JP7225352B1 - 裏込め材注入方法及び装置、裏込め材 - Google Patents

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Abstract

【課題】可塑状保持時間及び初期強度を確保するとともに、長期強度を硬質地盤、固結粘土層、軟岩層等の地盤と同程度の圧縮強度にする裏込め材注入装置を提供する。【解決手段】裏込め材注入装置は、セメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してセメントジェルを作成する混合装置27、A液貯留混合装置31と、水ガラス、第2の増粘剤を混合して可塑剤を作成するB液撹拌・貯留槽43と、セメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合したセメントジェルを裏込め部14付近まで圧送する圧送ポンプ29、A液注入装置32と、水ガラスと第2の増粘剤を混合した可塑剤を裏込め部14付近まで圧送するB液ライン49と、セメントジェルと可塑剤を混合して裏込め材14aを作成する混合部34と、この裏込め材14aを裏込め部14に注入する裏込め材注入管15と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばトンネルを築造するとき、トンネルの裏込め部(以下、テールボイドともいう。)に裏込め材を注入する裏込め材注入方法及び装置、裏込め材に関する。
一般に、シールド工法は、シールド掘進機に設けたシールドジャッキ推進装置を用いて、シールド掘進機内の後胴で組み立てられた覆工体(セグメント)を押圧し、その反力をシールド掘進機の掘進力とすると同時に、回転カッター等で地山を掘削して掘進し、トンネルを築造する工法である。
上記シールド工法では、掘削断面とセグメント外周との間に空隙(テールボイド)が生じることから、掘進すると同時に上記空隙部に速やかに裏込め材を注入充填し、早期に固化させることで地盤変位を最小限に抑制するようにしている。
従来、上記シールド工法において、テールボイドに充填する裏込め材は、主に軟弱地盤を対象に様々な裏込め材が発展してきた。この裏込め材を注入する方法には、テールボイドが発生すると同時に、このテールボイドに裏込め材を充填する同時裏込め注入方法が専ら採用されてきた。
また従来、上記裏込め材に求められる設計強度(材令28日)については、特に重要構造物や急曲線施工等の特殊条件下以外では、掘削対象土質にかかわらず、少なくとも2N/mm以上とされている(技術マニュアルP.23参照、可塑状グラウト協会発行)。これは、比較的軟弱地盤を対象とするシールド工事で多く採用されてきたためである。
近年、大深度、大断面のシールド工事においては、強度が高い洪積層から軟岩を掘削することが多くなるため、裏込め材の強度についても掘削対象地盤相当の強度が求められている。また近年、土被りの大きいN値((標準貫入試験JIS A 1219)によって求められる地盤の強度等を求める試験結果(数値))50以上の洪積層、第三紀層等の未固結地盤や軟岩等で、地下水位が高い条件下の道路トンネルや鉄道トンネルを建設する事例や計画する事例が増えている。このような事情から裏込め材においても高強度の裏込め材が要求されている。なお、高強度の裏込め材については、例えば特許文献1に記載された技術がある。
特開2016-166447号公報
ところで、特許文献1に記載された技術は、裏込め材に細骨材として砂を使用している。砂は産地により粒度分布が異なるばかりでなく、砂の表面水量は、管理方法により変動するものであり、圧送性能及び配合強度に大きな影響を与えるため、裏込め材として一定の品質を確保することが困難な場合がある。
また、裏込め材を長距離圧送する場合は、裏込め材を製造する度に、毎回、含水比、粒度を測定する必要があり、モルタルの練り混ぜ水や添加剤の量の調整が必要となることから、その作業が煩雑となり、また測定管理費用が嵩むことになる。
さらに、大断面のシールド工事では、裏込め材の注入量が多くなり、大量の砂を使用することから、市街地では、大量の砂を保管しておく用地を確保することが困難である。加えて、特許文献1に記載された技術には、裏込め材として重要な性能である、注入初期の可塑状状態を表す可塑状保持時間と可塑状強度については何ら示唆されていない。さらに、裏込め材を注入してから1時間経過後の強度としては、σ=0.02N/mm以上の強度が要求されている(上記技術マニュアルP.23参照)が、この強度についても示唆されていない。
そして、現在多用されている2液可塑状裏込め材は、充填性、水中分離抵抗性、初期強度発現性に優れているものの、長期強度が2~5N/mmであり、洪積層、第三紀層等の未固結地盤や軟岩より極めて小さく、地盤と同程度の強度を確保することが困難である。
本発明は、上記事情を考慮してなされたものであり、裏込め材に砂を使用せずに、長期強度を硬質地盤、固結粘土層、軟岩層等の地盤と同程度の圧縮強度にすることが可能であるとともに、従来の2液可塑状裏込め注入材と同程度の可塑状保持時間及び初期強度を確保することが可能な裏込め材注入方法及び装置、裏込め材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、セメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してセメントジェルを作成する第1の混合工程と、水ガラス、第2の増粘剤を混合して可塑剤を作成する第2の混合工程と、前記第1の混合工程によって混合された前記セメントジェルを、第1の配管を通して裏込め部付近まで圧送する第1の圧送工程と、前記第2の混合工程によって混合された前記可塑剤を、第2の配管を通して前記裏込め部付近まで圧送する第2の圧送工程と、前記裏込め部付近まで圧送された前記セメントジェルと前記可塑剤を混合して裏込め材を作成する第3の混合工程と、前記第3の混合工程によって混合された前記裏込め材を前記裏込め部に注入する注入工程と、を有する。
また、本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記第2の混合工程は、トンネルの坑内において混合される工程であって、前記第1の増粘剤は、缶体に収容され、該缶体が前記トンネルの坑内を移動可能な台車に載置されて前記坑内を搬送され、あるいは圧送管で圧送され、前記水ガラスと混合される。
また、本発明の請求項3に記載の発明は、セメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してセメントジェルを作成する第1の混合手段と、水ガラス、第2の増粘剤を混合して可塑剤を作成する第2の混合手段と、前記第1の混合手段によって混合された前記セメントジェルを、第1の配管を通して裏込め部付近まで圧送する第1の圧送手段と、前記第2の混合手段によって混合された前記可塑剤を、第2の配管を通して前記裏込め部付近まで圧送する第2の圧送手段と、前記裏込め部付近に設置され、前記第1の圧送手段によって圧送された前記セメントジェルと前記第2の圧送手段によって圧送された前記可塑剤を混合して裏込め材を作成する第3の混合手段と、前記第3の混合手段によって混合された前記裏込め材を前記裏込め部に注入する注入手段と、を備える。
また、本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の裏込め材注入方法に用いられる裏込め材であって、セメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してなるセメントジェルと、水ガラス、第2の増粘剤を混合してなる可塑剤とが混合されてなる裏込め材である。
また、本発明の請求項5に記載の発明は、セメントジェル及び可塑剤を有し、前記セメントジェルに前記可塑剤を混合してなる裏込め材であって、前記セメントジェルがセメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してなり、前記可塑剤が水ガラス、第2の増粘剤を混合してなる裏込め材である。
また、本発明の請求項に記載の発明は、請求項4又は5に記載の構成に加え、前記水ガラスのモル比が1.8~3.6である。
また、本発明の請求項に記載の発明は、請求項4乃至6のいずれか一項に記載の構成に加え、前記第1及び前記第2の増粘剤がミセル剤である。
また、本発明の請求項に記載の発明は、請求項に記載の構成に加え、前記第1及び第2の増粘剤がミセル剤であって、該ミセル剤は、下記一般式(1)で表される化合物を2種以上含有するミセル剤であって、前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物であって、更にアニオン性化合物との組合せからなる裏込め材である。
Figure 0007225352000002
〔式中、XはR1a又はR1b-〔CONH-CHCHCH〕n-で表される基である。R1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。nは1以上3以下の整数である。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)pHで表される基である。pは、平均付加モル数であり、RおよびRの合計で0以上5以下の数である。〕
また、本発明の請求項に記載の発明は、請求項4乃至のいずれか一項に記載の構成に加え、前記第1の増粘剤は、セルロース系の増粘剤である。
また、本発明の請求項10に記載の発明は、請求項4乃至のいずれか一項に記載の構成に加え、前記セメントジェルは、水セメント比が30~80%、セメントの重量に対して第1の増粘剤が0.03~0.5重量%、前記流動化剤が0.1~0.9重量%、前記安定剤が0.5~1.4重量%である。
また、本発明の請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の構成に加え、前記セメントジェルは、前記セメントの使用量が900~1200kg/m である。
本発明の請求項1乃至請求項9に記載の発明によれば、セメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してセメントジェルを作成し、水ガラス、第2の増粘剤を混合して可塑剤を作成し、これらセメントジェルと可塑剤を別々に裏込め部付近まで圧送し、これらセメントジェルと可塑剤を混合して裏込め材を作成して裏込め部に注入することにより、裏込め材に砂を使用せずに、長期強度を硬質地盤、固結粘土層、軟岩層等の地盤と同程度の圧縮強度にすることが可能であるとともに、従来の2液可塑状裏込め注入材と同程度の可塑状保持時間及び初期強度を確保することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る裏込め材注入装置の構成を示す系統図である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
[一実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る裏込め材注入装置の構成を示す系統図である。なお、以下の実施形態では、トンネルを築造するとき、トンネルの裏込め部に裏込め材を注入する例について説明する。
図1に示すように、泥土圧式のシールド掘進機1は、カッタヘッド回転駆動装置2を駆動してカッタヘッド3を回転させてトンネル坑内4aの切羽を掘削する。ここで、トンネル坑内4aは、地盤5に掘削した立坑6から連続して掘削されている。この掘削された掘削土には、作泥土材添加管7からベントナイト、粘土、高分子剤、気泡材等の添加材が注入されて練り混ぜることで泥土8aが作成される。シールド掘進機1は、この泥土8aを切羽室8内に充満させることにより切羽を安定させ、スクリュコンベヤからなる排土装置9で排土しながら掘削処理を進めるようにしている。なお、切羽室8内に充満された泥土8aの圧力は、圧力計10によって計測される。
また、シールド掘進機1は、図示しないセグメント組立装置を用いてセグメントによるセグメント覆工体11を一リング毎に組み立て、この組み立てたセグメント覆工体11から反力をとりつつ、シールドジャッキ12によってシールド筒13とともに、カッタヘッド3を押し出すことで、切羽面を掘削しながらシールドトンネルを掘進して行くように構成されている。
そして、シールド掘進機1の後方では、上記セグメント組立装置を用いて組み立てたセグメント覆工体11と地盤5の掘削孔との間に形成される裏込め部(テールボイド)14に裏込め材14aを裏込め材注入管15の吐出口15aから注入してトンネル4を築造するトンネル施工が実施される。地上16には、発進基地17が設置され、この発進基地17の付近に立坑6が掘削されている。
<裏込め材注入装置の構成説明>
発進基地17には、裏込め材圧送装置20を構成するセメントジェル製造設備21と、このセメントジェル製造設備21によって製造されたセメントジェルをトンネル坑内4aに設置された後述するA液貯留・混合装置31まで圧送する圧送ポンプ29と、水ガラスを貯留する水ガラス貯留槽40と、水ガラス貯留槽40内に貯留された水ガラスをトンネル坑内4aに設置された後述するB液撹拌・貯留槽43まで圧送する圧送する圧送ポンプ41とが設置されている。
ここで、本実施形態のセメントジェルとは、粘稠性の低いセメントミルクから粘稠性の高いセメントペーストの全てを含むものとする。
セメントジェル製造設備21は、セメント貯留槽22と、水貯留槽23と、特殊増粘剤貯留槽24と、流動化剤貯留槽25と、安定剤(硬化遅延剤)貯留槽26と、混合装置(ミキサー)27と、貯留・撹拌装置28とを有している。
混合装置27には、セメント貯留槽22内に貯留されたセメントと、水貯留槽23内に貯留された水と、特殊増粘剤貯留槽24内に貯留された第1の増粘剤としての特殊増粘剤と、流動化剤貯留槽25内に貯留された流動化剤と、安定剤貯留槽26内に貯留された安定剤とが供給され、これらは混合装置27内で混合される。混合装置27内で混合されたセメントジェル(以下、A液という。)は、貯留・撹拌装置28に送られて撹拌される。
貯留・撹拌装置28内のA液は、圧送ポンプ29を駆動することによりA液配管30を通してトンネル坑内4a内のA液貯留・混合装置31に圧送される。A液配管30は、地上の発進基地17の圧送ポンプ29から立坑6を経てトンネル坑内4aに設置されたA液貯留・混合装置31まで延びている。混合装置27及びA液貯留・混合装置31は、本実施形態の第1の混合手段を構成する。
A液貯留・混合装置31に圧送されたA液は、A液注入装置32に送られ、A液ライン33を通してトンネル4の切羽付近に設置された第3の混合手段としての混合部34に注入される。圧送ポンプ29及びA液注入装置32は、本実施形態の第1の圧送手段を構成し、A液配管30及びA液ライン33は、本実施形態の第1の配管を構成する。
また、水ガラス貯留槽40内には、モル比1.8~3.6、好ましくは1.8~2.9の水ガラスが貯留されている。この水ガラスは、圧送ポンプ41によりA液配管30とは別系統の水ガラス配管42を通してトンネル坑内4a内に設置された第2の混合手段としてのB液撹拌・貯留槽43に圧送される。このB液撹拌・貯留槽43の付近には、特殊粘性剤槽44が設置されている。この特殊粘性剤槽44には、ポンプ45が設けられ、このポンプ45を駆動することによって特殊粘性剤槽44内の第2の増粘剤としての特殊粘性剤がB液撹拌・貯留槽43に供給される。このB液撹拌・貯留槽43では、水ガラス配管42を通して圧送された水ガラスと特殊粘性剤槽44から供給された特殊粘性剤とが撹拌されて混合されて可塑剤(以下、B液という。)が作成される。
ここで、トンネル坑内4a内には、台車46が走行可能に設けられ、この台車46に特殊粘性剤を収容した複数の缶体47が積載されている。特殊粘性剤槽44内には、台車46にて輸送される複数の缶体47に収容された特殊粘性剤が供給される。
B液撹拌・貯留槽43でモル比(1.8~3.6)の水ガラスと特殊粘性剤とが混合されたB液は、第2の圧送手段としてのB液注入装置48により第2の配管としてのB液ライン49を通してトンネル4の切羽付近に設置された混合部34に注入される。この混合部34では、A液にB液が加えられて混合される。混合部34は、注入配管50を介して裏込め材注入管15に接続されている。この裏込め材注入管15は、テールプレート51に装着され、その先端部に裏込め部(テールボイド)14に向けて後方に開口された吐出口15aを有している。これら裏込め材注入管15、吐出口15a、及び注入配管50は、本実施形態の注入手段を構成する。
<裏込め材注入装置の作用説明>
次に、本実施形態の裏込め圧送装置20の作用を説明する。
地上の発進基地17では、セメント貯留槽22内に貯留されたセメントと、水貯留槽23内に貯留された水と、特殊増粘剤貯留槽24内に貯留された特殊増粘剤と、流動化剤貯留槽25内に貯留された流動化剤と、安定剤貯留槽26内に貯留された安定剤とが混合装置27にそれぞれ供給されて混合される(第1の混合工程)。
この混合装置27内で混合されたA液は、貯留・撹拌装置28に送られて撹拌され、圧送ポンプ29を駆動することにより、A液配管30を通してトンネル坑内4a内のA液貯留・混合装置31に圧送された後、さらに混合されて貯留される(第1の混合工程)。そして、A液貯留・混合装置31に貯留されたA液は、A液注入装置32によってA液ライン33を通してトンネル4の切羽付近に設置された混合部34に注入される(第1の圧送工程)。
また、地上の発進基地17では、水ガラス貯留槽40内に貯留されたモル比(1.8~3.6)の水ガラスが圧送ポンプ41を駆動することに水ガラス配管42を通してトンネル坑内4a内に設置されたB液撹拌・貯留槽43に圧送される。このB液撹拌・貯留槽43には、ポンプ45を駆動することによって特殊粘性剤槽44内の特殊粘性剤がB液撹拌・貯留槽43に供給される。このB液撹拌・貯留槽43では、上記水ガラスと特殊粘性剤とが撹拌されて混合される(第2の混合工程)。なお、特殊粘性剤槽44内の特殊粘性剤には、第2の増粘剤として、例えばミセル剤、ビスコトップ(商品名)が使用され、缶体47あるいは圧送配管により供給されて可塑剤(B液)が作成される。
B液撹拌・貯留槽43で混合されたB液は、B液注入装置48によりB液ライン49を通してトンネル4の切羽付近に設置された混合部34に注入される(第2の圧送工程)。この混合部34では、A液にB液が加えられて裏込め材14aが作成され、この裏込め材14aが注入配管50を介して裏込め材注入管15の吐出口15aから裏込め部(テールボイド)14に裏込め材14aが注入される(注入工程)。
なお、B液は、トンネル坑内4a内に設置されたB液撹拌・貯留槽43で水ガラスに特殊粘性剤が加えられて混合して作成したが、これに限らずB液撹拌・貯留槽43を発進基地17に設置して水ガラスと特殊粘性剤を混合するようにしてもよい。
また、本実施形態では、図示はしていないが混合部34を組み立てられたセグメントの裏込め注入孔に取り付け、直接裏込め部14に充填する場合もある。
このように裏込め材圧送装置20によれば、セメント、水、特殊増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してセメントジェルを作成し、上記水ガラス、特殊粘性剤を混合して可塑剤を作成し、これらセメントジェルと可塑剤を別々にトンネル4の切羽付近まで圧送し、これらセメントジェルと可塑剤を混合して裏込め材14aを作成して裏込め部14に注入することにより、裏込め材14aに砂を使用せずに、長期強度を硬質地盤、固結粘土層、軟岩層等の地盤と同程度の圧縮強度にするとともに、従来の2液可塑状裏込め注入材と同程度の可塑状保持時間及び初期強度を確保することが可能となる。
次に、本実施形態の全体の作用を説明する。
上記のように本実施形態の裏込め材圧送装置20は、大断面、大深度下におけるシールド工法で使用される裏込め注入装置であって、裏込め注入材は2液で構成されている。この2液はA液とB液を有し、A液はセメント、水、特殊増粘剤(第1の増粘剤、例えばセルロース系、あるいはミセル剤)、流動化剤、安定剤(硬化遅延剤)を含む。また、B液は、モル比(1.8~3.6)の水ガラス及び第2の増粘剤としての特殊粘性剤を含む。
本実施形態の裏込め材圧送装置20は、B液にモル比の1.8~3.6の水ガラス及び第2の増粘剤としての特殊粘性剤を用いてA液と撹拌混合させることにより、従来の2液可塑状裏込め注入材と同程度の可塑状保持時間(30分~45分)と、初期材令強度(1時間)を確保しつつ、長期材令強度(28日)を増強させることができることが判明した。
なお、裏込め部14への充填性や、裏込め材14aの水中不分離性や、地上16、地下水源への逸送防止の観点から一層の向上を図るため、可塑強度をより増強させる必要がある場合は、上記材料に加えてB液の特殊粘性剤を僅かに増量させることで、一層の向上を図ることが可能である。
裏込め材14aに要求される性能は、対象地盤と同程度の強度、変形係数を有することである。本実施形態の裏込め材14aは、これを可能とするものである。セグメント覆工体11の設計において、裏込め材14aの性能を考慮している鉄道構造物等の設計標準では、地盤5と裏込め材14aの変形係数の二層構造による評価法が示されている。
大断面、大深度下におけるシールド工法でのセグメント覆工体11は、自重により発生する曲げモーメントが支配的になるため、裏込め材14aの変形係数が極めて重要な要素である。すなわち、裏込め材14aの変形係数と地盤5の変形係数とが同程度であれば、地盤5が有する変形係数をそのまま採用することができるため、経済的なセグメント覆工体11の設計が可能になる。しかも、地盤5と裏込め材14a、セグメント覆工体11が完全に一体化し、連続体モデルが成立するため、曲げモーメントが減少し、軸力の卓越状態を確保することができる。その結果、構造的に安全性の向上を図ることができる。
従来の裏込め材は、その強度が2~5N/mmで地盤5よりも低いため、トンネル4が地震による振動作用を受けると、地盤5とトンネル4とが別々の挙動になり、トンネル4の自己振動が発生する。その点、本実施形態では、上記のようにトンネル4の変位が地盤5と同一であることから、自己振動の影響を受けないため、安全性を向上させることができる。
さらに、本実施形態は、地下水位が高く、洪積層、第三紀層等の未固結地盤や軟岩において、シールド掘進機1で掘進する際に、セグメント覆工体11と掘削坑との間に形成される裏込め部14に充填するのに好適な高強度の裏込め材14aである。
なお、土木学会発行のトンネル標準示方書[シールド工法]・同解説 3.7裏込め注入工には、裏込め材14aの性質として、早期に地盤の強度以上になるものが望ましいと記載されている。
<本実施形態で用いられる各材料の説明>
次に、本実施形態で用いられる各材料について説明する。
本実施形態のセメントには、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、エコセメント(例えばJIS R5214等)、高炉セメント(例えばJIS R5211に記載)等のセメントが挙げられる。セメントは、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、高炉セメントから選択されるセメントが好ましく、普通ポルトランドセメント、高炉セメントから選択されるセメントがより好ましく、高炉セメントがさらに好ましい。
ここで、上記A液とB液を混合した裏込め材の可塑状とは、チキソトロピカルゲルといわれる状態であり、例えばチューブに充填された練り歯磨きのように、チューブを絞ると練り歯磨きが注出口から絞り出されるような状態で、チューブの絞り出しを止めると自らからは注出口から注出されていかないため、注入を中断しても裏込め部14に確実に充填することができる状態をいう。
本実施形態は、上記のようにB液の可塑剤としてモル比(1.8~3.6)の水ガラスと特殊増粘剤が用いられている。このモル比(1.8~3.6)の水ガラスについて以下に説明する。
本発明者等の鋭意研究の結果、大量のセメントを含むA液にモル比(3.0程度を超える)の水ガラスをB液に混合した場合、混合直後の裏込め材として必要とされる30分以上の可塑状保持時間を確保することが難しい。
本実施形態では、モル比(1.8~3.6)の水ガラスに特殊増粘材を添加したB液を混合することで、初期の適切な可塑状保持時間と初期強度の確保に好適であることを見出した。
また、モル比1.8以上の水ガラスは、特殊増粘剤と混合して圧送する場合でも、それぞれの性能に影響を与えることはなく、長距離でも圧送することが可能となることが判明した。
本実施形態では、長期強度を35N/mm以上とした場合、A液の水に対するセメント比は40%程度で、B液に用いる可塑剤をA液体積10に対し1.1の比率で撹拌混合することで、裏込め材14aの可塑状保持時間を30分以上確保することができ、初期強度(材令1時間)においても0.02N/mm以上を満足することができる。
また、A液の分離沈降を抑制するため以下の特殊増粘剤(分離低減剤)を配合することが望ましい。A液の第1増粘剤である特殊増粘剤は、例えばセルロ-ス系増粘剤(例えば、メチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)あるいはミセル剤あるいは多糖類系増粘剤(キサンタンガム、ガラクトマンナン、アラビアガム、ゼラチン、ペクチン等)等から選ばれる少なくとも1種類以上の増粘剤であり、好ましくはセルロース系増粘剤もしくはミセル剤から選ばれる少なくとも1種類以上の増粘剤であり、セメントの重量に対して、分離沈降を抑制する観点から0.01重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.03重量%以上含有し、ポンプ圧送性の観点から1.5重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.0%重量%以下であることが好ましく、よりさらに好ましくは0.5重量%以下含有する。
本実施形態に用いられる増粘剤としてのミセル剤とは、下記一般式(1)で表される化合物を2種以上含有するミセル剤であって、前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物であって、更にアニオン性化合物との組合せからなる。
Figure 0007225352000003
〔式中、XはR1a又はR1b-〔CONH-CHCHCH〕n-で表される基である。R1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。nは1以上3以下の整数である。RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(CO)pHで表される基である。pは、平均付加モル数であり、RおよびRの合計で0以上5以下の数である。〕
さらに、水セメント比の低減による長期強度の増強化と、流動性の向上を図るため以下の流動化剤を配合することが望ましい。A液の流動化剤には、例えば、ナフタレン系重合体、ポリカルボン酸系重合体、メラミン系重合体、フェノール系重合体、リグニン系重合体が好ましく、ポリカルボン酸系重合体がより好ましい。この流動化剤は、セメントの重量に対して、ポンプ圧送性の観点から0.01重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.05重量%以上であることが好ましく、よりさらに好ましくは0.1重量%以上含有することが好ましく、分離沈降抑制の観点から2.0重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.9重量%以下含有することが好ましい。
そして、凝結による硬化時間を遅らせるため以下の安定剤(硬化遅延剤)を配合することが望ましい。A液の安定剤(硬化遅延剤)には、例えばオキシカルボン酸系(例えば、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の酸またはその塩等)、糖系(例えば、でんぷん、トレハロース、スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース、デキストリン等)の有機化合物からなる遅延剤もしくは例えば、リン酸塩、水酸化銅、亜鉛化合物等の無機化合物からなる遅延剤が用いられ、この遅延剤は、1種ないし、2種以上を含有してもよい。また、この遅延剤はセメントの重量に対して、十分な遅延効果を得る観点から0.01重量%以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.05重量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1重量%以上であることが好ましく、強度発現性の観点から2.0重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1.5重量%以下であることが好ましい。
本実施形態は、A液の水セメント比が30~80%の範囲で、またA液とB液に含まれる水量を加えた水セメント比が40~90%の範囲であっても、従来の裏込め材と同様の可塑状保持時間と初期強度を発現させることができることが判明した。
本実施形態は、従来の裏込め材に比べ水中不分離性が損なわれず、粘着性が低いことから、低い注入圧力で安全な裏込め注入の施工が可能となる。
また、本実施形態では、シールド掘進機1に搭載する裏込め注入管15を介して、裏込め部14に裏込め材14aを注入する場合でも、裏込め注入管15内のセメント固着分を抑制するとともに、注入ラインの洗浄効率の向上が期待できることから、裏込め注入管15の閉塞によるトラブルを抑制することができる。
さらに、本実施形態では、従来重要視されていなかった、材令3時間・6時間・24時間の圧縮強度の高強度化により、より一層セグメント覆工体11の早期安定化と周辺地盤との一体化の効果が得られ、構造的安全性を向上させることができる。
本実施形態の裏込め材14aは、圧縮強度と変形係数を大きくすることができるため、セグメントの設計においてより合理的、かつ経済的なセグメントの設計が可能となる。本実施形態によれば、A液がセメントのみで形成されており、セメントは工場で製造されるので品質が常に一定であることから、天候や現場の条件に関わらず現場で容易に均一な性状の裏込め材を製造することができる。また、発進基地17からシールド掘進機1の後方に配置された台車46付近まで、直にあるいは中継ポンプを介して圧送することが可能で、従来の裏込め材と同仕様の配管で圧送することができる。
上記配合によれば、特殊増粘剤(分離低減剤)、流動化剤、及び安定剤の添加剤を加えることにより、配管内で硬化しにくく、かつ沈殿しにくい。また、この配合のA液は長期的に(8時間程度)使用可能であり、現場でのシールドトラブル時に伴うシールド掘進停止においても、保存が可能である。
本実施形態では、砂を用いず、セメントだけを使用するので、砂を保管しておく用地や大型混練りプラントを必要としないので、狭い発進基地17での施工が可能となり、市街地の建設工事に有利である。
<実施例の説明>
以下、具体的な実施例を表1及び表2に基づいて説明する。
本実施例に係る典型的な裏込め材の配合例を表1に示す。
Figure 0007225352000004
裏込め材は、A液にB液を加え混合して作成される。
ここで、表1において、A液を構成する材料は、W:水、C:高炉セメントあるいは普通セメント、特殊増粘材(ミセル剤)あるいは分離低減材(MC溶液:メチルセルロース溶液(メトローズ)、W1:流動化剤、W2:安定剤(硬化遅延剤)等である。
B液を構成する材料は、W3:特殊可塑剤(水ガラス)、W4:特殊増粘材(ミセル剤)で構成される。W/C:水セメント比である。
なお、表1において水セメント比(W/C)は、水(W)の他に液体混和剤(W1,W2,W4)及び水ガラス(W3)を算定した。
本実施例では、施工性(長距離圧送、発進基地用地の節約、使用機材の節約、管理容易、コスト削減等)、高強度裏込め材の実現、A液とB液との混合後に裏込め部14に注入された時の可塑状及び充填性を念頭において総合的に鋭意研究の結果、表1に示すような配合結果を得た。
Figure 0007225352000005
表2は、A液材料の添加量と水セメント比W/Cの適応範囲を表している。すなわち、表2は、A液の添加剤の添加量を対セメント重量比で表している。
配合例1~3に示すように、A液は、水セメント比が30~80%、セメントの重量に対して特殊増粘剤が0.03~0.5重量%、流動化剤が0.1~0.9重量%、安定剤が0.5~1.4重量%である。配合例1では、各種添加剤を表2のように添加することで、一軸圧縮強度が材令28で15~25N/mmであり、配合例2では、25~35N/mmであり、配合例3では、35N/mm以上である。そして、裏込め材の物性としては、ゲルタイムが6~15秒、可塑状時間が30~45分、材令強度(1時間)が0.02以上となった。なお、上記A液の特殊増粘剤、流動化剤、及び安定剤のそれぞれの固形分量は、あらかじめ判明している。
Figure 0007225352000006
表3に示すように、裏込め材(表1の配合例3)の注入1時間後の一軸圧縮強度σ1hは0.03N/mmであり、0.02N/mmを上回っている。また28日強度では54.10N/mmを得ており、軟岩や固結粘土層と同程度かそれよりも大きいことが証明された。
1時間強度σ1hは、裏込め材14aの注入が完了して次の掘進が始まるまでに必要とされる強度であり、組み立てられたセグメント覆工体11の自重を裏込め材で保持するために重要な要素である。
変形係数E50の1時間後の変形係数は、E1h=10MN/mを示しており、その後時間の経過とともに増加してE3h=29MN/m、E6h=100MN/m、E1d=990MN/m、E7d=6100MN/m、E28d=11267MN/mを示している。これらの値は、従来の2液型裏込め材の圧縮強度や変形係数に比べ、はるかに大きい値(10倍以上)を示しており、硬質地盤とセグメントリングを一体化させた合理的なトンネルの設計が可能となる。
このように本実施例によれば、A液の主材がセメントのみで構成されており、セメントは工場で製造され品質が常に一定であるので、天候や現場の条件に関わらず現場で容易に均一な性状のセメントジェルを製造することができる。
またA液には、上記表1に記載のセメント、水の他に、特殊増粘剤、流動化剤、安定剤(硬化遅延剤)等を配合することにより、配管内で硬化しにくいばかりでなく、沈殿しにくく、長時間(8時間程度)の流動性を保持することができる。
そのため、本実施例の裏込め材14aは、発進基地17からシールド掘進機1の後方に配置された台車46付近まで、直にあるいは中継ポンプを介して、低強度の裏込め材と同仕様の配管で長距離での圧送が可能となる。
また、上記の配合のA液の長時間流動性を測定するコンシステンシー試験には、Pロートによるプレパクトフロー試験がある。この試験では、8時間後でも23.5秒と、1時間後の20.2秒と大差のない試験結果が得られており、8時間程度の流動性が確認されている。したがって、本実施例によれば、現場でのシールド掘進機1のトラブル発生に伴うシールド掘進停止時においても、この時間内に配管内のA液の排出や配管の洗浄等が可能となる。
この配合の可塑状保持時間については、可塑状強度は40分後に0.005N/mm、50分後に0.01N/mmである結果が得られている。これらの結果は、可塑状グラウト協会発行の可塑状注入工法技術マニュアルp.10に記載される可塑状強度0.001~0.01N/mmの範囲内にあり、可塑状保持時間は45分程度を保持可能であることが判明した。
従来の配合例では、B液は一般的にモル比3.1以上水ガラスが単体で使用されているものの、本実施例のB液にはモル比2.0の水ガラスが使用されている。この水ガラスに特殊粘性剤を加えて2液を混合したB液として裏込め注入位置付近まで圧送し、A液と混合するようにしている。
このように2液を混合したB液は、セメントを主体とするA液と混合することで、作成された裏込め材14aとして必要なゲルタイム、可塑状保持時間(45分)、可塑状強度(0.005~0.01N/mm)を得ることができ、裏込め部14への充填性を良好とし、地下水による希釈を防止することができる。
B液に加える特殊増粘剤等は、裏込め材が裏込め部14において充填性を良好とし、地下水による希釈を有効に防止するために添加される。
B液の水ガラスは、単体で圧送し、台車46付近に配置したB液撹拌・貯留槽43で特殊粘性材と混合して可塑剤とした後、A液と混合して裏込め材14aとして注入する。上記特殊粘性材は、複数の缶体47に収容し、これらの缶体47をトンネル坑内4aに走行する台車46に積載して搬送し、B液撹拌・貯留槽43で上述した水ガラスと混合する。上記特殊粘性剤の搬送は、配管による圧送でも可能である。
本実施例では、上記水ガラスと特殊粘性材をあらかじめ地上16の発進基地17で混合し、圧送する場合もある。水ガラスと特殊増粘剤は、相互に干渉するものではなく、また圧送するためには悪影響を与えない。この場合、分離を防止する添加材を加えることもある。
本実施例では、高強度の裏込め材を実現するために、施工効率を考慮して、砂を使用する代わりに、セメント(高炉セメント)を大量に使用する。そして、A液の長距離圧送を実現し、かつ増粘性を向上させ、分離性を小さくし、長時間の使用を実現するためには、特殊増粘剤(分離低減材)、流動化剤、安定剤(硬化遅延剤)を配合した。
特殊増粘剤の最終目的は、地下水による希釈の防止等、裏込め部14における良好な充填性を得るための可塑状保持時間の確保であり、これはA液とB液の混合後に必要な機能である。
<他の実施形態>
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。
なお、本実施形態の裏込め材は、シールド掘進機1に設けられた裏込め注入管15から裏込め部14へ注入するのみならず、セグメントに設けられた図示しない裏込め注入孔から注入してもよいことは勿論である。
また、上記実施形態では、裏込め材の主材であるA液を地上16に設置された発進基地17で製造し、圧送ポンプ29によりA液配管30を通してA液貯留・混合装置31まで直接圧送する例について説明したが、これに限らずA液配管30に設けた図示しない中継ポンプを経由して圧送するようにしてもよい。加えて、A液は、貯留タンクを有する搬送車で搬送するようにしてもよい。
さらに、上記実施形態では、一例としてトンネルを築造するとき、トンネル4の裏込め部14に裏込め材を注入する例について説明したが、これに限定することなく、他の例として立坑等を築造するときの裏込め部14に裏込め材を注入する場合についても適用可能である。
1 シールド掘進機
2 カッタヘッド回転駆動装置
3 カッタヘッド
4 トンネル(地下空間)
4a トンネル坑内
5 地盤
6 立坑
7 作泥土材添加管
8 切羽室
8a 泥土
9 排土装置
10 圧力計
11 セグメント覆工体
12 シールドジャッキ
13 シールド筒
14 裏込め部(テールボイド)
14a 裏込め材
15 裏込め材注入管(注入手段)
15a 吐出口(注入手段)
16 地上
17 発進基地
20 裏込め材圧送装置
21 セメントジェル製造設備
22 セメント貯留槽
23 水貯留槽
24 特殊増粘剤貯留槽
25 流動化剤貯留槽
26 安定剤貯留槽
27 混合装置(第1の混合手段)
28 貯留・撹拌装置
29 圧送ポンプ(第1の圧送手段)
30 A液配管(第1の配管)
31 A液貯留・混合装置(第1の混合手段)
32 A液注入装置(第1の圧送手段)
33 A液ライン(第1の配管)
34 混合部(第3の混合手段)
40 水ガラス貯留槽
41 混合部
42 水ガラス配管
43 B液撹拌・貯留槽(第2の混合手段)
44 特殊粘性剤槽
45 ポンプ
46 台車
47 缶体
48 B液注入装置
49 B液ライン(第2の配管)
50 注入配管(注入手段)
51 テールプレート
52 裏込め注入材

Claims (11)

  1. セメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してセメントジェルを作成する第1の混合工程と、
    水ガラス、第2の増粘剤を混合して可塑剤を作成する第2の混合工程と、
    前記第1の混合工程によって混合された前記セメントジェルを、第1の配管を通して裏込め部付近まで圧送する第1の圧送工程と、
    前記第2の混合工程によって混合された前記可塑剤を、第2の配管を通して前記裏込め部付近まで圧送する第2の圧送工程と、
    前記裏込め部付近まで圧送された前記セメントジェルと前記可塑剤を混合して裏込め材を作成する第3の混合工程と、
    前記第3の混合工程によって混合された前記裏込め材を前記裏込め部に注入する注入工程と、
    を有する裏込め材注入方法。
  2. 前記第2の混合工程は、トンネルの坑内において混合される工程であって、前記第1の増粘剤は、缶体に収容され、該缶体が前記トンネルの坑内を移動可能な台車に載置されて前記坑内を搬送され、あるいは圧送管で圧送され、前記水ガラスと混合される請求項1に記載の裏込め材注入方法。
  3. セメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してセメントジェルを作成する第1の混合手段と、
    水ガラス、第2の増粘剤を混合して可塑剤を作成する第2の混合手段と、
    前記第1の混合手段によって混合された前記セメントジェルを、第1の配管を通して裏込め部付近まで圧送する第1の圧送手段と、
    前記第2の混合手段によって混合された前記可塑剤を、第2の配管を通して前記裏込め部付近まで圧送する第2の圧送手段と、
    前記裏込め部付近に設置され、前記第1の圧送手段によって圧送された前記セメントジェルと前記第2の圧送手段によって圧送された前記可塑剤を混合して裏込め材を作成する第3の混合手段と、
    前記第3の混合手段によって混合された前記裏込め材を前記裏込め部に注入する注入手段と、
    を備える裏込め材注入装置。
  4. 請求項1又は2に記載の裏込め材注入方法に用いられる裏込め材であって、
    セメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してなるセメントジェルと、
    水ガラス、第2の増粘剤を混合してなる可塑剤とが混合されてなる裏込め材。
  5. セメントジェル及び可塑剤を有し、前記セメントジェルに前記可塑剤を混合してなる裏込め材であって、
    前記セメントジェルがセメント、水、第1の増粘剤、流動化剤、安定剤を混合してなり、前記可塑剤が水ガラス、第2の増粘剤を混合してなる裏込め材。
  6. 前記水ガラスのモル比が1.8~3.6である請求項4又は5に記載の裏込め材。
  7. 前記第1及び前記第2の増粘剤がミセル剤であ請求項4乃至6のいずれか一項に記載の裏込め材。
  8. 前記第1及び第2の増粘剤がミセル剤であって、該ミセル剤は、下記一般式(1)で表される化合物を2種以上含有するミセル剤であって、前記2種以上の化合物は、一般式(1)中のXが異なっており、前記2種以上の化合物のうち、少なくとも1つは一般式(1)中のXのR1a又はR1bがアルケニル基の化合物であって、更にアニオン性化合物との組合せからなる請求項に記載の裏込め材。

    Figure 0007225352000007
    〔式中、XはR1a又はR1b-〔CONH-CH CH CH 〕n-で表される基である。R1aは、炭素数14以上22以下のアルキル基又は炭素数14以上22以下のアルケニル基である。nは1以上3以下の整数である。R およびR は、それぞれ独立に、炭素数1以上4以下のアルキル基又は-(C O)pHで表される基である。pは、平均付加モル数であり、R およびR の合計で0以上5以下の数である。〕
  9. 前記第1の増粘剤は、セルロース系の増粘剤である請求項4乃至8のいずれか一項に記載の裏込め材。
  10. 前記セメントジェルは、水セメント比が30~80%、セメントの重量に対して第1の増粘剤が0.03~0.5重量%、前記流動化剤が0.1~0.9重量%、前記安定剤が0.5~1.4重量%である請求項4乃至9のいずれか一項に記載の裏込め材。
  11. 前記セメントジェルは、前記セメントの使用量が900~1200kg/m である請求項10に記載の裏込め材。
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