JP5754623B2 - 可塑化グラウトの打設方法、及び可塑化グラウトの製造方法 - Google Patents
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例えば、グラウトたるA液と、可塑化材(ベントナイト、アタパルジャイト等)を水に混濁した可塑化液たるB液とを別々に圧送して、打設現場で混合して可塑化グラウトを打設することが行われている(例えば、特許文献2〜5)。
そして、その結果、この分離により沈殿したセメントによって、管内が閉塞されてしまう虞がある。また、この分離により水分の割合が高くなったグラウトが打設されることによって、打設し硬化された硬化体が強度の低いものとなってしまう虞もある。
また、セメント及び水を含有する第1混合液と、ベントナイト及び水を含有する第2混合液とを混合して得られ、水100質量部に対して前記ベントナイトを1.2質量部以下含有することにより、粘度が低く保たれやすい。そして、本発明のグラウトは、粘度が低く保たれやすいため、本発明のグラウトを管で圧送した場合、エネルギー効率良く圧送することができるという利点がある。
すなわち、グラウトは、セメント及び水を含有する第1混合液と、ベントナイト及び水を含有する第2混合液とを混合して得られるグラウトである場合には、水100質量部に対して前記ベントナイトを1.2質量部よりも多く含有すると、水とセメントとがより一層分離し難くなり得るが、一方で、時間経過とともに粘度が高くなり過ぎてしまう。その結果、このグラウトは、管で圧送し難くなり、圧送にされるグラウトとして使用不可能となる。
さらに、前記第1混合液と、ベントナイト及び水を含有する第2混合液とを混合して得られることにより、前記第1混合液に、ベントナイトを粉体状のまま混合して得られるグラウトに比して、ベントナイトの量が少なくても、水とセメントとの分離が抑制されやすいことから、ベントナイトの使用量が抑制されるという利点もある。
また、セメント及び水を含有する第1混合液に、ベントナイトを粉体状のまま混合して得られ、水100質量部に対して前記ベントナイトを3.0質量部以下含有することにより、粘度が低く保たれやすい。そして、本発明のグラウトは、粘度が低く保たれやすいため、本発明のグラウトを管で圧送した場合、エネルギー効率良く圧送することができるという利点がある。
すなわち、グラウトは、セメント及び水を含有する第1混合液に、ベントナイトを粉体状のまま混合して得られるグラウトである場合には、水100質量部に対して前記ベントナイトを3.0質量部よりも多く含有すると、水とセメントとがより一層分離し難くなり得るが、一方で、時間経過とともに粘度が高くなり過ぎてしまう。その結果、このグラウトは、管で圧送し難くなり、圧送されるグラウトとして使用不可能となる。
そして、本発明のグラウトは、水とセメントとが分離し難いため、本発明のグラウトを管で圧送した場合、管が閉塞し難いという利点がある。また、管で圧送して打設しても、得られた硬化体が部分的に強度の低いものとなる虞も低いという利点がある。
また、本発明のグラウトは、粘度が低く保たれやすいため、本発明のグラウトを管で圧送した場合、エネルギー効率良く圧送することができるという利点もある。
まず、第1実施形態のグラウトについて説明する。
第1実施形態のグラウトは、セメント、水、及びベントナイトを含有してなる。
なお、ベントナイトは、モンモリロナイト鉱物を主成分とする粘土である。
水100質量部に対して、前記ベントナイトを0.05質量部以上含有することにより、第1実施形態のグラウトは、水とセメントとが分離し難くなるという利点がある。また、水100質量部に対して、前記ベントナイトを1.2質量部以下含有することにより、第1実施形態のグラウトは、粘度が低く保たれやすいという利点がある。
第1実施形態のグラウトの製造方法では、セメント及び水を含有する第1混合液と、ベントナイト及び水を含有する第2混合液とを混合してグラウトを得る。
具体的には、第1実施形態のグラウトの製造方法では、セメント及び水を混合して第1混合液を得る第1混合液作製工程と、ベントナイトと水とを混合して第2混合液を得る第2混合液作製工程と、前記第1混合液及び前記第2混合液を混合してグラウトを得るグラウト作製工程とを実施する。
該水溶性カルボン酸塩としては、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、グルコン酸等のナトリウム塩や、これらの酸のカリウム塩等が挙げられる。
該スルホン酸塩としては、リグニン系スルホン酸塩、ナフタレン系スルホン酸塩、メラミン系スルホン酸塩等が挙げられる。
前記分散剤として、水溶性カルボン酸塩を用いることが好ましく、なかでもポリカルボン酸塩を用いることが特に好ましい。
水100質量部に対して、ベントナイトを0.05質量部以上含有することにより、得られるグラウトは、水とセメントとが分離し難くなるという利点がある。また、水100質量部に対して、ベントナイトを1.2質量部以下含有することにより、得られるグラウトは、粘度が低く保たれやすいという利点がある。
また、該可塑化材としては、ベントナイトが好ましい。A液の作製の際にベントナイトと水とを混練する混練設備を、B液の作製の際にも利用することが可能となり、別途B液のための混練施設を準備する必要がなくなるという利点があるからである。
該リン酸塩としては、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。
該水溶性カルボン酸塩としては、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、マロン酸、グルコン酸等のナトリウム塩や、これらの酸のカリウム塩が挙げられる。
該スルホン酸塩としては、リグニン系スルホン酸塩、ナフタレン系スルホン酸塩、メラミン系スルホン酸塩等が挙げられる。
前記B液に含有される可塑化材がベントナイトである場合には、前記B液圧送工程で用いる分散剤としては、水溶性カルボン酸塩を用いることが好ましく、なかでもポリカルボン酸塩を用いることが特に好ましい。
前記B液に含有される可塑化材がアタパルジャイトである場合には、前記B液圧送工程で用いる分散剤としては、リン酸塩を用いることが好ましく、なかでもピロリン酸ナトリウムを用いることが特に好ましい。
次に、第2実施形態のグラウト、グラウトの製造方法、及び可塑化グラウトの打設方法について説明する。
なお、第1実施形態と重複する説明は省略し、第2実施形態で特に説明がないものは、第1実施形態で説明したものと同じ内容とする。
「前記第1混合液に、ベントナイトを粉体状のまま混合する」とは、「水と混合させていない状態のベントナイトを前記第1混合液に混合する」ことを意味する。
水100質量部に対して、前記ベントナイトを0.5質量部以上含有することにより、第1実施形態のグラウトは、水とセメントとが分離し難くなるという利点がある。また、水100質量部に対して、前記ベントナイトを3.0質量部以下含有することにより、第1実施形態のグラウトは、粘度が低く保たれやすいという利点がある。
第2実施形態のグラウトの製造方法では、セメント及び水を含有する第1混合液に、ベントナイトを粉体状のまま混合してグラウトを得る。
具体的には、第2実施形態のグラウトの製造方法では、セメント及び水を混合して第1混合液を得る第1混合液作製工程と、前記第1混合液に、ベントナイトを粉体状のまま混合してグラウトを得るグラウト作製工程とを実施する。
水100質量部に対して、ベントナイトを0.5質量部以上含有することにより、得られるグラウトは、水とセメントとが分離し難くなるという利点がある。また、水100質量部に対して、ベントナイトを3.0質量部以下含有することにより、得られるグラウトは、粘度が低く保たれやすいという利点がある。
該粗骨材、及び該細骨材としては、JIS A 5308の規定に従ったものを好適に使用しうるが、粗骨材、及び細骨材の材質は、本発明の効果が損なわれない範囲内であれば、特に限定されるものはない。また、粗骨材、及び細骨材の材質としては、例えば、川砂、山砂、陸砂、海砂、珪砂等を1種単独又は2種以上混合したものをそれぞれ採用することができる。
なお、以下に示すベントナイトの量は、他の鉱物が混ざっていないベントナイト100質量%に換算した値を意味する。
まず、ベントナイト、水、及び分散剤としての水溶性カルボン酸塩を表1に示す配合割合で混合し、第2混合液としてのベントナイト泥水1、2を得た。
次に、表2に示す配合割合で、第1混合液と第2混合液とを混合し、配合2〜13のグラウト(A液)を得た。また、表2に示す配合割合で、第1混合液にベントナイトを粉体状のまま混合し、配合14〜18のグラウト(A液)を得た。さらに、第1混合液自体を配合1のグラウト(A液)として用いた。
配合1〜18のグラウトを作製した直後(混練直後)に、及び作製してから3時間後に、それぞれ配合1〜18のグラウトの粘度を測定した。粘度は、ビスコテスター(回転粘度計)により測定した。
配合1〜18のグラウトを作製した直後(混練直後)に、それぞれ配合1〜18のグラウトの密度を測定した。また、配合1〜18のグラウトを作製した直後に、配合1〜18のグラウトをそれぞれ塩化ビニル製の円筒状容器(寸法:φ4cm×h58cm)に詰め、詰めてから3時間後に、容器の上部(容器上端から0〜19cmの間)、中部(容器上端から19〜38cmの間)、下部(容器上端から38〜58cmの間)の位置からグラウト試料を採取し、各試料の密度を測定した。密度は、196.35mLの容器にグラウトを詰め、容器を含めたグラウトの質量を測定し、該質量から容器の質量を差し引いて、グラウトの質量を求め、そして、この質量を容器内の体積で割ることによって求めた。
本発明の範囲(△):作製直後のグラウトの密度と、容器に詰めてから3時間後に上部、中部、及び下部から採取したグラウトの密度との差が全て±0.1g/cm3 以下で、且つ作製してから3時間後のグラウトの粘度が2.0dPa・s以下であった配合。
好ましい範囲(○):作製直後のグラウトの密度と、容器に詰めてから3時間後に上部、中部、及び下部から採取したグラウトの密度との差が全て±0.05g/cm3 以下で、且つ作製してから3時間後のグラウトの粘度が1.8dPa・s以下であった配合。
より好ましい範囲(◎):作製直後のグラウトの密度と、容器に詰めてから3時間後に上部、中部、及び下部から採取したグラウトの密度との差が全て±0.03g/cm3 以下で、且つ作製してから3時間後のグラウトの粘度が1.5dPa・s以下であった配合。
(×):△、○、◎の評価となる範囲から外れた配合。
上記配合1〜18のグラウトと同様に、下記表4の配合のベントナイト泥水を作製し、このベントナイト泥水を用いて下記表5の配合19、20のグラウトを作製した。
管(ホース)1(径:2インチ、断面積:19.8cm2 )を介してポンプ(モーノポンプ)2により配合19、20のグラウトをそれぞれ圧送した(図1)。圧送距離は60m、体積流量は約1L/min、圧送時間は130分、圧送した全容量は120Lで行った。
そして、作製した直後(混練直後)のグラウト、20m先に圧送されたグラウト(圧送開始後45分)、40m先に圧送されたグラウト(圧送開始後90分)、60m先に圧送されたグラウト(圧送開始後130分)の密度を配合19、20それぞれに対して測定した。密度は、196.35mLの容器にグラウトを詰め、容器を含めたグラウトの質量を測定し、該質量から容器の質量を差し引いて、グラウトの質量を求め、そして、この質量を容器内の体積で割ることによって求めた。結果を表6に示す。
上記配合19、20のグラウトと同様に、上記表4のベントナイト泥水を作製し、このベントナイト泥水を用いて、下記表7の配合21、22のグラウト(A液)を作製した。
実機短距離圧送試験1と同様な条件で、配合21、22のグラウト(A液)をそれぞれ圧送した。
そして、20m先に圧送されたグラウト(A液)(圧送開始後45分)、40m先に圧送されたグラウト(A液)(圧送開始後90分)、60m先に圧送されたグラウト(A液)(圧送開始後130分)をそれぞれ採取した。
次に、この採取したグラウト(A液)、及び作製した直後(混練直後)グラウト(A液)と、下記表8に示すB液とを、B液100質量部に対してA液83質量部となるように混合して、グラウトを得た。そして、該グラウトを打設して、φ5cm×10cmの供試体を作製し、供試体の圧縮強度、及び密度を測定した。圧縮強度は、土の一軸圧縮試験(JIS A 1216)に準拠して測定した。また、密度は、196.35mLの容器にグラウトを詰め、容器を含めたグラウトの質量を測定し、該質量から容器の質量を差し引いて、グラウトの質量を求め、そして、この質量を容器内の体積で割ることによって求めた。結果を表9に示す。
Claims (8)
- セメント及び水を含有する第1混合液と、ベントナイト及び水を含有する第2混合液とを混合して得られ、水100質量部に対して、前記ベントナイトを0.05〜1.2質量部含有するA液を圧送し、
可塑化材及び水が混合されたB液を圧送し、
圧送したA液とB液とを混合して可塑化グラウトを得、該可塑化グラウトを打設する可塑化グラウトの打設方法。 - セメント及び水を含有する第1混合液に、ベントナイトを粉体状のまま混合して得られ、水100質量部に対して、前記ベントナイトを0.5〜3.0質量部含有するA液を圧送し、
可塑化材及び水が混合されたB液を圧送し、
圧送したA液とB液とを混合して可塑化グラウトを得、該可塑化グラウトを打設する可塑化グラウトの打設方法。 - 前記A液と前記B液とが混合される前に、前記A液を管で長距離圧送する請求項1又は2に記載の可塑化グラウトの打設方法。
- 前記A液を前記管で圧送する距離が1〜3kmである請求項3に記載の可塑化グラウトの打設方法。
- セメント及び水を含有する第1混合液と、ベントナイト及び水を含有する第2混合液とを混合して得られ、水100質量部に対して、前記ベントナイトを0.05〜1.2質量部含有するA液を圧送し、
可塑化材及び水が混合されたB液を圧送し、
圧送したA液とB液とを混合して可塑化グラウトを作製する可塑化グラウトの製造方法。 - セメント及び水を含有する第1混合液に、ベントナイトを粉体状のまま混合して得られ、水100質量部に対して、前記ベントナイトを0.5〜3.0質量部含有するA液を圧送し、
可塑化材及び水が混合されたB液を圧送し、
圧送したA液とB液とを混合して可塑化グラウトを作製する可塑化グラウトの製造方法。 - 前記A液と前記B液とが混合される前に、前記A液を管で長距離圧送する請求項5又は6に記載の可塑化グラウトの製造方法。
- 前記A液を前記管で圧送する距離が1〜3kmである請求項7に記載の可塑化グラウトの製造方法。
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