JP3706998B2 - エタノールベントナイトグラウト工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、止水や有害物の遮蔽等を目的として、地盤や岩盤中に止水体や遮蔽体等を作製するのに好適に用いられる、エタノールベントナイトグラウト工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工事中における止水を目的とした止水体や、有害物の遮蔽等を目的とした遮蔽体の作製、また、空隙部の止水充填や、トンネル、シールド等の裏込め充填、地盤や岩盤中の亀裂、空隙の充填等の材料としては、セメント、ベントナイト、薬液、アスファルトグラウト等の注入材が一般に用いられている。
【0003】
ところで、止水材として要求される特性としては、
1)地盤や岩盤の変形に追従でき、しかもクラック等が発生しない高い柔軟性
2)大きな変形によってクラックが発生して一時的に止水性が低下しても、止水機能を回復できる高い自己補修正
3)優れた止水性
等がある。
【0004】
このような特性を備えたものとしては、特にベントナイトが優れており、このベントナイトを高濃度の状態で亀裂や空隙に注入できれば、超長期の止水性保持に最も効果があると考えられている。
ところが、ベントナイトを単に水で混練するだけではベントナイト濃度を高くすることができず、したがってこのような水−ベントナイト系のものは一時止水にのみその利用が限定されていた。
【0005】
本発明者等は、このような事情から鋭意研究した結果、ベントナイトをエタノール等の有機溶媒と混練することにより、非常に高濃度でありながら粘性の小さいベントナイトスラリーを作製することができることを見出した。そして、このベントナイトスラリーを地盤の空隙等に充填することによる、地下構造体の施工方法を提供したのである(特開平8−49242号公報)。
【0006】
すなわち、この地下構造体の施工方法は、地盤中の空隙内または地盤中に形成した孔内の地下水中に、水溶性有機溶剤、例えばエタノールを含有した溶媒とベントナイトとを混合したスラリーを注入充填することにより、前記空隙または孔内に地下構造体を形成するようにしたものであり、地下水中にスラリーを注入するのみで地下構造体を形成することができ、また、スラリーと土とを攪拌する必要がないので、地下構造体の施工を容易かつ低コストで行うことができる等の効果を奏するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の施工方法には以下に述べるような改良すべき課題があった。
地盤や岩盤中の亀裂又は空隙に地下水が溜まっている状態では、例えば有機溶剤としてエタノールを用いてエタノールベントナイトスラリーを作製し、これを亀裂又は空隙に充填すると、充填直後にスラリー中のエタノールと地下水との置換が起こってしまい、スラリーの粘度が増大してしまう。このようにしてスラリーの粘度が増大すると、その注入距離が短くなって亀裂又は空隙の深部にまでエタノールベントナイトスラリーを充填するのが極めて困難になってしまい、結果として十分な止水性等の特性を有した止水体等の構造物が得られなくなってしまう。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、特に地盤や岩盤中の亀裂又は空隙に地下水が溜まっている状態において、エタノールベントナイトスラリーを亀裂や空隙の深部にまで確実に充填できるようにした、エタノールベントナイトグラウト工法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のエタノールベントナイトグラウト工法では、地盤又は岩盤中の亀裂又は空隙内にエタノール又はエタノール水溶液を注入して、該亀裂又は空隙内に溜まっていた地下水をエタノール又はエタノール水溶液で置換し、その後、前記亀裂又は空隙内にエタノールベントナイトスラリーを充填することを前記課題の解決手段とした。
【0010】
このエタノールベントナイトグラウト工法によれば、亀裂又は空隙内に溜まっていた地下水をエタノール又はエタノール水溶液で置換し、その後、エタノールベントナイトスラリーを充填するので、充填したスラリーは地下水によってそのエタノール濃度が低下するのが抑えられる。したがって、スラリーの粘度増加が抑制されることにより、注入距離が伸び、スラリーの亀裂や空隙深部への充填が容易になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
まず、エタノールベントナイトスラリー中のエタノール濃度毎の固液比と、ファンネル粘度(ファンネルフロー)との関係を図2に示す。
図2において(溶媒/ベントナイト)固液比は、溶媒であるエタノールおよび水の合計重量と、ベントナイト重量との比(固液比)を示している。
【0012】
図2より、同じ(溶媒/ベントナイト)固液比の場合には、エタノール濃度が高いほどファンネル粘度(ファンネルフロー)が小さく、これから、エタノール濃度が高いほど水によるベントナイトの膨潤が抑えられていることが分かる。
したがって、地下水とエタノールベントナイトスラリーが接触し、スラリー中のエタノールが地下水と置換してそのエタノール濃度が下がると、前述したようにファンネル粘度が増大し、亀裂や空隙へのスラリーの浸入性能が低下してこれら亀裂や空隙の深部にまでスラリーを充填するのが困難になってしまうのである。
【0013】
そこで、本発明のエタノールベントナイトグラウト工法では、地盤又は岩盤中の亀裂又は空隙内に、予めエタノール又はエタノール水溶液を注入し、該亀裂又は空隙内に溜まっている地下水をエタノール又はエタノール水溶液で置換するようにしている。
【0014】
すなわち、例えば止水を目的とした止水体を地盤の亀裂内に形成すべく、ベントナイトを亀裂内に充填するに際して、図1(a)に示すように地盤1の亀裂2内に地下水3が溜まっている場合には、まず、図1(b)に示すようにこの亀裂2内にエタノール水溶液4を注入し、これによって地下水3をエタノール水溶液4に置換する。
【0015】
注入するエタノール水溶液のエタノール濃度としては、50〜95重量%とするのが好ましい。50重量%未満では、地下水3と置換した際に一部残留した地下水3でエタノール水溶液が薄められ、結果として亀裂2内に水分が多く残留してしまうからであり、一方、95重量%を越えると、地下水3の置換効果の増加がそれほど望めないにもかかわらず、純度が高い分そのコスト(値段)も高くなってしまうからである。
【0016】
また、このようなエタノール水溶液の注入は、図1(b)に示したようにポンプ5等によって圧入するが、その際、ホースあるいはパイプ等の配管6をできるだけ亀裂2の深部にまで入れ、その状態でエタノール水溶液4を注入するのが好ましく、このようにして注入すれば、亀裂2内の地下水3を亀裂2の上部開口から溢れ出させることができ、これにより地下水3をエタノール水溶液4に容易に置換することができる。
【0017】
このようにしてエタノール水溶液4を注入し、地下水3をエタノール水溶液4に置換したら、次に、エタノールベントナイトスラリーを注入するべく、まず、攪拌槽7内にてエタノールもしくはエタノール水溶液中にベントナイトを、該エタノールもしくはエタノール水溶液100重量部に対し10重量部以下となるように加えて攪拌し、ベントナイトが低濃度のスラリーを作製する。なお、このような低濃度のスラリーを作製するのは、ベントナイトの注入量を少なくしてコストの低減化を図るためである。
【0018】
続いて、このベントナイトが低濃度のスラリーをポンプ5で亀裂2内に注入し、一時止水を行う。
さらに、攪拌槽7内にベントナイトを徐々に投入してスラリー中のベントナイトの濃度を徐々に上げつつ、注入を続ける。そして、ベントナイトの濃度が100重量部〜200重量部程度となったら、注入を終了し、配管6を引き上げ、さらに図1(c)に示すように亀裂2内をエタノールベントナイトスラリー8で充填した状態のまま、注入口(亀裂2の開口)をモルタル等の封止材9によって封止する。
【0019】
このとき、亀裂2内は十分に高い濃度のエタノール水溶液で満たされているので、充填したスラリー8は地下水3によるエタノール濃度の低下が抑えられる。したがって、スラリー8の粘度増加が抑制されることにより、該スラリー8の注入距離が伸び、その亀裂2(空隙)深部への充填が確実になされている。
【0020】
このようにして亀裂2内にエタノールベントナイトスラリー8を充填すると、このスラリー8は亀裂2内に涌き出てくる地下水によってそのエタノール分が置換により徐々に希釈され、ベントナイトが膨潤をはじめる。そして、この膨潤が進むに連れてスラリー8の粘度が増大し、強度を発現するようになってこのスラリー8から止水体が構築される。
【0021】
このようにして構築された止水体は、ベントナイトの持つ膨潤力によりクラックを発生することがなく、また、万一クラックが発生した場合でもベントナイトが自己修復性を有するため、長期における止水性能を保持することができる。
したがって、本例のエタノールベントナイトグラウト工法によれば、予め亀裂2内の地下水をエタノール水溶液4で置換しておくことで、後に注入するエタノールベントナイトスラリー8の粘度増加を抑制し、該スラリー8の亀裂2(空隙)深部への充填を容易にしてこの充填を確実に行うことができ、これにより優れた止水性を有する止水体を形成することができる。
【0022】
なお、前記例では、本発明のエタノールベントナイトグラウト工法を止水体の形成に適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、有害物の遮蔽体の形成や、トンネル、シールド等の裏込め充填など、地下水が溜まっている亀裂や空隙に充填する全てのものに適用可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のエタノールベントナイトグラウト工法は、亀裂又は空隙内に溜まっていた地下水をエタノール又はエタノール水溶液で置換し、その後、エタノールベントナイトスラリーを充填する方法であるから、地下水に起因する充填スラリーのエタノール濃度の低下を抑えることができ、これによりスラリーの注入距離を伸ばして該スラリーの亀裂や空隙内深部への充填を容易にし、この充填を確実にすることができる。
また、このようにベントナイトスラリーを亀裂や空隙内に確実に充填することができることから、これら亀裂や空隙内に、セメントグラウト等の材料では困難である超長期の止水性を有する構造物を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)〜(c)は、本発明のエタノールベントナイトグラウト工法を止水体の形成に適用した場合の一例を、工程順に説明するための要部側断面図である。
【図2】 エタノールベントナイトスラリー中のエタノール濃度毎の固液比と、ファンネル粘度(ファンネルフロー)との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…地盤、2…亀裂、3…地下水、4…エタノール水溶液、5…ポンプ、6…配管、7…攪拌槽、8…エタノールベントナイトスラリー、9…封止材
Claims (1)
- 地盤又は岩盤中の亀裂又は空隙内にエタノール又はエタノール水溶液を注入して、該亀裂又は空隙内に溜まっていた地下水をエタノール又はエタノール水溶液で置換し、
その後、前記亀裂又は空隙内にエタノールベントナイトスラリーを充填することを特徴とするエタノールベントナイトグラウト工法。
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