JP5820651B2 - 繊維入りセメントスラリー - Google Patents
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Description
即ち、特許文献1の方法は、先ず、水セメント比(W/C)を下限値(60〜80%)とした粘度の高いセメントミルクを作成する。この状態のセメントミルクに増粘剤、分散剤及び繊維を加え、繊維を均質に分散させる。次いで、セメントミルクを、スラリーポンプを用いて施工機に圧送する。そして、別系統の配管で施工機に圧送された加圧水を加水し、適切な水セメント比(W/C)のセメントミルクとする。これにより、繊維補強地盤改良体を構築できる。
しかし、特許文献1の方法は処理手順が複雑であり、増粘剤や分散剤などの添加量を多く必要とし、不経済である。
ここに、セメント(C)と水(W)の混合比である水セメント比(W/C)が50%〜150%とされ、繊維は、ポリプロピレン、ビニロン又はナイロンの少なくとも1つであり、セメントスラリーへの繊維の混入率は、体積比で0.7%〜4.4%とされている。
即ち、有機系の繊維(ポリプロピレン、ビニロン又はナイロン)を適正量(体積比で0.7%〜4.4%)混合させることで、地盤改良体の靭性を向上させる繊維入りセメントスラリーを提供することができる。
更に、適切な配合でセメント、水、繊維及び添加剤が調合されているため、スラリーポンプによる圧送のために、従来、余分に混入させていた増粘剤や分散剤などの添加量を削減することができる。
更に、適切な配合でセメント42、水44、添加剤46及び繊維50が調合されているため、スラリーポンプによる圧送のために、従来、余分に混入させていた増粘剤や分散剤などの添加量を削減させることができる。
図2は、圧送可否判断に用いた繊維混入セメントスラリー40の調合割合を示している。パラメータとして、水44とセメント42の混合割合いを示す水セメント比(%)、セメント42の量を示すセメント量(kg/m3)、添加剤(増粘剤)46の添加量を示す増粘剤添加量(kg/m3)、添加剤(増粘剤)46の添加割合を示す増粘剤添加割合(%)、繊維50のセメントスラリー48への混入割合を示す繊維のセメントスラリー体積比率(%)を選定した。
ここに、セメント量は、150kg/m3〜400kg/m3の範囲で試験した。これは、建物の基礎地盤として用いる地盤改良体の場合、設計基準強度(Fc)は、Fc=1.0N/mm2以上とされる場合が多い。また、地盤改良体として必要なセメント量は土質によって異なり、砂質土では80〜300kg/m3程度、粘性土では100〜300kg/m3程度である。このため、広い範囲で確認すべく上記範囲とした。
それぞれの調合状態として、スラリー粘度及びLフロー初速度V1を試験で求めた。
ここに、スラリー粘度は、JISZ8803に規定する「液体の粘度測定方法(回転粘度計による粘度測定)」に基づいて試験した。試験結果は、図2のスラリー粘度の欄に示すように0.05Pa・s〜4.3Pa・sの範囲であった。なお、スラリー粘度は、繊維50が混入されていない状態で求めた値である。
図3は、物理性状の試験結果をプロットしたものである。横軸はスラリー粘度(Pa・s)であり、縦軸は、Lフロー初速度V1(cm/s)である。
図3における○印及び×印のプロットは、図2の圧送可否の欄の判断結果を転記したものである。ここに、○印のプロットは、繊維50の圧送が可能な調合を示している。一方、×印のプロットは、繊維50の圧送が不可能な調合をプロットしている。
なお、×印のプロットの隣りには、試験調合条件のケース番号を付した。これにより、繊維50の圧送が不可能な調合条件を容易に把握できる。
一方、この4本の実線80、82、84、86で囲まれた物理性状の外側では、繊維50の圧送ができない。
一方、スラリー粘度の上限値82は、ケース番号24の実測結果から求めた値であり、Lフロー初速度V1の上限値86は、ケース番号25の実測結果から求めた値である。
図4は、スラリー粘度(Pa・s)と加圧ブリージング試験における脱水量(ml)の関係を示している。図4おける横軸はスラリー粘度(Pa・s)であり、縦軸は加圧ブリージング試験における脱水量(ml)である。実測結果が黒角印でプロットされている。
ここに、加圧ブリージング試験は、繊維入りセメントスラリー40に一定の圧力をかけ、強制的に分離させる試験である。なお、加圧ブリージング試験は、コンクリート標準示方書(JSCE−F502−1999)に規定する試験方法に基づいて行った。
ここに、実験により、配管内で繊維50が繊維入りセメントスラリー40から分離する配合は、加圧ブリージング試験における脱水量が250mlを超過している範囲(矢印Qの方向)であることが判明した(横軸に平行な実線56の上側)。
即ち、実測結果を結ぶ特性52から、加圧ブリージング試験における脱水量が250mlの時のスラリー粘度は0.1Pa・sである。この結果から、スラリー粘度の下限値は0.1Pa・sとした(縦軸に平行な実線54)。
図5において、実線で示す特性60は、黒角印でプロットした実測結果から求めた特性である。実験は、図示しない地盤改良施工機に接続した状態(リーダー高さが10m)で圧力特性を求めた。
一方、破線で示す特性58は、白角印でプロットした実測結果から求めた特性である。実験は、地盤改良施工機には接続せず、水平配管の状態で圧力特性を求めた。
以上から、Lフロー初速度V1は13cm/sを下限値とした。
42 セメント
44 水
46 添加剤
48 セメントスラリー
50 繊維
Claims (2)
- セメント、水及び添加剤を混合したセメントスラリーに繊維を混合した、繊維入りセメントスラリーであって、
前記繊維を混合する前の、前記セメントスラリーの回転粘度計による粘度が0.1Pa・s〜3.8Pa・sであり、
前記セメントスラリーに前記繊維を混合した、繊維が入ったスラリーのLフロー初速度が13cm/s〜120cm/sであり、
前記セメント(C)と前記水(W)の混合比である水セメント比(W/C)が50%〜150%であり、
前記繊維は、ポリプロピレン、ビニロン又はナイロンの少なくとも1つであり、
前記セメントスラリーへの前記繊維の混入率は、体積比で0.7%〜4.4%である、
繊維入りセメントスラリー。 - 前記添加剤は、セルロース系増粘剤又はミセル形成型増粘剤であり、前記セメントスラリーへの前記添加剤の混入率は、重量比で0.3%〜2.0%である請求項1に記載の繊維入りセメントスラリー。
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