JP2018028013A - 縣濁型地盤注入材 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ブリーディングを生じず、注入材の急激な粘度上昇が抑制された水ガラス系の縣濁型注入材を提供する。
【解決手段】 珪酸ナトリウム、及びセメントを含有する縣濁型地盤注入材であって、
前記珪酸ナトリウムが結晶性層状珪酸ナトリウムであり、
前記地盤注入材1m中の結晶性層状珪酸ナトリウム由来のSiOが100〜200kgであることを特徴とする縣濁型地盤注入材を提供する。
上記縣濁型地盤注入材としては、最大粒径が8μm以下の水酸化カルシウムを、結晶性層状珪酸ナトリウム由来のSiO1モルに対して水酸化物イオンが0〜0.5モルの割合で用いることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規な縣濁型地盤注入材に関する。
軟弱地盤の強化、漏水地盤の止水を行うために、地盤注入工法が実施されている。該工法は、地盤注入用薬液(地盤注入材)を地盤中に注入してゲルを生成せしめ、該地盤を安定化させるものであり、シールド工事やトンネル工事において、地盤からの地下水の漏水防止や坑壁の安定化をはじめ、土木建設業界において広く採用されている。
上記工法は、一般的に仮設工法として使用されることが多く、注入材として、水ガラス(珪酸ナトリウム)を主剤とした地盤注入材が用いられている。水ガラス系の注入材は、安全性が高く、さらに、止水や地盤強化等の様々な注入目的に応じることができるので、最も広く使用されている。水ガラス系の地盤注入材を大きく分類すると、溶液型と懸濁型の二つに分類される。溶液型は、先ず、水ガラスと重炭酸塩等を溶解したゲル化剤とよりなる地盤注入薬液を、地盤に圧入し、土粒子間の空隙に浸透させる。そして、水ガラスとゲル化剤のゲル化反応により、土粒子間の空隙を埋めて固化体を地盤中に生じせしめて該地盤を安定させるものである。一方、懸濁型は、先ず、水ガラスとセメントなどの懸濁物とよりなる地盤注入薬液を、地盤に圧入し、土粒子間の空隙に浸透または割裂注入させる。そして、水ガラスと懸濁物のゲル化反応により、固化体を生成し土粒子間の空隙を埋めて該地盤を安定させるものである。また、懸濁型は、生成した固化体によって土粒子を圧密させることによって、該地盤を安定させるものである。
ここで、水ガラス系の注入材に用いられる水ガラスは、具体的にはモル比(SiO/NaO)が2〜4の珪酸ナトリウム水溶液を水で希釈したり、珪酸ナトリウム水溶液に酸性溶液を加えてPHを調整したり、或いは、希釈した水ガラスをイオン交換樹脂等で脱アルカリを行った後に使用されている。例えば、溶液型薬液として用いる場合には、重炭酸塩水溶液、重硫酸塩水溶液、有機酸水溶液等を硬化剤として加え、縣濁型薬液として用いる場合には、セメント懸濁液等を硬化剤として加えている。
上記薬液の中で、溶液型薬液は地盤中での浸透性が良いため、均一な固結体が得られるものの、固化強度が50〜1000KN/mとなるため、主に止水目的や地盤掘削時の仮設材料や地震時の間隙水圧上昇を防止できるため液状化対策材料として用いられて来た。また、縣濁型薬液では薬液中のセメント含有量を増加させることで固化強度は高くなるものの、地盤中で目詰まりを起こすため浸透性に難があった。
これらを改善するため、セメント粒子(比表面積(ブレーン値)が3300cm/g前後)を更に粉砕した微粒子セメントと微粒子スラグ(比表面積9000以上15000cm2/g未満)とモル比が3.0未満の珪酸ナトリウム成分、及び水を含有し、微微粒子セメントの混合量が、微粒子スラグと微粒子セメントの合計100質量部に対し2質量部以上40質量部以下であり、珪酸ナトリウム成分の配合量が、微粒子スラグと微粒子セメント合計100質量部に対して5質量部以上30質量部以下であり、水の配合量が、微粒子スラグと微粒子セメント合計100質量部に対して400質量部以上460質量部以下の土質安定用薬液が用いられている(特許文献1参照)。また、平均粒径がそれぞれ10μm以下、比表面積が5000cm/g以上の微粒子スラグおよび微粒子セメントの混合を含む懸濁型グラウトにさらにモル比が2.8以下の水ガラスを含有する地盤注入薬液が用いられている(特許文献2参照)。
特開2009−155472 特開平7−286173
上記特許文献1記載の浸透型注入材は、浸透性を向上させる目的で粘性を下げようとすると、注入材にブリーディング生じるためブリーディングを生じない浸透性の注入材としているものの、地盤への浸透性は十数cmにとどまり十分とは言えない。また、特許文献2記載の浸透型の縣濁型注入材は、地盤中の目詰まりの改善効果があるものの、なお、注入材を調整後急激にゲル化が進行するため、粘度の上昇が著しく、注入材の可使時間が短い、或いは、地盤注入時に目詰まりを起こすという課題がある。ゲル化時間を調製するために遅延剤等を用いることで注入材中のシリカの凝集を抑えているが、遅延剤によるシリカの凝集の抑制効果には限度があるばかりでなく、遅延剤により薬液の粘性が大幅に上昇するため更に浸透性の低下が懸念されるため、遅延剤を配合や、特別な処理をせずにシリカの凝集が抑えられ、注入材の粘性上昇が緩やかな縣濁型注入材が望まれていた。
従って、本発明の目的は、ブリーディングを生じず、注入材の急激な粘度上昇が抑制された水ガラス系の縣濁型注入材を提供することにある。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を行ってきた。上記縣濁型注入材に用いる水ガラス(珪酸ナトリウム)の形状に着目し検討を行った結果、珪酸ナトリウム水溶液を乾燥後、焼成した結晶性の層状珪酸ナトリウムを用いることで注入材のゲル化時間を抑制できるという知見を得た。そこでさらに検討を進めた結果、縣濁型地盤注入材として、前記層状珪酸ナトリウム由来のSiO分を特定の範囲とすることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、珪酸ナトリウム、及びセメントを含有する縣濁型地盤注入材であって、該珪酸ナトリウムが結晶性層状珪酸ナトリウムであり、該地盤注入材1m中の結晶性層状珪酸ナトリウム由来のSiOが100〜200kgであることを特徴とする縣濁型地盤注入材である。
上記本発明の縣濁型地盤注入材においては、以下の態様が好適に採り得る。
1)結晶性層状珪酸ナトリウムがNa(2−x)ySi2y・zHO(ここでxは0〜2、yは1±0.1、zは0〜5の数)の組成式で示されものであること。
2)前記セメントが、最大粒径が5μm以下であること。
3)さらに最大粒径が8μm以下の水酸化カルシウムを、結晶性層状珪酸ナトリウム由来のSiO1モルに対して水酸化物イオンが0.5モル以下の割合で用いること。
本発明の縣濁型地盤注入材は、一般的な水ガラス(JIS1号、2号、3号珪酸ナトリウム溶液)に比べ、急激な粘性上昇がなく薬液のゲル化とされる粘度100mPa・sに至る時間を長いので、注入時間が長く取れ1箇所からの注入量を多くできる。この結果、従来より大型の固結体を得ることが可能となる。または、注入間隔を大きくすることも可能で、注入管設置の本数が減ることによる削孔時間の減少で工期短縮が可能となり経済性向上に寄与できる。
従って、本発明の縣濁型地盤注入材は、薬液注入工法においては液状化対策工に用いることができる。また、トンネル先受け工法における注入材料としても適用が可能である。
本発明は、珪酸ナトリウム、及びセメントを含有する縣濁型地盤注入材であって、該珪酸ナトリウムとして、結晶性層状珪酸ナトリウムを特定の割合で用いることが特徴である。本発明の縣濁型地盤注入材におけるゲル化時間が長い理由について詳細は明らかではないが、本発明者らは、以下のように推測している。
すなわち、一般に水ガラス系の縣濁型地盤注入材では、水ガラス、セメント、さらに必要に応じて配合されるゲル化剤を混合して、縣濁型地盤注入材を調製すると、セメント中の硫酸イオンやゲル化剤等に含まれる炭酸イオンや重炭酸イオン(以下、単に陰イオン群とも言う)と珪酸ナトリウム中のNaOとが中和反応を起こし、SiOの凝集及びゲル化が進行するが、上記イオン群は懸濁液中に一気に放出されるため、該注入材を調製すると速やかに該注入材のNaOとの反応が進行し注入材のゲル化時間の調整が困難であった。また、水ガラスは、強アルカリであるNaOと弱酸であるケイ酸の中和物であり、Naイオンの解離が抑制される傾向にあるため、アルカリ度が変動し易い。一方、本願の縣濁型地盤注入材では、結晶性層状珪酸ナトリウムを用いている。結晶性層状ケイ酸ナトリウムは、水と反応してカネマイト(NaHSi・3HO)に変化する。このカネマイト自体も結晶性であるため、上記陰イオン群との反応が低く、ゲル化が抑制されているものと推測される。さらに、カネマイトは結晶水を有し、この結晶水は層間に捕捉されており、結晶の層間距離が増加する。この時カネマイトへの変化に伴ってアルカリ分であるNaOHが放出されるが、このNaOH及び陰イオン群が結晶水に捕捉されることによって、縣濁型地盤注入材中の急激なゲル化を抑制しているものと推測される。
以上の効果によって、本発明の縣濁型地盤注入材はゲル化による急激な粘性上昇が抑制されているものと推測される。以下、本発明の縣濁型地盤注入材の各成分について詳細に説明する。
<結晶性層状珪酸ナトリウム>
本発明の懸濁型地盤注入材において用いる結晶性層状珪酸ナトリウムとは、斜方晶または単斜晶を呈し、層状の構造を有する珪酸ナトリウムである。
このような結晶性層状珪酸ナトリウムは、具体的には、NaSi・xHOで示されるケニヤイト、NaSi1429・xHOで示されるマガディアイトNaSi17・xHOで示されるアイラアイト、NaSi等の組成式を持つものが挙げられる。これらの中でも水との反応によって層間距離の増加効果が高く、アルカリ捕捉能が高いという点で、Na(2−x)ySi2y・zHO(ここでxは0〜2、yは1±0.1、zは0〜5の数)の組成式で示される結晶性層状珪酸ナトリウムが好適に用いられる。なお、上記記組成式の結晶性層状珪酸ナトリウムにおいて、本願発明の効果に影響しない範囲で、Na、K、Mg、Ca、Al等の元素が含まれていても良い。これら元素の混入量としては、Na1モルに対し、0.005モル以下が好ましい。
このような結晶性層状珪酸ナトリウムは、工業的に入手可能であり、具体的には、株式会社トクヤマシルテック製 製品名「プリフィード」(NaSi)などが挙げられる。
本発明に用いる結晶性層状珪酸ナトリウムの使用量は、当該注入材1m中に結晶性層状珪酸ナトリウム中のSi0が100〜200kgとなるように使用する。使用量が100kg未満の場合、結晶性層状ナトリウムのゲル化が不十分となり、地盤中の地下水による希釈を受け強度が発現しなかったり固化範囲が計画の位置より下流側に移動したりする恐れが生じる。また、使用量が200kgを超える場合、当該注入材の初期粘度が上昇し地盤への浸透性に影響するとともに、結晶性層状珪酸ナトリウムに水を加えた際に分散に時間を要し注入工事における施工性に影響を及ぼす恐れが生じる。地盤中での強度発現や、注入工事のおける施工性等の点から、結晶性層状珪酸ナトリウムを110〜170kgの範囲で用いることが特に好ましい。
<セメント>
本発明の縣濁型地盤注入材において用いるセメントとしては、地盤注入材に用いられるセメントとして公知のものを用いることができる。セメントとしては、普通・早強・超早強・中庸熱・白色等の各種ポルトランドセメント類、高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメントなどの混合セメント類を挙げることができ、これらのセメントは一種ないし二種以上を組み合わせて用いることができる。
用いるセメントの粒度についても特に制限されるものではないが、注入対象となる土粒子間隙への浸透性等の理由から平均粒径が4μm以下、好ましくは2μm以下のセメントを用いることが好ましい。
また最大粒径については、浸透注入が可能か否かの指標となるグラウタビリティ比(対象土の15%粒径と注入材の85%粒径との比)等の理由から8μm以下、好ましくは5μm以下のセメントを用いることが好ましい。
セメントの使用量は、水/セメント比(W/C)が400〜1600質量%の範囲が好ましく、改良目的が強度強化の場合には、600〜800質量%になることが特に好ましく、止水を目的とする場合には、900〜1200質量%になることが特にこのましい。具体的には、当該注入材1m中のセメントの質量に対する結晶性層状珪酸ナトリウムを分散させるための水とセメントを分散させるために用いる水の合計質量との質量比が当該比率の範囲になるように調製すれば良い。
W/Cが400質量%未満の場合、固化後の強度は十分に発現するものの、当該注入材中でのセメント粒子の分散が不十分となり、地盤中の浸透性が低下する傾向がある。また、W/Cが1600質量%を超えると、当該地盤注入材に材料分離が起こりブリーディングを生じやすい傾向がある。このため、沈降したセメント粒子が二次凝集を起こし注入施工時に地盤中で目詰まりし、不均一な改良体となりやすい。また、固化後の強度発現が不十分となり改良効果が得られにくい傾向がある。
<水酸化カルシウム>
上記本発明の縣濁型地盤注入材においては、ゲル化時間の促進や早期強度発現の目的で最大粒径が8μm以下の水酸化カルシウムを用いることが好ましい。特に5μm以下のものが特に好ましい。
水酸化カルシウムの使用量は、結晶性層状珪酸ナトリウム由来のSiO1モルに対して水酸化物イオンが0.5モル以下の割合で用いることが好ましい。水酸化物イオンの量が多くなると、当該地盤注入材のゲル化時間が早くなる傾向がある。
<他の成分>
上記本発明の縣濁型地盤注入材においては、使用する目的に応じて他の添加剤を添加することが可能である。
添加剤として具体的には、通常に用いられる公知のセメント混和剤を用いることができる。減水剤や消泡剤、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルミミン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ刺激剤、スラグ、シリカフューム等のポゾラン物質、炭酸カルシウム、石膏等の無機化合物等を用いることができる。これらの内、水に不溶性または難溶性の物質を用いる場合は、セメントと同等またはそれより細かい粒度のものが好ましい。
<本発明の縣濁型地盤注入材の製造方法>
上記本発明の縣濁型地盤注入材においては、珪酸ナトリウムとセメントと水酸化カルシウムと水とを上記の割合で配合して調製される。その際の練り混ぜ方法には、特に制限はないが、本発明の効果を十分に得るためには、珪酸ナトリウムと水、セメントと水とを別々に練り混ぜた後、連続的またはバッチ式で等量混合して地盤中に圧入することが好ましい。
別々に練り混ぜを行うことで、珪酸ナトリウム、セメントを水に十分に溶解または分散させることができる。セメントの分散には高性能減水剤を併用すると、より効果的な地盤注入材を得ることができる。
<本発明の縣濁型地盤注入材を用いた工法>
本発明の縣濁型地盤注入材は、一般的な水ガラス(JIS1号、2号、3号珪酸ナトリウム溶液)に比べ、急激な粘性上昇がなく薬液のゲル化とされる粘度100mPa・sに至る時間を長いので、注入時間が長く取れ1箇所からの注入量を多くできる。この結果、従来より大型の固結体を得ることが可能となる。または、注入間隔を大きくすることも可能で、注入管設置の本数が減ることによる削孔時間の減少で工期短縮が可能となり経済性向上に寄与できる。
従って、本発明の縣濁型地盤注入材は、薬液注入工法においては液状化対策工に用いることができる。また、トンネル先受け工法における注入材料としても適用が可能である。
薬液注入工法による液状化対策工は、緩い砂地盤が地震エネルギーにより振動を受けた際に生じる間隙水圧が、地盤の上載圧を超えると土粒子が浮き上がり現象を起こし流動化する。その後、圧力の消散過程で地上に噴砂を伴い沈下を生じる液状化現象に対し、間隙水の一部を薬液と置き換えることにより、間隙水圧の上昇を防止する工法である。液状化対策工に用いる薬液は、止水効果を目的とするものが好適で、浸透性に優れる溶液型のものが用いられている。
トンネル先受け工法は、NATM工法でトンネルを掘削する際、掘削範囲に破砕帯や岩盤の細粒化層、砂層等が存在すると、掘削の進行により地山が崩落し工事の安全性が著しく損なったり、周辺地盤に緩みが生じ近接構造物に変位が生じたりする恐れがある場合の補助工法として用いられる。対策対象の区間において、支保材となる専用の鋼管やFRP製の管を地山に挿入した後、管中に設置した注入装置を介して地山中に薬液を浸透させることにより、支保材の固定と細粒化した土粒子を固化することで、掘削時の地山崩落を防止するものである。従来、注入材料としては、ウレタン系のものが用いられて来たが、掘削残土の環境への影響や細粒化した地山への浸透性への懸念から、セメント系の注入材料も使用されている。
昨今、NATM工法は、都市部でも使われ始めているが、主として岩盤が地山の山岳トンネルとは異なり、洪積砂層や火山灰質土が複雑に入り組んだ地山を掘削する場合も生じ
ているため、浸透性に優れる注入材料が必要とされている。
本発明の懸濁型注入材は、一般的な水ガラス(JIS1号、2号、3号珪酸ナトリウム溶液)に比べ、急激な粘性上昇がなく薬液のゲル化とされる粘度100mPa・sに至る時間を長いので、注入時間が長く取れ1箇所からの注入量を多くできる。この結果、従来より大型の固結体を得ることが可能となる。または、注入間隔を大きくすることも可能で、注入管設置の本数が減ることによる削孔時間の減少で工期短縮が可能となり経済性向上に寄与できる。このため当該注入材は、薬液注入工法においては液状化対策工に用いることができる。また、トンネル先受け工法における注入材料としても適用が可能である。
次に、実施例及び比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は本実施例に限定されるものではない。尚、以下の実施例および比較例で使用した成分の詳細は以下のとおりである。
珪酸ナトリウム
結晶性層状珪酸ナトリウム:プリフィード (株)トクヤマシルテック社製
1号珪酸ナトリウム:1号珪酸ナトリウムX2 東曹産業(株)社製
セメント:HyperNP−1500 日鐵住金セメント(株)社製
分散剤:ML−3000 日鐵住金セメント(株)社製
水酸化カルシウム:カルセッター (株)トクヤマ社製
遅延剤:ジオキープネオ遅延剤 (株)トクヤマエムテック社製
(実施例1〜12および比較例1〜7)
(1)懸濁型注入材の調製
A液およびB液は、表1に記載の割合になるようにそれぞれ計量した。
練り混ぜは、ハンドミキサー((株)東芝社製、1000rpm)を用いた。A液の調製は樹脂製の円筒容器に水を入れた後、ハンドミキサーを稼働しながら珪酸ナトリウムを入れ1分間攪拌した。B液の調製は、A液の調製と同様に水に減水剤を入れた後、セメントを加え3分間攪拌した。B液をハンドミキサーで攪拌しながらA液を混合し、30秒間攪拌し懸濁型注入材を調製した。
(2)評価方法
ゲル化時間は、A液およびB液を混合した時点でストップウォッチを稼働する。混合後の注入材を音叉粘度計にて粘度を計測し、100mPa・sに到達した時にストップウォッチを止め時間を計測した。
ブリーディングは、JSCE−532「PCグラウトのブリーディング率および膨張率試験方法(ポリエチレン袋方法)」に準拠して試験体を作製した。ゲル化後、ゲル体の上面における水の分離の有無を目視確認した。
浸透性は、5φ×100cmのアクリルモールドに豊浦砂を間隙率が40%になるように締固めプラグ付きの蓋を上下に固定した。注入前に脱気水で砂間隙を飽和させた。懸濁型注入材を調製した後、直ちに攪拌機付きの圧力容器に移し容器とモールドとをホースで連結し容器内に0.2MPaの圧力をかけモールド内に連続的に注入した。モールドから排水される脱気水の容積を連続的に計測して注入材の浸透長さを算出した。浸透長さが50cm以上は○、20cm以上50cm未満は△、20cm未満は×とし評価した。
評価の結果は表2に記載する。
Figure 2018028013
Figure 2018028013

Claims (4)

  1. 珪酸ナトリウム、及びセメントを含有する縣濁型地盤注入材であって、
    前記珪酸ナトリウムが結晶性層状珪酸ナトリウムであり、
    前記地盤注入材1m中の結晶性層状珪酸ナトリウム由来のSiOが100〜200kgであることを特徴とする縣濁型地盤注入材。
  2. 前記結晶性層状珪酸ナトリウムがNa(2−x)ySi2y・zHO(ここでxは0〜2、yは1±0.1、zは0〜5の数)の組成式で示されるものであることを特徴とする請求項1記載の縣濁型地盤注入材。
  3. 前記セメントが、最大粒径が5μm以下である請求項1又2記載の縣濁型地盤注入材。
  4. さらに最大粒径が8μm以下の水酸化カルシウムを、結晶性層状珪酸ナトリウム由来のSiO1モルに対して水酸化物イオンが0.5モル以下の割合で用いる請求項1〜3のいずれか1項に記載の縣濁型地盤注入材。
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