JP7002990B2 - ダムコンクリート、及び、コンクリートダム堤体の構築方法 - Google Patents

ダムコンクリート、及び、コンクリートダム堤体の構築方法 Download PDF

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Description

本発明は、ダムコンクリート、及び、コンクリートダム堤体の構築方法に関する。詳しくは、重力式コンクリートダム堤体の外殻を形成するコンクリートとして好適なダムコンクリート、及び、これを用いて行う重力式コンクリートダム堤体の構築方法に関する。
本発明は、「重力式コンクリートダム堤体」の構築に係る技術である。「重力式コンクリートダム堤体」とは、コンクリートの重量を利用しダムの自重と重力で水圧に耐える構造を有するダム堤体である。様々な構造のダム堤体のうちでも、最も頑丈な構造であり、地震や洪水に強く、日本国内では最も広く普及している。但し、この「重力式コンクリートダム堤体」は、アーチ式等のその他の構造からなるダム堤体と比較して、最も膨大なコンクリート量が必要となる構造でもある。
従来、コンクリートダムを構築するために用いるダムコンクリートの調製においては、配合設計法や調製方法、及び施工方法等が、それぞれJIS規格等により、一般基準として、具体的且つ詳細に定められている(特許文献1参照)。そして、このような一般基準に従って配合されるダムコンクリートは、一般的な土木構造物のコンクリートと比較して、骨材の使用量が多く、セメント量が少なく、又、水/セメント比も小さい配合とされることを特徴とする。
又、このようなダムコンクリートに使用する骨材は、JIS規格により、細骨材(粒径5mm以下)と粗骨材(粒径5mm超)に分級されていて、更に、粗骨材については、同規格により、5mm~20mm、20mm~40mm、40mm~80mm、80mm~150mmというように分級されている。例えば、重力式コンクリートダム堤体の外殻を形成するダムコンクリートの粗骨材としては、通常、最大寸法が40mm~80mm、又は、80mm以上150mm以下の範囲にあるものが用いられる。
上記配合からなるダムコンクリートは、一般的な土木構造物のコンクリートと比較して、固練りであって流動性が著しく低い。具体的には、スランプフローが大凡6cm以下となるようにセメント、水、及び骨材等の配合が調製される。よって、ダムコンクリートは、打設後に、一般的なコンクリート建造物の場合よりも、特段に強力な振動エネルギーの付与による締め固めが必須となる。本明細書においては、上記程度の固練りのコンクリートであって、ダム堤体の構築に用途が特定されているコンクリートのことを、「ダムコンクリート」と総称するものとする。
一方、ダム堤体の多くは、山間部等の寒冷地に構築される。よって、多くの場合において、ダムコンクリートには、十分な凍結融解抵抗性を有するものであることも求められる。凍結融解抵抗性とは、主として、コンクリート硬化体内部の水分が凍結して体積増加することによりコンクリートに悪影響を与えることによって発生する凍害に対する耐性のことを言う。一般に、コンクリート硬化体に十分な凍結融解抵抗性を付与するためには、コンクリート硬化体内に適量な径の微細気泡を、適量な体積比で、形成することが有効であることが知られている(非特許文献1参照)。
上記のような微細気泡をコンクリート内に形成する一般的な方法として、例えば、AE剤又はAE減水剤等の化学混和剤を、フレッシュコンクリートに混入して、コンクリート硬化体内に、直径数mm程度以下の多数の微細気泡を、硬化体内における全空気量が4.5%程度となるような態様で分散形成する方法が開示されている(特許文献2参照)。
しかし、AE剤等の化学混和剤は、コンクリート中のセメント材に作用して微細気泡をコンクリート内に導入する機構であるため、上述の通り、一般的なコンクリートよりもセメント量が少ないダムコンクリートにおいては、通常の使用量の範囲を大きく超える量を添加する必要があった。そして、ダムコンクリートは、上述の通り打設後の強力な締固めが必須であるため、この際の振動によるコンクリート中からの気泡の消失割合やそのぶれ幅が大きいため、コンクリート硬化体中に残存する微細気泡の量を適切な範囲内に制御するのが困難であった。
よって、コンクリートダムの施工現場では、例えば、施工現場でのテストピースを用いての気泡形成にかかる簡易試験や、これに応じた調合の再調製等の煩雑な試行錯誤を繰り返しながら、AE剤等の化学混和剤の最終的な添加量を決定する必要があった。又、AE剤の最適添加量は気温によっても変動することから、季節や環境条件に応じた調整も必要であった。これらの作業は、施工現場における大きな負担となっていた。
このような煩雑な作業負担を回避するためには、例えば、特許文献3に開示されているように、AE剤等の化学混和剤によらずに、フレッシュコンクリート中に樹脂製の中空ビーズを混入させることにより物理的に安定した微細気泡を所望の態様で形成する方法を、ダムコンクリートの調合にも応用することが考えられる。
しかしながら、極めて巨大な建造物であり、特に、上記のように、膨大なコンクリート量が必要となる「重力式コンクリートダム堤体」においては、十分な微細気泡の確保に足るだけの大量の樹脂性の中空ビーズを用いることは、中空ビーズの価格、即ち、経済性の面から現実的ではないと考えられており、実際にダムコンクリートへの中空ビーズの使用は、未だ行われていなかった。
つまり、現状、ダムコンクリートの構築においては、上記のような調合作業の煩雑さを甘受しつつ、専らAE剤等の化学混和剤の大量添加によって、凍結融解抵抗性が担保されているというのが、本願出願時における実情であった。
特開2000-144691号公報 特開平10-259050号公報 特開2016-47790号公報
コンクリート工学論文集 第23巻第1号 2012年1月 コンクリートの気泡組織と耐凍害性の関係に関する考察
本発明は上記状況に鑑みてなされたものであり、経済性の面でも十分に実施可能なものであることを前提に、コンクリートダムの凍結融解抵抗性を担保するに足る微細気泡のサイズと存在量を高い安定性で制御することができるダムコンクリートを提供することを課題とする。
本発明者らは、先ず、コンクリート硬化体の凍結融解抵抗性を向上させるために有効な気泡は、専ら直径0.15mm程度以下の微細気泡であり、このようなごく微細気泡のみを硬化体に安定的に形成することができる場合には、コンクリート硬化体内の空気量は、必ずしも、化学混和剤による気泡形成を前提とした上述の一般的な空気量(4.5体積%程度)ほどは必要ではなく、この空気量は、1体積%程度以上あれば足りること(特許文献3参照)にも着眼した。
又、本発明者らは、合わせて、重力式コンクリートダム堤体においては、凍結融解抵抗性を担保するために、微細気泡の形成が必須であるのは、主として、その外殻部のみであることにも着眼した。
そして、本発明者らは、これらの様々な技術的知見を統合し、遂には、重力式コンクリートダム堤体を構築するコンクリートのうち、外殻部を形成するために用いるダムコンクリートのみを、樹脂製の中空ビーズにより微細気泡が形成されているコンクリートとすることによって、上記課題を解決できることに想到するに至り、本願発明を完成させた。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 重力式コンクリートダム堤体の外殻部を形成するために用いるダムコンクリートであって、セメント材と、水と、細骨材と、粗骨材と、樹脂製の中空ビーズと、を含有し、前記樹脂製の中空ビーズは、直径が0.01mm以上0.3mm以下の中空体であり、単位体積当りの含有量が、0.5体積%以上2.0体積%以下である、ダムコンクリート。
(1)の発明によれば、上述の通り、一般的なコンクリートよりも、セメント量が少なく、粗骨材の寸法が大きく、流動性が小さいダムコンクリートにおいて、凍結融解抵抗性の向上に有効な微細気泡を形成するための添加材料として、樹脂製の中空ビーズを用いることとした。そして、これを、膨大なコンクリート量を必要とする重力式コンクリートダム堤体のうち、外殻部用のダムコンクリートにのみ適量添加することにより、高価な樹脂製の中空ビーズの添加量を、ダム全体としては、必要最小限の量に制限しながら、経済性の面でも現実的に十分に実施可能な方法により微細気泡のサイズと存在量を安定的に制御して、重力式コンクリートダム堤体の凍結融解抵抗性を十分に向上させることができる。
(2) 前記セメント材のうち、20質量%以上30質量%以下が、フライアッシュセメントである、(1)に記載のダムコンクリート。
一般に、ダム堤体等も含め、マスコンクリートの打設時には、大量のセメント材の水和反応に伴う過剰な発熱を低減させることを企図して、セメント材の一部をフライアッシュセメントに置換することが行われている。しかしながら、フライアッシュセメントは、凍結融解抵抗性を担保するためのAE剤等化学混和剤の気泡形成作用の安定性を阻害する傾向があることも知られている。これに対して、(2)のダムコンクリートによれば、セメント材の一部をフライアッシュセメントに置換することにより、コンクリートの水和反応に伴う発熱量を低減させながら、尚且つ、フライアッシュセメントによる気泡形成の安定性阻害という悪影響を受けずに、微細気泡のサイズと存在量を安定的に制御することができる。
(3) (1)又は(2)に記載のダムコンクリートを用いる重力式コンクリートダム堤体の構築方法であって、前記セメント材と、前記水と、前記細骨材と、前記粗骨材と、前記樹脂製の中空ビーズと、を混錬して前記ダムコンクリートを得る材料混練工程と、前記ダムコンクリートを前記重力式コンクリートダム堤体ダムの外殻部に打設する打設工程と、締固め工程と、を有する、コンクリートダム堤体の構築方法。
(3)の発明によれば、経済性においても従来方法と同等に実施容易な水準にあり、施工現場での作業負担は従来方法よりも軽減されているコンクリートダム堤体の構築方法によって、安定して高水準の耐凍結融解抵抗性を発現しうる重力式コンクリートダム堤体を構築することができる。
(4) 前記締固め工程は、ダム用油圧ショベル型のバイブレータで行う、(3)に記載のコンクリートダム堤体の構築方法。
(4)の発明によれば、重力式コンクリートダム堤体の構築において必須となる重機器による強力な振動を伴う締固めを行ったとしても、尚、安定して高水準の耐凍結融解抵抗性を発現しうる重力式コンクリートダム堤体を構築することができる。
(5) 前記重力式コンクリートダム堤体の構築場所が、年間最低気温が-5℃以下の寒冷地内にある、(1)から(4)のいずれかに記載のコンクリートダム堤体の構築方法。
(5)の発明によれば、重力式コンクリートダム堤体の構築の施工場所が、高度の耐凍結融解抵抗性を求められる寒冷地である場合において、このような要求に対応しうる極めて高水準の耐凍結融解抵抗性を有する重力式コンクリートダム堤体を、高い品質安定性で構築することができる。
本発明によれば、経済性の面でも十分に実施可能なものであることを前提に、コンクリートダムの凍結融解抵抗性を担保するに足る微細気泡のサイズと存在量を高い安定性で制御することができるダムコンクリートを提供することができる。
本発明のダムコンクリートを用いて構築可能な重力式コンクリートダム堤体の一般的な構造を模式的に示す断面図である。 本発明のダムコンクリートと、化学混和剤の添加によって凍結融解抵抗性を担保した従来のダムコンクリートとの間における微細気泡の分布状態の差異を示すグラフ図である。
<重力式コンクリートダム堤体>
図1は、本発明のダムコンクリートを用いて構築可能な「重力式コンクリートダム堤体」の一般的な構造を模式的に示す断面図である。同図に示す通り、重力式コンクリートダム堤体10は、ダム堤体の外表面を被覆している外殻部1、地盤Gとの接合面となる岩着部2、及び、膨大な量のコンクリートにより形成されている内部3から構成される。そして、重力式コンクリートダム堤体10における、全コンクリートの重量の大部分は、内部3を構成するコンクリート硬化体の部分の重量であり、主として内部3の重量によって、重力式コンクリートダム堤体10の貯水Wの水圧に耐える強度が維持される。
内部3を構築するために用いるダムコンクリートとしては、振動ローラー等の重機器を用いた強力な振動エネルギーによる締め固めを前提として、セメントの量を少なくした極めて硬練りのコンクリートが用いられる。又、外殻部1を構築するために用いるダムコンクリートとしても、上記同様の硬練りのコンクリートが用いられる。但し、外殻部1を構築するために用いるダムコンクリートは、水/セメント比がより小さく、より耐久性に優れる配合である点において、内部3を構築するためのダムコンクリートとは異なる。
ここで、例えば、地盤から最頂部までの高さが、120m程度であり、最大横幅が、300m程度である「重力式コンクリートダム堤体」おける、外殻部の厚さは、通常、1.5~3.0m程度とされる。一方、コンクリート建造物の凍結融解抵抗性を担保するための微細気泡は、コンクリート建造物を構成する硬化体の表面から、1500mm程度の深さの範囲に存在すれば十分にその機能を果たし得ることが分かっている。本発明のダムコンクリートは、この外殻部を構築するために用いるダムコンクリートを、重力式コンクリートダム堤体全体の凍結融解抵抗性を担保するに足るコンクリートとしたものである。これにより、重力式コンクリートダム堤体全体の凍結融解抵抗性を十分に担保することができる。
尚、コンクリート硬化体における凍結融解抵抗性を担保するための微細気泡が存在すべき深さ範囲は、詳しくは、予測可能な「凍害劣化予想深さ」に応じて決定されるべきものである。この「凍害劣化予想深さ」とは、具体的に、当該コンクリートが硬化した後、設置環境において、所定の年数の間に、凍結融解の影響を受ける領域が表面からどの程度の深さまで進行するかについての予想値であり、具体的には、例えば、当該コンクリート硬化体と同材料からなる供試体による環境促進試験によって予想することによって得られる値である。供試体による環境促進試験は、例えば、「JIS A 6204-2000“コンクリート用化学混和剤”付属書2コンクリートの凍結融解試験方法に準拠して、凍結融解抵抗性を検証する試験」行うことができる。このようにして得ることができる「凍害劣化予想深さ」は、対象となるコンクリートの組成や設置地域の環境にもよるが、重力式コンクリートダム堤体の場合、年間最低気温が-5℃以下の寒冷地内であっても、最大でも1500mm以内の範囲にあり、上記の外殻部の厚さ範囲内に十分に収まる深さとなっている。
重力式コンクリートダム堤体10の外殻部1を構成するコンクリート硬化体は、セメント内に多数の気泡部が分散形成された、所謂、気泡コンクリートである。そして、このコンクリート硬化体は、直径0.01mm以上0.1mm以下の微細気泡部がコンクリート硬化体に対する体積比において0.5体積%以上2.0体積%以下の割合で形成されている。そして、この微細気泡部は、主として、直径0.01mm以上0.1mm以下の樹脂製の中空ビーズによって形成されている。
ここで、重力式コンクリートダム堤体においては、堤体全体の重量を増すために、その外殻部においても、空気量を最小限に止めることが求められる場合が多い。その場合は、特に、外殻部を形成するコンクリート硬化体中の全ての気泡部のうち、50体積%以上、より好ましくは70体積%以上の微細気泡が、樹脂製の中空ビーズによって形成されている気泡部であることが好ましい。
但し、微細気泡の一部、好ましくは全ての気泡部の50体積%以下の部分は、従来同様にAE剤等の化学混和剤により形成されているものであってもよい。現状、流通している汎用的なプレミックスタイプのダムコンクリートには、AE剤が予め添加されている配合のものも多く、このようなタイプのダムコンクリートに、施工現場において、適量の樹脂製の中空ビーズを添加することによっても、これを本発明のダムコンクリートとして、重力式コンクリートダム堤体の外殻部を構成するダムコンクリートとして用いることができる。
尚、コンクリート硬化体中の微細気泡の体積比を測定する方法については、例えば、公知の方法である「ASTM C457 硬化コンクリートの気泡パラメータの顕微鏡による測定方法」等によることができる。
<ダムコンクリート>
重力式コンクリートダム堤体の外殻部を構成する本発明のダムコンクリート(以下、単に「ダムコンクリート」とも言う)は、セメント材と、水と、細骨材と、粗骨材と、を必須の材料として含有し、セメント量が少なく粗骨材の最大寸法が大きい固練りのコンクリートであるという点については、従来のダムコンクリートと差異はない。これらの配合にういては、上述の通り、JIS規格等によるダムコンクリートの一般基準従うことが好ましい。
但し、本発明のダムコンクリートは、重力式コンクリートダム堤体の外殻部を形成するためのものとしてその用途が特化されている点を特徴とし、又、コンクリート中に、所定サイズの樹脂製の中空ビーズが、所定量範囲で、混入されている点において従来のダムコンクリートとは異なる。
(セメント材)
本発明のダムコンクリートにおいて用いるセメント材としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメント以外に、フライアッシュセメント、高炉セメント、シリカセメント等を挙げることができる。これらを上記の通り、コンクリート硬化体の使用用途により使い分けることが好ましい。ダムコンクリート中におけるセメント材の単位体積当りの含有量は、上述のダムコンクリートの一般基準に従う範囲内であればよく、具体的には、180kg/m以上260kg/m以下であることが好ましく、180kg/m以上220kg/m以下であることがより好ましい。
又、本発明のダムコンクリートは、セメント材のうち、20質量%以上40質量%以下、より好ましくは、20質量%以上30質量%以下のセメント材が、フライアッシュセメントであることが好ましい。上述の通り、フライアッシュセメントは、凍結融解抵抗性を担保するためのAE剤等の化学混和剤の気泡形成作用を阻害する傾向があるが、本発明のダムコンクリートは、樹脂性の中空ビーズにより気泡を形成しているので、反応性の低いフライアッシュセメントを併用することによって、気泡形成に係る上記の阻害要因を回避しつつ、巨大なコンクリート建造物の構築に伴う過剰な水和熱の発生を抑制することができる。
(水/セメント比)
又、本発明のダムコンクリートは、水セメント比が、上述のダムコンクリートの一般基準に従う範囲内であればよく、具体的には、40%以上60%以下であることが好ましく、40%以上50%以下であることがより好ましい。そして、本発明のダムコンクリートは、スランプフローが2cm以上6cm以下であることが好ましい。
(細骨材及び粗骨材)
本発明のダムコンクリートにおいて用いる細骨材及び粗骨材としては、上述した通りに、ダムコンクリートの配合設計法、調製方法として、定められている一般基準に従って選択されるものを適宜用いればよい。但し、粗骨材については、その最大寸法が80mm以上150mm以下のものを用いることが好ましい。尚、本発明のダムコンクリートにおいては、寸法が80mm以上150mm以下である所謂G1の粗骨材の割合は粗骨材全量に対する体積割合で10%~20%程度であることが好ましい。
(中空ビーズ)
本発明のダムコンクリートに混入させる樹脂製の中空ビーズは、硬化時に直径0.01mm以上0.3mm以下、好ましくは、直径0.01mm以上0.1mm以下の微細気泡部を形成可能な樹脂製の中空ビーズであればよい。本明細書において「ビーズ」とは球形や長円形や円筒形の球を意味する。本発明に用いる中空ビーズは、凍結融解に伴う水圧を緩和して凍結融解抵抗性を発揮させるに足る可撓性を有するものであればよく、その形状は、中空であり、且つ、略球形状であることが好ましい。又、中空ビーズの粒径は、中空部の内径が、0.01mm以上0.3mm未満の範囲であることが好ましく、その外径の0.95倍以上程度であることが好ましい。又、中空ビーズの粒径(外径)は、上記範囲内で一定の分散があってもよいが、粒径が0.1mm前後であって、その分散が少ないものが、より好ましい。
中空ビーズの材料の具体例としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリルニトリルスチレン共重合体、スチレン・エチレン共重合体、ポリ塩化ビニリデン等の可撓性を有する樹脂を挙げることができる。これらの樹脂を発泡させることにより得ることができる中空ビーズを好ましく用いることができる。
ダムコンクリートへの樹脂製の中空ビーズの配合比は、コンクリート硬化体に対する体積比が、0.5体積%以上2.0体積%以下であればよく、1.2体積%以上1.8体積%以下であることがより好ましい。これにより、重力式コンクリートダム堤体に必要十分な凍結融解抵抗性を付与することができる。尚、樹脂性の中空ビーズによって形成されるダムコンクリート中の微細気泡部の空気量(容量%)は、中空ビーズの平均粒径と添加量から算出した値を微細気泡部の空気量とすることができ、又、全空気量の(容量%)の測定は、JIS-A1128に準拠して行うことができる。
(その他の材料)
ダムコンクリートには、上記各材料の他、上述の通り、一般的なAE剤、AE減水剤、高性能AE減水剤等の混和剤が適量添加されていてもよい。又、消泡剤として、例えば、ポリアルキレングリコール等、従来公知の消泡剤を用いることもできる。これにより、必要に応じて、主にエントラップドエアからなるフレッシュコンクリート中の中空ビーズ内の空気以外の空気を、適切に除去することができる。
<重力式コンクリートダム堤体の構築方法>
上述の本発明のダムコンクリートを用いて行う重力式コンクリートダム堤体の構築方法により、従来方法よりも、より少ない作業負担で、重力式コンクリートダム堤体に、ダム堤体全体としての十分な凍結融解抵抗性を高い安定性の下で備えさせることができる。
この重力式コンクリートダム堤体の構築方法は、本発明のダムコンクリートを構成する上述の各材料を混錬してダムコンクリートを得る材料混練工程と、このダムコンクリートを、重力式コンクリートダム堤体の外殻部に打設する打設工程と、打設後のダムコンクリートに、重機器等による強度の振動エネルギーをかけて行う締固め工程と、を行う構築方法である。
この重力式コンクリートダム堤体の構築方法においては、締固め工程は、ダム用油圧ショベル型のバイブレータで行うことが好ましい。又、このような重機器による強力な振動による締固めを行っても、本発明のダムコンクリートを用いる限り、フレッシュコンクリート段階での微細気泡の消失によるコンクリート硬化体の品質の変動を防いで、ダムを形成するコンクリート硬化体の凍結融解抵抗性を安定して高い水準に維持することができる。
又、この重力式コンクリートダム堤体の構築方法は、特に、ダムを建設する地域が、年間最低気温が-5℃以下の寒冷地内にあり、凍害の危険度が高い地域において用いる場合にとりわけ有効な方法である。地域毎の凍害の危険度の判定方法としては,建築分野で用いられている凍害危険度マップの有用性が高く、これに基づいて一定以上の危険度がある地域に、本発明にかかる重力式コンクリートダム堤体の構築方法を適用することが好ましい。
下記の表1に記載の材料を用いて、表2の配合により、実施例及び比較例とする各ダムコンクリートを調合した。但し、実施例のダムコンクリートには、更に、表1に記載の中空ビーズ(表1において「KIND」と記載)を、ダムコンクリート中の体積比において1.5体積%の割合となる添加量で添加し、比較例には、中空ビーズは添加しなかった。
上記の通りに製造した、実施例及び比較例の各ダムコンクリートは、高さ、幅、奥行きが何れも1mの型枠に、バックホウを用いて打設し、油圧搭載型バイブレータ(製品名「バイバック・フロントアッセン」、エクセン株式会社製)により締め固めを行い、硬化後にコアを採取し気泡径分布を測定した。尚、打設前にも、各ダムコンクリートから供試体を採取し、締固め前の気泡径分布も予め測定した。実施例及び比較例の各ダムコンクリートの使用材料を表1に、配合を表2に示す。
Figure 0007002990000001
Figure 0007002990000002
実施例及び比較例の各ダムコンクリートのフレッシュコンクリート段階での微細気泡の粒度分布と、上述の油圧搭載型バイブレータによる締固め処理を経て硬化した後のダムコンクリートの微細気泡の粒度分布を、図2に示す。比較例においては、締固めによりAE剤に等により連行された空気泡が減少しているのに対し、中空ビーズを、ダムコンクリート中に1.5体積%の割合で添加した実施例においては、微細気泡の粒度分布は、硬化の前後でほぼ一致し、空気量の減少は認められなかった。これより、本発明のダムコンクリートを用いることにより、凍結融解抵抗性を担保するために有効な微細気泡をダムコンクリート硬化体内に確実に確保できることが確認された。
1 外殻部
2 岩着部
3 内部
10 重力式コンクリートダム堤体
G 地盤
W 貯水

Claims (6)

  1. 重力式コンクリートダム堤体の外殻部を形成しているダムコンクリート硬化体であって、
    セメント材と、細骨材と、粗骨材と、樹脂製の中空ビーズと、を含有し、
    前記樹脂製の中空ビーズは、直径が0.01mm以上0.3mm以下の中空体であり、単位体積当りの含有量が、0.5体積%以上2.0体積%以下であり、
    コンクリート硬化体中の全ての気泡部のうち、50体積%以上の気泡が、前記樹脂製の中空ビーズによって形成されている、
    ダムコンクリート硬化体
  2. 前記コンクリート硬化体中の全ての気泡部のうち、70体積%以上の気泡が、前記樹脂製の中空ビーズによって形成されている、
    請求項1に記載のダムコンクリート硬化体
  3. 前記セメント材のうち、20質量%以上30質量%以下が、フライアッシュセメントである、請求項1又は2に記載のダムコンクリート硬化体
  4. 力式コンクリートダム堤体の構築方法であって、
    メント材と、と、骨材と、骨材と、脂製の中空ビーズと、を混錬して、重力式コンクリートダム堤体の外殻部を形成するために用いるダムコンクリートを得る材料混練工程と、
    前記ダムコンクリートを前記重力式コンクリートダム堤体の外殻部に打設する打設工程と、
    締固め工程と、
    を、有し、
    前記中空ビーズは、直径が0.01mm以上0.3mm以下の中空体であり、前記ダムコンクリートにおける該中空ビーズの単位体積当りの含有量が、0.5体積%以上2.0体積%以下である、
    重力式コンクリートダム堤体の構築方法。
  5. 前記締固め工程は、ダム用油圧ショベル型のバイブレータで行う、請求項に記載の重力式コンクリートダム堤体の構築方法。
  6. 前記重力式コンクリートダム堤体の構築場所が、年間最低気温が-5℃以下の寒冷地内にある、請求項4又は5に記載の重力式コンクリートダム堤体の構築方法。
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