号公報
【特許文献4】
特開平9−241065号公報
しかし、これらの充填・注入材にはそれぞれ後述するような問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
セメントミルク、モルタル、コンクリート等を充填・注入材として使用する場合は、材料コストが高価になるばかりでなく、該充填・注入材のポンプ圧送性が悪い、比重が大きいために注入箇所への負荷がかかりすぎる等の問題がある。
【0005】
また、エアモルタル、TOP−2モルタル等を充填・注入材として使用する場合には、ポンプによる各種空洞部分への圧送中に気泡が抜けてしまう、充填箇所に注入されてから硬化するまでの間にブリージング水が多量に発生する、地下水と接触したときに材料が希釈されてしまい設計強度が出ない、等の問題がある。
【0006】
また、繊維を使用した充填材・グラウト材については、該材が硬化した後の硬化体の強度をアップすることに主眼がおかれブリージング水の発生を抑制するという検討はなされていない。
【0007】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その主な技術的課題とするところは、軟弱地盤や各種空洞部の任意の領域を限定的に充填・注入することができ、かつ低コストで、ブリージング水の発が抑制された低強度充填・注入用組成物およびその製造方法および充填物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題を解決するため、本発明は、以下の構成を提供する。
【0009】
(1)本発明にかかる低強度充填用組成物はセメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水を必須成分として含み、該組成物中の固形分濃度が10質量%〜50質量%である組成物であることを特徴としている。
【0010】
(2)本発明にかかる低強度充填用組成物の製造方法はベントナイト、パルプ繊維および水を混合した後にセメントを混合することを特徴としている。
【0011】
(3)本発明にかかる充填物は、低強度充填用組成物を硬化することによって得られることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず本発明の低強度充填・注入用組成物について説明する。本発明の低強度充填・注入用組成物は、セメント、ベントナイト、パルプ繊維、水を必須成分とするものである。
【0013】
(充填の定義)
本発明の組成物を充填すべき箇所に充填する方法はどのような方法でも施用可能である。
例えば、充填箇所に本発明の組成物を▲1▼ポンプ圧送して注入する方法、▲2▼容器に受けて流し込む方法等が挙げられる。
【0014】
(固形分濃度)
本発明にかかる低強度充填用組成物はセメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水を必須成分として含み、該組成物中の固形分濃度が10質量%〜50質量%である組成物であることが必須である。
【0015】
該固形分濃度が10質量%未満では、硬化後の充填物の強度が不足するため好ましくない。
また該固形分濃度が50質量%を超えると、▲1▼該充填用組成物の比重が大きくなり過ぎる、▲2▼ポンプ圧送性が低下する、等が起こる場合があり好ましくない。
該固形分濃度の下限値としては、15質量%以上が好ましく、さらに20質量%以上が好ましい。
また上限値としては、45質量%以下が好ましく、さらに40質量%以下が好ましい。
【0016】
(セメント)
セメントとしては従来公知のものが使用できる。例えば、ポルトランドセメント、白色セメント、アルミナセメント、高炉セメント、早強セメント等が挙げられ、それぞれ単独もしくは2種以上を使用することができる。
【0017】
(ベントナイト)
本発明に用いられるベントナイトは、シリカとアルミナとを主成分とするモンモリロナイトを主とした粘土であり、その平均粒子径は10〜100μmである。例えば、米国ワイオミング州産、栃木産等が挙げられるが特に限定されるものではない。中でも平均粒子径が30〜50μmのものが吸水・膨潤性に富んでいるため好ましい。
【0018】
(パルプ繊維)
パルプ繊維としては、木材から得られるメカニカルパルプやケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ、廃パルプ、リサイクルパルプ等が挙げられるが特に限定されるものではない。またこれらを単独でもしくは2種以上を混合して用いることもできる。
【0019】
(各種材料の配合割合)
各種配合物(セメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水)の配合割合は、水を100とするときの質量比で、セメント:パルプ繊維:ベントナイトが10〜60:0.3〜3.0:2.0〜10.0であることが好ましい。さらに好ましくは20〜40:0.4〜0.8:3.0〜5.5である。
【0020】
セメントの配合割合が10未満の場合、該充填・注入用組成物の硬化後の強度が不足するため好ましくない。また60を超える量のセメントを用いた場合、低強度充填・注入材として用いるときの設計強度を超えてしまうため好ましくない。
【0021】
パルプ繊維の配合割合が0.3未満の場合、ブリージング水の発生を抑制できなくなる恐れがある。また3.0を超える量のパルプ繊維を用いてもこれ以上の効果は期待できないばかりでなく、ポンプ圧送性が低下するため好ましくない。
【0022】
ベントナイトの配合割合が2.0未満の場合、ブリージング水の発生を抑制できなくなる恐れがある。また10.0を超える量のベントナイトを用いた場合、必要以上に比重が大きくなる恐れがあり、ポンプ圧送性が低下する恐れもあるため好ましくない。
【0023】
(パルプ繊維の長さ)
本発明で用いるパルプ繊維の平均繊維長は、0.5〜5mmであることが好ましい。平均繊維長が0.5mm未満の場合、ブリージング水の抑制効果が低下するため好ましくない。また、用いるパルプ繊維の平均繊維長が5mmを超えると、組成物混合時に混合機に負荷がかかり過ぎる恐れがあるばかりでなく、混合機に繊維が絡み付く場合があり好ましくない。更にポンプ圧送性も低下する恐れがある。
【0024】
(充填・注入用組成物の製造方法)
本発明にかかる低強度充填・注入用組成物の製造方法は、パルプ繊維およびベントナイトを水に混合した後、セメントを混合して得られるものであることが好ましい。
セメント、パルプ繊維、ベントナイトを粉体混合した後、水を混合した場合には、ブリージング水の発生量が多くなり好ましくない。また、セメント、ベントナイト及び水を混合した後パルプ繊維を混合する場合、パルプ繊維を均一に混合・分散させることが難しい(パルプ繊維がダマになる)ため好ましくない。
【0025】
(その他の添加剤)
本発明にかかる低強度充填・注入用組成物には、その性能を阻害しない範囲で各種添加剤を添加することができる。
添加剤としては、例えば、骨材、硬化促進剤、急結剤、減水剤、増粘剤、収縮低減剤等が挙げられ、性能を阻害しない範囲で使用することができる。
【0026】
(充填物)
本発明の充填物は、セメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水を必須成分として含む組成物であって、該組成物の固形分濃度が10質量%〜50質量%である組成物を硬化することによって得られるものである。
【0027】
硬化方法は充填箇所、充填形態等によって適宜選択すれば良いが、例えば、該組成物を充填箇所に注入した後静置する、該組成物に必要により硬化促進剤、急結剤等を添加した後、充填箇所に注入し静置する、等が挙げられる。
【0028】
(ブリージング率の定義)
ブリージング率とは、充填用組成物を調製して所定時間静置した後に浮き出してきた遊離水量/組成物全質量×100で表される値である。遊離水はピペットで採取して、量を計る。
【0029】
該ブリージング率が高いと充填箇所内に水の層ができるか、該遊離水が逸脱した後に空隙ができる場合があり、ブリージング率は出来る限り少なくする必要がある。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例によりさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0031】
(a)ブリージング率の測定方法
250mlパックエース(内径6cm×高さ9cmの円筒型ポリプロピレン製容器/株式会社テラオカ製)に配合物(セメント、ベントナイト、パルプ繊維、水を混練して得られたスラリー状物)を所定量(W1g)入れて蓋をし、水が蒸発しないようにする。
次に25℃で24時間静置した後、蓋を開けてブリージング水をピペットで採取する(W2g)。
【0032】
以下の計算式に従ってブリージング率を算出する。
【0033】
ブリージング率(質量%)=W2(g)/W1(g)×100
【0034】
【実施例1】
250ccパックエース(内径6cm×高さ9cmの円筒型ポリプロピレン製容器/株式会社テラオカ製)に水道水180gを入れて攪拌を開始した。次にBSベントナイトW(ベントナイト産業株式会社製)8gと粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gを入れて均一混合した。次にポルトランドセメント48gを加えて均一に混練して本発明の低強度充填用組成物(1)を得た。
【0035】
得られた低強度充填用組成物(1)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ1.1質量%であった。また、静置後に得られた本発明の充填物(1)は適度な強度を有し、容器から取り出してもその形状が崩れることはなかった。
【比較例1】
粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gを添加しない以外は実施例1と同様にして、比較低強度充填用組成物(1)を得た。
【0036】
得られた比較低強度充填材(1)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ3.6質量%であった。
【比較例2】
粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gの代わりにBSベントナイトW1gを添加した以外は実施例1と同様にして、比較低強度充填用組成物(2)を得た。
【0037】
得られた比較低強度充填材(2)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ3.3質量%であった。
【0038】
【実施例2】
粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gの代わりに、目開き355μmの篩を通過した粉砕パルプ(平均繊維長=約0.2mm)1gを添加した以外は実施例1と同様にして、比較低強度充填用組成物(3)を得た。
【0039】
得られた比較低強度充填材(3)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ2.0質量%であった。また、静置後に得られた本発明の充填物(2)は適度な強度を有し、容器から取り出してもその形状が崩れることはなかった。
【0040】
【実施例3】
粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gの代わりに、目開き75μmの篩を通過した粉砕パルプ(平均繊維長=約0.04mm)1gを添加した以外は実施例1と同様にして、比較低強度充填用組成物(4)を得た。
【0041】
得られた比較低強度充填材(4)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ2.2質量%であった。また、静置後に得られた本発明の充填物(3)は適度な強度を有し、容器から取り出してもその形状が崩れることはなかった。
【0042】
【実施例4】
250ccパックエース(内径6cm×高さ9cmの円筒型ポリプロピレン製容器/株式会社テラオカ製)に、BSベントナイトW(ベントナイト産業株式会社製)8g、粉砕パルプ(平均繊維長=2mm)1gおよびポルトランドセメント48gを加えて入れて粉体混合した。次に水道水180gを入れて攪拌し均一に混練して、本発明の低強度充填用組成物(2)を得た。
【0043】
得られた低強度充填用組成物(2)の入ったパックエースを密栓して25℃で24時間静置した後、ブリージング率を測定したところ34.7質量%であった。また、静置後に得られた本発明の充填物(4)は適度な強度を有し、容器から取り出してもその形状が崩れることはなかった。
表1に実施例、比較例の結果をまとめた。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】
上述したとおり、本発明の低強度充填用組成物はブリージング率が極めて低くなり、充填性に優れている。よって本発明の低強度充填用組成物を充填箇所に充填することにより均一で安定した充填状態にできるという効果を奏する。
Claims (5)
- セメント、パルプ繊維、ベントナイト及び水を必須成分として含む組成物であって、該組成物の固形分濃度が10質量%〜50質量%であることを特徴とする低強度充填用組成物。
- 請求項1記載の組成物を24時間静置した後のブリージング率が2質量%未満であることを特徴とする低強度充填用組成物。
- パルプ繊維の平均繊維長が0.5〜5mmである請求項1または2に記載の低強度充填用組成物。
- パルプ繊維およびベントナイトを水に混合した後、セメントを混合することを特徴とする請求項1〜3に記載の低強度充填用組成物の製造方法。
- 請求項1〜3記載の充填用組成物を硬化して得られる充填物。
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